JP4335367B2 - 地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び止水構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一方のコンクリート壁に他方のコンクリート壁を打ち継いで地下コンクリート構造物を構築する地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び止水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地下コンクリート構造物としては、例えばコンクリート製のトンネル内壁などがある。
この種のコンクリート製のトンネル内壁を有するトンネルの施工方法としては、地山を掘削しつつ前進する掘削機によりトンネルを掘削し、掘削したトンネルの内面に内型枠を配設し、内型枠と地山との間に妻型枠を配置し、妻型枠に設けたコンクリート供給管から内型枠と地山との間に形成されるコンクリート打設空間内にコンクリートを充填し、これによってコンクリート製のトンネル内壁を構築するトンネルの施工方法が知られている。
【0003】
このトンネルの施工方法では、図10の側断面図に示すように、シールド掘削機1及びコンクリート打設装置2が用いられる。
コンクリート打設装置2は、シールド掘削機1の後方で、シールド掘削機1により掘削されたトンネルTの内面に沿って地山Eを支えるように配されるスキンプレート3と、同じくシールド掘削機1の後方に配されて、シールド掘削機1により掘削されたトンネルTの内面をトンネルTの内面から所定距離離間した位置で覆う内型枠4と、スキンプレート3と内型枠4との間に配されてスキンプレート3と内型枠4との間にコンクリート打設空間Sを形成する妻型枠5と、シールド掘削機1の後方に設けられて、妻型枠5をトンネルTの軸心方向に沿って後方に押圧して固定する妻型枠ジャッキ6と、一端がコンクリート供給源Dに接続され、他端が妻型枠5を通じてコンクリート打設空間Sに連通されるコンクリート供給管7とを備えるものである。
【0004】
上記の構成において、内型枠4は、トンネルTの周方向に沿って複数連結されるユニットであって、シールド掘削機1によるトンネルTの延伸に応じて、シールド掘削機1側の端部にリング状に順次追加されるものである。妻型枠5は、トンネルTの周方向に連続したリング状となっている。
また、妻型枠ジャッキ6とコンクリート供給管7は、図示しないが、トンネルTの周方向に複数設けられて、妻型枠5のそれぞれに接続されている。
なお、シールド掘削機1としては、例えば、掘削方向に向く端面に複数のカッタ8が設けられて、中心を軸に回転駆動されることでこのカッタ8によって地山Eを掘削する略円盤形状の回転体1aと、回転体1aの後方に配されて、かつ回転体1aを中心を軸にして回転駆動する駆動装置(図示せず)が収容される大略円柱形状の掘削機本体1bと、掘削機本体1bの後部と内型枠4との間に配されて、内型枠4に対して突っ張ることで内型枠4を後方に押圧して固定するとともに、その反力をシールド掘削機1の推進力とするシールドジャッキ1cとを備えるものが用いられる。
【0005】
ところで、上記のトンネルの施工方法では、施工の都合上、一定期間ごとにシールド掘削機1によるトンネルTの掘削を停止させるとともに、トンネルTの内壁を形成するコンクリートの打設を一時休止させている。また、これ以外にも、掘削トラブル等により施工の途中でコンクリートの打設を中断する場合がある。
そして、トンネルTの内壁を形成するコンクリートの打設を再開する際には、先行して打設されたコンクリート壁に新たに後続のコンクリート壁を打ち継ぐことになり、先行して打設されたコンクリート壁と後続のコンクリート壁との間の打ち継ぎ部に打継目が生じる。ここで、この打継目の目開き量(打継目にできる隙間の大きさ)は、打設したコンクリートが乾燥収縮するなどして、コンクリート打設後に所定の大きさまで広がる。
【0006】
このトンネル内壁(地下コンクリート構造物)の打継目の止水方法の例として、例えば図11(a)に示すように、一方のコンクリート壁W1(先行して打設するコンクリート壁)の打ち継ぎ端面(先端面)と他方のコンクリート壁W2(後続のコンクリート壁)の、一方のコンクリート壁W1側の打ち継ぎ端面との間に、打継目Hにまたがるようにして止水板aを埋め込む方法、図11(b)に示すように、一方のコンクリート壁W1の打ち継ぎ端面に、他方のコンクリート壁W2に当接するようにしてシール材bを埋め込むないし貼り付ける方法、図11(c)に示すように、一方のコンクリート壁W1と他方のコンクリート壁W2との打継目Hをまたぐようにして、地山と接する側にこれらコンクリート壁W1、W2との間に防水シート等からなる防水膜cを設ける方法、並びに図11(d)に示すように、一方のコンクリート壁W1と他方のコンクリート壁W2との打継目Hにコーキング材dを充填する方法が知られている。
【0007】
ここで、図11(b)に示す打継目の止水方法は、前者のトンネルの施工方法において、妻型枠5の打設空間S側の面にシール材bを接着剤等を用いて取り付け、この状態で一方のコンクリート壁W1を打設することで、一方のコンクリート壁W1の打ち継ぎ端面にシール材bを収容する溝9を形成し、続いて一方のコンクリート壁W1の打設完了後にこの溝9にシール材bを接着剤によって接着するか、または埋没させることで妻型枠5から分離させ、この状態で他方のコンクリート壁W2を打設することで行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図11(a)〜(d)に示す従来のトンネル内壁(地下コンクリート構造物)の打継目の止水方法では、打継目Hの目開き量が数mm〜5mm程度の小さい範囲内にある場合にしか対応できないという問題があった。
