JP4342793B2 - 垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法及び垂直磁気記録ディスク - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板表面に軟磁性層を具備するディスク基板に関するもので、より詳細には、軟磁性層の磁気異方性を制御することにより、軟磁性層が発生するノイズを抑制すると共に信号品位を向上せしめ、高記録密度化が可能な垂直磁気記録方式の磁気ディスクに好適なディスク基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に、磁気記録技術を用いたHDD(ハードディスクドライブ)の記録密度は、近年、100%/年の割合で増加し続けている。高記録密度化を達成するためには、当然のこととして、情報信号を記録するための媒体、所謂磁気記録媒体と、情報信号を記録再生するための磁気記録ヘッドの両者の性能向上が必要不可欠である。特に、磁気記録媒体において、その性能向上、すなわち高記録密度で充分なS/N比を確保するためには、情報信号の記録を担う強磁性層の結晶粒を微細化すると共に、その層厚の低減を図る必要がある。例えば、従来からよく知られている長手記録方式の場合、記録密度が50Gbit/inch2を達成するためには、平均結晶粒径は6〜7nm、層厚は10〜15nm程度にする必要がある。かかる状況においては、磁性微粒子に付随する本質的な現象である、所謂超常磁性現象により熱的安定性が欠如し、結果として、記録された情報信号が時間の経過と共に消失する、と云う熱揺らぎの問題が発生する。
【0003】
これを打開する方法として、幾つかの方法が提案されているが、その一つに垂直磁気記録方式がある。すなわち、垂直磁気記録方式は、高記録密度領域において、良好な熱的安定性を維持しつつ、かつ充分なS/N比を達成できる方法として注目されている。一般的な垂直磁気記録媒体は、情報信号の記録を担う垂直磁化膜から成る垂直磁気記録層、信号の記録再生効率を高めるための軟磁性層、及び垂直磁気記録層の結晶性改善、結晶粒径の制御、と云った様々な機能を有する複数の非磁性層から構成されている。特に、軟磁性層は、上述のように記録再生過程での効率を向上せしめるために設けられているものであり、特にその再生効率は、軟磁性層の初透磁率に大きく依存することが知られている。すなわち、再生効率は軟磁性層の初透磁率の増大と共に増加し、軟磁性層の膜厚が約300nm程度の場合、充分な再生効率を得るためには、初透磁率として、約600程度の値が必要である。
【0004】
これを満足させるためには、再生時における磁気記録ヘッドの走行方向と、初透磁率の最大方向である磁化困難軸とが平行となるように、磁気異方性を付与することが肝要である。すなわち、円板状垂直磁気記録媒体、所謂磁気ディスクの場合では、その全面にわたって、磁化困難軸方向を円周方向に、換言すると磁化容易軸方向を動径方向に略一致するように、軟磁性層の磁気異方性を制御する必要がある。磁化容易軸方向がディスクの位置によって変化している場合、例えばある箇所においては、磁化容易軸方向が動径方向に揃っているが、他の箇所では円周方向を向いている、と云った場合には、再生信号の出力が変動し、所謂再生エンベロープ(磁気記録ヘッドを一周させたとき得られる波形)に「うねり」が発生する。
軟磁性層の磁気異方性を制御する方法としては、従来は、例えば、特開昭60-52919号公報、あるいは特開平9-282656号公報に報告されている。具体的には、前者は、動径方向磁界中で軟磁性層を成膜する方法が記載されており、後者は軟磁性層、中間層及び垂直記録層を順次成膜後、動径方向磁界中で熱処理する方法に関して記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−52919号公報
【特許文献2】
特開平9−282656号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の動径方向磁界中で成膜した軟磁性層は、成膜時には確かに動径方向を磁化容易軸とする磁気異方性を有している。しかし、動径方向磁界中で成膜した場合には、付与された磁気異方性の熱的安定性に問題があり、引き続き行われる中間層、あるいは垂直磁気記録層の成膜時に磁気異方性が乱れ易く、軟磁性層成膜後のプロセス条件の制約が大きい、と云う問題がある。一方、垂直磁気記録層まで成膜した後に動径方向磁界中で熱処理を施す方法に関しては、前述した問題点は無いが、所望方向に磁気異方性が誘発されるためには、ある程度の処理時間が必要であり、量産性の点で問題がある。
