JP4340857B2 - カメラの自動焦点調節装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラの自動焦点調節装置及び方法に係り、特に被写体のコントラストが最大になるようにフォーカスレンズのレンズ位置を自動的に調節(以下、「コントラストAF」という)するカメラの自動焦点調節装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラなどで主流となっているコントラストAFは、撮影光学系のうち焦点調節に作用するフォーカスレンズを移動させながら撮像を行い、その出力画像信号から高周波成分を抽出して合焦のための評価値を算出し、この評価値が最大になるところ(コントラストが最大になるところ)にフォーカスレンズを移動させて合焦させるようにしている。
【0003】
しかしながら、コントラストAFは、被写体のコントラストが少ない場合(壁のように被写体自体がもともとコントラストが少ない場合や、被写体が暗いためにコントラストが少ない場合)には、フォーカスレンズを焦点調節範囲にわたって移動させながら得られる合焦用の評価値が全体的に小さくなり、評価値が最大になるフォーカスレンズのレンズ位置を正確に求めることができないという問題がある。
【0004】
そこで、下記特許文献1に記載の自動焦点調節装置は、被写体が暗い場合に、被写体からコントラストが得られるように被写体に補助光(以下、「AF補助光」という)を照射するようにしており、特に被写体輝度に応じた適量な光量となるようにAF補助光の光量を制御し、これにより省電力化を図っている。
【0005】
しかし、被写体が特に暗かったりコントラストが低かったりする場合は、AF補助光を照射しても被写体が把握されず、焦点が決定されない場合がある。
【0006】
下記特許文献2では、AF補助光を照射しても被写体が把握されない場合はまず大デフォーカスと判断し、レンズの移動可能範囲内での合焦位置のサーチを行い、サーチの結果合焦位置が検出されない場合は被写体の距離が遠いと判断する。この場合、被写体が近くにあっても距離が検出されずに遠いと判断された被写体までの距離でフォーカス調整された画像が記録される可能性がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−121924号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平6−94988号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情を考慮し、被写体にAF補助光を照射した場合に、被写体が特に暗かったりコントラストが低かったりする場合でも実用に耐えうる画像を記録することができるカメラの自動焦点調節装置及び方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、撮影レンズを焦点調節範囲にわたって移動させ、該撮影レンズが所定量移動するごとに撮像手段から出力される画像信号に基づいて被写体のコントラスト成分に応じた評価値を得、前記撮影レンズの移動位置と各移動位置ごとに得た前記評価値とに基づいて評価値がピークとなる移動位置を求め、この求めた移動位置に撮影レンズを移動させるカメラの自動焦点調節装置であって、
AF補助光を発光するAF補助光発光手段と、
前記発光されたAF補助光が照射された被写体におけるAF補助光拡散領域の大きさを評価する拡散領域評価手段と、
前記評価したAF補助光拡散領域の大きさから被写体までの距離を求める距離算出手段と、
算出した距離に対応する移動位置に撮影レンズを移動させる撮影レンズ移動手段と、
からなるカメラの自動焦点調節装置、からなる。
【0011】
本発明によれば、コントラストAFでは、撮影レンズを焦点調節範囲にわたって移動させ、撮影レンズが所定量移動するごとに被写体のコントラスト成分に応じた評価値を収集するが、被写体が低輝度、低コントラスト等の場合には、AF補助光を発光させて撮像手段から出力される画像信号に基づいて当該評価値を得る。AF補助光が被写体に照射されると、被写体にはAF補助光拡散領域ができる。この拡散領域の大きさは、カメラと被写体との距離によって変わる。カメラと被写体との距離が短ければ拡散領域は小さく、カメラと被写体との距離が遠くなれば拡散領域が大きくなる。この拡散領域の大きさを評価し、評価した大きさからカメラから被写体までの距離を求める。求めた距離に対応する移動位置に撮影レンズを移動させる。
