JP4344072B2 - 線材渦流探傷用コイル装置 - Google Patents

線材渦流探傷用コイル装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4344072B2
JP4344072B2 JP2000200760A JP2000200760A JP4344072B2 JP 4344072 B2 JP4344072 B2 JP 4344072B2 JP 2000200760 A JP2000200760 A JP 2000200760A JP 2000200760 A JP2000200760 A JP 2000200760A JP 4344072 B2 JP4344072 B2 JP 4344072B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
flaw detection
coil
eddy current
magnetic saturation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000200760A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002022710A (ja
Inventor
泰宏 和佐
岳夫 小川
克也 高岡
恒徳 川端
雅雄 外山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2000200760A priority Critical patent/JP4344072B2/ja
Publication of JP2002022710A publication Critical patent/JP2002022710A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4344072B2 publication Critical patent/JP4344072B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流磁気飽和を併用した貫通コイル方式渦流探傷法の実施に用いられる線材渦流探傷用コイル装置に係り、例えば鉄鋼業における線材圧延工程での線材の渦流探傷に適用され、磁気飽和併用時の線材高速通過に起因した探傷出力ノイズの発生を低減させ、高速で走行(通過)している線材を誤検出なく渦流探傷できるようにした、線材渦流探傷用コイル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼業において線材を製造する線材圧延工程では、品質保証のために圧延された線材の表面きず(表面欠陥)を検出する渦流探傷が行われており、この線材の渦流探傷は、仕上げ圧延速度が80〜100m/s程度というような高速で、且つ冷却される前の線材温度700〜1000℃程度の熱間の状態においてなされる必要がある。
【0003】
このような線材圧延工程では、従来より、直流磁気飽和を併用した貫通コイル方式渦流探傷法が採用されている。直流磁気飽和の併用については後述し、まず先に、貫通コイル方式による渦流探傷法について説明する。周知のように、貫通コイル方式渦流探傷法は、線材パスライン方向に一対(2個)の貫通型探傷コイルをわずかの間隔を隔てて配置し、圧延によって走行している被検査線材を該2個の貫通型探傷コイルのコイル空芯部(コイル内側中空部)を通過させ、この2個の貫通型探傷コイルの出力の差動をとることで探傷を行うものであり、走行している被検査線材の全長にわたって探傷するものである。
【0004】
次に直流磁気飽和を併用することについて説明する。線材温度がキューリー点(磁気変態点)以下(768℃以下)の700℃近傍での被検査線材については、探傷時に該線材の磁性が顕在化し、表面きずのない健全な被検査線材であっても探傷出力にいわゆる「磁気ノイズ」が現れて安定した渦流探傷が困難になる。また、線材温度が1000℃程度の高温の被検査線材であっても、いわゆる「ヘゲきず(ささくれ疵)」発生部位のような局部的に低温になっている部位では、前記と同様の理由により「磁気ノイズ」が現れて安定した渦流探傷が困難になる。そこで、このような不具合を解消するために、被検査線材を直流磁場によって磁気飽和させ、見かけの透磁率の値を1に近くし線材に磁束を浸透させる手法が採られている。すなわち、直流磁気飽和を併用した貫通コイル方式渦流探傷法を実施する線材渦流探傷装置に用いられるコイル装置として、前記一対の貫通型探傷コイルの両側に被検査線材に磁気飽和用直流磁場を印加する磁気飽和コイルを配置したものが知られている。
【0005】
