JP2001032695A - トンネル覆工方法およびシールドトンネルの止水構造 - Google Patents

トンネル覆工方法およびシールドトンネルの止水構造

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JP2001032695A
JP2001032695A JP11205438A JP20543899A JP2001032695A JP 2001032695 A JP2001032695 A JP 2001032695A JP 11205438 A JP11205438 A JP 11205438A JP 20543899 A JP20543899 A JP 20543899A JP 2001032695 A JP2001032695 A JP 2001032695A
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Toshimitsu Aso
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Maho Watanabe
真帆 渡辺
Shinichi Nishimura
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Kazuo Miyazawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より止水性を高めることのできるトンネル覆
工方法およびシールドトンネルの止水構造を提供するこ
とを課題とする。 【解決手段】 先行打設したC1が硬化した後に、その
打継ぎ目Jとなる部分に止水シール材10を配設するよ
うにした。このとき、止水シール材10を妻型枠6に貼
り付け、これを硬化したコンクリートC1に貼り付け替
える構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリートやモ
ルタルなどの自硬性充填材を採用するトンネルを構築す
るに際して用いて好適なトンネル覆工方法およびシール
ドトンネルの止水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、例えば軟弱で地下水位が
高いような地山に対してシールド工法によりトンネルを
施工する場合、一次覆工にはセグメントを使用すること
が一般的である。近年、セグメントを用いることに代え
て、図8に示すように、シールド掘削機1の後方におい
て内型枠3を組み立て、その内型枠3と地山Gとの間に
自硬性硬化材としてコンクリートCを直接打設充填する
ことによって、トンネルTの覆工壁Wを形成する、いわ
ゆるECL工法(Extruded Concrete Lining Method)
の開発も進められている。
【0003】ECL工法では、打設されたコンクリート
Cが硬化して覆工壁Wが形成された後において地山圧力
(土圧および地下水圧)に対して十分に耐え得ることは
当然であるが、コンクリートCを打設した直後の未硬化
の状態であっても地山圧力に対して抗し得るものでなけ
ればならない。特に地下水圧が高い地山Gに対してEC
L工法を適用する場合には、未硬化のコンクリートCに
よる十分な止水性を確保するための方策が不可欠であ
る。このため、本出願人は先に、妻型枠6でコンクリー
トCを押圧することによって、その打設圧力を地山圧力
より常に高く維持し、未硬化の状態のコンクリートCに
よっても止水性を確保するようにしたECL工法におけ
るトンネルTの覆工方法を提供した(例えば特開平4ー
161599号等)。
【0004】このようなECL工法では、通常時におい
て、コンクリートC2を打設するときには、先行打設し
たコンクリートC1が固まる前に、新たに打設するコン
クリートC2の打設圧力を、先行打設されているコンク
リートC1の圧力と同等あるいはやや高い所定の圧力に
妻型枠6で保持することによって、両者の打設コンクリ
ートを一体化する構成となっている。その結果、覆工壁
Wが打継ぎ目のない連続体とされ、これによって止水性
が確保されるものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記E
CL工法において、図8(a)に示すように、例えば工
事の休業日や、何らかの事情により工事が中断されたと
き等には、先に打設したコンクリートC1が完全に硬化
してしまう。このため、図8(b)に示すように、休業
日明け等、工事を再開して最初の工程で打設するコンク
リートC2は、先行打設されたコンクリートC1に一体
化せず、ここに打継ぎ目Jが形成されてしまうこととな
る。すると、この部分からの漏水の恐れがあるため、こ