また、地下水の水圧が高圧になるほど、対応できる目開き量は小さくなってしまうという問題があった。
また、打継目Hの目開き量に応じたサイズの止水材を用いないと、コンクリート壁と止水材との間に隙間が生じてしまうため、予め目開き量を見積もっておく必要があり、その分手間がかかってしまうという問題があった。
そして、妻型枠5や一方のコンクリート壁W1及び他方のコンクリート壁W2の打ち継ぎ端面は、通常は地山Eから湧き出す地下水で濡れており、この水のためにこれらコンクリート壁W1、W2と止水材との間に隙間ができるなどして、止水効果が十分に発揮できないという問題があった。
【0009】
そして、図11(b)に示す打継目の止水方法を用いる場合には、シール材bを妻型枠5または一方のコンクリート壁W1の打ち継ぎ端面に接着剤等によって接着する必要があるが、妻型枠5や一方のコンクリート壁W1の打ち継ぎ端面は、通常は地山Eから湧き出す地下水で濡れていて、この水気によって接着剤によるシール材bの接着が困難となるほか、この水のためにこれらコンクリート壁W1、W2とシール材bとの間に隙間ができるなどして、止水効果が十分に発揮できないという問題があった。
【0010】
また、シール材bは、一方のコンクリート壁W1を打設する際にも、他方のコンクリート壁W2を打設する際にも、打設されるコンクリートの流れに曝されるため、コンクリートとの摩擦によってシール材bの表面が劣化損傷して止水効果が低下してしまうという問題があった。
また、これらコンクリート壁W1、W2を打設する際に、シール材bがコンクリートの流れに押されて妻型枠5または一方のコンクリート壁W1から剥がれて適切な位置からずれてしまうなどして、シール材bによる打継目Hの止水が不確実になる恐れがあるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、打継目の目開き量に応じて柔軟に対応でき、また、地下水の水圧に対抗して止水を行うことができる地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び止水構造を提供することを目的とする。また、止水の確実性を向上させることができる地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び止水構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1記載の地下コンクリート構造物の打継目の止水方法においては、先行して打設するコンクリート壁に後続のコンクリート壁を打ち継いで地下コンクリート構造物を構築する地下コンクリート構造物の打継目の止水方法であって、妻型枠のコンクリート打設空間側の面には、コンクリート打設空間内に突出されるピストンリングを全周にわたって収容するためのピストンリング収容溝が設けられ、
前記ピストンリングを前記妻型枠から突出させ、前記先行して打設するコンクリート壁の、前記後続のコンクリート壁側の先端面に溝を形成し、前記ピストンリングを前記ピストンリング収容溝内に収容した状態で、そのピストンリング収容溝にリング状の水膨張シール材の一部を装着し、前記ピストンリングを前進させ、前記水膨張シール材を、前記溝の前記先端面側に止水空間が形成されるよう前記溝の奥部底面側に押し込み、その後前記後続のコンクリート壁を設ける際に、コンクリートを前記止水空間内に充填させて打設することを特徴とする。
【0013】
このように構成される地下コンクリート構造物の打継目の止水方法においては、地下コンクリート構造物の打継目を止水する止水材として、水膨張シール材が用いられるので、地下コンクリート構造物の打継目に地下水が進入すると、水膨張シール材が地下水と反応して膨張し、打継目が閉塞される。
また、水膨張シール材が地下水と反応することで、水膨張シール材に膨張する圧力、すなわち膨張圧が生じる。
また、水膨張シール材が先行して打設するコンクリート壁の先端面に形成される溝内に配置されることで、水膨張シール材の位置決め及び固定が行われる。
そして、水膨張シール材は、先行して打設するコンクリート壁が硬化した後に設けられる。
また、先行して打設するコンクリート壁に形成される溝の奥部底面側に、溝の先端面側に止水空間が形成されるように水膨張シール材が配置される。そして、この止水空間内に後続のコンクリート壁を構成するコンクリートが充填されることで、後続のコンクリート壁に、止水空間に嵌合する止水凸部が形成される。
これによって、打継目が目開きすることで地山から打継目内に進入した地下水は、止水空間内に導かれ、この地下水と反応することで水膨張シール材が膨張し、止水空間が閉塞されて打継目が閉塞される。
また、先行して打設するコンクリート壁の溝の奥部底面側に水膨張シール材が配置されており、この状態で地下水と反応することで、水膨張シール材は溝内で止水凸部側に向けてのみ膨張する。
