JP4344153B2 - 微粒子の製造方法及び製造装置、並びに注射剤の製造方法 - Google Patents

微粒子の製造方法及び製造装置、並びに注射剤の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粒子、その製造方法及び製造装置、並びに注射剤及びその製造方法に係り、より詳細には、有機化合物の微粒子、その製造方法及び製造装置、並びに注射剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
有機化合物の微粒子化は、極端な表面積の増大をもたらす。このため、微粒子とその周囲との反応性が高まり、且つ物質固有の性質が出現しやすくなる。また、粒子が難溶性・不溶性の物質である場合、その微粒子化により微粒子を溶媒中に擬似的に可溶化した状態(微粒子が溶媒中に懸濁している状態であるが、光散乱がないため擬似的に可溶化しているように見える状態)にすることもできる。
【0003】
このため、微粒子化の技術は、新しい物質の調製方法を提供できる可能性があり、幅広い分野での応用が期待される。
【0004】
このような微粒子化方法として、従来、特開2001−113159号公報に開示されるものがある。同公報には、レーザ光照射により有機化合物の微粒子を生成する方法が開示されており、この方法では、有機化合物として、無機物と有機物の中間の性質を持ち、分子構造が固くて丈夫な有機顔料や芳香族縮合多環化合物が微粒子化の対象とされており、微粒子の生成に際し、有機化合物の吸光帯における波長の光を有機化合物に照射することにより微粒子の生成が図られている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−113159号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した公報に記載の微粒子生成方法は、以下に示す課題を有していた。
【0007】
即ち上記方法では、分子構造の中に比較的弱い化学結合を含む有機化合物の場合、その吸光帯波長の光を照射することにより、微粒子を生成することはできるが、同時に、一部、電子励起状態を経由して有機化合物の光化学反応が生じ、有機化合物の分解が起こってしまう場合があった。特に、有機化合物が、体内に投与する医薬品の場合、その分解生成物が生体に悪影響を与えるおそれがあるため、このような事態は極力避けなければならない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、有機化合物における光化学反応を十分に防止しながら微粒子を製造することができる微粒子の製造方法及び製造装置、微粒子、並びに注射剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、光化学反応を回避した上で、被処理液における有機化合物の微粒子化を可能にする光照射条件を追求した結果、特定の光照射条件のレーザ光を有機化合物に照射することにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、被処理液中の有機化合物を微粒子化してその有機化合物の微粒子を製造する微粒子の製造方法において、有機化合物の吸光帯より長い波長のレーザ光を被処理液に照射し、有機化合物を微粒子化して有機化合物の微粒子を製造するとともに、レーザ光の被処理液への照射光強度を、有機化合物において2光子吸収の生ずる照射光強度未満とすることを特徴とする。
【0011】
この製造方法によれば、被処理液中の有機化合物にその吸光帯より長い波長のレーザ光が照射されると、被処理液中の有機化合物における光化学反応を十分に防止しながらその有機化合物の微粒子を製造することができる。
【0012】
上記製造方法において、上記有機化合物が、そのごく一部のみ被処理液中の溶媒に溶解するもの、即ち被処理液中の溶媒に難溶なものである場合、あるいは被処理液中の溶媒に不溶なものである場合には、レーザ光照射による有機化合物の微粒子化により、有機化合物を、被処理液中の溶媒に擬似的に可溶化させることができる。即ち有機化合物の微粒子を被処理液中に含ませた状態とすることができる。ここで、「被処理液中の溶媒に難溶」とは、汎用型分光光度計(HITACHI U-3500)を用い、光路長を1cmとして被処理液の吸光度を測定した場合に最大の吸光度が0.01以上となることをいい、最大の吸光度が0.01未満となる場合に有機化合物が被処理液中の溶媒に不溶であるとする。
【0013】
上記微粒子の製造方法においては、有機化合物の吸光帯より長い波長のレーザ光の被処理液への照射光強度を、上記有機化合物において2光子吸収の生ずる照射光強度未満とすることが好ましい。
【0014】
有機化合物で2光子吸収の生ずる照射光強度を持つレーザ光を有機化合物に照射した場合、せっかく光化学反応を起こさせないように有機化合物の吸光帯より長い波長のレーザ光を用いたにも関わらず、有機化合物に光化学反応が生じる傾向がある。2光子吸収の生ずる照射光強度未満の照射光強度を持つレーザ光を有機化合物に照射することで、有機化合物における光化学反応をより十分に防止しながら有機化合物の微粒子を製造することが可能となる。
【0015】
上記製造方法においては、被処理液へのレーザ光の照射中に、被処理液中の有機化合物の吸光度を測定して有機化合物の微粒子化状態をモニタすることが好ましい。この場合、微粒子化状態がモニタされるため、微粒子化状態に応じてレーザ光照射の停止・継続を決定することができ、有機化合物への必要以上のレーザ光照射を回避することが可能となる。
【0016】
また上記製造方法においては、チャンバ内の被処理液を透過したレーザ光の透過光強度を測定しながら、チャンバに照射され上記吸光帯より長い波長のレーザ光の照射光強度を変えることにより、有機化合物で2光子吸収の生ずる照射光強度を求めることが好ましい。
【0017】
