JP4343346B2 - 弾性繊維用仕上油剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリウレタン弾性糸用の油剤に係り、詳しくは弾性繊維の紫外線(UV)や光による着色や脆化が防止されたポリウレタン弾性糸を得るための弾性繊維用仕上げ油剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン弾性糸は、ナイロン等の他の合成繊維、綿等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維との交編、交織により弾性に富んだ布帛素材を提供し、水着、ファウンデーション、ストッキング類等ストレッチ性の要求される用途に広く用いられている。
【0003】
ところが、一般に、ポリウレタン弾性繊維は長期保管時および光線のあたる厳しい着用乃至保存環境境下で、黄変あるいは脆化するといった問題がある。ポリウレタン弾性繊維の黄変や脆化等の防止を目的として、従来から、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系又はサリチル酸系の紫外線吸収剤、さらには酸ヒドラジド化合物など種々の化合物を弾性繊維の原糸製造段階でポリウレタンポリマーに添加することが提案されているが、充分に満足できる添加剤が見い出されているとはいいがたい。特に、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の耐光安定剤を原糸製造段階で添加する方法は、安定剤がポリマーに溶けにくいために、原糸の製造過程で飛散しやすく、紡糸操業性が著しく低下する等の欠点を有するため、経済的にかつ要求に合致するほどの優れた耐黄変性、耐脆化性を付与することは難しい。また、乾式紡糸法では、高温下で溶剤を揮発させるために、安定剤の多くが自己着色し、ウレタン弾性繊維の製造には使用できないものも多い。
【0004】
ポリウレタン弾性糸は、一般に、原糸の製造過程で仕上げ油剤が付与されて巻き取られる。しかしながら、巻き取られた原糸が貯蔵、保管の経時の後に、巻き糸体の内層部で膠着気味となって解舒不良が起り易い。この膠着を防止する方法としてステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸の金属塩を用いる方法(特公昭37−4586号公報)、アミノ変性シリコーンを用いる方法(特公昭63−8233号公報、特開平10−259577号公報)等が知られている。
【0005】
仕上げ油剤には、活性成分の保存時の劣化防止の目的で、安定剤が添加されることがあるが、それは仕上げ油剤の処理対象繊維の耐光性を向上させる目的で添加されるものではない。また仕上げ油剤には、制電剤のように繊維の表面を改質することを目的とするものも知られてはいる。しかし、このような繊維の表面改質法は、改質剤が繊維の表面に単に物理的に付着するにとどまるものであったり、析出したりするので、後加工時にガイドに付着して糸切れを起こしたり、染色加工等後加工で改質効果が失われることが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、弾性繊維のUVや光による着色や脆化の防止を繊維の仕上げ油剤を適用する方法を用いて実現することができる弾性繊維仕上げ油剤を提供することにある。本発明のより具体的な目的は、仕上げ油剤に含まれる繊維の着色、脆化防止剤等の安定剤を繊維に付着せしめることによって脆化抑制物質等の改質活性物質がポリウレタン繊維相中を浸透、移行して持続性のある着色、脆化防止性能を繊維に付与することができる仕上げ油剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、0.5〜10.0重量%の弾性繊維の着色及び/又は脆化を防止する安定剤が希釈剤中に溶解もしくは分散されてなる弾性繊維仕上げ油剤によって達成される。
本発明の仕上げ油剤において、弾性繊維の着色及び/又は脆化を防止する安定剤としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤、ラクトン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などUVや光による着色や脆化を防止する化合物が選ばれる。かくして、本発明の仕上げ油剤は、紡糸過程等で弾性繊維(糸)に付与されると、安定剤がポリウレタン繊維の表面から重合体相内部に移行・浸透して、持続的な着色防止、脆化防止効果を与え、しかも後加工で糸切れ等の加工トラブルを発生させることもなく、精錬や染色工程等の湿潤加工を経ても所定の効果が損なわれることがない。
【0008】