の打継ぎ目Jにおける止水性の確保が要求されていた。
【0006】このような問題に対して、打継ぎ目Jにシ
ール材を配設する工法が考えられる。これには、図9
(a)に示すように、妻型枠6にシール材Sをセットし
ておき、この状態でコンクリートC1を打設することに
より、シール材Sを打継ぎ目となる部分に埋没させてお
く。そして、この後、図9(b)に示すように、休業日
明け等の最初の工程で、コンクリートC2を打設する
と、コンクリートC1とC2との打継ぎ面Jにはシール
材Sが介在することとなり、これによって止水性が確保
されるようになる。
【0007】ところが、このようなシール材Sを用いる
場合にも、埋設されるシール材Sが常に打設コンクリー
トC1の流れに曝されることになり、その結果シール材
Sの劣化損傷や剥がれ等、品質上の問題が生じることが
あり、止水性能を確実に得ることが困難であるという問
題が残る。
【0008】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、より止水性を高めることのできるトンネル
覆工方法およびシールドトンネルの止水構造を提供する
ことを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
シールド掘削機で地山を掘削しつつ、掘削された地山の
周壁を定められた間隔を空けて内型枠で覆い、該内型枠
と前記周壁との間に自硬性充填材を充填することによっ
て前記周壁の内面を覆工するトンネル覆工方法であっ
て、先行して充填した自硬性充填材が硬化した後に、そ
の掘進方向前方側に新たに自硬性充填材を充填するとき
には、前記先行充填した自硬性充填材の打継ぎ目となる
面にシール材を配設し、しかる後に前記新たな自硬性充
填材を充填することを特徴としている。
【0010】先行打設した自硬性充填材が硬化した後
に、打継ぎ目となる部分にシール材を配設するようにし
たので、シール材が打設コンクリートの流れに曝される
ことがない。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1記載のト
ンネル覆工方法であって、前記シール材を配設するとき
には、前記自硬性充填材を加圧するために前記シールド
掘削機に備えられている妻型枠を、前記先行充填した自
硬性充填材側から引き離した後、前記先行充填した自硬
性充填材に臨む側の面に固定手段が予め配されたシール
材を前記妻型枠に仮止めし、続いて前記妻型枠を前記先
行充填した自硬性充填材に押しつけて、前記シール材を
前記先行充填した自硬性充填材に前記固定手段で固定す
ることを特徴としている。
【0012】請求項3に係る発明は、請求項2記載のト
ンネル覆工方法であって、前記シール材を、前記固定手
段よりも固定強度の低い仮止め手段によって前記妻型枠
に仮止めすることを特徴としている。
【0013】このように、妻型枠にシール材を仮止め
し、これを先行充填した自硬性充填材に押しつけた後に
妻型枠を引き離せば、シール材を先行充填した自硬性充
填材側に移し替えて固定することができる。固定手段や
仮止め手段としては、例えば、接着強度を選択できる接
着剤や両面粘着テープ等が好適である。
【0014】請求項4に係る発明は、請求項1記載のト
ンネル覆工方法であって、前記シール材を配設するとき
には、前記自硬性充填材を加圧するために前記シールド
掘削機に備えられている妻型枠を、前記先行充填した自
硬性充填材側から定められた寸法だけ引き離した後、前
記妻型枠と前記先行充填した自硬性充填材との間に、流
動性を有したシール材を注入することを特徴としてい
る。
【0015】このように、妻型枠を、先行充填した自硬
性充填材側から引き離し、その隙間に流動性を有したシ
ール材を注入することによって、このシール材が硬化し
た時点で、打継ぎ目にはシール材が配設されることにな
る。
【0016】請求項5に係る発明は、請求項1記載のト
ンネル覆工方法であって、前記自硬性充填材を先行充填
するときには、前記打継ぎ目となる部分に、前記トンネ
ルの周方向に延在して可撓性を有したチューブを配置し
て該チューブを膨張させておき、前記先行充填した自硬
性充填材が硬化した後に前記チューブを収縮させ、これ
によって形成された空間に、流動性を有した前記シール
材を注入することを特徴としている。
【0017】チューブを膨張させておくことにより、打
継ぎ目にはこのチューブに対応した形状の凹部が周方向
に連続して形成される。そして、先行充填した自硬性充
填材の硬化後にチューブを収縮させ、これによって形成
された空間にシール材を注入することによって、打継ぎ
目にはシール材が配設されることになる。
【0018】請求項6に係る発明は、請求項1から5の
