本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる画像読取装置に関し、特に原稿を容易に正しい位置に載置することができ、かつ載置した後で原稿カバーを閉じたとしても、原稿カバーの開閉に伴う風圧によって原稿がずれることを防ぐことができる画像読取装置に関する。
技術背景
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置には、原稿の画像を読取可能な画像読取装置が備えられている。原稿の画像がこの画像読取装置によって読み取られるとき、原稿は、まず原稿台のコンタクトガラスの中央部に設けられた原稿位置基準に合わせて載置される。更に原稿は、原稿台に対して回動可能に設けられた原稿カバーにより被覆されると共にコンタクトガラスに対して押圧される。このようにして原稿台上に位置決めされた原稿は、コンタクトガラスの下方に配設されているイメージスキャナにより読み取られるのである。イメージスキャナは、例えばCIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等からなり、コンタクトガラスの下方を往復動可能に配設されている。
しかし、この構成では、使用者が原稿をコンタクトガラスに載置するとき、使用者は原稿の位置を目視にて確認しながら、その原稿を原稿位置基準に合わせて載置しなければならず、煩わしさを感じるという問題があった。多数の原稿がコンタクトガラスに入れ替わりで載置される場合、なおさらである。
そこで、使用者が原稿の位置を目視にて確認することなく原稿を所定の位置に載置できるように、凹形形状部からなる原稿位置決め部を原稿台に設けた画像読取装置が案出されている。(特許文献1参照)
この原稿位置決め部の凹形状部内には、各サイズの定形原稿に対応した階段状の段差が設けられており、凹部の奥に向かうほどに凹形状部の幅が狭くなるように構成されている。また、この凹部形状はその凹部の中央線を中心として線対称状に形成されている。よって、使用者は、凹形状部内に設けられた段差に定形原稿を当接させることによって、原稿の位置を目視にて確認することなく定形原稿を所定の位置に載置することができるのである。
一方、従来の画像読取装置には次のような問題もある。すなわち、特に原稿がシート状の薄くて軽いものである場合には、原稿台上に載置された原稿が原稿カバーによって被覆される際、
原稿カバーの開閉に伴う風圧によって原稿が載置位置からずれる虞れがある。
そこで、このような載置原稿のずれを防ぐため、コンタクトガラスと原稿カバーの間に、原稿の載置位置が線で示された読取領域シートと、透明平板と、この透明平板の端に開閉自在に取り付けられた透明シートと、が設けられた画像読取装置が案出されている。(特許文献2参照)この場合、使用者は読取領域シートに示された読取位置を確認しながら、原稿をあらかじめ透明平板と透明シートとの間に載置し、更に原稿カバーで被覆することができる。従ってこの構成によれば、原稿カバーの開閉に伴う風圧によって載置された原稿がずれることは防止できる。
実開平5−84957号公報 (段落0012〜0013、図3、図5)
特開2004−317932号公報 (段落0010〜0016、図1〜4)
しかし、特許文献1で示されるような構成では、定形原稿を階段状の段差に当接させて位置決めを行うため、定形原稿のサイズによって、原稿の読取を開始する位置を変えなければならず、読取を行う際の制御が複雑になるという問題があった。また、原稿位置決め部はコンタクトガラス上に載置された原稿を押圧するものではないので、原稿カバーの開閉に伴う風圧によって原稿が載置位置からずれる虞れがあるという問題があった。
また、特許文献2で示されるような構成では、透明平板と透明シートは原稿の全体を覆うものであり、使用者は原稿全体が覆われるまで原稿を手で押さえることができない。そのため、原稿がシート状の特に薄くて軽いものである場合には、透明平板と透明シートの開閉に伴うわずかな風圧によっても原稿が載置位置からずれてしまう虞れがあるという問題があった。また、透明平板と透明シートが開閉されるときに、前記透明平板と前記透明シートの間に生ずる静電気によって原稿が帯電することがあるため、前記透明平板や前記透明シートに原稿が張り付くことがある。この場合、使用者は原稿を所望の位置にセットすることが困難であるという問題もあった。さらに、使用者は原稿を目視にて所定の位置にセットする必要があるため、原稿が複数枚ある場合など、すばやく原稿を差し替える必要があるときには不便であるという問題があった。
