JP4344481B2 - スプール巻取機の反転位置自動調節システム及びその方法 - Google Patents

スプール巻取機の反転位置自動調節システム及びその方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スプール上への光ファイバの巻き取りシステム及びその方法の改良に関する。さらに詳細には、スプールフランジの反転位置を制御するためのシステム及び方法における有利な特徴に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の典型的な巻取機において、光ファイバは、回転しているスプールの筒上をその長手方向に上下しながら一対のスプールフランジの間で巻き取られる。かかる巻き取り工程の制御は、長年の課題であった。特に困難をもたらせていた1つの課題は、反転位置、すなわち、ファイバに対するスプールのトラバース運動が反転する場所である各フランジ位置における制御についてである。
【0003】
理想的には、かかる反転は、ファイバがちょうどフランジに到達した位置で行われなければならない。それが故に、反転位置は、既知の厚さのフランジを有する標準サイズの巻き取りスプールに基づいて予め共通して設定されていた。しかしながら、スプール製造における多様性の故に、特殊なフランジでは、反転位置が不正確となり得るのである。反転が遅すぎる場合、過剰なファイバがフランジに蓄積されてしまって、「ドッグボーン」状態になってしまう。反転が早すぎる場合、ギャップがフランジに生じてしまう。反転が早すぎる場合に生じる他の状態は、「カスケード」状態であるが、これは、ファイバが不均一に蛇行してカールしてスプール上へ巻き取られるものである。これらの状態のいずれであっても、ファイバがフランジで凸凹を生じて巻き取られてしまう。これらのエラー状態は、特に光ファイバの製造において重大であって、スプールの不適当な巻き取りがファイバ性能に有害な影響を及ぼし得るのである。
【0004】
典型的な公知システムでは、オペレータが手動で、観察されたドッグボーン状態若しくはフランジギャップ状態に基づいてスプールの反転位置を制御していた。しかしながら、かかる方法は、多くの理由において不利である。第1に、オペレータが明確に認識できるドッグボーン若しくはフランジギャップ状態には、数多くの回数の反転が必要とされる。第2に、反転位置の調整が不正確であっても、エラー状態が実際に修正されたことを確認するためには更に追加の複数回の反転を必要とすることである。これらの因子は、巻き取り工程の効率を大幅に減少させる。
【0005】
よって、巻取機のスプールフランジでの反転位置を調整するための自動システムが要望された。
【0006】
【発明の概要】
本発明による好適な1つの実施例は、スプール上へ光ファイバを巻き取るためのシステムを提供するものである。当該システムは、スプールを受容し、その長手方向軸の周りで回転するスピンドルアセンブリを含む。スプールにファイバを連続して供給するための光ファイバ源は、スピンドルアセンブリに相対して配置され、かかるスピンドルアセンブリによるスプールの回転によって、ファイバは長手方向軸の周りでスプール上へ巻き取られる。張力検出装置は、センサとして働き、スプール上へ巻き取られるファイバの張力量に関するフィードバック量を与える。ファイバは、トラバース手段によって、前方スプールフランジ及び後方スプールフランジの間でスプール上を前後しながら巻き取られる。ここで、かかるトラバース手段は、前方スプールフランジでの前方反転位置及び後方スプールフランジでの後方反転位置を含む。コントローラは、前記のファイバ張力フィードバック量を受信して、必要に応じて、このフィードバック量を使用して、前後の反転位置でなされる調整を決定する。
【0007】
本発明の追加の特徴および効果は、以下の詳細な説明及び添付図面を参照することで明らかになるであろう。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明による好適な実施例は、トラバース反転位置におけるスプールの種類や相違を自動的に修正するスプール上へのファイバの巻き取りシステム及びその方法を与える。本発明は、スプールの中央の直径及び揺動セットポイント位置の各々に関して、両反転位置でのファイバの巻き取りの「平坦さ」をチェックする。システム制御ループは、スプールの直径の変化をフィードバック揺動制御ループに組み込んで、各パスにおいて、順次、各フランジ方向若しくは離間する方向のどちらかへスプールを移動させて、システムコントローラに各スプールの反転位置を修正するために必要な情報を与える。
