JP4337180B2 - 磁歪式トルクセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、温度補償機能を設けた磁歪式トルクセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、駆動装置、負荷装置等と接続して、装置本体の動力軸に発生するトルクを計測することが行われている。このトルクを測定するためのトルクセンサとして、パーマロイ(Fe−Ni)、センダスト(Fe−Al−Si)等の磁歪材料に応力が印加されて、磁歪材料中に歪が生じると、その磁歪材料の透磁率が変化するという逆磁歪効果を用いた磁歪式トルクセンサが提案されている。
図8に磁歪式トルクセンサの概要構成図を示す。図8においては、交流信号源104によって励磁用コイル105a、105bが励磁されている。この状態で、トルク伝達軸101上にトルクが印加された場合、磁歪材で形成された磁気異方性部102a、102bがトルクによって歪を生じ、磁気異方性部102a、102bには歪に応じた透磁率の変化が生じることとなる。この透磁率の変化は、検出用コイルと励磁用コイル相互間の相互インダクタンスの変化をもたらし、結果として検出用コイル103a、103bで検出される信号(以下検出信号という)が変化することとなる。そして、この検出信号の差分を減算回路で求めることによってトルク伝達軸101に印加されたトルクのみを検出するのである。しかし、実際にトルク値の測定を行う際には、接続した駆動装置、負荷装置等から熱エネルギーが与えられトルク伝達軸101上に温度勾配が生じる場合が多い。このように、温度勾配が生じてしまうとトルク伝達軸101及び磁気異方性部102a、102bの透磁率及び電気抵抗等にも勾配が生じるため結果として検出信号に誤差を生じてしまう。また同時に、トルク測定時にトルク伝達軸101上に発生する温度勾配は励磁用コイル105a、105bのコイル抵抗を変化させる。このように、励磁用コイル105a、105bのコイル抵抗の変化が生じると励磁用コイル105a、105bに加わる励磁信号の電圧降下を招いてしまい、検出信号に誤差が生じるという問題もあった。
そこで、トルク伝達軸及びその上に設けられた磁気異方性部に生じる、温度勾配による誤差を補償するため、特許第2564049号等に記載の技術が提案されている。
【0003】
図9に特許第2564049号記載の磁歪式トルクセンサの基本構成ブロック図を示す。具体的な構成は次の通りである。トルク伝達軸202上には長さ方向に、中心軸から45゜の傾きを持って、等間隔で磁気異方性部203a、203b、203cが順番に形成されている。ただし、磁気異方性部203aのみが他の磁気異方性部203a、203bと逆方向に傾斜している。この磁気異方性部203a、203b、203cの周囲には励磁用コイル201a、201b、201c及び検出用コイル204a、204b、204cが設けられており、励磁用コイル201a、201b、201cは励磁電流を供給するための交流電源211に接続されている。また検出用コイル204a、204b、204cは、それぞれ整流フィルタ205a、205b、205cの入力端子側に接続されている。また、整流フィルタ205a及び205bの出力端子側は、減算のための第一の減算回路206の入力端子側に接続されており、整流フィルタ205b及び205cの出力端子側は、減算のための第二の減算回路207の入力端子側に接続されている。さらに、これら減算回路206と207の出力端子側は、減算のための第三の減算回路208の入力端子側に接続されている。一方、整流フィルタ205a及び205cの出力端子側は、加算のための加算回路209の入力端子側に接続されている。この加算回路209の出力側は、基準電圧Vとの比較のための差し引き点212に接続され、その比較結果がオートゲインコントローラ210に入力されるようになっている。このオートゲインコントローラ210の出力側は交流電源211に接続され、励磁用コイル201a、201b、201cへ供給する電力を制御することが可能である。そして、トルク伝達軸202上に温度勾配が生じた場合に、検出用コイル204a、204b、204cで生じた温度勾配によるトルク値の測定結果に対する誤差を演算回路での演算によって補償することが出来るようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許第2564049号に記載の磁歪式トルクセンサでは、温度勾配によって生じる誤差を補償するため、励磁用コイル、検出用コイル及び磁気異方性部を少なくとも3箇所以上、設ける必要がある。このため、磁歪式トルクセンサがトルク伝達軸の軸長方向に長くなってしまうという問題がある。
また、図8に示した磁歪式トルクセンサを用いれば、磁歪式トルクセンサの小型化は行えるが、温度勾配による誤差を補償することは出来ない。
そこで、本発明は以上の事実に鑑み、磁歪式トルクセンサの小型化を図り、同時に温度勾配による誤差を補償する磁歪式トルクセンサを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の磁歪式トルクセンサは、トルク伝達軸の外周面上に設けられた第1磁気異方性部及び第2磁気異方性部と、三種類以上の励磁周波数で励磁され、前記第1磁気異方性部における透磁率の変化を検出して検出信号を出力する第1検出用コイルと、前記三種類以上の励磁周波数で励磁され、前記第2磁気異方性部における透磁率の変化を検出して検出信号を出力する第2検出用コイルと、前記第1検出用コイルから出力される検出信号を前記励磁周波数毎に分離し、分離した前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号をそれぞれ出力する第1検出信号分離手段と、前記第2の検出用コイルから出力される検出信号を前記励磁周波数毎に分離し、分離した前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号をそれぞれ出力する第2検出信号分離手段と、前記第1及び第2検出信号分離手段によりそれぞれ出力された前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号から、前記トルク伝達軸に印加されたトルク値を演算するトルク値演算手段具備することを特徴とすることを特徴とする。