【0012】
なお、前記撮影レンズがズームレンズである場合に、前記距離算出手段はズーム倍率と前記評価したAF補助光拡散領域の大きさとから被写体までの距離を求める。
【0013】
また、前記AF補助光発光手段はストロボ撮影時の撮影補助光を発光する発光手段と共用され、該発光手段は発光ダイオード、有機エレクトロルミネセンス、及びプラズマ発光素子のうちのいずれかの発光素子によって構成されることができる。
【0014】
また、前記AF補助光発光手段は前記発光素子に加わる電流又は選択的に発光させる素子の数を制御することによって前記AF補助光の光量を前記撮影補助光の光量よりも低下させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るカメラの自動焦点調節装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0016】
図1は、本発明が適用されたデジタルカメラの外観図である。このデジタルカメラ10の前面には、撮影レンズ12、ファインダー窓14、ストロボ発光部16、及び調光センサ17が設けられ、カメラ上面には、シャッターボタン18及び電源スイッチ20が配設されている。また、グリップ部22と反対側のカメラ側面には、メモリカード24を装着するためのカードスロット26が設けられている。
【0017】
撮影レンズ12にはズームレンズが適用され、撮影レンズ12の後方にCCDイメージセンサ(図1中不図示、図3において符号52として記載)が配置されている。シャッターボタン18は2段階式に構成され、シャッターボタン18を軽く押して止める「半押し」の状態でコントラストAF(AF)及び自動露出制御(AE)が作動してAFとAEをロックし、「半押し」から更に押し込む「全押し」の状態で撮影が実行される。
【0018】
電源スイッチ20は、モード切換スイッチと兼用されており、電源OFFとなる「OFF位置」、静止画撮影モードで電源ONとなる「撮影ON位置」、及び再生モードで電源ONとなる「再生ON位置」の3ポジションを切り換えることができる。なお、本例のような電源スイッチ(以下、電源兼用モードスイッチという)20に代えて、電源ON/OFFのみの電源スイッチと、静止画撮影モード及び再生モードを切り換えるモードダイヤル等のモード切換手段を設けてもよい。
【0019】
図2は、デジタルカメラ10の背面側外観図である。デジタルカメラ10の背面には、ファインダー28、液晶モニタ30、ズームスイッチ32、多機能の十字ボタン34、AEロックボタン36、メニューキー38、実行キー40及びキャンセルキー42が設けられている。液晶モニタ30は、撮影時に画角確認用の電子ファインダーとして使用できるとともに、撮影した画像のプレビュー画やメモリカード24から読み出した再生画像、AF補助光拡散領域等を表示可能な表示手段である。また、十字ボタン34を使用したメニューの選択や各メニューにおける各種項目の設定なども液晶モニタ30の表示画面を用いて行われる。
【0020】
ズームスイッチ32は、上下方向に操作可能なレバースイッチで構成され、該スイッチを上方向に操作することで望遠(TELE)方向にズーム移動し、下方向に操作することで広角(WIDE)方向にズーム移動する。十字ボタン34は、上下左右のいずれかの縁部を押圧することによって、対応する4方向(上、下、左、右)の指示を入力できるようにしたもので、メニュー画面における各種設定項目の選択や設定内容の変更を指示する操作ボタンとして使用されるとともに、電子ズームの倍率調整や再生コマの送り/戻しを指示する手段として用いられる。
【0021】
メニューキー38は、各モードの通常画面からメニュー画面へ遷移させる時に使用される。実行キー40は、選択内容の確定、処理の実行(確認)指示の時などに使用される。キャンセルキー42は、メニューから選んだ項目の取消(キャンセル)や一つ前の操作状態に戻る時などに使用される。
【0022】
撮影者は、ファインダー28又は液晶モニタ30に映し出されるリアルタイム画像(スルー画)を確認しながら、ズームスイッチ32を操作して画角を決定し、シャッターボタン18を押下して撮影を行う。