そこで、本発明は、磁気異方性が熱的に安定で、かつ量産性に優れ、高記録密度化を可能とする、垂直磁気記録方式の磁気ディスクに好適なディスク基板の製造方法及び垂直磁気記録ディスクを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、熱的に安定で、かつ量産性に優れた軟磁性層の磁気異方性の制御方法を確立すべく、軟磁性層の磁気異方性と軟磁性層の成膜条件との関係について鋭意検討した結果、軟磁性層の堆積過程における成膜粒子の入射方向が磁気異方性に大きく影響し、具体的には、成膜粒子を基板面に斜め入射させて成膜することが良好かつ安定した磁気異方性を付与できることを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の構成を有するものである。
(構成1)基板表面に成膜粒子を成膜して軟磁性層を形成する垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法であって、軟磁性層の磁化困難軸が円周方向となるように前記成膜粒子を基板面に斜め入射させて成膜することを特徴とする垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法。
(構成2)前記成膜粒子の入射角は、基板面の法線に対してディスクの外側に傾いていることを特徴とする構成1記載の垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法。
(構成3)前記軟磁性層はスパッタリング法により成膜されることを特徴とする構成1又は2記載の垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法。
(構成4)スパッタリングターゲットのエロージョンエリアの直径が、前記基板の直径以上であることを特徴とする構成3記載の垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法。
(構成5)構成1乃至4の何れかに記載の製造方法により得られる垂直磁気記録媒体用ディスク基板上に、垂直磁気記録層を形成してなることを特徴とする垂直磁気記録ディスク。
上記軟磁性層の成膜を行う場合、軟磁性層の堆積過程における成膜粒子の入射方向が磁気異方性に大きく影響し、軟磁性層の磁化容易軸がディスク基板の動径方向に一致するような磁気異方性を付与するために、言い換えると磁化困難軸がディスク基板の円周方向となるように、本発明は、成膜粒子を基板面に斜め入射させて成膜することを特徴とするものである。
【0009】
本発明によると、円周方向を磁化困難軸、動径方向を磁化容易軸とする良好かつ安定した磁気異方性を付与できる。
成膜粒子を基板面に斜め入射させるということは、基板面の法線に対して成膜粒子の入射方向或いは入射角が傾いている(ずれている)ことである。成膜粒子を基板面に斜め入射させて軟磁性層を成膜する場合、構成2にあるように、成膜粒子の入射角は、基板面の法線に対してディスクの外側に傾いていることがとくに望ましい。このような特に入射角が基板面の法線に対してディスクの外側に傾いている成膜粒子が堆積して軟磁性層を形成した場合、ディスク基板全面にわたって更に均一な円周方向を磁化困難軸とする磁気異方性が誘発される。
ところで、軟磁性層の磁化困難軸が円周方向となるように、成膜粒子を基板面に斜め入射させて成膜するということは、幾何学的観点から考察すると、基板面に対する成膜粒子の入射ベクトルの正射影が基板面の円周方向に向かって成膜されることである。
また、本発明では、成膜粒子を基板面に斜め入射させて軟磁性層を成膜する場合、成膜粒子の入射角度については特に制約されない。そして、成膜時の成膜粒子の入射角度は必ずしも略一定である必要はなく、成膜粒子の入射角度分布にばらつきがあり、成膜時に入射角度の異なる成膜粒子が含まれても構わない。
【0010】
本発明は、成膜粒子を基板面に斜め入射させて軟磁性層を成膜することが特徴であるが、所定の条件下でこのような成膜粒子を基板面に斜め入射させて軟磁性層の成膜を行っても、現実の堆積過程を考えた場合、成膜粒子の入射方向にはばらつきがあり、ある程度の分布を有していることが予想される。たとえば基板面に対して略真っ直ぐに入射するような成膜粒子が含まれる状態もあり得る。また、基板面に斜め入射するような成膜粒子であっても、前述の特に望ましい入射角が基板面の法線に対してディスクの外側に傾いている成膜粒子だけではなく、たとえば入射角が基板面の法線に対してディスクの内側に傾いているような成膜粒子が含まれる状態も考えられる。本発明では、所望方向の均一で良好なかつ安定した磁気異方性が得られるという本発明の効果を損わない限りにおいては、たとえば、基板面に対して斜め入射する成膜粒子以外に、基板面に略真っ直ぐに入射する成膜粒子が含まれているような成膜状態であっても構わないし、特に望ましい入射角が基板面の法線に対してディスクの外側に傾いている以外の方向性を持った成膜粒子が含まれていても構わない。
要するに、基板面に入射する成膜粒子の分布という観点から考察すると、本発明では、基板面の任意の点における、入射する成膜粒子の入射方向分布が基板面の法線方向に対して異方性があり、この入射方向分布の極大点が基板面の法線方向からずれている状態が実現されていることが望ましい。