いずれかに記載のトンネル覆工方法であって、前記先行
充填した自硬性充填材の打継ぎ目となる部分には、凹部
または凸部のいずれか一方または双方を形成しておくこ
とを特徴としている。
【0019】打継ぎ目に凹部または凸部が形成されるこ
とにより、一層高い止水性能を得ることが可能となる。
【0020】請求項7に係る発明は、請求項1から6の
いずれかに記載のトンネル覆工方法であって、前記先行
充填した自硬性充填材の打継ぎ目となる面には、前記シ
ール材を配する部分の外周側に、前記トンネルの周方向
に連続する突条を形成しておくことを特徴としている。
【0021】シール材の外周側に突条を形成しておくこ
とにより、この突条が外周側の地山からしみ出てくる水
の流路となる。つまり、地山からしみ出てきた水は、突
条に沿ってトンネルの外周部を伝って下方に導かれるこ
とになる。
【0022】請求項8に係る発明は、請求項7記載のト
ンネル覆工方法であって、前記突条が形成された後に
は、前記突条にパッキンを押し付け、前記パッキンと前
記突条とによって溝を形成することを特徴としている。
【0023】突条にパッキンを押しつけて、このパッキ
ンと突条とで溝を形成することにより、外周側の地山か
らしみ出る水の流路を、この突条とパッキンとによって
形成することが可能となる。
【0024】請求項9に係る発明は、シールド掘削機に
より地山に掘削された坑の周壁と、該周壁の内周側に間
隔を隔てて組まれた内型枠との間に、自硬性充填材が充
填されることによって前記周壁の内面が覆工された構成
のシールドトンネルの止水構造であって、先行充填され
た前記自硬性充填材と、後行充填された前記自硬性充填
材との打継ぎ目には、前記先行充填された自硬性充填材
の硬化後に配設されたシール材が配設されていることを
特徴としている。
【0025】シール材により、打継ぎ目における止水性
を確保することができる。そして、このシール材が、先
行打設した自硬性充填材が硬化した後にセットされたも
のであるので、施工時に、このシール材が打設コンクリ
ートの流れに曝されることがない。
【0026】請求項10に係る発明は、請求項9記載の
シールドトンネルの止水構造であって、前記打継ぎ目に
は、前記トンネルの周方向に連続する凹部または凸部の
いずれか一方または双方が形成されていることを特徴と
している。
【0027】打継ぎ目に凹部または凸部が形成されるこ
とにより、一層高い止水性能を得ることが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るトンネル覆工
方法およびシールドトンネルの止水構造の第一ないし第
四の実施の形態について、図1ないし図7を参照して説
明する。ここではまず、本発明に係る技術の具体的な説
明に先立ち、ECL工法の基本的な構成について説明を
行う。
【0029】図1において、符号1は、地山Gにおいて
トンネルTを掘削するシールド掘削機、2はシールド掘
削機1の外殻を成す例えば円筒状のスキンプレートを、
1aはスキンプレート2の先端部に設けられて地山Gを
掘削するためのカッタを、3はシールド掘削機1によっ
て掘削された坑の周壁Twの内方に所定間隔を隔てて組
み立てられた内型枠を、それぞれ示している。さらに、
符号4は、推進ジャッキであり、内型枠3から反力を取
って、シールド掘削機1を前進させる役割を果たすもの
である。
【0030】そして、スキンプレート2と、スキンプレ
ート2の内方で組み立てられる内型枠3との間の環状の
空間には、その全周にわたるリング状の板材からなる妻
型枠6が、シールド掘削機1の軸線方向に前後動自在に
収められている。この妻型枠6は、空間の前方において
スキンプレート2に固定された押圧ジャッキ7によっ
て、空間内で前後方向に進退駆動されるようになってい
る。
【0031】妻型枠6の外周部には、スキンプレート2
側と内型枠3に接触する部分に図示しないシール部材が
配設されている。また、妻型枠6の先端面、すなわち打
設するモルタルやコンクリート(以下単に「コンクリー
ト」と称する;自硬性充填材)Cを直接的に押圧する面
には、コンクリートCの圧力を検出するため、例えば歪
み計型の土圧計等の圧力センサ(図示なし)が取り付け
られており、この圧力センサは、押圧ジャッキ7の駆動
を制御する制御手段(図示なし)に接続され、妻型枠6
によって押圧されるコンクリートCの圧力を刻々と検出
して制御手段(図示なし)に入力するようになってい
る。
【0032】上記したようなシールド掘削機1でトンネ
ルTを施工する方法について説明すると、図1に示した
ように、トンネルTを掘削するには、まずシールド掘削
機1の前部に備えたカッタ1aで地山Gを掘削して坑を
