JP4338866B2 - 内燃機関の燃料噴射システム - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃料噴射システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料噴射システムは、インジェクタ等の燃料噴射手段に燃料を供給するとともに燃料噴射手段の開閉を制御して運転状態に応じた噴射量にて燃料噴射を行うもので、燃料の噴射量は噴射時間で制御される。燃料として沸点の低いLPG等の液化燃料ガスを加圧し液相状態で燃料噴射手段に供給する構成のものでは、機関停止後、機関温度が充分に低下していない時期に再始動(高温再始動)すると、燃料噴射手段自身がまだ多量の熱を有していることから燃料噴射手段内の燃料の一部が再加圧によっても液化せずベーパ化したままとなる。このため燃料噴射手段は気液混合状態の燃料を噴射することになる。
【0003】
この場合、機関温度が低い時と同じ噴射時間では始動開始からアイドリング初期にかけて噴射燃料不足となり、空燃比の過度なリーン化を招いて始動性が悪化したり、ラフアイドルが生じるといった問題が生じる。燃料が不足する分、指令噴射量を増大して燃料不足を解消することが考えられるが、気液混合状態の噴射時間が長くなるので燃料の調量精度の点からは好ましくなく、適正な噴射量が与えられない。
【0004】
特開平9−268948号公報には、燃料タンクからインジェクタへの燃料供給系を2つに分け、一方の燃料供給系を、燃料を液相にて液噴インジェクタに供給する構成とし、他方の燃料供給系を、内燃機関の冷却水により燃料を加熱気化して気噴インジェクタに供給する構成とし、冷却水温が燃料を加熱気化可能な下限温度以下のときは燃料噴射を液噴インジェクタにより行い、下限温度以上のときは燃料噴射を気噴インジェクタにより行うようにし、かかる問題の解決を図ったものがある。
【0005】
また、特公平7−65546号公報には、液噴インジェクタと気噴インジェクタとを備えた構成において、液噴インジェクタに供給される液相燃料の温度と圧力とを検出してベーパ発生のおそれありと判断されると、始動時の燃料噴射を気噴インジェクタで行うとともに、その間に、液噴インジェクタの燃料供給系の途中に設けられた燃料ポンプを作動させて、液噴インジェクタ内の燃料を比較的低温の燃料タンク内のものと入れ換えるようにしたものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特開平9−268948号公報記載の技術では、冷却水温が高くなっている定常走行時には気噴インジェクタに供給された気相の燃料が用いられることになる。しかし、気相で燃料供給を行おうとすると、供給流量が液相での燃料供給に比して260倍程度必要であり、燃料供給系およびインジェクタが大型化、複雑化するという問題がある。
【0007】
また、上記特公平7−65546号公報記載の技術も同様に燃料供給系やインジェクタが大型化するという問題があり、また、液噴インジェクタは各気筒共通に設けられたデリバリパイプを介して燃料が供給されているから、燃料ポンプを作動させても液噴インジェクタ内の燃料は殆ど移動せず、液噴インジェクタ内で発生したベーパを消散させるのは困難である。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、簡単な構成で高温再始動時等にも適正な噴射量で噴射を行うことのでき、しかも発生したベーパを速やかに消散せしめることのできる燃料噴射システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、液相の液化燃料ガスを噴射する液相燃料噴射手段内のベーパ化した燃料の発生状態に応じて変化する物理量を検出するベーパ発生状態検出手段を具備せしめ、液相燃料噴射手段および気相の液化燃料ガスを噴射する気相燃料噴射手段の開閉を切り換え燃料噴射を制御する制御手段を、上記液相燃料噴射手段により噴射を行う際に、検出された上記物理量に基づいて上記気相燃料噴射手段によりベーパ発生の程度に応じた量の補正噴射を行うように設定する。
【0010】
気相燃料噴射手段により補正噴射を行うことで、液相燃料噴射手段による噴射燃料の不足を回避することができる。ここで、この気相燃料噴射手段による不足燃料の補充で液相燃料噴射手段の開弁時間を長くする必要がないから調量精度が高く、しかも、補正噴射量がベーパ発生状態に応じて与えられるから、適正な噴射量で燃料噴射がなされる。
【0011】
また、気相燃料噴射手段による噴射は液相燃料噴射手段による噴射の不足部分を補うために行われるから、気相燃料噴射手段やその燃料供給系が大規模化、複雑化することはなく、構成が簡単である。
【0012】
また、燃料噴射を一方の燃料噴射手段に切り換えるものではないから、液相燃料噴射手段の温度は供給される液相燃料による奪熱あるいは噴射燃料の気化潜熱で低下し、液相燃料噴射手段における気液が混合した状態での燃料噴射は速やかに回避される。
【0013】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、ベーパ発生状態検出手段を、液噴インジェクタのバルブ部の温度を上記物理量として計測する構成とし、計測温度が高いほどベーパ発生の程度が大きいと判断する。
【0014】
液相燃料噴射手段は吸気流路等の噴射場所に面した先端部ほど高い傾向を示す。一方、液相燃料噴射手段内の燃料は、非噴射時にはそのバルブ部の手前まできており、したがってバルブ部の温度からベーパの発生の程度が知られる。しかして計測温度が高いほどベーパ発生の程度が大きいと判断し気相燃料噴射手段による補正噴射の補正量を大きくすることで液相燃料噴射手段の噴射燃料の不足を適正に補うことができる。
【0015】
請求項3記載の発明では、請求項2の発明の構成において、ベーパ発生状態検出手段を、内燃機関の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段と、検出された冷却水温度を上記バルブ部の温度に換算する温度換算手段とを具備する構成とする。
【0016】
液相燃料噴射手段のバルブ部の温度は、内燃機関の温度の影響を受けるため、この内燃機関の温度を示す冷却水温から液噴燃料噴射手段のバルブ部の温度を求めることができ、この結果、バルブ部温度を直接検出するセンサ等が不要で構成が簡単となる。
【0017】
請求項4記載の発明では、請求項2の発明の構成において、ベーパ発生状態検出手段を、上記燃料タンク内の温度を検出するタンク内温度検出手段と、検出された燃料タンク内温度と液相燃料噴射手段の噴射量とから上記バルブ部の温度を算出する温度算出手段とを具備する構成とする。
【0018】
燃料タンク内温度と液相燃料噴射手段の噴射量とから、液相燃料噴射手段における熱交換量の大きさが知られ、これより液相燃料噴射手段のバルブ部の温度の挙動が知られる。バルブ部温度を直接検出するセンサ等が不要で構成が簡単である。
【0019】
請求項5記載の発明では、請求項1の発明の構成において、ベーパ発生状態検出手段を、アイドリング運転状態の変動を上記物理量として計測する構成とし、計測されたアイドリング運転状態の変動が大きいほどベーパ発生の程度が大きいと判断する。
【0020】
燃料噴射の安定性は燃料が気液混合状態のとき減じられ、ベーパの発生量が多いほどより減じられる。その結果、アイドリング運転状態が変動する。しかしてアイドリング運転状態の変動から液相燃料噴射手段におけるベーパの発生の程度が知られる。しかしてアイドリング運転状態の変動が大きいほどベーパ発生の程度が大きいと判断し気相燃料噴射手段による補正噴射の補正量を大きくすることで液相燃料噴射手段の噴射燃料の不足を適正に補うことができる。
【0021】
請求項6記載の発明では、請求項5の発明の構成において、ベーパ発生状態検出手段を、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、一定期間におけるエンジン回転数の変動幅を算出する変動幅算出手段とで構成する。
【0022】
アイドリング運転状態の変動を一定期間におけるエンジン回転数の変動幅から定量できる。しかも、回転数検出手段は通常の内燃機関において備えられているので新たにセンサ等を設ける必要がない。
【0023】
請求項7記載の発明では、請求項1ないし6の発明の構成において、ベーパ発生状態検出手段を、上記液相燃料噴射手段に供給される液相燃料の圧力を上記物理量として計測する構成とし、計測された燃料圧力が低いほどベーパ発生の程度が大と判断する。
【0024】
燃料はその飽和蒸気圧特性から圧力が高いほどベーパ化が抑制されるから、液相燃料噴射手段に供給される液相燃料の圧力から液相燃料噴射手段におけるベーパの発生の程度が知られる。しかして上記液相燃料の圧力が低いほどベーパ発生の程度が大きいと判断し気相燃料噴射手段による補正噴射の補正量を大きくすることで液相燃料噴射手段の噴射燃料の不足を適正に補うことができる。
【0025】
請求項8記載の発明では、請求項1ないし7の発明の構成において、燃料性状を検出する燃料性状検出手段を具備せしめ、上記制御手段を、燃料性状によって上記気相燃料噴射手段の補正噴射の量を違えるように設定する。
【0026】
燃料性状によって沸点、気化潜熱等が異なるから、ベーパの発生状態も異なる。しかして、燃料性状によって上記気相燃料噴射手段の補正噴射の量を違えることで、液相燃料噴射手段の噴射燃料の不足をより適正に補うことができる。
【0027】
請求項9記載の発明では、請求項8の発明の構成において、上記燃料性状検出手段を、燃料タンク内の圧力を検出するタンク内圧力検出手段と、燃料タンク内の温度を検出するタンク内温度検出手段と、検出された圧力および温度とに基づいて燃料性状を演算する燃料性状演算手段とで構成する。
【0028】
燃料性状が異なれば飽和蒸気線図も異なる。したがって燃料タンク内の温度および圧力から燃料性状が特定できる。燃料タンク内の温度および圧力を検出するだけでよいので、構成が簡単であり、燃料補充による燃料性状変化等に対して好適に追随できる。
【0029】
請求項10記載の発明では、請求項8の発明の構成において、燃料性状検出手段を、機関の空燃比を検出する空燃比検出手段と、ストイキ時における、混合気を形成する空気量と燃料量との比率に基づいて燃料性状を演算する燃料性状演算手段とで構成する。
【0030】
燃料性状により、理論空燃比を与える空気量と燃料量との比率は異なる。しかして、ストイキ時における空気量と燃料量との比率に基づいて燃料性状が特定できる。空気量と燃料量との比率は一般的な空燃比制御のデータを読み込めばよいので、構成が簡単であり、燃料補充による燃料性状変化等に対して好適に追随できる。
【0031】
請求項11記載の発明では、請求項1の発明の構成において、上記ベーパ発生状態検出手段を、液相燃料噴射手段による噴射時の供給燃圧の低下量を上記物理量として計測する構成とし、計測された上記燃圧低下量が小さいほどベーパ発生の程度が大きいと判断する。
【0032】
液相燃料噴射手段に供給される燃料は燃料タンクから随時送出されているが、液相燃料噴射手段による噴射に対して補充燃料の送出に遅延が生じる。このとき、燃料の実噴射量が多いほど、すなわちベーパの発生の程度が小さいほど送出燃料の圧力が低下する。したがって燃圧の低下量からベーパの発生の程度が知られる。しかして燃圧の低下量が低いほどベーパ発生の程度が大きいと判断し気相燃料噴射手段による補正噴射の補正量を大きくすることで液噴燃料噴射手段の噴射燃料の不足を適正に補うことができる。
【0033】
請求項12記載の発明では、請求項1の発明の構成において、上記ベーパ発生状態検出手段を、吸入空気の過剰量を上記物理量として計測する構成とし、計測された上記吸入空気過剰量が大きいほどベーパ発生の程度が大きいと判断する。
【0034】
液化燃料ガスは液相で噴射された場合も噴射後殆どが気化するので、ベーパの発生により指令噴射量に対して実噴射量が減少すると、その分吸入空気が混合気中で余計に体積を占め吸入空気量が過剰となる。したがって、ベーパの発生の程度が大きいほど吸入空気過剰量が多くなる。しかして吸入空気過剰量が多いほどベーパ発生の程度が大きいと判断し気相燃料噴射手段による補正噴射の補正量を大きくすることで液相燃料噴射手段の噴射燃料の不足を適正に補うことができる。
【0035】