【0009】
図1は、本発明によるシステム10の好適な実施例であるコンポネントの主要部のブロック図を示している。システム10は、市販のバルクスプール14が取り付けられたバルクスピンドルアセンブリ12、及び、巻き取りスプール18が取り付けられた巻き取りスピンドルアセンブリ16を含んでいる。スピンドルアセンブリ16は、アセンブリ16を移動させるトラバースアセンブリ20に取り付けられ、故に、巻き取りスプール18は、回転させられつつ前後に移動する。光ファイバ22には、バルクスプールから張力センサ24を介して巻き取りスプールに糸通しされて、巻き取りスプール24上へ巻き取られたファイバ22の張力を計測し、出力を与える。バルクスピンドルアセンブリ12、巻き取りスピンドルアセンブリ16及びトラバースアセンブリ20は、制御ソフトウェア28を含むマイクロプロセッサコントローラ26によって制御される。制御ソフトウェアは、以下に詳述する如く機能する一対のプログラマブル制限スイッチ30a及び30bからなる。好適な本実施例において、マイクロプロセッサコントローラは、C言語でプログラムされたVMEインテル80486PC制御システムを含む。
【0010】
図2は、本発明による好適な本実施例の巻き取りスプール18の側面図を示す。巻き取りスプールは、ファイバ22が巻き取られる円筒状バレル32を含む。巻き取りスプール18は、スプールが巻き取りスピンドルアセンブリ16に取り付けられた場合、機械オペレータの方に面した前方フランジ34aと、機械オペレータから離れた方向であってスクリーニング機の方向を向いた後方フランジ34bとの一対のフランジを更に含む。巻き取りスプール18がスピンドルアセンブリ16に取り付けられて、スピンドルアセンブリ16はその長手方向軸36のまわりにスプールを回転させる。トラバースアセンブリ20によって、回転スプールは、その長手方向軸32に沿って前後に動く。
【0011】
マイクロプロセッサコントローラ26によって導かれて、巻き取りスプールスピンドルアセンブリ16及び巻き取りスプールトラバースアセンブリ20が協動して、前方フランジ34a及び後方フランジ34b間において、連続する層として光ファイバ22をバレル32の長手方向を前後に巻き取りスプール18上に巻き取る。反転位置、すなわち、トラバースアセンブリによって回転巻き取りスプールがその長手方向軸に沿った方向において反転する各巻き取りスプールフランジでの位置は、前方フランジ反転及び後方フランジ反転に対して制御ソフトウェア28の一対のプログラマブル制限スイッチ(PLS)30a、30bによって決定される。トラバース手段が各スプールフランジに接近したとき、各プログラマブル制限スイッチがこれを検出して、始動し、この位置で、コントローラは、反転シーケンス若しくはルーチンを開始して、以下の3つの機能を実行するデジタルカム分布を与える。
【0012】
(1) 現在の横方向位置を検出
(2) 所定の停止位置で横方向移動の減速を開始
(3) 反対方向に所定の速度で横方向移動の加速を開始
本発明による好適な実施例において、各フランジの反転位置は、コントローラ26によって、所定の反転位置に可変フランジオフセットを加えることで算出される。
【0013】
TURNAROUND_POSITION=SET_TURNAROUND_POSITION+FLANGE_OFFSET
これは正、ゼロ若しくは負である。これらの量は、図2において示されるが如く、前方フランジ34aについては、所定反転位置は破線38aによって示されており、フランジオフセットは矢印線40aによって示されており、算出された反転位置は破線42aによって示されている。同様に、後方フランジ34bについても、所定反転位置は破線38bによって示されており、フランジオフセットは矢印線40bによって示されており、算出された反転位置は破線42bによって示されている。
【0014】
予め設定された反転位置38a、38bは、巻き取りスプール揺動アーム32上の巻き取り面の既知の幅に基づいている。理想的には、所定反転位置は、フランジオフセット40a、40bの追加を必要とせずにフランジ34a、34b間で光ファイバを適切に巻き取るのに十分なものである。残念なことに、巻き取りスプールの製造上の可変性のため、トラバースアセンブリの所定反転位置は、ファイバが巻き取りスプール上へ適切に巻き取られるには十分ではない。
