JP2633125B2 - トルクセンサの温度特性の補償装置 - Google Patents

トルクセンサの温度特性の補償装置

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JP2633125B2
JP2633125B2 JP3311137A JP31113791A JP2633125B2 JP 2633125 B2 JP2633125 B2 JP 2633125B2 JP 3311137 A JP3311137 A JP 3311137A JP 31113791 A JP31113791 A JP 31113791A JP 2633125 B2 JP2633125 B2 JP 2633125B2
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昭 中本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トルクセンサの温度特
性の補償装置に関する。
【0002】
【従来の技術】公知のトルクセンサとして、トルク伝達
軸の外周面に一対の磁気異方性部を形成し、この軸にト
ルクが印加されたときの各磁気異方性部の透磁率の変化
を、これら磁気異方性部の近傍に配置された一対の検出
コイルで検出し、両検出信号の差から、軸に作用するト
ルクの大きさを電気信号に変換するようにした、いわゆ
る磁歪式のトルクセンサがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような公知のトル
クセンサにおいては、軸にトルクが作用していないとき
の検出出力すなわち零点出力が、温度特性を持つ。つま
り、温度変化にともなって零点出力が変化し、検出誤差
の要因となる。
【0004】この零点出力が温度特性を持つ原因とし
て、軸に形成された両側の磁気異方性部の不均一や、両
側のシールドの特性の不均一や、両側のボビン、コイル
の特性の不均一などがある。たとえば転造加工したナー
リング溝にて磁気異方性部を形成し、転造後に熱処理と
ショットピーニング処理とを施した場合には、磁気異方
性部の不均一性は、転造溝の深さや幅の不均一、熱処理
不均一、ショットピーニングの不均一などに起因す
る。
【0005】そこで本発明はこのような問題点を解決
し、簡単な構成で確実に零点の温度特性を補償できるよ
うにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、トルク伝達軸の外周面に一対の磁気異方性部
を形成し、この磁気異方性部に対応して一対の検出コイ
ルを設け、さらに各検出コイルからの出力信号をそれぞ
れ処理するための一対の信号処理ラインを設けること
で、一対のトルク検出系を構成し、前記トルク伝達軸に
印加されるトルクの大小に応じた交流信号を前記一対の
検出コイルから出力したうえで、前記一対の信号処理ラ
インで処理することで、前記トルクの大きさを測定する
ようにした磁歪式のトルクセンサにおいて、前記一対の
トルク検出系どうしが均一でないことにもとづきトルク
信号の零点出力が温度変化にしたがい変動するのを打ち
消すように補償するアンバランスを一方のトルク検出系
発生させることのできる感温抵抗を、このトルクセン
サの内部に組み込んだものである。
【0007】
【作用】すなわち、上述のように一対のトルク検出系ど
うしが不均一であると、温度変化があったときに、この
温度変化にもとづく各トルク検出系の信号処理ラインの
出力の変動量がそれぞれ異なり、それによって、両信号
処理ラインの出力の差にもとづいて求められるトルク信
号の零点出力が変動する。しかし本発明によれば、この
ような温度変化にしたがう零点出力の変動を打ち消すよ
うに補償するアンバランスを一方のトルク検出系に発生
させることのできる感温抵抗を、トルクセンサの内部に
組み込んだため、温度変化が生じたときにおける各トル
ク検出系の信号処理ラインの出力の変動量が等しくな
り、このため零点出力の変動が解消されて、この零点出
力の変動にともなう検出誤差の発生が防止される。
【0008】
【実施例】図1は、本発明の一実施例を示す。ここで1
はトルク伝達用の軸であり、軟磁性および磁歪性を有す
る材料にて形成されている。軸1の外周には、この軸1
の軸心の方向と±約45度の角度をなして互いに反対方向
に傾斜する一対の磁気異方性部2、3が、多数の溝など
によって形成されている。この多数の溝はたとえば軸1
を転造加工することによって形成され、転造後に熱処理
やショットピーニングを施すことで、その特性が改善さ
れる。
【0009】磁気異方性部2、3の周囲には、各磁気異
方性部2、3に対応した一対の検出コイル4、5と、こ
れら検出コイル4、5を励磁するための励磁コイル6と
が設けられている。励磁コイル6は、交流電源7に接続
されている。
【0010】各検出コイル4、5からの出力ライン8、
9は、インピーダンス変換用の第1のバッファアンプ1
0、11にそれぞれ接続されている。一方のバッファアン
プ10の出力側には感温抵抗 RT が接続され、また他方の
バッファアンプ11の出力側には、抵抗 RX が接続されて