【0011】
ただし、基板面に入射する成膜粒子の入射方向や入射角度分布が狭く、ばらつきが小さくて、成膜粒子の入射方向や入射角度が出来るだけ揃っている方が、より均一で大きな異方性磁界が得られるので、とくに望ましい。
本発明の成膜粒子を基板面に斜め入射させて軟磁性層を成膜するためには、次の構成とすることが好ましい。
すなわち、軟磁性層は、少なくとも軟磁性層を構成する元素の一部を含む円板状のターゲットを用いる成膜法により形成され、前記基板とターゲットはその面同士が対向配置されるとともに、前記基板の中心から所定の距離だけ離れた基板面の位置における基板面の法線方向と該位置における前記ターゲットのエロージョンエリアを臨む方向との成す角度が所定角度以上となる条件下で軟磁性層の成膜を行う。
【0012】
上記軟磁性層の成膜を行う場合、基板面の所定の位置における、ターゲットのエロージョンエリアに対する方向性が、ターゲットから飛来する成膜粒子の入射角度分布に大きく影響し、具体的には、基板の中心から所定の距離だけ離れた基板面の位置における基板面の法線方向と該位置における前記ターゲットのエロージョンエリアを臨む方向との成す角度が例えば10度以上となる条件下で、軟磁性層の成膜を行うことにより、軟磁性層の磁化困難軸が円周方向となるように、成膜時に基板面に対して成膜粒子を斜め入射させることができ、その結果、所望の良好な磁気異方性であって、かつ熱的に安定した磁気異方性を付与できる。なお、上記の角度を決定する際の基板面の位置は、たとえば、基板の中心から、(基板に設けた中心孔の半径+基板の半径)/2だけ離れた位置である。この位置は、通常MD (Mid Diameter)と称されている位置に対応する。
【0013】
上記の角度が所定角度未満である条件下で軟磁性層の成膜を行うと、基板面に対する成膜粒子の入射方向が略真っ直ぐになり、或いは成膜粒子の入射方向分布が大きくなり過ぎて、基板面に対する成膜粒子の斜め入射を実現できなくなる。その結果、基板面の位置によって磁化困難軸(又は磁化容易軸)方向が変化し、例えば、中央部では動径方向を磁化容易軸とする一軸異方性が誘発されているが、外縁部では磁化容易軸が円周方向を向いている、と云ったように、基板全面にわたって均一な磁気異方性が得られない。
本発明によると、基板全面にわたって円周方向を磁化困難軸とする均一な磁気異方性が誘発されるが、異方性磁界は、上記の角度が増加するに従い増大する。もちろん、本発明では、軟磁性層に磁気異方性を付与するための付加的な処理工程が要らないので、量産性にも優れる。
また、例えば、対向配置された基板面とターゲットの間に適当な大きさの遮蔽板等を適宜設けることにより、基板面に入射する成膜粒子の方向性のばらつきを小さくすることが可能である。
【0014】
このように良好でかつ熱的に安定した磁気異方性を軟磁性層に付与できることにより、軟磁性層の発生するノイズを抑制すると共に信号の記録再生効率を向上せしめ、高密度記録を可能とする垂直磁気記録ディスクに好適なディスク基板を提供することが出来る。
軟磁性層の材料としては、NiFe系合金や、CoNbZr系合金、CoTaZr系合金、FeTaC系合金、FeCoB系合金等を用いることが出来る。
また、軟磁性層は、例えば、少なくとも軟磁性層を構成する元素の一部を含む円板状のターゲットを用いる成膜法により形成されるが、具体的には、構成3にあるように、スパッタリング法を用いて成膜を行うのが好適である。スパッタリング法は、均一な薄膜を形成することができる。
このような軟磁性層の膜厚は、通常100nm〜1000nmの範囲であることが好ましい。軟磁性層の膜厚が100nm未満であると、信号の記録再生効率を向上せしめる効果が十分に発現されない場合がある。
【0015】
また、構成4にあるように、ターゲットのエロージョンエリアの直径が、基板の直径と同等、若しくはそれよりも大きい場合には、前述の基板の中心から所定の距離だけ離れた基板面の位置における基板面の法線方向と該位置におけるターゲットのエロージョンエリアを臨む方向との成す角度が所定角度以上となる条件を満たすように構成することが可能であり、基板面に成膜粒子を斜め入射させて成膜することができる。かかる条件下では、軟磁性層の堆積過程における成膜粒子の入射角度分布が基板面の法線方向からずれている状態を実現している。
なお、上述のターゲットのエロージョンエリアの直径が、基板の直径と同等、若しくはそれよりも大きい場合とは、言い換えると、基板の直径に対するターゲットのエロージョンエリアの直径の比が1以上の場合であり、これにより上記の角度が所定角度以上となる条件を満たせば、上述の基板の直径に対するターゲットのエロージョンエリアの直径の比が増加するに従い、異方性磁界は増大する。
【0016】
本発明の垂直磁気記録ディスクは、基板上に、少なくとも、上述の軟磁性層と、垂直磁気記録層とを備えている。
