JP4342702B2 - 抗スナッギング性に優れた編地 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗スナッギング性に優れた編地に関するものであり、更に詳しくは、織物とほぼ同等の抗スナッギング性を有する層構造編地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、編地は、ジャージーに代表されるように、織物と同様、外衣用の布帛として各種衣料用途に用いられてきた。編地は、伸縮性に富み、風合がソフトである反面、その構成糸条がループを形成して布帛表面に突出しているため、織物に比べてピリングやスナッギングが発生し易いという欠点を有しており、この欠点を改良する方法が種々検討されてきた。
【0003】
例えば、編地のピリング発生防止に関しては、反応性アクリル酸エステル系の樹脂で被覆する方法や、特に構成繊維がポリエステル繊維など、強度の大きい繊維の場合、ジエチレングリコールで編地を処理し、該編地の構成繊維の強度を低下させて発生したピルを脱落させる方法(U.S.P2,938,811)などが知られている。
【0004】
しかしながら、上記の方法は、ピリングの発生防止にはある程度の効果を奏するものの、編地の風合が硬くなったり、糸条の内部から繊維が引き出されることによって発生するスナッギングに対しては、充分な効果が発現しないという問題があり、その解決が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の有する問題点を解消し、織物とほぼ同等の抗スナッギング性を有する編地を、通常の製編工程を用いた簡便な方法により提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、編地の表面層を構成する糸条に撚を付与するとき、抗スナッギング性が著しく改良できると共に、該表面層を細繊度の結接糸で裏面層に結接させた層構造の編地とすれば上記効果がさらに顕著に発現することを見出し、本発明に想到した。
【0007】
かくして本発明によれば、表面層、裏面層及び該表面層と該裏面層とを結接する結接糸条群とから構成されてなる編地であって、該表面層を構成する糸条の総繊度が83.3〜333dtexであり、且つ該表面層を構成する糸条の撚係数が38.7〜129であり、かつ表面層を構成する糸条の総繊度と結接糸条の総繊度との比が1:0.8〜1:0.2であることを特徴とする抗スナッギング性に優れた編地が提供される。
【0008】
ここで、撚係数は下記式により算出される値である。
【0009】
【数2】
Figure 0004342702
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する糸条とは、天然繊維や合成繊維或いは半合成繊維など、従来公知のものが任意に使用できるが、強度が大きく、発生したピルやスナッグが脱落しにくいポリエステル繊維を使用したとき、その効果が顕著に発現するので好ましい。
【0011】
本発明の編地は、表面層、裏面層及び該表面層と該裏面層とを結接する結接糸条群とから構成されている。このような編地は従来公知の組織により編成することが可能であり、具体的には、片側結接等の編組織が例示される。
【0012】
本発明においては、上記編地の表面層を構成する糸条は総繊度が83.3〜333dtexであり、且つ撚係数が38.7〜129であることが必要である。
【0013】
ここで、撚係数は下記式により算出される値である。
【0014】
【数3】
Figure 0004342702
【0015】
ここで、編地の表面層を構成する糸条の総繊度が83.3dtex未満の場合は抗スナッギング性が低下し、一方、該総繊度が333dtexを越える場合は編地の風合が硬くなる。
【0016】
また、編地の表面層を構成する糸条の撚係数が38.7未満の場合は抗スナッギング性が低下し、一方、該撚係数が129を越える場合は編地の風合が硬くなる。好ましい撚係数の範囲は51.0〜97.0であり、より好ましい範囲は60.0〜78.0である。
【0017】
また、本発明においては、表面層を構成する糸条の総繊度と結接糸条の総繊度との比が1:1〜1:0.2であることが好ましい。
【0018】