請求項13記載の発明では、液相燃料噴射手段および気相燃料噴射手段の開閉を切り換え燃料噴射を制御する制御手段を、始動時に上記液相燃料噴射手段により噴射を行う際に上記気相燃料噴射手段により補正噴射を行うように設定し、上記補正噴射の噴射量を、上記液相燃料噴射手段により噴射される燃料がすべてベーパ化していたとした時に液相燃料噴射手段と気相燃料噴射手段とで完爆可能な略最小の噴射量を与える量を下限値とし、上記液相燃料噴射手段により噴射される燃料がすべてベーパ化していないとした時に液相燃料噴射手段と気相燃料噴射手段とで始動可能な略最大の噴射量を与える量を上限値とする範囲に設定する。
【0036】
気相燃料噴射手段により補正噴射を行うことで、液相燃料噴射手段による噴射燃料の不足を回避することができる。ここで、この気相燃料噴射手段による不足燃料の補充で液相燃料噴射手段の開弁時間を長くする必要がないから調量精度が高く、しかも、気相燃料噴射手段による補正噴射の噴射量を上記のごとく設定することで、ベーパが発生していなくとも過剰にリッチ化することはなく、また、ベーパが発生していても過剰にリーン化することはないから、適正な噴射量を与えることができる。
【0037】
また、気相燃料噴射手段による噴射は液相燃料噴射手段による噴射の不足部分を補うために行われるから、気相燃料噴射手段やその燃料供給系が大規模化、複雑化することはない。しかも、ベーパの発生程度を検出する手段や、これに基づいて補正噴射量を演算する手段を具備する必要がないから、きわめて構成が簡単である。
【0038】
また、燃料噴射を一方の燃料噴射手段に切り換えるものではないから、液相燃料噴射手段の温度は供給される液相燃料による奪熱あるいは噴射燃料の気化潜熱で低下し、液相燃料噴射手段における気液が混合した状態での燃料噴射は速やかに回避される。
【0039】
請求項14記載の発明では、請求項13の発明の構成において、上記気相燃料噴射手段による上記補正噴射の噴射量を、始動時の指令噴射量の44%±5%に設定する。
【0040】
気相燃料噴射手段による補正噴射を上記のごとく設定すれば、プロパン、ブタンを主成分とする液化燃料ガスについて適正な始動が可能な燃料噴射量を与えることができる。
【0047】
請求項15記載の発明では、請求項13ないし14の発明の構成において、内燃機関の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段を具備せしめ、上記制御手段を、検出された上記冷却水温度が予め設定した所定温度以上のときにのみ上記気相燃料噴射手段による上記補正噴射を行うように設定する。
【0048】
内燃機関の温度を示す冷却水温度が低いほどベーパは発生しにくくなるから、所定温度以下の時は気相燃料噴射手段による補正噴射を行わないようにすることで過剰な燃料消費を抑えることができる。
【0049】
請求項16記載の発明では、請求項1ないし15の発明の構成において、液化燃料ガスを液相状態で液相燃料噴射手段に供給する液相燃料供給手段は、フィードポンプにより所定の吐出圧に高められた上記燃料タンク内の液化燃料ガスを液相にて液相燃料噴射手段へと送る送出流路と、液相燃料噴射手段からの余剰燃料を上記燃料タンクに回収する回収流路とを具備する構成とする。液化燃料ガスを気相状態で気相燃料噴射手段に供給する気相燃料供給手段は、上記回収流路の途中で分岐して気相燃料噴射手段に到る分岐流路を具備し上記回収流路の下流部および分岐流路により気相燃料を気相燃料噴射手段に供給する構成とする。かつ、回収流路の上流部と上記回収流路の下流部と上記分岐流路の集合部に回収流路下流部を回収流路上流部と分岐流路とのいずれかと連通せしめる三方弁を設け、該三方弁を、回収流路上流部内の圧力を上記回収流路下流部にリリーフするリリーフ弁構造とする。上記制御手段は、始動時に上記液相燃料噴射手段により噴射を行う際に気相燃料噴射手段により補正噴射を行うように設定し、かつ、上記フィードポンプを非作動とするように設定する。
【0050】
上記配管構成により、リリーフ弁としての三方弁が回収流路上流部と回収流路下流部との間を遮断している時は、回収流路は三方弁を介して気相燃料噴射手段と連通し気相燃料の供給通路となる。しかしてフィードポンプを非作動として回収流路上流部の圧力を下げれば回収流路より気相燃料噴射手段への燃料供給が可能となり、気相燃料噴射手段による補正噴射が可能となる。一方、リリーフ弁としての三方弁が回収流路上流部と回収流路下流部との間を連通している時は、回収流路は本来の、余剰の液相燃料を燃料タンクに回収する通路となる。このように液相燃料の回収用の通路と気相燃料の供給用の通路とに共通部分を設けることで配管が簡素化し、構成がさらに簡単となる。
【0051】
請求項17記載の発明では、請求項1ないし16の発明の構成において、液噴インジェクタの先端部に、噴射された液化燃料ガスが流通自在に構成したカバー部を設ける。
【0052】
噴射された燃料はカバー部の内表面に衝突し、カバー部からの熱を受熱して気化する。したがってカバー部からは多量の熱が奪熱されることになり、液噴インジェクタ温度は低下する。しかして、燃料噴射により速やかに液相燃料噴射手段におけるベーパ発生を抑制することができる。
【0053】
請求項18記載の発明では、請求項1ないし16の発明の構成において、液相燃料噴射手段を、棒状のハウジング内に長さ方向に燃料流路を形成し、燃料流路の一端を燃料噴射口とするとともに他端を燃料供給口とし、燃料流路の流通と遮断とを切り換えるバルブ部を燃料供給口の直下流部に配置する。
【0054】
通常、液相燃料噴射手段は先端の噴射口を吸気ポート等の噴射場所に向けて取り付けられ、先端部は高温になりやすい。液相燃料噴射手段内の燃料は、非噴射時にはそのバルブ部の手前まできているから、バルブ部を高温になりやすい先端部から遠ざけることで温度上昇を抑えることができる。また、バルブ部を、液相燃料供給手段により燃料が流通している燃料供給口の近くに配置することで、流通燃料との熱交換の効率を高めることができる。しかして、液相燃料噴射手段におけるベーパ発生を抑制することができる。
【0055】
請求項19記載の発明では、請求項1ないし18の発明の構成において、燃料タンクに貯蔵された液化燃料ガスを液相状態で液噴インジェクタに供給する液相燃料供給手段は、上記燃料タンク内の燃料を液相にて液相燃料噴射手段へと送る送出流路と、液相燃料噴射手段からの余剰燃料を上記燃料タンクに回収する回収流路と、回収流路の途中に設けたリリーフ弁とを有してなる構成とする。かつ、リリーフ弁のバルブボディの内部には、弁体が配置され上記回収流路の途中部分をなす流路を形成するとともに、上記送出流路の途中部分をなす別の流路を形成する。
【0056】
リリーフ弁が開いて液相燃料が回収流路の途中部分をなす流路を通過するとき、液相燃料はバルブボディから受熱して気化し、バルブボディ温度が低下する。別の流路をバルブボディ内に形成することで、送出流路の途中部分をなす別の流路を流れる燃料を冷却することができる。
【0057】
請求項20記載の発明では、請求項1ないし19の発明の構成において、気相燃料噴射手段は、吸気管のスロットルバルブの直下流位置に先端部が突出するように吸気管壁に貫通せしめる。
【0058】
アイドリング時のようなスロットルバルブが絞られた状態の時には、スロットルバルブの直下流位置では吸気管の内周面近傍に、スロットルバルブと吸気管の内周面との間の間隙から吹き出す高速で低圧の気流が形成され、これに吸気管の径方向中央部の空気が巻き込まれて渦流が形成される。この渦流により気相燃料噴射手段から噴射された燃料が攪拌され良好な均一性が得られる。したがって多気筒の内燃機関に適用したときに各気筒へ均等に燃料分配を行うことができる。
【0059】
請求項21記載の発明では、請求項20の発明の構成において、気相燃料噴射手段は、吸気管のスロットルバルブの直下流位置に先端部が突出するように吸気管壁に貫通せしめるとともに、噴射口の形成方向をスロットルバルブ面に向ける。
【0060】
気相燃料噴射手段からの噴射燃料はスロットルバルブ面に衝突するので、燃料の拡散が促進される。
【0061】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
第1図に、本発明の第1実施形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用した内燃機関たるLPGエンジンの構成を示す。本エンジンは以下の説明において複数気筒を備えた直列式の車両動力用のエンジンとして説明する。エンジン本体1は一般的な構成のもので、各気筒ごとにシリンダブロック11に形成されたシリンダ110内にピストン12が摺動自在に保持され、その上下往復動が図略のクランクシャフトの回転運動に変換される。図は1気筒分のみ示している。
【0062】
ピストン12の上方にはシリンダヘッド13との間に燃焼室100が形成され、ここに吸気管4の下流端に位置する吸気ポート101から液化燃料ガスたるLPGと空気との混合気が供給される。
【0063】
燃料を噴射するインジェクタ21,22は2種類設けられる。液相燃料噴射手段である第1の種類のインジェクタ(以下、液噴インジェクタという)21は各気筒ごとにエンジンヘッド13を貫通して設けられ、その先端部は吸気ポート101に向けられている。気相燃料噴射手段である第2の種類のインジェクタ(以下、気噴インジェクタという)22は各気筒共通で、各気筒共通の吸気管4の例えばサージタンク41に、タンク壁を貫通して設けられる。液噴インジェクタ21、気噴インジェクタ22は、先端部にバルブ部を備え、バルブ部が図略のインジェクタ駆動回路からのパルス状の開弁信号により開弁する一般的な構成のものが用いられ得る。
【0064】
燃料タンクたるLPGタンク30から上記液噴インジェクタ21、気噴インジェクタ22にLPGを供給するLPG供給系31,32について説明する。LPG供給系31,32は、液噴インジェクタ21に供給するための液相燃料供給手段たる液相LPG供給系31と、気噴インジェクタ22に供給するための気相燃料供給手段たる気相LPG供給系32との2系統を備えている。
【0065】
液相LPG供給系31はLPGが流通する液相LPG供給配管311、液相LPG供給配管311とともに送出流路31aを構成するデリバリパイプ312、および回収流路31bを構成するリターン配管313を備えている。液相LPG供給配管311の上流端にはフィードポンプ301が接続され、これによりLPGタンク30内の液相状態のLPGが加圧されてデリバリバルブ312へと送出され、デリバリバルブ312から各液相インジェクタ21に液相状態で分配供給されるようになっている。
【0066】
リターン配管313の途中には、リターン配管313とともに回収流路31bを構成するリリーフ弁314が装着されており、所定のリリーフ圧を越えると、フィードポンプ301からデリバリパイプ312へ送出されたLPGのうちの余剰分が、デリバリパイプ312からリターン配管313を通りLPGタンク30に回収されるようになっている。ここで、リリーフ弁314のリリーフ圧は液噴インジェクタ22への供給燃圧を規定し、次のように設定する。エンジンの通常運転状態において液噴インジェクタ21の先端部の温度はLPGタンク30内のLPG温度よりも15〜20°C程度高く飽和蒸気圧が高くなっていることを考慮して、(LPGタンク内の圧力+リリーフ圧)で与えられる液噴インジェクタ21への供給燃圧が、20°C程度温度上昇してもその時の飽和蒸気圧を下回らないように、例えば0.5MPa程度に設定する。
【0067】
気相LPG供給系である気相LPG供給配管32はLPGタンク30と気噴インジェクタ22との間を接続する。気相LPG供給配管32の上流端はLPGタンク30の天井面に開口し、LPGタンク30内のベーパ化したLPGが気相LPG供給配管32を通り気噴インジェクタ22へと供給されるようになっている。気相LPG供給配管32の上流端の開口位置はLPGタンク30の天井面に限らずLPGタンク30の液面よりも上方位置であればよいのは勿論である。
【0068】
エンジンの各部を制御するECU6は、例えばCPU、RAM、ROM等からなる一般的な構成が採用でき、各種センサから入力する信号に基づいて液噴インジェクタ21、気噴インジェクタ22の開閉等の制御を行う。ECU6は制御手段60、温度換算手段61、燃料性状演算手段62を備えており、これらは上記CPUで実行される制御ソフトウェア上で実現される。
【0069】
