JP4341351B2 - 排気浄化器の浄化能力回復方法 - Google Patents

排気浄化器の浄化能力回復方法 Download PDF

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本発明は、内燃機関のフィルタ再生方法に関する。
従来から、カリウム(K)等のNOx保持剤を担持したパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」と称す)が知られている。このようなフィルタでは、排気ガス中に含まれる煤等の粒子状物質(particulate matter)を捕集することができる他、フィルタに流入する排気ガスの空燃比がリーンのときに排気ガス中のNOxを保持し、フィルタに流入する排気ガスの空燃比がリッチのときに保持しているNOxを離脱させることができ、離脱したNOxを排気ガス中の還元剤(HCやCO)によって還元・浄化させることができる。
このようなフィルタでは、フィルタに起因する圧損を低く維持するために、定期的にフィルタに堆積している粒子状物質を酸化・除去しなければならない。また、フィルタ表面上に付着した可溶性有機物質(以下、「SOF」と称す)がフィルタに担持された貴金属やNOx保持剤等を覆うことによる酸化能力低下およびNOx保持能力低下を防止するために、フィルタ表面上に付着したSOFも酸化・除去する必要がある。
また、NOx保持剤は排気ガス中のNOxだけでなくSOx等の硫黄成分を保持してしまい、これによりNOx保持剤のNOx保持能力が低下してしまうため、定期的にフィルタに担持されているNOx保持剤に保持されている硫黄成分を離脱させる必要がある。さらに、一般に、フィルタ表面上には貴金属を担持する担体層が設けられるが、この担体層に保持されている酸素量が多くなると、白金(Pt)等の貴金属(触媒金属)の酸化能力が低下してしまう。このため、フィルタ表面上の担体層に保持されている酸素を離脱させることも必要である。
このような必要性を満たすものとして、特許文献1〜特許文献4に記載の装置が挙げられる。特許文献1〜特許文献4に記載の装置は、NOx保持剤から硫黄成分を離脱させる硫黄除去処理、フィルタ表面上に堆積している粒子状物質を酸化・除去するPM除去処理、フィルタ表面上の担体層に保持されている酸素を離脱させる酸素除去処理(以下、これら処理を「除去処理」と総称す)を実行することで、フィルタまたはNOx保持剤を担持した排気浄化器の浄化能力を維持するようにしている。特に、これら装置では、内燃機関の運転停止時(すなわち、内燃機関への機関停止指令が検出された後)に上記処理を行うこととしており、これによりこれら処理を車両の運転中に行うことによる車両の運転性能(ドライバビリティ等)の悪化を防止している。
特開平10−231720号公報 特開平05−240027号公報 特開2000−8837号公報 特開平10−252527号公報 特開平06−272541号公報
ところで、特許文献1〜4に記載の装置では、各除去処理毎にその実行条件が決まっており、例えば、硫黄除去処理はNOx保持剤の硫黄成分保持量が所定保持量以上となった場合に実行され、PM除去処理はフィルタへの粒子状物質の堆積量が所定堆積量以上となった場合に実行される。
ところが、NOx保持剤を担持したフィルタにおいて、各除去処理が異なる実行条件で行われると、例えば、或る内燃機関の運転停止時にPM除去処理が実行され、次の内燃機関の運転停止時に硫黄除去処理が実行されてしまう等、除去処理の実行回数が増加する。
一方、上述した各除去処理においては、排気ガスの空燃比制御やフィルタの昇温等が必要であり、したがってこれら除去処理を実行するために燃料が消費される。
したがって、フィルタの浄化能力を回復させる方法(以下、「浄化能力回復方法」と称す)として除去処理の実行条件を各除去処理毎に独立して定め、各除去処理を独立して実行する方法を採用すると、無駄な排気ガスの空燃比制御やフィルタの昇温制御を行うこととなって除去処理の実行回数が増加し、結果的に燃費の悪化を招いてしまう。
そこで、本発明は、計画的に各除去処理を実行して燃費の悪化を抑制する排気浄化器の浄化能力回復方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明では、内燃機関の排気通路上に設けられたNOx保持剤および貴金属を担持した排気浄化器の浄化能力回復方法であって、上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持し、該排気浄化器の温度を所定温度範囲内に維持して、上記排気浄化器の表面上に堆積したSOFを除去するSOF除去工程と、上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持し、該排気浄化器の温度を上記所定温度範囲以上の温度に維持して、上記排気浄化器の表面上に堆積した煤分を除去するSoot除去工程と、上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比をリッチに維持し、該排気浄化器の温度を上記所定温度範囲以上の温度に維持して、上記NOx保持剤に保持された硫黄成分を離脱させる硫黄除去工程と、上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比をリッチに維持し、該排気浄化器の温度を上記所定温度範囲内に維持して、上記排気浄化器に保持された酸素を離脱させる酸素除去工程とを具備する排気浄化器の浄化能力回復方法において、上記除去工程のうちいずれか一つの除去工程を実行すべきであると判定されたときには、HC・SOF除去工程、Soot除去工程、硫黄除去工程および酸素除去工程をこの順序で実行する。
第1の発明によれば、HC・SOF除去工程、Soot除去工程、硫黄除去工程および酸素除去工程の各除去工程が別々に実行されるのではなく、一度に実行される。このため、或る除去工程を実行することによって昇温された排気浄化器の温度を通常運転時における温度にまで低下させることなくそのまま別の除去工程が実行されるため、この別の除去工程における昇温制御に必要な燃料が低減される。
