JP4341960B2 - カルシウム注入方法及び装置 - Google Patents
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Description
の被膜をつくることで防止できること、及び安価であることで、他のアルカリを使用することより優れている。
しかしながら、消石灰は、その溶解時に薬剤飛散の問題があることや、溶解度が非常に低いことから、スラリー状として使用される場合が多い。しかし、スラリー状として使用する場合、水道水のpH調整のための後アルカリとして注入すると、浄水池の底部に消石灰やその他の沈殿物が生じるなどの問題があり、他のアルカリに比べ現状では採用例が少ない。消石灰を飽和溶液として注入すれば、上記のような問題は解決されるので、最近連続的に消石灰の飽和溶液を作りだす装置が開発されてきている。
(a)消石灰は、粉末状態で大気中の二酸化炭素と反応して、或いは水中で炭酸イオンと反応して炭酸カルシウムを生成する。炭酸カルシウムの溶解度は、消石灰の溶解度に比べて極めて小さいために、消石灰を溶解すると炭酸カルシウムが不溶解物質として残留する。炭酸カルシウムは、消石灰粒子の表面を覆うように生成するために、内部の消石灰粒子も溶解せずに残留してしまう。このため、添加した消石灰が有効に利用されない。また、水道添加用の市販の消石灰には、二酸化珪素などの不溶解性物質が含まれている。
水道水に消石灰を注入する場合には、このような炭酸カルシウムや二酸化珪素などの不溶解性物質を注入前に除去する必要がある。
沈降分離によって除去する場合には、不溶解性物質が沈降するように、上昇流速を十分に低くする必要があるために、分離槽の設置面積が大きくなる。溶解槽と分離槽を兼ねている場合には、撹拌機の回転速度が低速に制限されるために、十分な溶解効率を得られない。
溶解は、溶解槽に回分的に投入して溶解しており、連続溶解でないために、溶解停止時間中に注入する溶解液を確保するための貯留槽を設ける必要がある。機器点数の増加、装置占有面積が増大、維持管理負荷の増加を招く。
前記カルシウム注入方法において、アルカリ性溶液は、浄水に添加する前に固液分離して沈殿物を除去することができ、該溶液は、pHが11〜13になるように、浄水の一部に鉱酸と消石灰とを添加して得ることができる。
また、飲料水の腐食性を減少させるカルシウム注入装置において、該飲料水として用いる浄水の分岐流路に、硫酸以外の鉱酸と消石灰とを添加する手段と、得られるアルカリ性溶液を前記飲料水として用いる浄水の主流路に添加する手段とを有することを特徴とするカルシウム注入装置としたものである。
前記カルシウム注入装置において、分岐流路には、鉱酸と消石灰とを添加する手段の後に、pH制御のための溶解槽及び/又は固液分離装置を配備することができる。
(a)炭酸カルシウムの生成を防止することができ、未溶解カルシウムを完全になくすことができる。
(b)消石灰の溶解速度が速まり、溶解効率が良くなるため、溶解槽を不要に、もしくは最小化が図れる。
(c)未溶解カルシウムが完全になくなり、かつ混合液における消石灰濃度を高濃度にすることができるので、混合液量が少なくなり、消石灰中の二酸化珪素等の不純物の分離が容易になると共に、確実性が増す。
図1は、本発明の一実施形態を示すフロー構成図であり、浄水工程で処理された浄水1を消石灰溶解液として用いる。この浄水1に塩酸2を添加して、その後で消石灰3を添加する。酸としては、硫酸以外の鉱酸である塩酸、硝酸等が使用できる。硫酸は、石膏を生成させるので適切ではない。また、消石灰添加の後に硫酸以外の鉱酸を添加しても構わない。
酸添加量は、消石灰添加量に従い決定される。消石灰添加後のpHが11から13が望ましく、さらに望ましくはpH12から12.5である。pH13以上であると、消石灰の溶解度が低下すると共に炭酸カルシウムが残存する。また、pHが11以下であると、酸の添加量が多量になると共に、後に示す飲料水7のランゲリア指数を低下する傾向に向かうので好ましくない。事前に試験を行って、消石灰添加量に見合う酸添加量を決定しても良い。
溶解槽5は省略することができる。確実性を高める目的で15分から30分の溶解槽を設置しても良いが、酸と消石灰の添加量が適切に管理できれば、溶解槽5は不要となる。ところで、従来法の溶解時間は、一般に90分から120分であり、溶解槽を設置したとしても大幅の短縮できる。
図1は、鉱酸が消石灰より先に添加する方法であるが、消石灰を先に鉱酸を後に添加する方法でも良い。この場合、浄水1中の重炭酸イオンと消石灰が反応するため、一時的に炭酸カルシウムが生成する。しかしながら、鉱酸を添加することによって、炭酸カルシウムは短時間で溶解できるため大きな問題にはならない。また、pH制御する場合にはpH応答が早いため、図1のフローにくらべて狭いpH範囲での制御が可能になる利点がある。
図1のフローにしたがって実施した実験結果を表1に示す。溶解水として用いた浄水は、すべて共通でランゲリア指数−1.7である。なお、RUN1−3とRUN2−4については、消石灰を先に、塩酸を後に添加するフローである。また、RUN1−1とRUN2−1とは、二酸化珪素等の不溶物質を含まない試薬特級消石灰(関東化学社製)を用いた。そのため、固液分離工程を省略した。その他の実験では水道用消石灰を用いた。
RUN2:消石灰添加量をRUN1の10倍量である15000mg/Lとし、塩酸添加後の混合液pHを12.0とした例である。飲料水中の消石灰添加量が17から34mg/Lの場合、ランゲリア指数は−1.0より高くなり、改善効果が認められる。
RUN1−1、1−2、2−1では、溶解槽5を特に必要とせず、塩酸を添加した時点で消石灰はすぐさま溶解した。
RUN1−1及びRUN2−1では、不純物のない消石灰を用いたが、その他のRUNでは固液分離6が不可欠であった。二酸化珪素を主体とした不純物の沈降速度を測定した結果、0.2mm/minであることがわかった。単純沈殿池を用いて固液分離しても良いが、用地に制限がある場合やコスト縮減を目的として、サイクロンや遠心分離、ろ過などが適用できる。
Claims (5)
- 飲料水の腐食性を減少させるカルシウム注入方法において、該飲料水として用いる浄水の一部と硫酸以外の鉱酸と消石灰とで構成されるアルカリ性溶液を、前記飲料水として用いる浄水に添加することを特徴とするカルシウム注入方法。
- 前記アルカリ性溶液は、浄水に添加する前に固液分離して沈殿物を除去することを特徴とする請求項1記載のカルシウム注入方法。
- 前記アルカリ性溶液は、pHが11〜13になるように、浄水の一部に鉱酸と消石灰とを添加して得ることを特徴とする請求項1又は2記載のカルシウム注入方法。
- 飲料水の腐食性を減少させるカルシウム注入装置において、該飲料水として用いる浄水の分岐流路に、硫酸以外の鉱酸と消石灰とを添加する手段と、得られるアルカリ性溶液を前記飲料水として用いる浄水の主流路に添加する手段とを有することを特徴とするカルシウム注入装置。
- 前記分岐流路には、鉱酸と消石灰とを添加する手段の後に、pH制御のための溶解槽及び/又は固液分離装置を配備することを特徴とする請求項4記載のカルシウム注入装置。
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