JP4334808B2 - 平面研削方法及び平面研削装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水平回転する砥石によって被研削物の上面を研削加工する平面研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の上記平面研削装置は、一般的に、ベッドと、ベッド上に設けられたコラムと、鉛直上下方向に移動可能に前記コラムに支持された砥石台と、鉛直方向に沿って配設され、中心軸回りに回転自在に前記砥石台に保持されるとともに、砥石を支持して該砥石を水平回転せしめる砥石軸と、前記砥石台を鉛直上下方向に移動させる送り手段と、前記砥石軸を回転させる砥石軸駆動手段と、前記砥石軸の下方位置で、垂直軸回りに回転自在に配設され、被研削物をその上面が前記砥石の下面に対向した状態に把持するクランプ手段と、このクランプ手段を回転させる回転駆動手段とを備えた構造となっている。
【0003】
この平面研削装置では、クランプ手段によって被研削物を把持した後、回転駆動手段によりクランプ手段を回転させて、当該被研削物を回転させるとともに、砥石軸駆動手段によって砥石軸及び砥石を回転させた状態で、送り手段により砥石台を下方に移動させることで、被研削物の上面に砥石が接触して当該被研削物の上面が研削加工される。
【0004】
尚、前記クランプ手段には、通常、コレットチャック,ダイヤフラムチャック,マグネットチャックやバキュームチャックなどが用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来の平面研削装置では、被研削物をクランプ手段により把持して回転させる構造となっているため、以下に説明するような問題があった。
【0006】
即ち、クランプ手段によって被研削物を把持すると、その際に、当該被研削物が取付基準面から浮き上がったり、或いは被研削物にクランプ歪を生じるといった不都合を引き起こす場合があり、このような場合には、被研削面の平坦度や基準面に対する平行度といった研削精度を所定の範囲内に収めることができない。
【0007】
また、研削加工の間、クランプ手段は、常に、加工によって生じた研削くずや砥粒、或いは研削液などにさらされている。このため、当該クランプ手段の動作部分に研削くずや砥粒が侵入しやすく、同動作部分が磨耗,損傷してクランプ手段が故障するといった事態を招きやすい。このため、機械の稼働率が低下するなど、生産性の向上を図ることができなかった。
【0008】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであって、研削加工精度の低下を防ぐことが可能であり、しかも故障の少ない被研削物回転機構を備えた平面研削装置の提供を、その目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記課題を解決するための本発明は、被研削物を、垂直軸回りに回転する回転体上に、摩擦体を介在させ且つ自由状態で載置し、前記被研削物の自重により前記摩擦体と被研削物との間に生じる静摩擦力によって前記被研削物を前記垂直軸回りに回転せしめ、しかる後、同じく垂直軸回りに回転せしめられる研削砥石の下面を前記被研削物の上面に当接させて、前記研削砥石の当接により前記被研削物に作用する垂直方向の研削力と、前記被研削物の自重との合力によって、前記摩擦体と被研削物との間に前記合力に応じた静摩擦力を生じさせ、生じた該静摩擦力により前記被研削物の回転を維持しつつ、前記研削砥石によって前記被研削物の上面を研削加工するようにした平面研削方法であって、前記摩擦体は、前記回転体の上面に固設された金属板、又は前記回転体の上面に直接的若しくは間接的に接着されたダイヤモンド粒から構成されるとともに、該摩擦体と前記被研削物との間の静摩擦係数が0.1以上0.2以下となるように構成されてなることを特徴とする平面研削方法に係る。
【0010】