被処理液を収容するチャンバに、チャンバを透過したレーザ光の透過光強度を測定しながら、チャンバに照射されるレーザ光の照射光強度を変えると、ある照射光強度で有機化合物において2光子吸収が生じるようになる。このとき、チャンバを透過したレーザ光の透過光強度が急激に減少する。このため、2光子吸収の生ずる照射光強度を容易に求めることができる。
【0018】
上記製造方法においては、被処理液へのレーザ光の照射前又は照射中に、被処理液中で製造される微粒子を被処理液中に安定して分散させる安定化剤を被処理液に添加することが好ましい。この場合、安定化剤により、一旦製造された微粒子が、被処理液中で安定して分散され、微粒子同士の凝集が十分に防止されるため、微粒子の製造効率を向上させることができる。ここで、安定化剤は界面活性剤であることが好ましい。この場合、微粒子の製造効率を向上させることができることに加えて、有機化合物における光化学反応をより十分に防止し、照射波長より長い波長のレーザ光を有機化合物に照射して有機化合物を微粒子化することが可能となる。
【0019】
界面活性剤は、微粒子の製造効率を向上させ、照射するレーザ光の波長を長くする上で有用なものであるが、微粒子が製造された後は、除去することが望ましい。そこで、上記のように被処理液に界面活性剤を添加した後は、被処理液を希釈して微粒子と界面活性剤とを分離させ、微粒子の凝集体である凝集微粒子を得ることが好ましい。なお、微粒子の製造後に得られる凝集微粒子は、再分散時における取扱いが容易となる。
【0020】
また上記微粒子の製造方法において、上記被処理液中の溶媒が水であり、有機化合物が薬物である場合には、薬物とレーザ光との光化学反応が十分に防止されるため、薬物の薬効を失うことなくその微粒子を製造することができる。また、薬物の微粒子化により薬物の表面積が増大し、生体組織への吸収性が向上するため、即効性のある微粒子を得ることができる。更に、薬物が水に一部しか溶解しない、すなわち水に難溶なもの、あるいは水に不溶なものである場合は、その薬物を水中において擬似的に可溶化することができる。
【0021】
また本発明は、被処理液中の有機化合物を微粒子化してその有機化合物の微粒子を製造する微粒子の製造装置において、被処理液を収容するためのチャンバと、チャンバ内に収容される被処理液に、有機化合物の吸光帯より長い波長のレーザ光を照射することが可能なレーザ装置と、被処理液中の有機化合物の吸光帯を測定して有機化合物の微粒子化状態をモニタするためのモニタ用吸光帯測定手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
この微粒子製造装置によれば、レーザ装置により、チャンバ内に収容される被処理液に有機化合物の吸光帯より長い波長のレーザ光を照射すると、被処理液内の有機化合物における光化学反応を十分に防止しながら有機化合物を微粒子化することが可能となる。このとき、モニタ用吸光帯測定手段により有機化合物の吸光帯を測定してその微粒子化状態をモニタすると、微粒子化状態に応じてレーザ光照射の停止・継続を決定できるため、有機化合物への必要以上のレーザ光照射を回避することができる。
【0023】
上記レーザ装置は波長可変レーザであることが好ましい。この場合、有機化合物の吸光帯に基づき、適切な波長のレーザ光を被処理液中の有機物に照射することが可能となる。
【0024】
上記製造装置は、チャンバから被処理液の一部を排出させ、その被処理液中の有機化合物の吸光帯を測定して、有機化合物に照射するレーザ光の波長を決定するための照射波長決定用吸光帯測定手段を更に備えており、照射波長決定用吸光帯測定手段が、チャンバから排出される被処理液から固形物を分離することが可能な分離フィルタを有し、分離フィルタにより固形物が分離された被処理液中の有機化合物の吸光帯を測定するものであることが好ましい。
【0025】
この製造装置によれば、有機化合物の吸光帯が不明であっても、チャンバから排出される被処理液中における有機化合物の吸光帯を照射波長決定用吸光帯測定手段により直ちに測定することができる。そして、この吸光帯測定手段で測定される有機化合物の吸光帯に応じて、波長可変レーザの照射波長を上記吸光帯より長い波長に設定でき、その照射波長のレーザ光を有機化合物に照射することが可能となる。
【0026】
また有機化合物がその一部のみ被処理液中の溶媒に溶解するもの、即ちその溶媒に難溶であっても、分離フィルタにより、チャンバから排出される被処理液から固形物が分離される。このため、照射波長決定用吸光帯測定手段において、分離フィルタを透過した被処理液中の溶媒における有機化合物について吸光帯が固形物による散乱がなく的確に測定される。なお、有機化合物が、その溶媒、例えば水に不溶な場合には、その有機化合物が可溶な有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドと水との混合溶媒を用いて、別途、分光光度計を用いて吸収スペクトルを測定し、その有機化合物の吸光帯を知ることにより適切なレーザの照射波長を決定することができる。
【0027】
上記製造装置は、チャンバ内の被処理液を透過するレーザ光の透過光強度を測定する透過光強度測定装置と、レーザ装置によりチャンバに照射されるレーザ光の照射光強度を調整する照射光強度調整手段とを更に備えていることが好ましい。
【0028】
この製造装置によれば、レーザ装置により、被処理液中の有機化合物の吸光帯における最長波長より長い波長のレーザ光がチャンバ内の被処理液に照射され、被処理液を透過したレーザ光の透過光強度が、透過光強度測定装置により測定される。このとき、照射光強度調整手段によりレーザ光の照射光強度を増加させると、ある照射光強度で有機化合物において2光子吸収が生じるようになる。このとき、レーザ光の透過光強度が急激に減少する。このため、2光子吸収の生ずる照射光強度を容易に求めることができる。
【0029】
ここで、チャンバが、上記吸光帯より長い波長のレーザ光であって上記有機化合物で2光子吸収が生じる照射光強度のレーザ光を、2光子吸収が生じない照射光強度のレーザ光より大きく吸収するものであることが好ましい。
【0030】