請求項2に記載の磁歪式トルクセンサは、請求項1に記載の特徴に加えて、前記三種類以上の励磁周波数に対応する励磁信号に基づいて、前記第1及び第2検出用コイルを前記三種類以上の励磁周波数で励磁する励磁用コイルを具備し、前記励磁用コイルの抵抗値が変化しても、前記励磁用コイルに供給する前記励磁信号の電流値を一定に保持するように制御することを特徴とする
請求項3に記載の磁歪式トルクセンサは、請求項1または2に記載の特徴に加えて、前記トルク値演算手段は、前記第1検出信号分離手段により出力された前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号から前記第1磁気異方性部の温度を算出し、前記第2検出信号分離手段から出力された前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号から前記第2磁気異方性部の温度を算出して、算出した各温度から前記トルク伝達軸に印加されたトルク値を演算することを特徴とする。
請求項4に記載の磁歪式トルクセンサは、請求項1〜3のいずれかに記載の特徴に加えて、前記第1及び第2検出用コイルを取り囲むヨークを具備し、前記ヨークがフェライトを使用して形成されていることを特徴とする
請求項5に記載の磁歪式トルクセンサは、請求項に記載の特徴に加えて、前記第1及び第2検出用コイル、並びに前記励磁用コイルを取り囲むヨークを具備し、前記ヨークがフェライトを使用して形成されていることを特徴とする
請求項6に記載の磁歪式トルクセンサは、トルク伝達軸の外周面上に設けられた磁気異方性部と、前記磁気異方性部における透磁率の変化を検出して検出信号を出力する検出用コイルと、前記検出用コイルを三種類以上の励磁周波数で励磁する励磁用コイルと、前記検出用コイル及び前記励磁用コイルを取り囲むヨークと、前記磁気異方性部を挟む位置に設けられ、前記トルク伝達軸を支持する軸受と、前記検出用コイルにより出力される検出信号を前記励磁周波数毎に分離し、分離した前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号をそれぞれ出力する検出信号分離手段と、前記検出信号分離手段により出力された前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号から、前記トルク伝達軸に印加されたトルク値を演算するトルク値演算手段とを具備し、前記磁気異方性部は、前記ヨーク及び前記軸受によって覆われていることを特徴とすることを特徴とする。
請求項7に記載の磁歪式トルクセンサは、請求項1〜6のいずれかに記載の特徴に加えて、前記トルク伝達軸の材料として非磁性の材料を用いたことを特徴とする。
請求項8に記載の磁歪式トルクセンサは、請求項1〜7のいずれかに記載の特徴に加えて、前記磁気異方性部の磁歪材料としてパーマロイを用いたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
[1] 第1実施形態
[1・1] 第1実施形態の構成
図1は本発明の第1実施形態に係る磁歪式トルクセンサの基本構成を示すブロック図である。図1において、この磁歪式トルクセンサは、センサ部1、励磁信号発生部2及び検出信号演算部3より構成されている。
【0007】
図2はセンサ部1の基本構成を示す断面図である。図2において16は円筒形状をしたセンサ部1のセンサケース本体である。また、センサ部1は、このセンサケース本体16の長さ方向(紙面水平方向)の中心軸4aと同一の中心軸を有し、センサケース本体16を貫通するようなトルク伝達軸14を有する。
このトルク伝達軸14に用いる材料としては、非磁性であって且つ耐摩耗性を有し、引張強度、疲労強度の大きな材料が適している。このトルク伝達軸14の材料としては、例えば、SUS301、304等のオーステナイト系ステンレス鋼、チタニウム合金、ジュラルミン等が挙げられる。
【0008】
センサケース本体16に囲まれた、トルク伝達軸14の外周面部分には、中心軸4bに対して左右対象に、磁歪材料からなる磁気異方性部11a、11bが設けられている。この場合において、磁気異方性部11a、11bの長手方向中心軸を含む平面4c、4c’(以下磁気異方性部平面4c、4c’という)とトルク伝達軸14の中心軸4aとは45゜の角度を有するように設けられている。このとき、磁気異方性部平面4c、4c’は互いに直交するようにして「ハの字型」(シェブロン)を形成する。この磁気異方性部11a、11bに用いる磁歪材料には例えば、パーマロイ(Fe−Ni)、センダスト(Fe−Al−Si)等があり、トルク伝達軸14上に湿式メッキ法、スパッタリング法、プラズマ溶射法、イオンプレーティング法等の方法を用いて薄膜として形成されている。
【0009】
また、トルク伝達軸14は磁気異方性部11a、11bを挟むように設けられた、軸受15a、15bによって、回転が可能なようにセンサケース本体16に支持されている。