また、この平面研削方法は、以下の平面研削装置に係る装置発明によってこれを好適に実施することができる。即ち、この平面研削装置は、ベッドと、ベッド上に設けられたコラムと、コラムに支持された砥石台と、鉛直方向に沿って配設され、中心軸回りに回転自在に前記砥石台に保持されるとともに、砥石を支持して該砥石を回転せしめる砥石軸と、砥石軸を回転させる砥石軸駆動手段と、砥石軸の下方に配設されて、垂直軸回りに回転する回転体と、ベッドに支持され、回転体を回転自在に保持する回転体保持手段と、砥石軸と回転体とを鉛直方向に相対移動させて、相互に接近/離反せしめる送り手段と、前記回転体の上面に固設された金属板、又は前記回転体の上面に直接的若しくは間接的に接着されたダイヤモンド粒から構成され、被研削物が載置される摩擦体であって、該摩擦体と前記被研削物との間の静摩擦係数が0.1以上0.2以下となるように構成された摩擦体と、回転体を回転させる回転体駆動手段とを設けて構成したことを特徴とする。
【0011】
この平面研削装置では、まず、被研削物を前記摩擦体上に載置せしめた後、回転体駆動手段により前記回転体及び摩擦体を回転せしめる。被研削物と摩擦体との間には、被研削物の重量に応じた静摩擦力が作用しており、被研削物はこの静摩擦力により摩擦体とともに回転する。
【0012】
次いで、砥石軸駆動手段によって砥石軸及び砥石を回転させた状態で、送り手段により砥石軸と回転体とを相互に接近せしめて、砥石が所定の切り込み量で被研削物の上面に押し付けられた状態にする。これにより、図5(a)及び(b)に示すように、被研削物Kには、砥石Tの回転接線方向の接線研削力(これをFtという)及び垂直方向の垂直研削力(これをFnという)が作用することになる。尚、この垂直研削力Fnは被研削物Kを摩擦体Mに押し付ける力である。
【0013】
また、被研削物Kと摩擦体Mとの間には、被研削物Kの自重Wと前記垂直研削力Fnとを加えた作用力に、被研削物Kと摩擦体Mとの間の静摩擦係数μを乗じて得られる静摩擦力Frが作用する。即ち、
Fr=(W+Fn)×μ …(1)
【0014】
一方、被研削物Kは、前記接線研削力Ftによって研削加工されるとともに、その回転成分として当該被研削物Kの回転方向と逆方向の作用力(即ち、被研削物Kの回転を止めようとする抗力であって、これを、Fsという)を受ける。したがって、次式、
Fr=(W+Fn)×μ>Fs …(2)
即ち、
μ>Fs/(W+Fn) …(3)
を、被研削物Kと摩擦体Mとの間の静摩擦係数μ(0.1以上0.2以下)が満足すれば、砥石Tが被研削物Kに接触した後も当該被研削物Kを回転させることができ、その上面を研削加工することができる。
【0015】
一般に、前記接線研削力Ftと垂直研削力Fnとは、次式、
Fn=(2〜3)×Ft …(4)
の関係となることが知られており、また、前記作用力Fsと垂直研削力Fnとは、次式、Fs=(0.03〜0.05)×Fn …(5)
の関係となることが知られている。
【0016】
したがって、上式(3)は、次式、
μ>(0.03〜0.05) …(6)
となる。本発明では、被研削物Kと摩擦体Mとの間の静摩擦係数μが0.1以上0.2以下となるように摩擦体Mを構成しており、上式(6)を満足するので、砥石Tが被研削物Kに接触した後も当該被研削物Kを回転させることができ、その上面を研削加工することができる。但し、被研削物Kの自重Wは垂直研削力Fnに対して無視できるほどに小さいものとする。また、静摩擦係数μを0.1以上としているのは、加工の安定性を考慮したためである。
【0017】
尚、摩擦体Mに金属板を用いる場合、上記静摩擦力を生じるのであれば、前記被研削物Kとの当接面が比較的滑らかなものであっても良いが、より大きな静摩擦力を生じさせるためには、当該当接面に凹凸を形成するのが好ましい。また、摩擦体Mにダイヤモンド粒を用いる場合、これを回転体の上面に接着した態様や、適宜金属板表面に接着した当該金属板を前記回転体上面に固設した態様を採ることができる。
【0018】
このように、本発明に係る平面研削方法及び平面研削装置では、被研削物Kを把持することなく、砥石Tの研削力によって被研削物Kと摩擦体Mとの間に作用する静摩擦力により、当該被研削物Kを回転させるようにしているので、上記従来例のように、被研削物Kが取付基準面から浮き上がったり、或いは被研削物Kにクランプ歪を生じるといった不都合を生じることがなく、被研削面の平坦度や基準面に対する平行度などを高精度に仕上げることができる。
【0019】
また、従来のクランプ手段のような動作部分が無いため、研削くずや砥粒にさらされることによって生じる故障部分が少なく、機械の稼働率を高めることができる。更に、クランプ手段が不要である分、装置の製造コストを低減することができ、また、クランプ動作が不要である分、加工に要する時間を短縮することができる。