なお、「排気浄化器」とは、担体と、この担体に担持された触媒作用を示す物質(例えば貴金属)とから成るものを意味し、この担体には排気ガス中の粒子状物質(煤分およびSOF)を捕集するパティキュレートフィルタも含まれるものとする。
第2の発明では、第1の発明において、上記HC・SOF除去工程、Soot除去工程、硫黄除去工程、および酸素除去工程の維持時間および各除去工程実行時における上記排気浄化器の維持温度は、それぞれ上記排気浄化器へのHC・SOF堆積量、煤堆積量、硫黄保持量、および酸素保持量に応じて変更される。
第2の発明によれば、排気浄化器へのHC・SOF堆積量、Soot堆積量、硫黄保持量、および酸素保持量に対して最低限必要な維持時間だけ最低限必要な維持温度において各除去工程が実行されるようにすれば、燃料消費量を最小限に抑えつつHCおよびSOF、Soot、硫黄成分および酸素を確実に除去することができる。
第3の発明では、第1または第2の発明において、上記除去工程のうちいずれか一つの除去工程を実行すべきであると判定されるときとは、Soot除去工程または硫黄除去工程を実行すべきであるときである。
Soot除去工程および硫黄除去工程では、排気浄化器の温度が所定温度範囲以上の温度にまで昇温されるため、燃料消費量が多い。一方、HC・SOF除去工程および酸素除去工程は、比較的少ない燃料消費量で実行することができる。そこで、第3の発明では、一連の除去工程全てを実行するのをSoot除去工程または硫黄除去工程を実行すべきときに限っている。これにより、いずれにせよ排気浄化器を所定温度範囲以上の温度に昇温しなければならないときにのみ一連の除去工程全てが実行されるため、燃料消費量を少なく抑えることができる。
第4の発明では、第1または第2の発明において、上記除去工程のうちいずれか一つの除去工程を実行すべきであると判定されるときとは、内燃機関の停止命令が検出されたときであって上記排気浄化器の表面上への煤分の堆積量が所定堆積量以上となっているときまたは上記NOx保持剤の硫黄成分保持量が所定保持量以上となっているときである。
一般に、内燃機関を搭載した車両の走行中等に上記各除去工程を実行しても、内燃機関の運転状態が様々に変化するため、各除去工程の実行条件を維持すること(例えば、排気ガスの空燃比をリッチに維持すること)は困難である。このため、各除去工程の実行には無駄に長い時間が必要となってしまう。第4の発明によれば、内燃機関の停止命令が検出されたとき、すなわち車両が走行しておらずに内燃機関の運転状態を自由に変更可能なときに行われるため、各除去工程に最適となるように排気ガスの空燃比および排気浄化器の温度を維持することができ、必要最低限の時間で各除去工程を完了することができる。
第5の発明では、第3の発明において、内燃機関の停止命令が検出されたときであって上記排気浄化器の表面上への煤分の堆積量が所定堆積量以上となっているときまたは上記NOx保持剤の硫黄成分保持量が所定保持量以上となっているときであっても、上記停止命令が検出されたときに上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比がリーンであって、上記排気浄化器の温度が上記所定温度範囲以上である場合には、上記HC・SOF除去工程を実行せず、上記Soot除去工程、硫黄除去工程および酸素除去工程をこの順序で実行する。
第5の発明では、本発明の浄化能力回復方法の実行開始時にSoot除去工程が実行されている場合には、Soot除去工程以降の除去工程のみが実行される。これにより、Soot除去工程の実行条件が満たされているにも関わらず、HC・SOF除去工程から順々に除去工程を実行して再びSoot除去工程を実行するという無駄な制御を行う必要がなく、燃料消費量を少なく抑えることができる。
第6の発明では、第3の発明において、内燃機関の停止命令が検出されたときであって上記排気浄化器の表面上への煤分の堆積量が所定堆積量以上となっているときまたは上記NOx保持剤の硫黄成分保持量が所定保持量以上となっているときであっても、排気ガスの空燃比がリッチであって上記排気浄化器の温度が上記所定温度範囲以上である場合には、上記HC・SOF除去工程およびSoot除去工程を実行せず、上記硫黄除去工程および酸素除去工程をこの順序で実行する。
第6の発明では、本発明の浄化能力回復方法の実行開始時に硫黄除去工程が実行されている場合には、硫黄除去工程以降の除去工程のみが実行される。これにより、硫黄除去工程の実行条件が満たされているにも関わらず、HC・SOF除去工程から順々に除去工程を実行して再び硫黄除去工程を実行するという無駄な制御を行う必要がなく、燃料消費量を少なく抑えることができる。
第7の発明では、第4の発明において、上記内燃機関を搭載した車両が該内燃機関と電動機とにより選択的にまたは同時に駆動されており、上記内燃機関の停止命令が検出されたときとは、上記車両が電動機のみによって駆動されているときである。
第7の発明によれば、車両が電動機のみによって駆動されているとき、すなわち車両の走行中に一連の除去工程が実行されるため、硫黄除去工程により硫黄成分が排出されても、排出された硫黄成分が大気中の特定の領域のみに溜まってしまうことが抑制される。
本発明によれば、様々な除去工程がそれぞれ独立して実行されるのではなく、一度に実行されるため、除去工程実行のための昇温制御回数等が少なく抑えられるため、燃費の悪化が抑制される。
以下、図面を参照して本発明の浄化能力回復方法を説明する。図1は本発明の浄化能力回復方法が用いられるディーゼル型の圧縮自着火式内燃機関を示す。なお本発明は火花点火式内燃機関にも適用可能である。
図1を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。
吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、さらに吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。図1に示した内燃機関では冷却装置18内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水により吸入空気が冷却される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19および排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21に連結され、排気タービン21の出口は排気管22を介して排気浄化器23を内蔵したケーシング24に連結される。
排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGR)通路25を介して互いに連結され、EGR通路25内には電気制御式EGR制御弁26が配置される。またEGR通路25周りにはEGR通路25内を流れるEGRガスを冷却するためのEGR冷却装置27が配置される。図1に示した内燃機関ではEGR冷却装置27内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水によりEGRガスが冷却される。
一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール28に連結される。このコモンレール28内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ29から燃料が供給され、コモンレール28内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール28にはコモンレール28内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ30が取り付けられ、燃料圧センサ30の出力信号に基づいてコモンレール28内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ29の吐出量が制御される。
電子制御ユニット40はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス41により互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45および出力ポート46を具備する。燃料圧センサ33の出力信号は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。
アクセルペダル49にはアクセルペダル49の踏込量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ50が接続され、負荷センサ50の出力電圧は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。さらに、入力ポート45には、クランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ51が接続される。また、フィルタ23の排気上流側と排気下流側とにはフィルタ23の排気上流と排気下流との間の差圧を検出するための差圧センサ52が設けられ、また、フィルタ23にはフィルタ23の温度を検出するための温度センサ53が設けられる。これら差圧センサ52および温度センサ53は、対応するAD変換器47を介して入力ポート45に接続される。出力ポート46は、対応する駆動回路48を介して、燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁26、および、燃料ポンプ29に接続される。
次に、本実施形態で用いられる排気浄化器23について説明する。本実施形態では、排気浄化器23として、白金(Pt)等の貴金属を担持したパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」と称す)23が用いられている。フィルタ23は、多孔性のセラミックから成り、したがってフィルタ23に流入する排気ガス中の煤分を捕集する捕集能力(以下、「Soot捕集能力」と称す)を有する。また、フィルタ23は、白金(Pt)のような貴金属を担持しているため、フィルタ23に流入した排気ガス中の成分を酸化する酸化能力を有する。
さらに、このフィルタ23には、後述するメカニズムで排気ガス中のNOxを保持するNOx保持能力を有するNOx保持剤が担持される。NOx保持剤は、NOx保持剤に(すなわちフィルタ23に)流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中のNOxを保持し、NOx保持剤に流入する排気ガスの空燃比がリッチとなったときに保持しているNOxを離脱させる。離脱したNOxは、排気ガス中に存在する炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元剤により還元され、浄化される。
このように、NOx保持剤を担持したフィルタ23は煤分捕集能力、酸化能力、およびNOx保持能力を有するが、酸化能力およびNOx保持能力は主に下記要因により低下せしめられる。また、フィルタ23の性能の指標の一つであるフィルタ23に起因する圧力損失(以下、「圧損」と称す)も下記要因により高くなってしまう。以下、これら要因と、各要因の解消方法について、図2を参照して説明する。
(1)煤分の堆積
フィルタ23に流入する排気ガス中には煤分が含まれており、これら煤分はフィルタ23を構成する隔壁の表面上または隔壁内に形成された細孔の表面上に付着することで捕集される。捕集された煤分はフィルタ23の表面上に徐々に堆積するため、堆積量が増えるとフィルタ23の細孔が閉塞してしまう。一方、フィルタ23に流入した排気ガスはこの細孔を通ってフィルタ23から排出される。このため、閉塞した細孔の数が増大すると、フィルタ23による排気ガスに対する流抵抗が大きくなり、フィルタ23に起因する圧損が大きくなってしまう。