図8は従来の線材渦流探傷用コイル装置の構成を示す図である。この従来の線材渦流探傷用コイル装置は、同図に示すように、線材パスラインPLに配置され、該線材パスラインPLを圧延によって走行(通過)している被検査線材Wに探傷用交流磁場を印加する一対の貫通型探傷コイル11 ,12 と、該貫通型探傷コイル11 ,12 の両側にこれと軸線を同じにして配置され、被検査線材Wにこれを磁気飽和させるための磁気飽和用直流磁場を印加する一対の磁気飽和コイル21 ,22 とを備えている。円筒ソレノイド状をなし、そのコイル内側空芯部を被検査線材Wが通過する前記一対の貫通型探傷コイル11 ,12 は、線材パスラインPL方向にわずかの間隔を隔てて配置されており、互いのコイル出力が差動をとるように接続されて探傷を行うものである。
【0006】
また、円筒ソレノイド状をなす前記一対の磁気飽和コイル21 ,22 は、その円柱状空間をなすコイル空芯部(コイル中空部)に、大径部と細長く延びた小径部とよりなる段差付き円柱形外観をなす通線ガイド21 A,22 Aが嵌挿されてなるものである。そして、各通線ガイド21 A,22 Aそれぞれは、図8に示すように、孔径(直径)が貫通型探傷コイル11 ,12 の内径とほぼ同寸法で被検査線材W直径の1.5〜2倍程度の大きさであって、通線ガイド軸線方向(磁気飽和コイル軸線方向)に延びる被検査線材W通過用の小径円柱状空間をなす貫通孔21 Aa,22 Aaを有している。
【0007】
通線ガイド21 A,22 Aは、圧延によって高速で走行している被検査線材Wを貫通型探傷コイル11 ,12 のほぼ軸線を通過させるべく、該探傷コイル11 ,12 を挟むように配置された磁気飽和コイル(コイル本体)21 ,22 に装着されており、被検査線材Wの揺れを抑制し、貫通型探傷コイル11 ,12 内での通過位置の偏りを抑制している。通線ガイド21 A,22 Aの材料としては、耐摩耗性・機械的強度の点からSKD材(JIS G 4404:合金工具鋼鋼材)などの鉄鋼材料が使用されている。
【0008】
このSKD材のような強磁性材料よりなる通線ガイド21 A,22 Aによると、磁気飽和コイル21 ,22 の磁気コアとしても作用することから、磁気飽和コイル21 ,22 に流す電流をそれほど大きくしなくても、貫通型探傷コイル11 ,12 付近に十分な直流磁場を得ることが可能となっている。なお、通線ガイドの材料としてオーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性材料を用い、渦流探傷時に被検査線材から剥離したスケールなどが通線ガイドに付着することを防ぐようにしたものも提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の線材渦流探傷用コイル装置を備えた線材渦流探傷装置では、オフライン的にごく低速で被検査線材を走行させる場合や、圧延速度が30m/s程度の低速での線材圧延の場合には、磁気ノイズを減らすという直流磁気飽和を併用する効果が発揮されて、誤検出なく良好な渦流探傷を行うことができる。
【0010】
ところが、本発明者らの実験によると、80〜100m/s程度の高速での線材圧延工程に前記従来の線材渦流探傷用コイル装置を適用した場合、磁気飽和コイル21 ,22 に流す電流値に比例した量でノイズが探傷出力として発生し、誤検出のない良好な渦流探傷ができないという問題があることがわかった。
【0011】
そこで、本発明者らは、このような前記探傷出力ノイズは、被検査線材の温度がキューリー点以上である900℃程度の高温においても発生していることから、被検査線材の磁気飽和が不十分で「磁気ノイズ」が残存していることによるものではないことを確認した。そして、線材速度と磁気飽和コイル21 ,22 への供給電流値を種々変化させてそのときの前記探傷出力ノイズの発生状況を観察し、探傷出力ノイズの原因を調査した。
【0012】
その結果、磁気飽和コイル21 ,22 による貫通型探傷コイル11 ,12 近傍での局所的に強い直流磁場内を被検査線材が通過することで、該被検査線材に貫通型探傷コイル11 ,12 の交流磁場による渦電流とは異なる別の渦電流が発生し、この渦電流が探傷コイル11 ,12 に誘導電圧を生じさせて探傷出力ノイズを発生させることがわかった。そして、線材速度に比例して被検査線材には磁気飽和コイル21 ,22 の直流磁場による渦電流が発生し、さらに該渦電流は線材の速度に比例して探傷コイル11 ,12 に誘導電圧を生じさせる。よって、線材速度の二乗に比例した探傷出力ノイズが発生することになり、このことは実験事実によっても裏付けることができた。
【0013】