【0023】
図3は、デジタルカメラ10の内部構成を示すブロック図である。撮影レンズ12は、固定レンズ44、変倍レンズ46A、補正レンズ46B及びフォーカスレンズ48の4群型インナーフォーカス式ズームレンズで構成されている。
【0024】
変倍レンズ46Aと補正レンズ46Bは、図示せぬカム機構によって両者の位置関係が規制されながら光軸に沿って移動し、焦点距離を変更する。なお、説明の便宜上、変倍レンズ46Aと補正レンズ46Bから成る変倍光学系を「ズームレンズ46」と呼ぶことにする。
【0025】
撮影レンズ12を通過した光は、絞り50により光量が調節された後、CCDイメージセンサ(以下、CCDという。)52に入射する。CCD52の受光面には、フォトセンサが平面的に配列されており、撮影レンズ12を介してCCD52の受光面に結像された被写体像は、各フォトセンサによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。なお、CCD52は、シャッターゲートパルスのタイミングによって各フォトセンサの電荷蓄積時間(シャッタースピード)を制御する、いわゆる電子シャッター機能を有している。
【0026】
各フォトセンサに蓄積された信号電荷は、CCDドライバ54から与えられるパルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出される。CCD52から出力された画像信号は、アナログ処理部56に送られる。アナログ処理部56は、サンプリングホールド回路、色分離回路、ゲイン調整回路等の信号処理回路を含み、このアナログ処理部56において、相関二重サンプリング(CDS)処理並びにR,G,Bの各色信号に色分離処理され、各色信号の信号レベルの調整(プリホワイトバランス処理)が行われる。
【0027】
アナログ処理部56から出力された信号は、A/D変換器58によりデジタル信号に変換された後、メモリ60に格納される。タイミングジェネレータ(TG)62は、CPU64の指令に従ってCCDドライバ54、アナログ処理部56及びA/D変換器58に対してタイミング信号を与えており、このタイミング信号によって各回路の同期がとられている。
【0028】
メモリ60に格納されたデータは、バス66を介して信号処理部68に送られる。信号処理部68は、輝度・色差信号生成回路、ガンマ補正回路、シャープネス補正回路、コントラスト補正回路、ホワイトバランス補正回路等を含むデジタルシグナルプロセッサ(DSP)で構成された画像処理手段であり、CPU64からのコマンドに従って画像信号を処理する。
【0029】
信号処理部68に入力された画像データは、輝度信号(Y信号)及び色差信号(Cr,Cb 信号)に変換されるとともに、ガンマ補正等の所定の処理が施された後、メモリ60に格納される。撮影画像を表示出力する場合、メモリ60から画像データが読み出され、表示用メモリ70に転送される。表示用メモリ70に記憶されたデータは、表示用の所定方式の信号(例えば、NTSC方式のカラー複合映像信号)に変換された後、D/A変換器72を介して液晶モニタ(LCD)30に出力される。こうして、当該画像データの画像内容が液晶モニタ30の画面上に表示される。
【0030】
CCD52から出力される画像信号によってメモリ60内の画像データが定期的に書き換えられ、その画像データから生成される映像信号が液晶モニタ30に供給されることにより、CCD52を介して入力する画像がリアルタイムに液晶モニタ30に表示される。撮影者は、液晶モニタ30に映し出される画像(スルー画)、或いは光学式のファインダー28によって撮影画角を確認することができる。
【0031】
撮影者がズームスイッチ32を操作すると、その指示信号がCPU64に入力され、CPU64はズームスイッチ32からの信号に基づいてズーム駆動部74を制御してズームレンズ46をテレ(TELE)方向又はワイド(WIDE)方向に移動させる。ズーム駆動部74は図示せぬモータを含み、該モータの駆動力によってズームレンズ46が駆動される。ズームレンズ46の位置(ズーム位置)は、ズーム位置センサ76によって検出され、該センサ76の検出信号はCPU64に入力される。
【0032】