そして、先行して打設するコンクリート壁の溝の奥部底面側に水膨張シール材が配置されることで、水膨張シール材がより効果的に固定される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1ないし図9を用いて説明する。
ここでは、地下コンクリート構造物として、前記のトンネル構築方法、すなわち図10に示すように、掘削機1によって掘削されたトンネルTの内面にコンクリート打設装置2によってコンクリートを現場打ちすることでコンクリート製のトンネル内壁を構築する施工方法で構築されるコンクリート製のトンネル内壁を用い、このトンネル内壁の打継目に、本発明の地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造を適用した場合について説明する。
【0025】
[第一の実施の形態]
まず、本発明の地下コンクリート構造物の打継目の止水方法を実施するために用いるコンクリート打設装置2の詳細な構造及び止水材について説明する。
図2(a)、(b)に、トンネルTの内壁の構築の様子を示す側断面図を示す。符号Eは地山、符号3は地山Eを押さえるスキンプレート、符号4は内型枠、符号5は妻型枠、符号6は妻型枠ジャッキである。ここで、図2(b)は、図2(a)における妻型枠5の近傍の拡大図である。
【0026】
妻型枠5は、コンクリート供給管7(図2では図示せず)とコンクリート打設空間Sとを接続して、コンクリート供給管7から供給されるコンクリートをコンクリート打設空間S内へ送出するコンクリート送出路(図示せず)を備えている。
なお、妻型枠5は、スキンプレート3と内型枠4のそれぞれと接触する部分に、コンクリート打設空間S内に打設するコンクリートの漏出を防止するシール5a、5bが設けられている。
【0027】
また、妻型枠5の内面、すなわちコンクリート打設空間S側の面には、コンクリート打設空間S内で形成されるコンクリート壁W1の、後続のコンクリート壁W2側の先端面(打ち継ぎ端面)と内面との交叉する稜線に沿って形成されるピストンリング収容溝11が設けられており、ピストンリング収容溝11内には、コンクリート打設空間S内に突出操作されるピストンリング12が、ピストンリング収容溝11の全周にわたって設けられている。
【0028】
ピストンリング収容溝11は、ピストンリング12を収容した際に、ピストンリング12の先端とピストンリング収容溝11の縁部との間に、水膨張シール材15の一部を収容する空間を確保できる程度の深さに形成されているものであって、その底面には、妻型枠5の外方、すなわちコンクリート打設空間Sとは反対側に向けて延在するロッド挿通孔13が形成されている。
ピストンリング12は、ピストンリング収容溝11の底面に設けられるロッド挿通孔13に挿通されて、図示せぬ駆動装置によってロッド挿通孔13に沿って前進、後退駆動されるピストンロッド14と接続されている。
【0029】
先行して打設するコンクリート壁W1と後続のコンクリート壁W2との間の打継目を止水する水膨張シール材15は、例えば吸水性樹脂を含むエラストマー等の水膨張性を有する素材からなるものであって、ピストンリング収容溝11と同径のリング状の部材である。またその断面は、図3の側断面図に示すように、略矩形形状をなしている。
ここで、乾燥状態における水膨張シール材15の横幅は、妻型枠5のピストンリング収容溝11に嵌合される程度の幅であって、その厚さ、つまりピストンリング収容溝11の深さ方向の寸法は、ピストンリング12がピストンリング収容溝11から突出される長さ、すなわち先行して打設するコンクリート壁W1に形成される溝21(後述)の深さよりも小さくなるよう形成されている。
また、水膨張シール材15は、先行して打設するコンクリート壁W1に形成される溝21からの脱落を防止するため、溝21の内側面と当接する面に抜け止めのフランジ15aが形成されている。
【0030】
以下より、このように構成されるコンクリート打設装置2を用いて、本発明の第一の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造を適用したトンネル内壁を構築する作業について説明する。
まず、コンクリート供給管から、妻型枠5のコンクリート送出路を通じてコンクリートをコンクリート打設空間S内に所定の充填圧で充填して、先行して打設するコンクリート壁W1(以下、コンクリート壁W1と略す)を打設した後、コンクリート供給管へのコンクリートの供給を停止する。
そして、コンクリート打設空間S内のコンクリート壁W1が硬化する前に、図4に示すように、妻型枠5に設けられるピストンリング12をコンクリート打設空間S側に前進させて妻型枠5のコンクリート打設空間S側の面から突出させ、これによってコンクリート壁W1の、後続のコンクリート壁W2側の先端面に溝21を形成する。
【0031】
ここで、ピストンリング12の前進移動は、図示せぬ駆動装置によってピストンロッド14をロッド挿通孔13に沿って前進させ、ピストンロッド14によってピストンリング12を押圧操作することによって行われる。
【0032】
次に、コンクリート壁W1の養生が終了した後、妻型枠5に設けられるピストンリング12を引き戻してピストンリング収容溝11内に収容し、妻型枠ジャッキ6を収縮させることで妻型枠5をスキンプレート3と内型枠4との間から引き出す。