【0020】
上記平面研削装置において、研削加工の自動化を図る場合には、前記被研削物Kを前記摩擦体M上に供給し、該摩擦体M上から前記被研削物Kを排出する供給/排出装置を設けると良い。
【0021】
そして、前記供給/排出装置は、水平回転する移送部材と、該移送部材の下方に配設される支持円板と、前記移送部材を回転させる駆動手段とを備えて構成され、前記支持円板が、その端部に貫通穴を備え、該貫通穴に前記摩擦体M、又は前記摩擦体M及び前記回転体の上端部が挿入され、且つその上面が前記摩擦体Mの上面とほぼ同一平面状に位置するように配設され、前記移送部材が、前記支持円板の貫通穴と合致する回転ピッチ円上であって、180度対称位置に、上下に貫通した保持穴を備えて、該保持穴内に前記被研削物Kを収容,保持するように構成され、前記移送部材の保持穴内に保持された被研削物Kが、該移送部材の回転により前記支持円板上を滑動して、待機位置から前記摩擦体M上の研削位置に供給され、該研削位置から前記待機位置に排出されるように構成されたものであっても良い。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施形態について添付図面に基づき説明する。図1は、本実施形態に係る平面研削装置の概略構成を示した側面図であり、図2は、図1における矢示A−A方向の断面図であり、図3は、図1における矢示B方向の平面図である。また、図4は、図3における矢示C−C方向の断面図である。
【0023】
図1乃至図4に示すように、本例の平面研削装置1は、ベッド10と、このベッド10上に固設されたコラム11と、矢示Z軸方向に移動可能に前記コラム11に支持された砥石台12と、矢示Z軸方向に沿って配設され、中心軸回りに回転自在に前記砥石台12に保持されるとともに、砥石13を支持して水平回転せしめる砥石軸14と、前記ベッド10上に配設された基台15と、前記砥石軸14の下方に配設されて、Z軸回りに回転する回転体20と、前記基台15に支持され、前記回転体20を回転自在に保持する回転体保持手段30と、前記回転体20の上端面に固設され、被研削物Kが載置される摩擦体33などを備える。
【0024】
また、前記平面研削装置1は、前記砥石台12を矢示Z軸方向に移動させる送り手段(図示せず)と、前記砥石軸14を回転させる砥石軸駆動手段16と、前記回転体20を回転させる回転体駆動手段40と、前記被研削物Kを前記摩擦体33上に供給するとともに、この摩擦体33上から前記被研削物Kを排出する供給/排出装置50などを備える。
【0025】
前記摩擦体33には、鉄製の円板を用いており、その表面と被研削物Kとの間の静摩擦係数μは0.15〜0.2となっている。かかる摩擦体33としては、この他にダイヤモンド粒を用いることができ、これを直接回転体20の上面に接着したり、或いは、これを適宜金属板表面に接着したものを回転体20の上面に固設した態様とすることができる。また、鉄製の円板を用いる場合に、その表面に凹凸を形成しても良い。
【0026】
前記送り手段(図示せず)は、サーボモータ17やボールねじ(図示せず)などからなり、前記駆動手段16は、駆動モータなどからなる。また、前記基台15には、その上面から下面に貫通する2つの貫通穴15a,15bが形成されている。
【0027】
前記回転体20は、Z軸方向に沿って配設され、下部に回転軸プーリ21を備えた回転軸22と、この回転軸22の上面に固設された上部部材23などから構成されており、この上部部材23の上面に前記摩擦体33が固設されている。
【0028】
前記回転体保持手段30は、適宜所定間隔を隔てて設けられた3つのベアリング31と、ベアリング31を支持する中空の保持部材32などから構成されており、このベアリング31によって前記回転軸22が回転自在に保持されている。また、前記保持部材32は、その下部が前記貫通穴15aから下側に突出するように、前記基台15に支持されている。
【0029】
前記回転体駆動手段40は、前記ベッド10に設けられた駆動モータ41と、この駆動モータ41の出力軸に設けられた出力軸プーリ42と、この出力軸プーリ42及び前記回転軸プーリ21に掛け回された駆動ベルト43などから構成される。