形成しつつ、スキンプレート2の後方において内型枠3
を所定形状に組み上げる。このようにして内型枠3が所
定形状に組み上げられた後、外周側の坑の周壁Twと、
内型枠3との間の空間に、例えば妻型枠6に形成した図
示しない充填口からコンクリートCを充填する。このと
きには、押圧ジャッキ7を駆動させて、打設したコンク
リートCを妻型枠6で加圧し、その圧力が、周囲の地山
Gの圧力よりも常に高く、かつ先行打設されているコン
クリートCの圧力と同等あるいはやや高い所定の圧力と
なるように圧力を維持する。このとき、押圧ジャッキ7
の作動は、妻型枠6に設けられた圧力センサ(図示な
し)で検出されるコンクリートCの圧力に基づき、制御
手段(図示なし)で制御され、これによってコンクリー
トCの圧力が、周囲の地山Gの圧力を上回る所定範囲内
の値に自動的に保持されるようになっている。
【0033】このようにして、打設されたコンクリート
Cは、先行打設したコンクリートCに一体化され、しか
もそのとき周囲の地山Gから地下水が進入してくること
が防止される。また、コンクリートCの打設を、先行打
設した後方のリングのコンクリートCが硬化する前に行
うことによって、通常は両者のコンクリートCに打継ぎ
目が形成されず、これにより覆工壁Wが連続体として形
成されることとなる。
【0034】次いで、打設したコンクリートCの圧力を
押圧ジャッキ7で保持したまま、推進ジャッキ4で組み
立てた内型枠3に反力を得てシールド掘削機1を前方に
掘進させ、次のリングにおいて新たな内型枠3の組立を
行う。そして、押圧ジャッキ7を縮めて妻型枠6を前方
に移動させながら、コンクリートCの充填−妻型枠6に
よるコンクリートCの押圧を行い、しかる後には、上記
作業を順次繰り返し、トンネルTを構築していく。
【0035】そして、コンクリートCの硬化後には、必
要に応じて内型枠3を脱型する。これによりトンネルT
の覆工壁Wが形成されることとなる。
【0036】このようなトンネルTの施工方法において
は、前述の如く、例えば休業日の前後や、工事が中断さ
れた場合等に、覆工壁Wに打継ぎ目が形成されてしまう
こととなるが、この部分には、以下の各実施の形態で示
すような方法でシール材を配設する。
【0037】[第1の実施の形態]以下に示すものは、
打継ぎ目Jにシール材を配設する方法の第1の実施の形
態を示すものである。図2(a)および(b)に示すよ
うに、例えば休業日の前の最終工程において打設したコ
ンクリート(自硬性充填材)C1が硬化した後に、妻型
枠6を組付けの完了している内型枠3よりも手前に引き
戻し、この妻型枠6に、周方向に連続して例えばゴム製
等の材料からなる止水シール材(シール材)10を妻型
枠6に貼り付ける。この時、止水シール材10には、妻
型枠6に面する側10aと、硬化したコンクリートC1
に面する側10bとの双方に、例えば両面テープや接着
剤等の貼付手段を貼付あるいは塗布するが、妻型枠6に
面する側10aの貼付手段(仮止め手段)の方が、コン
クリートC1に面する側10bの貼付手段(固定手段)
よりも接着強度が低くなるよう、貼付手段の材質を選択
する。
【0038】続いて、図2(c)に示すように、内型枠
3を新たに1リング分組み立てる。これにより、妻型枠
6は内型枠3とスキンプレート2との間に位置した状態
となる。この状態で、妻型枠6を、先行打設して硬化し
たコンクリートC1に押しつける。この後、図2(d)
に示すように、妻型枠6を引き戻すと、接着強度の違い
から、妻型枠6に貼り付いていた止水シール材10は、
コンクリートC1側に張り替えられるのである。
【0039】この後、シールド掘削機1を掘進させなが
ら、その後部において内型枠3と周囲の地山Gとの空隙
に新たなコンクリート(自硬性充填材)C2を打設す
る。すると、図2(e)に示すように、止水シール材1
0は、新たなコンクリートC2と先行打設されて硬化し
ているコンクリートC1との打継ぎ目Jに埋め込まれた
形態となる。
【0040】その結果、打継ぎ目Jにおけるシール性を
確実に発揮して、この部分からトンネルT内への漏水を
防止することが可能となる。また、止水シール材10
が、硬化した後のコンクリートC1に貼り付けられる構
成となっているので、掘進及びコンクリートC1打設中
に、止水シール材10がコンクリートC1の流動に曝さ
れることがなく、止水シール材10の止水性能が確実に
確保される。
【0041】さらに、止水シール材10を妻型枠6に貼
り付け、これを硬化したコンクリートC1に貼り付け替
える構成としたので、当然、止水シール材10をコンク
リートC1に手で直接貼り付ける必要がない。したがっ
て、例えばコンクリート打設作業中にトラブル等が発生