そして、妻型枠5のピストンリング12を、ピストンリング収容溝11内に水膨張シール材15の一部(この場合にはその厚さ、すなわちピストンリング収容溝11の深さ方向の寸法の半分程度)を挿入する空間ができるまでピストンリング収容溝11内に引き込み、図5(a)の側断面図に示すように、ピストンリング収容溝11に水膨張シール材15を、その一部を挿入、嵌合させることによって装着する。
ここで、コンクリート壁W1と後続のコンクリート壁W2(後述)との間の打継目が目開きしたとき、溝21と止水凸部23(後述)とが干渉し、その摩擦によって止水凸部23の付け根に負荷が生じるので、溝21と止水凸部23との摩擦を低減してこの負荷によるクラック等の損傷を防止するために、溝21内及びその周囲には、必要に応じてコンクリート剥離材を塗布しておく。
【0033】
次に、妻型枠ジャッキ6を伸張させることで妻型枠5をスキンプレート3と内型枠4との間に挿入し、コンクリート壁W1の先端面に当接させる。
この状態でピストンリング12を前進させることで、図5(b)の側断面図に示すように、コンクリート壁W1の先端面に形成される溝21内に、溝21の奥部底面側まで水膨張シール材15を押し込む。
ここで、乾燥状態における水膨張シール材15の厚さは、溝21の、先端面に対する深さよりも小さくなるよう形成されているので、溝21の先端面側には止水空間22が形成される。
また、水膨張シール材15は、側面に形成される抜け止めのフランジ15a(図5では図示せず)によって溝21の内面に係止されて、溝21の奥部底面側に固定される。
【0034】
次に、ピストンリング12を、その先端面が妻型枠5のピストンリング収容溝11の縁部と同一の位置に来るまで引き戻し、コンクリート壁W1の先端面と妻型枠5との間に新たなコンクリート打設空間Sを確保するよう、妻型枠ジャッキ6によって妻型枠5を所定距離引き出す。
そして、新たに確保したコンクリート打設空間S内にコンクリートを供給して、コンクリート壁W1の先端面に後続のコンクリート壁W2(以下、コンクリート壁W2と略す)を打ち継ぐ(図6参照)。
このとき、コンクリート打設空間S内に打設するコンクリートは、コンクリート壁W1の溝21内に形成される止水空間22内にも充填されるよう打設される。
【0035】
そして、コンクリート壁W1とコンクリート壁W2との打継目Hに、図1(a)の側断面図に示す地下コンクリート構造物の打継目の止水構造が構築される。すなわち、コンクリート壁W1に設けられる止水空間22内に、コンクリート壁W2を構成するコンクリートが充填されることで、コンクリート壁W2に、溝21の止水空間22に嵌合する止水凸部23が形成される。
【0036】
上記のトンネル内壁を構築する作業において、水膨張シール材15は、コンクリート壁W1が硬化した後に、溝21に設けられる。
また、水膨張シール材15がコンクリート壁W1に形成される溝21内に配置されることで、水膨張シール材15の位置決め及び固定が行われる。
さらに、水膨張シール材15が、コンクリート壁W1の溝21の奥部底面側に配置されることで、水膨張シール材15がより効果的に固定される。
【0037】
そして、このように構成される地下コンクリート構造物の打継目の止水構造においては、コンクリート壁W1に溝21が形成され、この溝21内に、先端面側に止水空間22が形成されるようにその奥部底面側に水膨張シール材15が配置され、この止水空間22に、コンクリート壁W2に形成される止水凸部23が嵌合される。
これによって、打継目Hが目開きすることで地山Eから打継目H内に進入した地下水は、止水空間22内に導かれ、この地下水と反応することで水膨張シール材15が膨張し、止水空間22が閉塞されて打継目Hが閉塞される。
また、水膨張シール材15は溝21の奥部底面側に配置されており、この状態で水膨張シール材15が地下水と反応することで、図1(b)に示すように、溝21内で止水凸部23側に向けてのみ膨張する。
そして、水膨張シール材15が地下水と反応することで、水膨張シール材15に膨張する圧力、すなわち膨張圧が生じる。
【0038】
この結果、本発明の第一の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造によれば、打継目Hが目開きすることで地山Eから打継目H内に進入した地下水は、止水空間22内に導かれ、この地下水と反応することで水膨張シール15が膨張し、止水空間22が閉塞されて打継目Hが閉塞されるので、止水空間22に止水凸部23が嵌合されている程度の目開き量であれば、水膨張シール材15の膨張倍率を適当に選択することで、打継目Hの目開き量が大きい場合にも打継目Hの止水を行うことができる。
そして、水膨張シール材15の膨張倍率を適当に選択することで、打継目Hの目開き量を予め予測する必要がなく、目開き量に応じて柔軟に対応することができる。
また、水膨張シール材15が溝21内で止水凸部23側に向けてのみ膨張するので、水膨張シール材15の膨張圧を止水凸部23側に集中させることができ、地下水の水圧に効果的に対抗して打継目Hの止水を行うことができる。
【0039】
さらに、水膨張シール材15は地下水と反応することで膨張するので、コンクリート壁W1及びコンクリート壁W2が濡れていても、水膨張シール材15とこれらコンクリート壁W1、W2とを密着させることができ、止水効果を十分に発揮して止水の確実性を向上させることができる。
そして、水膨張シール材15がコンクリート壁W1に形成される溝21内に配置されることによって水膨張シール材15の位置決め及び固定が行われるので、水膨張シール材15の固定に接着剤等を使う必要がなく、水膨張シール材15の位置決め及び固定を容易かつ低コストで行うことができる。