このように、従来の線材渦流探傷用コイル装置では、磁気飽和併用時の線材高速通過に起因して探傷出力ノイズが発生し、80〜100m/s程度の高速で走行している被検査線の探傷を誤検出なく良好に行うことが困難であった。なおここで、非磁性材料よりなる通線ガイドを持つ磁気飽和コイルは、前記探傷出力ノイズの発生が極めて少ないのでノイズ回避の1つの手段となりうる。しかしながら、この非磁性材料製の通線ガイドでは強磁性材料のものとは違って磁気コアとしての働きがなく、十分な磁気飽和用磁場を得るには、極めて大型の磁気飽和コイルを実現することが必要になるという不具合がある。
【0014】
本発明の目的は、貫通型探傷コイルと磁気飽和コイルとを備え、直流磁気飽和を併用した貫通コイル方式渦流探傷法に用いられる線材渦流探傷用コイル装置において、磁気飽和併用時の線材高速通過に起因した探傷出力ノイズの発生を大幅低減し、高速で走行している線材の渦流探傷を行うことができるようにした、線材渦流探傷用コイル装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1の発明は、走行している被検査線材に探傷用交流磁場を印加する貫通型探傷コイルと、該貫通型探傷コイルの両側に配置され、前記被検査線材に磁気飽和用直流磁場を印加する磁気飽和コイルとを備えた線材渦流探傷用コイル装置において、前記一対の磁気飽和コイルは、それぞれ、強磁性材料よりなる磁気コアとして、前記貫通型探傷コイル側に行くに従って徐々に拡径するテーパ状内周面を有するテーパ貫通孔型通線ガイドを備え、前記テーパ状内周面は、磁気飽和コイル軸心方向において当該テーパ状内周面の長さが当該磁気飽和コイルの長さの半分よりも長く、かつ当該磁気飽和コイルの長さよりも短くなるように設けられていることを特徴とする線材渦流探傷用コイル装置である。
【0016】
請求項2の発明は、前記請求項1記載の線材渦流探傷用コイル装置において、前記テーパ貫通孔型通線ガイドのテーパ状内周面大径側の開口端部に、その内側を通過する前記被検査線材の貫通型探傷コイル径方向への動きを規制する非磁性材料よりなる円環状の通線ガイド補助部材が、設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
被検査線材の高速通過に起因する前記探傷出力ノイズの発生原因は、前述したように、磁気飽和コイルによって形成された貫通型探傷コイル近傍での局所的に強い磁気飽和用磁場の中を被検査線材が通過するときに該線材に発生する渦電流にある。よって、前記探傷出力ノイズを減らすにはこの渦電流の発生を減らすことが必要である。周知のように渦電流は、導電体が磁場変化のある空間を通過するとき、磁場の時間的変化分(時間微分)に比例して発生する。したがって、探傷出力ノイズの発生原因となる前記渦電流を減らすには、被検査線材が通る線材パスライン方向(コイル軸線方向)における磁気飽和用磁場の変化が緩やかになるようにすればよい。
【0018】
そこで、本発明による線材渦流探傷用コイル装置では、貫通型探傷コイルの両側に配置される各磁気飽和コイルが、強磁性材料よりなる磁気コアとして、貫通型探傷コイル側に行くに従って徐々に拡径するテーパ状内周面を有するテーパ貫通孔型通線ガイドを備えてなるものであるから、小径円柱形の貫通孔を持つ従来の通線ガイドとは違って、テーパ貫通孔型通線ガイドでは磁気コア作用(磁束を外に漏らさないよう閉じ込めて通す磁束通路の働き)が探傷コイル側に近づくに従って弱くなる。これにより、該テーパ貫通孔型通線ガイドを持つ一対の磁気飽和コイルによる線材パスライン方向(コイル軸線方向)の磁場分布は、従来磁気飽和コイルによる尖頭状をなす磁場分布(図3の(b)参照)とは違って、貫通型探傷コイル位置をピークとする磁場の変化が緩やか放物線状をなす分布形態になる(図3の(a)参照)。この緩やかな分布形態の磁気飽和用磁場中を被検査線材が高速通過することになるので、従来の前記尖頭状磁気飽和用磁場の場合に比較して該被検査線に発生する渦電流が大幅に減少し、これによって磁気飽和併用時の線材高速通過に起因した探傷出力ノイズの発生を大幅に減らすことができる。
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態による線材渦流探傷用コイル装置を示すその構成説明図である。ここで、磁気飽和コイルの通線ガイドの構成が異なる点以外は、前記図8に示された従来の線材渦流探傷用コイル装置と同一構成なので、同一部分には図8と同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0020】
この線材渦流探傷用コイル装置は、図1に示すように、線材パスラインPLに該パスラインPL方向にわずかの間隔を隔てて配置された一対の貫通型探傷コイル11 ,12 と、該貫通型探傷コイル11 ,12 の両側にこれと軸線を同じにして配置され、被検査線材Wにこれを磁気飽和させるための磁気飽和用直流磁場を印加する一対の磁気飽和コイル31 ,32 とを備えている。
【0021】