同様に、フォーカス駆動部78は図示せぬモータを含み、該モータの駆動力によってフォーカスレンズ48が光軸に沿って前後動する。フォーカスレンズ48の位置(フォーカス位置)は、フォーカス位置センサ80によって検出され、該センサ80の検出信号はCPU64に入力される。
【0033】
電源兼用モードスイッチ20によって静止画撮影モードが設定され、シャッターボタン18が押下されると、撮影開始指示(レリーズON)信号が発せられる。CPU64は、レリーズON信号を検知して記録用の撮像動作を実行する。すなわち、CPU64は、後述する評価値演算の結果に基づいてフォーカス駆動部78を制御してフォーカスレンズ48を合焦位置に移動させるとともに、絞り50の開口径やCCD52の電子シャッターを制御することにより露出制御を行う。また、CPU64は必要に応じてストロボ制御回路82にコマンドを送り、スロトボ発光部16の発光を制御する。尚、このストロボ発光部16及びストロボ制御回路82の詳細については後述する。
【0034】
こうして、シャッターボタン18の押下操作に応動して、記録用の画像データの取り込みが開始される。画像データを圧縮記録するモードが選択されている場合、CPU64は圧縮伸張回路84にコマンドを送る。圧縮伸張回路84は、メモリ60に取り込まれた画像データをJPEGその他の所定の形式に従って圧縮する。
【0035】
圧縮された画像データは、カードインターフェース86を介してメモリカード24に記録される。非圧縮の画像データを記録するモード(非圧縮モード)が選択されている場合には、圧縮伸張回路84による圧縮処理は省略され、非圧縮のまま画像データがメモリカード24に記録される。
【0036】
電源兼用モードスイッチ20によって再生モードが設定されると、メモリカード24から画像ファイルが読み出される。読み出された画像データは、必要に応じて圧縮伸張回路84によって伸張処理され、表示用メモリ70を介して液晶モニタ30に出力される。
【0037】
CPU64は、本カメラシステムの各回路を統括制御する制御部である。CPU64は、電源兼用モードスイッチ20、シャッターボタン18、ズームスイッチ32その他の操作部から受入する入力信号に基づき、対応する回路の動作を制御するとともに、ストロボ制御、液晶モニタ30における表示制御、オートフォーカス(AF)制御及び自動露出(AE)制御等を行う。
【0038】
ROM59には、各種制御を行うためのプログラムやデータ値が格納されている。
【0039】
ここでオートフォーカス制御について説明する。A/D変換器58によってデジタル信号に変換された画像信号は、評価値演算部88に入力される。評価値演算部88は、高周波成分抽出回路90と積算回路92とを有し、入力される画像信号のうちG成分のデータをサンプリングしてAF検出対象エリア(以下フォーカスエリアという)内での高周波成分を抽出するとともにその絶対値をとり、フォーカスエリア内で絶対値データを積算して得られた値(評価値に相当)をCPU64に提供する。
【0040】
AF動作時にCPU64は、図4(B)に示すようにフォーカスレンズ48を焦点調節領域内で至近から無限遠(又は無限遠から至近)の方向に移動させながら、複数のAF検出ポイント(サーチポイント)で画像中央部分のコントラストを検出し、図4(A)に示すようにサーチポイントごとに評価値(黒丸で示す)を算出する。そして、各ポイントで算出された評価値を総合して、評価値が最大となるレンズ位置を合焦位置として決定し、求めた合焦位置にフォーカスレンズ48を移動させるようにフォーカス駆動部78を制御する。画像中央部分のコントラストが明瞭でない又は暗いなどの理由で評価値が算出できない場合は、後述するAF補助光照射による被写体への照射領域の大きさを評価して最も合焦位置に近いと思われる位置にフォーカスレンズ48を移動させるようにフォーカス駆動部78を制御する。
【0041】
次に、ストロボ発光部16について説明する。
【0042】
ストロボ発光部16は、図5に示すようにストロボ光源部100を有している。尚、図5(A)はストロボ光源部100の断面図であり、図5(B)はストロボ光源部100の正面図である。
【0043】