【0015】
具体的には、フランジでの反転が遅過ぎた場合に生じ、これはフランジに巻き取られるファイバの過剰を引き起こし、また、早すぎた場合には、フランジに隙間(ギャップ)を生じさせてしまう。前者の状態は、「ドッグボーン」として知られ、後者は、「フランジギャップ」として知られている。これらの望ましくない状態が図3に図示されており、これは側方から見た巻き取りスプールの部分断面図を示している。図3は、適切に巻かれたファイバの二層及び反転が不適当な位置で生じたときの巻き取りの二層を示している。図面の左側は、ドッグボーン状態22aであって、及び右側はフランジギャップ22bを示している。これらの2種類のエラーに加えて、「カスケード」と呼ばれる公知のエラーがあり、これはファイバの非均一なヘビ状のカール状態を指す。フランジギャップと同様に、フランジでの反転が早く起き過ぎるときにカスケード状態が生じ得る。更に下記の如く、本発明は、フランジ反転を自動的に調整するために好適な方法を提供するものであって、2つの反転位置の各々での光ファイバの測定された張力によって与えられるフィードバック量に基づいて、ドッグボーン、フランジギャップ及びカスケードの発生を最小限に抑える。
【0016】
図4は、本発明による好適な実施例に使用されるスクリーニング機44の図を示す。かかる機械の3つの主要なコンポネントは、バルクスプールスピンドルアセンブリ12、巻き取りスプールスピンドルアセンブリ16とトラバースアセンブリ20、及び2つのスプールの間にあるスクリーニングアセンブリ46である。図4に示すように、光ファイバ22は、連続する滑車間をスレッディング(糸通し)され、これはスクリーニング工程における様々なステージを通ってファイバの通路を形成する。特に、本発明にとっての興味は、揺動アセンブリ48であって、これは、図1に示される張力センサ24の機能を与えられており、巻き取りスプール16上に巻き取られる光ファイバ22の張力を計測するために使用される。
【0017】
揺動アセンブリは、ファイバ22が糸通しされる滑車50、揺動アーム52及びピボットアーマチャー54からなる。ブラシDCモータ(図示せず)はアーマチャー54を含み、これはDCモータの端部から伸長している。アーマチャー54の一端は、揺動アーム52に接続しており、安定したトルクを反時計回りの方向へ揺動アーム52に与える。滑車によって糸通しされた光ファイバ22の張力は、トルクを時計回り方向に揺動アームに与える。DCモータによって与えられるトルクは、光ファイバの張力によって与えられるトルクとバランスが取られる。スクリーニング機44の初期化の間に、揺動アーム52のセットポイント位置が決定され、これがスプール上に巻かれる光ファイバの張力の最適量を示す揺動アーム位置とされる。好適な実施例において、セットポイント位置は、水平から90度となるように調整される。しかしながら、セットポイント位置として揺動アーム52のいかなる位置をも使用することが可能である。
【0018】
揺動アーム52の位置は、適当な位置検出装置によって検出される。本発明の好適な実施例において、揺動アーム52の位置は、回転可変差動変圧器(RVDT)を使用して検出される。RVDTはアーマチャー54の他端に接続しており、これはDCモータから伸長している。つまり、アーマチャー54の一端は揺動アーム52に接続しており、一方で、アーマチャー54の他端はRVDTに接続している。揺動アーム52がアーマチャー54の周りを動くとき、アーマチャー54が回転せしめられる。この回転はRVDTによって検出されて、RVDTにシャフト回転の量、つまり揺動アーム52の運動の量に比例した電圧信号を生成させる。したがって、マイクロプロセッサコントローラ26は、RVDT電圧信号をモニターすることで揺動アーム52の位置を決定する。言うまでもなく、揺動アームの位置は、スプール上に巻かれるファイバの張力量に直接に相関する。
【0019】
各々の揺動アーム位置は、光ファイバ22の張力の異なるレベルと一致する。図4に示されるシステムでは、ファイバ22の張力が最適レベル以下に落ちると、揺動アーム52は、セットポイントの左側の新しい位置まで反時計回りに揺動セットポイントから離れて揺動し、かかる新規な位置がより低い張力レベルを示す。ファイバ22の張力が最適値よりも上昇すると、揺動アーム52は、セットポイントの右側の新しい位置まで時計回りに揺動セットポイントから離れて揺動し、かかる新規な位置がより高い張力レベルを示す。ファイバ22の張力は多くの変数からなる関数であり、これは、スプールの巻き取りスプールの直径及び回転の速度を含む。