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、定形原稿のサイズによって原稿の読取を開始する位置を変える必要が無く、原稿を容易に正しい位置に載置することができ、また、載置された原稿がずれることを防ぎ、原稿の差し替えを楽にすばやく行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、長方形状を有する定形原稿を載置可能な載置面とこの載置面に載置された定形原稿の一辺を突き当てる突き当て部とを備えた原稿台と、この原稿台に開閉可能に設けられ前記載置面に載置された原稿を被覆する原稿カバーと、前記原稿台と前記原稿カバーとの間に設けられ、定形原稿の前記一辺と隣接する他の辺に当接する当接部を有する原稿載置補助部材とそれぞれ異なるサイズの定形原稿を前記突き当て部と協働して位置決めする複数の位置決め片とを備え、所定サイズの定形原稿を位置決めする第1の位置決め片の上に当該所定サイズの定形原稿より小さいサイズの定形原稿を位置決めする第2の位置決め片の一部が重ねられて配置され、前記第2の位置決め片は前記所定サイズの定形原稿の一部を押圧することを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記原稿載置補助部材はそれぞれ異なるサイズの定形原稿を前記突き当て部と協働して位置決めする複数の当接部を持つことを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像読取装置において、前記複数の位置決め片にそれぞれ対応する複数サイズの定形原稿のうち、最も小さいサイズの定形原稿を位置決めする位置決め片の上に、定形原稿の移動を規制する押圧片の一部が重ねられていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像読取装置において、前記他の辺が前記当接部に当接されつつ、定形原稿の一辺が前記突き当て部に突き当てられると共に前記載置面に押圧されるまで移動されることにより前記定形原稿が位置決めされ、前記一辺と対向する前記原稿載置補助部材の縁部には、前記載置面と当該載置面と対向する前記原稿載置補助部材の面との間に定形原稿の移動を容易にする間隙が設けられていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像読取装置において、前記他の辺が前記当接部に当接されつつ、定形原稿の一辺が前記突き当て部に突き当てられると共に前記載置面に押圧されるまで移動されることにより前記定形原稿が位置決めされ、前記一辺と対向する前記原稿載置補助部材の縁部には、前記載置面と当該載置面と対向する前記原稿載置補助部材の面との間に定形原稿の移動を容易にする間隙が設けられていることを特徴としている。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明によれば、突き当て部に定形原稿の一辺を必ず突き当てるから、定形原稿のサイズによって、原稿の読取を開始する位置を変えるといった複雑な制御は不要となる。また、前記定形原稿の一辺を突き当て部に突き当て、この定形原稿の一辺と隣接する他の辺を原稿載置補助部材の当接部に当接させることによって、前記定形原稿を容易に正しい位置に載置することができる。さらに、前記定形原稿の一部が前記原稿載置補助部材に備えられた押圧部によって押圧されることによって、原稿の移動が規制され、原稿カバーの開閉に伴う風圧等によって、載置された原稿がずれることを防ぐことができる。また、前記押圧部は原稿の一部を押圧するものであるから、定形原稿がシート状の特に薄くて軽いものである場合であっても、使用者は原稿の差し替えを楽にすばやく行うことができる。また、前記原稿載置補助部材はそれぞれ異なるサイズの定形原稿を位置決めする複数の位置決め片からなっている。このため、各種サイズの定形原稿の位置決めを正確に行うことができる、複数の位置決め片を同時に開閉させることができるため、一度の開閉作業で原稿を容易に正しい位置に載置することができ、かつ載置した後で原稿がずれることを防ぐことができる。