前記一対の磁気飽和コイル31 ,32 は、その円柱状空間をなすコイル空芯部に、大径部と細長く延びた小径部とよりなる段差付き円柱形外観をなし、強磁性材料よりなる磁気コアとして、貫通型探傷コイル1 1 ,1 2 側に行くに従って徐々に拡径するテーパ状内周面を有するテーパ貫通孔型通線ガイド31 A,32 Aが嵌挿されてなるものである。そして、上流側に位置する一方の磁気飽和コイル31 のテーパ貫通孔型通線ガイド31 Aは、図1に示すように、通線ガイド軸線方向(磁気飽和コイル軸線の方向であり、線材パスラインの方向でもある)に被検査線材入側端から短い長さにて延びる小径円柱状空間をなす線材導入孔31 Abと、該線材導入孔31 Abに連なり、通線ガイド軸線方向に延びるとともに貫通型探傷コイル11 側に向かって徐々に拡径した截頭円錐状空間をなし、テーパ状内周面を形成するためのテーパ状貫通孔31 Aaとを有している。線材導入孔31 Abの孔径(直径)は、貫通型探傷コイル11 ,12 の内径とほぼ同寸法であって被検査線材W直径の1.5〜2倍程度の大きさであり、この線材導入孔31 Abに連なるテーパ状貫通孔31 Aaの大径端の孔径は、被検査線材W直径の6〜8倍程度の大きさとなされている。
【0022】
また、下流側に位置する他方の磁気飽和コイル32 のテーパ貫通孔型通線ガイド32 Aは、図1に示すように、通線ガイド軸線方向に被検査線材出側端から短い長さにて延びる小径円柱状空間をなす線材導出孔32 Abと、該線材導出孔32 Abに連なり、通線ガイド軸線方向に延びるとともに貫通型探傷コイル12 側に向かって徐々に拡径した截頭円錐状空間をなし、テーパ状内周面を形成するためのテーパ状貫通孔32 Aaとを有している。そして、前記一方の通線ガイド31 Aと同様にして、線材導出孔32 Abの孔径(直径)は、貫通型探傷コイル11 ,12 の内径とほぼ同寸法であって被検査線材W直径の1.5〜2倍程度の大きさであり、この線材導出孔32 Abに連なるテーパ状貫通孔32 Aaの大径端の孔径は、被検査線材W直径の6〜8倍程度の大きさとなされている。
【0023】
なお、テーパ状貫通孔31 Aa,32 Aのテーパ角度θについては、被検査線材Wの速度、テーパ貫通孔型通線ガイド31 A,32 Aの材質の磁気特性によってその最適値が異なるので、これらに応じて最適値を定めるようにすればよい。すなわち、通線ガイド31 A,32 Aの材質を定め、テーパ角度θをパラメータとして通線ガイド31 A,32 A形状をモデル化し、計算機シミュレーションにより、その形状での磁気飽和用磁場分布を求めるとともに、該磁場分布中を検査速度で通過する被検査線材Wに発生する渦電流の強さを求め、得られた該渦電流の値から、テーパ角度θの最適値を決めるようにすればよい。要は、コイル軸線方向における磁気飽和用磁場分布が貫通型探傷コイル位置をピークとする磁場の変化が緩やか放物線状なす磁場分布(図3の(a)参照)となるように、テーパ状貫通孔31 Aa,32 Aのテーパ角度θの最適値を定めればよい。
【0024】
さて、テーパ状貫通孔31 Aa,32 Aaを有するこれらのテーパ貫通孔型通線ガイド31 A,32 Aは、被検査線材Wの通線ガイドとしての役割とともに、磁気飽和コイル(磁気飽和コイル本体)31 ,32 の磁気コアとしての役割を担うものであることから、機械的強度も兼ね備えた鉄鋼材などの強磁性材料よりなっており、本例ではSKD61(JIS G 4404:合金工具鋼鋼材)よりなるものである。なお、磁気コアとしての役割に重点をおく場合は、フェライト、パーマロイ、電磁鋼板などの残留磁化が少なく透磁率の高いいわゆる軟磁性材料を前記ガイド31 A,32 Aの材料として用いることがよい。
【0025】
そして、図1に示すように、これらの各テーパ貫通孔型通線ガイド31 A,32 Aのテーパ状貫通孔大径側の開口端部には、被検査線材Wを貫通型探傷コイル11 ,12 の軸線を通るように導くべく、被検査線材Wの貫通型探傷コイル11 ,12 径方向への動きを規制する円環状の通線ガイド補助部材31 B,32 Bが固着されている。通線ガイド補助部材31 B,32 Bの内径(直径)は、貫通型探傷コイル11 ,12 の内径とほぼ同寸法に設定されている。通線ガイド補助部材31 B,32 Bは、磁気コアとして作用しないようにするため、耐摩耗性を備えた非磁性材料よりなっており、本例ではSUS316(オーステナイト系ステンレス鋼)よりなるものである。この非磁性材料としては、その他に、窒化珪素などのセラミックスや、ガラス材などが挙げられる。
【0026】
図2は図1の線材渦流探傷用コイル装置を備えた線材渦流探傷装置の全体構成説明図である。
【0027】