この軸受15a、15bとしては摩擦抵抗を少なくするために、例えば、ボールベアリング等が用いられる。トルク伝達軸14は、この軸受15a、15bによってセンサケース本体16に回転可能に支持されているため、トルクを測定しようとする駆動装置、負荷装置等(図示せず)の駆動力を受けたとき回転運動を行うことが出来る。
【0010】
センサケース本体16の内部には、磁気異方性部11a、11bが形成されたトルク伝達軸14の外周面上に、それぞれに対応して二つの励磁用コイル12a、12bが巻装されている。
この二つの励磁用コイル12a、12bの外周面上には、更に、それぞれに対応して二つの検出用コイル12c、12dが巻装されている。ここで、励磁用コイル12aと検出用コイル12cは磁気異方性部11aに対応しており、励磁用コイル12bと検出用コイル12dは磁気異方性部11bに対応している。
【0011】
また、センサケース本体16内部には、励磁用コイル12a、12b及び検出用コイル12c、12dを囲むようにして、強磁性体で形成されたヨーク13が磁界を整えるために設けられている。このヨーク13に用いる材料としては、例えば、フェライト(MIIO・Fe23;ここで、MII=Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Cdである)等が挙げられる。
【0012】
図3は、この磁歪式トルクセンサの機能構成を示すブロック図である。
図3において励磁用コイル12a、12bは直列に接続されており、更に、励磁信号発生部2内に設けられた発振回路21a、21b、21cと接続されている。発振回路21a、21b、21cは、それぞれ周波数f1、f2、f3(ただしf1<f2<f3とする。)[Hz]の交流信号を励磁用コイル12a、12bに供給する交流信号発生源である。
また、この発振回路21a、21b、21cはトルク値の測定時にトルク伝達軸14上に発生した温度勾配によって、励磁用コイルの抵抗値が変化しても、励磁信号の電流値を変化させないように制御されている。このように、電流値を一定とすることで発生磁束も一定となる。ここで周波数f1、f2、f3は、それぞれ磁気双極子の反転が磁界ベクトルの反転に対し十分に追従できる条件に適合する周波数である。
【0013】
一方、検出用コイル12cは、周波数f1近傍の周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタ22a、周波数f2近傍の周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタ22b、周波数f3近傍の周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタ22c、の入力端子側と接続されている。
また、検出用コイル12dは周波数f1近傍の周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタ22d、周波数f2近傍の周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタ22e、周波数f3近傍の周波数の信号を通過させるバンドパスフィルタ22f、の入力端子側と接続されている。
これらバンドパスフィルタ22a、22b、22c、22d、22e、22fによって、検出用コイル12c、12dより出力された検出信号を、それぞれの周波数f1、f2、f3の成分に分離することが可能となる。
【0014】
このバンドパスフィルタ22a、22b、22c、22d、22e、22fの出力端子側は、周波数f1、f2、f3の成分に分離された検出信号を全波整流或いは、半波整流を行う機能を有する整流回路23a、23b、23c、23d、23e、23fの入力端子側とそれぞれ接続されている。
【0015】
また、この整流回路23a、23b、23c、23d、23e、23fの出力端子側は、ローパスフィルタ24a、24b、24c、24d、24e、24fの入力端子とそれぞれ接続されている。これらのローパスフィルタ24a、24b、24c、24d、24e、24fは、整流回路23a、23b、23c、23d、23e、23fから出力される検出信号の直流成分を透過させ、更に検出信号のノイズをカットする装置である。
【0016】
このローパスフィルタ24a、24b、24c、24d、24e、24fの出力端子側は、増幅率調整回路25a、25b、25c、25d、25e、25fの入力端子側とそれぞれ接続されている。この増幅率調整回路25a、25b、25c、25d、25e、25fは、トルク伝達軸14の温度が基準温度T0で均一であるときに、トルク伝達軸14上に歪が生じていないという状況下で、ローパスフィルタ24a、24b、24c、24d、24e、24fから出力される検出信号の電圧をそれぞれV0に増幅するように初期設定がなされていると仮定する。この基準温度は、室温近傍(例えば25℃)に設定することが望ましい。
【0017】
また、増幅率調整回路25a、25b、25cの出力端子側は、加算演算回路26aの入力端子側と接続されている。また、増幅率調整回路25d、25e、25fの出力端子側は、加算演算回路26aの入力端子側と接続されている。一方、加算演算回路26aの他の入力端子にはオフセット電圧発生回路27aが接続され、加算演算回路26bの他の入力端子にはオフセット電圧発生回路27bが接続されている。
このオフセット電圧発生回路27a、27bは、増幅率調整回路25a、25b、25c、25d、25e、25fからの信号に対して、誤差を制御すべく、オフセット電圧を加えるための装置である。
【0018】
