JP4341513B2 - ハーネスプロテクタ - Google Patents
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Description
プロテクタとインジェクタはいずれも温度変化の大きいエンジンルーム内に配置されるのであるが、インジェクタのケースが金属製であるのに対し、プロテクタは軽量化を図るために合成樹脂製とされていて、両者の熱膨張率が異なるため、プロテクタを複数箇所で直接インジェクタケースに固定してしまうと、温度の変動に伴なってインジェクタが破損してしまう虞がある。
尚、ハーネスプロテクタの一例としては、特許文献1に開示されているものなどが知られている。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数の削減を図ることを目的とする。
温度変化に伴なって機器に固定されている取付部間の間隔が変動したとき、プロテクタ本体のうち固定具に対する1箇所の係止箇所を除いた領域は、固定具の熱収縮変形の影響を受けることなく、独立して熱収縮変形することができるので、プロテクタ本体が機器及び固定具との熱膨張率の違いに起因して破損する虞はない。固定具は、複数の取付部を連結部で連結した形態であるため、1つのプロテクタ本体に対して固定具の数を1つだけで済ますことができ、部品点数の削減を図ることができる。
プロテクタ本体が略U字形のケースからなるので、プロテクタ本体が筒状をなしていてそこにハーネスを挿通させる構造のものに比べると、ハーネスをケース(プロテクタ本体)内に収容する作業が容易である。また、ケースの開口部を塞ぐ手段として固定具を用いたので、固定具とは別に専用のカバーを用いる必要がなく、部品点数が少なくて済む。
プロテクタ本体が略U字形のケースの開口部をカバーで塞いだ形態となっているので、プロテクタ本体が筒状をなしていてそこにハーネスを挿通させる構造のものに比べると、ハーネスをケース(プロテクタ本体)内に収容する作業が容易である。また、カバーは、板状をなすため、熱収縮変形に伴って反りを生じることが懸念されるが、本発明では、カバーの外面に金属製の固定具を重ね合わせたので、カバーの反りを防止することができる。
プロテクタ本体と固定具を組み付けた状態では、ビスの頭部が保持部で包囲されることで離脱規制されることにより、ビスはプロテクタと一体化される。したがって、ビスを機器に螺合する際の作業性がよい。また、金属板材を曲げ加工してビスの頭部を保持する構造のものでは、曲げの加工工程が複雑になるため、製造コストの増大が懸念されるが、本発明では、プロテクタ本体に形成されている保持部でビスの頭部を包囲するだけなので、ビスの頭部を保持するための加工コストを低減することができる。
ビスを機器に螺合しないときには、ビスを待機位置に保持しておけば、ビスのネジ部が取付部の外部へ突出して他部材を傷付けること等を回避できる。また、ビスを機器に螺合するときには、ビスを螺合位置へ変位させればよい。
取付部と保持部が、プロテクタ本体と固定具とを相対変位規制する手段を兼ねているので、専用の相対変位規制手段をプロテクタ本体と固定具に設ける場合に比べると、構造の簡素化を図ることができる。
プロテクタ本体と固定具が、プロテクタ本体の長さ方向における端部において相対変位規制状態に係止されている場合には、反対側の端部におけるプロテクタ本体と固定具との間の最大相対変位量が大きくなり、その分、プロテクタ本体の摩耗の程度も大きくなる。これに対し本発明では、プロテクタ本体と固定具を、プロテクタ本体の長さ方向における中央位置で係止させているので、プロテクタ本体と固定具との間の最大相対変位量を小さくして、プロテクタ本体の摩耗を低減することができる。
プロテクタ本体が略U字形のケースの開口部をカバーで塞いだ形態となっているので、プロテクタ本体が筒状をなしていてそこにハーネスを挿通させる構造のものに比べると、ハーネスをケース(プロテクタ本体)内に収容する作業が容易である。また、固定具が、連結部をケースにおける開口部とは異なる外面に重ねる形態でプロテクタ本体に組み付けられているとともに、プロテクタ本体が、カバーを機器の外面と対向させない形態で固定されるようにしたので、プロテクタを機器に固定した状態でも、カバーをケースから外してハーネスの着脱を行うことが可能であり、メンテナンス等の作業性がよい。
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図13を参照して説明する。本実施形態のハーネスプロテクタPaは、ハーネスが収容される細長い合成樹脂製のプロテクタ本体10と、金属製の固定具30とを組み付けて構成され、固定具30の取付部31A,31Bを機器Mに固定することでプロテクタ本体10が機器Mの上面に載置されるように取り付けられるようになっている。