本発明において、垂直磁気記録層としては、たとえばCoPt系垂直磁気記録層が好ましい。さらに、垂直磁気記録層の結晶構造はhcp結晶構造であることが好ましい。垂直磁気記録層にhcp結晶構造からなるCoPt系磁性層を用いた場合、hcp結晶構造のc軸を基板面に対し垂直配向させることにより、垂直磁気記録層の磁化容易軸を垂直配向させることができる。
上記CoPt系垂直磁気記録層は保磁力Hcが高く、磁化反転核生成磁界Hnをゼロ未満の小さな値とすることができ、また、高いS/N比を得られるので好適である。特に、B、Nb、Zr、Hfを含有する場合においては、垂直磁気記録層を構成する磁性結晶粒子を微細化させる作用があるので高記録密度化に好適である。
本発明においては、特にCoPtB系垂直磁気記録層が好ましい。CoPtB系垂直磁気記録層は、とくにS/N比が高く、高記録密度化にとって好適である。
【0017】
なお、本発明の垂直磁気記録層において、Ptの含有量は10at%〜25at%であることが好ましく、特に12at%〜20at%であることが望ましい。Ptの含有量が10at%未満では異方性磁界Hkが低くなり、熱揺らぎ耐性が低下するので好ましくなく、また、25at%を越えるとfcc結晶構造との積層欠陥が発生する場合があるので好ましくない。
また、本発明の垂直磁気記録層において、B、Nb、Zr及びHfから選択された少なくとも一種の元素の含有量は、2at%〜20at%であることが好ましく、特に3at%〜10at%であることが望ましい。これらの元素の含有量が2at%未満では磁性結晶粒子を微細化させる作用が低下するため好ましくなく、また、20at%を越えると垂直磁気記録層の垂直配向性が低下する為好ましくない。
また、本発明においては、垂直磁気記録層にCrを含有させてもよい。Crを含有させることにより磁性結晶粒子の粒界部分にCrを偏析させることができるので、磁性結晶粒子間の交換相互作用を遮断して高記録密度化に資することができる。
【0018】
垂直磁気記録層の膜厚は、所望の情報記録密度に応じて適宜設計できる。但し、この膜厚が50nmを越えると磁気記録ヘッドによる飽和記録が困難となり、また、10nm未満では所定の磁気特性を得ることが困難となるので、実用上は10nm〜50nmとすることが好ましい。
本発明において、平滑性の高いガラス基板を用いると、磁気記録ヘッドの浮上量を低下させることができ、特に好適である。
本発明において、基板上に、垂直磁気記録層の結晶配向を基板面に対して垂直方向に配向させるための非磁性下地層を設けることが好ましい。非磁性下地層の材料としては、Ti系合金が好ましい。Ti系合金の場合、hcp結晶構造を備えるCoPt系垂直磁気記録層の結晶軸(c軸)を垂直方向に配向するよう制御する作用が高く好適である。Ti系合金からなる非磁性下地層としては、Tiの他、TiCr系合金、TiCo系合金等が挙げられる。
【0019】
このような非磁性下地層の膜厚は2nm〜30nmが好適である。下地層の膜厚が2nm未満の場合、垂直磁気記録層の結晶軸を制御する作用が不十分であり、また30nmを越えると、垂直磁気記録層を構成する磁性結晶粒子のサイズが増大し、ノイズを増大させるため好ましくない。
本発明において、垂直磁気記録層の上に、保護層を設けることが好適である。保護層を設けることにより、磁気ディスク上を浮上飛行する磁気記録ヘッドから磁気ディスク表面を保護することができる。保護層の材料としては、たとえば炭素系保護層が好適である。また、保護層の膜厚は3nm〜7nm程度が好適である。
本発明において、前記保護層上に、更に潤滑層を設けることが好ましい。潤滑層を設けることにより、磁気記録ヘッドと磁気ディスク間の磨耗を抑止でき、磁気ディスクの耐久性を向上させることができる。潤滑層の材料としては、たとえばPFPE(パーフロロポリエーテル)が好ましい。また、潤滑層の膜厚は0.5nm〜1.5nm程度が好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、実施例を用いて更に具体的に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明により成る垂直磁気記録媒体用ディスク基板における軟磁性層形成方法の第1の実施例を説明するための基板とターゲットの構成を示す概略斜視図、図2は同概略側断面図である。図1中、11は円板状のガラス基板、12はNiFe合金から成る円板状ターゲット、13はエロージョンエリアである。また図2中、21はガラス基板に設けられた中心孔、22は成膜された軟磁性層、25、25’はプラズマ収束用磁界、26、26’はドーナツ円板状鉄製ヨーク、27、28、及び27’、28’はSmCo永久磁石、29はエロージョンエリアの直径を示す矢印、201は永久磁石27、28及び鉄製ヨーク26で構成される馬蹄型磁石、201’は永久磁石27’、28’及び鉄製ヨーク26’で構成される馬蹄型磁石、202はバッキングプレートである。Θは基板面の所定位置における基板面の法線方向とターゲット12のエロージョンエリア13を臨む方向との成す角度である。なお、図1と2において、同一部位は同一番号で示した。また、Θを決定する際の基板位置は、前述したとおり、基板の中心から、(基板11の中心孔21の半径+基板11の半径)/2だけ離れた位置である。