さらに、コンクリート壁W2を打設する際に、打設したコンクリートによって水膨張シール材15が溝21の奥部底面側に押圧されるので、水膨張シール材15の固定をより確実に行うことができ、止水効果を十分に発揮して止水の確実性を向上させることができる。
【0040】
また、水膨張シール材15は、コンクリート壁W2を打設するときにのみ、かつ溝21の先端面側の面のみがコンクリートの流れに曝されるので、コンクリートとの摩擦による水膨張シール材15の劣化損傷を低減することができ、かつ水膨張シール材15が溝21内で止水凸部23側に向けてのみ膨張し、水膨張シール材15の劣化損傷した面が止水凸部23に押し付けられて密着するので、水膨張シール材15による止水効果を十分に発揮して止水の確実性を向上させることができる。
【0041】
なお、上記第一の実施の形態では、水膨張シール材15の形状を、図3に示すように、抜け止めのフランジ15aが形成される形状としたが、これに限られることなく、単なる矩形断面形状としてもよい。
また、上記第一の実施の形態では、水膨張シール材15を、コンクリート壁W1の溝21の奥部底面側に、溝21内に止水空間22を形成するように配置し、この止水空間22にコンクリートを充填することによって、コンクリート壁W2の打ち継ぎ端面に、溝21の止水空間22に嵌合する止水凸部23を形成した例を用いたが、これに限られることなく、水膨張シール材22をコンクリート壁W1の溝21から突出させておき、コンクリート壁W2を打設する際に、この突出して設けられた水膨張シール材22を内包するようにコンクリートを打設することで、図7(a)の側断面図に示す地下コンクリート構造物の打継目の止水構造を構成しても良い。
【0042】
ここで、図7(a)に示す地下コンクリート構造物の打継目の止水構造は、コンクリート壁W1の先端面に、この先端面とコンクリート壁W1の内面とが交叉する稜線に沿って第一の溝26が形成され、コンクリート壁W2の打ち継ぎ端面に、第一の溝26と略同形状をなす第二の溝27が、第一の溝26に対向して形成され、さらに、片側を第一の溝26内に配置され、他方の側を第二の溝27内に配置されるようにして稜線に沿って水膨張シール材28が配設され、水膨張シール材28の他端がコンクリート壁W2の第二の溝27内に配設されているものである。
この地下コンクリート構造物の打継目の止水構造によれば、打継目Hにまたがって水膨張シール材28が配置され、この水膨張シール材15が地下水と反応して膨張し、溝26内を閉塞するので(図7(b)参照)、打継目Hの目開き量に応じて柔軟に対応でき、また、地下水の水圧に対抗して止水を行うことができる。
【0043】
[第二の実施の形態]
本発明の第二の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水構造は、第一の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法と同様にコンクリート打設装置2を用いるものであって、コンクリート打設装置2において、妻型枠5の代わりに妻型枠31を用い、水膨張シール材15の代わりに水膨張シール材34を用いるものである。
【0044】
妻型枠31は、図8の拡大側断面図に示すように、妻型枠5からピストンリング収容溝11、ピストンリング12、ロッド挿通孔13及びピストンロッド14をなくし、代わりに、コンクリート打設空間S側の面に、コンクリート打設空間S内で形成されるコンクリート壁W1の先端面と内面との交叉する稜線に沿って形成される凹溝32を設けたものである。
凹溝32は、コンクリート打設空間S側に向けて幅が広げられた形状に形成される断面視略台形の溝であって、コンクリート壁W1の、コンクリート壁W2側の先端面に、全周にわたって断面視略台形の突条33を形成するものである。
【0045】
水膨張シール材34は、凹溝32と同径のリング状の部材であって、図9の拡大側断面図に示すように、開口端に向けて開口の幅が広げられた形状に形成される断面視大略コ字形状をなしている。そしてその内面は、コンクリート壁W1の先端面に形成される突条33に嵌合されるように突条33の外面形状に沿った形状に形成されており、またその外面は、妻型枠31の凹溝32に嵌合されるように、凹溝32の内面形状に沿った形状とされている。すなわち、水膨張シール材34の外側面は、コンクリート壁W1の先端面に対して鋭角に立ち上げられる傾斜面とされている。
そして、水膨張シール材34は、突条33との嵌合時に突条33の付け根部分に当接する部分と突条33の先端に当接する部分とが非膨張性のゴムから構成される非膨張ゴム部34aとされ、これら非膨張ゴム部34a間、すなわち突条33の付け根に当接する部分から突条33の先端に当接する部分との間に位置する部分は、水膨張性を有するゴムから構成される水膨張ゴム部34bとされている。
すなわち、水膨張シール材34は、主に側方に向けて膨張することで打継目の止水を行うものである。
【0046】
以下より、このように構成されるコンクリート打設装置2を用いて、本発明の第二の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造を適用したトンネル内壁を構築する作業について説明する。