この加算演算回路26a、26bの出力端子及びローパスフィルタ24b、24eの出力端子は、CPU28の入力端子に接続されている。このCPU28は各種演算が可能なものであり、加算演算回路26a、26b及びローパスフィルタ24b、24eでの出力結果に応じて演算を行う装置である。
【0019】
[1・2] 第1実施形態の動作
まず、図2において、トルク伝達軸14にはトルクを計測しようとする駆動装置、負荷装置等が接続される。この接続された駆動装置、負荷装置等からトルクが印加されていない場合、トルク伝達軸14上に設けられた一対の磁気異方性部11a、11bには歪が生じない。これに対し、接続された駆動装置、負荷装置からトルク伝達軸14に対してトルクが印加されると、一対の磁気異方性部11a、11bには45゜方向に引張及び圧縮の応力が加わる。これは前述したように、磁気異方性部平面4c、4c’がトルク伝達軸14の中心軸4aと45゜の角度を有するように「ハの字型」に配置され、且つ、互いに直交しているためである(図2参照)。
【0020】
次に、図3において、発振回路21a、21b、21cは、周波数f1、f2、f3の合成した励磁信号を二つの励磁用コイル12a、12bに供給する。そして、二つの励磁用コイル12a、12bの励磁を行ったとき、二つの検出用コイル12c、12dではインダクタンスに比例した検出信号が交流の信号として誘起される。この検出信号は周波数f1、f2、f3の合成信号である。
この状態で、トルク伝達軸14に対しトルクが印加されることによって、磁気異方性部11a、11bを形成する磁歪材に透磁率の変化が生じると、検出用コイル12c、12dでの検出信号に変化が生じる。
【0021】
検出用コイル12cで検出された検出信号は、バンドパスフィルタ22a、22b、22cにより、それぞれの周波数f1、f2、f3成分に分離される。各周波数f1、f2、f3毎に分離された検出信号は、整流回路23a、23b、23cによって全波整流、或いは、半波整流され、ローパスフィルタ24a、24b、24cによって直流の信号(以下直流検出信号という)へと変換される。
この各周波数f1、f2、f3毎の直流検出信号は、それぞれ増幅率調整回路25a、25b、25cで増幅率を調整された後、加算回路26aに入力される。また、加算回路26aに接続されたオフセット電圧発生回路27aからは、誤差を制御するためにオフセット電圧が供給される。この増幅率の調整及びオフセット電圧については、後に詳細を説明する。
【0022】
同様に、検出用コイル12dで検出された、合成交流信号もバンドパスフィルタ22d、22e、22fで検波され、整流回路23d、23e、23f、ローパスフィルタ24d、24e、24fを介して直流信号へと変換される。その後、増幅率調整回路25d、25e、25fによって増幅され、加算回路26bに入力される。また、加算回路26bに接続されたオフセット電圧発生回路27bからは、誤差の発生を制御するためにオフセット電圧が供給される。
【0023】
この加算回路26a、26bでは各周波数f1、f2、f3毎の直流検出信号の電圧値及びオフセット電圧の加算が行われるが、これについては後に詳細を説明する。
【0024】
加算回路26a、26bで加算された信号とローパスフィルタ24b、24eからの周波数f2の直流検出信号は、CPU28によって各種演算が行われ、トルク信号29として出力される。このCPU28での各種処理についても後に詳細を説明する。
【0025】
[1.3] 加算回路26a、26b及びCPU28で行われる演算
励磁用コイル12aに周波数f1、f2、f3の励磁信号が加えられた状態で、トルク伝達軸14にトルクτが印加されたとき、検出用コイル12cで検出される検出信号がバンドパスフィルタ22a、22b、22cにより周波数f1、f2、f3の成分に分離されたときを考える。このとき周波数f1についての直流検出信号の電圧をVA1とすると、このVA1は以下の式で表される。
A1=V0+aA1・(TA−T0)+bA1・τ+cA1・τ・(TA−T0)………(1)
ここで、aA1・(TA−T0)はトルクが印加されていない状態で磁気異方性部11aの温度がT0からTAとなったときの直流検出信号の電圧変化分、bA1・τは基準温度T0でトルクτが印加されたときの直流検出信号の電圧変化分、cA1・τ・(TA−T0)は磁気異方性部11aの温度がT0からTAに変化したときにトルクτが印加された時の直流検出信号の電圧変化分である。言い換えれば、bA1はセンサ感度であり、cA1はセンサ感度の温度依存性である。同様にして周波数f2、f3の直流検出信号の電圧をVA2、VA3とすると、VA2及びVA3は次式で表される。
A2=V0+aA2・(TA−T0)+bA2・τ+cA2・τ・(TA−T0)………(2)
A3=V0+aA3・(TA−T0)+bA3・τ+cA3・τ・(TA−T0)………(3)
このとき、aAi、bAi、cAi(i=1〜3)の値は事前測定で求めておくことが出来き、更に、これらの値は、構成材料の電気特性、透磁率、逆磁歪特性等が周波数依存性を有するための各周波数に固有の値となると考えられる。ここで、式(1)〜(3)を以下の計算手順の通りに計算すると、式(4)〜(8)が得られる。
▲1▼(式(1)・cA2)−(式(2)・cA1)によってτ・(TA−T0)の項を削除して式(a1)とする。
▲2▼(式(2)・cA3)−(式(3)・cA2)によってτ・(TA−T0)の項を削除して式(a2)とする。
▲3▼(式(a1)・(bA2・cA3−cA2・bA3))−(式(a2)・(bA1・cA2−cA1 ・bA2)でτAの項を削除して
A=WA・VA1+XA・VA2+YA・VA3+ZA ………(4)
ただし、WA、XA、YA、ZAは以下の式で表される。
