JP3759855B2 - 内燃機関の燃料噴射システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の燃料噴射システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料噴射システムにおいて、燃料として液状のものとガス状のものとの両方を用い、内燃機関の状態等により噴射燃料を切り換えるものがある。
【0003】
特開昭62−214238号公報記載のシステムではCNGとガソリンとの二元燃料を用いている。CNGボンベに貯蔵されたCNGはレギュレータで低圧に調圧された後、吸気管に設けられた噴射部に送出される。ガソリンタンクに貯蔵されたガソリンはフィードポンプによる吐出圧でインジェクタに送出される。
【0004】
かかるシステムではCNGの供給と停止とを切り換える遮断弁はレギュレータよりも下流に設けられ、CNG噴射モードとガソリン噴射モードとの間の切り換え時に遮断弁から噴射口に到る管路長に基因して切り換え遅れが生じるので、切り換え時には一定時間、アイドリング相当の噴射量のガソリンを噴射することで上記切り換え遅れによるリッチ化やリーン化を回避している。
【0005】
また、特公平7−65546号公報記載のシステムではLPGタンクから液相のLPGを液相LPG噴射用のインジェクタに供給するとともに、LPGタンクからの液相LPGの一部を気化して貯蔵容器に貯蔵し貯蔵容器から気相のLPGを気相LPG噴射用のインジェクタに供給している。液相LPGの供給系は、LPGタンク内の液相LPGが流通する管路が、液相LPG噴射用インジェクタの手前で分岐して圧力レギュレータを介してLPGタンクに戻る循環回路を形成しており、液相LPGの供給燃圧を所定圧に保っている。
【0006】
高温再始動時に高温の液相LPG噴射用インジェクタ内でLPGがベーパ化して燃料不足が生じるのを回避するべく、液相LPG供給系の上記管路内を流通する燃料温度が所定温度以上の時は燃料噴射を液相LPG噴射から気相LPG噴射に切り換えるともに、気相LPG噴射が行われている間に上記液相LPG流通管路に設けられた燃料ポンプを作動させ液相LPG噴射用のインジェクタ内の燃料がLPGタンク内のものと入れ替わるのを促し液相LPG噴射用インジェクタ内を冷却している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭62−214238号公報、上記特公平7−65546号公報のいずれのシステムも液体用の噴射手段と気体用の噴射手段の2種類が必要であり、ハード構成、制御ともに複雑化するという問題がある。
【0008】
また、上記特公平7−65546号公報のシステムにおいて上記液相LPG噴射用インジェクタは上記循環回路の途中部分をなすものではないから、気相LPG噴射が行われている間に上記燃料ポンプを作動させても液相LPG噴射用インジェクタ内のLPGがLPGタンク内のものと入れ替わる量は僅かであり、液相LPG噴射用インジェクタ内の冷却効果は十分とはいえず、液相LPG噴射用インジェクタ内のベーパを消散せしめるのは困難である。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、ハード構成、制御ともに簡単で、燃料がベーパ化する現象に対して効果のある内燃機関の燃料噴射システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、内燃機関の燃料噴射システムを、燃料を噴射するインジェクタと、該インジェクタに燃料として液化燃料ガスを液相状態で供給する液化燃料ガス供給管路と、上記インジェクタに燃料として燃料油を供給する燃料油供給管路と、液化燃料ガス供給管路および燃料油供給管路の燃料流通をオンオフし上記インジェクタへの供給燃料を液化燃料もしくは燃料油のいずれかに切り換える供給燃料切り換え手段と、内燃機関の状態に応じて供給燃料切り換え手段を制御する制御手段とを具備する構成とし、上記制御手段を、内燃機関の始動時に冷却水温度が所定値を越えると上記供給燃料を燃料油に切り換えるように設定する。かつ、上記インジェクタへの上記液化燃料ガスの供給燃圧と上記燃料油の供給燃圧とを略同一に設定する。
【0011】
液化燃料ガスも燃料油も単一のインジェクタから噴射する構成をとることでインジェクタだけではなくインジェクタの駆動回路等も単一ですみ、ハード構成が簡単になる。
【0012】
また、CNGを燃料とするもののように切り換え遅れが生じないのでインジェクタへの供給燃料の切り換えは単純に二値切り換えすればよく、制御が簡単である。また、2種類の燃料としていずれも液相のものを用い、かつ液化燃料ガスの供給燃圧と燃料油の供給燃圧とを略同一に設定することで液化燃料ガス、燃料油のいずれであってもインジェクタが実質的に同等の作動特性を示し、制御が簡単である。
【0013】
さらに、高温再始動時等には供給燃料に沸点の高い燃料油を選択すればベーパは発生しない。また、燃料油の燃料噴射が行われることによってインジェクタ内を燃料油が流通することになるから、インジェクタ内は十分に冷却される。したがって、その後、供給燃料を液化燃料ガスに切り換えた時にはベーパの発生は抑制されることになる。
【0015】
内燃機関の停止状態ではインジェクタ内における燃料流通がなくインジェクタが冷却されない。このため始動時の冷却水温度が高いほどインジェクタ内温度も高く、インジェクタ内の液化燃料ガスがベーパ化状態にある蓋然性が高い。したがって、冷却水温度から上記インジェクタ内の上記液化燃料ガスがベーパ化状態にあるか否かを正確かつ容易に知ることができ、冷却水温度が所定値を越えたら供給燃料を燃料油に切り換えることで始動性の低下を防止することができる。
【0016】
しかも、通常の内燃機関において必ず備えている冷却水温度センサの検出信号を流用して新たにセンサを設ける必要がないから、構成簡単である。
【0017】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、内燃機関の始動完了後に、検出空燃比に基づく燃料噴射のフィードバック制御を実行する条件が成立したか否かを判断し成立すると上記供給燃料を燃料油から液化燃料ガスに切り換えるように設定する。
【0018】
検出空燃比に基づく燃料噴射のフィードバック制御が実行可能となってから供給燃料の切り換えを行うので、内燃機関の運転状態に不連続を生じず、供給燃料の切り換えがスムーズである。
【0019】
請求項3記載の発明では、請求項1または2の構成において、上記制御手段を、内燃機関の始動完了後に、検出空燃比に基づく燃料噴射のフィードバック制御における燃料噴射量の補正量指令値がその上限値を越えると上記供給燃料を液化燃料ガスから燃料油に切り換えるように設定する。
【0020】
渋滞等で燃料消費量が減少してインジェクタ内温度が上昇しインジェクタ内の液化燃料ガスがベーパ化すると、燃料噴射量が不足し上記燃料噴射の補正量指令値が過剰に大きくなる。かかる場合には上記高温再始動時と同様に供給燃料がベーパの発生しない燃料油に切り換えられ燃料不足を回避することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に、本発明の内燃機関の燃料噴射システムを適用した内燃機関たる二元燃料エンジンの構成を示す。本二元燃料エンジンは以下の説明において複数気筒を備えた直列式の車両動力用のエンジンとして説明する。エンジン本体1は一般的な構成のもので、各気筒ごとにシリンダブロック11に形成されたシリンダ110内にピストン12が摺動自在に保持され、その上下往復動が図略のクランクシャフトの回転運動に変換される。図は1気筒分のみ示している。
【0022】
ピストン12の上方にはシリンダヘッド13との間に燃焼室100が形成され、ここに吸気管の下流端に位置する吸気ポート101から燃料と空気との混合気が供給される。燃焼室100内の排ガスは排気ポート102と連通する排気管5へと排出される。
【0023】
燃料を噴射するインジェクタ2は各気筒ごとにエンジンヘッド13を貫通して設けられ、その先端部は吸気ポート101に向けられている。インジェクタ2には、先端部にバルブ部を備えバルブ部が図略のインジェクタ駆動回路からのパルス状の開弁信号により開弁する一般的な構成のものが用いられ得る。
【0024】
インジェクタ2への燃料の供給系は、液化燃料ガスであるLPGを供給するLPG供給系3Lと、燃料油であるガソリンを供給するガソリン供給系3Gの2系統を備えており、インジェクタ2はLPG噴射とガソリン噴射とで兼用され、いずれの燃料噴射時も、インジェクタ2の開閉駆動は単一のインジェクタ駆動回路によりなされる。
【0025】
LPG供給系3Lは、LPGタンク30L内のLPGをLPGが流通する液化燃料ガス供給管路であるLPG供給管路31Lを介してインジェクタ2に供給する構成となっており、LPG供給管路31Lは、インジェクタ2への往路となるLPG送出路31Laと、インジェクタ2からの復路となるLPG回収路31Lbとからなる。LPG送出路31Laは直列に接続された上流配管(以下、LPG上流配管という)311L、下流配管312およびデリバリパイプ313からなり、LPG上流配管311Lの上流端が接続されたフィードポンプ300Lにより加圧されたLPGがデリバリパイプ313に向けて送出される。デリバリパイプ313には各気筒のインジェクタ2が接続される。LPG回収路31Lbは、デリバリパイプ313とLPGタンク30Lとを接続するLPG回収配管314Lに、デリバリパイプ313からLPGタンク30Lに向かう方向を順方向とするリリーフ弁314Lを設けてなり、デリバリパイプ313から余剰燃料をLPGタンク30に回収し、LPGの供給燃圧を調圧する。
【0026】
ガソリン供給系3Gは、ガソリンタンク30G内のガソリンをガソリンが流通する燃料油供給管路であるガソリン供給管路31Gを介してインジェクタ2に供給する構成となっており、ガソリン供給管路31Gは直列に接続された上流配管(以下、ガソリン上流配管という)311G、下流配管312およびデリバリパイプ313からなり、ガソリン上流配管311Gの上流端が接続されたフィードポンプ300Gにより加圧されたガソリンがデリバリパイプ313に向けて送出される。ここで、上記下流配管312およびデリバリパイプ313は、LPG供給系3Lとガソリン供給系3Gとに共通である。
【0027】
上記共通の下流配管312とLPG上流配管311Lとガソリン上流配管311Gとの集合部には供給燃料切り換え手段たる電磁駆動の三方弁(以下、切り換え弁という)41が設けてあり、下流配管312をLPG上流配管311Lとガソリン上流配管311Gとのいずれかと連通せしめるようになっている。また、LPG回収路31Lbの途中には供給燃料切り換え手段たる電磁駆動の2方弁(以下、遮断弁という)42が設けてあり、デリバリパイプ313とLPGタンク30Lとの間の連通と遮断とを切り換えるようになっている。
【0028】
切り換え弁41と遮断弁42とは後述するように同時に切り換えられ、切り換え弁41が下流配管312をLPG上流配管311Lと連通しかつ遮断弁42が開くと、LPG供給管路31LにおけるLPGの流通がオンしガソリン供給管路31Gにおけるガソリンの流通がオフする。一方、切り換え弁41が下流配管312をガソリン上流配管311Gと連通しかつ遮断弁42が閉じると、ガソリン供給管路31Gにおけるガソリンの流通がオンしLPG供給管路31LにおけるLPGの流通がオフする。
【0029】
また、インジェクタ2へのLPGの供給燃圧は上記のごとくリリーフ弁315Lにより調圧され、(LPGタンク30Lの燃圧+リリーフ弁315Lのリリーフ圧)で与えられる。一方、ガソリンの供給燃圧はガソリンタンク30Gのフィードポンプ300Gの吐出圧により規定される。本燃料噴射システムでは、LPG供給燃圧とガソリン供給燃圧とが略等しくなるように、LPG供給燃圧を規定するリリーフ弁315L、ガソリン供給燃圧を規定する上記フィードポンプ300Gを設計してある。また、インジェクタ2内温度が例えば40°C程度まで上昇してもLPGが液相を維持するように、LPG供給燃圧はベーパ化しやすいプロパン比の高いLPGを想定して設定するのがよく、例えば(LPGタンク30Lの燃圧+0.5MPa)とする。
【0030】
しかして、LPG噴射、ガソリン噴射に共通のインジェクタ2は同じ液相で同じ圧力の燃料を噴射することになり、インジェクタ2内を流通する燃料の圧力や体積を比較的狭い範囲で考慮すればよいから、インジェクタ2に要求される作動特性は厳しいものではない。したがって、二元燃料を噴射する共通のインジェクタであっても設計や製造が容易である。しかも、CNGのような高圧気相燃料を用いないので、図例のように、燃料が常にインジェクタ2のバルブ部まで達している構成とすることができ、燃料切り換えに遅れを生じることもない。
【0031】
エンジンの各部を制御する制御手段たるECU6は、例えばCPU、RAM、ROM等からなる一般的な構成が採用でき、各種センサから入力する信号に基づいてインジェクタ2の開閉等の制御を行う。
【0032】
ECU6に信号入力するセンサとして、エンジンの冷却水温度を検出する冷却水温度センサ71、デリバリパイプ313内の燃圧を検出する燃圧センサ72、空燃比を検出するO2 センサ73が設けられている。これら図示されたものの他、ECU6にはバッテリ電圧、エンジン回転数、吸気圧、吸入空気量等の検出信号が入力している。
【0033】
図2、図3に示すフローチャートによりECU6の設定内容とともに本燃料噴射システムの作動について説明する。
【0034】
図2は機関始動時にECU6で実行される制御を示すフローチャートである。イグニッション(IG)オンする(ステップS101)と、ステップS102で、冷却水温度センサ71により検出されたエンジン冷却水温度を読み込み、エンジン冷却水温度が所定値以上か否かを判定する。ここで所定値はインジェクタ2内においてLPGがベーパ化している蓋然性が高い温度の下限値を考慮して設定される。なお、ベーパ化していても始動に十分な噴射量が確保されていればよいので、上記所定値は必ずしも上記下限値と略等しい温度に設定しなくともよいのは勿論である。
【0035】
エンジン冷却水温度が所定値を越えていればベーパの発生により過剰なリーン化のおそれありと判じてステップS103に進み、切り換え弁41のガソリン上流配管311G側を開くとともに遮断弁42を閉じてインジェクタ2への供給燃料をガソリンに切り換える。
【0036】
次いでステップS104にて図示しないスタータをオンしクランキングを開始する。これにより所定のタイミングにて各気筒でガソリンによる燃料噴射が行われる。ガソリンはLPGよりも沸点が高く高温再始動の場合であってもベーパ化することはないから、高い調量精度が得られ始動不良を防止することができる。なお、燃料噴射量は、通常のエンジンと同様に冷却水温度、バッテリ電圧、燃圧、クランキング回転数を読み込み、これらに基づいて算出される。
【0037】
ステップS106では、始動が完了したか否かを、例えばエンジン回転数が所定値(完爆判定回転数)を越えたか否かに基づいて判断する。始動失敗の場合はステップS102に戻り、ステップS102以下の手順が繰り返される。始動完了の場合はステップS107に進む。
【0038】
なお、ステップS102でエンジン冷却水温度が所定値に達していなければ、インジェクタ2内はLPGのベーパ化のおそれなしと判断してステップS105に進み、切り換え弁41のLPG上流配管311L側を開くとともに遮断弁42を開いてインジェクタ2への供給燃料をLPGに切り換え、クランキングを開始する(ステップS104)。インジェクタ2内のLPGはベーパ化のおそれがなく十分なLPGの調量精度が得られ、始動性を損なわない。
【0039】
なお、始動完了後の燃料噴射は上記ステップS103またはステップS105で選択された供給燃料により継続して行われる。
【0040】
始動完了後のステップS107ではO2 センサ73により検出される空燃比に基づく燃料噴射のフィードバック制御を実行する条件が成立したか否かを判断する。この成立条件は通常のエンジンと同様にO2 センサ73がその内蔵ヒータによる昇温で活性化状態となり適正に空燃比を検出し得るか否かにより判断する。例えば、O2 センサ73の出力がリッチに出力されたか否かにより判断する。
【0041】
燃料噴射フィードバック制御の実行条件が成立した時点でステップS108に進み、切り換え弁41のLPG上流配管311L側を開くとともに遮断弁42を開いてインジェクタ2への供給燃料をLPGに切り換え本フローを終了する。また、燃料噴射フィードバック制御の実行条件の成立により、以降の燃料噴射制御は上記燃料噴射フィードバック制御でなされる。
【0042】
さて、高温再始動の場合、上記ステップS108の実行により始動完了後にインジェクタ2への供給燃料がガソリンからLPGに切り換わることになるが、ガソリンによる始動時にガソリンがインジェクタ2内を流通することにより一定の奪熱作用を奏し、インジェクタ2が冷却されているので、LPGに切り換わった時のベーパの発生もある程度抑えられる。しかも、燃料噴射フィードバック制御の実行条件が成立した時点以降は検出空燃比に基づく燃料噴射フィードバック制御が実行されるので、ベーパが残っていても適正な空燃比を実現することができ、始動から通常の運転状態への移行をスムーズに行うことができる。
【0043】
図3は通常運転時にECU6で実行される制御を示すフローチャートである。ステップS201では、検出空燃比に基づく燃料噴射フィードバック制御において燃料噴射量を増加するフィードバック係数の指令値が制御範囲の上限に達しているか否かを判断し、達していればステップS202に進む。フィードバック係数指令値が上限に達しているということは燃料供給量が過剰に不足しているということであり、インジェクタ2内のLPGがベーパ化している蓋然性が高いと判断できるからである。
【0044】
ステップS202では、切り換え弁41のガソリン上流配管311G側を開くとともに遮断弁42を閉じてインジェクタ2への供給燃料を高温再始動時と同様にLPGから再びガソリンに切り換える。これにより以降の燃料噴射においてはガソリンがインジェクタ2に供給されるので、ベーパが漸次排出されていく。これにより、上記フィードバック係数指令値が適正範囲内に回復し、燃料噴射量が適正な所定噴射量に維持される。
【0045】
続くステップS203では上記のごとくフィードバック係数指令値が適正範囲内に入ってから、すなわち燃料噴射量が適正な所定噴射量となってからの時間をカウントし、燃料噴射量を適正な所定噴射量に維持する時間が所定時間以上か否かを判断する。所定時間を越えた時点でベーパが排出されたものと判断してステップS204に進む。
【0046】
ステップS204では切り換え弁41のLPG上流配管311L側を開くとともに遮断弁42を開いてインジェクタ2への供給燃料をLPGに戻して本フローを終了する。
【0047】
かかる制御を行うことにより、渋滞等でインジェクタ2内のLPG流通量が減少して冷却効果が減じられ、高温再始動時と同様にインジェクタ2内のLPGがベーパ化しているような場合にも、供給燃料がガソリンに切り換えられて燃料不足を回避するともにベーパを排出することができる。
【0048】
また、上記のごとく、インジェクタ2は同じ液相で同じ圧力の燃料が流通し噴射されることになるから、供給燃料がいずれであってもインジェクタ2の、作動応答等の作動特性が近似するとともに噴射時間も極端に異なるということがなく、二元燃料であっても噴射量や噴射時期の制御が簡単である。
【0049】
また、上記のごとく供給燃料の切り換え遅れが生じないので、供給燃料の切り換えを行う上記ステップS108,S202,S204において単純に切り換え弁41、遮断弁42を二値切り換えすればよく制御が簡単である。
【0050】
なお、本実施形態では高温再始動時や渋滞時におけるLPGのベーパ化のおそれを、上記冷却水温度や上記フィードバック係数に基づいて判断しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0051】
また、本実施形態において、要求される仕様によっては、高温再始動時や渋滞時におけるLPGのベーパ発生に基因する不具合回避手順を非実行とすることもできる。
【0052】
(第2実施形態)
図4に本発明の燃料噴射システムを適用した別の二元燃料エンジンの構成を示す。図中、第1実施形態と同じ番号を付した部分は実質的に同じ作動をするので第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0053】
本二元燃料エンジンは直噴型のエンジンであり、インジェクタ2Aの先端部は燃焼室100内に突出し、噴射燃料が直接燃焼室100内に供給される。
【0054】
デリバリパイプ313と接続される、LPG供給系3Lとガソリン供給系3Gとに共通の下流配管312の途中には高圧ポンプ8が設けられ、LPGタンク30Lのフィードポンプ300Lまたはガソリンタンク30Gのフィードポンプ300GからのLPGまたはガソリンを加圧しインジェクタ2Aへの供給燃圧を上げる。これによりインジェクタ2Aからの噴射燃料の微粒化を促進し、燃焼室100内において良好な混合気場を形成することができる。
【0055】
制御手段たるECU6Aは供給燃料の切り換え等、第1実施形態と実質的に同じ制御を行うとともに、高圧ポンプ8を制御する。
【0056】
ここで、リリーフ弁315Lは上記供給燃圧の設定値に応じてリリーフ圧が高く設定され、また、インジェクタ2Aへの供給燃圧がLPGの場合とガソリンの場合とで等しくなるように高圧ポンプ8の吐出圧が設定される。
【0057】
本実施形態においても、第1実施形態と同様にハード構成、制御ともに簡単で、燃料がベーパ化する現象に対して効果を発揮することができる。
【0058】
なお、気筒数や燃料性状等、システムの構成は上記各実施形態に記載のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない限り任意である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の内燃機関の燃料噴射システムを適用した二元燃料エンジンの構成図である。
【図2】上記燃料噴射システムのECUにおける始動時の制御を示すフローチャートである。
【図3】上記燃料噴射システムのECUにおける通常運転時の制御を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の内燃機関の燃料噴射システムを適用した二元燃料エンジンの構成図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2,2A インジェクタ
3L LPG供給系
30L LPGタンク
31L LPG供給管路(液化燃料ガス供給管路)
3G ガソリン供給系
30G ガソリンタンク
31G ガソリン供給管路(燃料油供給管路)
41 切り換え弁(供給燃料切り換え手段)
42 遮断弁(供給燃料切り換え手段)
6,6A ECU(制御手段)
71 冷却水温度センサ
72 燃圧センサ
73 O2 センサ
Claims (3)
- 燃料を噴射するインジェクタと、該インジェクタに燃料として液化燃料ガスを液相状態で供給する液化燃料ガス供給管路と、上記インジェクタに燃料として燃料油を供給する燃料油供給管路と、液化燃料ガス供給管路および燃料油供給管路の燃料流通をオンオフし上記インジェクタへの供給燃料を液化燃料ガスもしくは燃料油のいずれかに切り換える供給燃料切り換え手段と、内燃機関の状態に応じて供給燃料切り換え手段を制御する制御手段とを具備して、上記制御手段を、内燃機関の始動時に冷却水温度が所定値を越えると上記供給燃料を燃料油に切り換えるように設定し、かつ、上記インジェクタへの上記液化燃料ガスの供給燃圧と上記燃料油の供給燃圧とを略同一に設定したことを特徴とする内燃機関の燃料噴射システム。
- 請求項1記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記制御手段を、内燃機関の始動完了後に、検出空燃比に基づく燃料噴射のフィードバック制御を実行する条件が成立したか否かを判断し成立すると上記供給燃料を燃料油から液化燃料ガスに切り換えるように設定した内燃機関の燃料噴射システム。
- 請求項1または2記載の内燃機関の燃料噴射システムにおいて、上記制御手段を、内燃機関の始動完了後に、検出空燃比に基づく燃料噴射のフィードバック制御における燃料噴射量の補正量指令値がその上限値を越えると上記供給燃料を液化燃料ガスから燃料油に切り換えるように設定した内燃機関の燃料噴射システム。
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