【0020】
図5A及び5Bは、それぞれ、本発明による好適な実施例における適切なスピンドルアセンブリ16の側面及び正面を示す。スピンドルアセンブリ16は、巻き取りスプール18が取り付けられるスピンドル56及びその長手方向軸のまわりでスプール18を回転させるためのサーボモータ58を含む。
図6A、6B及び6Cは、それぞれ、図5A及び5Bに示されるスプール18を回転させながらその長手方向軸に沿って前後に巻き取りスプール18を動かすスピンドルアセンブリ16と連動して使用するのに適したトラバースアセンブリ20の上面、側面及び正面を示す。トラバースアセンブリ20は、スピンドルアセンブリ16が取り付けられた台車60を含む。台車60は、スピンドルアセンブリ16が移動する直線路を規定するトラックレール62に取り付けられる。トラバースアセンブリ20は、トラバースアセンブリトラック62上で前後にスピンドルアセンブリ16を動かしめる双方向回転可能なモータ64を含む。図7A及び7Bは、それぞれ、トラバースアセンブリ20の台車60に取付けられたスピンドルアセンブリ16の側面及び正面を示す。
【0021】
図8は、本発明の用途に適したコントローラ26の後部パネルを示す。2つのリード線66a、66bは、コントローラ26にシステムの他のコンポネントを接続するために与えられる。コントローラ26は、トラバースモーターステップ若しくはターンを正確に計数することで、トラバースアセンブリ20のトラックレール62に沿ったスピンドルアセンブリ16の移動距離を制御することができる。更に、コントローラ26は、モータの回転方向を逆転させることでトラバースアセンブリトラックレール62に沿ったスピンドルアセンブリ16の進行方向を逆転させることができる。
【0022】
図1に示すように、本発明による好適な実施例においては、コントローラは、各反転位置に対して一対のプログラマブル制限スイッチ(PLS)30a、30bを具備している。上記の如く、各スプールフランジがトラバースして接近するとき、各スイッチがこれを検出して始動する。このPLSが始動したとき、以下の3つの動作をなす反転シーケンス若しくはルーチンを開始する。すなわち、
(1) 現在のトラバース位置を検出するステップ
(2) 所定の停止位置まで横方向移動の減速を開始するステップ、
(3) 反対方向に所定速度まで横方向移動の加速を開始するステップ、である。
【0023】
本システムは、張力センサ24からの張力情報、すなわち揺動アセンブリ48の揺動アーム52の位置を使用したシステム及び方法を与えるものであって、巻き取り工程におけるエラー状態を検出して、修正するものである。ファイバの張力は多くの因子によって決定され、例えば、巻き取りスプールの回転速度及びスプールの巻き取り面の直径を含む。従来技術によるシステムでは、最適レベルに光ファイバ22の張力を維持するために、揺動セットポイントによって表される揺動アセンブリ48からのフィードバック量を使用して、スピンドルアセンブリ16の回転速度を制御していた。しかしながら、揺動フィードバックは、従来、フランジ反転位置を調整するためには用いられていなかった。
【0024】
ドッグボーン若しくはフランジギャップ状態を生ずるときには、ファイバ張力の測定できるスパイク若しくはディップは反転位置にある。例えば、ドッグボーン状態においては、巻き取り面の直径がフランジ反転位置で増加するとともに光ファイバの張力の増加を生じる。フランジギャップ状態においては、巻き取り面の直径がフランジ反転位置で減少するとともに光ファイバの張力の減少を生じる。ファイバ張力のこれらの変化は、反転位置での揺動セットポイントからの揺動アーム位置の偏差を反映している。本発明による好適な実施例では、フランジ反転位置を調整せしめるベースとしてこの偏差を使用する。
【0025】