して打継ぎ目Jが生じてしまう事態となったとき等であ
っても、妻型枠6を若干引き戻すだけで容易に止水シー
ル材10のセットを行うことが可能となる。
【0042】[第2の実施の形態]次に、打継ぎ目Jに
シール材を配設する方法の第2の実施の形態を示す。図
3に示すように、妻型枠6の型枠面には、形成すべきト
ンネルTの周方向に連続する突条20が複数本形成され
ている。さらに、この妻型枠6には、複数本の突条20
が設けられている部分にシール材注入孔21が形成され
ている。そして、流動性と自硬性とを有してジェル状あ
るいはフォーム状等とされた止水シール材(シール材)
22が、図示しない供給源から送給されてこのシール材
注入孔21から吐出されるようになっているのである。
【0043】そして、休業日等の後に工事を行うときに
は、妻型枠6を、硬化したコンクリートC1から、所定
寸法(例えば1cm)程度引き戻す。これにより妻型枠
6と硬化しているコンクリートC1との間に空隙が生じ
ることとなるので、この空隙に、シール材注入孔21か
ら、止水シール材22を注入充填する。この止水シール
材22は、時間の経過とともに硬化する。
【0044】この後、前記第1の実施の形態と同様、新
たにコンクリートを打設することにより、休業日等を挟
んで前後に位置するコンクリートの打継ぎ目には、止水
シール材22が配設されることになり、これにより打継
ぎ目の止水を確実に行うことができる。さらに、止水シ
ール材22が配設された部分には、妻型枠6の突条20
により凹凸条(凹部または凸部)23が形成されること
になるので、これによって止水シール材22による止水
性がより有効なものとなる。
【0045】そして、この止水シール材22を充填する
ときには、妻型枠6を最小限の寸法だけ引き戻せばよい
ので、上記第1の実施の形態のように、妻型枠6を内型
枠3から外した位置まで引き戻して止水シール材10を
妻型枠6に直接取り付ける必要がなく、作業を容易に行
うことができ、施工性が向上すると共に、コストダウン
にもつながる。
【0046】なお、ここでは、妻型枠6に形成する突条
20の断面形状や数等については何ら限定するものでは
ない。例えば図4に示すように、突条20’の断面形状
を半円形とし、これにより先行打設されたコンクリート
C1に略半円形の凹凸条(凹部または凸部)23’を形
成するような構成とすることも可能である。
【0047】また、この止水シール材22としては、水
膨張性を有したもの等を用いることにより、止水をより
確実に行うことが可能となる。勿論、他の材料を適宜採
用することが可能である。
【0048】[第3の実施の形態]次に、打継ぎ目Jに
シール材を配設する方法の第3の実施の形態を示す。こ
こでは、図5に示すように、妻型枠6の型枠面側に、例
えばゴム系材料等、止水性と可撓性とを有した材料によ
り形成されて、シールド掘削機1の周方向に延在するチ
ューブ30が配設されている。妻型枠6には、このチュ
ーブ30を収めるための略半円形状の凹部31が形成さ
れている。さらに、妻型枠6には、チューブ30の内部
に連通する供給・排出管33が設けられており、これら
を通してチューブ30の内部に空気や水等を充填・排出
させることによってチューブ30が膨張・収縮可能とな
っている。
【0049】このような妻型枠6を用い、休業日前等の
最後の打設工程においては、チューブ30の内部に、空
気または水を入れてこれを膨張させておく。この状態で
コンクリートC1を打設することにより、打設されたコ
ンクリートC1の打継ぎ目となる部分には、略半円形の
断面形状を有した凹溝34が、トンネルTの周方向に延
在するよう形成される。
【0050】その後、図5(b)に示すように、先行打
設したコンクリートC1が硬化した後には、休業日明け
等の最初の工程で、まず、チューブ30内の空気や水を
供給・排出管33から排出してチューブ30を収縮させ
る。すると、先行打設されたコンクリートC1に形成さ
れた断面半円形状の凹溝34と、妻型枠6に予め形成さ
れている凹部31とによって、断面略円形の空間35が
形成されることになる。そして、図5(c)に示すよう
に、この空間35に、妻型枠6に形成された注入孔36
を通して、流動性と自硬性とを有した止水シール材(シ
ール材)37を注入充填するのである。充填された止水
シール材37は、時間の経過と共に硬化する。
【0051】この後、図5(d)に示すように、妻型枠
6を例えば7〜8cm程度引き下げながら、チューブ3
0内に供給・排出管33から空気や水を注入することに
より、チューブ30を膨張させる。これは、チューブ3
0の膨張により止水シール材37を凹溝34に押し付け
るためである。
【0052】しかる後、新たにコンクリートC2を打設