【0021】
永久磁石27と28、及び27’と28’は、互いに逆極性となるように、鉄製ヨーク26及び26’に貼り付けられており、馬蹄型磁石201と201’を構成する。馬蹄型磁石201と201’は一体で、全体としては、凹型のドーナツ形状を有しており、かつ201と201’とは、ドーナツ形状の中心に対して、相対する位置関係にある。馬蹄型磁石201と201’によって、ターゲット12の表面にプラズマ収束用磁界25,25’が発生し、エロージョンエリア13が形成される。図2に示したように、エロージョンエリア13は、馬蹄型磁石の磁極間中央部に相当するターゲット12の表面に形成される。よって、エロージョンエリアの直径29は、馬蹄型磁石201と201’との間隔を変えることにより変化させることができる。換言すると、鉄製ヨーク26、26’の径を変えることにより、容易にエロージョンエリアの直径29を変化させることができる。
【0022】
以下、軟磁性層の成膜条件について説明する。
成膜はスパッタリング法を用いて行った。用いたNiFe合金ターゲット12の組成は、Ni:42at%、Fe:58at%、用いたガラス基板の直径は65mmで、その中心孔の直径は23mmである。また、ターゲット12と基板11との間隔は50mmである。SmCo永久磁石27,28,27’,28’の幅は10mm、また永久磁石27と28との間隔、及び27’と28’との間隔は、いずれも10mmである。スパッタリングガスは純Arでガス圧は3mTorrである。スパッタリングにより基板11上に堆積されたNiFe膜の膜厚は300nmである。成膜時の基板温度は室温である。
図3に、基板の直径に対するエロージョンエリアの直径の比(以下、「エロージョンエリアの直径/基板の直径」と記述する)と成膜されたNiFe膜の異方性磁界との関係を示す。図中( )内の数値は、前述したΘの値を示したもので、本実施例では、基板位置は中心から22mm離れた位置である。異方性磁界は、磁化困難軸方向の磁化曲線を測定し、磁化が飽和するときの印加磁界の値より求めた。なお、磁化曲線は、磁気光学効果の一種であるKerr効果を用いて測定する、所謂カーループトレーサーを用いて測定した。用いたカーループトレーサーのビーム径は約1mmである。
【0023】
図中の31は、本実施例における結果である。すなわち、本実施例では、基板面に成膜粒子を斜め入射させて成膜するために、エロージョンエリアの直径29を変化させ、エロージョンエリアの直径/基板の直径が1よりも大きくなる条件とした。前述の角度Θの値は10度以上である。この本実施例の条件下では、基板全面にわたって、円周方向を磁化困難軸とする磁気異方性が誘発され、かつ図中の31に示すように、異方性磁界は、エロージョンエリアの直径/基板の直径が増加するに従い増大した。
なお、図3中の32及び33は他の実施例における結果であり、これについては後述する。
【0024】
次に、誘発された磁気異方性の熱的安定性(耐熱性)に関して評価を行った。まず、図4を用いて、評価方法を説明する。図4は、磁気異方性の耐熱性評価法を説明するための概略図である。図中、41は成膜されたNiFe膜、42は磁化容易軸方向を示す矢印、43は異方性磁界の測定部位、44は磁界印加方向を示す矢印である。前述したように、エロージョンエリアの直径/基板の直径が1を越える、つまり前述の角度Θが例えば10度以上であり、成膜粒子を基板面に斜め入射させて成膜されたNiFe膜は、同図に示すように、動径方向を磁化容易軸とする一軸異方性が誘発されている。この試料を、一方向性磁界中で一定時間熱処理を行い、熱処理後、室温にて磁化曲線を測定することにより、磁化容易軸方向及び異方性磁界を求めた。磁化曲線は、前述したカーループトレーサーを用いて測定した。なお、磁化曲線の測定部位は、その部位における磁化容易軸方向が、印加磁化の方向44と直交関係にある部位(図4中の部位43に相当)である。また、熱処理温度は250℃、で印加磁界の大きさは50Oeである。この印加磁界の大きさは、前述した方法で成膜されたNiFe膜の磁化を磁界印加方向に飽和させるに足る充分な大きさである。
【0025】
図5に、熱処理時間と異方性磁界との関係を示す。図中の51は、エロージョンエリアの直径/基板の直径を2.3(角度Θが43.8度)の条件で成膜したNiFe膜の異方性磁界の熱処理時間依存性である。本発明による方法で成膜されたNiFe膜の場合、熱処理時間とともに異方性磁界は減少するが、その変化は小さく、優れた熱的安定性を有していることが判る。
なお、図中の52は後述する比較例における結果である。
次に、エロージョンエリアの直径/基板の直径を2.3(角度Θが43.8度)の条件で成膜粒子を斜め入射させて成膜した300nm厚のNiFe膜上に、垂直磁気記録層として25nm厚のCoCrPtB膜を成膜し、垂直磁気記録方式の磁気ディスクを作製した。
【0026】