また、段差に定型原稿を当接させ位置決めすることができるため、かつ載置した後で原稿がずれることを防ぐことができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記原稿載置補助部材はそれぞれ異なるサイズの定形原稿を前記突き当て部と協働して位置決めする複数の当接部を持つように構成されているため、各種サイズの定形原稿に対応することができ操作性の向上を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、さらに最も小さいサイズの定形原稿を位置決めするときであっても、この定形原稿の移動を規制し、載置した後で原稿がずれることを防ぐことができる。
請求項4(補正前求項5)に記載の発明によれば、さらに最も小さいサイズの定形原稿を位置決めするときであっても、この定形原稿の移動を規制し、載置した後で原稿がずれることを防ぐことができる。
請求項5に記載の発明によれば、定形原稿を当接部に当接させ、突き当て部の方向に移動させるだけで、定形原稿を原稿載置補助部材とコンタクトガラスの間にすべりこませることができる。よって、少ない手順で、定形原稿を位置決めおよび押圧することができるため操作の効率化を図ることができる。
発明の実施の形態
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明が適用された多機能装置の斜視図、図2は第1の実施形態にかかる画像読取装置の原稿カバーを開いた状態の斜視図、図3は第1の実施形態にかかる原稿載置補助部材の断面図、図4は第1の実施形態にかかる原稿載置補助部材の概略図、図5は第1の実施形態にかかる原稿載置補助部材を用いた原稿の載置方法を示す概略図、図6は第1の実施形態の変形例にかかる原稿カバーを開いた状態の斜視図、図7は第1の実施形態の変形例にかかる原稿載置補助部材の概略図、図8は第2の実施形態にかかる画像読取装置の原稿カバーを開いた状態の斜視図、図9は第2の実施形態にかかる原稿載置補助部材の概略図、図10は第2の実施形態にかかる原稿載置補助部材の断面図、図11は第2の実施形態にかかる原稿載置補助部材の使用方法を説明する概略図、図12は第2の実施形態の変形例にかかる原稿載置補助部材の断面図、図13は第2の実施形態の変形例にかかる原稿載置補助部材の断面図、図14は第1の実施形態の変形例にかかる原稿載置補助部材の概略図、図15は第2の実施形態の変形例にかかる原稿載置補助部材の概略図、図16は第1および第2の実施形態の変形例1にかかる原稿載置補助部材の断面図、図17は第1および第2の実施形態の変形例2にかかる原稿載置補助部材の断面図、図18は第1および第2の実施形態の変形例3にかかる原稿載置補助部材の断面図、図19は第3の実施形態にかかる原稿載置補助部材の概略図、図20は第3の実施形態にかかる原稿載置補助部材の断面図である。尚、以下に説明する具体的な装置等は、本発明の実施の形態の一例にすぎず、本発明の実施の形態が以下に例示する具体的なものに限られる訳ではない。また、各図中には、前後、左右、上下の方向が示されているので、その方向に基づいて以下の説明はなされている。
はじめに、各実施形態に共通の構成について図1および図2を用いて詳述する。
本実施形態の画像読取装置は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(以下、MFD:Multi Function Device、と称す。)に備えられている。
MFDの本体1の底部には、図示しないが用紙Pを堆積収容する給紙カセットが進退動可能に配置される。この給紙カセットは本体の前側(正面側)の開口部2から挿抜可能に差し込まれるが、本発明の趣旨とは無関係であるので、ここでは詳述しない。また、本体の前面には複数種類のカード型若しくは薄棒状の記憶媒体を挿入するために各種スロット3(差し込み口)が設けられている。記憶媒体としては、例えば、メモリースティック(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリーカード(登録商標)、xDピクチャーカード(登録商標)等がある。