まず、コンクリート供給管から、妻型枠5のコンクリート送出路を通じてコンクリートをコンクリート打設空間S内に所定の充填圧で充填して、コンクリート壁W1を打設した後、コンクリート供給管へのコンクリートの供給を停止する。すると、妻型枠31に凹溝32が形成されていることから、コンクリート壁W1の先端面には突条33が形成される(図8参照)。
【0047】
次に、コンクリート壁W1の養生が終了した後、妻型枠ジャッキ6を収縮させることで妻型枠31をスキンプレート3と内型枠4との間から引き出す。
そして、妻型枠31の凹溝32に、水膨張シール材34を嵌合させることによって装着し、この状態で妻型枠ジャッキ6を伸張させることで妻型枠31をスキンプレート3と内型枠4との間に挿入し、コンクリート壁W1の先端面に当接させる。これによって、妻型枠31の凹溝32に嵌合されていた水膨張シール材34は、コンクリート壁W1の突条33に嵌合して突条33に固定される。
このとき、水膨張シール材34が、開口端に向けて開口の幅が広げられた形状に形成される断面視大略コ字形状をなしているので、コンクリート壁W1の突条33に嵌合させる際に、水膨張シール材34は内面を突条33の外側面によって案内されて適正な位置に案内される。
【0048】
続いて、コンクリート壁W1の先端面と妻型枠31との間に新たなコンクリート打設空間Sを確保するよう、妻型枠ジャッキ6によって妻型枠31を所定距離引き出し、新たに確保したコンクリート打設空間S内にコンクリートを供給して、コンクリート壁W1の先端面にコンクリート壁W2を打ち継ぐ。
【0049】
これによって、コンクリート壁W1とコンクリート壁W2との打継目Hに、図9の拡大側断面図に示す地下コンクリート構造物の打継目の止水構造が構築される。すなわち、コンクリート壁W1に突条33が形成され、この突条33に水膨張シール材34が嵌合され、コンクリート壁W2に、水膨張シール材34に嵌合される止水凹部35が形成される。
【0050】
上記のトンネル内壁を構築する作業において、水膨張シール材34は、コンクリート壁W1が硬化した後に突条33に設けられる。また、水膨張シール材34は、コンクリート壁W1に形成される突条33に嵌合させて配置されることで位置決め及び固定が行われる。
そして、コンクリート壁W2を打設する際に、打設したコンクリートによって水膨張シール材34が突条33に押しつけられ、また水膨張シール材34の外側面が、突条33の先端側から突条33の付け根側に向けて外側方に張り出す傾斜面とされていて、打設されるコンクリートから受ける圧力が突条33に押し付ける圧力として作用するため、水膨張シール材34がずれにくなる。
また、水膨張シール材34の外側面が、突条33の先端側から付け根側に向けて開口の幅が広がる傾斜面とされているので、コンクリート壁W2を構成するコンクリートの、水膨張シール材34の周囲での滞留が低減される。
【0051】
このように構成される地下コンクリート構造物の打継目の止水構造においては、打継目Hが目開きすることで地山Eから打継目H内に進入した地下水は、止水凹部35内に導かれ、この地下水と反応することで水膨張シール34が膨張し、止水凹部35が閉塞されて打継目Hが閉塞される。
ここで、水膨張シール材34の外側面は、コンクリート壁W1の先端面から鋭角に立ち上げられる傾斜面をなしており、またコンクリート壁W2の止水凹部35の内側面は、水膨張シール材34の外側面と平行平面をなしている。
このため、コンクリート壁W1とコンクリート壁W2との間に目開きが生じ、図9に示すように、コンクリート壁W1、W2の打ち継ぎ端面間の目開き量h1が10mmであったとすると、例えばこれらの傾斜角度が45度である場合には、水膨張シール材34の外側面とコンクリート壁W2の止水凹部35の内側面との間の間隔は約7mmとなる。すなわち、実際に閉塞すべき目開き量h2は、打ち継ぎ端面間の目開き量h1の約7割の大きさで済む。また、水膨張シール材34は主に外側面部分に水膨張ゴム部34bが設けられていればよいので、水膨張ゴムの使用量が低減される。
【0052】
さらに、水膨張シール材34の外側面及びコンクリート壁W2の止水凹部35の内側面を、目開き方向に対する傾斜角度をより小さくすることで、実際に閉塞すべき目開き量をより小さくすることも可能となる。ただし、水膨張シール材34は、突条33への取付作業時に妻型枠31の凹溝32に嵌合させるために、開口端側とは反対側の端部の幅を、凹溝32の内側面間の最大幅(この幅はコンクリート壁W1の突条33の付け根部分の幅と等しい)よりも小さくする必要がある。そのため、水膨張シール材34は、その開口端側とは反対側の端部の幅が突条33の付け根側の幅よりも小さくなるよう、外側面にある程度の傾斜角度を持たせておく必要がある。
【0053】
この結果、本発明の第二の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造によれば、目開き量が大きくても、止水凹部35に水膨張シール材34が嵌合されている程度の目開き量であれば、水膨張シール材34の膨張倍率を適当に選択することで、打継目Hの目開き量が大きい場合にも、打継目Hの止水をより効果的に行うことができる。さらに、従来の止水構造に比べて実際に閉塞すべき目開き量を小さくすることができ、より効果的に打継目Hの止水を行うことができる。
そして、水膨張シール材34の膨張倍率を適当に選択することで、打継目Hの目開き量を予め予測する必要がなく、目開き量に応じて柔軟に対応することができる。
【0054】
