JP4343318B2 - ワイヤ補強層を有するホース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤ補強層を有するホース、特に、そのワイヤ補強層の腐食を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、トイレやキッチン、洗面ユニット、風呂場等、家庭内の水道配管の一部にフレキシブルホースを用いることにより、管材の精密な長さ合わせ作業や、中心合わせ作業を省略し、工事全般を容易化することが広く行なわれている。
【0003】
図2は、その一例を示すもので、この例では、トイレの便器(1)に装着した洗浄トイレユニット(2)の給水口(3)と、トイレの室内に配設した上水道配管(4)の端部(4a)とを、両端にユニオンナット(5)を有するフレキシブルホース(6)により接続するようにしてある。
【0004】
このような従来のフレキシブルホース(6)は、内圧により管材が膨張するのを確実に抑え、かつ外傷に対して十分な安全性を確保するため、図3、図4に示すように、耐水性内面層(7)とその外側の保護被覆層(8)との間に、ワイヤを筒状に編み組してなるワイヤ補強層(9)を設けたものが多い。
このワイヤ補強層(9)に用いられるワイヤとしては、耐水性の強いステンレス製のものが専ら使用されている。
【0005】
なお、図3、図4において、(10)は、フレキシブルホース(6)のホース本体(6a)の端部に一部が内嵌され、遊端部に形成した外向きフランジ部(10a)にユニオンナット(5)を係合させるとともに、ホース本体(6a)より露出した部分の外周面に環状溝(10b)が形成されたニップルである。
【0006】
(11)は、ホース本体(6a)の端部に大部分が外嵌され、かつホース本体(6a)の端面(6b)より外方に延出する先端部に形成した内向きフランジ部(11a)を、ニップル(10)の外周面の環状溝(10b)に係合するとともに、外周の適所をホース本体(6a)に向かって押圧して塑性変形(かしめ)させることにより、ホース本体(6a)をニップル(10)から抜け止めするようにしたスリーブである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来のワイヤ補強層(9)を有するホースにおいて、使用するワイヤが、たとえステンレス材製であっても、全く錆びが生じないわけではなく、稀に予期せぬ錆びが発生して、ワイヤが断線し、ワイヤ補強層(9)が内圧に耐えられなくなり、漏水等の原因となるおそれがある。
【0008】
特に、上述のトイレ等において使用されるフレキシブルホース(6)においては、トイレの清掃時等に、次亜塩素酸塩や苛性ソーダ等の腐食促進性物質を含むトイレ用洗浄剤が、図4中に矢視するように、ニップル(10)の環状溝(10b)とスリーブ(11)の内向きフランジ部(11a)との間隙を通って、ホース本体(6a)の先端面に到達し、そこからワイヤ補強層(9)内に浸透して、ワイヤを端部から漸次錆びさせるおそれがある。
【0009】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、ワイヤ補強層における錆び等による腐食を効果的に防止しうるようにした、ワイヤ補強層を有するホースを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、耐水性内面層とその外側の保護被覆層との間に、ワイヤ補強層を設けたホースにおいて、ホースの端部に一部を内嵌したニップルにおけるホースの端面より露出する部分の外周面に環状溝を設け、この環状溝に、ホースの端部に外嵌したスリーブにおけるホースの端面より外方に延出する端部に形成した内向きフランジ部を嵌合し、前記環状溝とスリーブの端部の内向きフランジ部の内周縁との間に、耐水性充填材を充填し、この充填材を、ホースの端面からワイヤ補強層への腐食促進性物質の侵入を防止する侵入防止手段とすることにより解決される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す。なお、図2〜図4に示す従来例と同一または類似の部材には同一の符号をもって図示し、それらについての重複する説明は省略する(第2の実施形態以降においても同様とする)。
【0012】
この実施形態においては、ニップル(10)の外周面における環状溝(10b)と、スリーブ(11)の端部の内向きフランジ部(11a)の内端との間に、耐水性充填材(12)を、液密に充填し、この充填材(12)を、ホース本体(6a)の端面(6b)からワイヤ補強層(9)への腐食促進性物質の侵入を防止する侵入防止手段としている。
【0013】
充填材(12)は、図1に示すように、ホース本体(6a)の端面(6b)に密接するように、その端面(6b)とニップル(10)の外周面とスリーブ(11)の内面との間に形成された空間全体に充填するのが好ましい。
【0014】
充填材(12)の材料は、例えば公知のシーリング材、またはエポキシ系樹脂とするのがよい。
【0015】
フレキシブルホース(6)のホース本体(6a)の各層の材質、並びにニップル(10)及びスリーブ(11)の材質は、例えば次のようなものとするのがよい。
(i) 耐水性内面層(7):EPDMのような耐水性合成ゴム
(ii) 保護被覆層(8):透明の軟質ポリ塩化ビニル樹脂
(iii) ワイヤ補強層(9):SUS304のようなステンレス製ワイヤ4本を束とし、これを必要数編み組みしたもの
(iv) ニップル(10):黄銅または青銅
(V) スリーブ(11):ステンレススチール
【0016】
この実施形態のような構造とすると、上述したようなトイレ用洗浄剤等に含まれる腐食促進性物質が、ホース本体(6a)の端面(6b)からワイヤ補強層(9)内に侵入するおそれはなくなり、ワイヤの腐食を確実に防止することができる。
【0017】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、腐食促進性物質がホースの端面からワイヤ補強層へ侵入するのを、侵入防止手段により阻止することによって、ワイヤ補強層中のワイヤが錆びたり腐食したりするのを効果的に防止することができる。
【0018】
また、ホース自体と、ニップルとスリーブ等に何ら特殊な加工を施す必要がなく、ホースにニップルとスリーブとを装着した後に、腐食対策を講じることができ、既設のホースにも適用できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のホースの一実施形態の一端部の拡大縦断側面図である。
【図2】 従来のフレキシブルホースの一使用状況を模式的に示すトイレ内の正面図である。
【図3】 従来のフレキシブルホースの一端の上半部を縦断して示す側面図である。
【図4】 図3のA部の拡大断面図である。
【符号の説明】
(1)便器
(2)洗浄トイレユニット
(3)給水口
(4)上水道配管
(4a)端部
(5)ユニオンナット
(6)フレキシブルホース(ホース)
(6a)ホース本体
(6b)端面
(7)耐水性内面層
(8)保護被覆層
(9)ワイヤ補強層
(10)ニップル
(10a)外向きフランジ部
(10b)環状溝
(11)スリーブ
(11a)内向きフランジ部
(12)充填材
Claims (1)
- 耐水性内面層とその外側の保護被覆層との間に、ワイヤ補強層を設けたホースにおいて、ホースの端部に一部を内嵌したニップルにおけるホースの端面より露出する部分の外周面に環状溝を設け、この環状溝に、ホースの端部に外嵌したスリーブにおけるホースの端面より外方に延出する端部に形成した内向きフランジ部を嵌合し、前記環状溝とスリーブの端部の内向きフランジ部の内周縁との間に、耐水性充填材を充填し、この充填材を、ホースの端面からワイヤ補強層への腐食促進性物質の侵入を防止する侵入防止手段としたことを特徴とするワイヤ補強層を有するホース。
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