この場合、有機化合物で2光子吸収が生じる照射光強度になると、レーザ光が有機化合物のみならずチャンバでも大きく吸収されるため、レーザ光の透過光強度がより大きく減少する。このため、有機化合物で2光子吸収が生じる照射光強度を一層容易に求めることができる。
【0031】
また本発明は、上述した微粒子の製造方法により製造される微粒子である。この微粒子によれば、有機化合物が一部しか溶解できなかった溶媒や全く溶解できなかった溶媒に対しても、擬似的に可溶化させることが可能となる。
【0032】
更に本発明は、上述した微粒子の製造方法により微粒子を含む液体、例えば微粒子を含む注射用水を製造し、この注射用水に等張化剤を添加して注射剤を製造することを特徴とする注射剤の製造方法である。
【0033】
この注射液の製造方法によれば、水に難溶であるか、あるいは不溶な薬物をその光化学反応を十分に防止しながら水に可溶化できる。このため、水に難溶であるか、あるいは不溶な薬物であっても注射剤として製造することができる。また薬物が微粒子化されるため、生体に対して即効性のある注射剤を製造することができる。
【0034】
更に本発明は、上記注射剤の製造方法により製造される注射剤である。この注射剤においては、薬物が微粒子化されてその表面積が増大しているため、その微粒子は、生体に対して高い吸収性を有する。このため、この注射剤は、生体に注射した場合に即効性を有する。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明に係る微粒子製造装置の一実施形態を示す概略図である。図1に示すように、微粒子製造装置1は、被処理液2を収容するためのチャンバ3を備えている。チャンバ3は、例えば石英で構成されている。被処理液2は、水4と、水4中に懸濁される難溶性薬剤5とから構成され、難溶性薬剤5は、水4中に極僅かに溶解される溶解物質と、水4に溶解されない非溶解物質(固形物)とから構成される。
【0037】
難溶性薬剤5としては、水4に対して難溶であり且つ吸光帯(紫外吸光帯)の少なくとも一部が水自身の紫外吸光帯より長い波長を有する難溶性薬剤が好ましい。このような難溶性薬剤5としては、例えば副腎皮質ホルモンである酪酸クロベタゾンや、カルバマゼピン、イブプロフィンが挙げられる。
【0038】
チャンバ3の下部には被処理液2をチャンバ3から抜き出す抜水管6が接続されている。抜水管6には、バルブ8と、チャンバ3から排出される被処理液2を透過し被処理液2から難溶性薬剤5の非溶解物質を分離する分離フィルタ7とが設置されている。また微粒子製造装置1は、吸光帯分析用チャンバ9を含む照射波長決定用吸光帯測定装置10を備えている。そして、抜水管6は、照射波長決定用吸光帯測定装置10の吸光帯分析用チャンバ9に接続されている。従って、バルブ8を開くと、微粒子製造用チャンバ3内の被処理液2の一部が抜水管6よりチャンバ3から抜き出され、分離フィルタ7により、被処理液2から難溶性薬剤5の非溶解物質が分離され、分離フィルタ7を透過した溶解物質を含む被処理液2が吸光帯分析用チャンバ9に導入され、照射波長決定用吸光帯測定装置10により水4に溶解した溶解物質の吸光帯が測定されるようになっている。このように製造装置1が照射波長決定用吸光帯測定装置10を備えることにより、吸光帯が不明な難溶性薬剤5についても、チャンバ3から排出される被処理液2を吸光帯分析用チャンバ9に導入して直ちにその吸光帯を測定することができる。また吸光帯分析用チャンバ9に導入される被処理液2からは、分離フィルタ7により非溶解物質が確実に除去されるため、溶解物質の吸光帯を的確に測定することができる。なお、抜水管6、分離フィルタ7、バルブ8、吸光帯測定装置10により照射波長決定用吸光帯測定手段が構成されている。
【0039】
また微粒子製造装置1は、チャンバ3内の難溶性薬剤5にレーザ光を照射し且つレーザ光の波長を変化させることが可能な波長可変レーザ11と、波長可変レーザ11から出射されるレーザ光の照射光強度を調整する照射光強度調整手段(図示せず)を備えている。波長可変レーザ11は、難溶性薬剤5の吸光帯より長い波長のレーザ光を出射することが可能である。照射光強度調整手段としては、例えば高い光耐圧のある減衰フィルタや光干渉・反射を利用した光減衰器などが挙げられる。またチャンバ3に対して波長可変レーザ11と反対側には、波長可変レーザ11から出射されチャンバ3を透過するレーザ光の透過光強度を測定する透過光強度測定装置12が配置されている。
【0040】
更に微粒子製造装置1は、チャンバ3内の吸光帯を測定できるモニタ用吸光帯測定装置14を備えている。モニタ用吸光帯測定装置14は、チャンバ3を収容するボックスと、ボックス内に設けられる分光光源及び光検出器とを備えており、チャンバ3内の被処理液2中の有機化合物の吸光度を測定して難溶性薬剤の微粒子化状態をモニタすることができるようになっている。またボックスには、波長可変レーザ11から出射されたレーザ光がチャンバ3を経て透過光強度測定装置12に到達するようにレーザ光通過口が形成されている。このようにモニタ用吸光帯測定装置14により被処理液2の吸光帯変化をモニタすることは、被処理液2への良好なレーザ光照射時間を決定する上で重要であり、難溶性薬剤5への必要以上のレーザ光照射を回避できるという役割を果たす。
【0041】
更に照射波長決定用吸光帯測定装置10、波長可変レーザ11、モニタ用吸光帯測定装置14、照射光強度調整手段及び透過光強度測定装置12には制御装置13が電気的に接続され、制御装置13は、照射波長決定用吸光帯測定装置10、波長可変レーザ11、モニタ用吸光帯測定装置14、照射光強度調整手段及び透過光強度測定装置12を制御する。
【0042】
次に、前述した微粒子製造装置1を用いた微粒子の製造方法について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まず水4と難溶性薬剤5とを混合した後、撹拌して被処理液2を調整する。被処理液2においては、撹拌により、難溶性薬剤5の一部が水4に溶解されて溶解物質となり、残りは、水4に溶解されずに非溶解物質となる。