さらに、水膨張シール材34は地下水と反応することで膨張するので、コンクリート壁W1、W2が濡れていても、水膨張シール材34とこれらコンクリート壁W1、W2とを密着させることができ、止水効果を十分に発揮して止水の確実性を向上させることができる。
また、水膨張シール材34は、水膨張ゴムの使用量が低減されるので、施工コストを低減することができる。
【0055】
また、突条33は、先端側に対して付け根側の幅が広い略台形に形成されていて、外力に対する強度が確保される。このため、突条33には打継目Hからの漏水の原因となるクラックが発生しにくくなり、止水の確実性を向上させることができる。
また、コンクリート壁W2を構成するコンクリートの、水膨張シール材34の周囲での滞留が低減されるので、水膨張シール材34の周囲へのコンクリートの充填不良や、気泡、水泡の発生を低減して、コンクリート壁W2の品質を向上させるとともに、これらを原因とする漏水を低減することができる。
【0056】
そして、水膨張シール材34は、コンクリート壁W1の突条33に嵌合させて配置されることで位置決め及び固定が行われる。これによって、水膨張シール材34の固定に接着剤等を使う必要がなく、水膨張シール材34の位置決め及び固定を容易かつ低コストで行うことができる。
また、水膨張シール材34は、コンクリート壁W1の突条33に嵌合させる際に適正な位置に案内されるので、位置決めを厳密に行う必要がなくなり、水膨張シール材34の取付が容易になる。
さらに、コンクリート壁W2を打設する際に水膨張シール材34がずれにくいので、水膨張シール材15の固定をより確実に行って止水効果を十分に発揮することができ、止水の確実性を向上させることができる。
【0057】
ここで、上記第二の実施の形態では、コンクリート壁W1の突条33への水膨張シール材34の取付を、妻型枠31に設けた凹溝32に水膨張シール材34を嵌合させ、この状態で妻型枠31をコンクリート壁W1に押し付けることで、水膨張シール材34をコンクリート壁W1の突条33に押し付けて嵌合させることで行う例を示した。しかし、これに限られることなく、水膨張シール材34の突条33への取付をより確実に行うことができるように、妻型枠31を、妻型枠5においてピストンリング収容溝11の代わりに凹溝32を設け、この凹溝32の底面にピストンリング12、ロッド挿通孔13及びピストンロッド14を設けた構成とし、上記手順によって水膨張シール材34をコンクリート壁W1の突条33に嵌合させた後、ピストンリング12を凹溝32内に突出させることで、凹溝32内から水膨張シール材34を押し出して妻型枠31から確実に分離させるようにしても構わない。
【0058】
なお、上記第一、第二の実施の形態では、本発明の地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造を適用する地下コンクリート構造物として、コンクリートを現場打ちすることで構築されるコンクリート製のトンネル内壁を用いた例を示したが、これに限られることなく、地下コンクリート構造物として、予め成形されたコンクリート製のセグメントをトンネルの内面に沿って連結配置することで構築されるコンクリート製のトンネル内壁を用いても構わない。
この場合には、セグメントとして、一方の端面(打ち継ぎ端面)に、一方の端面と内面との交叉する稜線に沿って溝21が形成され、他方の端面(打ち継ぎ端面)に、隣接して配置されるセグメントに形成される溝21に嵌合される止水凸部23が形成されたものを用い、溝21内に水膨張シール材15を配置した状態でこれらセグメントを連結することで、図1に示すような地下コンクリート構造物の打継目の止水構造を構築する。
同様に、セグメントとして、一方の端面に、一方の端面と内面との交叉する稜線に沿って突条33が形成され、他方の端面に、隣接して配置されるセグメントに形成される突条33に嵌合される止水凹部35が形成されたものを用い、突条33に水膨張シール材34を配置した状態でこれらセグメントを連結することで、図9に示すような地下コンクリート構造物の打継目の止水構造を構築してもよい。
また、地下コンクリート構造物は、トンネル内壁に限定されるものではない。
【0059】
【発明の効果】
請求項1記載の地下コンクリート構造物の打継目の止水方法によれば、止水材として水膨張シール材が用いられるので、地下コンクリート構造物の打継目に地下水が進入すると、水膨張シール材が地下水と反応して膨張し、打継目が閉塞される。これによって、水膨張シール材の膨張倍率を適切に選択することで、打継目の目開き量が大きい場合にも打継目を閉塞して止水することができる。
また、水膨張シール材が地下水と反応して膨張することで、打継目の目開き量を予め予測する必要がなく、目開き量に応じて柔軟に対応することができる。
また、水膨張シール材が地下水と反応することで、水膨張シール材に膨張する圧力、すなわち膨張圧が生じ、この膨張圧によって打継目を閉塞する水膨張シール材が地下水の水圧に対抗して打継目の止水を行うことができる。
そして、コンクリート壁が地山から湧き出す水等で濡れていた場合にも、水膨張シール材の固定に接着剤を使用しないために位置決め、固定を容易に行うことができ、かつ水膨張シール材が地下水と反応し、これによって膨張することから、水膨張シール材とこれらコンクリート壁とを密着させて止水効果を十分に発揮して、止水の確実性を向上させることができる。