ECU6に信号入力するセンサとして、エンジンの冷却水温を検出する冷却水温度検出手段たる冷却水温度センサ71、デリバリパイプ312内のLPG圧力(燃圧)を検出する燃圧検出手段たる燃圧センサ72、LPGタンク30内の温度すなわち貯留するLPGの温度(タンク内燃温)を検出するタンク内温度検出手段たるタンク内温センサ73、LPGタンク30内の圧力すなわちLPGタンク30内でベーパ化したLPGの圧力(タンク内燃圧)を検出するタンク内圧力検出手段たるタンク内圧センサ74、エンジン回転数を検出する回転数センサ75、空燃比を検出するO2 センサ76、吸入する空気量を検出する空気量センサ77、吸気圧を検出する吸気圧センサ78等が設けられる。また、ECU6にはバッテリ電圧等の信号が入力する。
【0070】
図2、図3、図4、図5、図6、図7に示すフローチャートによりECU6の設定内容とともに本燃料噴射システムの作動について説明する。
【0071】
図2、図3は機関始動時にECU6で実行される制御を示すフローチャートであり、上記制御手段60としての手順を示している。
【0072】
始動時の液噴インジェクタ21の噴射量(液噴インジェクタ21への開弁信号の長さ)を算出するフローを示す図2において、イグニッション(IG)がオンする(ステップS101)と、ステップS102で、冷却水温、バッテリ電圧、燃圧、クランキング回転数を読み込み、ステップS103で始動時の基本噴射量taustlb を算出する。次いでステップS104で、読み込まれたバッテリ電圧に基づいてバッテリ電圧補正係数Kb を算出し、ステップS105で、読み込まれた燃圧に基づいて燃圧補正係数Kp を算出する。ステップS106では、始動時液噴インジェクタ噴射量taustlを式(1)に従い算出する。
【0073】
taustl=taustlb ×Kb ×Kp ・・・(1)
【0074】
ステップS107では、始動が完了したか否かを、例えばエンジン回転数が所定値(完爆判定回転数)を越えたか否かをに基づいて判断する。始動完了の場合は本ルーチンを終了する。始動失敗の場合はステップS101に戻り、ステップS101以下の手順が繰り返される。
【0075】
算出された始動時液噴インジェクタ噴射量taustlはインジェクタ駆動回路に出力され、所定のタイミングでtaustlの間、液噴インジェクタ21に開弁信号を出力する。
【0076】
始動時の気噴インジェクタ22の噴射量(気噴インジェクタ22への開弁信号の長さ)を算出するフローを示す図3において、IGオンすると(ステップS201)、ステップS202で、冷却水温、バッテリ電圧、タンク内圧、タンク内燃温、クランキング回転数を読み込み、ステップS203で始動時の基本噴射量taustgb を算出する。次いでステップS204で、読み込まれたバッテリ電圧に基づいてバッテリ電圧補正係数Kb を算出し、ステップS205で、読み込まれたタンク内圧に基づいて燃圧補正係数Ktpを算出し、ステップS206で、読み込まれたタンク内燃温に基づいて燃温補正係数Kttを算出する。
【0077】
ステップS207ではストアされた燃料性状を示す組成比率(ここではプロパンとブタンとの比率、以下適宜プロパン比という)を読み込む。これはLPGタンク30に貯留するLPGについてのもので、そのプロパン比を得るためのフローについては後述する。続く、ステップS208ではベーパ補正係数Kv を読み込む。ベーパ補正係数Kv を求めるフローについては後述する。ベーパ補正係数Kv を求めるに当たっては、ステップS207で読み込まれたプロパン比が参照される。
【0078】
ステップS209では、始動時気噴インジェクタ噴射量taustgを式(2)により算出する。
【0079】
taustg=taustgb ×Kb ×Ktp×Ktt×Kv ・・・(2)
【0080】
上記式(1)により算出された始動時液噴インジェクタ噴射量taustlは、液噴インジェクタ21においてベーパが発生していなければ適正な始動用の燃料噴射を与えることができるようになっているが、ベーパ発生時にはその発生量に応じて実噴射量は減じられる。そこで、上記始動時気噴インジェクタ噴射量taustgはその減じられた分を補償する値が与えられる。式(2)においてtaustgb ×Kb ×Ktp×Kttの項は、この補償量の基本的な値を与え、ベーパ補正係数Kv は、液噴インジェクタ21におけるベーパ発生の程度により与えられる。
【0081】
ステップS210では、始動が完了したか否かを上記ステップS107と同様に判断する。始動完了の場合は本ルーチンを終了する。始動失敗の場合はステップS201に戻り、ステップS201以下の手順が繰り返される。
【0082】
算出された始動時気噴インジェクタ噴射量taustgはインジェクタ駆動回路に出力され、所定のタイミングでtaustgの間、液噴インジェクタ21に開弁信号を出力する。
【0083】
次に、ステップS207において読み込まれる上記プロパン比の検出について説明する。図4は、タンク内温センサ73およびタンク内圧センサ74とともに燃料性状検出手段9を構成する燃料性状演算手段62としての一連の手順であるプロパン比検出フローを示すもので、プロパン比の検出はIGオンごとに行われる(ステップS301)。燃料性状は地域、季節により異なり、したがって、LPGタンク30内の残量や補充量により異なり、IGオン時に本フローが立ち上がることで現在のプロパン比を正確に求めることができる。
【0084】
続くステップS302ではタンク内圧、タンク内燃温を読み込み、ステップS303では予め記憶したプロパン比算出二次元マップからプロパン比を算出し学習値にストアする。プロパン比算出二次元マップは、模式的には図8のように表され、タンク内圧およびタンク内燃温の各組み合わせの数値に対して1つずつプロパン比が与えられる。LPGは組成により飽和蒸気線図が異なり、プロパン比算出二次元マップは複数のプロパン比の異なるLPGの飽和蒸気圧線図をもとに作成できる。
【0085】
図5は、冷却水温センサ71、燃圧センサ72とともにベーパ発生状態検出手段8を構成する換算手段61としての一連の手順であるベーパ補正係数算出フローを示すもので、本フローはIGオンする(ステップS401)ごとに行われる。ステップS402では冷却水温、上記算出されたプロパン比、燃圧を読み込み、ステップS403で、冷却水温−インジェクタ温度換算式から、ステップS403で読み込まれた冷却水温に対応する液噴インジェクタ温度を算出する。
【0086】
この換算式は、液噴インジェクタにおいて噴射が行われると、液噴インジェクタ21の温度が、液噴インジェクタ21内を流通するLPGによる冷却作用により低下するともに、機関温度を代表する冷却水温が噴射燃料による奪熱で低下するという、液噴インジェクタ21の温度と冷却水温との間に相関があることを利用するもので、予め実験により求めておくのがよい。このように、計測した冷却水温と上記温度換算式とにより液噴インジェクタ温度を求めることで液噴インジェクタ温度を直接検出するセンサが不要となる。しかも冷却水温は通常、エンジン制御において用いられる一般的なパラメータとしてECUに検出信号が入力しているから、これを流用することができる。
【0087】
ステップS404では、読み込まれたプロパン比に対応する燃圧/インジェクタ温度二次元マップを選定し、上記燃圧および上記液噴インジェクタ温度に対応するベーパ補正係数Kv を算出する。燃圧/インジェクタ温度二次元マップは模式的には図9のように表され、プロパン比が特定されると各燃圧およびインジェクタ温度の各数値に対して1つずつベーパ補正係数Kv が与えられる。
【0088】
図10(A),(B)はベーパ発生率と、燃圧およびインジェクタ温度との関係について発明者らが実験した結果を示すもので、(A)がプロパン比(プロパンの割合)90%のLPGについてのデータであり、(B)がプロパン比25%のLPGについてのデータである。インジェクタ先端部温度は液噴インジェクタ21の先端部にあるバルブ部の温度に対応している。燃圧が低いほど、インジェクタ先端部温度が高いほどベーパ発生率が高く、液噴インジェクタ21による燃料噴射において燃料が不足することが知られる。しかして、ベーパ補正係数Kv は、燃圧が低いほど、インジェクタ温度が高いほど大きな値が与えられる。かかる実験データを収集することで、より適正なベーパ補正係数Kv を与えることができる。
【0089】
また、これらの図より知られるように、LPGのプロパン比によってベーパ発生率は大きく異なる。プロパンはブタンに比して沸点が高いので、図例のようにプロパン比が大きいほどベーパは発生しやすい。したがって、同じ燃圧およびインジェクタ先端部温度であっても、ベーパ補正係数Kv は大きな値が与えられる。
【0090】
また、図より知られるように、インジェクタ先端部温度の低温側、燃圧の高圧側ではベーパ発生率が低く抑えられる。したがって、例えばプロパン/ブタン=90/10の場合、燃圧が4MPa以上でインジェクタ先端部温度が80°C以下のとき、ベーパ補正係数Kv は0でよく、気噴インジェクタ22によるアシスト噴射は行わず、いわゆる高温再始動時のようなベーパが発生しやすいときにのみアシスト噴射が行われることになる。
【0091】
次に始動後、アイドリングに移行した時の作動について説明する。図6、図7はこの始動後にECU6で実行される制御を示すフローチャートであり、上記制御手段60としての手順を示している。図6に示す始動後における液噴インジェクタ21の噴射量算出フローは、エンジン回転数に同期したタイミングで立ち上がる。ステップS501ではエンジン回転数、吸気管圧力(吸気圧)、燃圧、冷却水温、吸気温を読み込み、ステップS502で、基本噴射量taulb を算出する。次いでステップS503で、読み込まれた燃圧に基づいて燃圧補正係数Kp を算出し、ステップS504で、読み込まれた吸気温に基づいて吸気温補正係数Katを算出し、ステップS505で、読み込まれた冷却水温に基づいて水温補正係数Kwtを算出する。ステップS506では、始動後液噴インジェクタ噴射量taulを式(3)に従い算出する。
【0092】
taul=taulb ×Kp ×Kat×Kwt・・・(3)
【0093】
算出された始動後液噴インジェクタ噴射量taulはインジェクタ駆動回路に出力され、所定のタイミングでtaulの間、液噴インジェクタ21に開弁信号が出力される。
【0094】
一方、図7に示す始動後における気噴インジェクタ22の燃料噴射量算出フローも、上記始動後液噴インジェクタ噴射量算出フローと同様にエンジン回転数に同期したタイミングで立ち上がる。ステップS601ではエンジン回転数、吸気管圧力、タンク内燃温、タンク内燃圧、吸気温を読み込み、ステップS602で、始動後の基本噴射量taugb を算出する。次いでステップS603で、読み込まれた吸気温に基づいて吸気温補正係数Katを算出し、ステップS604で、読み込まれたタンク内燃圧に基づいて燃圧補正係数Ktpを算出し、ステップS605で、読み込まれたタンク内燃温に基づいて燃温補正係数Kttを算出する。
【0095】
ステップS606ではベーパ補正係数Kv を算出する。ベーパ補正係数Kv の算出は図5のステップS402〜S405の手順と同様の手順で行われる。
【0096】
ステップS607では、始動後気噴インジェクタ噴射量taugを式(4)により算出する。
【0097】
taug=taugb ×Kat×Ktp×Ktt×Kv ・・・(4)
【0098】
上記式(3)により算出された始動後液噴インジェクタ噴射量taulは、液噴インジェクタ21においてベーパが発生していなければ適正なアイドリング用の燃料噴射が与えられるようになっているが、ベーパ発生時には実噴射量は減じられる。したがって、上記始動後気噴インジェクタ噴射量taugはその減じられた分を補償する値が与えられる。式(4)においてtaugb ×Kat×Ktp×Kttの項は補償量の基本的な値を与え、Kv は、気噴インジェクタ22のベーパ発生の程度により適宜与えられる。
【0099】
始動後のベーパ補正係数Kv のとる値は次の挙動を示す。燃料が噴射されることによりインジェクタ温度が低下するが、上記のごとく液噴インジェククタ先端部温度が低いほどベーパ補正係数Kv は小さな値に設定されるから、時間をおって噴射量の積算値が漸増するにつれてベーパ補正係数Kv は0に向かって低下する。
【0100】
ステップS608ではベーパー補正係数が0か否かを判断し、0でなければステップS601に戻ってステップS601以下の手順が繰り返される。ベーパー補正係数Kv は上記のごとく漸減し、やがて0になり本フローは終了する。
【0101】
図11は、高温再始動の場合の、液噴インジェクタ21、気噴インジェクタ22の実噴射量の経時変化を示すもので、ベーパの発生が多いと始動後においてもベーパが液噴インジェクタ21内に残留し、最初は実際の液噴インジェクタ噴射量は少なく、相当の不足部分を気噴インジェクタ22により補っている。
【0102】