図2に示すように、差動的に結合された2つの貫通型探傷コイル11 ,12 は、交流電源4を電源とする交流ブリッジ回路の2辺をなしている。そして、被検査線材Wに表面きず(表面欠陥)が存在していると、貫通型探傷コイル11 又は貫通型探傷コイル12 のインピーダンスが変化することで交流ブリッジ回路が不平衡になる。この不平衡電圧を信号処理回路5で検出処理し、指示記録計6で記録することにより表面きずが検出できるようになっている。貫通型探傷コイル11 ,12 の両側に配置された磁気飽和コイル31 ,32 は、直列接続されて磁気飽和コイル用直流電源7に接続されている。
【0028】
図3は、(a):本発明の線材渦流探傷用コイル装置における磁気飽和コイル31 ,32 による磁気飽和用磁場分布と、(b):従来コイル装置における磁気飽和コイル21 ,22 による磁気飽和用磁場分布と、(c):通線ガイド21 A,22 Aを有しない場合の磁気飽和コイル21 ,22 による磁気飽和用磁場分布とを示すグラフである。
【0029】
図3は計算機シミュレーションによって求めた軸線上における磁気飽和用磁場分布を示すものである。この場合、貫通型探傷コイル11 ,12 への通電は行っていない。また、図3における横軸での「Z=0m」の位置は、軸線上における貫通型探傷コイル11 ,12 間の中央位置を示している。計算の前提条件は、前記(a)〜(c)のいずれも磁気飽和コイルによる起磁力:2000AT、前記(a)の本発明に係わるテーパ状貫通孔31 Aa,32 Aaの大径端の孔径:φ67mm、小径端の孔径:φ16mm、テーパ角度θ:7.6°、前記(b)の従来技術に係わる貫通孔21 Aa,22 Aaの孔径:φ16mm、である。
【0030】
図3から分かるように、従来の通線ガイド21 A,22 Aを持つ磁気飽和コイル21 ,22 による磁気飽和用磁場分布は、(b)で示すように、貫通型探傷コイル11 ,12 位置(Z=0m)で急峻に変化する尖頭状をなす分布形態となっている。これに対して、本発明に係わるテーパ貫通孔型通線ガイド31 A,32 Aを持つ磁気飽和コイル31 ,32 による磁気飽和用磁場分布は、該テーパ貫通孔型通線ガイド31 A,32 Aでは磁気コアとしての働きが探傷コイル11 ,12 側に近づくに従って弱くなるので、(a)で示すように、貫通型探傷コイル11 ,12 位置(Z=0m)をピークとする緩やか放物線状をなす分布形態になる。なお、通線ガイドを有しない場合の磁気飽和コイル21 ,22 による磁気飽和用磁場分布では、(c)で示すように、平坦で緩やかな分布形態になるものの、その磁場強度が(a)の場合の約1/3と小さく、被検査線材を十分に磁気飽和させるうる磁場強度が得られていない。
【0031】
図4は、(a):図3の(a)の磁気飽和用磁場中を速度87m/sで通過する被検査線材に発生する渦電流の強さと、(b):図3の(b)の磁気飽和用磁場中を速度87m/sで通過する被検査線材に発生する渦電流の強さと、(b)’:図3の(b)の磁気飽和用磁場中を速度28m/sで通過する被検査線材に発生する渦電流の強さとを示すグラフである。
【0032】
この図4は計算機シミュレーションによって求めた渦電流の強さを示すものである。図4の縦軸の渦電流強度は任意単位(Arbitrary Unit)であって、前記(b)’における渦電流強度のピーク値を「1」として表したものである。また、被検査線材の線径はφ9.5mmである。
【0033】
図4から分かるように、従来の通線ガイド21 A,22 Aを持つ磁気飽和コイル21 ,22 での被検査線材には、(b)’で示すように、速度28m/sでは渦電流強度の値が1という渦電流が発生し、速度87m/sでは、(b)で示すように、前記速度28m/sの場合に比べて線速に比例した約3倍の渦電流が発生している。
【0034】
これに対して、本発明に係わるテーパ貫通孔型通線ガイド31 A,32 Aを持つ磁気飽和コイル31 ,32 での速度87m/sの被検査線材に発生する渦電流強度は、(a)で示すように、前記(b)’の場合(前記従来通線ガイド21 A,22 Aを持つ磁気飽和コイル21 ,22 での速度28m/sの場合)における渦電流強度と同程度以下という小さい値となっている。また、このことに加えて、軸線上における渦電流発生位置が貫通型探傷コイル11 ,12 から離れているため探傷出力信号への影響も小さくなる。なお、図4には図示していないが、通線ガイド21 A,22 Aを有しない場合の磁気飽和コイル21 ,22 による前記図3の(c)の磁気飽和用磁場中を速度87m/sで通過する被検査線材には、ほとんど渦電流は発生しない。しかしこの場合、前述したように被検査線材を十分に磁気飽和させるうる磁場強度が得られないため、強磁性材料よりなる通線ガイドを有しない磁気飽和コイルは、大型化して実用性の低いものになってしまう。
【0035】