このような事態を回避するために、多くのフィルタ23では、フィルタ23への煤分の堆積量が多くなった場合には、堆積している煤分を酸化・除去する処理(以下、「Soot除去処理」と称す)を実行することとしている。煤分は一定温度(例えば、600℃)以上の高い温度で且つ酸素の存在する雰囲気中でなければ燃焼しない。そこで、Soot除去処理は、フィルタ23の温度を煤分が燃焼する温度以上に維持しつつ、フィルタ23に流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持することによって行われる。すなわち、Soot除去処理は、排気ガスの空燃比およびフィルタ23の温度を図2のB、すなわちフィルタ23の温度が第二温度以上であってフィルタ23に流入する排気ガスの空燃比がリーンな状態に維持することによって行われる。
なお、フィルタ23への煤分の堆積量は、差圧センサ52の出力等に基づいて推定される。
(2)HC被毒(SOF被毒)
排気ガス中には、燃焼室5内で燃焼していない未燃の炭化水素が含まれる。この未燃の炭化水素は、フィルタ23の表面上、すなわちフィルタ23を構成する隔壁壁面上または隔壁内に形成された細孔の表面上に吸着する。また、排気ガス中には、燃焼時の高温で蒸発した燃料とエンジンオイル中の炭化水素(HC)が膨張行程の低温下で析出し、粒子状になったもの(可溶性有機物質。以下、「SOF」と称す)が含まれる。このSOFは、沸点の高い炭化水素であり、粘着性がある。このため、SOFはフィルタ23の表面上に付着する。
一方、フィルタ23の表面には、NOx保持剤および貴金属を担持した担体層が設けられている。HCおよびSOFは、これらNOx保持剤および貴金属を覆うように吸着または付着するため、フィルタ23の表面上に付着したHCおよびSOFの量(以下、「HC・SOF付着量」と称す)が増大すると、NOx保持剤のNOx保持能力や貴金属の酸化能力等が低下せしめられる(HC・SOF被毒)。
このような事態を回避するために、フィルタ23の表面上へのHC・SOF付着量が多くなった場合には、付着しているHCおよびSOFを酸化・除去する処理(以下、「HC・SOF除去処理」と称す)を実行することとしている。HCまたはSOFが酸化、燃焼する温度は上記煤分が酸化、燃焼する温度よりも低い(HCでは約300℃以上、SOFでは約400℃以上)。そこで、HC・SOF除去処理は、フィルタ23の温度をHCまたはSOFが燃焼する温度以上であって煤分が燃焼する温度以下に維持しつつ、フィルタ23に流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持することによって行われる。すなわち、HC・SOF除去処理は、排気ガスの空燃比およびフィルタ23の温度を図2のA、すなわちフィルタ23の温度が第一温度と第二温度との間であってフィルタ23に流入する排気ガスの空燃比がリーンな状態に維持することによって行われる。
なお、HCおよびSOFはフィルタ23の温度を煤分が燃焼する温度以上にしても酸化、燃焼するが、後述するようにフィルタ23の昇温は燃費の悪化を招くため、煤分が燃焼する温度以下に維持してフィルタ23の温度を低く抑えるようにしている。
また、フィルタ23の表面上へのHC・SOF付着量は、差圧センサ52の出力等に基づいて推定される。
(3)硫黄被毒
NOx保持剤では、通常、NOx保持量が増大してNOx保持能力が低下した場合には、NOx保持剤に流入する排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにすることにより保持されているNOxを離脱・還元してNOx保持能力を回復するようにしている。一方、フィルタ23に流入する排気ガス中にはSOxが含まれており、このSOxはNOx保持剤に保持される。NOx保持剤に保持されたSOxは上述したようにNOxを離脱・還元するときにもNOx保持剤から離脱しない。このため、NOx保持剤が保持しているSOxの量(以下、「SOx保持量」と称す)が増大すると、NOx保持剤のNOx保持能力が低下してしまう(硫黄被毒)。
このような事態を回避するために、NOx保持剤のSOx保持量が多くなった場合には、NOx保持剤に保持されているSOxを離脱させる処理(以下、「硫黄除去処理」と称す)を実行することとしている。NOx保持剤に保持されているSOxは、理論空燃比またはリッチ雰囲気中であってNOx保持剤の温度が一定温度(例えば、600℃)以上の高い温度でなければ離脱しない。そこで、硫黄除去処理は、フィルタ23の温度をNOx保持剤に保持されたSOxが離脱する温度以上に維持しつつ、フィルタ23に流入する排気ガスの空燃比をリッチにすることによって行われる。すなわち、硫黄除去処理は、排気ガスの空燃比およびフィルタ23の温度を図2のC、すなわちフィルタ23の温度が第二温度以上であってフィルタ23に流入する排気ガスの空燃比がリッチな状態に維持することによって行われる。
なお、NOx保持剤の硫黄保持量は、燃料噴射弁6等からの総燃料噴射量と、燃料中の硫黄含有率とに基づいて推定される。
(4)酸素被毒
フィルタ23に流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには、排気ガス中には多量の酸素が含まれている。これら酸素は、フィルタ23の表面上に吸着し、すなわちNOx保持剤および貴金属を覆うように吸着する。また、白金(Pt)等の貴金属は高温となると互いに結合して大粒となり、この結合反応はフィルタ23の表面上の担体層に保持されている酸素によって促進される。このため、フィルタ23の表面上に保持されている酸素の量(以下、「酸素保持量」と称す)が増大すると、NOx保持剤のNOx保持能力や貴金属の酸化能力等が低下せしめられる(酸素被毒)。