本体1の上面には、操作パネル4が配置されている。操作パネル4には、テンキー5や、ファンクションキー6などの各種のキーが設けられており、使用者がこれらのキーを押下することにより、各種の操作が行われる。本体の上面であって、操作パネルの中央部には、液晶ディスプレイ7(以下、LCD:Liquid Crystal Display、と称する。)が設けられ、画像読取装置の設定状態や各種の操作メッセージなどが必要に応じて表示される。
LCD7の後部には、原稿台8が配置されている。図2に示すように、原稿台8は、原稿が密着されて載置される透明なコンタクトガラス9と、原稿の一辺が突き当てられるための突き当て部10とを備えている。また、コンタクトガラス9上に載置された原稿を押圧可能な原稿カバー12が、原稿台8に対して回動開閉可能に設けられている。更に、原稿台8と原稿カバー12との間には、使用者が容易に原稿を原稿台8上の正しい位置に載置できるように補助するための原稿載置補助部材11が設けられている。この原稿台8は、コンタクトガラス9上に原稿をいわゆる中央基準で載置するように構成されている。中央基準とは、コンタクトガラス9上に原稿を載置する際、突き当て部の中心13とこの突き当て部10に当接される原稿の一辺の中心とを合わせる方式をいう。従って、ファクシミリ機能時に相手ファクシミリ装置へ送信されるファクシミリ原稿や、コピー機能時にコピーすべき原稿はコンタクトガラス9上に中央基準で載置されるのである。載置された原稿の画像はコンタクトガラス9の下方に往復動可能に配置された原稿読取り用の密着型イメージセンサ(以下、CIS:Contact Image Sensor、と称する。図示しない。)によって読み取られる。
原稿載置補助部材11は、たとえば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート等の透明な樹脂を原材料とする柔軟性のある透明なシートで構成されている。原稿載置補助部材11の接着部14は熱圧着等によって原稿台8に接合されており、接着部14の幅は5〜10mm程度に設定される。
原稿台8の接着部14が接着される部分には、コンタクトガラス9の面に向かって低くなるような斜面15が設けられているので、原稿載置補助部材11はシートの弾性力によってコンタクトガラス9の上面に付勢される。原稿載置補助部材11には原稿サイズ別に原稿の位置決めをする複数の当接部16が設けられており、それぞれの当接部にどの原稿サイズが対応するのかが一目で分かるように、当接部の近傍にその当接部に対応する原稿サイズが表示(以下、サイズ表示17、と称する)されている。
ここで原稿とは写真のL判サイズ、官製はがきサイズ、A4サイズ、B5サイズ等の規格化されたサイズの定形原稿のことをいう。また原稿は紙であっても樹脂フィルムであってもよく、素材は問わないものとする。
本実施形態のMFDは、他にも記録用紙に画像を記録するための記録部、記録用紙を記録部へと搬送すると共に記録部にて画像の記録された記録用紙を本体1の開口部2へと搬送するための用紙搬送部、他のファクシミリ装置やPC(パーソナルコンピュータ)等の情報処理装置との間で情報を通信するための通信部などを備えている。しかし、これらの各構成部に関しては本発明の趣旨と無関係であるため、ここでは説明を省略する。
以下、図2〜図5を参照しながら、第1の実施形態における原稿載置補助部材11Aの構成および原稿載置補助部材11Aを用いた原稿の載置方法が詳述される。
第1の実施の形態に係る原稿載置補助部材11Aは、透明な樹脂を原材料とする柔軟性のある透明なシートからなる部材である。原稿載置補助部材11の厚さは0.1mmから0.5mm程度に設定されている。この厚さは、取り扱いやすさやシートの持つ弾性力等を考慮して適宜決定される。原稿載置補助部材11Aには各原稿サイズ別に、それぞれ官製はがきサイズ、B5サイズ、A4サイズの原稿の位置決めをする当接部16A、当接部16B、当接部16Cが設けられており、それぞれの当接部16は突き当て部10に直交する階段形状の一辺であるように構成されている。
以下、B5サイズの原稿B30が原稿台8上に載置される手順が詳述される。