A=cA2・(bA2・cA3−cA2・bA3
/{(bA2・cA3−cA2・bA3)(aA1・cA2−cA1・aA2
−(bA1・cA2−cA1・bA2)(aA2・cA3−cA2・aA3)}………(5)
A=−{cA1・(bA2・cA3−cA2・bA3
+cA3・(bA1・cA2−cA1・bA2)}
/{(bA2・cA3−cA2・bA3)(aA1・cA2−cA1・aA2
−(bA1・cA2−cA1・bA2)(aA2・cA3−cA2・aA3)}………(6)
A=cA2・(bA1・cA2−cA1・bA2
/{(bA2・cA3−cA2・bA3)(aA1・cA2−cA1・aA2
−(bA1・cA2−cA1・bA2)(aA2・cA3−cA2・aA3)}………(7)
A={(cA1−cA2)(bA2・cA3−cA2・bA3
−(cA2−cA3)(bA1・cA2−cA1・bA2)}・V0
/{(bA2・cA3−cA2・bA3)(aA1・cA2−cA1・aA2
−(bA1・cA2−cA1・bA2)(aA2・cA3−cA2・aA3)}………(8)
【0026】
一方、もう一方の検出コイル12bの直流検出信号は、磁気異方性部11aと11bが互いに直交しているため、応力の値が正負逆転することとなる。このため周波数fiについての直流検出信号の電圧をVBiは、磁気異方性部11bでの温度をTBとすると、次式で表される。
Bi=V0+aBi・(TB−T0)−bBi・τ−cBi・τ・(TB−T0) ………(9)
ただし、aBi、bBi、cBi(i=1〜3)の値は事前測定で求めておくことが出来る。従って、式(9)から温度TAと同様に温度TBを求めることが出来る。TB=WB・VB1+XB・VB2+YB・VB3+ZB ………(10)
また、WB、XB、YB、ZBは以下の式で表される。
B=cB2・(bB2・cB3−cB2・bB3
/{(bB2・cB3−cB2・bB3)(aB1・cB2−cB1・aB2
−(bB1・cB2−cB1・bB2)(aB2・cB3−cB2・aB3)}………(11)
B=−{cB1・(bB2・cB3−cB2・bB3
+cB3・(bB1・cB2−cB1・bB2)}
/{(bB2・cB3−cB2・bB3)(aB1・cB2−cB1・aB2
−(bB1・cB2−cB1・bB2)(aB2・cB3−cB2・aB3)}………(12)
B=cB2・(bB1・cB2−cB1・bB2
/{(bB2・cB3−cB2・bB3)(aB1・cB2−cB1・aB2
−(bB1・cB2−cB1・bB2)(aB2・cB3−cB2・aB3)}………(13)
B={(cB1−cB2)(bB2・cB3−cB2・bB3
−(cB2−cB3)(bB1・cB2−cB1・bB2)}・V0
/{(bB2・cB3−cB2・bB3)(aB1・cB2−cB1・aB2
−(bB1・cB2−cB1・bB2)(aB2・cB3−cB2・aB3)}………(14)
【0027】
つまり、加算回路26a、26bにおいては、式(4)、(10)に従って、温度TA、TBが求められることとなる。ただし、先に増幅率調整回路25a、25b、25c、25d、25e、25fを基準温度でトルクの印加されていない状態でV0となるように調整すると仮定したが、実際には基準温度でトルクの印加されていない状態でV0・WA、V0・XA、V0・YA、V0・WB、V0・XB、V0・YBの出力となるように調整する必要がある。
このため、増幅率調整回路25a、25b、25c、25d、25e、25fでの出力は式(4)、(10)のWA・VA1、XA・VA2、YA・VA3、WB・VB1、XB・VB2、YB・VB3の項として加算回路26a、26bへ入力されることとなる。また、式(4)(10)のZA、ZBの電圧値をオフセット電圧発生回路27a、27bで発生させなければならない。
【0028】
これまでに求めた温度TA及びTBと、任意の周波数の差からトルクτを求めることが出来る。例えば、周波数f2を用いた場合、式(2)と式(9)の差をとってトルクτについて解くと次式が得られる。
τ={VA2+VB2+aA2・TA+aB2・TB2+T0(aA2−aB2)}
/{cA2・(TA−T0)+cB2・(TB−T0)+(bA2+bB2)}………(15)
つまり、CPU28では式(15)に従って、トルクτが求められることとなる。ここでVA2及びVB2はCPU28の入力端子側に接続された、ローパスフィルタ24b、24eの出力端子側の出力結果に基づいている。
CPU28で演算される式(15)は、トルク伝達軸14上に発生した温度勾配についての誤差が補償されている。このため、CPU28からのトルク信号29は、温度補償を成された値として得られることとなる。
【0029】
なお、本実施形態においては、図3に示したようにCPU28を用いたが、式(15)を算出できるようなアナログ回路の組合せによっても構わない。
また、本実施形態においては励磁周波数として3つの周波数を用いているが、センサ感度の温度依存性を無視しても良い場合は、励磁周波数を2つの周波数とし、cA1、cA2、cB1、cB2を0として温度TA及びTBを求め、更にトルクτについて解くことも可能となる。
また、トルク値の測定結果の精度向上のため正確に材料の非線形性等を考慮した場合、より高次の項が生じる可能性も有る。より高次の項が必要となった場合には、その分励磁周波数を増やし、式(4)→式(8)の算出方法と同じように計算することによって、より精度の高い測定値を得ることも可能となる。
【0030】
このように、本実施形態に係る磁歪式トルクセンサによれば磁歪式トルクセンサの小型化を図り、同時に温度勾配による誤差を補償する磁歪式トルクセンサを提供することが可能となる。