本発明による好適な実施例において、揺動アーム位置は、フランジ反転位置で捕捉される。具体的には、揺動アーム位置は、上記したカム分布ルーチンにおける第3ステップの開始時に捕捉される。このルーチンにおいて、トラバースは、反対方向への加速に先だって所定の停止位置に到達する。図示された実施例において使用される捕捉された揺動アーム位置の範囲が図9に図示されている。所定の揺動セットポイント68、すなわちこれは最適なファイバ張力をもたらす揺動アーム位置である。「デッドバンド」70は、セットポイントのすぐ隣にあって、セットポイント、すなわちシステムのエラー閾値に隣接した許容された捕捉された揺動アーム位置の範囲内にある。捕捉された揺動アーム位置がデッドバンド70の範囲内にある限り、エラーは検出されない。フランジギャップに関連するファイバ張力の低下を示す領域72は、デッドバンドのすぐ左にある。同様に、ドッグボーン状態と関連するファイバ張力の増加を示す領域74は、デッドバンド70のすぐ右にある。-V(min)若しくは+V(max)の外の領域76、78は、警告状態が生じており、システムに手段を加える必要があることを示している。
【0026】
図10は、本発明によるフランジ反転位置80を自動調節するための方法の好適な実施例におけるフローチャートである。第1のステップ82において、システムが初期化される。この初期化の一部として、揺動セットポイント及びデッドバンドがセットされる。初期化が完了すると、スクリーニング機が巻き取りスプール上に光ファイバを巻き取り始める。
【0027】
第2のステップ84において、コントローラ26は、各巻き取りスプールトラバース反転の間に揺動アーム位置TURNAROUND_DANCER_POSITIONを捕捉する。上記説明の如く、これは、その長手方向軸に沿った回転スプールのトラバース運動が反転する各フランジの位置である。更に上記説明の如く、このステップを実行する1つの方法は、各フランジでの反転を初期化するよう設計された所定反転位置において始動する一対のプログラマブル制限スイッチからなるコントローラソフトウェアを使用することである。この実施において、トラバースが逆方向加速の直前に(例えば、約2msec)止まるときに揺動アーム位置が捕捉される。実際問題として、揺動位置のスナップショットの最大遅れは、8msecである。これは、反転に必要な50-65msecと比較して、相対的に微々たるものである。
【0028】
ステップ86において、コントローラは揺動セットポイントでの揺動位置のスナップショットを比較することによってエラー量を計算する。この計算は、以下の如く表現することができる。
ERROR=TURNAROUND_DANCER_POSITION-SETPOINT_DANCER_POSITION
ステップ88において、AVERAGE_SAMPLE_ERRORが続いて計算される。これは、修正がなされる前に生じるパス/反転の数に基づいている。所望の場合、コントローラはこの数を調整し得る。かかる算出は、以下の如くである。
【0029】
【式1】
Figure 0004344481
【0030】
但し、Nは、修正前のパスの数である。
ステップ90において、コントローラは、AVERAGE_SAMPLE_ERRORがセットされたデッドバンドの範囲内にあるかどうかを決定する。所望の場合、このデッドバンドは、マイクロプロセッサコントローラに接続されているキーボード、マウス若しくは他の適当な入力装置を使用してオペレータによって調節可能である。
【0031】
ステップ92において、AVERAGE_SAMPLE_ERRORがセットされたデッドバンドの範囲内にない場合、フランジオフセットが修正される。システムのゲインに基づくフランジオフセットの調整の計算がなされる。システムゲインは、2つのコンポネントを含み、差分ゲインD_GAINは、現在の平均サンプルエラーとその前の平均サンプルエラーとの差に基いており、総ゲインI_GAINは、現在の平均サンプルエラーの大きさに基づく。差分ゲイン及び総ゲインは、公知技術を使用して計測される装置固有の量である。これらのゲインは、以下の式を使用したフランジ反転位置OFFSET_ADJUSTの調整を計算するために使用される。
OFFSET_ADJUST=[D_GAIN(AVERAGE_SAMPLE_ERROR-PREVIOUS_AVERAGE_SAMPLE_ERROR)]+[I_GAIN(AVERAGE_SAMPLE_ERROR)]
このようなD_GAIN及びI_GAINの使用は、固定されたオフセット調整を使用する方法よりも敏感且つ正確であるので有利である。本実施例において、本システムは、大なるエラーに対しては大なる調整が、そして小なるエラーに対しては小なる調整がなされる。更に、所望の場合、フランジ調整を計算するために使用されるループアルゴリズムは、可変同調型である。
【0032】
正若しくは負のAVERAGE_SAMPLE_ERRORは、ドッグボーン若しくはフランジギャップをそれぞれ示す。ステップ94において、前方及び後方フランジが一般にサンプリングされることによって、OFFSET_ADJUSTは、以下のようにFLANGE_OFFSETに与えられる。