このストロボ光源部100は、反射傘102と、LED群104(R、G、BのLED104R、104G、104B)と、拡散板106とから構成されている。R、G、BのLED104R、104G、104Bは、図5(B)に示すようにアレー状に多数配設されている。また、拡散板106は、LED群104から出射される指向性の高い光を拡散させ、均一になるようにしている。尚、LED104R、104G、104Bの数はそれぞれ同数でなくてもよく、例えば各LED104R、104G、104Bをフル発光させた時に白色光となるような割合で配設することが好ましい。
【0044】
図6は上記ストロボ発光部16、ストロボ制御回路82等を含むストロボ装置のブロック図である。
【0045】
このストロボ装置は、ストロボ調光用の調光センサ17、及びLED群104の他に、図6に示すように電池110から電源が供給されている電圧アップコンバータ112、大容量のコンデンサ114、オペアンプ116、118、120、コントローラ122、調光回路124、及び温度センサ126が設けられている。
【0046】
コントローラ122は、ストロボ装置を統括制御するもので、電圧アップコンバータ112を制御し、電池110の電圧(例えば6V)を10V程度に昇圧させ、この昇圧させた電圧によりコンデンサ114を充電させる。尚、コンデンサ114は、例えば2〜5秒程度の長い時間で充電されるとともに、1/60秒(約16m秒)以上、LED群104に電流を継続供給できるものとする。
【0047】
このコンデンサ114に蓄積された電気エネルギーは、オペアンプ116、118、120を介してR、G、BのLED104R、104G、104Bに供給されるが、コントローラ122は上記オペアンプ116、118、120を制御し、R、G、BのLED104R、104G、104Bの発光時間、発光量を制御する。
【0048】
コントローラ122は、図3に示したCPU64から充電開始、シャッターボタン18に同期した発光信号、発光量、発光タイミングを示す信号等の各種の信号を取り込んでいる。尚、LEDは周囲温度によって光量が変動するため、LED群104の周囲温度を検出する温度センサ126が設けられており、コントローラ122は、この温度センサ126によって検出されたLED群104の周囲温度に基づいてその周囲温度にかかわらず所要の発光量が得られるようにLED群104への電流制御を行っている。
【0049】
次に、ストロボ撮影時にストロボ発光部16からストロボ光(以下、「撮影補助光」という)を発光させる際の、CPU64及びコントローラ122の動作について説明する。
【0050】
まず、CPU64は、例えばカメラ電源ON時に充電開始信号をコントローラ122に出力し、コントローラ122はこの充電開始信号が入力されると、電圧アップコンバータ112に充電を指示する信号を出力し、コンデンサ114の充電を開始させ、コンデンサ114の充電が完了すると、電圧アップコンバータ112による充電動作を停止させ、充電完了をCPU64に通知する。
【0051】
その後、シャッターボタンが半押しされると、コントローラ122はCPU64からガイドナンバーなどのストロボ発光量を決定するための情報を取り込む。その後、シャッターボタンが全押しされてシャッターが開くと、CPU64はシャッター開に同期した発光信号をコントローラ122に出力し、コントローラ122はこの発光信号により、所定のR、G、B発光レベルを示す制御信号をそれぞれオペアンプ116、118、120の正入力に出力する。オペアンプ116、118、120の負入力には、各LED104R、104G、104Bに流れる電流値に対応した信号が加えられており、オペアンプ116、118、120は、所定のR、G、B発光レベルに対応した定電流が各LED104R、104G、104Bに流れるように制御する。
【0052】
これにより、LED群104からは、所要の光量の撮影補助光が発光される。
【0053】
LED群104から撮影補助光が発光されると、調光回路124は、調光センサ17を介して発光量を検知する。そして、この検知した発光量が発光量調整用の基準値と一致すると、発光を停止させるために発光停止信号をコントローラ122に出力する。コントローラ122は、調光回路124から発光停止信号が入力されると、LED群104の発光を停止させる制御信号をオペアンプ116、118、120に出力する。これにより、LED群104に流れる電流が遮断され、LED群104の発光が停止する。
【0054】