以下、図8を用いて、上記磁気ディスクの構成、及び作製方法について説明する。図8は、作製した磁気ディスクの構成を示す概略側断面図である。図中、81はガラス基板(直径:65mmφ)(前述の基板11である)、82は300nm厚のNiFe膜(軟磁性層)、83は10nm厚のTi膜(非磁性下地層)、84は10nm厚のRu膜(非磁性下地層)、85は25nm厚のCoCrPtB膜、86は5nm厚のカーボン保護膜、87は液体潤滑層で平均層厚は0.9nmである。なお、CoCrPtB膜85の組成は、Co:65at%、Cr:19at%、Pt:15at%、B:1at%である。
まず、前述した300nm厚のNiFe膜82上に、DCマグネトロンスパッタリング法で、Ti膜83、Ru膜84、CoCrPtB膜85を順次積層した。スパッタリング雰囲気は純Arであり、これらの膜の成膜時の基板温度は280℃に制御した。更に、その上にカーボン保護膜86を、Arと水素の混合ガス雰囲気中(水素濃度:20vol.%)で、DCマグネトロンスパッタリング法により成膜した。その後、液体潤滑層87を塗布し、磁気ディスクを作製した。
【0027】
次に、こうして作製した磁気ディスクの電磁変換特性の評価を行った。電磁変換特性の評価に際しては、記録ヘッドとして、リターンヨーク付きの主磁極型ヘッド(トラック幅:0.5μm)を、再生ヘッドとして、GMRヘッド(トラック幅:0.3μm)を用いた。なお、磁気ヘッドと磁気ディスク間の相対線速度は9.8m/sで、ヘッド浮上量は15nm、記録した信号の線記録密度は300kFCIである。
図9に、再生信号の波形を模式的に示す。図中、91及び92は、各々、本発明による方法で成膜されたNiFe膜を具備した磁気ディスクの300kFCIの信号波形、及び信号波形の包絡線で、所謂、再生エンベロープと云われるものである。
同図に示したように、本発明による方法で成膜したNiFe軟磁性層を具備した磁気ディスクの場合、再生信号の出力が安定しており、再生エンベロープ92には、際だった“うねり”は認められない。
なお、図中の93及び94は、後述する比較例における結果である。
【0028】
(比較例1)
エロージョンエリアの直径/基板の直径が1よりも小さく、かつ前記角度Θが10度未満となる条件としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、基板上にNiFe軟磁性層を300nm厚に成膜した。この場合には、基板面に対する成膜粒子の斜め入射による成膜が実現されておらず、基板全面にわたって、均一な磁気異方性が得られなかった。すなわち、基板の位置によって磁化容易軸方向が変化し、例えば、中央部では動径方向を磁化容易軸とする一軸異方性が誘発されているが、外縁部では、磁化容易軸が円周方向を向いている、と云った状態であった。
【0029】
(比較例2)
基板上に、所謂磁界中成膜法を用いて、NiFe膜を成膜した。すなわち、成膜時の基板背面には、50Oeの動径方向磁界を発生させるための磁石を設けた。また、ターゲットのエロージョンエリアと基板との関係は、エロージョンエリアの直径/基板の直径を0.6とした。前述したように、このようなターゲットのエロージョンエリアと基板との関係では、基板面に成膜粒子を斜め入射させて成膜することが困難であり、基板背面に動径方向磁界を発生するための手段を講じない限り、基板全面にわたって、一様な磁気異方性を得ることはできない。なお、成膜されたNiFe膜厚、スパッタリング時の雰囲気、ガス圧等の他の条件は、前述した実施例1の成膜条件と同一である。
前述の図5中の52は、本比較例に係る磁界中で成膜したNiFe膜の異方性磁界の熱処理時間依存性を示す。同図に示したように、熱処理時間と共に異方性磁界は減少し、特に本比較例の場合、約2分の熱処理で、異方性磁界は零となり、磁気的に等方な膜となる。更に熱処理時間を増加させると、磁化容易軸方向が磁界印加方向(図4における矢印44の方向)に平行となる。このように、磁気異方性の熱的安定性が低いことが分かる。なお、負の異方性磁界は、磁化容易軸方向が、成膜直後の方向から磁界印加方向に変化したことを意味し、磁気工学の分野では、一般的に用いられている表記方法である。
【0030】
次に、上記のようにして成膜したNiFe膜上に、実施例1と同様に、Ti膜83、Ru膜84、CoCrPtB膜85、カーボン保護膜87及び液体潤滑層87を順次形成し、磁気ディスクを作製した。
この磁気ディスクの電磁変換特性を実施例1と同様にして評価した。前述の図9における93及び94は、各々、本比較例による方法で成膜されたNiFe膜を具備した磁気ディスクの300kFCIの信号波形、及び信号波形の包絡線である。
同図に示すように、本比較例の場合、再生エンベロープ94には、顕著な“うねり”が認められる。本比較例として成膜されたNiFe膜において、その成膜直後の磁化容易軸方向は、前述したように動径方向に揃っているが、その磁気異方性の耐熱性が低いため、後続するTi膜83、Ru膜84、CoCrPtB膜85、及びカーボン保護膜87を形成する工程(成膜時の基板温度:280℃)で、磁化容易軸方向が部分的に変化し、その結果として、再生効率が部分的に変化し、再生エンベロープに“うねり”が発生したものである。