【0044】
続いて、微粒子製造用チャンバ3内に被処理液2を導入する(S201)。このとき、制御装置13により、抜水管6に設置されたバルブ8が開かれ、被処理液2の一部がチャンバ3から抜水管6に抜き出される。そして、分離フィルタ7において、被処理液2から難溶性薬剤5の非溶解物質が分離され、残りが溶解液として吸光帯分析用チャンバ9に導入される(S202)。
【0045】
次に、吸光帯分析用チャンバ9に導入された溶解液中の難溶性薬剤5の溶解物質について、吸光帯測定装置10により吸光帯を測定する。測定された吸光帯の結果は、制御装置13に転送され、制御装置13において、溶解物質についての吸光帯の測定結果に基づき、最長波長λが決定される(S203)。ここで、吸光帯の最長波長λとは、吸光度特性において、吸光帯の長波長側における山の付け根における波長であって、より長波長の領域にある可視光領域の吸光度と比較して、明らかに溶解物質の電子遷移吸収と思われる吸光度の変化が確認できる波長のことを言う。
【0046】
こうして最長波長λが決定された後、最長波長λよりも長い波長が、後述する微粒子製造に用いるレーザ光照射波長λとして決定される。そして、制御装置13により、波長可変レーザ11が制御され、波長可変レーザ11において、レーザ光の照射波長が、上記のようにして決定したレーザ光照射波長λに設定される(S204)。このとき、難溶性薬剤5が酪酸クロベタゾンである場合、レーザ光照射波長λは、最長波長λよりも70nm以上長い波長であることが好ましい。この場合、難溶性薬剤5における光化学反応をより十分に防止することができる。なお、レーザ光照射波長λの上限は、2800nm、好ましくは1300nm、さらに好ましくは700nmである。レーザ光照射波長λが2800nmを超えると、急激に水自身の吸収が非常に大きくなり、有機化合物が微粒子化されなくなる傾向がある。
【0047】
次に、レーザ光照射波長λはそのままにして、微粒子製造時のレーザ光の照射光強度を決定する。まず波長可変レーザ11により、微粒子製造用チャンバ3にレーザ光を照射し、微粒子製造用チャンバ3を透過するレーザ光の透過光強度を透過光強度測定装置12で測定する。そして、微粒子製造用チャンバ3を透過したレーザ光の透過光強度を透過光強度測定装置12で測定しながら、照射光強度調整手段によりチャンバ3に照射されるレーザ光の照射光強度を変える。こうしてレーザ光の照射光強度とレーザ光の透過光強度との関係が得られる。ここで、難溶性薬剤5に2光子吸収が生じる場合には、レーザ光の透過光強度の急激な低下が観測される。よって、難溶性薬剤5で2光子吸収の生ずる照射光強度を容易に決定することができる。そして、制御装置13により照射光強度調整手段が制御され、透過光強度調整装置12により、レーザ光の照射光強度が、上記のようにして決定した2光子吸収の生ずる照射光強度より小さい照射光強度となるように調整される(S205)。
【0048】
この状態で、制御装置13により波長可変レーザ11を作動させ、波長可変レーザ11によりレーザ光を微粒子製造用チャンバ3に照射させる。これにより、難溶性薬剤5が微粒子化されて難溶性薬剤5の微粒子が製造される(S206)。
【0049】
ここで、難溶性薬剤5が医薬品の場合は、微粒子の製造時に、必要以上のレーザ光照射を避けるよう処理をすることが求められる。そのため、被処理液2について、レーザ光照射時間に対する被処理液2の吸光度変化をモニタ用吸光帯測定装置14で測定し(S207)、目的の処理が達成されたか判断し(S208)、目的の処理が達成された場合にはレーザ光の照射を止め、目的の処理が達成されていない場合にはレーザ光の照射を継続する。具体的には、目的の処理が達成されたかどうかは、波長可変レーザ11により被処理液2に対してレーザ光照射を行い、モニタ用吸光帯測定装置14で測定された吸光帯変化を測定することにより判断し、吸光帯の時間変化がほとんど見られなくなった場合に目的の処理が達成できたものとすればよく、処理時間は、レーザ光照射を開始してから、レーザ光照射時間に対して吸光帯がほとんど変化しなくなるまでの時間とすればよい。
【0050】
こうして難溶性薬剤5を微粒子化することで、難溶性薬剤5を擬似的に水4中に可溶化させることが可能となる。また難溶性薬剤5が微粒子化されても、難溶性薬剤5の水4中における可溶化状態を長期間にわたって安定に保持することができる。更に、レーザ光として、難溶性薬剤5の吸光帯における最長波長よりも長い波長のレーザ光が用いられるため、難溶性薬剤5にレーザ光が照射されても、その光化学反応が十分に防止され、難溶性薬剤5の変質が十分に防止される。従って、難溶性薬剤5の持つ薬効を失うことなくその微粒子を得ることができる。
【0051】
また2光子吸収の生ずる照射光強度未満の照射光強度を持つレーザ光を難溶性薬剤5に照射することにより、難溶性薬剤5に生じる光化学反応がより十分に防止され、難溶性薬剤5の変質がより十分に防止される。
【0052】
こうして得られる難溶性薬剤5の微粒子は、水に擬似的に可溶化されているだけでなく、難溶性薬剤5の持つ薬効を十分に保持している。このため、難溶性薬剤5の微粒子化前の形態では評価できなかった物理化学的研究、スクリーニングなどの候補化合物の探索、決定や、ADME試験(吸収・分布・代謝・排泄試験)、動物での前臨床試験における一般毒性、一般薬理、薬効薬理、生化学的研究、及び臨床試験などができるようになる。従って、入手した化合物ライブラリーや新規に合成された薬物、あるいは天然物が水に対して難溶であったとしても、投資を無駄にすることがない。また難溶性薬剤5の微粒子は、微粒子化前の状態に比べて十分に大きな表面積を有している。従って、生体組織への吸収性が向上し、生体に対する即効性を有するようになる。
【0053】
また上記微粒子製造方法により、極めて多種類の生体に投与可能な薬物を得ることができるため、薬物の投与選択性を飛躍的に拡大することができる。
【0054】