次に、本発明による前記図1に示す線材渦流探傷用コイル装置を備えた線材渦流探傷装置により線材圧延ラインにおいて線材の渦流探傷の実験を行った。また、比較のため、前記図8に示す従来の線材渦流探傷用コイル装置を備えた線材渦流探傷装置により該線材圧延ラインにおいて実験を行った。なお、被検査線材の線径はφ9.5mmであり、線材温度はキューリー点(磁気変態点)以下の700℃近傍の値である。図1におけるテーパ貫通孔型通線ガイド31 A,32 Aについては、テーパ状貫通孔31 Aa,32 Aaの大径端の孔径:φ67mm、小径端の孔径:φ16mm、テーパ角度θ:7.6°である。また、図8における通線ガイド21 A,22 Aの貫通孔21 Aa,22 Aaの孔径はφ16mmである。
【0036】
図5は図1に示す本発明の線材渦流探傷用コイル装置での線材の速度87m/sにおける線材探傷結果を示すグラフ、図6は図8に示す従来の線材渦流探傷用コイル装置での線材の速度87m/sにおける線材探傷結果を示すグラフ、図7は図8に示す従来の線材渦流探傷用コイル装置での線材の速度28m/sにおける線材探傷結果を示すグラフである。
【0037】
図5〜図7において、横軸は時間を示し、横軸全体で約1分の時間となっている。また、該各図の上部には探傷信号の大きさを示し、その縦軸は任意単位(Arbitrary Unit)であり、各図の下部には磁気飽和コイルに流す電流の大きさを示している。なお、これらの図5〜図7は、いづれも表面きずのない健全な線材について探傷を行った結果を示すものであり、探傷信号としていずれもノイズが出力している。
【0038】
まず、図7から分かるように、通線ガイド21 A,22 Aを持つ従来の線材渦流探傷用コイル装置によると、被検査線材の速度(仕上げ圧延速度)が28m/sという低速での探傷では、磁気飽和コイル21 ,22 に電流を流し直流磁気飽和を併用することにより、線材温度がキューリー点(磁気変態点)以下の線材の持つ磁性が顕在化することによる前述した「磁気ノイズ」を、大幅に減らすことができている。これは従来技術を再確認したことになる。
【0039】
ところが、図6から分かるように、前記従来の線材渦流探傷用コイル装置によると、被検査線材の速度(仕上げ圧延速度)が87m/sという高速での探傷では、磁気飽和コイル21 ,22 に流す電流値に比例した大きさでもって、「磁気飽和併用時の線材高速通過に起因した探傷出力ノイズ」が発生している。このことは、本発明者らが見出した前述した知見の確認となるものである。
【0040】
これに対して、図5より明らかなように、テーパ貫通孔型通線ガイド31 A,32 Aを持つ本発明の線材渦流探傷用コイル装置によると、被検査線材の速度が87m/sという高速での探傷であっても、磁気飽和併用時の線材高速通過に起因した探傷出力ノイズの発生を大幅に減らし、かつ被検査線材を磁気飽和させることができ、圧延によって高速で走行(通過)している被検査線材の渦流探傷を行うことができた。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による線材渦流探傷用コイル装置によると、直流磁気飽和を併用した貫通コイル方式渦流探傷法に用いられる線材渦流探傷用コイル装置において、貫通型探傷コイルの両側に配置され、被検査線材に磁気飽和用直流磁場を印加する一対の磁気飽和コイルそれぞれを、強磁性材料よりなる磁気コアとして、前記貫通型探傷コイル側に行くに従って徐々に拡径するテーパ状内周面を有するテーパ貫通孔型通線ガイドを備えてなるものとしたので、磁気飽和併用時の線材高速通過に起因した探傷出力ノイズの発生を大幅に減らすことができ、従来と違って、速度80〜100m/sというような高速で走行(通過)している被検査線材の渦流探傷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による線材渦流探傷用コイル装置を示すその構成説明図である。
【図2】 図1の線材渦流探傷用コイル装置を備えた線材渦流探傷装置の全体構成説明図である。
【図3】 本発明の線材渦流探傷用コイル装置における磁気飽和コイル31 ,32 による磁気飽和用磁場分布(a)と、従来コイル装置における磁気飽和コイル21 ,22 による磁気飽和用磁場分布(b)と、通線ガイド21 A,22 Aを有しない場合の磁気飽和コイル21 ,22 による磁気飽和用磁場分布(c)とを示すグラフである。
【図4】 図3の(a)の磁気飽和用磁場中を速度87m/sで通過する被検査線材に発生する渦電流の強さ(a)と、図3の(b)の磁気飽和用磁場中を速度87m/sで通過する被検査線材に発生する渦電流の強さ(b)と、図3の(b)の磁気飽和用磁場中を速度28m/sで通過する被検査線材に発生する渦電流の強さ(b’)とを示すグラフである。
【図5】 図1に示す本発明の線材渦流探傷用コイル装置での線材の速度87m/sにおける線材探傷結果を示すグラフである。