【0030】
斯くして、前記駆動モータ41の回転動力が、前記出力軸プーリ42,駆動ベルト43及び回転軸プーリ21を介して前記回転軸22に伝達され、これにより、前記回転軸22,上部部材24及び摩擦体33が一体的に回転する。
【0031】
前記供給/排出装置50は、水平回転可能に設けられた移送部材51と、この移送部材51の下方に配設された円形の支持円板52と、この支持円板52が載置,固定されるほぼ矩形の支持台53と、前記移送部材51を回転させる移送部材駆動手段60などから構成される。
【0032】
前記支持円板52には、その端部に上面から下面に貫通した貫通穴52aと、その中心位置に上面から下面に貫通した貫通穴52bとが形成されており、この貫通穴52aに前記摩擦体33が挿入される。また、前記支持円板52は、その上面と前記摩擦体33の上面とがほぼ同一平面となるように構成されている。
【0033】
前記移送部材51には、前記支持円板52の貫通穴52aと合致する回転ピッチ円上であって、図3に示すように、上面から下面に貫通した2つの貫通穴51aが形成されており、各貫通穴51aに保持部材54がそれぞれ嵌挿,固定されている。
【0034】
また、前記保持部材54には、上面から下面に貫通した保持穴54aが形成されており、この保持穴54a内に前記被研削物Kが収容され、保持される。
【0035】
前記移送部材駆動手段60は、Z軸方向に沿って配設された回転軸61と、この回転軸61の上端部に固設されるとともに、上部が前記支持円板52の貫通穴52bに挿入されたカバー体62と、このカバー体62の上面に固設されるとともに、前記移送部材51に連結された連結部材63と、この連結部材63との協働によって前記移送部材51を挟持する押え部材64などからなる。
【0036】
また、前記移送部材駆動手段60は、適宜所定間隔を隔てて設けられた2つのベアリング65,66と、このベアリング65,66を支持する中空の保持部材67などを備えており、このベアリング65,66によって前記回転軸61が回転自在に保持されている。また、前記保持部材67は、その下部が前記貫通穴15bから下側に突出するように、前記基台15に支持されており、その下端部には、出力軸69が前記回転軸61の下端部と係合した駆動モータ68が配設されている。
【0037】
斯くして、前記駆動モータ68の回転動力が前記回転軸61に伝達され、これにより、前記回転軸61,カバー体62,連結部材63及び移送部材51が一体的に回転せしめられる。
【0038】
そして、前記移送部材51が回転すると、前記保持部材54の保持穴54a内に収容,保持された前記被研削物Kが、この保持部材54によって案内されながら前記支持円板52上を滑動して、待機位置から前記摩擦体33上の研削位置に供給され、この研削位置から前記待機位置に排出される。
【0039】
但し、本例では、前記移送部材51は、180度ずつ回転するように構成されているものとし、前記砥石13の下方位置を前記研削位置と、これから180度回転した位置を前記待機位置とする。
【0040】
尚、前記平面研削装置1には、位置調整ボルト70が設けられており、この位置調整ボルト70を締めたり、緩めたりすることで、前記基台15を前記ベッド10に対して相対的に矢示E方向に移動させることができる。これにより、被研削物Kの大きさや加工範囲などに合わせて、前記研削位置における被研削物Kと砥石13との位置関係を調整することができる。
【0041】
以上のように構成された本例の平面研削装置1によれば、まず、待機位置にある保持部材54の保持穴54a内に被研削物Kをそれぞれ収容,保持させた後、駆動モータ68を駆動させると、この駆動モータ68の回転動力が回転軸61に伝達され、これにより回転軸61,カバー体62,連結部材63及び移送部材51が一体的に回転せしめられる。
【0042】
こうして、前記被研削物Kは、前記保持部材54によって案内されながら、待機位置から研削位置に向けて支持円板52上を滑動し、前記移送部材51が180度回転すると、前記被研削物Kが摩擦体33上に載置せしめられる。
【0043】