なお、上記微粒子製造方法においては、レーザ光の照射前又は照射中に、被処理液2に薬物の微粒子の安定性を高める分散させる安定化剤を添加することが好ましい。このように被処理液2に安定化剤を添加すると、安定化剤により難溶性薬剤5が水4中に安定して分散されるため、微粒子の製造効率を向上させることができる。上記安定化剤は界面活性剤であることが好ましい。この場合、微粒子の製造効率を向上させることができることに加えて、照射波長より長い波長のレーザ光を難溶性薬剤5に照射しても、難溶性薬剤5の光化学反応をより十分に防止しながら難溶性薬剤5の微粒子化が可能となる。
【0055】
安定化剤は、難溶性薬剤5を水4中で分散させる性質を有し且つ生体に悪影響を与えないものであればよく、このような安定化剤としては、「医薬品添加物辞典」、あるいは「医薬品添加物ハンドブック」に記載されているもの、例えばTween20,Tween60,Tween80,Tween85,ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノレウレート、ソルビタンモノバルミデート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン、ソルビタンモノパルミテート、トリエタノールアミン、シクロデキストリン、アルブミンなどが挙げられる。
【0056】
上述したように薬剤の微粒子化を行う上で界面活性剤を使用することは有用であるが、薬剤の微粒子化を行った後は、界面活性剤の存在は好ましいとは言えない。このため、例えば被処理液2を希釈して微粒子と界面活性剤とを分離し、その微粒子の凝集体である凝集微粒子を得ることが好ましい。ここで、凝集微粒子は、遠心分離等の分離方法により得ることができる。なお、微粒子の製造後に得られる凝集微粒子は、再分散時における取扱いが容易となる。
【0057】
なお、上述した製造方法においては、微粒子の製造時に被処理液2の吸光度変化をモニタ用吸光帯測定装置14で測定し、目的の処理が達成された場合にレーザ光の照射を停止するようにしたが、微粒子の製造前に、予め被処理液2と同一の被処理液についてレーザ光照射による処理時間を決定してもよい。処理時間の決定は、モニタ用吸光帯測定装置14により有機化合物の吸光帯を測定し、レーザ光照射を開始してから、吸光帯の時間変化がほとんど見られなくなるまでの時間とすればよい。但し、微粒子の製造前に予め処理時間を決定している場合は、微粒子の製造時において、その処理時間が経過した時点でレーザ光の照射を止めればよく、微粒子の製造時にモニタ用吸光帯測定装置14で被処理液2中の薬剤の微粒子化状態をモニタしなくてもよい。
【0058】
次に、本発明に係る注射剤の製造方法の実施形態について説明する。
【0059】
まず上記微粒子製造装置1を用いて、注射用水4に擬似的に可溶化された難溶性薬剤5の微粒子を含む液体を製造する。この液体の製造方法は、上述した微粒子の製造方法と同様である。なお、難溶性薬剤5のレーザ光照射前又は照射中に、被処理液2に安定化剤を添加しても良いのは、上述した微粒子製造方法と同様である。
【0060】
続いて、この液体に等張化剤を添加して注射剤を製造する。ここで、等張化剤は、生体の血液と注射液の浸透圧を等しくするように調整する機能を有しており、このような等張化剤としては、例えばショ糖、生理食塩水などが挙げられる。
【0061】
この製造方法によれば、難溶性薬剤5をその光化学反応を十分に防止しながら注射用水4に可溶化できる。このため、難溶性薬剤5であっても、注射剤として製造することができる。また難溶性薬剤5が微粒子化されるため、生体に対して即効性のある注射剤を製造することができる。
【0062】
こうして製造される注射剤は、難溶性薬剤5の薬効を十分に保持した薬物微粒子を含んでいるため、難溶性薬剤5自体が生体にとって有害でない限り、難溶性薬剤5と同様の薬効を呈することができる。また、難溶性薬剤5が微粒子化されて微粒子の表面積が増大するため、その微粒子は、生体に対して高い吸収性を有する。このため、この注射剤は、生体に注射した場合に即効性を有する。
【0063】
なお、上述した製造装置1においては、制御装置13が、照射波長決定用吸光帯測定装置10、波長可変レーザ11、モニタ用吸光帯測定装置14、照射光強度調整手段及び透過光強度測定装置12を制御しているが、制御装置13は、必ずしも必要ではない。従って、オペレータが、上記照射波長決定用吸光帯測定装置10、波長可変レーザ11、モニタ用吸光帯測定装置14、照射光強度調整手段及び透過光強度測定装置12を制御するようにしてもよい。
【0064】
また上記製造装置1においては、微粒子製造用チャンバ3の材質が石英となっているが、チャンバ3は、難溶性薬剤5において2光子吸収が生じる照射光強度のレーザ光を、2光子吸収が生じない照射光強度のレーザ光より大きく吸収するものであればよく、必ずしも石英に限られるものではない。このようなチャンバ3の材質としては、石英以外に、例えば合成石英、紫外線透過ガラス、紫外線透過高分子(ポリマー)などが挙げられる。
【0065】
更に上記実施形態では、照射波長決定用吸光帯測定装置10で難溶性薬剤5の吸光帯を測定するために被処理液2中の溶媒として水が用いられているが、これには限定されない。エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の水溶性の有機溶剤、あるいは植物油を用いることも可能である。
【0066】
また、ある薬剤が水に全く溶解しない、即ち水中でその薬剤の吸光帯を測定することができない不溶性薬剤である場合には、その薬剤の一部を溶解させて吸光帯を測定できるようにするために、水に代えて、例えばエチルアルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒、又はそれら有機溶媒と水との混合液を用いて、別途、分光光度計によりその吸光帯を測定し、適切な微粒子製造用レーザ光照射波長を決定することができる。
【0067】
但し、有機溶媒を用いると、水を用いる場合に比べて吸光帯の最長波長がシフトする傾向がある。このため、薬剤の吸光帯を測定する場合には、溶媒として有機溶媒と水との混合液を用いることが好ましい。また薬剤にレーザ光を照射してその微粒子を製造する場合は、生体への悪影響を防止する観点から、溶媒として水を用いる必要がある。
