JP4336868B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は記録装置のキャリッジ機構における無端ベルトの張力調整機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示す従来の記録装置を例に、従来技術の内容、問題点等について説明する。1は単数または複数個の印字素子を搭載した図示しない印字ヘッドを搭載したキャリッジであり、軸2a、2bによって矢印A方向に摺動可能に保持されている。3はキャリッジを駆動するモータであり、モータ3の回転軸には駆動プーリ5が軸着されている。6は無端のタイミングベルトであり、駆動プーリ5と従動プーリ7との間に掛け渡されている。キャリッジ1はタイミングベルト6に一部が連結されており、モータ3が正逆転することによりキャリッジ1が矢印A方向に移動する。
【0003】
8は記録面であり、記録媒体9を印字ヘッドと所定の間隔を保って保持する。記録動作としては、キャリッジ1が矢印Aの方向に移動しつつ、印字ヘッドが記録媒体9に記録を行う。次に、矢印A方向に対して直交方向に図示しない搬送手段により所定の距離だけ記録媒体9を搬送した後、同様にキャリッジ1が移動しつつ記録を行う。上記一連の記録動作を繰り返し行うことにより、記録媒体9の全面に線画を記録していく。
【0004】
特に、高速な記録速度で幅の広い記録媒体9に記録を行う場合、キャリッジ1に搭載する印字ヘッド数を増やし、尚且つキャリッジ1の移動速度を高速化させることが一般的である。ヘッドの搭載数を増やすことによりキャリッジ1本体の重量も増加するが、この場合においてもキャリッジ1を最短時間で必要とされる高速域まで到達させる必要がある。また、幅の広い記録媒体9を使用するために、キャリッジ1の矢印A方向の移動量も大きくなる。このため、無端タイミングベルト6は幅広の記録媒体9の幅に応じた周長の長いものが必要となる。このような大きな重量のキャリッジ1と周長の長いタイミングベルト6とを使用してキャリッジ1を駆動する場合には、タイミングベルト6の伸縮による矢印A方向の大きな速度変動が発生し、印字精度が悪化する場合が多い。従って、この様な記録装置において、印字精度向上の為にキャリッジ1の速度変動を低減することが重要である。
【0005】
このキャリッジ1の速度変動は、タイミングベルト6に付与する張力と密接な関係がある。タイミングベルト6の張力が弱いと伸縮量が大きくなるため速度変動幅が大きくなる。また反対に、タイミングベルト6の張力が強いとキャリッジ1の駆動モータ3の振動やタイミングベルト6の歯とプーリ5及び7との噛み合いによる高周波振動がキャリッジ1に伝わり易くなり、印字ヘッドの印字精度に悪影響を与えてしまう。このようなことから、速度変動を低減するためにはベルト張力を最適値に高精度に設定することが要求されてきた。このため、従来においては、ベルト張力の調整を精度良く行うために特殊な調整治具を使用するなど作業性がかなり悪かった。
【0006】
また、重量の大きなキャリッジ1を移動させるためには幅広又は歯の大きなタイミングベルト6を使用しなければならない。このため、ベルト自体も剛性の高いものとなり、かなり硬くなるためベルト張力も大きくしなければならず、特開平7−1786号公報に開示されているような、従動プーリ7の軸を矢印A方向に図示しないバネで付与する形態のものにおいては、バネ定数が非常に大きなバネを使用しなければならなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなこともあり、従来のタイミングベルト6の張力調整機構においては、従動プーリ7の回転軸をキャリッジ1の移動方向にバネで付勢するものであり、幅広又は歯の大きなタイミングベルト6に相応する大きな張力を付与する際はそれに応じた大きなバネ定数のバネを用いた上に、更に、精度良くタイミングベルト6の張力を調整しなければならなかった。本発明の目的は、大きなバネ定数のバネを使用せずに大きなタイミングベルト6の張力を容易に付与することができ、更にタイミングベルト6の周長のばらつきがあっても所定のタイミングベルト6の張力を精度良く付与することが出来る様にすることで、キャリッジ1の速度変動を最少にし、安定した記録が行える記録装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、小さなバネ定数のバネで大きな安定したベルト張力を得るために、てこを利用することにより、バネの力を増幅してタイミングベルト6に付与するよう工夫する。また、タイミングベルト6の周長のばらつきによる駆動プーリ5と従動プーリ7の軸間距離のばらつきを吸収して、所定のタイミングベルト6の張力を精度良く付与するために、バネの支持部を移動させてタイミングベルト6のたるみがなくなるまで従動プーリ7の両端に形成された軸部10を保持する軸受11aと11bを溝部13a、13b上で摺動させ、さらにバネの支持部を移動させ、バネの伸縮量に応じた力がタイミングベルト6に付与されるよう工夫する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図1、図2、図3、図4に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明を適用する記録装置の全体斜視図である。
【0011】
印字ヘッドを搭載したキャリッジ1は、軸2a、2bによって矢印A方向に摺動可能に保持されている。3はキャリッジを駆動するモータであり、フレーム4aに固定されている。
【0012】