使用者は原稿載置補助部材11Aに印刷されたサイズ表示17の中からB5サイズの表示を探し、B5サイズに対応する当接部である当接部16Bの位置を認識する。そして、使用者は原稿載置補助部材11Aの縁部を手でつまみ上げて、原稿載置補助部材11Aを開き、原稿B30を原稿載置補助部材11Aとコンタクトガラス9の間に置き、原稿載置補助部材11Aを閉じる。このとき、原稿B30の辺30Aが当接部16Bよりやや接着部14側になるように置かれることが望ましい。この時点で、原稿B30は原稿載置補助部材11Aの一部によって押圧され、移動が規制されるが、原稿載置補助部材11Aによって覆われているのは原稿B30の一部であるから、使用者は原稿載置補助部材11Aの押圧力に抗して原稿B30を所望の位置に動かすことが可能である。ここで、使用者は原稿B30を手前方向に引くようにしながら移動させ、原稿B30が当接部16Bの少し手前に到達したら、移動方向を反転させ、辺(他の辺)30Aを当接部16Bに当接させる。さらに、辺30Aを当接部16Bに当接させつつ、辺30Aと隣接する辺(一辺)30Bを突き当て部10に突き当てる。以上のような手順で、辺30Aと辺30Bが当接部16Bと突き当て部10の2辺にそれぞれ接するようにすることにより、原稿B30は原稿載置補助部材11Aによって位置決めされ、かつ移動を抑制される。従って、コンタクトガラス9上に載置された原稿B30は、原稿カバー12が開閉されるときの風圧等によって位置ずれや舞い上がりを生ずることがない。なお、他のサイズの原稿についても同様の手順でセットすることができる。また、以上に示した第1の実施形態における原稿載置補助部材11Aを用いた原稿の載置方法は一例にすぎず、原稿を原稿載置補助部材11Aとコンタクトガラス9の間に載置して、この原稿の隣接する2辺をそれぞれ突き当て部10の原稿のサイズに対応する当接部16に当接させれば、原稿をどのような手順や方法で載置したとしても同様の効果を得ることができる。
また、第1の実施形態の変形例を、図6および図7に示す。原稿載置補助部材11Bは雲形形状の切欠きを有する部材であり、この切り欠きによってそれぞれ官製はがきサイズ、B5サイズ、A4サイズの原稿の位置決めをする当接部21A、当接部21B、当接部21Cが形成されるように構成されている。ここで雲形形状とは、2つの曲線が交わる交点を少なくとも一つ以上備える形状をいう。このような構成であっても、原稿は、上述した原稿の載置方法と同様の方法で原稿台8上に載置することができ、またそれによって同様の効果を得ることができる。
次に、図8〜図11を用いて、第2の実施形態における原稿載置補助部材11Cの構成および原稿載置補助部材11Cを用いた原稿の載置方法が詳述される。なお、その他の構成および載置方法は第1の実施形態と同様なので、第1の実施形態と同じ構成には同じ符号が付され、重ねての詳細な説明は省略される。
原稿載置補助部材11Cは、原稿を押圧する押圧片19と、原稿サイズ別に、それぞれ官製はがきサイズ、B5サイズ、A4サイズの原稿の位置決めをする複数の位置決め片18A、位置決め片18B、位置決め片18Cとから構成されている。そして図9、図10に示すように、上から押圧片19、位置決め片18A、位置決め片18Bおよび位置決め片18Cの順に重ねられている。位置決め片18A、位置決め片18B、位置決め片18Cにはそれぞれ原稿の位置決めをする当接部20A、当接部20B、当接部20Cが設けられている。それぞれの当接部20は所定長さの直線状に構成されており、各直線部分は突き当て部10に直交するように構成されている。また、それぞれの当接部20にどの原稿サイズが対応するのかが一目で分かるように、当接部20の近傍にその当接部20に対応する原稿サイズを表示したサイズ表示17A〜17Cが設けられている。
以下、原稿台8のコンタクトガラス9上に原稿A31が載置される場合について詳述される。ここで、原稿A31はA4サイズであるとする。使用者は原稿載置補助部材11Cに設けられたサイズ表示17の中からA4サイズの表示を探し、A4サイズに対応する当接部である当接部20Cの位置を認識する。そして、使用者は位置決め片18Bの縁部を手でつまみ上げて位置決め片18Bを開き、原稿A31を位置決め片18Bとコンタクトガラス9の間に置く。更に使用者は、原稿A31の辺31A(他の辺)を位置決め片18Cに当接させつつ、辺31B(一辺)を突き当て部10に突き当てて、位置決め片18Bを閉じる。