【0068】
更に上記実施形態では、薬剤として酪酸クロベタゾンやカルバマゼピン等の難溶性、あるいは不溶性薬剤が挙げられているが、これら難溶性、あるいは不溶性薬剤に限定されない。
【0069】
更に上記実施形態では、薬物として、医薬品物質である酪酸クロベタゾンやカルバマゼピンが用いられているが、本発明の微粒子製造方法及び注射液の製造方法は、上記医薬品物質のみならず医薬品候補物質(天然物、化合物ライブラリー等)、あるいは医薬部外品、化粧品等にも適用可能である。
【0070】
また、上記実施形態では、難溶性薬剤5の微粒子を製造する場合に難溶性薬剤5の吸光帯を測定しているが、難溶性薬剤5の吸光帯が予め分かっている場合には、難溶性薬剤5の吸光帯を測定する必要がない。このため、上記吸光帯測定装置10、透過光強度測定装置は不要である。但し、モニタ用吸光帯測定による適切な照射時間の決定に制御装置13が必要であるため、モニタ用吸光帯測定装置14は必要である。ここで、レーザ光照射時に波長可変レーザ11をそのまま使用しても良いが、波長可変レーザ11に代えて、難溶性薬剤5の吸光帯よりも長い波長のレーザ光を出射する波長固定レーザを用いてもよい。
【0071】
次に、実施例により、本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0072】
【実施例】
(実施例1)
難溶性薬剤として、副腎皮質ホルモンである酪酸クロベタゾン(Clobetasone Butyrate)の微粒子化を試みた。
【0073】
まず、酪酸クロベタゾンの粉末を水中に懸濁し、10分放置後に1μmのメッシュを持つフィルタを通して、微量に酪酸クロベタゾンの溶け込んだ溶解液(酪酸クロベタゾン溶液)を得た。そして、この溶解液について汎用型分光光度計(HITACHI U-3500)を用いて吸光度特性を測定した。この溶解液の吸光度特性を図3に示す。なお、測定に際して光路長は10mmとした。図3に示す吸光度特性から、吸光帯の最長波長λ0が280nm付近であることが分かる。
【0074】
次に、酪酸クロベタゾンの粉末を含む被処理液に2光子吸収の生じない照射光強度(λ1=355nm, 380mJ/cm2Pulse, FWHM=4ns, 20Hz)で継続的にレーザ光を照射した。このとき、レーザ光照射波長を355nmとしたのは、図4に示すように、355nm(YAG3倍高調波)の光照射によって、酪酸クロベタゾンの飽和水溶液では、照射前後の吸光度特性に変化がみられず、最長波長λ0より70nm程度長い波長を選択すれば、高強度の照射光でも光化学反応を避けることが可能であると考えたからである。
【0075】
レーザ光照射前後で吸光度特性を測定した結果を図5に示す。図5の破線で示すように、照射前では酪酸クロベタゾン粉末の懸濁による散乱ロス(波長依存性の無い特性)のみだけが観測されていたが、図5の実線及び一点鎖線で示すように、照射時間の増加にともなって酪酸クロベタゾン自身の吸光度特性が出現してきた。これは、物質固有の性質が溶解液中で観測されている状態であり、酪酸クロベタゾンの粒子が微粒子化していることを示している。なお、図5において、実線は、レーザ光照射して10分後に測定した吸光度特性であり、一点鎖線は、レーザ光照射して20分後に測定した吸光度特性である。
【0076】
またレーザ光照射後に溶解液を観察したところ、溶解液は透明となっていた。これより、難溶性薬剤である酪酸クロベタゾンが水に擬似的に可溶化されていることが分かった。
【0077】
なお、この微粒子化した溶解液についてレーザ光照射後の吸光度特性の経時変化を測定したところ、図6に示すように6日後でも微粒子の凝集による沈殿が少なく、比較的安定性が高いことが伺えた。また図6に示す処理直後(一点鎖線)及び6日後(実線)の紫外吸光カーブが同様であり、また図3の溶解した酪酸クロベタゾン自身の特性とも同様であることから、処理後においても酪酸クロベタゾンに変質が起こっていないと判断できる。すなわち、355nm(YAG3倍高調波)において、照射前後の吸光度特性に変化がみられず、最長波長λ0より70nm程度長い波長を選択すれば、高強度の照射光でも光化学反応を避けることが可能であることを示している。なお、破線で示す吸光度特性は、レーザ光照射前のものである。
【0078】
以上のように、酪酸クロベタゾンの微量溶解液の吸光帯測定から最長波長λ0を求め、微粒子化のために、最長波長λ0より長い波長である355nmを選択し、2光子吸収の生じない照射光強度において微粒子化処理が実現できることが分かった。また、溶解液中では、微粒子が、分散した状態で比較的長い間安定していることも判明した。
【0079】
(比較例1)
レーザ装置として、248nmのレーザ光を発するKr−Fレーザを用いた以外は実施例1と同様にして酪酸クロベタゾン溶液にレーザ光照射を行った。その結果、レーザ光照射前後における吸光度特性に変化が観測された。つまりその波長では光化学反応が生じることが分かった。
【0080】
(実施例2)
水にカルバマゼピンの粉末を分散させ、十分に攪拌した後に遠心分離で水中を浮遊している粒子を取り除き、カルバマゼピン(carbamazepine)の飽和溶液を調製した。そして、光路長を1mmとした以外は実施例1と同様にして、その飽和溶液について紫外吸光度特性を測定した。結果を図7の破線で示す。図7に示すように、カルバマゼピンの紫外吸光度特性においては、波長320nm以上でほとんど吸収がないことが分かる。
【0081】
続いて、2mg/mlの濃度となるようにカルバマゼピンを水に懸濁して懸濁液を調製し、YAGレーザの3倍波(λ1=355nm, 430mJ/cm2Pulse, FWHM=4ns, 20Hz)を懸濁液に照射したところ、被処理液が更に濁る状態になり、結果的に非常に大きな体積の沈殿物になった。この沈殿物は、水分子を多く含んだ状態で微粒子が凝集沈殿したものである。この一部を取り出し純水に懸濁したところ、処理前のサンプルではなかなか溶解しなかったものが、瞬時に溶解した。これは、サンプルがレーザによって粉砕され、粒径が小さくなり溶解性が向上したために生じた現象と考えられる。このことから、レーザ光照射によりカルバマゼピンが粉砕され、粒径が小さくなったものと考えられる。