いる。これら感温抵抗 RT および抵抗 RX には、出力取
り出し用の抵抗 R1, R2 がそれぞれ接続されている。
【0011】これらコイルや抵抗などによって、トルク
センサ12が構成される。このトルクセンサ12からの一対
の出力ライン13、14は、それぞれインピーダンス変換用
の第2のバッファアンプ15、16に接続されている。17、
18は、これら第2のバッファアンプ15、16の出力端子で
ある。
【0012】このような構成において、いま、出力ライ
ン8、9に現れる電圧を v10、v20 、第1のバッファア
ンプ10、11の出力側に現れる電圧を v11、v21 、抵抗 R
1 、R2 の端子に現れる電圧を v12、v22 、出力端子1
7、18に現れる電圧を v13、v23 とする。
【0013】ここで、説明を簡単にするためにバッファ
アンプのオフセットを無視すると、v11 = v10、 v21 =
v20、 v13 = v12、 v23 = v22となる。また、両検出コ
イル4、5が完全に等しい特性を持っているものとする
と、 v20 = v10 となる。さらに、 R1 = R2 とする
と、両出力端子17、18に現れる電圧 v13、v23 の差は、 v13 - v23 = [R1/( R1+ RT )]・v10 − [R1/( R1+ RX )]・v20 = R1v10・[1/( R1+ RT ) − 1/( R1+ RX )] = R1v10・[( RX - RT )/{(R1+ RT ) ・(R1+ RX ) }] となる。ところで、通常 R1 ≫ RT, RX とおくことがで
きるため、 v13 - v23 ≒ ( v10 / R1 )・ ( RX - RT ) と表すことができる。
【0014】感温抵抗 RT の温度係数をαppm/℃とし
て、常温(たとえば25℃)におけるその抵抗値を RX
等しく選ぶと、 T℃における抵抗値は、 RT = RX ・〔 1 + α・( T - 25 ) ] となる。この式を上式に代入すると、 v13 - v23 ≒ [ -( RX / R1) ・α] ・ ( T - 25 ) ・ v10 となる。
【0015】したがって、トルクセンサ12の零点出力 v
13 -v23 は、検出コイル4、5の出力電圧 v10 に換
算して、-( RX / R1) ・α の温度係数を持つことにな
る。すなわち、トルクセンサ12の零点の温度特性を、感
温抵抗 RT によって補償することが可能となる。 (具体例) トルクセンサの零点の温度特性 -500ppm/℃ (トルクセンサの定格出力 に換算して) トルクセンサの感度 定格出力で検出コイル出力の1% R1 = R2 = 10kΩ 感温抵抗 RT の温度係数 +5000 ppm/℃ とすると、感温抵抗 RT (= RX )の抵抗値は、 -( RX / R1) ・α = -500(ppm/ ℃) × 1% から、 RX = 500 × 0.01 × 10kΩ / 5000 = 10Ω となる。
【0016】なお、検出コイル4、5のインピーダンス
が小さいときは、第1のバッファアンプ10、11を省略す
ることができる。また、上記においてはバッファアンプ
および抵抗 R1, R2 の温度特性を無視したが、トルクセ
ンサ12の温度特性にこれらの温度特性を合わせて、同様
の方法で補償することができる。
【0017】図2〜図8は、それぞれ本発明の変形実施
例を示す。感温抵抗 RT および抵抗RX は、検出回路の
温度を感知可能な適当な場所に設置することができる
が、以下の変形実施例では、この設置場所が様々に変化
するものについて説明する。
【0018】図2の実施例では、感温抵抗 RT および抵
抗 RX は抵抗 R1, R2 と直列に接続され、この感温抵抗
RT および抵抗 RX の端子が第2のバッファアンプ15、
16に接続されている。 R3, R4 は、第1のバッファアン
プ10、11の出力側に接続された抵抗である。
【0019】図3の実施例では、感温抵抗 RT および抵
抗 RX は、検出コイル4、5と直列に接続されている。
図4の実施例では、各検出コイル4、5からの出力ライ
ン8、9は、これら検出コイル4、5からの交流出力を
整流するための全波整流回路21、22に接続されている。
R51、 R52、および R61、 R62は、これら整流回路21、
22における入力抵抗である。そして、感温抵抗 RT およ
び抵抗 RX は、検出コイル4、5と整流回路21、22との
間、すなわち入力抵抗 R51、 R52、と R61、 R62とに直
列に接続されている。
【0020】図5の実施例では、感温抵抗 RT および抵
抗 RX は、全波整流回路21、22の内部に設けられてい
る。すなわち、全波整流回路21、22はバッファアンプ1
0、11の次段に接続され、この整流回路21、22のゲイン
のフィードバック抵抗 R7, R8 に直列に、感温抵抗 RT
および抵抗 RX が設けられた構成となっている。
【0021】次に図6の実施例について説明する。上述
の図1〜図5の回路では図示および説明を省略したが、
本発明にもとづく磁歪式のトルクセンサでは、最終的に