このような事態を回避するために、フィルタ23への酸素保持量が多くなった場合には、保持されている酸素を離脱させる処理(以下、「酸素除去処理」と称す)を実行することとしている。酸素を離脱させるためだけであれば、フィルタ23周囲を理論空燃比またはリッチ雰囲気に維持し、フィルタ23の温度を比較的低い一定温度(例えば、300℃)以上にすればよい。ただし、フィルタ23の温度が高温の状態で酸素を離脱させた後に、フィルタ23の温度が下がっていく間にフィルタ23周囲がリーン雰囲気になってしまうと、再び酸素が保持されてしまう。そこで、酸素除去処理は、フィルタ23に流入する排気ガスの空燃比をリーンにし、フィルタ23の温度を上記一定温度以上でありながら低い温度にすることによって行われる。すなわち、酸素除去処理は、排気ガスの空燃比およびフィルタ23の温度を図2のD、すなわちフィルタ23の温度が第一温度と第二温度との間であってフィルタ23に流入する排気ガスの空燃比がリッチな状態ににすることによって行われる。
なお、フィルタ23の表面における酸素保持量は、温度センサ53によって検出されたフィルタ23の温度が特定範囲内にあって且つフィルタ23に流入する排気ガスの空燃比がリーンである時間に基づいて推定される。ここで、特定範囲内とは、フィルタ23の周囲雰囲気がリーンであるとフィルタ23の表面上に酸素が保持されてしまうような温度範囲である。
なお、圧縮自着火式内燃機関では、通常の機関運転状態にあるときには、フィルタ23の温度が比較的低く、よって、上記各除去処理ではフィルタ23の温度の昇温が必要とされることが多く、この場合、フィルタ23を昇温するための昇温処理が行われる。昇温処理としては、例えば、内燃機関の燃焼室に燃料を噴射するタイミングを遅らせたり、内燃機関の燃焼室に機関駆動用の燃料を噴射した後に少量の燃料を噴射したり、フィルタ23上流において排気ガスに燃料を添加するための燃料添加装置(図示せず)を設け、この燃料添加装置から排気ガスに燃料を添加したりすることが挙げられる。
また、圧縮自着火式内燃機関では、通常の機関運転状態にあるときには、内燃機関の燃焼室5から排出される排気ガスの空燃比はリーンである。したがって、吸気通路からフィルタ23上流の排気通路までの間に適当な量の燃料を噴射または添加することにより、排気ガスの空燃比が制御される。このような空燃比制御としては、例えば、内燃機関の燃焼室に機関駆動用の燃料を噴射した後に少量の燃料を噴射したり、燃料添加装置から排気ガスに燃料を添加したりすることが挙げられる。
上記各除去処理では、上述したような昇温処理や空燃比制御が実行されるが、これら昇温処理や空燃比制御を通常の機関運転中に実行すると、機関回転数が変動したりして最適な機関運転状態とは異なる状態で運転されることとなることが多く、よって、その内燃機関を搭載した車両のドライバビリティの悪化等を招く。逆に、このようなドライバビリティの悪化等を最小限に抑えるように上述した昇温処理や空燃比制御を実行すると、昇温処理や空燃比制御を実行するに当たり非常に複雑な制御が必要となるだけでなく、特定温度や特定空燃比を維持することができずに昇温処理や空燃比制御の実行期間が長くなってしまう。
そこで、内燃機関の停止命令が検出されたとき、例えば、イグニッションスイッチがオフにされたときに、各除去処理を実行することが提案されている。このように内燃機関の停止命令が検出されたときであれば、ドライバビリティを考慮する必要が無く、よって機関回転数の変動を伴う昇温処理や空燃比制御をすることができる。さらに、昇温処理や空燃比制御を実行するのに複雑な制御も必要とされず、フィルタ23の温度を特定温度に維持することやフィルタ23に流入する排気ガスの空燃比を特定空燃比に維持することが容易に行える。
ところで、上述したように、各除去処理毎にその実行条件を定めて、その実行条件を満たした場合毎に各除去処理を実行すると、様々な除去処理が短い時間間隔毎に実行されてしまったりする。この場合、その都度、昇温処理や空燃比制御が行われ、燃料消費量が増大し、燃費の悪化を招く。図3(a)にこの例を示す。図3(a)は、フィルタの温度のタイムチャートであり、短期間のうちに四つの除去処理が行われた場合を示している。
そこで、本発明では、内燃機関の停止命令が検出されたときに、後述する方法でフィルタ23の表面上への煤分の堆積量およびNOx保持剤のSOx保持量を推定する。そして、推定された煤分の堆積量が所定堆積量以上であった場合、または推定されたSOx保持量が所定保持量以上であった場合には、HC・SOF除去処理と、Soot除去処理と、硫黄除去処理と、酸素除去処理とをこの順序で続けて実行する。したがって、フィルタ23に流入する排気ガスの空燃比とフィルタ23の温度とは、図2においてABCDの順に変更せしめられる。すなわち、流入排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつフィルタ23の昇温が行われ、流入排気ガスの空燃比をリッチに維持しつつフィルタ23の降温が行われる。
ここで、所定体積量とは、それ以上フィルタ23に煤分が堆積すると、機関運転状態に大きな悪影響を及ぼしてしまうような量であり、所定保持量とは、それ以上NOx保持剤にSOxが保持されると、機関運転状態に大きな悪影響を及ぼしてしまうような量である。
このように四つの除去処理を一度に実行することにより、図3(b)に示したように各除去処理間に一旦フィルタ23の温度が低下することがない。したがって、2番目〜4番目に実行される除去処理では、その前に実行された除去処理においてフィルタ23に与えられた熱量をそのまま利用できるため、昇温制御に必要な燃料が低減される。
また、各除去処理の維持時間および各除去処理実行時におけるフィルタ23の維持温度は、それぞれ後述する方法で推定されるHC・SOF付着量、煤分堆積量、硫黄保持量、および酸素保持量に応じて変更される。これにより、HC・SOF、煤分、SOxを除去するのに最低限必要な維持時間だけ最低限必要な維持温度において各除去処理が実行されるため、燃料消費量を最小限に抑えつつこれらを確実に除去することができる。
なお、本実施形態では、上述したように煤分の堆積量が所定堆積量以上であった場合、またはSOx保持量が所定保持量以上であった場合にのみ四つの除去処理が行われる。すなわち、これら堆積量および保持量に対応するSoot除去処理および硫黄除去処理は、フィルタ23の温度を上記一定温度以上の高温としなければならず、よって、いずれにせよフィルタ23を一定温度以上に昇温しなければならないときにのみ一連の除去処理全てが実行されるため、燃料消費量を少なく抑えることができる。