次に、上記ストロボ装置を、AF補助光発光手段として使用する際の、CPU64及びコントローラ122の動作について説明する。
【0055】
まず、シャッターボタン18が半押しされると、CPU64は、AE制御及びAF制御を行い、シャッターボタン18が半押しされている期間、AFとAEをロックする。
【0056】
ここで、AE制御は、R、G、B信号を取り込み、これらのR、G、B信号を積算した積算値に基づいて被写体輝度(撮影EV値)を求め、この撮影EV値に基づいて撮影時の絞り値とシャッタスピードを決定する。尚、シャッターボタン18の全押し時に前記決定した絞り値になるように絞り50が制御され、また、決定したシャッタスピードとなるように電子シャッタによって電荷の蓄積時間が制御される。
【0057】
また、AF制御は、図4で説明したコントラストAFによってフォーカスレンズ48を合焦位置に移動させるが、CPU64は、被写体の明るさ(撮影EV値)が所定の値以下になると、ストロボ発光部16からAF補助光を発光させる。
【0058】
以下、図7〜図10を参照しながらAF補助光の発光タイミング、AF補助光が照射された被写体における光の領域測定、フォーカス駆動部78でのモータ駆動のタイミング等について説明する。
【0059】
まず、図7(A)に示すようにシャッターボタンが半押しされると、上記のようにAE処理が行われ(図7(D))、被写体の明るさが測定される(図10のステップ202)。
【0060】
次に、被写体の明るさが所定値以上か否かが判断される(図10のステップ204)。ここでは、CPU64が上述のAE処理の結果を参照して所望の被写体を含む撮影画像信号の状態が暗いか否かを判断する。このときの暗いか否かの判断基準はAF処理を行うに際してAF補助光の発光が必要か否かの輝度情報等の基準であって、例えば実験的に取得されたデータ等に基づいて予め設定されているものである。この基準値はあらかじめROM59に格納されており、CPU64はこのステップ204の処理を実行するにあたりROM59から読み出した基準値を参照し、これとAE処理結果との比較を行う。
【0061】
ステップ204で被写体の明るさが所定値以上の場合には、AF補助光を発光させなくても通常のコントラストAFの動作を行うことができるので、通常のコントラストAFの動作が行われる(図10のステップ218)。
【0062】
ステップ204で被写体の明るさが所定値以下の場合には、所定の発光期間だけAF補助光を発光させる(図7(E)、図10のステップ206)。このAF補助光の発光期間としては、CCD52が画像信号を得るために被写体光を受光する受光期間以内である。
【0063】
尚、AF補助光の光量は、コントラストAF及びAF補助光拡散領域大きさ評価に必要な評価値が得られればよく、撮影補助光の発光量よりも小さくてよい(図7(C))。AF補助光の照射による露出は上述のAEで決めた露出でなくてもよく、AF時の絞り値、露光時間でよい。ストロボ発光部16から発光される光量は、LED群104に加わる電流、又は選択的に発光させる素子の数を制御することによって行われる。
【0064】
続いて、CCD52のフォーカスエリアから評価値を求めるための画像信号を取り込み(図7(F))、画像信号から評価値を得られるかどうか判断する(図10のステップ208)。評価値の取得は所定以上の値が取得できるかどうか、すなわち、所定以上の高周波成分が取得できるかどうかによる。評価値の取得に際しては、図4(B)に示したようにフォーカスレンズを所定量移動(次のサーチポイントに移動)させるためにフォーカスモータを駆動する(図7(G))。
【0065】
フォーカスレンズが移動している間はほぼAF補助光を発光させ、CCD52から画像信号を取り込む。図4(B)に示すように、フォーカスレンズを焦点調節領域内で至近から無限遠(又は無限遠から至近)の方向に移動させながら、各サーチポイントごとにCCD52から画像信号を取り込む。
【0066】
各サーチポイントでの画像信号に基づく評価値が算出されると、その算出された評価値を総合して、評価値が最大となるレンズ位置を算出する。最大評価値が得られない場合や所定値以上の評価値が取得できない場合は、合焦不可能と判断し(ステップ208)、AF補助光の被写体への照射領域の大きさ測定に入る(ステップ210)。
【0067】