【0031】
[2] 第2実施形態
[2・1] 第2実施形態の構成
第2実施形態に係る磁歪式トルクセンサの基本構成を示すブロック図は、図1と同様である。つまり、本実施形態に示す磁歪式トルクセンサは、第1実施形態に示した磁歪式トルクセンサと同様のセンサ部1及び励磁電流供給装置2を有する。
【0032】
図4は第2実施形態に係る磁歪式トルクセンサの機能構成を示すブロック図である。図4において、バンドパスフィルタ22a、22b、22c、22d、22e、22f、整流回路23a、23b、23c、23d、23e、23f、ローパスフィルタ24a、24b、24c、24d、24e、24f、増幅率調整回路25a、25b、25c、25d、25e、25f、加算演算回路26a、26b,オフセット電圧発生回路27a、27b,トルク信号29は第1実施形態の図3に示したものと同様のものである。
【0033】
第2実施形態の構成で「第1実施形態」と異なるのはCPU30の入力端子側にローパスフィルタ24b、24eの出力端子側が接続されていない点及び加算回路26a、26bで行われる加算結果及びCPU30で行われる演算結果のみである。加算回路26a、26bで行われる加算及びCPU30で行われる演算については後述する。
【0034】
[2・2]第2実施形態の動作
第2実施形態の動作で「第1実施形態の動作」と異なるのは加算回路26a、26bで行われる加算及びCPU30で行われる演算のみであるのでこれについて説明する。
【0035】
励磁用コイル12aに周波数f1、f2、f3、の励磁信号が加えられた状態で、トルク伝達軸14にトルクτが印加されたとき、検出コイル12cで検出される検出信号がバンドパスフィルタ22a、22b、22cで周波数f1、f2、f3、の成分に分離されたときを考える。このとき増幅率調整回路25a、25b、25cからの直流検出信号の電圧をVA1、VA2、VA3とする。このときVA1、VA2、VA3は式(1)〜(3)以下の式で表される。ただし、第1実施形態と同様に、ある基準温度T0(例えば25℃)でトルクを印加しないときの出力をV0と仮定する。また、aAi、bAi、cAi(i=1〜3)の値は事前測定で求めておくことが出来る。
【0036】
ここで、式(1)〜(3)を以下の手順で解くと次式となる。
▲1▼(式(1)・cA2)−(式(2)・cA1)によってτA・(TA−T0)の項を削除して式(a3)とする。
▲2▼(式(2)・cA3)−(式(3)・cA2)によってτA・(TA−T0)の項を削除して式(a4)とする。
▲3▼(式(a3)・(aA2・cA3−cA2・aA3))−(式(a4)・(aA1・cA2−aA2・cA1)でTA−T0の項を削除する。
τ=AA・VA1+BA・VA2+CA・VA3+DA ………(16)
ただし、AA、BA、CAは以下の式で表される。
A=cA2・(aA2・cA3−cA2・aA3
/{(aA2・cA3−cA2・aA3)(bA1・cA2−cA1・bA2
−(aA1・cA2−cA1・aA2)(bA2・cA3−cA2・bA3)}………(17)
A=−{cA1・(aA2・cA3−cA2・aA3
+cA3・(aA1・cA2−cA1・aA2)}
/{(aA2・cA3−cA2・aA3)(bA1・cA2−cA1・bA2
−(aA1・cA2−cA1・aA2)(bA2・cA3−cA2・bA3)}………(18)
A=cA2・(aA1・cA2−cA1・aA2
/{(aA2・cA3−cA2・aA3)(bA1・cA2−cA1・bA2
−(aA1・cA2−cA1・aA2)(bA2・cA3−cA2・bA3)}
………(19)DA={(cA1−cA2)(aA2・cA3−cA2・aA3
−(cA2−cA3)(aA1・cA2−cA1・aA2)}・V0
/{(aA2・cA3−cA2・aA3)(bA1・cA2−cA1・bA2
−(aA1・cA2−cA1・aA2)(bA2・cA3−cA2・bA3)}………(20)
【0037】
一方、もう一方の磁気異方性部11bの直流出力は、式(9)で表されるので、同様にトルクτを求めることが出来る。
τ=AB・VB1+BB・VB2+CB・VB3+DB ………(21)
【0038】
式(16)(21)においては、その式中に温度のパラメータは存在しなく、温度変化によって生じる誤差は吸収できることとなる。ただし、先に増幅率調整回路25a、25b、25c、25d、25e、25fを基準温度でトルクの印加されていない状態でV0となるように調整すると仮定したが、実際には基準温度でトルクの印加されていない状態でV0・AA、V0・BA、V0・CA、V0・AB、V0・BB、V0・CBの出力となるように調整する必要がある。このため、増幅率調整回路25a、25b、25c、25d、25e、25fでの出力は、式(16)、(21)のAA・VA1、BA・VA2、CA・VA3、AB・VB1、BB・VB2、CB・VB3の項として加算回路26a、26bへ入力されることとなる。また、式(16)(21)のDA、DBの電圧値をオフセット電圧発生回路27a、27bで発生させなければならない。
【0039】
このようにして、CPU30で加算回路26a、26bで演算処理が行われたトルクτの検出結果の平均値を取ることで誤差を少なくすることが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態においては、図4に示したようにCPU30を用いたが、加算回路26a、26bで演算処理が行われたトルクτの検出結果の平均値を算出できるようなアナログ回路の組合せによっても構わない。