ここで、表面層を構成する糸条の総繊度と結接糸条の総繊度との比が1:0.2未満の場合、即ち(B)の総繊度が(A)の総繊度に比べて著しく小さい場合は、編地の機械的特性が低下する場合があり、一方、(A)の総繊度:(B)の総繊度が1:1を越える場合、即ち(B)の総繊度が(A)の総繊度より大きい場合は、編地の抗スナッギング性が低下する場合がある。(A)の総繊度:(B)の総繊度のより好ましい範囲は1:0.8〜1:0.2である。
【0019】
さらに、本発明において、上記編地の裏面層を構成する糸条には特に制限はなく、フラットヤーンや仮撚加工糸などの糸条を任意に使用することができる。
【0020】
上記本発明の編地は従来公知の方法により製編することができる。例えば、丸編機のシリンダー側に表面層を構成する糸条(撚糸糸条)及び結接糸条を配し、ダイヤル側に裏面層を構成する糸条を配して、それぞれシリンダーニット、シリンダータック及びダイヤルニットを形成させることにより、表面層、裏面層及び該表面層と該裏面層とが結接糸条により結接された編地を得ることができる。
【0021】
この際、編地の密度等には特に制限はなく、編地の用途等に応じて適宜設定すれば良い。また、製編後の染色仕上加工についても特に制限はなく、従来公知の方法が任意に採用できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中の各物性は下記の方法により測定した。
(1)スナッギングの発生
JIS 1058−D法のD−3法に準じ、30時間後のスナッギングの発生状態を評価した。
(2)毛羽の発生
上記(1)のスナッギングの評価において、編地の表面層を構成する糸条の毛羽の発生状態を官能判定した。
【0023】
[実施例1〜4、比較例1]
福原精機(株)製、24ゲージの33インチダブル編機を用い、編地の表面層を構成する糸条として167dtex/48フィラメントのポリエステルウーリー糸、結接糸条として333dtex/96フィラメントのポリエステルウーリー糸、及び裏面層を構成する糸条として167dtex/30フィラメントのポリエステルウーリー糸並びにポリエステル/綿混の42番手紡績糸を使用し、表1に示す組織を有する編地を得た。
この際、表面層を構成する糸条には表4に示す撚数の撚を施した。得られた編地のスナッギングの発生状態及び毛羽の発生状態を併せて表4に示す。
【0024】
[実施例5]
実施例1と同じ編機を使用し、編地の表面層を構成する糸条として167dtex/48フィラメントのポリエステルウーリー糸、結接糸条として111dtex/24フィラメントのポリエステルウーリー糸、及び裏面層を構成する糸条としてポリエステル/綿混の42番手紡績糸を使用し、表2に示す組織を有する編地を得た。
この際、表面層を構成する糸条には500T/mの撚を施した。得られた編地のスナッギングの発生状態及び毛羽の発生状態を表4に示す。
【0025】
[実施例6]
実施例1と同じ編機を使用し、編地の表面層を構成する糸条として167dtex/48フィラメントのポリエステルウーリー糸、結接糸条として編地の表面層を構成する糸条と同じ167dtex/48フィラメントのポリエステルウーリー糸、及び裏面層を構成する糸条として167dtex/30フィラメントのポリエステルウーリー糸並びにポリエステル/綿混の42番手紡績糸を使用し、表3に示す組織を有する編地を得た。
この際、表面層を構成する糸条及び結接糸条には500T/mの撚を施した。得られた編地のスナッギングの発生状態及び毛羽の発生状態を表4に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0004342702
【0027】
【表2】
Figure 0004342702
【0028】
【表3】
Figure 0004342702
【0029】
【表4】
Figure 0004342702

Claims (2)

  1. 表面層、裏面層及び該表面層と該裏面層とを結接する結接糸条群とから構成されてなる編地であって、該表面層を構成する糸条の総繊度が83.3〜333dtexであり、且つ該表面層を構成する糸条の撚係数が38.7〜129であり、かつ表面層を構成する糸条の総繊度と結接糸条の総繊度との比が1:0.8〜1:0.2であることを特徴とする抗スナッギング性に優れた編地。
    ここで、撚係数は下記式により算出される値である。
    Figure 0004342702
  2. 表面層を構成する糸条の撚係数が51.0〜90.0である請求項1記載の抗スナッギング性に優れた編地。
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