照射領域の大きさ測定に際しては、フォーカスレンズを焦点調節領域内で移動させた際に取り込んだ画像信号のなかで、フォーカスレンズを焦点調節領域内の中央位置にしたときの画像信号が用いられる。取り込んだその画像信号からAF補助光が被写体に照射された画像をLCD30に表示させる。LCD30は32×32(又は16×16)の輝度分解能を有し、LCD30が輝度分解能に相当する領域(32×32又は16×16)に分割される。補助光が被写体に照射された画像がLCD30に表示されて、明るい領域(AF補助光拡散領域)がいくつの領域を占めているか測定する。
【0068】
測定の結果、評価された領域の個数からカメラ10と被写体との距離が距離テーブルを参照することによって求められる(ステップ212)。距離テーブルはCPU64又はROM59に格納されている。図8は、カメラ10からAF補助光を発光して被写体に照射されたAF補助光の拡散領域がLCD30に表示される例を示した図である。被写体がカメラ10から1m離れたところに存在した場合のLCD30における撮影画像、被写体がカメラ10から2m離れたところに存在した場合のLCD30における撮影画像、被写体がカメラ10から3m離れたところに存在した場合のLCD30における撮影画像が例として示されている。被写体が遠ければ遠いほど発光された指向性のあるAF補助光が拡散するので、LCD30における照射画像は面積が大きくなる。距離テーブルは、照射された領域の個数とカメラ10から被写体までの距離との相関表であり、予めこの相関表を用意しておくことにより、照射領域の個数がわかれば概略の距離がわかるようになっている。距離テーブルは、照射領域の個数から判別される距離が1m、2m、3mの他に、0.5m、1.5m、2.5m、3.5mなどを用意することもできる。
【0069】
ズームレンズを備えるカメラの場合は、ズームの倍率により画面内での補助光が照射されたときの領域広さが異なるので、図9のようなズーム値と照射領域とから距離がわかるテーブルが用意されている。例えば、ズーム値a、領域広さAの場合は、距離Eと推定する。このテーブルもCPU64又はROM59に格納されている。
【0070】
カメラ10から被写体までの距離が推定されれば、その距離が合焦位置と推定され、その合焦位置にフォーカスレンズを移動させ、AF動作を終了する(ステップ214)。
【0071】
その後、シャッターボタンが全押しされると(図7(B))、上述したように所要の発光量の撮影補助光が発光される(図7(C)、(E))。このようにして撮影補助光の発光が行われると、CCDから撮影補助光によって撮影した被写体を示す画像信号を取り込む(図7(F)、図10のステップ220)。
【0072】
なお、ステップ208で各サーチポイントでの画像信号に基づく評価値が算出され、その算出された評価値を総合して評価値が最大となるレンズ位置が算出されると、合焦可能と判断され、通常の補助光によるコントラストAFの動作が行われる(図10のステップ216)。ステップ218、216でそれぞれ合焦位置が求められたら、その合焦位置にフォーカスレンズを移動させ、AF動作を終了する(ステップ214)。
【0073】
本実施の形態によれば、被写体にAF補助光を照射した場合に、被写体が特に暗かったりコントラストが低かったりする場合でもカメラから被写体までの距離を推定してAF動作を行うので実用に耐えうる画像を記録することができる。
【0074】
尚、ストロボ発光手段としては、R、G、BのLED104R、104G、104Bの代わりに、有機エレクトロルミネセンスパネル(有機ELパネル)、プラズマ発光素子がアレイ状に配列されたプラズマ発光素子パネル、発光色が乳白色のLED、又はキセノン管を適用することができる。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、低輝度、低コントラストの被写体に対しても実用レベルの焦点を得た撮影画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたデジタルカメラの外観図。
【図2】デジタルカメラの背面側外観図。
【図3】デジタルカメラの内部構成を示すブロック図。
【図4】(A)はサーチポイントごとに評価値を算出する状態を示した図、(B)はフォーカスレンズを焦点調節領域内で至近から無限遠の方向に移動させながら複数のAF検出ポイントで画像中央部分のコントラストを検出する状態を示した図。