このとき、押圧片19および位置決め片18Aは位置決め片18Bの上に重ねられているため、押圧片19および位置決め片18Aは位置決め片18Bの開閉に連動して開閉される。従って、原稿載置補助部材11Cが複数の押圧片19や位置決め片から構成されていたとしても、使用者は各押圧片19や位置決め片18をそれぞれ独立して開閉することなく、少ない手順で原稿を容易にコンタクトガラス9上の正しい位置に載置することができる。また、位置決め片18Bが開閉されるとき、位置決め片18Cはコンタクトガラス9上に留まっているため、原稿A31の辺31Aは確実に当接部20Cに当接させられ得る。以上のような手順で、原稿A31の辺31Aと辺31Bとが当接部20Cと突き当て部10とにそれぞれ接することによって、原稿A31はコンタクトガラス9上に正確に位置決めをされる。更に、押圧片19、位置決め片18Aおよび位置決め片18Bによって覆われることによって、原稿A31は移動を抑制される。従って、コンタクトガラス9上に載置された原稿A31は、原稿カバー12が開閉されるときの風圧等によって位置ずれや舞い上がりを生ずることがない。
なお、他のサイズの原稿についても同様の手順でセットすることができる。たとえば、図8に示されるように、位置決め片18Aに対応するサイズの原稿C32、すなわち官製はがきが原稿台8のコンタクトガラス9上に載置されるときは、使用者は押圧片19を手でつまみあげて、原稿C32を押圧片19とコンタクトガラス9の間に置き、原稿C32の辺32A(他の辺)を位置決め片18Aの当接部20Aに当接させつつ、辺32B(一辺)を突き当て部10に突き当てて、押圧片19を閉じればよい。
また、以上に示した第2の実施形態における原稿載置補助部材11Cを用いた原稿の載置方法は一例にすぎない。従って、使用者が載置したい原稿のサイズに応じて押圧辺19または位置決め片18を開閉させ、この原稿の隣接する2辺を、それぞれ突き当て部10とこの原稿のサイズに対応する当接部20に当接させれば、原稿をどのような手順や方法で載置したとしても同様の効果を得ることができる。
また、第2の実施形態の変形例として、図12や図13に示すように、原稿載置補助部材11Cが構成されていても良い。すなわち、隣接する押圧片19や位置決め片18A〜18Cは、突き当て部10と平行な方向にそれぞれ分割されており、且つその一部が重なるように構成されているのである。このような原稿載置補助部材11Cの構成であっても、第2の実施形態について説明した方法と同様の方法で原稿を載置することができ、またこれによって同様の効果を得ることができる。また、上述した第2の実施形態では、押圧片19や各位置決め片18A〜18Cが順番に重ねられていたので、より多くの原稿サイズの定形原稿に対応するためにより多くの位置決め片18を配置しようとすると、重なり部分が厚くなってしまって原稿カバー12の開閉や載置原稿の押圧に支障を来す虞れがある。しかし、図12や図13に示された変形例の原稿載置補助部材11Cであれば、より多くの原稿サイズの定形原稿に対応する場合であっても、このような支障は生じない。
次に、第1および第2の実施形態に係る原稿載置補助部材11の更なる変形例の構成と原稿の載置方法が図14〜図18を用いて説明される。
図14には、第1の実施形態の更なる変形例が示される。図14において、原稿A31の辺31A(他の辺)が原稿載置補助部材11Dの当接部16に当接されたときに、辺31B(一辺)と対向する原稿載置補助部材11Dの縁部22には、原稿載置補助部材11Dの縁部22から突き当て部10に向かって狭くなるようにテーパ面25(図16〜図18参照)が設けられている。
図15には、第2の実施形態の更なる変形例が示される。図14に示される上記第1の実施形態における更なる変形例と同様に、原稿載置補助部材11Eの縁部22には原稿載置補助部材11Eの縁部22から突き当て部10に向かって狭くなるようにテーパ面25(図16〜図18参照)が設けられている。