温度変化に伴なって機器Mに固定されている取付部31A,31B間の間隔が変動したとき、プロテクタ本体10のうち固定具30に対する1箇所の係止箇所(中央の保持部20Aと取付部31Aとの嵌合部分)を除いた領域は、固定具30の熱収縮変形の影響を受けることなく、独立して熱収縮変形することができるので、プロテクタ本体10が機器M及び固定具30との熱膨張率の違いに起因して破損する虞はない。また、固定具30は、複数の取付部31A,31Bを連結部32で連結した形態であるため、1つのプロテクタ本体10に対して固定具30の数を1つだけで済ますことができ、部品点数の削減を図ることができる。
次に、本発明を具体化した実施形態2を図14及び図15を参照して説明する。本実施形態2のハーネスプロテクタPbは、プロテクタ本体40が、合成樹脂製の略U字形断面をなすケース41からなり、ケース41の開口部42を固定具45の連結部47で塞いだ形態となっている。つまり、ケース41と固定具45との2部品によって、ハーネスを包囲する筒状体が構成されており、実施形態1のカバー13に相当する部材は備えていない。固定具45の連結部47は、ケース41のほぼ全長に亘る長さを有し、連結部47の前後両縁部がケース41の受け部43に対して直接嵌合されている。また、固定具45とケース41は、3つの保持部20A,20Bのうち中央の保持部20Aと、3つの取付部46A,46Bのうち中央の取付部46Aとの嵌合部分のみにおいて長さ方向への相対変位を規制されている。
尚、上記以外の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
次に、本発明を具体化した実施形態3を図16ないし図19を参照して説明する。本実施形態3のハーネスプロテクタPcのプロテクタ本体50は、略U字形断面をなすとともに上面が開口部52とされた合成樹脂製のケース51と、ケース51の開口部52を塞ぐ合成樹脂製の板状のカバー53とから構成されている。ケース51の開口部52の前後両縁部には、実施形態1と同様に、前面壁54Fと後面壁54Rの上端部を段差状に切欠した形態の受け部55がケース51の全長に亘って形成されている。また、ケース51の前後両面壁54F,54Rには、実施形態1と同様に、開口部52の開口縁における長さ方向に間隔を空けた4箇所から上方へ小さく突出した形態の係止爪56が形成されている。この上面の開口部52にはカバー53が組み付けられ、係止爪56によりカバー53が組付け状態に保持される。一方、ケース51の下面には、実施形態1の凹部27と同じく固定具30の連結部32を嵌合させるための凹部57が形成されている。また、ケース51の下面には、その前後両縁部から下方へ突出する複数の係止爪58が形成されている。
尚、その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では固定具をビスによって固定したが、本発明によれば、ビス止めに限らず、爪片などを用いた係止構造によって固定してもよい。
(2)上記実施形態ではプロテクタ本体の保持部によってビスの頭部を包囲するように保持したが、本発明によれば、固定具の一部を曲げ加工することによってビスの頭部を保持するようにしてもよい。
(3)上記実施形態では取付部の数を3つとしたが、本発明によれば、取付部の数は、2つ又は4つ以上としてもよい。
(4)上記実施形態では固定具とプロテクタの係止位置をプロテクタの長さ方向中央位置としたが、本発明によれば、プロテクタと固定具の係止位置は、プロテクタの長さ方向における端部、若しくは固定具の長さ方向における端部としてもよい。
(5)上記実施形態では固定具とプロテクタ本体との係止を、取付部と保持部との嵌合構造を利用して行ったが、本発明によれば、固定具とプロテクタ本体の相対変位を規制する専用の手段を設けてもよい。
(6)上記実施形態では1つプロテクタに1つの固定具を組み付けるようにしたが、本発明によれば、1つのプロテクタに対して複数の固定具を組み付けてもよい。
(7)上記実施形態ではプロテクタをケースとカバーとの2部材構造としたが、本発明によれば、プロテクタはカバーなしの筒状とし、ハーネスをプロテクタの一端から挿入するようにしてもよい。
(8)上記実施形態ではカバーで塞ぐ開口部を本体の上面または下面(機器と対向する面)に設けたが、本発明によれば、カバーで塞ぐ開口は本体の側面に設けてもよい。
(9)上記実施形態では固定具の連結部をプロテクタ本体の上面または下面(機器と対向する面)に重ねるように組み付けたが、本発明によれば、連結部をプロテクタ本体の側面に重ねるように組みつけてもよい。
(10)上記実施形態では固定具の取付部と連結部が、互いに概ね平行で且つ段差状に高さが異なるように連なった形態となっているが、本発明によれば、連結部と取付部とが、互いに同じ高さで面一状に連なる形態や、互いに略直角に連なる形態であってもよい。