そして、液噴インジェクタ21の先端部では、噴射が行われるごとに供給された燃料との熱交換が行われて温度が低下し、ベーパの発生量は徐々に抑えられる。その結果、液噴インジェクタ21の実際の噴射量は設定された噴射量taulに対応する噴射量に近づく。上記のごとくベーパ補正係数Kv は漸次小さくなるので、気噴インジェクタ22により補われる噴射量は減少し、遂に燃料噴射は液噴インジェクタ21による噴射だけの通常のモードに移行する。
【0103】
このように、本装置によれば、ベーパ発生に起因するリーン化を防止して適正な噴射量にて燃料噴射を行うことができる。しかも、気噴インジェクタ22によるアシスト噴射はベーパ発生に伴う液噴インジェクタ21の噴射量を補うだけであるから、気噴インジェクタ22や気相LPGの供給系32を大型化、複雑化させることもない。
【0104】
また、液噴インジェクタ21で燃料が不足する分は気噴インジェクタ22により補充するから、ベーパ発生で調量精度が減じられる液噴インジェクタ21の開弁時間を長くする必要がなく、実噴射量の調量誤差を抑えることができ、適正な噴射量を与えることができる。
【0105】
しかも、この時、液噴インジェクタ21においても燃料噴射が行われることで、液噴インジェクタ21内を流通するLPGによる奪熱などで液噴インジェクタ21は冷却されて、液噴インジェクタ21内がLPGのベーパ化しやすい状態から速やかに離脱し、別途、冷却用の手段を設けることなく、液噴インジェクタ21の温度がLPGタンク30の温度よりも上記15〜20°C程度高い正常な状態に移行することができる。
【0106】
なお、本実施形態ではベーパ補正係数Kv が0になるまでアシスト噴射を行っている(図7 ステップS608)が、必ずしも0である必要はなく、例えば、O2 センサ76による検出空燃比に基づくフォードバック制御が成立していることを条件に、ベーパ補正係数Kv が所定のしきい値以下になっていれば、そこで液噴インジェクタ21による噴射のみの通常の制御に移行するように設定することもできる。ベーパ補正係数Kv がある程度小さくなっていれば液噴インジェクタ21内のベーパ発生は相当抑制されており、検出空燃比に基づくフォードバック制御で十分に噴射量を適正に与え得るからである。
【0107】
(第2実施形態)
図12に本発明の第2実施形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンを示す。第1実施形態において、ECUにおいて実行される制御ソフトウェアを別の設定にしたもので、図中、図1と同じ番号を付した部分は第1実施形態と実質的に同じ作動をするので、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0108】
ECU6Aは、制御ソフトウェア上で実現される温度算出手段63を備えている。温度算出手段63はタンク内温センサ73とともにベーパ発生状態検出手段8Aを構成し、タンク内燃温と液噴インジェクタ21の噴射量とから液噴インジェクタ温度を算出する。
【0109】
液噴インジェクタ温度の算出は、液噴インジェクタ21の噴射時に液噴インジェクタ21を流通するLPGとの熱交換量に基づいて算出する。
【0110】
本実施形態においても、液噴インジェクタ21の温度を直接検出する必要がない。
【0111】
(第3実施形態)
図13に本発明の第3実施形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンを示す。第1実施形態において、ECUにおいて実行される制御ソフトウェアを別の設定にしたもので、図中、図1と同じ番号を付した部分は第1実施形態と実質的に同じ作動をするので、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0112】
ECU6Bは、制御ソフトウェア上で実現される変動幅算出手段64を備えている。変動幅算出手段64はタンク内温センサ73とともにベーパ発生状態検出手段8Bを構成し、エンジン回転数センサ75から入力するエンジン回転数について一定期間における変動幅、例えば最大値と最小値との差を算出する。
【0113】
本実施形態はアイドリング運転状態の変動に基づいてベーパ発生の程度を判断するようにしたものであり、上記変動幅と上記補正係数Kv との関係をマップまたは換算式として記憶しておき、補正係数Kv を決定する。
【0114】
燃料噴射の安定性は燃料が気液混合状態のとき減じられ、ベーパの発生量が多いほどより減じられる。その結果、アイドリング運転状態が変動する。しかしてアイドリング運転状態の変動に応じて変化する物理量である、アイドリング回転数の変動幅から液噴インジェクタ21におけるベーパの発生の程度が知られる。したがって、ベーパ発生量と変動幅との関係について予め実験し、この関係に基づいてベーパ発生量に応じた適正な補正係数Kv を与えられるように上記マップまたは換算式を求めておく。これにより、液噴インジェクタ21の噴射燃料の不足を適正に補うことができる。
【0115】
なお、アイドリング運転状態の変動は、アイドリング回転数の他、エンジンにGセンサを設けたりクランクシャフトにトルクセンサを設けることでエンジンの振動の程度からも判断することができ、あるいは筒内圧を検出しても判断することができ、あるいは、マスフローメータ等で検出される空気量の変動からも判断することができる。
【0116】
(第4実施形態)
図14に本発明の第3実施形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンを示す。第1実施形態において、ECUにおいて実行される制御ソフトウェアを別の設定にしたもので、図中、図1と同じ番号を付した部分は第1実施形態と実質的に同じ作動をするので、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0117】
ECU6Cは、制御ソフトウェア上で実現される燃料性状演算手段65を備えている。燃料性状演算手段65は空燃比検出手段たるO2 センサ76とともに燃料性状検出手段9Aを構成する。
【0118】
本実施形態は、LPGの組成が異なると理論空燃比を与えるLPG量と空気量との比率が異なることを利用するもので、プロパン比は空燃比制御において、ストイキ時における、吸入空気量で規格化された噴射量を学習することで求める。図15は発明者らが、プロパン比と学習された噴射量(学習値)との関係について実験した結果を示すもので、学習値に対してプロパン比が直線的に対応している。なお、学習値はプロパン/ブタン=25/75のときを1としている。このように実験結果等から得られる関係をマップ若しくは関数として記憶し、LPGタンク内のLPGのプロパン比を得ることができる。
【0119】
この、燃料性状演算手段65としての一連の手順であるプロパン比検出フローを図16に示す。IGオンする(ステップS701)と、ステップS702では空燃比制御に基づく学習値が書き換え後か否かを判断し、書き換え後でなければステップS703に進み、ステップS703では、プロパン比を上記マップ若しくは関数に従い算出し、ステップS704で学習値をストアする。なお、ステップS702で書き換え後でなければステップS705でプロパン比を初期値(例えば25%)に設定する。これは、ストアされた学習値がバッテリ交換等で消失した後の最初のIGオン時に対応するためである。
【0120】
本実施形態の構成によれば、通常の燃料噴射制御で用いられる情報に基づいて燃料性状を知ることができるので、新たにセンサ類を設ける必要がない。
【0121】
(第5実施形態)
図17に本発明の第5実施形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用した内燃機関たるLPGエンジンの構成を示す。第1実施形態において、ECUにおいて実行される制御ソフトウェアを別の設定にしたもので、図中、図1、図3と同じ番号を付した部分は第1実施形態と実質的に同じ作動をするので、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0122】
ECU6Dは、制御ソフトウェア上で実現される燃圧低下量演算手段66を備えている。燃圧低下量演算手段66は燃圧センサ72とともにベーパ発生状態検出手段8Cを構成する。
【0123】
図18はECU6Dで実行される制御を示すフローチャートであり、制御手段60としての手順のうち、始動時の気噴インジェクタ21の噴射量を算出する手順を示している。
【0124】
本制御フローは、上記第1実施形態と同様に、IGオン後(ステップS201)、読み込まれた冷却水温、バッテリ電圧、タンク内圧力、タンク内温、クランキング回転数に基づいて(ステップS202)、基本噴射量taustgb (ステップS203)、バッテリ電圧補正係数Kb (ステップS204)、燃圧補正係数Ktp(ステップS205)、燃温補正係数Ktt(ステップS206)を算出する。
【0125】
続くステップS208´ではベーパ補正係数Kv を読み込む。ベーパ補正係数Kv の算出は、デリバリパイプ312に取り付けられた上記燃圧センサ72の燃料噴射時における検出信号に基づいて燃圧低下量演算手段66によりなされる。
【0126】
図19に燃圧センサ72により液噴インジェクタ21による燃料噴射時に検出される燃圧の挙動を示す。燃料噴射によるデリバリパイプ312内の燃料の減少に対してフィードポンプ301からの補充がなされるが、上記燃料噴射が一時に行われるのでデリバリパイプ312内への燃料の輸送遅れに基因して燃圧が一時的に低下する。したがって、液噴インジェクタ21内でベーパが発生しており実噴射量が減じられる状態にあれば、デリバリパイプ312内における燃圧の低下量も小さい。
【0127】
ECU6Dは燃圧センサ72により知られる燃料噴射時の燃圧低下量を求め、予め記憶した、燃圧低下量を入力とする一次元マップまたは関数式からベーパ補正係数Kv を算出し、ストアしておく。このストアされたベーパ補正係数Kv が上記ステップS208´で読み込まれることとなる。この一次元マップまたは関数式では、ベーパ補正係数Kv は燃圧低下量が小さいほど大きな値が与えられる。ベーパ補正係数Kv の具体的な数値は、予め実験やシミュレーションを実施して与えるのがよい。
【0128】
また、燃圧低下量は、指令噴射時期になる前の時点の燃圧を取り込んでおくとともに、噴射期間中すなわち液噴インジェクタ21の開弁期間中の最小値をホールドしておき、両者の差を算出することで得る。なお、指令噴射時期になる前の時点の燃圧はその都度検出するのではなく予め記憶した固定値とするのもよい。
【0129】
ステップS209´では、上記ステップS203〜S206,S208´により得られた基本噴射量taustgb 等に基づいて上記式(2)にしたがい始動時気噴インジェクタ噴射量taustgを算出する。
【0130】
なお、クランキング開始時における始動時気噴インジェクタ噴射量taustgの算出に用いるため上記ベーパ補正係数Kv は0等の初期値をストアしておく。あるいは、クランキング開始時の始動時気噴インジェクタ噴射量taustgを、後述する第7実施形態において説明するように始動時液噴インジェクタ噴射量taustlの44±5%に設定する。
【0131】
このように通常の噴射制御(上記ステップS102)でも用いられる燃圧センサ72を用いて液噴インジェクタ21内におけるベーパの発生状態を知ることができるので構成簡単である。
【0132】
(第6実施形態)
図20に本発明の第6実施形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用した内燃機関たるLPGエンジンの構成を示す。第5実施形態において、ECUにおいて実行される制御ソフトウェアの一部を別の設定にしたもので、図中、図17と同じ番号を付した部分は第5実施形態と実質的に同じ作動をするので、第5実施形態との相違点を中心に説明する。
【0133】
図において、吸気管4内にはスロットルバルブ5位置よりも上流部に吸入空気量検出手段である空気量検出センサ79が設けられ、吸入空気量を検出するようになっている。この空気量検出センサ79は通常の制御に用いられるエアフローメータが用いられ得る。空気量検出センサ79はECU6Eの空気量低下量演算手段67とベーパ発生状態検出手段8Eを構成する。
【0134】
空気量低下量演算手段67は上記制御手段60AとともにECU6EのCPU上で実行される制御ソフトウェア上で実現するもので、第5実施形態のように燃圧低下量に基づいてではなく、空気量検出センサ79により検出された吸入空気量に基づいてベーパ補正係数Kv を求める。