前方フランジ:
FLANGE_OFFSET=FLANGE_OFFSET+OFFSET_ADJUST
後方フランジ:
FLANGE_OFFSET=FLANGE_OFFSET-OFFSET_ADJUST
最後に、ステップ96において、フランジオフセットが巻き取りトラバース反転位置に与えられる。これは、次のように反転プログラマブル制限スイッチ(PLS)を再配置することである。
【0033】
TURNAROUND_POSITION=SET_TURNAROUND_POSITION+FLANGE_OFFSET
コントローラは、次の反転で揺動アーム位置を捕捉するステップ84に戻る。
デッドバンドの範囲内の揺動位置の検出は、エラーが発生しなかったことを示す。したがって、理論的にはフランジ反転位置に修正は必要ではない。しかしながら、検出された揺動位置がデッドバンドの範囲内にあるときであっても、ドッグボーン状態を引き起こすようにフランジ位置の調整を実行することが、本発明の好適な実施例において更に好ましい。
【0034】
ドッグボーンを引き起こす方が好ましいという理由は、ドッグボーンがフランジギャップよりも検出するためのシステムが非常に簡単だからである。巻き取り面の直径の増加が生じるとすぐに、ドッグボーンがすぐ検出され得る。しかしながら、フランジギャップ状態においては、ファイバがギャップに「落ち込む」以前に、ファイバはすでに数層、巻き取られ続け得る故に、ファイバ張力の低下を引き起こす。
【0035】
ステップ98において、揺動位置がデッドバンドの範囲内となるように決定された場合であっても、フランジギャップが発達するのを妨げるために、ステップ84に戻る前にフランジ方向への小なる予め定められた調整がフランジ反転位置において意図的になされ得る。このように、システムがドッグボーン状態を検知するまで、スプール上に巻き取られるファイバは各パスでフランジの方向へ「クリープ」するだろう。ドッグボーン状態が検知されたとき、上記の如く、本システムはフランジ反転位置へ通常の調整をして、デッドバンド内に引き戻す。反転位置がデッドバンド範囲内に戻ると、クリーピングプロセスは最初からもう一度開始され得る。
【0036】
このフランジ調整は、好適なことにファイバの直径程度になるように実験によって決定され、故に、ドッグボーンが生じる時にはいくつかのパスを経るだろう。好適な実施例において、光ファイバの直径は250ミクロンであって、フランジ調整は、かかる直径のほぼ8分の1である。
更に、本実施例において、各反転で修正がなされて、AVERAGE_SAMPLE_ERRORが各反転位置で計算される。換言すれば、Nは1である。
【0037】
調整が反転位置でなされた後、コントローラは次の反転での揺動アーム位置を捕捉するためにステップ84に戻る。
図11は本発明の他の実施例を示す。ここで、ファイバ22は、フライングヘッドアセンブリ100によって、トラバース方向に巻き取りスプール18と相対的に動く。本発明の実施例は、上記実施例と実質的に類似した方法で機能する。しかしながら、トラバースアセンブリ上を前後に回転スプールが移動する代わりに、システムはフライングヘッド100の前後運動を制御する。これは、例えば、光ファイバの製造において使用される線引機械に見られる如き装置タイプである。この第2の実施例において、本システムは、光ファイバラインの張力をモニターするために張力センサ24からの情報を再び使用して、更に、いずれのフランジであってもフライングヘッドの反転位置に調整を行うためにその情報を使用する。したがって、本発明はこの他の実施例に等しく適用できるということが判るであろう。
【0038】
本発明は、特に光ファイバの用途に適しているが、ファイバ、ワイヤー、スレッド若しくはフィラメントがスプール上へ巻き取られる他のシステムにおいても使用され得る。
上記説明は、当業者が本発明を実施することを可能にする詳細説明を含むと共に、上記説明は、その性質上、図示され、その多くの変更態様及びバリエーションは、これらの教示の利益を有する当業者にとって明らかとなるであろうことを認識すべきである。例えば、上記の開示された揺動アセンブリ以外の装置が張力センサ24の機能を実行するために使用されてもよい。したがって、本発明は、本願明細書の特許請求の範囲によってのみ定義され、かかる特許請求の範囲は、従来技術によって許容されるものと同様に広く解釈されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるシステムの好適な実施例のダイアグラムを示す図である。