【0031】
(実施例2)
図6は、本発明による軟磁性層形成方法の第2実施例を説明するための概略側断面図である。図中、61は、ターゲット12と基板11との間に設けられた円板状の遮蔽板である。この遮蔽板61は、電気的にはアース電位となっている。なお、前述の図2と同一の部位に関しては、図2と同一の番号で示した。
ターゲットの材質は実施例1と同様のNiFe合金である。実施例1と同一の条件で、NiFe膜をガラス基板上に、300nm厚に成膜させ、エロージョンエリアの直径/基板の直径と、異方性磁界との関係を評価した。異方性磁界の評価方法は、実施例1に記載した方法と同一である。なお、本実施例における遮蔽板61の直径は、エロージョンエリアの直径の70%とした。
【0032】
前述の図3中の32に、本実施例の遮蔽板61を設けた場合の、エロージョンエリアの直径/基板の直径と異方性磁界との関係を示す。遮蔽板61が無い実施例1(図中31)の場合と同様、エロージョンエリアの直径/基板の直径が1よりも大きい場合のように、前述の角度Θが例えば10度以上である条件下では、基板全面にわたって均一な磁気異方性が誘発され、かつ同比率の増加と共に、異方性磁界は増大した。また、遮蔽板を設けることにより、遮蔽板が無い実施例1の場合に比べて大きな異方性磁界が誘発された。これは、遮蔽板を設けることにより、基板面に入射する成膜粒子の入射方向のばらつきが小さくなり、入射角が基板面の法線に対して基板の外側に傾いている成膜粒子の割合が極めて高くなったためであると考えられる。
更に、実施例1の場合と同様の方法で、誘発された磁気異方性の耐熱性を評価した。その結果、異方性磁界の絶対値に関して、若干の差異があるものの、図5の51に示した結果と、ほぼ同等の結果が得られ、比較例に比べて高い耐熱性を有していることが確認された。
【0033】
(実施例3)
図7は、本発明による軟磁性層形成方法の第3実施例を説明するための概略側断面図である。図中、71は中心部に孔を有する円板状のNiFe合金ターゲット、72は円板状NiFe合金ターゲット71に設けられた孔、73はバッキングプレートである。本実施例においては、孔72の直径はエロージョンエリアの直径の70%とした。なお、図2と同一の部位に関しては、図2と同一の番号で示した。
実施例1と同一の条件で、NiFe膜をガラス基板上に、300nm厚に成膜させ、エロージョンエリアの直径/基板の直径と異方性磁界との関係を評価した。異方性磁界の評価方法は、実施例1に記載した方法と同一である。
【0034】
前述の図3中の33に、本実施例のターゲットに孔72を設けた場合の、エロージョンエリアの直径/基板の直径と異方性磁界との関係を示す。ターゲットの孔72が無い実施例1(図中の31)の場合と同様、エロージョンエリアの直径/基板の直径が1よりも大きい場合のように、前述の角度Θが例えば10度以上である条件下では、基板面への成膜粒子の斜め入射により、基板全面にわたって均一な磁気異方性が誘発され、かつ同比率の増加と共に異方性磁界は増大した。また、ターゲットに孔72を設けることにより、このような孔を設けていない実施例1の場合に比べて大きな異方性磁界が誘発され、その値は遮蔽板61を設けた実施例2の場合(図3中の32)と同等であった。
更に、実施例1の場合と同様の方法で、誘発された磁気異方性の耐熱性を評価した。その結果、異方性磁界の絶対値に関して、若干の差異があるものの、前述の図5の51に示した結果とほぼ同等の結果が得られ、比較例に比べて高い耐熱性を有していることが確認された。
【0035】
(実施例4)
FeTaC(Fe:78.3at%, Ta:8at%, C:13.7at%)から成るターゲットを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、FeTaC膜をガラス基板上に300nm厚に成膜させ、エロージョンエリアの直径/基板の直径と異方性磁界との関係を評価した。異方性磁界の評価方法は、実施例1に記載した方法と同一である。
図10中の101に、エロージョンエリアの直径/基板の直径と堆積されたFeTaC膜の異方性磁界との関係を示す。なお、図中( )内数値は、前述したΘの値を示したものである。
本実施例においても、エロージョンエリアの直径/基板の直径が1よりも大きい場合のように、前述の角度Θが例えば10度以上であり、基板面に成膜粒子を斜め入射させて成膜が行われる条件下では、基板全面にわたって均一な磁気異方性が誘発され、かつ同比率の増加と共に異方性磁界は増大した。
更に、実施例1の場合と同様の方法で、誘発された磁気異方性の耐熱性を評価した結果、前述の図5の51に示した結果とほぼ同等の結果が得られ、高い耐熱性を有していることが確認された。
【0036】
(実施例5)