することにより、新たなコンクリートC2と先行打設さ
れたコンクリートC1の打継ぎ目Jに止水シール材37
が介在し、高い止水性能を得ることができる。
【0053】また、止水シール材37を設置するために
妻型枠6を動かしてスペースをつくる必要がなく、した
がって、作業の効率化を図るとともに作業安全性を向上
させることができる。
【0054】このとき、この止水シール材37として
は、水膨張性を有したもの等を用いることにより、止水
をより確実に行うことが可能となる。勿論、他の材料を
適宜採用することが可能である。
【0055】[第4の実施の形態]次に、打継ぎ目Jに
シール材を配設する方法の第4の実施の形態を示す。図
6に示すように、ここでは、妻型枠6の型枠面側には、
形成すべきトンネルTの周方向に延在する凹溝40が形
成されている。この凹溝40は、配設すべき止水シール
材10よりも外周側に位置するよう形成されている。
【0056】このような妻型枠6により、先行打設され
て硬化したコンクリートC1には、周方向に延在する突
条42が形成されることになる。
【0057】続いて、前記第1の実施の形態と同様にし
て、妻型枠6を一旦引き込んで止水シール材10を貼り
付け、これを先行打設したコンクリートC1に押し付け
て貼り付ける。この止水シール材10は、凹溝40より
も内周側に位置するよう貼付される。
【0058】このとき、硬化したコンクリートC1に
は、止水シール材10を貼り付けるべき部分よりも外周
側に突条42が形成されているので、外周側の地山Gか
ら水Wが流れ込んできたときには、この水Wは突条42
に沿って導かれ、突条42の外周側を伝って流れ落ちる
ようになっている。したがって、止水シール材10を貼
り付けるべき部分が濡れるのを防止することができ、止
水シール材10の貼付を確実に行うことが可能となるの
である。
【0059】そしてこの後、施工を続行し、前記第1の
実施の形態と同様に、新たにコンクリートC2(図2参
照)を打設することにより、打継ぎ目Jにおいては、止
水シール材10によって高い止水性が確保される。ま
た、打継ぎ目Jに形成されることになる突条42も、止
水性を高めるという機能を有するものとなる。
【0060】なお、上記実施の形態において、図7に示
すように、妻型枠6側に、図示しないシリンダ等により
前後方向に進退可能なパッキン45を設けておくように
してもよい。このような構成においては、止水シール材
10を妻型枠6(図6参照)に貼り付けるために妻型枠
6を引き込んでいる間、パッキン45を突条42に押し
つけておくことにより、パッキン45と突条42と硬化
したコンクリートC1の端面とによって断面視略U字状
の溝46が形成されることになる。その結果、周囲地山
からしみ出てくる水Wを確実に処理することができ、よ
り高い効果を得ることが可能となる。
【0061】なお、上記実施の形態において、本工法に
用いるシールド掘削機1の構造については何ら限定する
ものではなく、ECL工法を実施することができるので
あれば、いかなる構成のシールド掘削機1を適用しても
良い。
【0062】加えて、上記実施の形態では、断面視円形
のトンネルTを構築する場合を例に挙げたが、構築する
トンネルT自体の構成については限定する意図はなく、
断面視矩形のものをはじめとした他の形状のトンネルT
等にも本発明の技術を適用することが可能である。
【0063】これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない
範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また
上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものと
しても良いのは言うまでもない。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るト
ンネル覆工方法によれば、先行打設した自硬性充填材が
硬化した後に、その打継ぎ目となる部分にシール材を配
設するようにしたので、シール材が打設コンクリートの
流れに曝されることがない。したがって、シール材の劣
化損傷等、品質上の問題となることもなく止水性能を確
実に発揮することができる。
【0065】請求項2,3に係るトンネル覆工方法によ
れば、妻型枠にシール材を仮止めし、続いて妻型枠を先
行充填した自硬性充填材に押しつけて、シール材を先行
充填した自硬性充填材に固定する構成とした。このよう
にして、シール材のセット作業を容易に行うことが可能
となり、作業効率と安全性の向上を図ることができる。
【0066】請求項4に係るトンネル覆工方法によれ