【0082】
次に、処理後の沈殿物を飽和に近い状態まで水中に溶解させ、その溶解液について紫外吸光度特性を測定した。結果を図7の実線で示す。図7に示すように、レーザ光照射前後の溶解液についての紫外線吸光度特性を比較すると、両者の紫外線吸収特性は非常に類似しており、光照射による光化学反応は問題になるほど生じていないことが分かる。
【0083】
以上のことから、カルバマゼピンの光粉砕が、上記レーザ光照射条件で、光化学反応なしに達成できることが分かった。
【0084】
(実施例3)
カルバマゼピンを水に懸濁して1mg/mlの濃度の懸濁液を2ml用意し、これを石英角セル(1cm×1cm)に入れて、微粒子化のためのレーザ光照射を行った。レーザ光照射はYAGレーザの3倍波(λ1=355nm, 310mJ/cm2Pulse, FWHM=4ns, 20Hz)で15分間行った。レーザ光照射後、カルバマゼピンについて、実施例1で用いた汎用型分光光度計により吸光度(A1)を測定した。結果を図8の破線で示す。
【0085】
続いて、界面活性剤を添加した場合の微粒子化に及ぼす影響を調査した。界面活性剤としてはTween20を使用し、原液の1000分の1、100分の1、10分の1の濃度となるように水に希釈した界面活性剤液を作製し、上記懸濁液1.9mlと各濃度の界面活性剤液0.1mlを混合し、それぞれ2mlの被処理液とした。そして、上記と同様にして各被処理液にレーザ光を照射し、レーザ光照射後の界面活性剤の濃度と、推定される吸光度(A1)との関係を求めた。結果を図8に示す。図8中、実線が1000分の1の濃度の界面活性剤液を使用した被処理液、一点鎖線が100分の1の濃度の界面活性剤液を使用した被処理液、二点鎖線が10分の1の濃度の界面活性剤液を使用した被処理液の吸光度特性を示す。なお、点線は、レーザ光照射前の懸濁液の吸光度特性を示す。
【0086】
なお、上記汎用型分光光度計で測定した吸光度の測定値(R)は、微粒子化されたカルバマゼピン自身の光吸収(A1)、光散乱(S)、及び添加した界面活性剤の光吸収(A2)を含む。A1は、カルバマゼピンの微粒化状態を示しており、光吸収が大きいほどカルバマゼピンの平均粒径が小さいと推定される。そこで、処理後のカルバマゼピンの粒径を評価するため、図8における縦軸の吸光度は、各波長の光散乱による吸光度の増大分(S)がカルバマゼピンの吸収の無い500nmの測定値(S1)であると近似し、A1≒R-A2-S1の演算を用いて吸光度の測定値Rを吸光度A1に補正して表示してある。
【0087】
図8に示すように、界面活性剤の添加濃度が高いほど、カルバマゼピン自身の吸光度が大きく出現する傾向があることから、界面活性剤の添加には、カルバマゼピンの微粒子化効率を向上させる効果があると推測される。また、このカルバマゼピンの飽和溶解液の吸光度特性よりも、微粒子化処理されたカルバマゼピンの吸光度が大きいことから、微粒子化処理により、カルバマゼピンの粒径がサブミクロン以下の大きさになっているものと推測される。更に、界面活性剤を添加していない場合、及び界面活性剤を添加した場合のいずれの場合も、吸光度特性カーブの形状が互いに類似していることから、レーザ光照射により光化学反応は起こっていないものと考えられる。
【0088】
(実施例4)
カルバマゼピンに代えて酪酸クロベタゾンを用いた以外は実施例3と同様にして被処理液にレーザ光を照射した。そして、実施例3と同様にして、レーザ光照射後の吸光度特性を測定した。結果を図9に示す。図9中、実線が1000分の1の濃度の界面活性剤液を使用した被処理液、一点鎖線が100分の1の濃度の界面活性剤液を使用した被処理液、二点鎖線が10分の1の濃度の界面活性剤液を使用した被処理液の吸光度特性を示す。なお、破線は、界面活性剤を使用しない被処理液の吸光度特性を示す。
【0089】
図9に示すように、この被処理液では、酪酸クロベタゾンの微粒子化を行うために400mJ/cm2Pulse程度のレーザ光照射強度を必要とするところ、実際のレーザ光照射強度は310mJ/cm2Pulseであるため、界面活性剤の添加がない場合にほとんど酪酸クロベタゾン自身の光吸収、つまり微粒子化が観測されない。しかしながら、界面活性剤の添加濃度を高くするほど、光吸収が大きく出現する傾向にあることから、粒径がサブミクロン以下の微粒子が生成されていると推測される。
【0090】
以上のことから、界面活性剤の添加に、この酪酸クロベタゾンにおいて微粒子化処理の効率を向上させる効果があることは実施例3のカルバマゼピンと同様であるが、界面活性剤の添加には更に、微粒子化現象の生じる光照射強度のしきい値を低くする効果があると考えられる。微粒子化現象のしきい値を低くすることは、特に光化学反応を避けたい場合に有用である。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による微粒子の製造方法及び製造装置によれば、有機化合物の吸光帯より長い波長のレーザ光が用いられることで、有機化合物にレーザ光が照射されても、有機化合物における光化学反応を十分に防止しながらその微粒子を製造することができる。
【0092】
また本発明の微粒子によれば、有機化合物が一部しか溶解できなかった溶媒や全く溶解できなかった溶媒に対しても、擬似的に可溶化させることが可能となる。
【0093】
また本発明による注射剤によれば、生体に注射した場合に即効性を有するようになる。
【0094】
更に本発明による注射剤の製造方法によれば、水に不溶であるか、水に一部しか溶解しない薬物であっても注射剤として製造することができる。また、生体に対して即効性を有する注射剤を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る微粒子製造装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る微粒子製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】実施例1に係る酪酸クロベタゾンの吸光度特性を示すグラフである。