CoTaZr(Co:88at%, Ta:7at%, Zr:5at%)から成るターゲットを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、CoTaZr膜をガラス基板上に300nm厚に成膜させ、エロージョンエリアの直径/基板の直径と異方性磁界との関係を評価した。
図10中の102に、エロージョンエリアの直径/基板の直径と異方性磁界との関係を示す。本実施例においても、エロージョンエリアの直径/基板の直径が1よりも大きい場合のように、前述の角度Θが例えば10度以上であり、基板面に成膜粒子を斜め入射させて成膜が行われる条件下では、基板全面にわたって均一な磁気異方性が誘発され、かつ同比率の増加と共に異方性磁界は増大した。
更に、実施例1の場合と同様の方法で、誘発された磁気異方性の耐熱性を評価した結果、前述の図5の51に示した結果とほぼ同等の結果が得られ、高い耐熱性を有していることが確認された。
【0037】
(実施例6)
FeCoB(Fe:50at%, Co:40at%, B:10at%)から成るターゲットを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、FeCoB膜をガラス基板上に300nm厚に成膜させ、エロージョンエリアの直径/基板の直径と異方性磁界との関係を評価した。
図10中の103に、エロージョンエリアの直径/基板の直径と異方性磁界との関係を示す。本実施例においても、エロージョンエリアの直径/基板の直径が1よりも大きい場合のように、前述の角度Θが例えば10度以上であり、基板面に成膜粒子を斜め入射させて成膜が行われる条件下では、基板全面にわたって均一な磁気異方性が誘発され、かつ同比率の増加と共に異方性磁界は増大した。
更に、実施例1の場合と同様の方法で、誘発された磁気異方性の耐熱性を評価した結果、前述の図5の51に示した結果とほぼ同等の結果が得られ、高い耐熱性を有していることが確認された。
【0038】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、良好でかつ熱的安定性の優れた磁気異方性を有する軟磁性層を備え、高記録密度化が可能で、量産性にも優れた、垂直磁気記録方式の磁気ディスクに好適なディスク基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における基板とターゲットの構成を示す概略斜視図である。
【図2】同概略側断面図である。
【図3】実施例における異方性磁界の(エロージョンエリアの直径/基板の直径)依存性の結果を示す図である。
【図4】異方性磁界の耐熱性評価方法を説明するための概略図である。
【図5】異方性磁界の熱処理時間変化を示す図である。
【図6】実施例2における基板とターゲットの構成を示す概略側断面図である。
【図7】実施例3における基板とターゲットの構成を示す概略側断面図である。
【図8】磁気ディスクの概略側断面図である。
【図9】磁気ディスクの再生信号波形の概略図である。
【図10】実施例における異方性磁界の(エロージョンエリアの直径/基板の直径)依存性の結果を示す図である。
【符号の説明】
11 基板
12 ターゲット
13 ターゲットのエロージョンエリア
22 軟磁性層
61 遮蔽板
71 ターゲット
81 ガラス基板
82 NiFe膜
83 Ti膜
84 Ru膜
85 CoCrPtB膜
86 カーボン保護膜
87 液体潤滑層

Claims (4)

  1. 基板表面に成膜粒子を成膜して軟磁性層を形成する垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法であって、
    前記軟磁性層はスパッタリング法により成膜され、
    軟磁性層の磁化困難軸が円周方向となるように、基板の中心から、(基板に設けた中心孔の半径+基板の半径)/2だけ離れた基板面の位置における基板面の法線方向と該位置におけるターゲットのエロージョンエリアを臨む方向との成す角度が10度以上となる条件下で、前記成膜粒子を基板面に斜め入射させて成膜することを特徴とする垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法。
  2. 前記成膜粒子の入射角は、基板面の法線に対してディスクの外側に傾いていることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法。
  3. スパッタリングターゲットのエロージョンエリアの直径が、前記基板の直径以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の垂直磁気記録媒体用ディスク基板の製造方法。
  4. 請求項1乃至の何れかに記載の製造方法により得られる垂直磁気記録媒体用ディスク基板上に、垂直磁気記録層を形成してなることを特徴とする垂直磁気記録ディスク。
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