タイミングベルト6は張力が付勢されることにより、従動プーリ7を常に矢印A方向のプーリ軸間距離が縮まる方向に力を付勢する。従動プーリ7の両端には軸部10が形成され、軸部10は軸受11a、11bにより保持される。更に、前記軸受11a、11bはフレーム4bに固定された従動プーリフレーム12の溝部13a、13b上をキャリッジ1の摺動方向Aに摺動可能に保持されている。アーム部14は従動プーリフレーム12に設けた軸15を支点に回動可能に保持され、軸受11a、11bに当接した状態でアーム部14が回動することにより軸受11a、11bを矢印A方向に押し込み、従動プーリ7を矢印A方向に移動させる。更に、アーム部14には穴16を有する付勢部17を形成する。付勢部17とバネ支持部18との間に圧縮コイルバネ19を設け、調整用ネジ20が従動プーリフレーム12に設けた穴21から前記付勢部17の穴16及び前記圧縮コイルバネ19の中心を貫通し、バネ支持部18に設けたネジ穴22を挿通するよう設ける。また、バネ支持部18には突起部23を形成し、アーム部14に穿設した溝24に係合するよう設置する。これにより、調整用ネジ20を回転させた際に、バネ支持部18が回転することを制止させる。
【0013】
調整用ネジ20を締め込む方向に回転させると、バネ支持部18は付勢部17との相対距離が狭まる方向に移動する。前記相対距離が圧縮コイルバネ19の自由長より短くなると、圧縮コイルバネ19の縮んだ距離に応じたバネ力が付勢部17に作用し始めるとともに、アーム部14を介して従動プーリ7、およびタイミングベルト6に式(1)で表わされる力が作用する。
Fip=Fsp×L1/L2 (1)
Fip;従動プーリ7およびタイミングベルト6に与えられる力
Fsp;バネ力
L1 ;軸15と従動プーリ7の軸間の距離
L2 ;軸15と付勢部17の間の距離
したがって、タイミングベルト6を所定の張力に調整する際は、式(2)で表わされる縮み量だけ圧縮コイルバネ19を縮ませるよう調整する。
ΔXsp=Fip/Ksp×L2/L1 (2)
Fip ;従動プーリ7およびタイミングベルト6に与える所定の力
ΔXsp;圧縮コイルバネ19の縮み量
Ksp ;圧縮コイルバネ19のバネ定数
以上説明した本発明において、従動プーリフレーム12に圧縮コイルバネ19の縮み量の測定手段として、圧縮コイルバネ19に平行に位置決め調整用メモリ25を設けてもよい。
【0014】
また、アーム部14に矢印A方向に対し直交方向に位置固定用ネジ穴26を穿設し、従動プーリフレーム12にアーム部14が回動する際の位置固定用ネジ穴26の軌跡上にあたる位置に長穴27を穿設し、位置固定用ネジ穴26と長穴27とを挿通するように図示しない位置固定用ネジを設け、圧縮コイルバネ19の縮み量を調整した後で、位置固定用ネジを締め付け、アーム部14の位置を従動プーリフレーム12に位置固定してもよい。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、大きなバネ定数のバネを使用せずに大きなタイミングベルトの張力を容易に付与することができる。更に、タイミングベルトの周長のばらつきがあっても所定のタイミングベルトの張力を精度良く付与することができる。以上によりキャリッジの速度変動を最少にし、安定した記録が行える記録装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実現する記録装置の一例を示す全体斜視図である。
【図2】 本発明を実現するベルト張力調整機構の構成の一例を示す斜視図である。
【図3】 本発明を実現する記録媒体装着機構の一例を示す側面図である。
【図4】 本発明を実現する記録媒体装着機構の一例を示す側面図である。
【図5】 従来の技術を示す記録装置の全体斜視図である。
【符号の説明】
1はキャリッジ、3はモータ、4a,4bはフレーム、5は駆動プーリ、6はタイミングベルト、7は従動プーリ、12は従動プーリフレーム、13aは溝部、14はアーム部、15は軸、17は付勢部、18はバネ支持部、19は圧縮コイルバネ、20は調整用ネジ、23は突起部、24は溝、25は位置決め用目盛りである。

Claims (4)

  1. 単数または複数個の印字素子を搭載した印字ヘッドと、前記印字ヘッドを桁方向に移動させるためのキャリッジと、前記キャリッジの移動方向と直交した軸心を有して所定の間隔で配置した駆動プーリおよび従動プーリと、前記駆動プーリと従動プーリに架け渡されると共に一部を前記キャリッジに連結した無端ベルトと、前記従動プーリの両端を回動可能に保持するプーリ保持部と、前記キャリッジ移動方向と直交して保持された回転軸に回動可能に支持されたアーム部と、前記アーム部の前記回動軸を保持すると共に、前記プーリ保持部が前記キャリッジの移動方向に摺動するための案内ガイドを有する従動プーリフレームと、前記アーム部の回動軸を中心として回動する最遠方の端部に設けた付勢部と、前記付勢部に対し、キャリッジ移動方向の駆動プーリ側に設けたバネ支持部と、前記付勢部とバネ支持部との間に設けた圧縮バネと、圧縮バネの中心を貫通するネジシャフトと、前記ネジシャフトの固定端を前記バネ支持部またはプーリフレームのいずれかに設置した記録装置において、
    前記ネジシャフトを回転させることにより、前記従動プーリ保持部を前記案内ガイド上で摺動させ、前記従動プーリフレームに対し、前記バネ支持部をキャリッジ移動方向に位置調整可能としたことを特徴とする記録装置。
  2. 前記アーム部に前記キャリッジ移動方向への溝を穿設し、前記バネ支持部に前記溝に係合する突起部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記アーム部に前記キャリッジ移動方向と垂直に位置決め調整用メモリを設けて前記バネ支持部の位置合わせをすることを特徴とする請求項1または2項に記載の記録装置。
  4. 前記アーム部に前記キャリッジ移動方向に対し直交方向に位置固定用ネジ穴を穿設し、前記従動プーリフレームに前記アーム部が回動する際の前記位置固定用ネジ穴の軌跡上に長穴を穿設し、前記位置固定用ネジ穴と前記長穴との間に位置固定用ネジを挿通したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。
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