【図2】 本発明による好適な実施例における巻き取りスプールを示す側面図である。
【図3】 部分的に巻き取りが行われた巻き取りスプールを示す部分断面図である。
【図4】 本発明による好適な実施例におけるスクリーニング機の正面図を示す。
【図5A】 図4に示すスクリーニング機における使用に適した巻き取りスピンドルアセンブリの側面図である。
【図5B】 図4に示すスクリーニング機における使用に適した巻き取りスピンドルアセンブリの正面図である。
【図6A】 図4に示すスクリーニング機における使用に適したトラバースアセンブリの上面図である。
【図6B】 図4に示すスクリーニング機における使用に適したトラバースアセンブリの側面図である。
【図6C】 図4に示すスクリーニング機における使用に適したトラバースアセンブリの正面図である。
【図7A】 図6A、6B及び6Cに示されるトラバースアセンブリに取付けられた図5A及び5Bに示される巻き取りスピンドルアセンブリの側面図である。
【図7B】 図6A、6B及び6Cに示すトラバースアセンブリを取付けた図5A及び5Bに示す巻き取りスピンドルアセンブリの正面図である。
【図8】 本発明による好適な1つの実施例において使用されるマイクロプロセッサコントローラの背面図である。
【図9】 本発明による好適な1つの実施例において捕捉可能な揺動アーム位置の範囲を示すダイアグラム図である。
【図10】 本発明の方法による好適な実施例におけるフローチャート図である。
【図11】 本発明のシステムによる他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
10 システム
14 バルクスプール
12 バルクスピンドルアセンブリ
16 スピンドルアセンブリ
20 トラバースアセンブリ
18 スプール
22 光ファイバ
24 張力センサ
26 コントローラ
28 制御ソフトウェア
30a,30b プログラマブル制限スイッチ
32 筒状バレル
34a 前方フランジ
34b 後方フランジ
36 長手方向軸
38a、38b 反転位置
40a、40b フランジオフセット
44 スクリーニング機
50 滑車
52 揺動アーム
54 アーマチャー

Claims (12)

  1. スプール上に光ファイバを巻き取るためのシステムであって、
    前記スプールを受容してその長手方向軸の周りで前記スプールを回転させるスピンドルアセンブリと、
    前記スプールに光ファイバを連続して供給する光ファイバ源であって、前記スプールが前記スピンドルアセンブリによって回転せしめられて前記スプール上であってその長手方向軸の周りに前記ファイバを巻き取る位置に前記スピンドルアセンブリに相対して配置された光ファイバ源と、
    前記ファイバの張力の大きさに関連したフィードバック量を検出してこれを送出する張力検出装置と、
    前記ファイバを前方スプールフランジ及び後方スプールフランジの間で前後させて前記スプール上に巻き取るためのトラバース手段であって、前記前方スプールフランジでの前方反転位置及び後方スプールフランジでの後方反転位置を含むトラバース手段と、
    該ファイバ張力フィードバック量を受信し且つ前記フィードバック量を使用して、これに応じて前記前方及び後方反転位置に対する調整内容を決定するコントローラと、を含み、
    前記張力検出装置は揺動アセンブリを含み、前記揺動アセンブリは前記ファイバを付勢する揺動アームを有し、前記揺動アームの位置は前記ファイバが前記スプール上に巻き取られているときの前記ファイバの張力の関数であって、前記光ファイバ源は前記揺動アームの位置の前記フィードバック量を検出してこれを送出する位置センサを含み、
    前記コントローラはフランジでの反転シーケンスの間における前記揺動アーム位置を捕捉して、この捕捉された捕捉反転位置と所定のセットポイント揺動位置とを比較して、前記前方及び後方反転位置に対する調整内容を決定し、
    前記セットポイント揺動位置と前記捕捉反転揺動位置との比較において、前記コントローラが前記捕捉反転揺動位置から前記セットポイント揺動位置までのエラー値を算出し、
    所定のセット反転位置とともに前記前方及び後方フランジに対する前記反転位置を決定する可調節フランジオフセットを調整せしめる前に、前記コントローラが各反転について算出した前記エラー値を平均化して平均サンプルエラーを算出し、