【0135】
図21は吸入空気量の経時変化を示すもので、クランキングが開始されてエンジン回転数が上昇し吸入空気量が増大する。LPGは噴射後に速やかに気化するので吸気管4内の分圧がガソリン等の液状燃料に比して大きく、LPGエンジンでは吸入空気量は吸入空気と混合気を形成する噴射燃料の影響を受け、噴射燃料が少ないほど吸入空気量は多くなる。したがって、液噴インジェクタ21におけるベーパの発生量が多く実噴射量が少なくなれば吸入空気量は過剰となる。空気量低下量演算手段67は吸入空気量センサ79により知られる吸入空気量と基準値との差(吸入空気過剰量)を求め、予め記憶した、吸入空気過剰量を入力とする一次元マップまたは関数式からベーパ補正係数Kv を算出し、ストアしておく。この一次元マップまたは関数式において、ベーパ補正係数Kv は吸入空気過剰量が大きいほど大きく与えられる。ベーパ補正係数Kv の具体的な数値は、予め実験やシミュレーションを実施して与えるのがよい。
【0136】
なお、吸入空気量センサ79により検出される吸入空気量は各気筒の吸入行程のタイミング等に対応して変動するから、吸入空気過剰量の算出に供する吸入空気量は、例えばクランキング開始後最初に実行される吸入行程における平均値をとる。あるいは、上記吸入行程中における所定のタイミングで取り込んだ吸入空気量の値を用いるのもよい。
【0137】
(第7実施形態)
図22に本発明の第7実施形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用した内燃機関たるLPGエンジンの構成を示す。第1実施形態において、ECUにおいて実行される制御ソフトウェアを別の設定にしたもので、図中、図1と同じ番号を付した部分は第1実施形態と実質的に同じ作動をするので、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0138】
ECU6Fの制御手段60Bは燃料噴射を制御するもので、ECU6FのCPUで実行される制御ソフトウェア上で実現する。図23は始動時にECU6Fで実行される制御を示すフローチャートであり、制御手段60Bとしての手順を示している。
【0139】
本制御フローはIGオンでスタートし(ステップS701)、ステップS702では、液噴インジェクタ21、気噴インジェクタ22の噴射量の算出用に冷却水温、バッテリ電圧、燃圧、クランキング回転数を読み込む。
【0140】
続くステップS703では、読み込まれた冷却水温に基づいて、気噴インジェクタ22によるアシスト噴射を行うか否かを判断する。冷却水温度が所定温度を越えていればアシスト噴射が必要と判断し、冷却水温が所定温度を越えていなければアシスト噴射が不要と判断する。アシスト噴射の必要性を判断するしきい値となる上記所定温度は、冷却水温とインジェクタ先端部温度との相関やリリーフ弁314により規定される液噴インジェクタ21への供給燃圧を考慮して、ベーパが発生していないと判断し得る上限温度に設定する。かかる上限温度は、沸点が低くベーパが発生しやすいプロパン100%の場合について、飽和蒸気圧線図や第1実施形態における冷却水温度とベーパ発生率に関するデータに基づいて設定すればよく、例えば40°Cに設定する。
【0141】
ステップS703でアシスト噴射実行と判断された時は、ステップS704に進み液噴インジェクタ21の始動時噴射量を算出し、続くステップS705で気噴インジェクタ22の始動時噴射量を算出する。ここで、気噴インジェクタの始動時噴射量は、液噴インジェクタ始動時噴射量の相当量を気噴インジェクタ22で噴射するときの噴射量に増量割合を乗じて求める。
【0142】
上記増量割合は固定値であり、44±5%の範囲で予め設定する。
【0143】
なお、気噴インジェクタ22の噴射量の算出において燃圧補正を行う場合、タンク内圧を上記第1実施形態のように(図3ステップS205)タンク内圧センサにより知るのではなく、デリバリパイプ312に取り付けた燃圧センサ72の検出燃圧からリリーフ弁314のリリーフ圧0.5MPaを減じて求める。これにより、タンク内圧センサを省略することができる。勿論、タンク内圧センサを用いるのもよい。
【0144】
ステップS706では噴射量の指令値を液噴インジェクタ21および気噴インジェクタ22の駆動回路に出力する。
【0145】
ステップS709では始動完了か否かを判断し、始動完了(完爆)していれば本フローを終了し、始動完了していなければステップS702に戻る。
【0146】
ステップS703においてアシスト噴射非実行と判断された時は液噴インジェクタ21の噴射量の算出と(ステップS707)、液噴インジェクタ21への噴射量の指令値出力(ステップS708)のみ行い、ステップS709に進む。
【0147】
本実施形態では、上記のごとく、高温再始動時の液噴インジェクタ22によるアシスト噴射の噴射量がベーパ発生状態によらず気噴インジェクタ22の噴射量に対して一定割合(44±5%)となるように設定される。
【0148】
図24は上記ステップS705で気噴インジェクタ22によりアシスト噴射を行った場合の増量値F(上記増量割合に同じ)と筒内空気過剰率λとの関係を示すもので、液噴インジェクタ21においてベーパが発生していない場合(燃料液相時)と燃料がすべてベーパ化している場合(燃料気相時)とを併せて示している。
【0149】
さて、液噴インジェクタ21内にベーパが発生していなければ、気噴インジェクタ22によるアシスト噴射により、増量値Fに応じて1(ストイキ)から漸次筒内λが低下する。そして、増量値Fが49%になると始動可能筒内λの下限値である0.7に達する。すなわち燃料液相時には増量値Fは最大49%まで許容される。
【0150】
一方、液噴インジェクタ21の噴射燃料がすべてベーパ化していると、アシスト噴射が無いときの筒内λは14(ブタン100%)〜28(プロパン100%)になる。最もリーン化する筒内λが28の時にその燃料不足量を補い筒内λを1とするには気噴インジェクタ22による増量値Fは96%となる。しかし、この増量値Fでは液噴インジェクタ21内にベーパが発生していない場合に始動可能筒内λの上限値から外れている。そこで、ここから増量値Fを減らしリーン側にシフトしていき上記49%よりもさらにシフトしていくと、増量値Fが39%のとき始動可能筒内λの上限値である2.0に達する。すなわち、燃料気相時には増量値Fは最小39%以上必要である。
【0151】
そして、液噴インジェクタ21において燃料が液相と気相の混合状態であれば特性線図は、この2つの間に位置するから、許容される増量値Fの最大値は49%を越え、必要な増量値Fの最小値は39%を下回る。
【0152】
したがって、増量値Fを39〜49%(44±5%)の範囲内で設定すれば、ベーパ発生の有無やその発生量に係わらず、両インジェクタ21,22による噴射で、始動可能な燃料噴射量を適正に与えることができる。
【0153】
また、本実施形態ではステップS703において気噴インジェクタ22によるアシスト噴射を行うか否かを冷却水温度により判断し、冷却水温度がさ程高くなくベーパ発生が殆どない場合にはアシスト噴射を行わないので、燃料噴射量がさらに適正に与えられる。その結果、燃料消費を抑えることができ、燃費が向上する。
【0154】
また、本実施形態によれば、上記のごとくベーパ発生の有無やその発生量を計測しないのでECUの演算負荷を軽減することができ、構成が簡単である。
【0155】
なお、本実施形態ではアシスト噴射を行うか否かを冷却水温に基づいて判断している(ステップS703)が、要求される燃費によっては、これを省略して常にステップS704〜S706を実行するようにしてもよい。上記のごとく、増量値Fを44±5%の範囲内で設定することで、ベーパ発生の有無に係わらず適正な噴射量が与えられ、良好な始動性が得られるからである。
【0156】
(第8実施形態)
図25に本発明の第8実施形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用した内燃機関たるLPGエンジンの構成を示す。第7実施形態において、気相燃料噴射手段の構成を別の構成に代えるとともに、ECUにおいて実行される制御ソフトウェアを別の設定としたもので、図中、図22と同じ番号を付した部分は第7実施形態と実質的に同じ作動をするので、第7実施形態との相違点を中心に説明する。
【0157】
上記第7実施形態は気噴インジェクタをサージタンク41に設けて気相燃料噴射手段としているが、本実施形態では、気相燃料噴射手段22Aは、気相LPG供給配管32をサージタンク41と直接接続して、サージタンク41内側の面に開口する気相LPG供給配管32の先端部を気相燃料を噴射する噴射部221とするともに、気相LPG供給配管32の途中に電磁弁222が設けられ、燃料タンク30内の気相燃料の噴射部221への送出と停止とを切り換えるようになっている。
【0158】
電磁弁222の通電制御はECU6Gの制御手段60Cによりデューティ制御でなされ、噴射量はデューティ比で設定される。制御手段60CはECU6GのCPUで実行される制御ソフトウェア上で実現する。
【0159】
図26は始動時にECU6Gで実行される制御を示すフローチャートであり、上記制御手段60Cとしての手順を示している。
【0160】
本制御フローは上記第7実施形態と基本的に同じもので、気噴インジェクタの噴射量を設定するステップS705に代えて、電磁弁222のデューティ比を設定する。デューティ比は、液噴インジェクタ21の始動時噴射量の相当量を気相燃料噴射手段22Aで噴射したときの噴射量に増量割合を乗じて求めた量を換算して設定する(ステップS705´)。上記増量割合は、上記第7実施形態の44±5%の範囲内で設定する。設定されたデューティ比は電磁弁222の駆動回路へ出力される(ステップS706´)。
【0161】
かかる構成でも気相LPGを好適にサージタンク41内に噴射することができる。ノズル部やその開閉切換部を一体的に構成したインジェクタをサージタンク41に設けないので、エンジン本体周りの部品レイアウトが容易になる。
【0162】
本実施形態の気相燃料噴射手段22Aの構成は上記各実施形態において気噴インジェクタに代える構成として採用することもできる。
【0163】
第9形態
図27に本発明の参考例であり、第9形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用した内燃機関たるLPGエンジンの構成を示す。第8実施形態において、気相燃料噴射手段の構成を別の構成に代えるとともに、ECUにおいて実行される制御ソフトウェアを別の設定としたもので、図中、図25と同じ番号を付した部分は第8実施形態と実質的に同じ作動をするので、第8実施形態との相違点を中心に説明する。
【0164】
気相燃料噴射手段22Bは、噴射部221の上流で気相LPG供給系32Aを構成する送出流路である気相LPG供給配管320の途中にソニックノズル224、遮断弁223が設けられてなる。遮断弁223はECU6Hにより開閉する。また気相LPG供給系32Aはソニックノズル224よりも上流にリリーフ弁321が設けてあり、リリーフ弁321の開弁時にのみ燃料タンク30内の気相LPGの送出が可能となっている。リリーフ弁321には、図例のようにスプリング3211を有する一般的なスプリング負荷型のものが用いられ得る。
【0165】
ソニックノズル224は、図28に示すように、通路224aにのど2242を有する末広ノズルであり、図29に示すようにリリーフ弁321側の入口2240の圧力P0 とサージタンク41側の出口2241の圧力P1 の比P1 /P0 が所定値以下のとき、すなわち入口圧力P0 に比例する臨界圧力よりも出口圧力P1 が低いとき、流量Gが一定となる(ソニック領域)。
【0166】
ここで、リリーフ弁321が開弁しLPGタンク30から気相LPGがソニックノズル224を流通する場合の入口圧力P0 の最低値は略上記リリーフ弁321のリリーフ圧により規定される。したがって、ソニック領域となる入口圧力P0 の下限値(図29中、P1 /P0 MAXにおける圧力値)が上記リリーフ圧で規定されるソニックノズル224を流通する気相LPGの最低圧力よりも低ければ、リリーフ弁321が開いて噴射部221から気相LPGの噴射がなされ、その時の噴射流量は一定流量となる。リリーフ弁321のリリーフ圧は詳しくは後述するように、リリーフ弁321を開弁せしめる最低のLPG圧力が、ソニック領域となる入口圧力P0 の下限値よりも低く設定される。
【0167】