両検出コイル4、5からの出力信号の差を演算すること
で、軸1に印加されるトルクの大きさが求められる。図
6において、23はこの差を演算するための差動増幅回路
であり、両整流回路21、22からの出力信号がそれぞれ入
力されるとともに、その差にもとづくトルク信号Tが、
その出力端子24に現れるように構成されている。 R9, R
10は差動増幅回路23の入力抵抗であるが、感温抵抗 RT
および抵抗 RX は、それぞれ入力抵抗 R9, R10に直列に
接続されている。
【0022】図6において、25は差動増幅回路23のため
の基準電圧発生部であり、抵抗 R 11を有している。図
7の実施例では、この基準電圧発生部25に、感温抵抗
RT および抵抗 RX が接続されている。すなわち、これ
ら抵抗 RT 、RX は、それぞれが並列接続されうえで抵
抗 R11に直列に接続されており、またこれら抵抗 RT
RX は、抵抗 R12、 R13を介して、正の基準電圧源26お
よび負の基準電圧源27にそれぞれ接続されている。
【0023】このような構成によれば、温度変化が生じ
たときには、感温抵抗RT の抵抗値の変化にもとづき差
動増幅回路23への基準電圧が変化することで、検出回路
の温度特性が補償される。
【0024】図8の実施例は、図7の実施例に対し、感
温抵抗 RT および抵抗 RX と、抵抗R11との間に、イン
ピーダンス変換用のバッファアンプ28が設けられた構成
となっている。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように本発明によると、一対
のトルク検出系どうしが均一でないことにもとづきトル
ク信号の零点出力が温度変化にしたがい変動するのを打
ち消すように補償するアンバランスを一方のトルク検出
系に発生させることのできる感温抵抗を、このトルクセ
ンサの内部に組み込んだだけの簡単な構成で、センサの
零点の変動にともなう検出誤差の発生を確実に防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のトルクセンサの温度特性の
補償装置の回路図である。
【図2】本発明の変形実施例のトルクセンサの温度特性
の補償装置の回路図である。
【図3】本発明の他の変形実施例のトルクセンサの温度
特性の補償装置の回路図である。
【図4】本発明のさらに他の変形実施例のトルクセンサ
の温度特性の補償装置の回路図である。
【図5】本発明のさらに他の変形実施例のトルクセンサ
の温度特性の補償装置の回路図である。
【図6】本発明のさらに他の変形実施例のトルクセンサ
の温度特性の補償装置の回路図である。
【図7】本発明のさらに他の変形実施例のトルクセンサ
の温度特性の補償装置の回路図である。
【図8】本発明のさらに他の変形実施例のトルクセンサ
の温度特性の補償装置の回路図である。
【符号の説明】 1 軸 2 磁気異方性部 3 磁気異方性部 4 検出コイル 5 検出コイル 10 第1のバッファアンプ 11 第1のバッファアンプ RT 感温抵抗 12 トルクセンサ 15 第2のバッファアンプ 16 第2のバッファアンプ 21 全波整流回路 22 全波整流回路 23 差動増幅回路 25 基準電圧発生部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−273124(JP,A) 特開 平3−103738(JP,A) 特開 平1−173842(JP,A) 特開 昭63−297545(JP,A) 特開 昭60−173433(JP,A) 特公 昭63−43697(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トルク伝達軸の外周面に一対の磁気異方
    性部を形成し、この磁気異方性部に対応して一対の検出
    コイルを設け、さらに各検出コイルからの出力信号をそ
    れぞれ処理するための一対の信号処理ラインを設けるこ
    とで、一対のトルク検出系を構成し、前記トルク伝達軸
    に印加されるトルクの大小に応じた交流信号を前記一対
    の検出コイルから出力したうえで、前記一対の信号処理
    ラインで処理することで、前記トルクの大きさを測定す
    るようにした磁歪式のトルクセンサにおいて、前記一対のトルク検出系どうしが均一でないことにもと
    づきトルク信号の零点出力が温度変化にしたがい変動す
    るのを打ち消すように補償するアンバランスを一方のト
    ルク検出系に 発生させることのできる感温抵抗を、この
    トルクセンサの内部に組み込んだことを特徴とするトル
    クセンサの温度特性の補償装置。
JP3311137A 1991-03-26 1991-11-27 トルクセンサの温度特性の補償装置 Expired - Lifetime JP2633125B2 (ja)

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JP3-60626 1991-03-26
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