ここで、安定剤は、ポリウレタンに対して溶解性の高いものであることが好ましく、望ましくはポリウレタンポリマーの30%ジメチルアセトアミド溶液に対して10重量%以上を示すものが選ばれる。安定剤は、この溶解性が20重量%以上、更には21%以上を示して、前記のポリウレタンポリマーの溶液を白濁させないものが一層好ましい。
【0009】
このような溶解性を示す安定剤を例示すると、ヒンダードフェノール系酸化防止剤にあっては、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕や以下商品名で示す、イルガノックス1010(チバスペシャルティケミカルズ)、イルガノックス1076(チバスペシャルティケミカルズ)、イルガノックス565(チバスペシャルティケミカルズ)、イルガノックス1035(チバスペシャルティケミカルズ)、イルガノックス1330(チバスペシャルティケミカルズ)、スミライザ−GA−80(住友化学)等が、ヒンダードアミン光安定剤にあっては、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルやN−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオンや以下商品名で示す、チヌビン765(チバスペシャルティケミカルズ)、チヌビン123(チバスペシャルティケミカルズ)、サンドボール3052(クラリアント)、サンドボール3058(クラリアント)、LA−62(旭電化工業)、LA−67(旭電化工業)等が、紫外線吸収剤にあっては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールや5−クロロ−2−(3,5−sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールや以下商品名で示す、チヌビン213(チバスペシャルティケミカルズ)、チヌビン571(チバスペシャルティケミカルズ)、シーソーブ702L(シブロ化成)、ユビナール3039(BASF)、UV1164(サイテック)等が、ラクトン系安定剤ブレンドシステムにあっては、イルガノックスHP2411等が挙げられる。
【0010】
仕上げ油剤は、ポリウレタンに対して溶解性の高い安定剤の所定量を水、適当なポリウレタンに不活性の溶媒を希釈剤として用いて、これに溶解もしくは分散せしめて得られる組成物である。ここで溶媒は、シリコン系化合物を例示することができる。本発明の仕上げ油剤において、好ましい希釈剤は、ジメチルシロキサンであり、特に30℃における粘度が5〜30cstの時メチルシロキサンの使用が好ましい。ジメチルシロキサンは、糸々間摩擦や糸−金属間摩擦を低下させ、加工性を向上させるので他の希釈剤では得られない利点をもっている。しかし、ジメチルシロキサンを希釈剤とする場合、ジメチルシロキサンの粘度が5cst未満である場合には、揮発性が大きくなり、紡糸後経時的に糸から揮散し、糸の平滑性低下、膠着防止性の低下をきたす。
【0011】
本発明の仕上げ油剤は、組成物として、安定剤と希釈剤の相溶解性の向上、平滑性、分散性等を付与するための種々の補助剤を含むことができる。このような補助的剤として、高級アルコール、界面活性剤、鉱物油等を合計で30.0重量%未満、好ましくは15.0%未満、更に好ましくは10.0%未満含んでもよい。高級アルコール、界面活性剤、鉱物油等が、30.0%を超えると、糸の膠着性および滑り性に、問題を生じ、加工時のトラブルを生じさせる可能性がある。
【0012】
本発明の仕上げ油剤は、以上の組成成分を混合して常法にしたがって安定剤が希釈剤に溶解もしくは均一に分散された組成物として調製され使用に供される。
本発明の好適な実施態様について詳述する。ポリウレタンドープに前記した溶解性を示す相容性のよい紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系安定剤、ラクトン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の一種もしくは2種以上を選んで、安定剤が組成物の全重量に対して0.5〜10重量%で含まれるよう計量して、粘度5〜30センチストークスのポリジメチルシロキサン70.0重量%以上、変性シリコーン0.1〜4.0重量%及び平均粒径が0.5μm以下、最大粒子径が1.5μm以下のステアリン酸マグネシウム0.5〜1.5重量%を混合した仕上げ油剤組成物とする。仕上げ油剤は、組成成分として、更に高級アルコール、界面活性剤、鉱物油等を30.0重量%未満含有することができる。
【0013】