【図6】 図8に示す従来の線材渦流探傷用コイル装置での線材の速度87m/sにおける線材探傷結果を示すグラフである。
【図7】 図8に示す従来の線材渦流探傷用コイル装置での線材の速度28m/sにおける線材探傷結果を示すグラフである。
【図8】 従来の線材渦流探傷用コイル装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ,12 …貫通型探傷コイル 31 ,32 …磁気飽和コイル 31 A,32 A…テーパ貫通孔型通線ガイド 31 Aa,32 Aa…テーパ状貫通孔 31 Ab…線材導入孔 32 Ab…線材導出孔 31 B,32 B…通線ガイド補助部材 4…交流電源 5…信号処理回路 6…指示記録計 7…磁気飽和コイル用直流電源 PL…線材パスライン W…被検査線材

Claims (2)

  1. 走行している被検査線材に探傷用交流磁場を印加する貫通型探傷コイルと、該貫通型探傷コイルの両側に配置され、前記被検査線材に磁気飽和用直流磁場を印加する磁気飽和コイルとを備えた線材渦流探傷用コイル装置において、前記一対の磁気飽和コイルは、それぞれ、強磁性材料よりなる磁気コアとして、前記貫通型探傷コイル側に行くに従って徐々に拡径するテーパ状内周面を有するテーパ貫通孔型通線ガイドを備え、前記テーパ状内周面は、磁気飽和コイル軸心方向において当該テーパ状内周面の長さが当該磁気飽和コイルの長さの半分よりも長く、かつ当該磁気飽和コイルの長さよりも短くなるように設けられていることを特徴とする線材渦流探傷用コイル装置。
  2. 前記テーパ貫通孔型通線ガイドのテーパ状内周面大径側の開口端部に、その内側を通過する前記被検査線材の貫通型探傷コイル径方向への動きを規制する非磁性材料よりなる円環状の通線ガイド補助部材が、設けられていることを特徴とする請求項1記載の線材渦流探傷用コイル装置。
JP2000200760A 2000-07-03 2000-07-03 線材渦流探傷用コイル装置 Expired - Fee Related JP4344072B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000200760A JP4344072B2 (ja) 2000-07-03 2000-07-03 線材渦流探傷用コイル装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000200760A JP4344072B2 (ja) 2000-07-03 2000-07-03 線材渦流探傷用コイル装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002022710A JP2002022710A (ja) 2002-01-23
JP4344072B2 true JP4344072B2 (ja) 2009-10-14

Family

ID=18698576

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000200760A Expired - Fee Related JP4344072B2 (ja) 2000-07-03 2000-07-03 線材渦流探傷用コイル装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4344072B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4885068B2 (ja) * 2007-06-13 2012-02-29 三菱重工業株式会社 渦電流探傷装置および渦電流探傷方法
KR101038788B1 (ko) * 2008-09-12 2011-06-03 주식회사 포스코 표면결함 탐상장치의 선재 가이드장치
KR101413023B1 (ko) * 2013-10-04 2014-07-04 주식회사 서울금속 나사 모재 검사 장치 및 그의 검사 방법
CN107192758B (zh) * 2017-06-02 2021-01-05 爱德森(厦门)电子有限公司 一种节能型涡流探伤用磁饱和装置
KR102509957B1 (ko) * 2021-05-18 2023-03-15 한국수력원자력 주식회사 오스테나이트 스테인레스강 관제품의 표면에 생성되는 응력 유기 준안정 마르텐사이트 측정 시스템 및 측정 평가 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002022710A (ja) 2002-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH01203965A (ja) 非強磁性金属製被検査材の検査装置