そして、駆動モータ41を駆動させると、この駆動モータ41の回転動力が、前記出力軸プーリ42,駆動ベルト43及び回転軸プーリ21を介して前記回転軸22に伝達され、これにより、前記回転軸22,上部部材24及び摩擦体33が一体的に回転せしめられる。前記被研削物Kと摩擦体33との間には、被研削物Kの重量に応じた静摩擦力が作用しており、被研削物Kはこの静摩擦力により摩擦体33とともに回転する。
【0044】
次いで、砥石軸駆動手段16によって砥石軸14及び砥石13を回転させた状態で、送り手段(図示せず)により砥石台12を矢示Z軸方向下方に移動させて、砥石13を所定の切り込み量で被研削物Kの上面に押し付けられた状態にする。これにより、図5に示すように、被研削物Kには、砥石13の回転接線方向の接線研削力Ft及び垂直方向の垂直研削力Fnが作用することになる。尚、この垂直研削力Fnは被研削物Kを摩擦体33の上面に押し付ける力である。
【0045】
また、被研削物Kと摩擦体33との間には、被研削物Kの自重Wと垂直研削力Fnとを加えた作用力に、被研削物Kと摩擦体33との間の静摩擦係数μ(=0.15〜0.20)を乗じて得られる静摩擦力Frが作用する。即ち、
Fr=(W+Fn)×μ …(7)
【0046】
一方、被研削物Kは、接線研削力Ftによって研削加工されるとともに、その回転成分として当該被研削物Kの回転方向と逆方向の作用力Fsを受ける。尚、作用力Fsは、次式、
Fs=(0.03〜0.05)×Fn …(8)
となる。
【0047】
被研削物Kの自重Wが垂直研削力Fnに対して無視できるほどに小さいものとすると、上式(7)と(8)とから明らかなように、静摩擦力Frと作用力Fsとは、次式、
Fr>Fs …(9)
の関係となる。したがって、砥石13が被研削物Kに接触した後も前記摩擦体33との間に生じた静摩擦力Frによって当該被研削物Kを回転させることができ、その上面を研削加工することができる。
【0048】
そして、被研削物Kに対する所定の研削加工が完了すると、砥石台12を矢示Z軸方向上方に移動させた後、前記移送部材51を再び回転させて、研削位置にある被研削物Kを待機位置に、待機位置にある被研削物Kを研削位置にそれぞれ移動させる。以後、待機位置に移送された研削加工後の被研削物Kは、同位置の保持部材54内から取り出され、同保持部材54内に未加工の新たな被研削物Kが装着される一方、研削位置に移送された被研削物Kは、上記と同様にして研削加工される。
【0049】
このように、本例の平面研削装置1では、被研削物Kを把持することなく、砥石13の研削力によって被研削物Kと摩擦体33との間に作用する静摩擦力により、被研削物Kを回転させるようにしているので、上記従来例に係る平面研削装置のように、被研削物Kが取付基準面から浮き上がったり、或いは被研削物Kにクランプ歪を生じるといった不都合を生じることがなく、被研削面の平坦度や基準面に対する平行度などを高精度に仕上げることができる。
【0050】
また、従来のクランプ手段のような動作部分が無いため、研削くずや砥粒にさらされることによって生じる故障部分が少なく、機械の稼働率を高めることができる。更に、クランプ手段が不要である分、装置の製造コストを低減することができ、また、クランプ動作が不要である分、加工に要する時間を短縮することができる。
【0051】
更に、被研削物Kを研削位置及び待機位置に移動させる供給/排出装置50を備えているので、効率的に被研削物Kを加工することができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0053】
上述の例では、摩擦体33として、その表面と被研削物Kとの間の静摩擦係数μが0.15〜0.2である鉄製の円板を例示したが、静摩擦係数μが0.1以上0.2以下であれば、他の金属板であっても良く、また、ダイヤモンド粒を用いたものでも良い。尚、静摩擦係数μは、上式(6)から明らかなように理論的には0.05より大きければ構わないが、これを0.1以上としているのは、加工の安定性を考慮したためである。
【0054】
また、上述の例では、1個の被研削物Kを研削加工する態様を例示したが、複数個の被研削物Kを同時に研削加工する態様としても良い。
【0055】
更に、上述の例では、被研削物Kの片面のみを研削加工する場合について説明したが、これに限られるものではなく、その両面(上面及び下面)を研削加工するように構成することもできる。例えば、被研削物Kの一方面の研削加工が完了し、研削位置から待機位置に移動せしめられた被研削物Kを、この待機位置に適宜配設された反転装置によりその上下面を反転させ、その後、再び研削位置に移動させて、被研削物Kの他面を研削加工するようにすれば良い。