ば、妻型枠を、先行充填した自硬性充填材側から引き離
し、その隙間に流動性を有したシール材を注入すること
によって、このシール材が硬化した時点で打継ぎ面の止
水を確実にすることができる。しかもこのような流動性
を有したシール材は、妻型枠に充填孔を形成しておく等
すれば充填を行うことができ、通常のシール材等のよう
に妻型枠を一旦引き離し、そこにシール材を固定する等
の必要がない。したがって、作業を効率良くかつ安全に
行うことが可能となる。
【0067】請求項5に係るトンネル覆工方法によれ
ば、チューブを膨張させておくことにより、打継ぎ目に
はこのチューブに対応した形状の凹部が周方向に連続し
て形成される。そして、先行充填した自硬性充填材の硬
化後にチューブを収縮させ、凹部にシール材を注入する
ことによって、打継ぎ目のシールを確実に図ることがで
きる。このような工法においても、通常のシール材等の
ように妻型枠を一旦引き離してシール材を固定する等の
必要がなく、作業を効率良く行うことが可能となる。
【0068】請求項6に係るトンネル覆工方法によれ
ば、打継ぎ目に凹部または凸部が形成されることによ
り、この凹部または凸部とシール材とによって一層高い
止水性能を得ることが可能となる。
【0069】請求項7、8に係るトンネル覆工方法によ
れば、シール材の外周側に突条を形成しておくことによ
り、この突条が外周側の地山からしみ出てくる水の流路
となる。つまり、地山からしみ出てきた水は、突条に沿
ってトンネルの外周部を伝い下方に導かることになる。
その結果、シール材の固定を確実に行え、またトンネル
内への漏水を防止できるようになっている。
【0070】請求項9に係るシールドトンネルの止水構
造によれば、先行打設した自硬性充填材が硬化した後
に、その打継ぎ目となる部分にシール材を配設するよう
にしたので、シール材が打設コンクリートの流れに曝さ
れることがない。したがって、シール材の劣化損傷等、
品質上の問題となることもなく、止水性能を確実に発揮
することができる。
【0071】請求項10に係るシールドトンネルの止水
構造によれば、打継ぎ目に凹部または凸部が形成される
ことにより、一層高い止水性能を得ることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトンネル覆工方法およびシール
ドトンネルの止水構造の実施の形態を示す図であって、
トンネル覆工方法の基本的な構成を示すための図であ
る。
【図2】 本発明に係るトンネル覆工方法およびシール
ドトンネルの止水構造の第1の実施の形態を示す工程図
である。
【図3】 本発明に係るトンネル覆工方法およびシール
ドトンネルの止水構造の第2の実施の形態を示す工程図
である。
【図4】 第2の実施の形態の他の例を示す図である。
【図5】 本発明に係るトンネル覆工方法およびシール
ドトンネルの止水構造の第3の実施の形態を示す工程図
である。
【図6】 本発明に係るトンネル覆工方法およびシール
ドトンネルの止水構造の第4の実施の形態を示す工程図
である。
【図7】 第4の実施の形態の他の例を示す図である。
【図8】 従来のトンネル覆工方法を示す工程図であ
る。
【図9】 従来のトンネル覆工方法の他の例を示す工程
図である。
【符号の説明】 1 シールド掘削機 3 内型枠 6 妻型枠 10,22,37 止水シール材(シール材) 23、23’ 凹凸条(凹部または凸部) 30 チューブ 35 空間 42 突条 45 パッキン C,C1,C2 コンクリート(自硬性充填材) G 地山 J 打継ぎ目 T トンネル Tw 周壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青山 哲也 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 渡辺 真帆 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 西村 晋一 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 宮沢 和夫 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 Fターム(参考) 2D054 AC01 AD20 2D055 BA01 BB01 DA03 GC09 JA00 KB14

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シールド掘削機で地山を掘削しつつ、掘
    削された地山の周壁を定められた間隔を空けて内型枠で
    覆い、該内型枠と前記周壁との間に自硬性充填材を充填
    することによって前記周壁の内面を覆工するトンネル覆