また、本実施形態では、Soot除去処理の前にHC・SOF除去処理が実行される。Soot除去処理の実行時にフィルタ23の表面上にHCおよびSOFが保持されている場合には、Soot除去処理においてHCおよびSOFも燃焼・除去されるが、Soot除去処理においてHCおよびSOFを燃焼・除去すると、Soot除去処理の実行時間が長くなる。Soot除去処理では、フィルタ23の温度を上記一定温度以上に維持するため、燃料消費量が多い。Soot除去処理の前にHC・SOF除去処理が実行されることにより、Soot除去処理の実行時間を最小限に抑えることができ、燃料消費量を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、硫黄除去処理の前に、Soot除去処理が実行される。煤分を燃焼すると多量の熱が発生するため、煤分を無闇に燃焼させるとフィルタ23が非常に高温になり、熱劣化してしまう可能性がある。したがって、Soot除去工程では、通常このような高温にならないように煤分を燃焼させるような制御が行われる。しかし、硫黄除去処理では通常このような制御は行われない。このため、煤分が多量に堆積しているときに硫黄除去処理を実行するとフィルタ23が非常に高温になってしまう可能性がある。ここで、硫黄除去処理の前に、Soot除去処理が実行されるため、硫黄除去処理実行時にはフィルタ23の表面上には煤分が堆積しておらず、フィルタ23が非常に高温になってしまうことが抑制される。
また、酸素除去処理の実行後に排気ガスの空燃比をリーンとする除去処理(例えば、HC・SOF除去処理、Soot除去処理)を実行すると、酸素除去処理によって排気浄化器に保持されている酸素が離脱せしめられたのにも関わらず、再び排気浄化器に酸素が保持されてしまう。第1の発明によれば、酸素除去処理が一連の除去処理の最後に行われるため、一連の除去処理終了時には、排気浄化器に酸素がほとんど保持されていない状態とすることができる。
なお、本実施形態では、内燃機関の停止命令が検出される前の通常の機関運転状態において、各除去処理を独立して実行してもよい。内燃機関の停止命令が検出されたときに既にSoot除去処理の実行中である場合には、HC・SOF除去処理を実行せず、Soot除去処理、硫黄除去処理および酸素除去処理のみをこの順序で実行する。また、内燃機関の停止命令が検出されたときに既に硫黄除去処理の実行中である場合には、HC・SOF除去処理およびSoot除去処理を実行せず、硫黄除去処理および酸素除去処理のみをこの順序で実行する。
これにより、Soot除去処理または硫黄除去処理の実行中であるにもかかわらず、一旦フィルタ23の温度を低下させてHC・SOF除去処理を実行し、その後フィルタ23を昇温して再びSoot除去処理または硫黄除去処理を実行するという無駄な制御が実行されることが防止される。
次に、本発明における浄化能力回復操作について図4に示したフローチャートを参照して説明する。まず、ステップ101〜103において、一連の除去制御を実行すべきときであるか否かが判断される。ステップ101では、イグニッションスイッチがオフにされたか否かが判定され、イグニッションスイッチがオフになっていないと判定された場合には以降のステップは実行されない。一方、イグニッションスイッチがオフになったと判定された場合には、ステップ102へと進む。
ステップ102では、煤分の堆積量Vsootが所定堆積量Vsoota以上となっているか否かが判定され、所定堆積量Vsoota以上となっていると判定された場合にはステップ104へと進む。一方、煤分の堆積量Vsootが所定堆積量Vsootaよりも少ないと判定された場合にはステップ103へと進む。ステップ103では、NOx保持剤の硫黄保持量Vsが所定保持量Vsa以上となっているか否かが判定され、所定保持量Vsa以上となっていると判定された場合にはステップ104へと進む。一方、ステップ103において硫黄保持量Vsが所定保持量Vsaよりも少ないと判定された場合には、ステップ113へと進み、内燃機関が停止せしめられる。
ステップ104〜112では、一連の除去処理が実行される。ステップ104では、HC・SOF除去処理、Soot除去処理、硫黄除去処理および酸素除去処理を実行すべき時間Thc、Tsoot、Ts、Toがそれぞれ算出される。HC・SOF除去処理を実行すべき時間ThcおよびSoot除去処理を実行すべき時間Tsootは差圧センサ52の出力等に基づいて算出され、硫黄除去処理を実行すべき時間Tsは積算燃料噴射量等に基づいて算出され、酸素除去処理を実行すべき時間Toは温度センサ53の出力等に基づいて算出される。次いで、ステップ105では、排気ガスの空燃比がリーンとされ、フィルタ23の温度が350℃となるように昇温処理が行われる。ステップ106では、ステップ105の開始からHC・SOF除去処理を実行すべき時間Thcが経過したか否かが判定され、時間Thcが経過していないと判定された場合にはステップ105が繰り返される。一方、時間Thcが経過したと判定された場合にはステップ107へと進む。
ステップ107では、排気ガスの空燃比をリーンに維持しながらフィルタ23の温度が650℃となるように昇温処理が行われる。次いで、ステップ108では、ステップ107の開始からSoot除去処理を実行すべき時間Tsootが経過したか否かが判定され、時間Tsootが経過していないと判定された場合にはステップ107が繰り返される。一方、時間Tsootが経過したと判定された場合にはステップ109へと進む。
ステップ109では、フィルタ23の温度を650℃に維持しながら排気ガスの空燃比がリッチにされる。次いで、ステップ110では、ステップ109の開始から硫黄除去処理を実行すべき時間Tsが経過したか否かが判定され、時間Tsが経過していないと判定された場合にはステップ109が繰り返される。一方、時間Tsが経過したと判定された場合にはステップ111へと進む。