JPH06331602A (ja) 長物磁性材の構造欠陥を非破壊的に検査する方法および装置
US20120007596A1 (en) Eddy current flaw detection probe
JPS63502457A (ja) 非破壊材料試験および磁気構造材料調査のための方法ならびに装置
CN105510433B (zh) 一种基于动生涡电流的金属管件电磁无损检测装置
Wu et al. The effect of motion-induced eddy current on circumferential magnetization in MFL testing for a steel pipe
JPH05164745A (ja) 鋼体の探傷方法及びその装置
JP2011047736A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼溶接部の検査方法
JP2001141701A (ja) 保磁力の測定方法
JP4344072B2 (ja) 線材渦流探傷用コイル装置
US3825822A (en) Apparatus for inspecting the quality of short, electrically conductive workpieces by the eddy current test method
KR101339117B1 (ko) 펄스와전류를 이용한 이면 결함 탐지 장치 및 방법
Faraj et al. Construct coil probe using GMR sensor for eddy current testing
CA2953295C (en) Apparatus and method for detection of imperfections by detecting changes in flux of a magnetized body
Yusa et al. An eddy current probe suitable to gain information about the depth of near-side flaws much deeper than the depth of penetration
JPH07280774A (ja) 高解像度うず電流プローブ
JPH05264508A (ja) 焼入硬化範囲の非破壊測定方法及びその装置
Coramik et al. Determining the effect of velocity on sensor selection and position in non-destructive testing with magnetic flux leakage method: a pipe inspection gauge design study with Ansys Maxwell
JP2016197085A (ja) 磁気探傷方法
Wang et al. A Novel Leakage Magnetic Field Enhancement Method Based on Permeability Perturbation
JPH09274018A (ja) 磁性金属体の探傷方法および装置
JP3530472B2 (ja) 棒鋼の傷検出装置
JP2005106602A (ja) 磁気探傷用センサ
RU2146817C1 (ru) Электромагнитный дефектоскоп для контроля длинномерных изделий
JP3092837B2 (ja) バルクハウゼンノイズ検出用磁気ヘッドおよびそれを用いた検出システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070516

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090408

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090414

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090707

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090710

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120717

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130717

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees