以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。尚、ここでは組合せ式遊技機(いわゆるアレンジボール機)を例に用いて説明するが、本願発明は、アレンジボール機に限らず、いわゆるセブン機や、権利物、更には羽根物と呼ばれる各種の遊技機に好適に適用することができる。
A.組合せ式遊技機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
A−4.遊技の概要:
B.組合せ式遊技機の制御内容:
B−1.電源投入処理:
B−2.遊技開始処理:
B−3.ゲーム管理処理:
B−4.入賞図柄処理:
B−5.役物遊技処理:
B−6.得点増加装置処理:
B−7.誘導増加装置処理:
B−8.誘導図柄および役物誘導装置処理:
C.遊技盤裏面側の構成:
D.遊技盤裏面側で遊技球を排出する経路:
E.遊技球センサの動作確認方法:
F.変形例:
A.組合せ式遊技機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の組合せ式遊技機(以下では、単に遊技機と称する)1の正面図である。本実施例の遊技機1は、遊技機の外枠を形成する木製の本体枠2の上に、プラスチック製の図示しない中枠を介して、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤20などが取り付けられて構成されている。遊技盤20は、中枠の前面側に、着脱可能に取り付けられており、遊技盤20の前面側には前面枠4が設けられている。前面枠4は、一端が中枠に軸支されており、遊技盤20および中枠に対して回動可能となっている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開口部4aが形成されている。この開口部4aにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤20の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4には、遊技効果を高めるための各種ランプ類4b〜4fや、各種LED4g,4hが設けられている。
前面枠4の下方には、上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右側には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左側にはプリペイドカード式の球貸装置13〈CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニットに供給される。また、皿外縁部5aには、遊技球の球貸ボタン5b、返却ボタン5cなどが設けられている。さらに、上皿部5の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第1スピーカ5yが設けられている。また、上皿部5の前面側には、2つの操作スイッチSW1、SW2が設けられている。遊技者は、このスイッチを押すことによって、遊技中にキャラクタや遊技条件を選択するなど、遊技の進行に介入することが可能となっている。
下皿部6には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。また、下皿部6には、図示しない下皿満タンスイッチ6sが設けられており(図4参照)、下皿部6が遊技球で一杯になると、これを検出して遊技球の払い出しが中断されるようになっている。下皿部6の略中央手前側には排出ノブ6bが設けられており、遊技者が排出ノブ6bを操作すると、下皿部6の底面に設けられた図示しない球抜き穴が開放されて、下皿部6内の遊技球を排出することが可能となっている。
また、排出ノブ6bの左右には、第2スピーカ6cが設けられており、下皿部6の左端には灰皿7が、そして下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニットに接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニットに伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータ8mが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。なお、本実施例の発射停止スイッチ8bは、タッチスイッチ回路内に設けられており、タッチスイッチ8aと電気的に接続されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。図示されているように、遊技盤20には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域21が形成されている。
遊技領域21の中央には、中央装置50が設けられており、中央装置50には、任意の図柄を表示可能な演出表示装置31と、遊技球の振り分け演出を行う後述する特別遊技装置36とが設けられている。本実施例の演出表示装置31は、大きな液晶表示画面を搭載しており、液晶画面上で種々の演出を行うことが可能となっている。中央装置50の左斜め上方には誘導図柄作動ゲート29が設けられており、誘導図柄作動ゲート29の下方(演出表示装置31からは左方)には、第1役物作動口32が設けられている。第1役物作動口32は、一枚の翼片部が開閉可能に構成された始動口となっており、図示しない第1役物作動口ソレノイド32aを駆動すると翼片部が開いて、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となる。一方、第1役物作動口ソレノイド32aの駆動を停止すると、翼片部が直立して遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。また、第1役物作動口32に入球した遊技球は、図示しないワープ通路を通って、中央装置50の内部に搭載された特別遊技装置36に導かれ、特別遊技装置36によって誘導増加装置作動領域41a、あるいは誘導増加装置非作動領域41bの何れかに振り分けられる。そして、遊技球が誘導増加装置作動領域41aに振り分けられた場合には、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技状態が発生するようになっている。かかる遊技の内容については、後ほど詳しく説明する。
また、中央装置50の右側方には第2役物誘導装置作動ゲート30が設けられており、第2役物誘導装置作動ゲート30の下方には、第2役物作動口33が設けられている。更に、中央装置50の下方には、16連入球口24および16連入球口LED25が設けられている。
これら誘導図柄作動ゲート29、第1役物作動口32、第2役物誘導装置作動ゲート30、第2役物作動口33、および16連入球口24の内部には、それぞれ図示しない誘導図柄作動ゲートスイッチ29s、第1役物作動口スイッチ32s、第2役物誘導装置作動ゲートスイッチ30s、第2役物作動口スイッチ33s、16連入球口スイッチ24sが設けられており、遊技球の入球あるいは通過を検出することが可能となっている。尚、第1役物作動口32、第2役物作動口33、16連入球口24、更に、特別遊技装置36の内部に設けられた誘導増加装置作動領域41aおよび誘導増加装置非作動領域41bは、本願における「入球口」の一態様を構成している。また、これらの各入球口に設けられた各種スイッチは、本願における遊技球センサの一態様を構成している。
また、16連入球口24の右端にある入球口(16番の入球口)は得点増加装置作動口24aを兼ねており、この入球口に遊技球が入球すると得点増加装置が作動して、獲得した得点が増加される。更に、遊技領域21には、図示しない多数の障害釘も設けられている。16連入球口24の、少なくとも3番、5番、11番、13番、15番の各入球口については、遊技球が直接には入球し難いように障害釘が設定されている。
図3は、演出表示装置31の画面構成を示す説明図である。図示されているように、演出表示装置31の画面には、2つの誘導図柄31aと、3つの演出用図柄31bと、入賞図柄31cと、背景図柄31dと、残り球数表示図柄31eなどが表示されている。2つの誘導図柄31aは、それぞれ赤色、青色、緑色の3つの状態を取り得るようになっている。従って、2つの誘導図柄31aの表示を組合せることによって9通りの状態を表示することができるが、本実施例の遊技機1では、2つの誘導図柄31aが同じ色となる3つの組合せを除いた6通りの状態を可能となっている。詳細には後述するが、これら誘導図柄31aが取り得るそれぞれの状態は、「当り」態様あるいは「外れ」態様の何れかに予め設定されている。また、3つの演出用図柄31bは、「一」〜「九」までの漢数字が意匠化された図柄を変動表示することが可能となっている。演出用図柄31bの表示は誘導図柄31aの表示と連動しており、誘導図柄31aが「当り」態様の組合せで停止表示される場合は、3つの演出用図柄31bは「一」〜「九」の中の同じ図柄を停止表示する。また、誘導図柄31aが「外れ」態様の組合せで停止表示される場合は、3つの演出用図柄31bの少なくとも1つは、他の2つとは異なる図柄で停止表示するようになっている。
入賞図柄31cには、16連入球口LED25の表示と同じ内容が表示される。また、残り球数表示図柄31eには、現在の単位遊技において発射可能な残りの遊技球数が表示される。後述するように、本実施例の遊技機1では、規定数(本実施例では15球)の遊技球を発射して、その間に得点を成立させる遊技を行う。換言すれば、規定数の遊技球を発射して行うひとまとまりの遊技(単位遊技)を繰り返しながら遊技が進行するようになっている。残り球数表示図柄31eは、現在の単位遊技で発射可能な残りの遊技球数を表示している。また、背景図柄31dには、演出用図柄31bと連動して種々の図柄を表示することにより、遊技者の興趣を効果的に高めることが可能となっている。
A−3.制御回路の構成 :
図4は、本実施例の遊技機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように遊技機1の制御回路は、多くの制御基盤や、各種基盤、中継端子板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260と、これら各種の制御基板に電力を供給する電源基板285などから構成されている。また、サブ制御基板220には、前述した演出表示装置31を駆動するための演出表示基板280が接続されている。
制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図4では、各制御基板に搭載されているCPU201,221,241,261およびRAM202,222,242,262のみ表示されており、ROMやPIOなどについては表示が省略されている。また、図中に示した矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。
図示されているように主制御基板200には、誘導図柄作動ゲートスイッチ29sや、第1役物作動口スイッチ32s、第2役物誘導装置作動ゲートスイッチ30s、第2役物作動口スイッチ33s、16連入球口スイッチ24s、誘導増加装置作動領域スイッチ41s、誘導増加装置非作動領域スイッチ41tなどが接続されている。主制御基板200に搭載されたCPU201は、これら各種スイッチからの信号に基づいて、遊技球が各種ゲートや領域を通過したこと、あるいは各種作動口や各種入球口に入球したことを検出する。そして、賞球に関わる当否を含めて、遊技の大まかな状態を決定した後、決定内容に従って、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260に向かって各種コマンドを出力する。尚、図4に示した白抜きの矢印は、各種制御基板に向かって主制御基板200からコマンドが供給されることを表したものである。また、主制御基板200からは、第1役物作動口ソレノイド32aや役物駆動モータ54などの駆動信号も出力されている。前述したように、第1役物作動口ソレノイド32aは、第1役物作動口32の翼片部を開閉させるためのソレノイドである。また、役物駆動モータ54は、特別遊技装置36が遊技球を振り分けるために使用されるモータである。更に、主制御基板200には、前述した発射球カウントスイッチ10sや、ファール球検出スイッチ10fも接続されている。主制御基板200に搭載されたCPU201は、発射球カウントスイッチ10sおよびファール球検出スイッチ10fからの信号に基づいて、遊技球の有効な発射球数を計数することが可能となっている。
サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。例えば、16連入球口LED25を点灯表示させたり、各種ランプ4b〜4fや、各種LED4g,4h、各種のスピーカ5y,6cに駆動信号を出力して、遊技の演出を行う。また、図3に示した演出表示装置31の画面上で表示される各種の図柄も、サブ制御基板220からの駆動信号に基づいて表示されている。更に、サブ制御基板220には、前述した操作スイッチSW1,SW2が接続されており、遊技者がこれらスイッチを操作すると、その信号がサブ制御基板220に入力される。このためサブ制御基板220は、遊技者による操作スイッチSW1,SW2の操作内容を反映させながら、演出表示装置31や各種LED、ランプ、スピーカーなどによる具体的な演出の内容を決定することが可能となっている。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、主制御基板200が賞球の払出コマンドを出力すると、払出制御基板240は受け取ったコマンドを解釈する。次いで、図示しない払出装置に内蔵された払出モータ109mに駆動信号を出力することによって、遊技球の払い出しを開始する。払出装置には、払い出された遊技球を検出する払出センサ109sが設けられており、この払出センサ109sは払出制御基板240に接続されている。払出制御基板240は、払出センサ109sからの信号に基づいて、払い出した遊技球を計数しながら払出モータ109mを駆動して、払出コマンドで指定された個数の遊技球を払い出したと判断されたら、払出モータ109mの駆動を停止する。また、下皿部6に設けられた下皿満タンスイッチ6sによって、下皿部6が遊技球で一杯になったことが検出された場合、あるいは図示しない球切れスイッチによって、払い出すべき遊技球が尽きてしまったことが検出された場合には、払出モータ109mの駆動が一時的に停止されて遊技球の払い出しが中断される。払出制御基板240は、このようにして、遊技球を払い出すための具体的な各種制御を司っている。また、遊技者が上皿部5に設けられた球貸ボタン5bを操作すると、この信号が払出制御基板240に入力されて、払出制御基板240の制御の元で、所定数の遊技球が貸し球として払い出される。
また、払出制御基板240は、主制御基板200からの制御の元で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御基板260に向かって出力しており、発射制御基板260は、この発射許可信号を受けて、遊技球を発射するための各種制御を行う。具体的には、発射ハンドル8に設けられたタッチスイッチ8aがONとなっており、且つ、発射停止スイッチ8bが押されていないことを確認して、発射モータ8mを駆動する。発射モータ8mの動きは槌10aに伝達されて、いわゆる空打ち動作を繰り返す。次いで、球送りソレノイド12aを所定時間だけオン・オフする。球送りソレノイド12aは、遊技球の発射位置(図4参照)に遊技球を一球ずつ供給するための球送装置に内蔵された電磁ソレノイドである。球送りソレノイド12aを一回だけオン・オフすると、その度に、上皿部5から遊技球が一球ずつ発射位置に供給され、槌10aによって発射されることになる。
A−4.遊技の概要 :
次に、上述した構成を有する本実施例の遊技機1で行われる制御の内容について説明するが、その準備として、先ず初めに、遊技の概要について簡単に説明しておく。
本実施例の遊技機1では、次のようにして遊技が行われる。遊技を開始するためには、遊技者は先ず初めに、少なくとも規定数(本実施例では15個)の遊技球を上皿部5の凹部に投入しておく必要がある。これは、本実施例の遊技機1は、規定数の遊技球を発射して行う遊技が最小の遊技単位(一単位遊技)となっているため、少なくとも規定数の遊技球が無ければ、一単位遊技を完結させることができないからである。尚、少なくとも規定数の遊技球が投入されていることを検出するセンサを設けておき、このセンサによって規定数の投入完了が確認されなければ、遊技が開始されないようにしても良い。こうすれば、遊技を開始したものの、一単位遊技を完結させることができないために、遊技球を無駄に発射してしまうことがない。また、遊技の途中で遊技球が足らなくなり、一単位遊技を完了できないまま放置されることがないので、前の遊技者が放置したままの遊技を次の遊技者が引き継がなければならない事態を回避することが可能となる。
少なくとも規定数の遊技球を上皿部5に投入して発射ハンドル8を回転させると、投入された遊技球が、1球ずつ発射位置に供給されて槌10aによって打撃され、その結果、図2に示した遊技領域21に発射される。遊技球が打ち出される強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
単位遊技の開始直後は、遊技領域21の左上方に設けられた誘導図柄作動ゲート29を狙って遊技球を発射する。遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過すると、演出表示装置31の画面上で誘導図柄31aおよび演出用図柄31bの変動表示が開始される。また、本実施例の遊技機1では、発射された遊技球は、誘導図柄作動ゲート29を通過するか否かに関わらず遊技盤面上を落下して、遊技領域21の下方に設けられた16連入球口24の何れかに入球する。これら16連入球口24の何れかに入球した遊技球は、16連入球口LED25の対応する箇所を点灯表示させた後、図示しない排出口から排出される。一方、変動表示が開始された誘導図柄31aおよび演出用図柄31bは、所定時間の経過の後に停止表示される。図3を用いて前述したように、誘導図柄31aは6通りの表示態様を取ることができ、各表示態様は、「当り」あるいは「外れ」のいずれかの態様に予め設定されている。そして、変動表示された誘導図柄31aが「当り」態様で停止表示された場合は、第1役物作動口32が開放状態となる。
また、前述したように、誘導図柄31aの停止態様と演出用図柄31bの停止態様とは互いに連動しており、誘導図柄31aが「当り」態様で停止表示する場合は、3つの演出用図柄31bはいずれも同じ数字を表す図柄で停止表示する。逆に、誘導図柄31aが「外れ」態様で停止表示する場合は、3つの演出用図柄31bのうち少なくとも一箇所は、他の二箇所とは異なる数字を表す図柄で停止表示する。このように、誘導図柄31aと演出用図柄31bとは停止表示される態様が連動しており、このため何れによっても「当り」か「外れ」かを知ることができるが、誘導図柄31aに比べて演出用図柄31bの方が目に付き易い位置に設けられており(図3参照)、さらに表示内容も分かり易いので、遊技者はもっぱら演出用図柄31bを見ながら遊技を行うことが一般的である。また、このことから、3つの演出用図柄31bを同時に停止表示するのではなく、時間をおいて順次停止表示させることとして、先に停止させる2つの図柄を同じ数字を表す図柄としておけば、遊技者は、3つめの図柄も同じ数字で停止するのではないかと、図柄の変動を注視することになるので、遊技者の興趣を効果的に高めることが可能である。このように、3つの演出用図柄31bのうち、2つの演出用図柄31bが同じ数字の図柄で停止表示された状態は「リーチ状態」と呼ばれる。
以上のようにして、誘導図柄31aが「当り」態様で停止表示され、かつ、3つの演出用図柄31bが同じ数字を表す図柄で停止表示されると、第1役物作動口32が開放される。この第1役物作動口32に遊技球を入球させると、その遊技球は図2に示した特別遊技装置36に導かれ、特別遊技装置36によって、誘導増加装置作動領域41aまたは誘導増加装置非作動領域41bの何れかに振り分けられる。
図5は、第1役物作動口32に入球した遊技球が、中央装置50に搭載された特別遊技装置36に導かれる様子を示した説明図である。図中に(a)と表示された白丸は第1役物作動口32に入球する遊技球を表している。第1役物作動口32に入球した遊技球は、第1役物作動口スイッチ32sを通過した後、ワープ通路26を通って特別遊技装置36に導かれる。図中に(b)と表示された白丸はワープ通路26を通過する遊技球を表している。また、遊技者がワープ通路26を通過する遊技球を確認することができるように、ワープ通路26には視認窓26wが設けられている。こうしてワープ通路26から特別遊技装置36に導かれた遊技球は、特別遊技装置36によって誘導増加装置作動領域41a、または誘導増加装置非作動領域41bの何れかに振り分けられる。そして、遊技球が誘導増加装置作動領域41aに振り分けられた場合には誘導増加装置作動領域スイッチ41sを通過し、逆に誘導増加装置非作動領域41bに振り分けられた場合には誘導増加装置非作動領域スイッチ41tを通過するようになっている。尚、特別遊技装置36による振り分けの途中で遊技球が遊技領域21に落下することのないように、特別遊技装置36の前面側には透明なアクリル製の視認窓36wが設けられている。このため、遊技者は遊技球が振り分けられる様子を確認することができ、遊技球は誘導増加装置作動領域41aまたは誘導増加装置非作動領域41bの何れかに確実に振り分けられるようになっている。
図6は、特別遊技装置36に搭載された振分機構の詳細な構造を示す斜視図である。図6に示すように、特別遊技装置36の振分機構は、上流側の遊技球通路37と下流側の遊技球通路41との間に、3つの回転体38、39、40が設けられた構成となっている。ワープ通路26を通過した遊技球は、上流側の遊技球通路37から下流側の遊技球通路41に向かって進もうとする。図示されているように、上流側の遊技球通路37の終端には、遊技球の流れに変化を与えるための突起部37aが設けられている。突起部37aに当たった遊技球は進行方向を曲げられて、そのまま振分機構から下方に落下する。振分機構の下方には誘導増加装置非作動領域41bが設けられており、落下した遊技球は誘導増加装置非作動領域41bに振り分けられたことになる。一方、突起部37aをすり抜けることのできた遊技球は、回転体38、39、40の上を下流側の通路に向かって渡ろうとする。
2つの遊技球通路37、41の間に配置された回転体38、39、40は、遊技球の流れに変化を与えるためのものである。回転体38、39、40は細長形状であり、長手方向が水平方向かつ遊技球が流下する方向と直交する方向に配置されている。回転体38、39、40は長手方向を回転軸として、役物駆動モータ54により回転可能に構成されている。これらの回転体38、39、40は、同期して図6中における反時計方向に回転する。第1の回転体38は略四角柱形状であり、ある側面は凸状に、また、ある側面は凹状に形成されている。そして、第1の回転体38上を遊技球が通過する際、凹面が上側に位置している場合には遊技球は中央付近を通過し、凸面が上側に位置している場合には遊技球は両脇のいずれかにそれ易くなる。両脇にそれた遊技球は下方に落下して、誘導増加装置非作動領域41bに振り分けられることになる。第2の回転体39は、側面の四隅が面取りされた略四角柱形状であり、側面の中央付近には貫通穴39aが形成されている。第2の回転体39上を遊技球が通過する際、貫通穴39aが上面に位置している場合には、中央付近を通過する遊技球は貫通穴39aに入り込んで下方に落下し、その結果、誘導増加装置非作動領域41bに振り分けられる。第3の回転体40は、側面が凸になった樽形状であり、内部に複数の小型磁石が内蔵されている。第3の回転体40上を遊技球が通過する際、側面が凸になっているので遊技球は両脇のいずれかにそれ易くなる。一方、内蔵磁石の位置によっては、遊技球が磁石に引き寄せられて軌道修正される。それでも、両脇のいずれかにそれてしまった遊技球は下方に落下して、誘導増加装置非作動領域41bに振り分けられることになる。
こうした3つの回転体38、39、40の上を、下方に落下することなく通過した遊技球だけが、下流側の遊技球通路41に到達することができる。下流側の遊技球通路41には、遊技球が入球可能な誘導増加装置作動領域(特定の領域)41aが設けられている。誘導増加装置作動領域41aは、上方が開口して遊技球が通過可能に構成されている。誘導増加装置作動領域41aの下流には、誘導増加装置作動領域41aを通過する遊技球を検知する誘導増加装置作動領域スイッチが設けられている。そして、誘導増加装置作動領域スイッチ41sで遊技球の通過が検出されると、後述する誘導増加装置が作動を開始して、遊技者に有利な特別遊技状態(大当り状態)が発生する。こうして誘導増加装置作動領域41aに振り分けられた遊技球は、遊技盤20の裏面側に導かれた後、所定の通路を通過して遊技機外に排出される。一方、振り分けの途中で下方に落下した遊技球(すなわち誘導増加装置非作動領域41bに振り分けられた遊技球)については、誘導増加装置非作動領域41bを通過した後、遊技盤20の裏面側に導かれて遊技機外に排出される。排出される遊技球が遊技盤20の裏面側を通過する経路については、後ほど詳しく説明する。なお、誘導増加装置は主制御基板200のCPU201を主体として構成されるものであり、本発明の特別遊技状態発生手段の一態様を構成している。
以上のようにして特別遊技状態が開始されると、第2役物誘導装置作動ゲート30が有効となる。そこで、特別遊技状態が開始されると遊技者は、遊技領域21の右上方に設けられた第2役物誘導装置作動ゲート30を狙って遊技球を発射する。そして、第2役物誘導装置作動ゲート30を遊技球が通過すると第2役物作動口33が開放状態となり、この第2役物作動口33に遊技球が入球すると、16連入球口LED25の中の11・13・14・15番の入球口に対応するLEDが点灯表示される。この結果、遊技球が一球だけ第2役物作動口33に入球するだけで、16連入球口24の中の11番、13番、14番、15番の4つの入球口に遊技球が入球したときと同じ効果が得られることになる。
以上のようにして、規定数の遊技球を全て発射し終わった時点で、16連入球口LED25に4つ連続して点灯表示されている箇所があれば、1点成立となる。4つ連続して点灯表示されている箇所が2箇所にあれば2点成立となる。また、5つの入球口LEDが連続して点灯表示されている場合は、連続する4つの入球口LEDの選び方は2通りあるから、この部分では2点成立となる。こうして、規定数の遊技球を発射し終えた時点で成立した得点が集計され、更に、16連入球口24の中の16番の入球口に遊技球が入球していれば、集計された得点が2倍に増加され、最終的に得られた得点が遊技領域21の上方に設けられた得点表示装置28に表示される。こうして最終的に得られた得点に規定数を乗算した個数の遊技球が賞球として払い出されて、一単位遊技が終了する。
なお、特別遊技状態では、第2役物誘導作動口ゲート30が有効状態となっている。従って、極めて容易に第2役物作動口33を開放状態にして、この作動口に遊技球を入球させ、高い得点を成立させることができる。こうした特別遊技状態は、後述する「パンク状態」とならない限り、14回分の一単位遊技を終了するまで継続することができるので、この間に高い得点を得ることが可能であり、遊技者にとってはたいへんに有利な遊技状態となっている。
B.遊技制御の内容 :
上述した遊技は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、ROMに記憶されている所定のプログラムに従って所定の処理を行い、サブ制御基板220、払出制御基板240、発射制御基板260などの各種制御基板に各種の制御コマンドを出力することによって実現されている。以下では、本実施例の遊技機1が上述した遊技を実現するために、内部で実施されている遊技制御の内容について説明する。
図7は、本実施例の遊技機1において主制御基板200で行われている遊技制御処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、電源投入時に電源投入処理(S100)を行った後、遊技開始処理(S200)、ゲーム管理処理(S300)、入賞図柄処理(S400)、役物遊技処理(S500)、得点増加装置処理(S600)、誘導増加装置処理(S700)、誘導図柄および役物誘導装置処理S800の各処理が繰り返し実行されている。これら処理を一周するためには約4msecが必要であり、従って、各処理はほぼ4msec毎に繰り返し実行されることになる。以下では、図7のフローチャートに従って、各処理の内容について説明する。
B−1.電源投入処理 :
主制御基板200に搭載されたCPU201は、図7に示す遊技制御処理を開始すると先ず初めに、電源投入処理を開始する(S100)。かかる処理では、遊技機1の電源を投入したときに必要な各種処理が行われる。例えば、スタックポインタなどのようなCPU201が内部的な処理に使用する変数を初期化したり、CPU201の割り込み許可モードや、RAM202を読み書き可能状態に設定するなどの処理が実行される。また、停電などの何らかの理由で、正常な手続を経ることなく電源が切断されたため、そのときの遊技状態がバックアップデータとして保存されている場合には、バックアップデータを読み出して、電源断発生時の遊技状態を復元するための処理も実施される。
B−2.遊技開始処理 :
電源投入処理に続いて、CPU201は、遊技開始処理を開始する(S200)。図8は、本実施例の遊技制御処理で実行される遊技開始処理の流れを示すフローチャートである。遊技開始処理では、先ず初めに、主制御基板200に接続されている各種スイッチ、すなわち誘導図柄作動ゲートスイッチ29s、第1役物作動口スイッチ32s、第2役物誘導装置作動ゲートスイッチ30s、第2役物作動口スイッチ33s、16連入球口スイッチ24s、誘導増加装置作動領域スイッチ41s、誘導増加装置非作動領域スイッチ41tの状態を読み込んで、これらスイッチで、断線や故障などが発生していないかを確認する(S201)。次いで、各スイッチが正常か否かを示すスイッチ状態を判定して得られた検出情報を保存する(S202)。続いて、当否判定用乱数、図柄表示用乱数等の各種乱数の更新を行う(S203)。すなわち、主制御基板200に搭載されたRAM202には、各乱数毎に所定アドレスが割り当てられており、それぞれのアドレスに乱数値が記憶されている。S203では、これらアドレスに記憶されている各種の乱数値を更新して、異なる値に変更する処理を行う。
次に、16連入球口スイッチ24sに遊技球が入球しているか、すなわち入賞があるか否かを判断する(S204)。入賞があった場合は(S204:yes)、最終的に得られた得点を算出して、得られた得点情報をRAM202の所定領域に保存する(S205)。一方、入賞がなかった場合は(S204:no)、得点情報の算出および保存する処理はスキップする。
次いで、保存されている得点情報に基づいて、賞球として遊技球を払い出すための処理を行う。具体的には、先ず初めに、払い出すべき遊技球の球切れや、下皿部6が遊技球で満タンになっていないかどうかを確認する。前述したように、下皿部6には、下皿満タンスイッチ6sが設けられており(図4参照)、下皿部6が遊技球で一杯になると、これを検出することができる。また、遊技機1に搭載されている遊技球の払出装置に遊技球を供給するための通路には、遊技球の有無を検出するスイッチが設けられており、かかるスイッチで遊技球が検出されるか否かに基づいて、遊技球の球切れを検出することができる。下皿部6が遊技球で満タンの状態で、更に遊技球を払い出したのでは、払い出した遊技球が下皿部6から溢れ出してしまうので、こうした事態を避けるために、遊技球の払い出し前に下皿部6が満タンになっていないことを確認しておくのである。また、遊技球の払い出し前に球切れ状態となっていないことを確認しておけば、払い出しの途中で遊技球が無くなってしまうことを回避することができる。
球切れ又は満タン状態で賞球停止状態でない場合には、払出制御基板240に払出不可指定コマンドを送信する(S207、S208)。球切れまたは満タン状態でなく賞球停止状態の場合には、払出制御基板240に払出可指定コマンドを送信する(S209、S210)。保存した得点情報がある場合には、払出制御基板240に得点に応じた賞球コマンドを送信する(S211、S212)。こうして、払出制御基板240に対して、払出不可指定コマンド、払出可指定コマンド、あるいは賞球コマンドの何れかを出力したら、図7に示す遊技開始処理を終了して、遊技制御処理に復帰する。
B−3.ゲーム管理処理 :
CPU201は、遊技開始処理から復帰すると、ゲーム管理処理を開始する。図9は、本実施例の遊技制御処理で実行されるゲーム管理処理の流れを示すフローチャートである。ゲーム管理処理を開始すると、CPU201は、先ず初めに、ゲーム開始フラグによりゲーム開始時か否かを判定する(S301)。この結果、ゲーム開始時であると判定された場合は、ゲーム開始時の設定処理を行う(S302)。ゲーム開始時の設定処理では、ゲームを行うにあたって必要な各種のフラグを確認したり、あるいはフラグやタイマを設定する処理を行う。
一方、ゲーム開始時でない場合には、まず、遊技球の発射位置に遊技球を一球ずつ供給する動作(球送り動作)の監視を行う(S303)。かかる処理では、遊技球を一球球送りするたびに、RAM202の所定アドレスに設定されている球送りカウンタの値を1つずつ加算して、球送りカウンタが15以上になった場合には、払出制御基板240に球送り禁止コマンドを送信し、球送りを終了する。次に、発射球カウントスイッチ10sにより発射球の監視を行う(S304)。かかる処理では、発射球カウントスイッチ10sで遊技球が検出されるたびに、RAM202の所定アドレスに設定されている発射カウンタの値を1つずつ加算して、発射カウンタが所定数(例えば15)以上になった場合には、払出制御基板240に発射禁止コマンドを送信して、全ての遊技球を発射完了とする。次に、ファール球検出スイッチ10fによりファール球の監視を行う(S305)。具体的には、ファール球検出スイッチ10fがオンの場合には、球送りカウンタおよび発射カウンタの値を1つ減算する。次に、16連入球口スイッチ24sにより入球の監視を行う(S306)。16連入球口スイッチ24sにより16連入球口24の各入球口をチェックし、遊技球が16連入球口24に入球するたびに、RAM202の所定アドレスに設定されている入球カウンタの値を1つずつ加算する。
以上の処理を行うと、ゲーム管理処理では、ゲームが終了したか否かを判断するための一連の処理を開始する。まず、遊技の結果が得られたか否か、すなわち1ゲーム(一単位遊技)が終了したか否かを判定する。遊技の結果は、以下のすべての要件を満たしている場合に得られる。すなわち、発射カウンタにより規定数(本実施例では15個)全ての遊技球が発射されたものと判定され(S307)、インターバル時間が経過したと判定され(S308)、入球カウンタにより全ての遊技球が入球したと判定され(S309)、入賞図柄確認時間が経過したと判定され(S310)、演出表示装置31の誘導図柄変動が終了したと判定され(S311)、第1役物作動口32に入球した遊技球が誘導増加装置作動領域41aまたは排出口を通過したと判定され(S312)、賞球としての遊技球が全て払い出されたと判定された(S313)場合には、遊技の結果が得られたと判定される。この結果、遊技の結果が得られた、すなわち1ゲーム(一単位遊技)が終了したと判定された場合には、ゲーム終了処理としてゲーム終了フラグを「1」にセットして(S314)、ゲーム管理処理を終了し、図7に示した遊技制御処理に復帰する。一方、上記要件のいずれかを満たさず、従って、1ゲーム(一単位遊技)が終了していないと判定された場合には、ゲーム終了フラグを「1」にセットすることなく、そのままゲーム管理処理を終了して遊技制御処理に復帰する。尚、ゲーム終了フラグが「1」に設定されると遊技の結果が得られ、所定の時間が遊技確認時間として設定される。そして、設定された遊技確認時間が経過し且つ規定数の遊技球が投入されると、次のゲーム(単位遊技)が開始可能となる。
B−4.入賞図柄処理 :
CPU201は、累積発射球数計数処理から復帰すると、入賞図柄処理を開始する。図10は、本実施例の遊技制御処理で実行される入賞図柄処理の流れを示すフローチャートである。入賞図柄処理を開始すると、CPU201は、先ず初めに、遊技の結果が得られたか否か判定する(S401)。遊技の結果が得られたか否かは、ゲーム終了フラグに「1」が設定されているか否かによって容易に判定することができる。遊技の結果が得られたと判定された場合には(S401:yes)、遊技終了時の設定として、サブ制御基板220に入賞図柄消灯コマンドを送信した後(S402)、入賞図柄処理を終了して、図7に示した遊技制御処理に復帰する。サブ制御基板220は、入賞図柄消灯コマンドを受け取ると、点灯表示されている16連入球口LED25を消灯するとともに、演出表示装置31上に表示されている入賞図柄31cの表示内容を初期化する動作を行う。
一方、遊技の結果が得られていないと判定された場合には(S401:no)、遊技中であるか否か判定し(S403)、全ての遊技球の入球が完了したか否かを入球カウンタによって判定し(S404)、16連入球口24の何れかの入球口に遊技球が入球したか否かを16連入球口スイッチ24sによって判定する(S405)。この結果、遊技中であって(S403:yes)、全遊技球の入球が完了しておらず(S404:no)、16連入球口24の何れかに遊技球が入球したと判断された場合には(S405:yes)、主制御基板200のCPU201は、16連入球口LED25の中で遊技球が入球した箇所のLEDを点灯表示させるためのコマンド(入賞図柄表示コマンド)を、サブ制御基板220に向かって送信した後(S406)、図10に示す入賞図柄処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。サブ制御基板220は、主制御基板200から出力された入賞図柄表示コマンドを受け取ると、16連入球口LED25のうち、コマンドに指定された箇所のLEDを点灯表示するとともに、16連入球口25の表示内容を反映させるべく、演出表示装置31の入賞図柄31cの表示内容を変更する。
これ以外の場合、すなわち、遊技中ではないか(S403:yes)、規定数の遊技球が全て入球しているか(S404:yes)、あるいは16連入球口24の何れかに遊技球が入球していないか(S405:no)の何れかに該当する場合には、CPU201は入賞図柄表示コマンドを送信することなく、入賞図柄処理を終了して図7の遊技制御処理に復帰する。
B−5.役物遊技処理 :
CPU201は、入賞図柄処理から復帰すると、役物遊技処理を開始する。図11は、本実施例の遊技制御処理で実行される役物遊技処理の流れを示すフローチャートである。本実施例の遊技機1では、第1役物および第2役物の2つの役物が搭載されており、役物遊技処理では、遊技条件に応じてこれら役物を作動させるか否かを、それぞれの役物について決定する処理を行う。尚、本実施例の遊技機1における第1役物とは、第1役物作動口32に遊技球が入球すると作動を開始して、16連入球口LED25の中の12番、13番、15番、16番に対応するLEDを点灯表示させることにより、これら各入球口に遊技球が入球した場合と同じ状態とする役物である。また、本実施例の遊技機1における第2役物とは、第2役物作動口33に遊技球が入球すると作動を開始して、16連入球口LED25の中の11番、13番、14番、15番に対応するLEDを点灯表示させることにより、これら各入球口に遊技球が入球した場合と同じ状態とする役物である。
主制御基板200のCPU201は、役物遊技処理を開始すると、先ず初めに、遊技中か否か判定する(S501)。この結果、遊技中でない場合には(S501:no)、そのまま役物遊技処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。一方、遊技中である場合には(S501:yes)、第1役物および第2役物を作動させるか否かを決定することとして、第1役物が現在作動中であるか否かを判断する(S502)。
この結果、第1役物が作動中でないと判定された場合には(S502:no)、規定数の遊技球が全て16連入球口24の何れかに入球したか否かを入球カウンタによって判定し(S503)、次いで、第1役物作動口32に遊技球が入球したか否かを役物作動口スイッチ212aの出力に基づいて判定する(S504)。この結果、未だ全ての遊技球は入球しておらず(S503:no)、且つ、第1役物作動口32に遊技球が入球したと判断された場合には(S504:yes)、第1役物の作動を開始する(S505)。その結果、12・13・15・16番の入賞図柄が点灯表示される。それ以外の場合、すなわち規定数の遊技球が全て16連入球口24の何れかに入球したか(S503:yes)、第1役物作動口32に遊技球が入球していない(S504:no)と判断された場合には、第1役物を作動させることなく、そのまま第2役物についての処理を開始する。
一方、第1役物が作動中と判定された場合には(S502:yes)、遊技の結果が得られたか否か判定する(S506)。前述したように、遊技の結果が得られるとゲーム終了フラグが「1」にセットされるので、ゲーム終了フラグに基づいて、遊技の結果が得られたか否かを容易に判断することができる。そして、遊技の結果が得られていた場合は(S506:yes)、第1役物の作動を停止した後(S507)、第2役物についての処理を開始する。一方、遊技の結果が得られていなければ(S506:no)、第1役物を作動させたまま、第2役物についての処理を開始する。
第2役物についての処理を開始すると、先ず初めに、第2役物が作動中であるか否か判定する(S508)。この結果、第2役物が作動中でないと判定された場合には(S508:no)、全ての遊技球が16連入球口24の何れかに入球したか否か(S509)、更に遊技球が第2役物作動口33に入球したか否かを判断する(S510)。全遊技球の入球が完了しているか否かは、入球カウンタの値によって判定することができる。また、遊技球が第2役物作動口33に入球したか否かについては、第2役物作動口スイッチ33sにより検出することができる。そして、未だ全ての遊技球は16連入球口24に入球しておらず(S509:no)、且つ遊技球が第2役物作動口33に入球したと判断された場合には(S510:yes)、第2役物の作動を開始した後(S511)、図11に示した役物遊技処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。こうして第2役物が作動する結果、16連入球口LED25の中の11番、13番、14番、15番の各LEDが点灯表示され、これらに対応する入球口に遊技球が入球した場合と同じ状態となる。
これに対して、未だ全ての遊技球は16連入球口24の何れかに入球していないか(S509:no)、若しくは、遊技球が第2役物作動口に入球していないと判断された場合は(S510:no)、第2役物を作動させることなく、そのまま図11の役物遊技処理を終了して、遊技制御処理に復帰する。
一方、第2役物が作動中と判定された場合には(S508:yes)、遊技の結果が得られたか否かをゲーム終了フラグによって判定し(S512)、遊技の結果が得られたと判定された場合には(S512:yes)、第2役物の作動を終了した後(S513)、図11の役物遊技処理を終了して、遊技制御処理に復帰する。また、遊技の結果が得られていない場合には(S512:no)、第2役物の作動を停止することなく、そのまま役物遊技処理を終了して、遊技制御処理に復帰する。
B−6.得点増加装置処理 :
CPU201は、役物遊技処理から復帰すると、得点増加装置処理を開始する。図12は、本実施例の遊技制御処理で実行される得点増加装置処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように、得点増加装置処理を開始すると、先ず初めに、遊技中か否か判定し(S601)、遊技中でないと判定された場合には(S601:no)、そのまま得点増加装置処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する(S601)。一方、遊技中と判定された場合には(S601:yes)、得点増加装置が作動中か否か判定する(S602)。尚、本実施例の遊技機1における得点増加装置とは、遊技球が16連入球口24の中の16番の入球口24aに入球すると作動を開始して、得られた得点を倍増させる装置である。
得点増加装置が作動中でないと判定された場合には(S602:no)、規定数の遊技球が全て16連入球口24の何れかに入球したか否か(S603)、更には、16連入球口24の中の16番の入球口24aに遊技球が入球したか否か(S604)についての判断を行う。全ての遊技球が16連入球口24の何れかに入球したか否かは、RAM202上の所定アドレスに設けられた入球カウンタの値が規定数に達しているか否かによって判断することができる。また、16連入球口24の中の16番の入球口24aに遊技球が入球したか否かについては、16連入球口スイッチ24sの出力によって判断することができる。そして、未だ全ての遊技球は16連入球口24の何れかに入球しておらず(S603:no)、且つ遊技球が16番の入球口24aに入球した(S604:yes)と判定された場合には、得点増加装置の作動を開始した後(S605)、図12の得点増加装置処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。それ以外の場合、すなわち規定数の遊技球が全て16連入球口24の何れかに入球したか(S603:yes)、あるいは16番の入球口24aに遊技球が入球していないと判断された場合は(S604:no)、得点増加装置を作動させることなく、そのまま得点増加装置処理を終了して図7の遊技制御処理に復帰する。
一方、得点増加装置が作動中であると判定された場合には(S602:yes)、遊技の結果が得られたか否かをゲーム終了フラグによって判定する(S606)。そして、遊技の結果が得られていなければ(S606:no)、そのまま得点増加装置処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。
一方、遊技の結果が得られている場合は(S606:yes)、そのゲーム(単位遊技)において得点が成立したか否かを判断する(S607)。そして、得点が成立している場合は(S607:yes)、得点増加装置の作動を停止させた後(S608)、得点増加装置処理を終了して図7の遊技制御処理に復帰する。これに対して、遊技の結果が得られた時点で得点が成立していない場合は(S607:no)、そのまま得点増加装置処理を終了する。すなわち、得点増加装置が作動しているにも関わらず(S602:yes)、そのゲーム(単位遊技)の遊技の結果が得られた時点で(S606:yes)、得点が成立しなかった場合は(S607:no)、得点増加装置を作動させたまま、得点増加装置処理を終了することになる。結局、本実施例の遊技機1では、通常の場合すなわち得点が成立していれば、ゲームの終了時点では得点増加装置が停止されるのに対し、得点増加装置が作動したにも関わらず得点が成立しなかった場合にだけ、得点増加装置が作動したままゲームが終了することになる。
B−7.誘導増加装置処理 :
CPU201は、得点増加装置処理から復帰すると、誘導増加装置処理を開始する。図13は、本実施例の遊技制御処理で実行される誘導増加装置処理の流れを示すフローチャートである。図示されているように、誘導増加装置処理を開始すると、先ず初めに、遊技中か否かを判定する(S701)。そして、遊技中でないと判定された場合には(S701:no)、そのまま誘導増加装置処理を終了して、図7に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、遊技中と判定された場合には(S701:yes)、誘導増加装置が作動しているか否かを判定する(S703)。尚、本実施例の遊技機1における誘導増加装置とは、遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過すると作動を開始して、第2役物誘導装置作動ゲート30を有効にすることで、特別遊技状態を開始する装置である。また、誘導増加装置は、演出表示装置31の誘導図柄31aが「当り」態様で停止表示される確率を増加させる機能も有している。
誘導増加装置が作動していないと判定された場合には(S703:no)、遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過したか否かを判定する(S704)。遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過したか否かは誘導増加装置作動領域スイッチ41sの出力によって判断することができる。そして、遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過したと判定された場合には(S704:yes)、誘導増加装置を作動させた後(S705)、図13に示す誘導増加装置処理を終了して図7の遊技制御処理に復帰する。誘導増加装置が作動すると、第2役物誘導装置作動ゲート30が有効となり、特別遊技状態が開始される。そして、ゲートの有効期間に遊技球が第2役物誘導装置作動ゲート30を通過すると、第2役物作動口33が開放されることになる。また、詳細な処理内容は後述するが、誘導増加装置が作動している間は、演出表示装置31の誘導図柄31aが「当り」態様で停止表示される確率、すなわち第1役物作動口32が開放状態となる確率が増加するように設定されている。
一方、遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過していないと判定された場合は(S704:no)、誘導増加装置を作動させることなく、そのまま図13の誘導増加装置処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。
以上に説明したように、遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過すると(S704:yes)、誘導増加装置が作動する(S705)。その結果、特別遊技状態が発生し、こうして開始された特別遊技状態は、所定回数の単位遊技(ここでは14ゲーム)だけ繰り返される。しかし、この繰り返しの途中で、遊技球が重ねて誘導増加装置作動領域41aを通過すると、その時点で特別遊技状態が終了してしまう。このような状態は、「パンク状態」と呼ばれる。このような動作を行うことに対応して、S703において誘導増加装置が作動中と判断された場合、すなわち遊技球が既に誘導増加装置作動領域41aを通過している場合は(S703:yes)、重ねて遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過したか否かを判断する(S706)。そして、誘導増加装置作動領域41aを遊技球が通過していないと判断された場合は(S706:no)、特別遊技状態の開始から14ゲーム分の単位遊技を終了したか否かを判断し(S707)、未だ14ゲームが終了していなければ(S707:no)、そのまま誘導増加装置処理を終了して図7の遊技制御処理に復帰する。一方、14ゲーム分の単位遊技を終了したと判断された場合は(S707:yes)、誘導増加装置の作動を停止した後(S720)、誘導増加装置処理を終了して図7の遊技制御処理に復帰する。こうして誘導増加装置の作動が停止されると、第2役物誘導装置作動ゲート30が無効となって、特別遊技状態が終了する。
一方、特別遊技状態の途中で、遊技球が重ねて誘導増加装置作動領域41aを通過したと判断された場合は(S706:yes)、パンク状態が発生したことを遊技者に報知する(S709)。パンク状態発生の報知は、例えば演出表示装置31の背景図柄31dで所定の図柄を表示することによって行うことができる。こうして、パンク状態の発生を報知したら、誘導増加装置の作動を停止させた後(S708)、誘導増加装置処理を終了して図7の遊技制御処理に復帰する。
B−8.誘導図柄および役物誘導装置処理 :
CPU201は、誘導増加装置処理から復帰すると、誘導図柄および役物誘導装置処理を開始する。図14は、本実施例の遊技制御処理で実行される誘導図柄および役物誘導装置処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図15は、誘導図柄および役物誘導装置処理の後半部分を示すフローチャートである。図示されているように、誘導図柄および役物誘導装置処理を開始すると、先ず初めに、第1役物誘導装置が作動しているか否か判定する(S801)。本実施例における第1役物誘導装置とは、演出表示装置31の誘導図柄31aが「当り」態様で停止表示されると作動を開始して、第1役物作動口32を開放状態とする装置である。図4を用いて前述したように、第1役物作動口32は、第1役物作動口ソレノイド32aに主制御基板200から駆動信号を供給することによって開放状態となる。すなわち、第1役物作動口32は、CPU201の制御の元で開放状態となり、CPU201は第1役物作動口32が開放しているか否か、換言すれば第1役物誘導装置が作動中か否かを容易に判断することができる。
第1役物誘導装置が作動中であると判定された場合には(S801:yes)、第1役物作動口32に遊技球が入球したか否か(図15のS816)、および遊技の結果が3回得られたか否か(S817)についての判断を行う。その結果、第1役物誘導装置が作動中で、開放状態の第1役物作動口32に遊技球が入球するか(S816:yes)、若しくは、開放中の第1役物作動口32に遊技球が入球しないまま、遊技の結果が3回得られるか(S817:yes)の何れかの条件を満足していた場合には、第1役物誘導装置の作動を停止させた後(S818)、図14および図15に示す誘導図柄および役物誘導装置処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。
一方、第1役物誘導装置が作動中でないと判定された場合には(図14のS801:no)、演出表示装置31の誘導図柄31aが変動中か否か判定する(S802)。この結果、誘導図柄31aが変動中であると判定された場合は(S802:yes)、後述するS808以降の一連の処理を行う。一方、誘導図柄31aが変動中でないと判定された場合には(S802:no)、誘導図柄の停止表示時間中であるか否かを判定する(S803)。この結果、誘導図柄の停止表示時間中であると判定された場合には(S803:yes)、後述するS811以降の一連の処理を行う。一方、誘導図柄の停止表示時間中でないと判定された場合には(S803:no)、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過したか否かを誘導図柄作動ゲートスイッチ29sによって判定する(S804)。この結果、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過していないと判定された場合は(S804:no)、そのまま誘導図柄および役物誘導装置処理を終了して図7の遊技制御処理に復帰する。一方、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過したと判定された場合は(S804:yes)、誘導図柄31aについての当否判定を行う(S805)。
図16は、誘導図柄31aについての当否判定を行う処理(誘導図柄当否判定処理)の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、図14および図15に示す誘導図柄および役物誘導装置処理の中で、主制御基板200のCPU201によって実行される処理である。誘導図柄当否判定処理を開始すると、先ず初めに、当否判定用乱数の値が当り値か否かを判断する(S8051)。当否判定用乱数は、図8に示した遊技開始処理が実行される度に更新されており(図8のS203)、遊技球が誘導図柄作動ゲート29を通過したタイミングで、更新しておいた乱数値が読み出されて予め記憶されている。こうして取得された当否判定用乱数の値と予め定められた当り値とを比較して、両者が一致している場合は(S8051:yes)、当りと判断して、当り予定フラグを設定する(S8055)。
一方、当否判定用乱数の値と当り値とが一致しないと判断された場合は(S8051:no)、誘導増加装置が作動中か否かを判断する(S8053)。前述したように、本実施例における誘導増加装置とは、遊技球が誘導増加装置作動領域41aを通過すると作動を開始して、第2役物誘導装置作動ゲート30を有効にすることで、特別遊技状態を開始する装置である。そして、誘導増加装置が作動中であると判断された場合は(S8053:yes)、当否判定用乱数が当り値と一致した場合と同様に、当り予定フラグをセットする(S8055)。すなわち、誘導増加装置作動中は、例え、当否判定用乱数が当り値と一致していない場合でも(S8051:no)、当り値と一致する場合と同様の処理が行われることになる。
こうして当り予定フラグをセットしたら(S8055)、当否判定結果が「当り」の時の、誘導図柄31aの停止図柄を決定する(S8057)。前述したように、当否判定結果が「当り」の場合は、演出表示装置31上の3つの誘導図柄31aは同じ図柄で停止表示されるから、当りの表示用の停止図柄は1つ決定すればよい。停止図柄の決定は、次のように、誘導図柄乱数を用いて行う。予め、誘導図柄乱数の取り得る各々の値に、誘導図柄31aの図柄(本実施例では「1」〜「9」の数字が意匠化された図柄)を1つずつ対応づけておく。次いで、誘導図柄乱数を取得して、取得した乱数に対応づけられている図柄を、誘導図柄31aの停止図柄として決定する。S8057では、停止図柄を1つだけ決定すればよいから、誘導図柄乱数を1つだけ取得すればよい。
次いで、当り演出用のパターンテーブルAの中から変動パターンを1つ決定する(S8059)。本実施例の遊技機1においては、変動パターンは、演出表示装置31上で誘導図柄31aの変動表示が開始されてから停止表示されるまでの間に行われる変動態様を規定するために用いられている。前述したように、本実施例の遊技機1ではリーチ演出を行うことができるが、リーチ演出を行うか否かによって変動態様は異なったものとなる。更には、リーチ演出の種類にも、比較的短時間で終了するリーチ演出から、長い時間かかるリーチ演出まで、複数のリーチ演出が用意されており、これらリーチ演出の内容によっても変動態様は異なったものとなる。パターンテーブルAには、「当り」の演出に用いられる複数の変動パターンが記憶されており、S8059では、このパターンテーブルAの中から乱数抽選によって、演出に用いる変動パターンを1つ決定する処理を行う。尚、誘導図柄31aが「当り」態様で停止表示される場合は、必ずリーチ演出が行われることになる。
一方、当否判定用乱数の値と当り値とが一致しないと判断され(S8051:no)、更に、誘導増加装置が作動中ではないと判断された場合は(S8053:no)、リーチ演出を行うか否かを決定する(S8061)。すなわち、3つの誘導図柄31aのうち、初めの2つの誘導図柄31aは同じ図柄で停止表示させた後、最後の1つを異なる図柄で停止表示させて、いわゆる「外れリーチ」演出を行うのか、あるいは、初めの2つの誘導図柄31aを異なる図柄で停止表示させて、3つめの図柄が停止する前に「外れ」が確定する演出を行うのか、について決定するのである。かかる決定はリーチ判定用乱数を用いて行う。すなわち、予めリーチ演出を行う乱数の値(リーチ演出当り値)を設定しておき、リーチ判定用乱数を発生させて、得られた乱数値がリーチ演出当り値と一致すれば、リーチ演出を行うものと判断する。
そして、リーチ演出を行う場合は(S8061:yes)、リーチ外れ用の外れ停止誘導図柄を決定する(S8063)。すなわち、初めに停止表示されてリーチ状態とするための図柄(リーチ図柄)と、外れを確定させるための図柄の、2つの誘導図柄を決定する処理を行う。これら図柄を決定する処理は、「当り」の図柄を決定する処理と同様に、誘導図柄乱数を用いて行う。すなわち、誘導図柄乱数を2つ取得して、得られた乱数値に対応づけて設定されている誘導図柄31aを停止図柄として決定する。このとき、たまたま2つの図柄が一致してしまった場合は、そのままでは「当り」態様となってしまうので、異なる図柄が得られるまで誘導図柄乱数の取得を繰り返す。
次いで、外れリーチ演出用のパターンテーブルBの中から変動パターンを1つ決定する(S8067)。本実施例の遊技機1では、外れリーチにも複数の変動パターンが用意されており、パターンテーブルBには、これら複数の変動パターンが設定されている。S8067では乱数抽選を行うことにより、これら変動パターンの中から、演出表示装置31上での演出に使用する変動パターンを1つ決定するのである。
一方、リーチ演出を行わない場合、すなわち、2つの誘導図柄31aを何れも異なる図柄で停止表示させる場合は(S8061:yes)、これら3つの誘導図柄(通常外れ用の外れ停止誘導図柄)を決定する処理を行う(S8065)。かかる処理では、誘導図柄乱数を取得して、得られた乱数値に対応づけて設定されている誘導図柄31aを停止図柄として決定することにより、互いに異なる3つの誘導図柄31aを決定する。
次いで、通常の外れ演出用のパターンテーブルCの中から変動パターンを1つ決定する(S8069)。本実施例の遊技機1では、通常の外れ演出用にも複数の変動パターンが用意されており、パターンテーブルCには、これら複数の変動パターンが設定されている。S8069では乱数抽選を行うことにより、これら変動パターンの中から1つの変動パターンを選択する。
以上のようにして、誘導図柄31aを停止表示させる図柄と、この図柄で停止表示させるまでの変動パターンとを決定したら、主制御基板200のCPU201は、これらに対応する停止図柄指定コマンド、および変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板220に向かって出力した後(S8071)、図16に示す誘導図柄当否判定処理を終了して、図14の誘導図柄および役物誘導装置処理に復帰する。サブ制御基板220では、このようにして出力された停止図柄指定コマンドおよび変動パターン指定コマンドを解析して、演出表示装置31における誘導図柄31aの変動表示および停止表示の具体的な制御を行う。
図14に示されているように、誘導図柄および役物誘導装置処理では、誘導図柄当否判定処理から復帰すると(図14のS805)、誘導図柄31aの変動時間を設定する(S807)。前述したように、誘導図柄31aの変動時間は変動パターンに応じて異なっており、変動パターンが決まれば対応する変動時間を決定することができる。そこで、S807では、前述した誘導図柄当否判定処理において決定された変動パターンに基づいて、誘導図柄31aの変動時間(図柄変動時間)を設定する処理を行う。
次いで、設定されている図柄変動時間が経過したか否かを判断し(S808)、未だ経過していなければ(S808:no)、図14および図15に示した誘導図柄および役物誘導装置処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。
一方、図柄変動時間が経過したと判断された場合は(S808:yes)、サブ制御基板220に対して図柄変動停止コマンドを出力することにより、誘導図柄31aの変動表示を停止させた後(S809)、図柄停止表示時間を設定する(S810)。図柄停止表示時間とは、演出表示装置31上で停止表示された誘導図柄31aを遊技者が確認することができるように、設定された時間であり、本実施例では0.5秒に設定されている。
次いで、設定された図柄停止表示時間が経過したか否かを判断する(S811)。この結果、図柄停止表示時間が経過していないと判断された場合は(S811)、図14および図15に示す誘導図柄および役物誘導装置処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。一方、図柄停止表示時間が経過していると判断された場合は、当り予定フラグがセットされているか否かを判断する(S812)。当り予定フラグとは、図16に示した誘導図柄当否判定処理の中で、誘導図柄31aが当りであると判断されたことを示すフラグである。そして、当り予定フラグがセットされていないと判断された場合は(S812:no)、そのまま図14および図15に示した誘導図柄および役物誘導装置処理を終了して、図7の遊技制御処理に復帰する。一方、当り予定フラグがセットされている場合は(S812:yes)、誘導図柄31aが当りと判断されたことになるので、第1役物誘導装置の作動を開始した後(S813)、誘導図柄および役物誘導装置処理を終了して、図7に示した遊技制御処理に復帰する。第1役物誘導装置が作動すると、第1役物作動口32が開放状態となる。
図7に示されているように、遊技制御処理では誘導図柄および役物誘導装置処理(図7のS800)から復帰すると、再び遊技開始処理(図7のS200)に戻って、続く一連の処理を行う。そして、誘導図柄および役物誘導装置処理(S800)を行ったら、再び遊技開始処理(S200)に戻る。このように、図7に示した遊技制御処理では、遊技開始処理(S200)、ゲーム管理処理(S300)、入賞図柄処理(S400)、役物遊技処理(S500)、得点増加装置処理(S600)、誘導増加装置処理(S700)、誘導図柄および役物誘導装置処理(S800)の各処理が、この順番で繰り返し実行されている。主制御基板200のCPU201は、これら各処理を約4msec周期で実行しており、その結果、遊技機1全体の遊技を進行することが可能となっている。
遊技機1に搭載された主制御基板200が以上に説明した制御を確実に実行して、円滑に遊技が行われるためには、各入球口に設けられた遊技球を検出するスイッチ類が正しく動作することが前提となる。そこで、遊技機1の製造工程には、これらスイッチが正しく遊技球を検出することを確認するための工程が設けられている。本実施例の遊技機1では、遊技球を検出するスイッチの動作確認を効率的に行うために、遊技盤20の裏面側に設けられた遊技球を排出するための通路から、確認する方法を採用している。以下では、本実施例の遊技機1で採用されている確認方法について説明するが、その準備として、先ず、遊技盤20の裏面側の構成について説明し、次いで、遊技盤20の裏面側を遊技球が通過する経路について説明する。そして、これらの説明を踏まえて、本実施例の遊技機1で採用されている確認方法について説明する。
C.遊技盤裏面側の構成 :
図17は、本実施例の遊技盤20を裏面側から見た説明図である。尚、図17では、図示が煩雑となることを避けるために、遊技球が通過する経路に関連しない部品については図示が省略されている。図2を用いて前述したように、遊技盤20の中央には中央装置50が設けられ、中央装置50の下方には16連入球口24が設けられていることと対応して、遊技盤20の裏面側の中央には中央装置50の裏ケースが突出しており、その下方には16連入球口24の裏ケースが突出して設けられている。また、遊技盤20を裏面側から見たときの中央装置50の右側には、第1役物作動口32に入球して第1役物作動口スイッチ32sを通過した遊技球を、特別遊技装置36に導くためのワープ通路26が設けられている。
特別遊技装置36に導かれた遊技球は、図5を用いて前述したように、誘導増加装置作動領域41aまたは誘導増加装置非作動領域41bの何れかに振り分けられるが、振り分けられた遊技球は、中央装置50の裏ケースの下部にそれぞれ設けられた2本の排出通路58、59から排出される。これら2本の排出通路の中の排出通路58の上端は、誘導増加装置作動領域スイッチ41sを介して誘導増加装置作動領域41aに接続されており、排出通路59の上端は、誘導増加装置非作動領域スイッチ41tを介して誘導増加装置非作動領域41bに接続されている。また、これら2本の排出通路58、59の下端は開口しており、特別遊技装置36で振り分けられた遊技球を、ここから排出することが可能となっている。なお、特別遊技装置36が、本願の振分装置の一態様を構成している。
更に、中央装置50の左側には第2役物作動口33に入球した遊技球を排出するための排出通路57も設けられている。この排出通路57の上端は、第2役物作動口スイッチ33sを介して第2役物作動口33に接続されている。また、下端は開口しており、第2役物作動口33に入球して裏面側に導かれた遊技球を、ここから排出することが可能となっている。
また、中央装置50には、演出表示装置31や特別遊技装置36などが搭載されていることから、中央装置50の裏ケースには、特別遊技装置36に設けられた3つの回転体を駆動するための役物駆動モータ54や、中継端子板55も設けられている。演出表示装置31や特別遊技装置36などは、中継端子板55を介してサブ制御基板220との間で信号をやり取りしており、排出通路58、59の近傍には各種のケーブルが通っている。そこで、排出通路58、59の外壁には、これらケーブルを固定するための固定具58g、59gが設けられている。
中央装置50の下方に設けられた16連入球口24の裏ケースには、それぞれの入球口毎に16連入球スイッチ24sが設けられており、入球口に入球した遊技球は、16連入球スイッチ24sを通過すると、そのまま下方に落下するように構成されている。
図18は、排出通路58、59の外壁にケーブルを固定するための固定具58g、59gが設けられている部分の拡大図である。図示されているように排出通路58、59の外壁には、中央装置50から延出した付近に固定具58g、59gが設けられており、役物駆動モータ54を駆動するためのケーブルや、誘導増加装置非作動領域スイッチ41t、あるいは誘導増加装置作動領域スイッチ41sなどからのケーブル、更には、中継端子板55に接続されたケーブルなどを固定することが可能となっている。
また、本実施例の遊技機1は、遊技盤20の裏面側に各種の基板ケースが配置されている。ここで基板ケースとは、図4を用いて前述した各種の制御基板や、演出表示基板280、電源基板285などを収納した樹脂製のケースである。図19は、遊技盤20の裏面側に各種の基板ケースが配置される様子を示した説明図である。尚、図19では、図示が煩雑となることを避けるため、遊技盤20と各種の基板ケースのみを表示し、他の部品については図示が省略されている。図19に示されているように、遊技盤20の裏面側に突出した中央装置50の位置には、サブ制御基板220を収納したサブ制御基板ケース230と、演出表示基板280を収納した演出表示基板ケース290とが取り付けられる。また、遊技盤20の下方には、発射制御基板260を収納した発射制御基板ケース270が配置され、発射制御基板ケース270に重ねるようにして電源基板ケース295が配置される。電源基板ケース295には図4を用いて前述した電源基板285が収納されている。電源基板ケース295の側方(遊技盤20から見れば下方)には、払出制御基板240が収納された払出制御基板ケース250が配置され、更に、電源基板ケース295および払出制御基板ケース250に跨るようにして、主制御基板ケース210が配置される。主制御基板ケース210には、前述した主制御基板200が収納されている。
このように、遊技盤20の裏面側には多くの基板ケースが配置されているので、遊技盤20の裏面側の排出通路57、58、59から排出された遊技球や、16連入球口スイッチ24sを通過して下方に落下した遊技球は、各種の基板ケースの間に設けられた通路を通って所定位置まで集められた後、排出されることになる。
D.遊技盤裏面側で遊技球を排出する経路 :
図20は、遊技盤20の裏面側に導かれた遊技球が排出されるために、各種の基板ケースの間を通る経路を示した説明図である。図17を用いて前述したように、遊技盤20の裏面側には3つの排出通路57、58、59が設けられており、第2役物作動口33から入球した遊技球は排出通路57を通過し、誘導増加装置非作動領域41bに振り分けられた遊技球は排出通路58を、そして、誘導増加装置作動領域41aに入球した遊技球は排出通路59を通過して、それぞれの通路から排出される。各通路から遊技球が排出される部分には、遊技球を集めて排出位置まで導くための裏セットと呼ばれる部材が接続されており、それぞれの排出通路57、58、59から排出された遊技球は、裏セットの内壁に導かれて落下していく。尚、図20では、遊技球の経路が見難くなることを避けるため、裏セットについては図示を省略している。
また、16連入球口24に入球した遊技球は、遊技盤20の裏面側に導かれて16連入球口24の裏ケースから下方に向かって落下する。この遊技球が落下する部分にも、裏セットの開口部が設けられており、16連入球口24に入球した遊技球は裏セットの内壁に導かれて落下していく。そして、3つの排出通路57、58、59から排出された遊技球と、16連入球口24から排出された遊技球とは、16連入球口24の下方の、ちょうど遊技盤20と主制御基板ケース210との間の位置で合流した後、電源基板ケース295と払出制御基板ケース250との間の隙間を落下して、遊技機1の最下部に設けられた図示しない受け皿に集められる。この受け皿は、遊技球を排出する島側の設備に接続されており、受け皿に落下した遊技球は、島側の回収設備によって回収されることになる。