ここで、変性シリコーンは、ジメチルシロキサン単位とアミノ変性基を有するシロキサン単位とを含む線状ポリオルガノシロキサンである。仕上げ油剤中のアミノ変性シリコーンの含有量は、0.1〜4.0重量%であることが好ましい。4.0%を超えると糸と糸の摩擦係数が低下し、巻糸体の形状が悪化したり、解舒時に形態くずれして糸切れの原因となり好ましくない。また、0.1%未満の場合、ステアリン酸マグネシウムが凝集沈積し、紡糸時や加工時の糸切れを巻き起こして好ましくない。
【0014】
本発明の仕上げ油剤は、そのままあるいは希釈して弾性繊維の紡糸工程、仕上げ加工工程で、通常の仕上げ油剤の適用手段を用いて、弾性繊維に付与される。弾性繊維の付与量は、仕上げ油剤中に含まれる安定剤の種類、含有量と所望される処理効果に応じて任意に設定することができる。仕上げ油剤は通常、繊維の乾燥重量に対して、1〜数重量%付着することによって所定の効果を得ることができるように組成物が設計されることが好ましい。
【0015】
本発明を適用するポリウレタン弾性糸は、代表的には有機ジイソシアナートと実質的に線状の高分子ジオールとで調製されるイソシアナート末端のプレポリマーに多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤および単官能性活性水素原子を有する末端封鎖剤を1段または多段階に反応せしめて得られる分子内にウレタン基を有する弾性高分子重合体を乾式紡糸、湿式紡糸又は溶融紡糸して得られるものである。
【0016】
ポリウレタン弾性糸の別の調製の仕方としては、後述の両端にヒドロキシル基をもち分子量400〜5,000である実質的に線状の重合体と有機ジイソシアネ−トとからなるイソシアネート末端のプレポリマ−に多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤と単官能性活性水素原子を有する末端停止剤とを反応させながら紡糸して得られるものもある。
【0017】
本発明のポリウレタン弾性糸の製造原料の一つである高分子ジオールとしては、両末端にヒドロキシル基を持つ数平均分子量400〜5,000の実質的に線状の高分子体であり、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、炭素数1〜8の直鎖状またはランダム状にエーテル結合している共重合ポリアルキレンエーテルジオール等のポリエーテルジオール;アジピン酸、セバチン酸、マレイン酸、イタコン酸、アゼライン酸、マロン酸等の二塩基酸の一種または二種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のグリコールの一種または二種以上とから得られたポリエステルジオール;又はポリエステルアミドジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
【0018】
本発明のポリウレタン弾性糸の製造原料の一つである有機ジイソシアナートとしては、例えば脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアナートの中で、反応条件下で溶解または液状を示すものすべてを適用できる。
例えば、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアナート)、メチレン−ビス(3−メチル−4−フェニルイソシアナート)、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、m−及びp−キシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアナート、m−及びp−フェニレンジイソシアナート、4,4’−ジメチル−1,3−キシリレンジイソシアナート、1−アルキルフェニレン−2,4及び2,6−ジイソシアナート、3−(α−イソシアナートエチル)フェニルイソシアナート、2,6−ジエチルフェニレン−1,4−ジイソシアナート、ジフェニル−ジメチルメタン−4,4−ジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)、1,3−及び1,4−シクロヘキシレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、3,3,5−トリメチル−5−メチレンシクロヘキシルジイソシアネート等が例示され、好ましくは、メチレン−ビス(4−フェニルイソシアナート)である。
【0019】
ポリウレタン弾性体の製造原料の一つである多官能性活性水素原子を有する鎖伸長剤としては、例えば、ヒドラジン、ポリヒドラジド、ポリオ−ル、エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン,m−キシリレンジアミン,p−キシリレンジアミン等のポリアミン、ヒドロキシルアミン、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、エチレングリコール、1,8オクタンジオール等のポリオール、水等を用いることができる。