これにより、燃料噴射を一定流量で行うことができ、実噴射量を噴射時間のみで正確に制御することができる。燃料噴射制御はECU6Hの制御手段60Dによりなされる。制御手段60DはECU6HのCPUで実行される制御ソフトウェア上で実現される。
【0168】
図30は始動時の遮断弁223の制御を示すフローチャートであり、制御手段60Dとしての手順を示している。なお、始動時における液噴インジェクタ21の制御等は上記各実施形態と実質的に同様に行われる。
【0169】
本制御フローはIGオンでスタートし(ステップS801)、ステップS802では読み込まれた冷却水温に基づいて、気相燃料噴射手段22Bによるアシスト噴射を行うか否かを判断する。冷却水温が所定温度を越えていればアシスト噴射が必要と判断し、冷却水温が所定温度を越えていなければアシスト噴射が不要と判断する。アシスト噴射の必要性を判断するしきい値となる上記所定温度は上記第7実施形態と同様に設定することができる。
【0170】
ステップS802でアシスト噴射実行と判断された時は、ステップS803に進み遮断弁223を開き、ステップS804でクランキングを開始する。これにより気相燃料噴射手段22Bによりアシスト噴射が開始されることになるが、本実施形態では始動が完了するまで遮断弁223は開いた状態に保持される。すなわち、補正噴射量を上記第1実施形態のように液噴インジェクタ21の始動時噴射量に基づいて算出し開弁時間やデューティ比を設定することはしないので、予め市販燃料の燃料性状ばらつきや筒内λの上記始動可能範囲(第7実施形態)を考慮して、ベーパ発生による燃料不足を補いかつ燃料が過剰ともならない適正な補正噴射量が与えられるように、気筒数やクランキング回転数設定値からソニックノズル224を設計しておくのがよい。
【0171】
ステップS806では始動完了か否かを判断し、始動完了していなければステップS802に戻り、ステップS802以降の手順が繰り返される。始動完了(完爆)していればステップS806からステップS807に進む。
【0172】
ステップS807ではO2 センサ76により検出された空燃比による燃料噴射量のフィードバック制御が開始されたか否かを判定する。これは通常のエンジンと同様にO2 センサ76がその内蔵ヒータによる昇温で活性温度に達した否かで判断され、例えばO2 センサ76の出力がリッチ出力となったか否かで知り得る。O2 センサ76によるフィードバック制御が開始されたと判断された時点でステップS808に進み、遮断弁223を閉じ、本フローを終了し通常の燃料噴射制御に移行する。すなわち上記フィードバック制御が行われて燃料噴射量が適正量に維持される。
【0173】
ステップS802においてアシスト噴射非実行と判断された時は遮断弁223を閉状態のまま(ステップS805)でクランキングを開始する(ステップS804)。
【0174】
本形態によれば、アシスト噴射用のLPGはリリーフ弁321の開弁時にのみ送出されるから、冷却水温が上記所定値を越えていてもタンク内圧が低ければアシスト噴射は行われない。したがって、ブタン比率の高い燃料等のように飽和蒸気圧が低く比較的ベーパが発生しにくい燃料に対してはアシスト噴射が行われず、適正に燃料噴射量が与えられる。しかして、過剰な燃料消費を抑えることができ、燃費が向上する。
【0175】
ここで、リリーフ弁321のリリーフ圧すなわちスプリング3211の設定荷重は、上記のごとくブタン比率の高い燃料に対してはリリーフ弁が開弁しないように、例えば、リリーフ弁321を開弁せしめる気相LPGの圧力が、標準的なLPG(例えばプロパン25%)の、冷却水温が遮断弁223を開く上記所定値のときの液噴インジェクタ21内の温度における飽和蒸気圧となるように設定する。
【0176】
なお、本形態では、気相燃料噴射手段22Bはソニックノズル224を備えることでアシスト噴射量の高精度制御を実現しているが、要求されるアシスト噴射量精度によってはソニックノズル224を省略して第8実施形態のような構成とすることもできる。
【0177】
(第10実施形態)
図31に本発明の第10実施形態になる内燃機関の燃料噴射システムを適用した内燃機関たるLPGエンジンの構成を示す。第1実施形態において、液相LPG供給系と気相LPG供給系の構成を別の構成に代えるととともに、ECUにおいて実行される制御ソフトウェアを別の設定にしたもので、図中、図1と同じ番号を付した部分は第1実施形態と実質的に同じ作動をするので、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0178】
液相LPG供給系31Aと気相LPG供給系32Bとは共通の配管33を有し構成される。液相LPG供給系31Aの回収通路31cは、デリバリパイプ312の余剰燃料を回収するためのリリーフ弁としての三方弁34によりデリバリパイプ312側の上流配管(以下、液相配管という)315とLPGタンク30側の下流配管である共通配管33とが接続されて構成される。
【0179】
一方、気相LPG供給系32Bは三方弁34により共通配管33と気噴インジェクタ22側の下流配管(以下、気相配管という)322とが接続されて構成される。
【0180】
この、液相配管315、気相配管322および共通配管33の集合部に設けられる上記三方弁34の拡大断面図を図32(A)、図32(B)に示す。図32(A)はフィードポンプ301非作動時のもので、図32(B)はフィードポンプ301作動時のものである。
【0181】
三方弁34は、バルブボディ340に、共通配管33と接続されLPGタンク30に通じる第1ポート3401、液相配管315と接続されデリバリパイプ312に到る第2ポート3402、および気相配管322と接続され気相インジェクタ22に到る第3ポート3403が形成されている。
【0182】
バルブボディ340内には上記各ポート3401〜3403間の連通と遮断とを切り換える弁棒341が配設され、基部にてバルブガイド342に摺動自在に保持されている。弁棒341の先端部は弁室3405の天井面を貫通して弁室3405内に突出し弁体部3411としてある。弁室3405は弁体部3411の外周位置にて第1ポート3401と常時連通している。弁室3405の底面には弁体部3411と対向する位置に第2ポート3402が開口している。弁室3405の天井面に開口する弁棒挿通孔3404と弁棒341との間の環状空間3404aは第3ポート3403と常時連通している。
【0183】
弁棒341が下降すると弁体部3411が第2ポート3402の弁室底面開口端を塞ぎ、第1ポート3401と第2ポート3402との間を遮断するようになっている(図32(A))。この時、第1ポート3401は上記環状空間3404aを介して第3ポート3403と連通する。
【0184】
一方、弁棒341が上昇すると弁体部3411が上記弁棒挿通孔3404の弁室天井面開口端を塞ぎ、第1ポート3401と第3ポート3403との間を遮断するようになっている(図32(B))。この時、第1ポート3401は第2ポート3402と連通する。
【0185】
また、弁棒341は基端部がスプリング室3407内に突出し、スプリング室3407内に格納されたスプリング343により下方に付勢されている。スプリング室3407は絞り通路3406を介して上記第1ポート3401と連通している。
【0186】
スプリング343のスプリング力はフィードポンプ301が作動し第2ポート3402の圧力が上昇した時にその圧力で弁棒341を押し上げ第1ポート3401と第2ポート3402とを遮断可能なように設定する。すなわち、本三方弁34はフィードポンプ301作動時には第1ポート3401と第2ポート3402とが連通し、フィードポンプ301非作動時には第1ポート3401と第3ポート3403とが連通する。
【0187】
図33は始動時にECU6Iで実行される制御を示すフローチャートであり、制御手段60Eとしての手順を示している。
【0188】
本制御フローはIGオンでスタートし(ステップS901)、ステップS902では冷却水温が所定値以上か否かを判断し、所定値以上であれば気噴インジェクタ22によるアシスト噴射必要と判断してステップS903に進みクランキングを開始する。アシスト噴射モードの場合、始動完了まではフィードポンプ301は非作動状態となる。しかして、三方弁34の第1ポート3401は第3ポート3403と連通しており気噴インジェクタ22にLPGタンク30より共通配管33、三方弁34、気相配管322を介して気相LPGが供給される。また、液噴インジェクタ21にはLPGタンク30より送出通路31aを介して液相LPGが供給される。ここで、フィードポンプ301は非作動のため液相LPGの供給圧力は気噴インジェクタ22への気相LPGの供給圧力と同じLPGタンク30内圧である。
【0189】
ステップS904では冷却水温、バッテリ電圧、燃圧、クランキング回転数を読み込む。
【0190】
続くステップS905では液噴インジェクタ21の始動時噴射量および気噴インジェクタ22の始動時噴射量を例えば上記第1実施形態のごとく算出する。なお、上記1実施形態ではこれらの噴射量の算出に際し、液噴インジェクタ21については燃圧センサ72、気噴インジェクタ22についてはタンク内圧センサ74(例えば図1)により検出された圧力値を用いているが、本実施形態ではアシスト噴射を行う場合には上記のごとく始動完了まではフィードポンプ301が非作動なので両インジェクタ21,22の供給燃料の燃圧は等しく、燃圧センサ72による検出圧力値が用いられる。
【0191】
続くステップS906では液噴インジェクタ21、気噴インジェクタ22による燃料噴射を行う。三方弁34は第2ポート3402と弁室3405の間が遮断されているから気噴インジェクタ22に液相LPGが混じることなくLPGタンク30からの気相LPGが供給される。
【0192】
ステップS907では始動完了か否かを判断し、始動完了していなければステップS904に戻る。始動完了まで上記ステップS904以降の手順が繰り返される。
【0193】
始動完了(完爆)するとステップS907からステップS908に進む。始動完了後の燃料噴射は上記ステップS904〜S906のごとく液噴インジェクタ21、気噴インジェクタ22により行われる。
【0194】
ステップS908では上記第9実施形態と同様に検出空燃比によるフィードバック制御が開始されたか否かを判定し、O2 センサ76によるフィードバック制御が開始されたと判断された時点でステップS909に進み、フィードポンプ301をオンする。これにより三方弁34は第1ポート3401と第3ポート3403との間が遮断されるともに第1ポート3401と第2ポート3402との間が連通し、共通配管33はデリバリパイプ312から余剰燃料をLPGタンク30に回収する回収管路としてのみ機能する。
【0195】
これ以後は上記フィードバック制御により燃料噴射量が適正な量に調量される。そして、気噴インジェクタ22の燃料噴射は三方弁34から気相配管322を経て気噴インジェクタ22に到る空間に残存する燃料のみでなされるから、気噴インジェクタ22の噴射流量は徐々に減少していく。一方、液噴インジェクタ21に存在するベーパも、液噴インジェクタ21に供給されるLPGの冷却作用で徐々に減少していく。
【0196】
そして所定時間が経過すると(ステップS910)、ステップS911で気噴インジェクタ22によりアシスト噴射を行う噴射モードから離れ、通常の液噴インジェクタ22による噴射モードへと移行する。ここで、上記所定時間は三方弁34から気相配管322を経て気噴インジェクタ22に到る上記空間に残存する気相燃料があらかた排出されたとみなせる時間に設定する。
【0197】
このように、気噴インジェクタ22を用いるアシスト噴射モードから液噴インジェクタ21のみの通常時の噴射モードへと燃料不足を生じることなくスムーズに切り換わる。
【0198】
なお、ステップS902においてアシスト噴射非実行と判断された時はステップS912〜S917の手順を実行し液噴インジェクタ21のみの噴射となる。ステップS912でフィードポンプ301をオンし上記のごとく共通配管33をデリバリパイプ312から余剰燃料をLPGタンク30に回収する回収管路としてのみ機能せしめて液噴インジェクタ21にフィードポンプ301で加圧された液相燃料を供給する。続くステップS913でクランキングを開始する。
【0199】
ステップS914では上記ステップS904と同様に冷却水温、バッテリ電圧、燃圧、クランキング回転数を読み込み、これに基づいてステップS915で液噴インジェクタ21の始動時噴射量を算出する。続くステップS916で液噴インジェクタ21による燃料噴射を行う。ステップS917で始動完了か否かを判断し、始動完了していなければステップS914に戻る。始動完了まで上記ステップS914以降の手順が繰り返されることになる。