    工方法であって、 先行して充填した自硬性充填材が硬化した後に、その掘
    進方向前方側に新たに自硬性充填材を充填するときに
    は、前記先行充填した自硬性充填材の打継ぎ目となる面
    にシール材を配設し、しかる後に前記新たな自硬性充填
    材を充填することを特徴とするトンネル覆工方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトンネル覆工方法であっ
    て、前記シール材を配設するときには、前記自硬性充填
    材を加圧するために前記シールド掘削機に備えられてい
    る妻型枠を、前記先行充填した自硬性充填材側から引き
    離した後、 前記先行充填した自硬性充填材に臨む側の面に固定手段
    が予め配されたシール材を前記妻型枠に仮止めし、続い
    て前記妻型枠を前記先行充填した自硬性充填材に押しつ
    けて、前記シール材を前記先行充填した自硬性充填材に
    前記固定手段で固定することを特徴とするトンネル覆工
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のトンネル覆工方法であっ
    て、前記シール材を、前記固定手段よりも固定強度の低
    い仮止め手段によって前記妻型枠に仮止めすることを特
    徴とするトンネル覆工方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のトンネル覆工方法であっ
    て、前記シール材を配設するときには、前記自硬性充填
    材を加圧するために前記シールド掘削機に備えられてい
    る妻型枠を、前記先行充填した自硬性充填材側から定め
    られた寸法だけ引き離した後、前記妻型枠と前記先行充
    填した自硬性充填材との間に、流動性を有したシール材
    を注入することを特徴とするトンネル覆工方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のトンネル覆工方法であっ
    て、前記自硬性充填材を先行充填するときには、前記打
    継ぎ目となる部分に、前記トンネルの周方向に延在して
    可撓性を有したチューブを配置して該チューブを膨張さ
    せておき、前記先行充填した自硬性充填材が硬化した後
    に前記チューブを収縮させ、これによって形成された空
    間に、流動性を有した前記シール材を注入することを特
    徴とするトンネル覆工方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載のトン
    ネル覆工方法であって、前記先行充填した自硬性充填材
    の打継ぎ目となる部分には、凹部または凸部のいずれか
    一方または双方を形成しておくことを特徴とするトンネ
    ル覆工方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載のトン
    ネル覆工方法であって、前記先行充填した自硬性充填材
    の打継ぎ目となる面には、前記シール材を配する部分の
    外周側に、前記トンネルの周方向に連続する突条を形成
    しておくことを特徴とするトンネル覆工方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のトンネル覆工方法であっ
    て、前記突条が形成された後には、前記突条にパッキン
    を押し付け、前記パッキンと前記突条とによって溝を形
    成することを特徴とするトンネル覆工方法。
  9. 【請求項9】 シールド掘削機により地山に掘削された
    坑の周壁と、該周壁の内周側に間隔を隔てて組まれた内
    型枠との間に、自硬性充填材が充填されることによって
    前記周壁の内面が覆工された構成のシールドトンネルの
    止水構造であって、 先行充填された前記自硬性充填材と、後行充填された前
    記自硬性充填材との打継ぎ目には、前記先行充填された
    自硬性充填材の硬化後に配設されたシール材が配設され
    ていることを特徴とするシールドトンネルの止水構造。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のシールドトンネルの止
    水構造であって、前記打継ぎ目には、前記トンネルの周
    方向に連続する凹部または凸部のいずれか一方または双
    方が形成されていることを特徴とするシールドトンネル
    の止水構造。
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