    正の平均サンプルエラーは、ファイバの過剰量が前記フランジに蓄積したドッグボーン状態を示しており、負の平均サンプルエラーは、フランジギャップ状態若しくはカスケード状態を示し、
    前記コントローラは、前記平均サンプルエラーが所定のセットデッドバンド内にあるかどうかを決定し、
    前記平均サンプルエラーが前記デッドバンド内にある場合において、前記コントローラは前記フランジオフセットを調整して前記反転位置を前記フランジの方向へ所定距離だけ移動せしめて、ドッグボーン状態を生じさせることを特徴とするシステム。
  2. 前記所定距離は、前記ファイバの直径の一部であることを特徴とする請求項記載のシステム。
  3. 前記所定距離は、前記ファイバの直径の8分の1であることを特徴とする請求項記載のシステム。
  4. 前記平均サンプルエラーが前記デッドバンド外にある場合において、前記コントローラが前記フランジオフセットになされるフランジオフセット調整値を算出することを特徴とする請求項記載のシステム。
  5. 前記フランジオフセット調整値は、測定されたシステムゲイン測定値に基づいて算出されることを特徴とする請求項記載のシステム。
  6. 前記システムゲイン測定値は、差分ゲインコンポネントD_GAIN及び総ゲインコンポネントI_GAINを含むことを特徴とする請求項記載のシステム。
  7. スプール上に光ファイバを巻き取るための方法であって、
    前記スプールをその長手方向軸の周りで回転させる回転ステップと、
    前記スプールに光ファイバを連続して供給する供給ステップであって、前記スプールがその長手方向軸の周りに回転して前記光ファイバを前記スプール上に巻き取る供給ステップと、
    前記ファイバの張力の大きさに関するフィードバック量を検出してこれを与える検出ステップと、
    前記ファイバを前記スプール上に巻き取るとともに前方スプールフランジ及び後方スプールフランジの間で前記ファイバをトラバースさせるステップと、
    前方スプールフランジ及び後方スプールフランジに隣接するそれぞれ第1及び第2の反転位置でファイバのトラバース方向を変化させるステップと、
    ファイバの張力の大きさの前記フィードバック量を使用して必要に応じて前方及び後方反転位置に対する調整内容を決定する決定ステップと、を含み、
    前記決定ステップは、各反転位置で検出されるファイバの前記張力の大きさから所定のセットポイント張力を減じることでエラー値を算出するステップを含み、
    セット反転位置とともに、各フランジでの前記反転位置を決定する可調節フランジオフセットの調整がなされる前に、各反転位置についての算出されたエラー値を平均化することで平均サンプルエラーを算出するステップを更に含み、
    前記平均サンプルエラーが所定のセットデッドバンド内にあるかどうかを決定するステップを更に含み、
    前記平均サンプルエラーが前記デッドバンド内にある場合において、前記反転位置が前記フランジの方へ前記所定距離だけ移動するように前記フランジオフセットを調整するステップを更に含み、ファイバの過剰量が前記フランジに蓄積してドッグボーン状態を生じさせることを特徴とする方法。
  8. 前記所定距離は、前記ファイバの直径の一部であることを特徴とする請求項記載の方法。
  9. 前記所定距離は、前記ファイバの直径の8分の1であることを特徴とする請求項記載の方法。
  10. 前記平均サンプルエラーが前記デッドバンド外にある場合において、前記フランジオフセットになされるフランジオフセット調整値を算出する算出ステップを更に含むことを特徴とする請求項記載の方法。
  11. 前記フランジオフセット調整値を算出する前記算出ステップは、システムゲイン測定値に基づく前記フランジオフセットになされる調整値を算出する算出ステップを更に含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 前記算出ステップは、差分ゲインコンポネントD_GAIN及び総ゲインコンポネントI_GAINからなるシステムゲイン測定値に基づいて前記フランジオフセット調整値を算出するステップを更に含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
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