【0200】
始動完了(完爆)すると本フローを終了する。
【0201】
本実施形態では燃料供給系の配管の一部を共通にすることができるので、部品数を少なくすることができ、きわめて構成が簡単である。
【0202】
なお、本実施形態では気噴インジェクタ22によるアシスト噴射を行うか否かを冷却水温が所定値を越えたか否かで判断している(ステップS902)が、冷却水温によらずフィードポンプ301を作動させてアシスト噴射を可能にしておくのもよく、その場合は気噴インジェクタ22を非作動とすればよい。
【0203】
上記各実施形態において、燃料噴射システムを構成する液噴インジェクタ21や気噴インジェクタ22等の各部は一般的な構成のものを用いることができるが、以下に本発明の効果をさらに高めることのできるこれら各部の変形例について説明する。
【0204】
上記第1〜第4実施形態のように液噴インジェクタ21におけるベーパ発生状態に応じて気噴インジェクタ22によるアシスト噴射の噴射量を算出するものでは、上記図11より知られるように、気噴インジェクタ22によりアシスト噴射が行われる期間は、液噴インジェクタ21の冷却が速やかに行われるほどベーパの発生が速やかに抑えられて短くなる。したがって、気噴インジェクタ22によるアシスト噴射を伴わない、液噴インジェクタ21だけの通常の燃料噴射に速やかに移行できる。そこで、次に、冷却効率のよい液噴インジェクタの構造について説明する。
【0205】
図34において、液噴インジェクタ21Aは、基本的には吸気ポート101に向けられる先端部にバルブボディ201を有する一般的な構成のもので、筒状のバルブボディ201内にその軸心に沿って棒状の弁体202が挿置され、バルブボディ201の端壁に形成した縦穴201aの周縁部を弁座として縦穴201aの開閉を行うようになっている。バルブボディ201の端壁には外側からオリフィスプレート203が嵌着してあり、バルブボディ201内に導入されたLPGが弁体202の離座時に端壁の縦穴201aおよびオリフィスプレート203に形成した噴孔203aを通り噴射されるようになっている。
【0206】
バルブボディ201の外周にはバルブボディ201と一体のカバー部204が設けてある。カバー部204は、バルブボディ201と同軸に設けられた筒状部材で、オリフィスプレート203位置からLPGが噴射される前方へフード状に伸びている。また、オリフィスプレート203の噴孔203aは斜め外方へ向けて形成され、カバー部204の内周面を向いている。
【0207】
噴孔203aから噴射された燃料はカバー部204に衝突してカバー部204から奪熱して気化する。この奪熱により、カバー部204と一体のバルブボディ201はさらに効率よく冷却され、気噴インジェクタ22によるアシスト噴射のない噴射モードに速やかに移行することができる。
【0208】
なお、図35に示すように、カバー部204Bの内周面にめねじ状に凹凸2041を形成してもよい。この液噴インジェクタ21Bでは、噴孔203aからのLPGが衝突するカバー部204Bの面積が増大するので、さらにバルブボディ201の冷却作用を促進することができる。
【0209】
あるいは図36に示すように、カバー部204Cを有底筒状としてLPGを受ける面積を大きくとり、周壁部2042には複数のLPG流通用の横穴2042aを形成する。この液噴インジェクタ21Cは、カバー部204Cの底壁部2043があるので、LPGを受ける面積を相当大きくとることができる。なお、LPG等の液化燃料ガスは、カバー部204Cへの衝突によって容易に気化し、ガソリンのようにデポジットのおそれが殆どなく、燃焼室100(図1参照)内への燃料供給に支障はない。
【0210】
また、液噴インジェクタでベーパを発生しにくくするには図37に示す構成とするのもよい。液噴インジェクタ21Dは、棒状のハウジング205を軸線に沿って貫通する燃料流路205aの一端を燃料噴射口205bとしてこれら側が吸気ポートに向くようにし、燃料流路205aの他端を燃料供給口205cとして燃料供給口205c側の端部をデリバリパイプ312壁に貫通せしめてある。
【0211】
燃料流路205aを開閉するバルブ部206は燃料供給口205cの直下流位置に配置してあり、ハウジング205の、燃料供給口205c側の部分を構成するバルブボディ2051内に挿置された弁体207が燃料流路205aの段面を弁座2051aとしてこれに着座するようになっている。弁体207を駆動するスプリング208、ソレノイド209、弁体207の軸端と結合した可動鉄心210等は、ハウジング205の長さ方向の略中央部に配設される。
【0212】
この液噴インジェクタ21Dによれば、開弁時にはバルブ部206を通過したLPGは噴射口205bに到る比較的長い燃料流路205aを通り噴射口205bから吸気ポートに向けて噴射される。このようにバルブ部206を、シリンダヘッド13壁(図1)を貫通して高温になりやすい先端部から遠ざけてバルブ部206のすぐ手前まできているLPGがエンジンの熱の影響を受けにくくするとともに、バルブ部206がデリバリパイプ312内を流通するLPGにより効率よく冷却されるようにする。これにより、バルブ部206のすぐ手前まできているLPGがベーパ化するのを抑える。
【0213】
また、既述のごとく、液相インジェクタ21に供給されるLPGの温度が低ければベーパは発生しにくい。デリバリパイプ312内を流通するLPG温度を下げるには図38のようにするのもよい。
【0214】
リターン配管313に設けられるリリーフ弁314Aのバルブボディ3141の内部には、回収流路31bの途中部分をなす流路3141aが形成され、ここに弁体3142とこれを付勢するスプリング3143とが配置されている。弁体3142よりも上流部の圧力がスプリング3143の付勢力を越えると弁体3142は開弁し、LPGが流路3141aを通過する。バルブボディ3141の内部にはまた、上記流路3141aに近接して、送出流路31aの途中部分をなす別の流路3141bが形成してある。
【0215】
さて、開弁時に液相LPGが流路3141aと弁体3142との間隙を通り抜けると、そこはLPGタンク30内と同じ低圧であるから、液相LPGは一部がベーパ化する。このとき、バルブボディ3141はLPGに気化熱を与えるのでバルブボディ3141温度が低下する。これにより、別の流路3141bを流れるLPGを冷却することができる。
【0216】
また、本実施形態のようなMPI方式のエンジンの場合は、気噴インジェクタ22からの噴射燃料は吸気管4を通り各気筒へと分配されることになる。したがって、各気筒における燃料調量精度は気噴インジェクタ22からの噴射燃料が均等に分配されるほど高く、したがって噴射燃料が吸気管4内で均一化されるのがよい。次に、気噴インジェクタ22からの噴射燃料の均一化について説明する。
【0217】
図39は、気噴インジェクタの取付け状態を示すもので、気噴インジェクタ22は、吸気管4のスロットルバルブ5設置位置から吸気管内径と略同じ距離離れたスロットルバルブ5の直下流位置に、吸気管4壁を吸気管4と直交する方向に先端部を貫通して設けてある。気噴インジェクタ22の噴射口22aは吸気管4内を径方向に横切る方向にLPGを噴射するように形成されている。
【0218】
さて、アイドリング時にはスロットルバルブ5は「全閉」になっており、スロットルバルブ5の直下流位置では、スロットルバルブ5と吸気管4の内壁面との間の間隙を通過する空気により、吸気管4の内壁面近傍に低圧で高速の気流Jが形成される。この気流Jに、スロットルバルブ5の直下流の空気が巻き込まれ、渦状の気流Sが形成される。この渦状気流Sが形成される領域に気噴インジェクタ22からのLPGが噴射されることになるので、噴射されたLPGは渦状気流Sにより良好に攪拌されて均一化し、各気筒へ均等に分配される。
【0219】
この場合、図40に示すように、噴射口22bの形成方向をやや吸気管4の上流側すなわちスロットルバルブ5側に向けて燃料の噴射方向がスロットルバルブ5面に向かう方向となるようにしてもよい。この構成でもスロットルバルブ5の直下流部に形成される渦状気流Sによる噴射燃料の攪拌作用が得られるとともに、スロットルバルブ5面に噴射LPGが衝突し拡散するので、より燃料の攪拌作用が高められる。
【0220】
なお、気筒数や燃料性状等、システムの構成は上記各実施形態に記載のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない限り任意である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図2】 上記燃料噴射システムのECUにおける始動時の噴射量設定制御を示す第1のフローチャートである。
【図3】 上記燃料噴射システムのECUにおける始動時の噴射量設定制御を示す第2のフローチャートである。
【図4】 上記燃料噴射システムのECUにおける燃料性状検出制御を示すフローチャートである。
【図5】 上記燃料噴射システムのECUにおける噴射量の補正制御を示すフローチャートである。
【図6】 上記燃料噴射システムのECUにおける始動後の噴射量設定制御を示す第1のフローチャートである。
【図7】 上記燃料噴射システムのECUにおける始動後の噴射量設定制御を示す第2のフローチャートである。
【図8】 上記燃料噴射システムのECUにおける燃料性状の検出制御を説明するマップである。
【図9】 上記燃料噴射システムのECUにおける噴射量の補正制御を説明するマップである。
【図10】 (A),(B)はそれぞれ上記燃料噴射システムのECUにおける噴射量の補正制御を説明するグラフである。
【図11】 上記燃料噴射システムの作動を示すタイムチャートである。
【図12】 本発明の第2の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図13】 本発明の第3の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図14】 本発明の第4の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図15】 上記燃料噴射システムのECUにおける燃料性状の検出制御を説明するグラフである。
【図16】 上記燃料噴射システムのECUにおける燃料性状の検出制御を説明するフローチャートである。
【図17】 本発明の第5の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図18】 上記燃料噴射システムのECUにおける始動時の噴射量設定制御を示すフローチャートである。
【図19】 上記燃料噴射システムの燃圧低下量検出制御を示すタイムチャートである。
【図20】 本発明の第6の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図21】 上記燃料噴射システムの空気過剰量検出制御を示すタイムチャートである。
【図22】 本発明の第7の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図23】 上記燃料噴射システムのECUにおける始動時の噴射量設定制御を示すフローチャートである。
【図24】 上記燃料噴射システムの始動時の噴射量設定制御を説明するグラフである。
【図25】 本発明の第8の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図26】 上記燃料噴射システムのECUにおける始動時の噴射量設定制御を示すフローチャートである。
【図27】 本発明の参考例である第9の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図28】 上記燃料噴射システムを構成するソニックノズルの断面図である。
【図29】 上記燃料噴射システムを構成するソニックノズルの特性を示すグラフである。
【図30】 上記燃料噴射システムのECUにおける始動時の噴射量設定制御を示すフローチャートである。
【図31】 本発明の第10の内燃機関の燃料噴射システムを適用したLPGエンジンの構成図である。
【図32】 (A)は上記燃料噴射システムを構成する三方弁の第1の状態における断面図であり、(B)は上記三方弁の上記第1の状態から弁棒が変位した第2の状態における断面図である。
【図33】 上記燃料噴射システムのECUにおける始動時の噴射量設定制御を示すフローチャートである。