また、水膨張シール材が先行して打設するコンクリート壁が硬化した後に設けられ、水膨張シール材は後続のコンクリート壁を打設するときにのみコンクリートの流れに曝されるので、コンクリートとの摩擦による水膨張シール材の劣化損傷を低減して、止水の確実性を向上させることができる。
そして、水膨張シール材が先行して打設するコンクリート壁に形成される溝内に配置されることで、水膨張シール材の固定に接着剤等を使う必要がなく、接着剤を塗布する手間と接着剤にかかるコストをなくして、水膨張シール材の位置決め及び固定を容易かつ低コストで行うことができる。
また、打継目が目開きすることで地山から打継目内に進入した地下水は、止水空間内に導かれ、この地下水と反応することで水膨張シールが膨張し、止水空間が閉塞されて打継目が閉塞されるので、止水空間に止水凸部が嵌合される程度であれば、水膨張シール材の膨張倍率を適当に選択することで、打継目の目開き量が大きい場合にも打継目の止水を行うことができる。
また、水膨張シール材が溝内で止水凸部側に向けてのみ膨張するので、水膨張シール材の膨張圧を止水凸部側に集中させることができ、地下水の水圧に対抗して打継目の止水を行うことができる。
そして、後続のコンクリート壁を打設する際には、水膨張シール材は、打設したコンクリートによって溝の奥部底面側に押圧されるので、水膨張シール材の固定をより確実に行って、止水の確実性を向上させることができる。
また、水膨張シール材は、先行して打設するコンクリート壁の溝内に配置されることで、溝の先端面側の面のみが、後続のコンクリート壁を打設するときにのみコンクリートの流れに曝されるので、コンクリートとの摩擦による水膨張シール材の劣化損傷が低減される。
また、水膨張シール材が溝内で止水凸部側に向けてのみ膨張し、水膨張シール材の劣化損傷した面が止水凸部に押し付けられて密着するので、水膨張シール材による止水効果を十分に発揮することができ、止水の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水構造を示す側断面図である。
【図2】 本発明の第一の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造を適用するトンネル内壁の構築の様子を示す側断面図である。
【図3】 本発明の第一の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造に用いる水膨張シール材の形状を示す断面図である。
【図4】 本発明の第一の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造を適用したトンネル内壁を構築する作業の様子を示す側断面図である。
【図5】 本発明の第一の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造を適用したトンネル内壁を構築する作業の様子を示す側断面図である。
【図6】 本発明の第一の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造を適用したトンネル内壁を構築する作業の様子を示す側断面図である。
【図7】 本発明の第一の実施の形態の他の実施態様における、地下コンクリート構造物の打継目の止水構造を示す正断面図である。
【図8】 本発明の第二の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水方法及び構造を適用したトンネル内壁を構築する作業の様子を示す拡大側断面図である。
【図9】 本発明の第二の実施の形態における地下コンクリート構造物の打継目の止水構造を示す拡大側断面図である。
【図10】 本発明及び従来のトンネル構築方法に用いるコンクリート打設装置の概略構成を示す側断面図である。
【図11】 従来の地下コンクリート構造物の打継目の止水方法による地下コンクリート構造物の打継目の止水構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
4 内型枠 5 妻型枠
15、28、34 水膨張シール材 21 溝
22 止水空間 23 止水凸部
26 第一の溝 27 第二の溝
33 突条 35 止水凹部
H 打継目 W1 先行して打設するコンクリート壁
W2 後続のコンクリート壁
Claims (1)
- 先行して打設するコンクリート壁に後続のコンクリート壁を打ち継いで地下コンクリート構造物を構築する地下コンクリート構造物の打継目の止水方法であって、
妻型枠のコンクリート打設空間側の面には、コンクリート打設空間内に突出されるピストンリングを全周にわたって収容するためのピストンリング収容溝が設けられ、
前記ピストンリングを前記妻型枠から突出させ、前記先行して打設するコンクリート壁の、前記後続のコンクリート壁側の先端面に溝を形成し、
前記ピストンリングを前記ピストンリング収容溝内に収容した状態で、そのピストンリング収容溝にリング状の水膨張シール材の一部を装着し、
前記ピストンリングを前進させ、前記水膨張シール材を、前記溝の前記先端面側に止水空間が形成されるよう前記溝の奥部底面側に押し込み、
その後前記後続のコンクリート壁を設ける際に、コンクリートを前記止水空間内に充填させて打設することを特徴とする地下コンクリート構造物の打継目の止水方法。
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