E.遊技球を検出するスイッチの動作確認方法 :
次に、本実施例の遊技機1を製造するに際して、遊技球を検出するスイッチの動作を確認するために採用されている方法について説明する。
図21は、本実施例の遊技盤20に搭載された遊技球を検出するスイッチの動作を確認する方法を示した説明図である。図18を用いて前述したように、本実施例の遊技盤20の裏面側には、排出通路58、59の外壁にケーブルの固定具58g、59gが設けられているが、遊技機1の製造工程には、これら固定具58g、59gが取り付けられていない状態で遊技盤20が供給される。図21(a)は、固定具58g、59gが取り付けられる前の該当部分を拡大して示した説明図である。図示されているように、中央装置50から延出された2本の排出通路57、58には、固定具58g、59gを取り付けるための窓(検査窓58w、59w)が、それぞれに設けられている。
図21(b)は、これら検査窓58w、59wを用いて、遊技球を検出するスイッチの動作を確認している様子を示した説明図である。先ず、誘導増加装置作動領域スイッチ41sの動作を確認する際には、排出通路58に設けられた検査窓58wから誘導増加装置作動領域スイッチ41sまで、検査治具100(例えば、ゲージ棒)を差し込む。そして、検査治具100の先端が誘導増加装置作動領域スイッチ41sを通過したときに、誘導増加装置作動領域スイッチ41sが検査治具100を検出すれば、スイッチが正常に動作していることを確認することができる。また、誘導増加装置非作動領域スイッチ41tの動作についても、同様な方法によって確認することができる。すなわち、排出通路59に設けられた検査窓59wから検査治具100を差し込んで、検査治具100の先端が誘導増加装置非作動領域スイッチ41tを通過するようにする。そして、この時に誘導増加装置非作動領域スイッチ41tが検査治具100を検出すれば、スイッチが正常に動作しているものと確認することができる。こうして、誘導増加装置作動領域スイッチ41sおよび誘導増加装置非作動領域スイッチ41tの動作を確認したら、検査窓58w、59wに固定具58g、59gを取り付ける。
図22は、排出通路58、59に設けられた検査窓58w、59wに固定具58g、59gを取り付ける様子を示した説明図である。図22(a)に示されているように固定具58g、59gは、検査窓58w、59wよりは少し大きく形成された蓋部58h、59hに、ケーブルを固定するためのフック部58f、59fと、検査窓58w、59wに固定具58g、59gを取り付けるためのツメ部58t、59tとが設けられた形状となっている。誘導増加装置作動領域スイッチ41sおよび誘導増加装置非作動領域スイッチ41tの動作を確認したら、固定具58g、59gのツメ部58t,59tを検査窓58w、59wに挿入する。すると、ツメ部58t、59tは、検査窓58w、59wに押しつけられて弾性変形しながら挿入されて、固定具58g、59gが取り付けられる。
図22(b)は、検査窓58w、59wに固定具58g、59gが取り付けられた状態を表している。このように固定具58g、59gを検査窓58w、59wに取り付けてしまうと、固定具58g、59gのツメ部58t、59tは元の形状に復帰する。このため、今度は、固定具58g、59gを外そうとしても、ツメ部58t、59tが検査窓58w、59wに引っ掛かってしまい、外すことが極めて困難となる。無理に外そうとすると、固定具58g、59g若しくは排出通路58、59の少なくとも一方を破損してしまうか、若しくは専用工具を使用しなければならないため、固定具58g、59gは、実質的には着脱不能な状態となる。尚、このように固定具58g、59gは検査窓58w、59wに実質的に着脱不能に取り付けられることから、固定具58、59の蓋部58h、59hおよびツメ部58t、59tは、本願の閉鎖蓋の一態様を構成している。また、固定具58、59のフック部58f、59fは、本願の固定部材の一態様を構成している。
以上に説明したように、本実施例の遊技盤20は、裏面側に設けられた検査窓58w、59wから検査治具100を差し込むことによって、誘導増加装置作動領域41a、誘導増加装置非作動領域41bの動作を簡単に確認することができる。また、動作の確認後は、固定具58g、59gを着脱不能な状態で取り付けて、検査窓58w、59wを塞いでしまう。このため、検査窓58w、59wからワイヤなどを差し込んで、誘導増加装置作動領域41aなどを誤動作させる不正行為を誘発するおそれも無い。
参考として、本実施例による確認方法(検査窓58w、59wから検査治具100を差し込んで確認する方法)とは異なる方法で、誘導増加装置作動領域スイッチ41sや誘導増加装置非作動領域スイッチ41tの動作を確認する方法について説明しておく。
図23は、本実施例の確認方法とは異なる方法で誘導増加装置作動領域スイッチ41sや誘導増加装置非作動領域スイッチ41tの動作を確認する方法を示した説明図である。図5を用いて前述したように、誘導増加装置作動領域スイッチ41sおよび誘導増加装置非作動領域スイッチ41tは、特別遊技装置36に組み込まれており、特別遊技装置36の前面側には、遊技球が特別遊技装置36からこぼれ落ちることを避けるために、透明な視認窓36wが設けられている。図23では、視認窓36wには粗いハッチングが施された状態で表示されている。
このように、特別遊技装置36の前面側は視認窓36wによって塞がれているので、遊技機1の製造工程で、遊技盤20の前面側から誘導増加装置作動領域スイッチ41sや誘導増加装置非作動領域スイッチ41tに遊技球を直接投入することはできない。このため、第1役物作動口32に遊技球を投入して、ワープ通路26から特別遊技装置36内に遊技球を供給することになる。もっとも、図6を用いて前述したように、特別遊技装置36では、ワープ通路26から供給された遊技球を、誘導増加装置作動領域41aと誘導増加装置非作動領域41bとに振り分けており、しかも、多くの遊技球は誘導増加装置非作動領域41bの側に振り分けられるようになっている。このために、誘導増加装置作動領域スイッチ41sの動作を確認するためには、多量の遊技球を第1役物作動口32に投入しなければならず、検査に多くの時間がかかってしまう。
しかも、多くの遊技球を投入しているために、動作を精度良く確認することが困難である。例えば、スイッチから続けて2回の検出信号が出力されたとする。この場合、多数の遊技球を投入したために2つの遊技球が通過し、このために検出信号が2回出力されたのか、スイッチの動作に問題があるため2回の検出信号が出力されてしまったのかを区別することが困難であり、十分な検査精度を確保することが難しくなっている。
従って、このような検査方法と比較すれば、図21を用いて前述した本実施例の検査方法では、遊技盤20の裏面側に設けられた検査窓58、59から検査治具100を差し込むだけで、誘導増加装置作動領域スイッチ41sや誘導増加装置非作動領域スイッチ41tの動作を極めて簡単に確認することができる。加えて、検査治具100を差し込んだときに、検出信号が2回出力された場合には、直ちにスイッチの動作が不良であると判断することができるので、検査が簡便になるだけでなく、検査精度も向上させることが可能となっている。
また、検査の終了後は、検査窓58w、59wに固定具58g、59gを嵌め込んで塞いでしまうので、検査窓58w、59wからワイヤなどを差し込んで誘導増加装置作動領域41a、若しくは誘導増加装置非作動領域41bを誤動作させる不正行為を誘発するおそれもない。もちろん、固定具58g、59gは、検査窓58w、59wに差し込むだけで簡単に固定することが可能であり、固定具58g、59gを取り付ける手間は、ごく僅かなものでよい。しかも、こうして固定具58g、59gを取り付けておけば、固定具58g、59gを用いて各種のケーブルをまとめることができるので、ケーブルを束ねて固定するための工数を低減することが可能となる。
F.変形例 :
以上に説明した実施例では、排出通路58、59に設けられた検査窓58w、59wは、誘導増加装置作動領域スイッチ41sや誘導増加装置非作動領域スイッチ41tから排出通路58、59が真っ直ぐに延びている部分に設けられているものとして説明した。このような位置に、検査窓58w、59wを設けておけば、真っ直ぐな検査治具100を単に検査窓58w、59wから差し込むだけで、検査治具100の先端を誘導増加装置作動領域スイッチ41sや誘導増加装置非作動領域スイッチ41tに届かせることができるので、検査動作を迅速に行うことができる。しかし、検査窓58w、59wは、必ずしもこのような位置も設ける必要はなく、例えば、誘導増加装置作動領域スイッチ41sや誘導増加装置非作動領域スイッチ41tから延びる排出通路58、59が曲がった先に、検査窓58w、59wを設けることも可能である。
図24は、このような変形例の遊技盤20において検査窓58w、59wから検査治具100を差し込んで、誘導増加装置作動領域スイッチ41sの動作確認を行っている様子を示す説明図である。例えば、図24(a)に示すように、誘導増加装置作動領域スイッチ41sや誘導増加装置非作動領域スイッチ41tから延びる排出通路58、59が曲がった先に、検査窓58w、59wが設けられている場合でも、図示されているように「くの字」型に曲がった検査治具100を用いれば、スイッチの動作確認を迅速に行うことができる。あるいは、図24(b)に示されているように、排出通路58、59がより複雑に曲がった形状をしている場合でも、屈曲可能に形成された検査治具100を用いれば、誘導増加装置作動領域スイッチ41sや誘導増加装置非作動領域スイッチ41tの動作を僅かな時間で確認することができる。従って、変形例においては、検査窓58w、59wの設置位置に関する制約を受けないため、各種ケーブルの配線状態に合わせて、検査窓58w、59wを適切な位置に設けて、ケーブルをより適切に固定することが可能となる。
以上、本発明についての各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にもおよび、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した各種の実施例では、本願発明を組合せ式遊技機に適用した場合について説明した。しかし、本願発明は、いわゆる権利物と呼ばれる遊技機にも好適に適用することが可能である。