【図34】 本発明の内燃機関の燃料噴射システムを構成する液噴インジェクタの第1の変形例を示す図である。
【図35】 本発明の内燃機関の燃料噴射システムを構成する液噴インジェクタの第2の変形例を示す図である。
【図36】 本発明の内燃機関の燃料噴射システムを構成する液噴インジェクタの第3の変形例を示す図である。
【図37】 本発明の内燃機関の燃料噴射システムを構成する液噴インジェクタの第4の変形例を示す図である。
【図38】 本発明の内燃機関の燃料噴射システムを構成するリリーフ弁の変形例を示す図である。
【図39】 本発明の内燃機関の燃料噴射システムを構成する気噴インジェクタの取付け状態の変形例を示す図である。
【図40】 本発明の内燃機関の燃料噴射システムを構成する気噴インジェクタの変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
100 燃焼室
101 吸気ポート
21,21A,21B,21C,21D 液噴インジェクタ(液相燃料噴射手段)
204,204B,204C カバー部
205 ハウジング
205a 燃料流路
205b 燃料噴射口
205c 燃料供給口
206 バルブ部
22 気噴インジェクタ(気相燃料噴射手段)
22A,22B 気相燃料噴射手段
221 噴射部
222 電磁弁
223 遮断弁
224 ソニックノズル
30 LPGタンク(燃料タンク)
31,31A 液相LPG供給系(液相燃料供給手段)
31a 送出流路
31b,31c 回収流路
314,314A リリーフ弁
3141 バルブボディ
3141a 流路
3141b 別の流路
315 液相配管(回収流路上流部)
32,32A,32B 気相LPG供給系(液相燃料供給手段)
320 気相LPG供給配管(送出流路)
321 リリーフ弁
322 気相配管(分岐流路)
33 共通配管(回収流路下流部)
34 三方弁
4 吸気管
5 スロットルバルブ
6,6A,6B,6C,6D,6E,6F,6G,6H,6I ECU
60,60A,60B,60C,60D,60E 制御手段
61 温度換算手段
62 燃料性状演算手段
63 温度算出手段
64 変動幅算出手段
65 燃料性状演算手段
71 冷却水温センサ(冷却水温検出手段)
72 燃圧センサ(燃圧検出手段)
73 タンク内温センサ(タンク内温度検出手段)
74 タンク内圧センサ(タンク内圧力検出手段)
75 エンジン回転数センサ
76 O2 センサ(空燃比検出手段)
8,8A,8B,8C,8D ベーパ発生状態検出手段
9,9A 燃料性状検出手段

Claims (21)

  1. 燃料タンクに貯蔵された液化燃料ガスを液相状態で液相燃料噴射手段に供給する液相燃料供給手段と、燃料タンクに貯蔵された液化燃料ガスを気相状態で気相燃料噴射手段に供給する気相燃料供給手段と、液相燃料噴射手段および気相燃料噴射手段の開閉を切り換え燃料噴射を制御する制御手段とを有する内燃機関の燃料噴射システムにおいて、液相燃料噴射手段内のベーパ化した燃料の発生状態に応じて変化する物理量を検出するベーパ発生状態検出手段を具備せしめ、上記制御手段を、上記液相燃料噴射手段により噴射を行う際に、検出された上記物理量に基づいて上記気相燃料噴射手段によりベーパ発生の程度に応じた量の補正噴射を行うように設定したことを特徴とする内燃機関の燃料噴射システム。
  2. 請求項1記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記ベーパ発生状態検出手段を、液相燃料噴射手段のバルブ部の温度を上記物理量として計測する構成とし、計測温度が高いほどベーパ発生の程度が大きいと判断する内燃機関の燃料噴射システム。
  3. 請求項2記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記ベーパ発生状態検出手段を、内燃機関の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段と、検出された冷却水温度を上記バルブ部の温度に換算する温度換算手段とを具備する構成とした内燃機関の燃料噴射システム。
  4. 請求項2記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記ベーパ発生状態検出手段を、上記燃料タンク内の温度を検出するタンク内温度検出手段と、検出された燃料タンク内温度と液相燃料噴射手段の噴射量とから上記バルブ部の温度を算出する温度算出手段とを具備する構成とした内燃機関の燃料噴射システム。
  5. 請求項1記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記ベーパ発生状態検出手段を、アイドリング運転状態の変動を上記物理量として計測する構成とし、計測されたアイドリング運転状態の変動が大きいほどベーパ発生の程度が大きいと判断する内燃機関の燃料噴射システム。
  6. 請求項5記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記ベーパ発生状態検出手段を、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、一定期間におけるエンジン回転数の変動幅を算出する変動幅算出手段とで構成した内燃機関の燃料噴射システム。
  7. 請求項1ないし6いずれか記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記ベーパ発生状態検出手段を、上記液相燃料噴射手段に供給される液相燃料の圧力を上記物理量として計測する構成とし、計測された燃料圧力が低いほどベーパ発生の程度が大と判断する内燃機関の燃料噴射システム。
  8. 請求項1ないし7いずれか記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、燃料性状を検出する燃料性状検出手段を具備せしめ、上記制御手段を、燃料性状によって上記気相燃料噴射手段の補正噴射の量を違えるように設定した内燃機関の燃料噴射システム。
  9. 請求項8記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記燃料性状検出手段を、燃料タンク内の圧力を検出するタンク内圧力検出手段と、燃料タンク内の温度を検出するタンク内温度検出手段と、検出された圧力および温度とに基づいて燃料性状を演算する燃料性状演算手段とで構成した内燃機関の燃料噴射システム。
  10. 請求項8記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記燃料性状検出手段を、機関の空燃比を検出する空燃比検出手段と、ストイキ時における、混合気を形成する空気量と噴射量との比率に基づいて燃料性状を演算する燃料性状演算手段とで構成した内燃機関の燃料噴射システム。
  11. 請求項1記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記ベーパ発生状態検出手段を、液相燃料噴射手段による噴射時の供給燃圧の低下量を上記物理量として計測する構成とし、計測された上記燃圧低下量が小さいほどベーパ発生の程度が大きいと判断する内燃機関の燃料噴射システム。
  12. 請求項1記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記ベーパ発生状態検出手段を、吸入空気の過剰量を上記物理量として計測する構成とし、計測された上記吸入空気過剰量が大きいほどベーパ発生の程度が大きいと判断する内燃機関の燃料噴射システム。
  13. 燃料タンクに貯蔵された液化燃料ガスを液相状態で液相燃料噴射手段に供給する液相燃料供給手段と、燃料タンクに貯蔵された液化燃料ガスを気相状態で気相燃料噴射手段に供給する気相燃料供給手段と、液相燃料噴射手段および気相燃料噴射手段の開閉を切り換え燃料噴射を制御する制御手段とを有する内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記制御手段を、始動時に上記液相燃料噴射手段により噴射を行う際に、上記気相燃料噴射手段により補正噴射を行うように設定し、上記補正噴射の噴射量を、上記液相燃料噴射手段により噴射される燃料がすべてベーパ化していたとした時に液相燃料噴射手段と気相燃料噴射手段とで完爆可能な略最小の噴射量を与える量を下限値とし、上記液相燃料噴射手段により噴射される燃料がすべてベーパ化していないとした時に液相燃料噴射手段と気相燃料噴射手段とで始動可能な略最大の噴射量を与える量を上限値とする範囲に設定したことを特徴とする内燃機関の燃料噴射システム。
  14. 請求項13記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記気相燃料噴射手段による上記補正噴射の噴射量を、始動時の指令噴射量の44%±5%に設定した内燃機関の燃料噴射システム。
  15. 請求項13または14記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、内燃機関の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段を具備せしめ、上記制御手段を、検出された上記冷却水温度が予め設定した所定温度以上のときにのみ上記気相燃料噴射手段による上記補正噴射を行うように設定した内燃機関の燃料噴射システム。
  16. 請求項1ないし15いずれか記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記液相燃料供給手段は、フィードポンプにより所定の吐出圧に高められた上記燃料タンク内の液化燃料ガスを液相にて液相燃料噴射手段へと送る送出流路と、液相燃料噴射手段からの余剰燃料を上記燃料タンクに回収する回収流路とを具備する構成とし、上記気相燃料供給手段は、上記回収流路の途中で分岐して気相燃料噴射手段に到る分岐流路を具備し上記回収流路の下流部および分岐流路により気相燃料を気相燃料噴射手段に供給する構成とし、かつ、回収流路の上流部と上記回収流路の下流部と上記分岐流路の集合部に回収流路下流部を回収流路上流部と分岐流路とのいずれかと連通せしめる三方弁を設け、該三方弁を、回収流路上流部内の圧力を上記回収流路下流部にリリーフするリリーフ弁構造とし、上記制御手段は、始動時に上記液相燃料噴射手段により噴射を行う際に気相燃料噴射手段により補正噴射を行うように設定し、かつ、上記フィードポンプを非作動とするように設定したことを特徴とする内燃機関の燃料噴射システム。
  17. 請求項ないし16いずれか記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記液相燃料噴射手段の先端部に、噴射された燃料が流通自在に構成したカバー部を設けた内燃機関の燃料噴射システム。
  18. 請求項1ないし16いずれか記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記液相燃料噴射手段を、棒状のハウジング内に長さ方向に燃料流路を形成し、燃料流路の一端を燃料噴射口とするとともに他端を燃料供給口とし、燃料流路の流通と遮断とを切り換えるバルブ部を燃料供給口の直下流部に配置した内燃機関の燃料噴射システム。
  19. 請求項1ないし18いずれか記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記液相燃料供給手段は、上記燃料タンク内の燃料を液相にて液相燃料噴射手段へと送る送出流路と、液相燃料噴射手段からの余剰燃料を上記燃料タンクに回収する回収流路と、回収流路の途中に設けたリリーフ弁とを有してなり、該リリーフ弁のバルブボディの内部には、弁体が配置され上記回収流路の途中部分をなす流路を形成するとともに、上記送出流路の途中部分をなす別の流路を形成した内燃機関の燃料噴射システム。
  20. 請求項1ないし19いずれか記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記気相燃料噴射手段は、吸気管のスロットルバルブの直下流位置に先端部が突出するように吸気管壁に貫通せしめた内燃機関の燃料噴射システム。
  21. 請求項20記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記気相燃料噴射手段は、噴射口の形成方向をスロットルバルブ面に向けた内燃機関の燃料噴射システム。
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