ステップ111では、排気ガスの空燃比をリッチに維持しながら、フィルタ23の温度が350℃にまで低下せしめられる。次いで、ステップ112では、ステップ111の開始から酸素除去処理を実行すべき時間Toが経過したか否かが判定され、時間Toが経過していないと判定された場合にはステップ111が繰り返される。一方、時間Toが経過したと判定された場合にはステップ113へと進む。ステップ113では、内燃機関の運転が停止せしめられ、フィルタの浄化能力回復操作が完了する。
なお、本実施形態では、昇温処理および空燃比制御はイグニッションスイッチがオフにされた後に行われるため、昇温処理および空燃比制御の実行により機関回転数が変更されてもよい。したがって、本実施形態では上述した昇温処理の方法に加えて、機関回転数を調整することによっても昇温処理が行われる。また、排気ガスの空燃比をリッチとした状態でフィルタ23の温度を下げる降温処理を、機関回転数を下げることによって行うことができる。また、排気ガスを再び燃焼室内に流入させるEGRと機関回転数の制御とを併用して昇温処理および空燃比制御を実行してもよい。
また、上記実施形態では、内燃機関の停止命令が検出されたときが、イグニッションスイッチがオフにされたときとなっているが、他のタイミングであってもよい。例えば、内燃機関を搭載した車両が内燃機関と電動機(図示せず)とにより選択的にまたは同時に駆動されている場合、すなわち車両がハイブリッド車である場合、このハイブリッド車では、走行条件に応じて車両が電動機のみによって駆動され、内燃機関の運転が停止されることがある。そこで、内燃機関の停止命令が検出されたときを、車両が電動機のみによって駆動されているときとしてもよい。
また、フィルタは、連続酸化可能であってもよい。連続酸化可能なフィルタであっても、連続酸化能力を超えた量の煤分がフィルタに流入するとフィルタ表面上の煤分が堆積することがあるため、Soot除去処理を実行する必要性も生じる。また、フィルタでなく、NOx保持剤を担持したNOx触媒であってもよい。このNOx触媒でもNOx触媒表面上に煤分が堆積し、圧損が高くなってしまうことがあるため、この場合でもSoot除去処理を実行する必要性が生じる。
最後に、NOx保持剤を利用した排気ガスの浄化メカニズム、特に排気ガス中のNOxの保持・離脱および還元浄化作用について図5を参照して説明する。NOx保持剤23は、例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つである。
次に、このNOxの保持・離脱および還元浄化作用のメカニズムについて貴金属として白金(Pt)を、またNOx保持剤としてバリウム(Ba)を担持させた排気浄化器を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。なお、図5(a)および(b)は排気浄化器の隔壁の表面上および隔壁の細孔表面上に形成された担体層の表面の拡大図を模式的に表している。図5(a)および(b)において60は白金の粒子を示しており、61はバリウム等のNOx保持剤を含む担体層を示している。
流入する排気ガスの空燃比がかなりリーンになると排気ガス中の酸素濃度が大幅に増大し、図5(a)に示されるようにこれら酸素がO2 -またはO2-の形で白金60の表面に付着する。一方、流入する排気ガス中のNOは白金60の表面上でO2 -またはO2-と反応し、NO2となる(2NO+O2→2NO2)。次いで生成されたNO2の一部は白金60上で更に酸化されつつNOx保持剤61内に吸収されて酸化バリウム(BaO)と結合しながら、図5(a)に示されるように硝酸イオン(NO3 -)の形でNOx保持剤61内に拡散する。このようにしてNOxがNOx保持剤61に保持される。
流入する排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金60の表面でNO2が生成され、NOx保持剤61のNOx保持能力が飽和しない限りNO2がNOx保持剤61に保持されて硝酸イオン(NO3 -)が生成される。これに対して排気ガス中の酸素濃度が低下してNO2の生成量が低下すると反応が逆方向(NO3 -→NO2)に進み、斯くしてNOx保持剤61内の硝酸イオン(NO3 -)がNO2の形でNOx保持剤から放出される。すなわち、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下するとNOx保持剤61からNOxが離脱せしめられることになる。流入する排気ガスのリーンの度合いが低くなれば排気ガス中の酸素濃度が低下し、したがって流入する排気ガスのリーンの度合いを低くすればNOx保持剤61からNOxが離脱せしめられることになる。
一方、この時流入する排気ガスの空燃比を小さくすると、HC、COは白金60上のO2 -またはO2-と反応して酸化せしめられる。また、流入する排気ガスの空燃比を小さくすると排気ガス中の酸素濃度が極度に低下するためにNOx保持剤61からNO2が離脱され、このNO2は図5(b)に示されるように未燃HC、COと反応して還元浄化せしめられる。このようにして白金60の表面上にNO2が存在しなくなるとNOx保持剤61から次から次へとNO2が離脱される。したがって流入する排気ガスの空燃比を小さくし、且つ還元剤が存在する状態にすると短時間のうちにNOx保持剤61からNOxが離脱されて還元浄化されることになる。
さらに、NOx吸収剤61の硫黄被毒のメカニズムについて説明する。排気ガス中にSOx成分が含まれていると、NOx保持剤61は上述のNOxを保持する場合と同じメカニズムで排気ガス中のSOxを保持する。すなわち、排気ガスの空燃比がリーンの時、排気ガス中のSOx(例えばSO2)は白金60上で酸化されてSO3 -、SO4 -となり、酸化バリウム(BaO)と結合して硫酸バリウム(BaSO4)を形成する。BaSO4は比較的安定であり、また、結晶が粗大化しやすいため一旦生成されると分解放出されにくい。このため、NOx保持剤61中のBaSO4の生成量が増大するとNOxの保持に関与できるBaOの量が減少してしまいNOxの保持能力が低下してしまう。