また、本実施形態においては励磁周波数として3つの周波数を用いているが、センサ感度の温度依存性を無視しても良い場合は、励磁周波数を2周波数とし、cA1、cA2、cB1、cB2を0としてトルクτを求めることも可能となる。
更に、トルク値の測定結果の精度向上のため正確に材料の非線形性等を考慮した場合、より高次の項が生じる可能性も有る。より高次の項が必要となった場合には、その分励磁周波数を増やし、式(16)→式(20)の算出方法と同じように計算することによって、より精度の高い測定値を得ることも可能となる。
【0041】
[3] 第3実施形態
[3・1] 第3実施形態の構成
図5は第3実施形態に係る磁歪式トルクセンサの基本構成を示すブロック図である。本実施形態に示す磁歪式トルクセンサは、第2実施形態に示した磁歪式トルクセンサと同様、センサ部10、励磁電流発生部2及び検出信号演算部5より構成されている。図5において、励磁電流発生部2は第1実施形態の図1に示したものと同様のものである。
【0042】
図6はセンサ部10の基本構成を示す断面図である。図6において、センサケース本体16、トルク伝達軸14、トルク伝達軸用軸受15a、15b、磁気異方性部11a、励磁用コイル12a、検出用コイル12c、ヨーク13は第1実施形態のセンサ部1を示した図2と同様のものである。
【0043】
次に、図7は第3実施形態に係る磁歪式トルクセンサの機能構成を示すブロック図である。図7において、発振回路21a、21b、21c、バンドパスフィルタ22a、22b、22c、整流回路23a、23b、23c、ローパスフィルタ24a、24b、24c、増幅率調整回路25a、25b、25c、加算演算回路26a、オフセット電圧発生回路27a、トルク信号29は第1実施形態の図3に示したものと同様のものである。
【0044】
図6に示すように、第3実施形態に係る磁歪式トルクセンサは、第2実施形態に示したトルクセンサを磁気異方性部を11aの一箇所だけとして、それに伴い検出用コイルを12c、励磁用コイルを12aのそれぞれ一箇所づつとした構成を有している。また、検出用コイルを12cの一箇所にしたことに伴い、検出信号演算部の回路を片側だけとし、加算演算回路26aの出力をそのままトルク信号29として用いた構成を有している。
【0045】
[3・2] 第3実施形態の動作
本実施形態の動作で「第2実施形態の動作」と異なるのはCPU30で行われる演算のみであるのでこれについて説明する。
【0046】
ここで、加算回路26aで行われる演算は式(16)と同様にして行われる。また、式(16)においては、その式中に温度のパラメータは存在しなく、温度変化によって生じる誤差は吸収できるため、第2実施形態に示したトルクセンサの磁気異方性部を11aの一箇所だけとして、加算演算回路26aの出力をそのままトルク信号29として用いた場合でも、センサ部4の温度変動に対する補償行うことが可能となる。ただし、先に増幅率調整回路25a、25b、25cを基準温度でトルクの印加されていない状態でV0となるように調整すると仮定したが、実際には基準温度でトルクの印加されていない状態でV0・AA、V0・BA、V0・CAの出力となるように調整する必要がある。このため、増幅率調整回路25a、25b、25cでの出力は、式(16)のAA・VA1、BA・VA2、CA・VA3の項として加算回路26aへ入力されることとなる。また、式(16)のDAの電圧値をオフセット電圧発生回路27aで発生させなければならない。
【0047】
本実施形態においては励磁周波数として3つの周波数を用いているが、センサ感度の温度依存性を無視しても良い場合は、励磁周波数を2周波数とし、cA1、cA2を0としてトルクτを求めることも可能となる。
更に、トルク値の測定結果の精度向上のため正確に材料の非線形性等を考慮した場合、より高次の項が生じる可能性も有る。より高次の項が必要となった場合には、その分励磁周波数を増やし、式(16)→式(20)の算出方法と同じように計算することによって、より精度の高い測定値を得ることも可能となる。
【0048】
このようにして、加算回路26aで演算処理が行われたトルクτを用いれば第2実施形態と同様に温度補償をすることが可能となり第2実施形態に示す磁歪式トルクセンサよりも更に小さな磁歪式トルクセンサで温度補償をすることが可能となる。
【0049】
[4] 他の実施形態
本発明においては、以上述べてきたように式(15)、(16)、(21)に基づいてトルク値の測定を行っている。しかし、本発明はこれに限られず、少なくとも2つ以上の周波数で励磁することによってトルク測定が行えるものならば、どのようなものでも構わない。
【0050】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の磁歪式トルクセンサによれば少なくとも2つの励磁周波数を用いることによって、センサ部に生じた温度変動を補償することが可能となる。また、本発明の磁歪式トルクセンサによればセンサ部自体の規模を小さくすることが可能となるため、小型の磁歪式トルクセンサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係る磁歪式トルクセンサの基本構成を示すブロック図である。
【図2】 第1実施形態に係るセンサ部の基本構成を示す断面図である。
【図3】 第1実施形態に係る磁歪式トルクセンサの機能構成を示すブロック図である。
【図4】 第2実施形態に係る磁歪式トルクセンサの機能構成を示すブロック図である。
【図5】 第3実施形態に係る磁歪式トルクセンサの基本構成を示すブロック図である。
【図6】 第3実施形態に係るセンサ部の基本構成を示す断面図である。
【図7】 第3実施形態に係る磁歪式トルクセンサの機能構成を示すブロック図である。