【0056】
また、待機位置にある保持部材54への被研削物Kの着脱は、人手による態様でも、ロボットやローダーなど自動着脱装置を用いた態様でもいずれでも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る平面研削装置の概略構成を示した側面図である。
【図2】 図1における矢示A−A方向の断面図である。
【図3】 図1における矢示B方向の平面図である。
【図4】 図3における矢示C−C方向の断面図である。
【図5】 (a)及び(b)は、本発明の作用を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 平面研削装置
10 ベッド
11 コラム
12 砥石台
13 砥石
14 砥石軸
15 基台
20 回転体
30 回転体保持手段
33 摩擦体
40 回転体駆動手段
50 供給/排出装置
51 移送部材
51a 貫通穴
52 支持円板
54 保持部材
54a 保持穴
60 移送部材駆動手段
70 位置調整ボルト
Claims (4)
- 被研削物を、垂直軸回りに回転する回転体上に、摩擦体を介在させ且つ自由状態で載置し、前記被研削物の自重により前記摩擦体と被研削物との間に生じる静摩擦力によって前記被研削物を前記垂直軸回りに回転せしめ、
しかる後、同じく垂直軸回りに回転せしめられる研削砥石の下面を前記被研削物の上面に当接させて、
前記研削砥石の当接により前記被研削物に作用する垂直方向の研削力と、前記被研削物の自重との合力によって、前記摩擦体と被研削物との間に前記合力に応じた静摩擦力を生じさせ、生じた該静摩擦力により前記被研削物の回転を維持しつつ、前記研削砥石によって前記被研削物の上面を研削加工するようにした平面研削方法であって、
前記摩擦体は、前記回転体の上面に固設された金属板、又は前記回転体の上面に直接的若しくは間接的に接着されたダイヤモンド粒から構成されるとともに、該摩擦体と前記被研削物との間の静摩擦係数が0.1以上0.2以下となるように構成されてなることを特徴とする平面研削方法。 - ベッドと、
前記ベッド上に設けられたコラムと、
前記コラムに支持された砥石台と、
鉛直方向に沿って配設され、中心軸回りに回転自在に前記砥石台に保持されるとともに、砥石を支持して該砥石を回転せしめる砥石軸と、
前記砥石軸を回転させる砥石軸駆動手段と、
前記砥石軸の下方に配設されて、垂直軸回りに回転する回転体と、
前記ベッドに支持され、前記回転体を回転自在に保持する回転体保持手段と、
前記砥石軸と回転体とを鉛直方向に相対移動させて、相互に接近/離反せしめる送り手段と、
前記回転体の上面に固設された金属板、又は前記回転体の上面に直接的若しくは間接的に接着されたダイヤモンド粒から構成され、被研削物が載置される摩擦体であって、該摩擦体と前記被研削物との間の静摩擦係数が0.1以上0.2以下となるように構成された摩擦体と、
前記回転体を回転させる回転体駆動手段とを設けて構成したことを特徴とする平面研削装置。 - 前記被研削物を前記摩擦体上に供給するとともに、該摩擦体上から前記被研削物を排出する供給/排出装置を更に設けたことを特徴とする請求項2記載の平面研削装置。
- 前記供給/排出装置は、水平回転する移送部材と、該移送部材の下方に配設される支持円板と、前記移送部材を回転させる駆動手段とを備えて構成され、前記支持円板が、その端部に貫通穴を備え、該貫通穴に前記摩擦体、又は前記摩擦体及び前記回転体の上端部が挿入され、且つその上面と前記摩擦体の上面とが同一平面となるように設けられ、前記移送部材が、前記支持円板の貫通穴と合致する回転ピッチ円上であって、180度対称位置に、上下に貫通した保持穴を備えて、該保持穴内に前記被研削物を収容,保持するように構成され、前記移送部材の保持穴内に保持された被研削物が、該移送部材の回転により前記支持円板上を滑動して、待機位置から前記摩擦体上の研削位置に供給され、該研削位置から前記待機位置に排出されるように構成されてなることを特徴とする請求項3記載の平面研削装置。
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