この硫黄被毒を解消するためには、NOx保持剤61中に生成されたBaSO4を高温で分解するとともに、これにより生成されるSO3 -、SO4 -の硫酸イオンをスライトリーンを含むほぼ理論空燃比またはリッチ雰囲気(以下、単に「リッチ雰囲気」という)下で還元し、気体状のSO2に転換してNOx保持剤61から離脱させる必要がある。したがって硫黄除去処理を行うためには、NOx保持剤61を高温且つリッチ雰囲気の状態にすることが必要とされる。
なお、本明細書において、NOx保持剤からNOxまたは硫黄成分を離脱させるときに、流入する排気ガスの空燃比がほぼ理論空燃比またはリッチであると説明したが、実際には流入する排気ガスの酸素濃度が所定の酸素濃度よりも低くなることによってNOxまたは硫黄成分が離脱し易くなる。したがって、上述した実施形態における「排気ガスの空燃比をほぼ理論空燃比またはリッチにする」という説明は「流入する排気ガスの酸素濃度を所定の酸素濃度以下にする」ことをも意味する。
また、本明細書において「保持」という用語は「吸収」および「吸着」の両方の意味を含むものとして用いる。したがって、「NOx保持剤」は、「NOx吸収剤」および「NOx吸着剤」の両方を含み前者はNOxを硝酸塩等の形で蓄積し、後者はNO2等の形で吸着する。また、NOx保持剤からの「離脱」という用語についても、「吸収」に対応する「放出」の他、「吸着」に対応する「脱離」の意味も含むものとして用いる。
本発明の排気浄化器の浄化能力回復方法が用いられる内燃機関全体を示す図である。 各除去処理の実行条件を示す図である。 フィルタの温度のタイムチャートである。 本発明の排気浄化器の浄化能力回復方法における制御を示すフローチャートである。 本発明において使用されるNOx保持剤のNOxの保持・離脱および還元浄化作用を説明するための図である。
符号の説明
5…燃焼室
6…燃料噴射弁
23…パティキュレートフィルタ(フィルタ)
24…ケーシング
40…電子制御ユニット(ECU)
52…差圧センサ
53…温度センサ

Claims (7)

  1. 内燃機関の排気通路上に設けられたNOx保持剤および貴金属を担持した排気浄化器の浄化能力回復方法であって、
    上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持し、該排気浄化器の温度を所定温度範囲内に維持して、上記排気浄化器の表面上に堆積したHCおよびSOFを除去するHC・SOF除去工程と、
    上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持し、該排気浄化器の温度を上記所定温度範囲以上の温度に維持して、上記排気浄化器の表面上に堆積した煤分を除去するSoot除去工程と、
    上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比をリッチに維持し、該排気浄化器の温度を上記所定温度範囲以上の温度に維持して、上記NOx保持剤に保持された硫黄成分を離脱させる硫黄除去工程と、
    上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比をリッチに維持し、該排気浄化器の温度を上記所定温度範囲内に維持して、上記排気浄化器に保持された酸素を離脱させる酸素除去工程とを具備する排気浄化器の浄化能力回復方法において、
    上記除去工程のうちいずれか一つの除去工程を実行すべきであると判定されたときには、HC・SOF除去工程、Soot除去工程、硫黄除去工程および酸素除去工程をこの順序で実行する排気浄化器の浄化能力回復方法。
  2. 上記HC・SOF除去工程、Soot除去工程、硫黄除去工程、および酸素除去工程の維持時間および各除去工程実行時における上記排気浄化器の維持温度は、それぞれ上記排気浄化器へのHC・SOF堆積量、煤堆積量、硫黄保持量、および酸素保持量に応じて変更される請求項1に記載の排気浄化器の浄化能力回復方法。
  3. 上記除去工程のうちいずれか一つの除去工程を実行すべきであると判定されるときとは、Soot除去工程または硫黄除去工程を実行すべきであるときである請求項1または2に記載の排気浄化器の浄化能力回復方法。
  4. 上記除去工程のうちいずれか一つの除去工程を実行すべきであると判定されるときとは、内燃機関の停止命令が検出されたときであって上記排気浄化器の表面上への煤分の堆積量が所定堆積量以上となっているときまたは上記NOx保持剤の硫黄成分保持量が所定保持量以上となっているときである請求項1または2に記載の排気浄化器の浄化能力回復方法。
  5. 内燃機関の停止命令が検出されたときであって上記排気浄化器の表面上への煤分の堆積量が所定堆積量以上となっているときまたは上記NOx保持剤の硫黄成分保持量が所定保持量以上となっているときであっても、上記停止命令が検出されたときに上記排気浄化器に流入する排気ガスの空燃比がリーンであって、上記排気浄化器の温度が上記所定温度範囲以上である場合には、上記HC・SOF除去工程を実行せず、上記Soot除去工程、硫黄除去工程および酸素除去工程をこの順序で実行する請求項3に記載の排気浄化器の浄化能力回復方法。
  6. 内燃機関の停止命令が検出されたときであって上記排気浄化器の表面上への煤分の堆積量が所定堆積量以上となっているときまたは上記NOx保持剤の硫黄成分保持量が所定保持量以上となっているときであっても、排気ガスの空燃比がリッチであって上記排気浄化器の温度が上記所定温度範囲以上である場合には、上記HC・SOF除去工程およびSoot除去工程を実行せず、上記硫黄除去工程および酸素除去工程をこの順序で実行する請求項3に記載の排気浄化器の浄化能力回復方法。
  7. 上記内燃機関を搭載した車両が該内燃機関と電動機とにより選択的にまたは同時に駆動されており、上記内燃機関の停止命令が検出されたときとは、上記車両が電動機のみによって駆動されているときである請求項4に記載の排気浄化器の浄化能力回復方法。
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