【図4】レーザ光照射前後の酪酸クロベタゾン飽和溶液の吸光度特性を示すグラフである。
【図5】実施例1に係る照射時間による酪酸クロベタゾン溶液の吸光度特性変化を示すグラフである。
【図6】実施例1に係るレーザ光照射後の経過時間による酪酸クロベタゾン溶液の吸光度特性変化を示すグラフである。
【図7】実施例2に係るレーザ光照射前後のカルバマゼピン溶液の吸光度特性を示すグラフである。
【図8】実施例3に係る界面活性剤の添加濃度とカルバマゼピン溶液の吸光度特性との関係を示すグラフである。
【図9】実施例4に係る界面活性剤の添加濃度と酪酸クロベタゾン溶液の吸光度特性との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…微粒子製造装置、2…被処理液、3…微粒子製造用チャンバ、4…水(溶媒)、5…難溶性薬剤、6…抜水管、7…分離フィルタ、8…バルブ、9…吸光帯分析用チャンバ、10…吸光帯測定装置(照射波長決定用吸光帯測定手段)、11…波長可変レーザ(レーザ装置)、12…透過光強度測定装置、14…モニタ用吸光帯測定装置、λ…最長波長、λ1…レーザ光照射波長。

Claims (15)

  1. 被処理液中の有機化合物を微粒子化してその有機化合物の微粒子を製造する微粒子の製造方法において、
    前記有機化合物の吸光帯よりも長い波長のレーザ光を前記被処理液に照射し、前記有機化合物を微粒子化して前記有機化合物の微粒子を製造するとともに、
    前記レーザ光の前記被処理液への照射光強度を、前記有機化合物において2光子吸収の生ずる照射光強度未満とすることを特徴とする微粒子の製造方法。
  2. 前記有機化合物がその一部のみ前記被処理液中の溶媒に溶解するものであることを特徴とする請求項1に記載の微粒子の製造方法。
  3. 前記有機化合物が、前記被処理液中の溶媒に不溶であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子の製造方法。
  4. 前記被処理液への前記レーザ光の照射中に、前記被処理液中の前記有機化合物の吸光度を測定して前記有機化合物の微粒子化状態をモニタすることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  5. 前記被処理液を収容するためのチャンバに対し、前記チャンバ内の前記被処理液を透過した前記レーザ光の透過光強度を測定しながら、前記チャンバに照射される前記吸光帯より長い波長のレーザ光の照射光強度を変えることにより、前記有機化合物で2光子吸収の生ずる照射光強度を求めることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  6. 前記被処理液への前記レーザ光の照射前又は照射中に、前記被処理液中で製造される微粒子を前記被処理液中に安定して分散させる安定化剤を前記被処理液に添加することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  7. 前記安定化剤が界面活性剤であることを特徴とする請求項に記載の微粒子の製造方法。
  8. 前記被処理液に前記界面活性剤を添加した後、前記被処理液を希釈して前記微粒子と前記界面活性剤とを分離させ、前記微粒子の凝集体である凝集微粒子を得ることを特徴とする請求項に記載の微粒子の製造方法。
  9. 前記被処理液中の溶媒が水であり、前記有機化合物が薬物であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  10. 被処理液中の有機化合物を微粒子化してその有機化合物の微粒子を製造する微粒子の製造装置において、
    前記被処理液を収容するためのチャンバと、
    前記チャンバ内に収容される前記被処理液に、前記有機化合物の吸光帯よりも長い波長のレーザ光を照射することが可能なレーザ装置と、
    前記被処理液中の前記有機化合物の吸光度を測定して前記有機化合物の微粒子化状態をモニタするためのモニタ用吸光帯測定手段と、
    を備えることを特徴とする微粒子の製造装置。
  11. 前記レーザ装置が波長可変レーザであることを特徴とする請求項10に記載の微粒子の製造装置。
  12. 前記チャンバから前記被処理液の一部を排出させ、その被処理液中の有機化合物の吸光度を測定して、前記有機化合物に照射するレーザ光の波長を決定するための照射波長決定用吸光帯測定手段を更に備えており、
    前記照射波長決定用吸光帯測定手段が、前記チャンバから排出される前記被処理液から固形物を分離することが可能な分離フィルタを有し、前記分離フィルタにより前記固形物が分離された前記被処理液中の前記有機化合物の吸光度を測定するものであることを特徴とする請求項11に記載の微粒子の製造装置。
  13. 前記チャンバ内の前記被処理液を透過する前記レーザ光の透過光強度を測定する透過光強度測定装置と、
    前記レーザ装置により前記チャンバに照射される前記レーザ光の照射光強度を調整する照射光強度調整手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の微粒子の製造装置。
  14. 前記チャンバが、前記吸光帯より長い波長のレーザ光であって前記有機化合物で2光子吸収が生じる照射光強度のレーザ光を、2光子吸収が生じない照射光強度のレーザ光より大きく吸収するものであることを特徴とする請求項13に記載の微粒子の製造装置。
  15. 請求項に記載の微粒子の製造方法により、微粒子を含む液体を製造し、この液体に等張化剤を添加して注射剤を製造することを特徴とする注射剤の製造方法。
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