以下に第1の実施形態の変形例における原稿載置補助部材11Dを用いた原稿A31の載置手順が詳述される。ここで、原稿A31はA4サイズであるとする。使用者は原稿載置補助部材11Dに印刷されたサイズ表示17の中からA4サイズの表示を探し、A4サイズに対応する当接部である当接部B16の位置を確認する。そして、使用者は辺31A(他の辺)を当接部16Bに当接させる。さらに、使用者は辺31Aを当接部16Bに当接させつつ、辺31Aと隣接する辺31B(一辺)が突き当て部10と突き当たるまで、原稿A31を突き当て部10の方向に移動させる。このとき、辺31Bと対向する原稿載置補助部材11Dの縁部22にはコンタクトガラス9の面から上に向かってテーパ面25が設けられているので、使用者は原稿A31をコンタクトガラス9と原稿載置補助部材Dの間に容易に挿入させることができる。また、辺31Bが突き当て部10と突き当てられるときには、原稿A31は原稿載置補助部材Dによって押圧される。以上のような手順で、辺31Aと辺31Bが当接部16Bと突き当て部10の2辺にそれぞれ接するようにすることにより、原稿A31は原稿載置補助部材Dによって位置決めされ、かつ移動を抑制される。よって、使用者は原稿載置補助部材11Dを手で開かなくても、原稿を容易にコンタクトガラス9上の正しい位置に載置することができる。従って、コンタクトガラス9上に載置された原稿A31は、原稿カバー12が開閉されるときの風圧等によって位置ずれや舞い上がりを生ずることがない。また、原稿の全てが原稿載置補助部材11Dによって覆われているわけではなく、原稿を載置するために使用者が原稿載置補助部材11Dを開く必要がないため、使用者は原稿の差し替えを楽にすばやく行うことができる。ここまで、第1の実施形態の更なる変形例として、A4サイズの原稿の載置方法が説明されたが、他のサイズの原稿についても同様の手順でコンタクトガラス9上に容易に載置され得る。また、以上詳述した第1の実施形態の更なる変形例における原稿載置補助部材11Dを用いた原稿の載置方法は一例にすぎず、原稿を原稿載置補助部材11Dとコンタクトガラス9との間に載置して、この原稿の隣接する2辺をそれぞれ突き当て部10とこの原稿のサイズに対応する当接部16に当接させれば、原稿をどのような手順や方法で載置したとしても同様の効果を得ることができる。さらに、原稿載置補助部材11Dの開閉によって原稿の載置が行われる場合であっても、原稿載置補助部材11Dの縁部22にはテーパ面25が設けられているため、使用者は原稿載置補助部材11Dの縁部22を容易に摘んで開閉することができる。従って、開閉作業に伴う爪などの破損が防止され得る。この変形例を第2の実施例に適用しても、同様の効果を得ることができる。
以上、原稿載置補助部材11Dを用いた原稿の載置方法について説明したが、図15に示されている原稿載置補助部材11Eであっても、同様の方法で原稿がコンタクトガラス9上に容易に載置でき、また同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、原稿載置補助部材11の縁部22は、図17または図18に示されるような構成であってもよい。
次に図19及び図20を用いて、第3の実施形態における原稿載置補助部材11Fの構成および原稿載置補助部材11Fを用いた原稿の載置方法が詳述される。
図19および図20において、第3の実施の形態に係る原稿載置補助部材11Fは透明な樹脂を原材料とする柔軟性のある透明なシートからなる部材である。原稿載置補助部材11Fには原稿サイズ別に、それぞれ官製はがきサイズ、B5サイズ、A4サイズの原稿の位置決めをする当接部23A、当接部23B、当接部23Cが設けられており、それぞれの当接部23は突き当て部10に直交する段差であるように構成されている。
以下に原稿B30を載置する場合について述べる。ここで、原稿B30はB5サイズであるとする。使用者は原稿載置補助部材11Fに印刷されたサイズ表示17の中からB5サイズの表示を探し、B5サイズに対応する当接部である当接部23Bの位置を認識する。そして、使用者は原稿載置補助部材11Fの縁部を手でつまみ上げ、原稿載置補助部材11Fを開く。そして使用者は、原稿B30を原稿載置補助部材11Fとコンタクトガラス9との間に置き、原稿載置補助部材11Fを閉じる。このとき、原稿B30の辺30A(他の辺)が当接部23Bよりやや接着部14側になるように置くことが望ましい。この時点で、原稿B30は原稿載置補助部材11Fの一部によって押圧され、移動が規制されるが、原稿載置補助部材11Fによって覆われているのは原稿B30の一部であるから、使用者は原稿載置補助部材11Fの押圧力に抗して原稿B30を所望の位置に動かすことが可能である。