【0020】
ポリウレタン弾性体の製造原料の一つである単官能性活性水素原子を有する末端停止剤としては、例えば、ジエチルアミンのようなジアルキルアミン等が用いられる。これらの鎖伸長剤、末端停止剤は1種または2種以上混合して用いてもよい。
ポリウレタン重合体組成物には、所望により、公知のポリウレタン重合体組成物に使用される特定の化学構造を有する有機または無機の配合剤、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系化合物等の酸化防止剤、防黴剤;硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等のような無機微粒子;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノポリシロキサン等の粘着防止剤等を適宜配合することもできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例で更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の特性値は以下に示す測定法による。
(1)安定剤の凝集沈積の評価
油剤100mlを密栓付き100mlガラス製メスシリンダーに入れ、25℃にて1ケ月間放置し、油剤中の安定剤の凝集状態を油剤の上部の層の透明度より判定する。透明な層がなく、凝集が認められなければ○、上部に5ml未満の透明な層があれば△、5ml以上の透明な層があれば×と評価する。
【0022】
(2)ポリウレタンへの溶解性評価
ポリウレタンの30重量%ジメチルアセトアミド溶液に、50℃で安定剤を溶解または分散させた後、20℃で1日間保持する。添加量10重量%で析出物があれば×、20重量%で析出物があれば△、25重量%以上で析出物がなければ○と判定する。
【0023】
(3)糸かす測定
仕上げ油剤を3〜7重量%付着させた20デニール弾性糸を、50℃の条件下で1週間保存し、送り出し50m/分、巻き取り150m/分のドラフトで巻き取る際に、中間位置に45゜の角度のセラミック製ガイドを経て巻き取った。40分間糸を巻き取った後、ガイドによってこすり取られた析出糸かすを観察した。糸かすが観察されれば×、糸かすが無ければ○と判定する。
【0024】
(4)膠着性評価
20デニール弾性糸を、50℃の条件下で1週間保存し、送り出し10m/分、巻き取りを13m/分から徐々に5m/分のドラフトまで下げたとき、9m/分より前に逆巻きが発生したときは×、9m/分以下まで解舒可能であれば○と判定する。
【0025】
(5)黄変度測定
20デニールの弾性糸を、35mm幅、厚み2mmの透明アクリル板に、1.25倍の伸長を与えながら、ピッチ0.1mm、巻幅25mmで、50回の重ね巻きし、フェードメーター(スガ試験機製、U48AU−B型)にて紫外線を照射する。2時間照射後の試料について、日本電色工業製の同時測光方式分光式色差計(SQ−2000)を用いて、青色反射率の標準白板との差、デルタb値を測定した。
【0026】
(6)耐光脆化性能
20デニールの弾性糸を50%伸長させ、180℃で1分間乾熱セットし、30分間沸騰水中で煮沸し、170℃で1分間乾熱セット後、フェードメーター(スガ試験機製、U48AU−B型)にて、紫外線を4時間、8時間、12時間、16時間照射前後の糸の破断強度をテンシロン測定機にて行い、結果を照射後の保持率で表した。
【0027】
〔実施例1、比較例1〕
<油剤の調製>
粘度10センチストークスのポリジメチルシロキサンに、アミノ変性シリコーン0.40重量%及び平均粒子径が0.25μmのステアリン酸マグネシウム1.0重量%を添加したものを油剤とし、更に安定剤および鉱物油等を溶解または分散せしめて仕上げ油剤組成物を調製した。この仕上げ油剤組成物について、安定剤の凝集沈積の評価を行った結果を表1に示す。また、使用した安定剤のポリウレタンへの溶解性評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004343346
【0029】
〔実施例2、比較例2〕
<ポリウレタン弾性糸の調製>
数平均分子量2,000のポリテトラメチレングリコール1,000g(重量部、以下同じ)およびメチレン−ビス(4−フェニルイソシアナ−ト)312gを、窒素ガス気流中95℃において90分間攪拌しつつ反応させて、イソシアネート基残基のプレポリマーを得た。次いで、これを室温まで冷却した後、乾燥ジメチルアセトアミド2,360gを加え、溶解してプレポリマー溶液とした。