(11)上記実施形態では固定具の連結部が、プロテクタ本体の4つの外面のうちいずれか1つの外面のみに重なる形態としたが、本発明によれば、連結部を略L字形または略U字形として、その連結部がプロテクタ本体の2つの外面または3つの外面に重なる形態としてもよい。
(12)上記実施形態ではプロテクタが略U字形断面のケースと板状のカバーとによって角筒状をなしているが、本発明によれば、略U字形の2つのケースまたは略L字形の2つのケースを、その開口部同士を突き合わせるように組み付けることで角筒状としてもよい。
M…機器
V…ビス
Va…頭部
Vb…ネジ部
10…プロテクタ本体
11…ケース
13…カバー
20A,20B…保持部
21…弾性係止片
30…固定具
31A,31B…取付部
32…連結部
Pb,Pc…ハーネスプロテクタ
40,50…プロテクタ本体
41,51…ケース
45…固定具
46A,46B…取付部
47…連結部
53…カバー
Claims (8)
- ハーネスが収容される細長い合成樹脂製のプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体の長さ方向に間隔を空けた複数の取付部を細長い連結部により連結した形態の金属製の固定具とを備え、
前記プロテクタ本体と前記固定具とを、前記プロテクタ本体の長さ方向における1箇所のみにおいて相対変位規制状態に係止し且つその他の領域では前記プロテクタ本体の長さ方向への相対変位を許容された状態に組み付けて構成され、
前記複数の取付部を機器に固定することで前記プロテクタ本体が前記機器に取り付けられるようにしたハーネスプロテクタであって、
前記プロテクタ本体は、前記連結部と嵌合可能な細長い凹部と、長さ方向に間隔を空けた複数の嵌合部とを備え、
前記複数の取付部のうち1つの前記取付部は、1つの前記嵌合部に対しクリアランスを空けずに相対変位を規制された状態で嵌合され、
前記複数の取付部のうち他の前記取付部は、他の前記嵌合部に対しクリアランスを空けた状態で嵌合されることで長さ方向への相対変位を許容されており、
前記凹部と前記連結部は、クリアランスを空けて嵌合されることで長さ方向への相対変位を許容されていることを特徴とするハーネスプロテクタ。 - 前記プロテクタ本体が略U字形断面のケースからなり、
前記ケースの開口部が前記固定具の前記連結部で塞がれることにより、前記ハーネスを包囲する筒状体が構成されていることを特徴とする請求項1記載のハーネスプロテクタ。 - 前記プロテクタ本体が略U字形のケースと、前記ケースの開口部を塞ぐ板状のカバーとから構成され、
前記カバーの外面に重ねられるように前記固定具の前記連結部が組み付けられていることを特徴とする請求項1記載のハーネスプロテクタ。 - 前記取付部が、前記機器に螺合されるビスの貫通を可能とされた板状をなしており、
前記プロテクタ本体には、前記取付部に嵌合することで前記ビスの頭部を包囲するように保持可能な保持部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のハーネスプロテクタ。 - 前記保持部で保持されている前記ビスが、そのネジ部を前記保持部内に収容する待機位置と、前記ネジ部を前記取付部から外部へ突出させる螺合位置との間で変位可能とされており、
前記保持部には、弾性変形することで前記ビスの前記待機位置と前記螺合位置との間での変位を許容し、且つ前記ビスを係止させることで前記ビスを前記待機位置と前記螺合位置とのいずれかに選択的に係止させる弾性係止片が形成されていることを特徴とする請求項4記載のハーネスプロテクタ。 - 前記プロテクタ本体と前記固定具が、前記取付部と前記保持部との嵌合部分において相対変位規制状態に係止されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のハーネスプロテクタ。
- 前記プロテクタ本体と前記固定具が、前記プロテクタ本体の長さ方向における中央位置において相対変位規制状態に係止されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のハーネスプロテクタ。
- 前記プロテクタ本体が、略U字形断面のケースと、前記ケースの開口部を塞ぐカバーとから構成され、
前記固定具が、前記連結部を前記ケースにおける前記開口部とは異なる外面に重ねる形態で前記プロテクタ本体に組み付けられ、
前記プロテクタ本体が、前記カバーを前記機器の外面と対向させない形態で固定される構成としたことを特徴とする請求項1、請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のハーネスプロテクタ。
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