ここで、使用者は原稿B30を手前側に引くようにしながら移動させ、原稿B30が当接部23Bの少し手前に到達したら、原稿B30の移動方向を反転させ、辺30Aを当接部23Bに当接させる。さらに、使用者は原稿B30の辺30Aを当接部23Bに当接させつつ、辺30Aと隣接する辺30B(一辺)を突き当て部10に突き当てる。以上のような手順で、辺30Aと辺30Bが当接部23Bと突き当て部10の2辺にそれぞれ接するようにすることにより、原稿B30は原稿載置補助部材11Fによって位置決めされ、かつ移動を抑制される。従って、コンタクトガラス9上に載置された原稿B30は、原稿カバー12が開閉されるときの風圧等によって位置ずれや舞い上がりを生ずることがない。なお、他のサイズの原稿についても同様の手順でコンタクトガラス9上に容易に載置され得る。また、以上に示した第3の実施形態における原稿載置補助部材11Fを用いた原稿の載置方法は一例にすぎず、原稿を原稿載置補助部材11Fとコンタクトガラス9との間に載置し、この原稿の隣接する2辺をそれぞれ突き当て部10とこの原稿のサイズに対応する当接部23に当接させれば、原稿をどのような手順や方法で載置したとしても同様の効果を得ることができる。
また、第3の実施形態に係る原稿載置補助部材11Fの縁部22にも図16〜図18に示されているようなテーパ面25を採用可能であることは言うまでもない。この場合、上述されているテーパ面25の効果と同様の効果が期待され得る。
また、上述した各実施形態においては、官製はがきサイズ、B5サイズ、A4サイズの3種類の定形原稿サイズを用いて説明がなされているが、このサイズに限定されるものではない。他のサイズの定形原稿に合わせた当接部を原稿載置補助部材11に形成することにより、他のサイズの定形原稿にも適用できることは言うまでもない。
本発明が適用された実施形態の画像読取装置の斜視図である。
第1の実施形態における原稿カバーを開いた状態の斜視図である。
原稿載置補助部材の断面図である。
第1の実施形態における原稿載置補助部材の概略図である。
第1の実施形態における原稿載置補助部材を用いた原稿の載置方法を示す概略図である。
第1の実施形態の変形例における原稿カバーを開いた状態の斜視図である。
第1の実施形態の変形例における原稿載置補助部材の概略図である。
第2の実施形態における原稿カバーを開いた状態の斜視図である。
第2の実施形態における原稿載置補助部材の概略図である。
第2の実施形態における原稿載置補助部材の断面図である。
第2の実施形態における原稿載置補助部材の使用方法を説明する概略図である。
第2の実施形態の変形例1における原稿載置補助部材の断面図である。
第2の実施形態の変形例2における原稿載置補助部材の断面図である。
第1の実施形態の変形例における原稿載置補助部材の概略図である。
第2の実施形態の変形例における原稿載置補助部材の概略図である。
第1および第2の実施形態の変形例1における原稿載置補助部材の断面図である。
第1および第2の実施形態の変形例2における原稿載置補助部材の断面図である。
第1および第2の実施形態の変形例3における原稿載置補助部材の断面図である。
第3の実施形態における原稿載置補助部材の概略図
第3の実施形態における原稿載置補助部材の断面図
1・・・本体、2・・・開口部、3・・・スロット、4・・・操作パネル、5・・・テンキー、6・・・ファンクションキー、7・・・液晶ディスプレイ、8・・・原稿台、9・・・コンタクトガラス、10・・・突き当て部、11・・・原稿載置補助部材、11A・・・第1の実施形態における原稿載置補助部材、11B・・・第1の実施形態の変形例における原稿載置補助部材、11C・・・第2の実施形態における原稿載置補助部材、11D・・・第1の実施形態の変形例における原稿載置補助部材、11E・・・第2の実施形態の変形例における原稿載置補助部材、11F・・・第5の実施形態における原稿載置補助部材、12・・・原稿カバー、13・・・中央、14・・・接着部、15・・・斜面、16・・・当接部、17・・・サイズ表示、18・・・位置決め片、19・・・押圧辺、20・・・11Cにおける当接部、21・・・11Bにおける当接部、22・・・縁部、23・・・11Fにおける当接部、25・・・テーパ面、30・・・原稿B(B5サイズの原稿)、31・・・原稿A(A4サイズの原稿)、32・・・原稿C(官製はがきサイズの原稿)