【0030】
一方、エチレンジアミン23.4gおよびジエチルアミン3.7gを乾燥ジメチルアセトアミド1,570gに溶解し、これに前記プレポリマー溶液を室温で添加して、粘度1,800ポイズ(30℃)のポリウレタンウレア溶液を得た。こうして得られた粘稠な重合体溶液に、4,4´−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)2%)、2−(2´−ヒドロキシ−3´−t−ブチル−5´−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール0.7%を添加(対ポリマー固形分重量%、以下同じ)したものを紡糸原液とした。
【0031】
この紡糸原液を用いて、常法に従って乾式紡糸を行ない、巻取り速度990m/分で、20d/2fの弾性糸を得た。この際、油剤には、表1に示す組成の油剤を用いて全固形分に対して6重量%付着させた。比較例として、安定剤を含まない油剤の評価を行った。
糸かすの評価、膠着性の評価、黄変度、耐光脆化性能について、表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0004343346
【0033】
ポリウレタンへの溶解性の高い安定剤を含む油剤は、安定剤を含まない油剤(比較例No.2−1)に対し、耐黄変性、耐光脆化性能が向上している。しかし、鉱物油の添加量が多くなるに従い、糸の膠着性が悪くなっている。GA−80を添加した油剤(比較例No.2−11)は、シリコン系化合物への溶解性が悪く、糸かすの発生が多く、糸への移行浸透量が少ないため、耐黄変性、耐光脆化性への効果は低い。
【0034】
〔比較例3〕
実施例2のポリウレタン溶液に、シーソーブ702Lを0.18重量%追加添加し、紡糸原液とした。この紡糸原液を用いて、常法に従って乾式紡糸を行ない、巻取り速度990m/分で、20d/2fの弾性糸を得た。この弾性糸は紡糸時からすでに黄色く着色していた。
【0035】
〔比較例4〕
実施例2のポリウレタン溶液に、イルガノックスHP2411を0.18重量%追加添加し、紡糸原液とした。この紡糸原液を用いて、常法に従って乾式紡糸を行ない、巻取り速度990m/分で、20d/2fの弾性糸を得た。黄変度、耐光脆化性能について、表3に示す。ポリマー溶液への内添法では充分な耐黄変、耐光脆化性能を発現していない。
【0036】
【表3】
Figure 0004343346
【0037】
【発明の効果】
本発明の仕上げ油剤は、弾性繊維の紡糸工程、仕上げ加工工程で適用することによりUVや光による黄変や脆化が持続的に防止されたポリウレタン弾性繊維を、製造することができる。本発明の仕上げ油剤による弾性繊維の改質効果は、弾性繊維の染色等の加工を経ても失われることがない。

Claims (4)

  1. 0.5〜10.0重量%の弾性繊維の着色及び/又は脆化を防止する安定剤が希釈剤中に溶解もしくは分散されてなる弾性繊維用仕上げ油剤であって、該安定剤はヒンダードアミン系安定剤、ラクトン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤から選ばれた少なくとも1種であり、かつ、下記(1)で示された溶解性評価において添加量10重量%で析出物がなく、下記(2)で示された凝集沈積評価において油剤の上部の層に透明な層がなく、油剤中の安定剤の凝集が認められないことを特徴とする弾性繊維用仕上げ油剤。
    (1)ポリウレタンの30重量%ジメチルアセトアミド溶液に、50℃で安定剤を溶解または分散させた後、20℃で1日間保持する。
    (2)油剤100mlを密栓付き100mlガラス製メスシリンダーに入れ、25℃にて1ヶ月間放置する。
  2. 希釈剤が弾性繊維を形成する重合体に不活性のシリコーン系化合物であり、油剤の30℃における粘度が5〜30センチストークスであることを特徴とする請求項1に記載の弾性繊維用仕上げ油剤。
  3. 油剤が希釈剤に加えて、更に高級アルコール、界面活性剤、鉱物油等を30.0重量%未満で含有することを特徴とする請求項1または2に記載の弾性繊維用仕上げ油剤。
  4. 全油剤の重量に対して、30℃における粘度が5〜30センチストークスのポリジメチルシロキサン70.0重量%以上、変性シリコーン0.1〜4.0重量%及び平均粒径が0.5μm以下、かつ最大粒子径が1.5μm以下のステアリン酸マグネシウム0.50〜1.50重量%を含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性繊維用仕上げ油剤。
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