【図8】 従来の磁歪式トルクセンサの基本構成を示すブロック図である。
【図9】 特許2564049号公報に記載の磁歪式トルクセンサの基本構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…センサ部、11a、b…磁気異方性部、12a、b…励磁用コイル、
12c、d…検出用コイル、13…ヨーク、14…トルク伝達軸、
15a、b…軸受、21a、b、c…発振回路、
22a、b、c、d、e、f…バンドパスフィルタ
23a、b、c、d、e、f…整流回路
24a、b、c、d、e、f…ローパスフィルタ
25a、b、c、d、e、f…増幅率調整回路
26a、b…加算演算回路、27a、b…オフセット電圧発生回路
28…CPU

Claims (8)

  1. トルク伝達軸の外周面上に設けられた第1磁気異方性部及び第2磁気異方性部と、
    三種類以上の励磁周波数で励磁され、前記第1磁気異方性部における透磁率の変化を検出して検出信号を出力する第1検出用コイルと、
    前記三種類以上の励磁周波数で励磁され、前記第2磁気異方性部における透磁率の変化を検出して検出信号を出力する第2検出用コイルと、
    前記第1検出用コイルから出力される検出信号を前記励磁周波数毎に分離し、分離した前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号をそれぞれ出力する第1検出信号分離手段と、
    前記第2の検出用コイルから出力される検出信号を前記励磁周波数毎に分離し、分離した前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号をそれぞれ出力する第2検出信号分離手段と、
    前記第1及び第2検出信号分離手段によりそれぞれ出力された前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号から、前記トルク伝達軸に印加されたトルク値を演算するトルク値演算手段
    具備することを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  2. 請求項1に記載の磁歪式トルクセンサであって、
    前記三種類以上の励磁周波数に対応する励磁信号に基づいて、前記第1及び第2検出用コイルを前記三種類以上の励磁周波数で励磁する励磁用コイルを具備し、
    前記励磁用コイルの抵抗値が変化しても、前記励磁用コイルに供給する前記励磁信号の電流値を一定に保持するように制御する
    ことを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  3. 請求項1または2に記載の磁歪式トルクセンサであって、
    前記トルク値演算手段は、前記第1検出信号分離手段により出力された前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号から前記第1磁気異方性部の温度を算出し、前記第2検出信号分離手段から出力された前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号から前記第2磁気異方性部の温度を算出して、算出した各温度から前記トルク伝達軸に印加されたトルク値を演算する
    ことを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の磁歪式トルクセンサであって、
    前記第1及び第2検出用コイルを取り囲むヨークを具備し、前記ヨークがフェライトを使用して形成されていることを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  5. 請求項2に記載の磁歪式トルクセンサであって、
    前記第1及び第2検出用コイル、並びに前記励磁用コイルを取り囲むヨークを具備し、前記ヨークがフェライトを使用して形成されていることを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  6. トルク伝達軸の外周面上に設けられた磁気異方性部と、
    前記磁気異方性部における透磁率の変化を検出して検出信号を出力する検出用コイルと、
    前記検出用コイルを三種類以上の励磁周波数で励磁する励磁用コイルと、
    前記検出用コイル及び前記励磁用コイルを取り囲むヨークと、
    前記磁気異方性部を挟む位置に設けられ、前記トルク伝達軸を支持する軸受と、
    前記検出用コイルにより出力される検出信号を前記励磁周波数毎に分離し、分離した前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号をそれぞれ出力する検出信号分離手段と、
    前記検出信号分離手段により出力された前記三種類以上の励磁周波数の分離検出信号から、前記トルク伝達軸に印加されたトルク値を演算するトルク値演算手段
    を具備し、
    前記磁気異方性部は、前記ヨーク及び前記軸受によって覆われていることを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の磁歪式トルクセンサであって、
    前記トルク伝達軸の材料として非磁性の材料を用いたことを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の磁歪式トルクセンサであって、前記磁気異方性部の磁歪材料としてパーマロイを用いたことを特徴とする磁歪式トルクセンサ。
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