【図5】ストロボ発光部内に設けられたストロボ光源の構造を示す図。
【図6】ストロボ発光部及びストロボ制御回路等を含むストロボ装置のブロック図。
【図7】AF補助光の発光タイミング、フォーカス駆動部でのモータ駆動のタイミング等について説明するために用いたタイミングチャート。
【図8】カメラからAF補助光を発光して被写体に照射されたAF補助光の拡散領域がLCDに表示される例を示した図。
【図9】ズーム値と照射領域とから距離がわかるテーブルの図。
【図10】輝度測定からAF補助光発光、AF補助光が照射された被写体における光の領域測定、撮影等までの流れを示したフローチャート。
【符号の説明】
10…デジタルカメラ、12…撮影レンズ、16…ストロボ発光部、17…調光センサ、18…シャッターボタン、48…フォーカスレンズ、52…CCD、78…フォーカス駆動部、80…フォーカス位置センサ、82…ストロボ制御回路、88…評価値演算部、90…高周波成分抽出回路、92…積算回路、100…ストロボ光源部、102…反射傘、104…LED群、104R…RのLED、104G…GのLED、104B…BのLED、106…拡散板
Claims (6)
- 撮影レンズを焦点調節範囲にわたって移動させ、該撮影レンズが所定量移動するごとに撮像手段から出力される画像信号に基づいて被写体のコントラスト成分に応じた評価値を得、前記撮影レンズの移動位置と各移動位置ごとに得た前記評価値とに基づいて評価値がピークとなる移動位置を求め、この求めた移動位置に撮影レンズを移動させるカメラの自動焦点調節装置であって、
AF補助光を発光するAF補助光発光手段と、
前記発光されたAF補助光が被写体に照射された結果、合焦の可否を判断する合焦可否判断手段と、
前記合焦可否判断手段が合焦不可能と判断した場合に前記発光されたAF補助光が照射された被写体におけるAF補助光拡散領域の大きさを評価する拡散領域評価手段と、
前記評価したAF補助光拡散領域の大きさから被写体までの距離を求める距離算出手段と、
算出した距離に対応する移動位置に撮影レンズを移動させる撮影レンズ移動手段と、
からなるカメラの自動焦点調節装置。 - 前記撮影レンズがズームレンズである場合に、前記距離算出手段はズーム倍率と前記評価したAF補助光拡散領域の大きさとから被写体までの距離を求める請求項1のカメラの自動焦点調節装置。
- 前記AF補助光発光手段はストロボ撮影時の撮影補助光を発光する発光手段と共用され、該発光手段は発光ダイオード、有機エレクトロルミネセンス、及びプラズマ発光素子のうちのいずれかの発光素子によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラの自動焦点調節装置。
- 前記AF補助光発光手段は、前記発光素子に加わる電流又は選択的に発光させる素子の数を制御することによって前記AF補助光の光量を前記撮影補助光の光量よりも低下させることを特徴とする請求項3のカメラの自動焦点調節装置。
- 撮影レンズを焦点調節範囲にわたって移動させ、該撮影レンズが所定量移動するごとに撮像手段から出力される画像信号に基づいて被写体のコントラスト成分に応じた評価値を得、前記撮影レンズの移動位置と各移動位置ごとに得た前記評価値とに基づいて評価値がピークとなる移動位置を求め、この求めた移動位置に撮影レンズを移動させるカメラの自動焦点調節方法であって、
(a)AF補助光を発光させるステップと、
(b)前記発光されたAF補助光が被写体に照射された結果、合焦の可否を判断するステップと、
(c)前記(b)ステップで合焦不可能と判断した場合に前記発光されたAF補助光が照射された被写体におけるAF補助光拡散領域の大きさを評価するステップと、
(d)前記評価したAF補助光拡散領域の大きさから被写体までの距離を求めるステップと、
(e)求めた距離に対応する移動位置に撮影レンズを移動させるステップと、
からなるカメラの自動焦点調節方法。 - 前記撮影レンズがズームレンズである場合に、前記被写体までの距離はズーム倍率と前記評価したAF補助光拡散領域の大きさとから算出される請求項5のカメラの自動焦点調節方法。
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