JP4334143B2 - ガスタービン用要素 - Google Patents

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Description

【0001】
(発明の背景と従来技術)
本発明は軸線の周りを回転可能なロータを有する回転機械用のブレードおよび羽根の一方を画成する要素であって、冷却流体用の通路を形成し、相互に対面する第1と第2の壁によって制限される内部空間と、前記第1の壁から突出し、基本的に相互に対して平行に延び、前記内部空間の先行入口部分から該内部空間の後行出口部分までの前記流体用の第1の流路を形成する少なくとも1個の第1のリブとを含む要素に関する。
【0002】
本発明はロータのブレード並びにステータの案内羽根に適用可能ではあるが、本発明は判り易くするために以下の説明については単にブレードについて言及する。冷却流体源に接続され、前記流体用の通路を形成する内部空間すなわち空洞を備えたガスタービン用のロータブレードを提供することが知られている。そのようなガスタービンのブレードが米国特許第3854842号および同第4193738号に開示されている。
【0003】
しかしながら、周知のブレードのそのような冷却流体用通路は空気の流量が制限されており厚さの薄い空洞を形成することが困難なため冷却空気の速度は可成り低くなりうる。冷却空気の流速が低いため、可能な冷却効果は極めて低い。
【0004】
冷却効果を上げるために、英国特許第1410014号はブレードの内部空間の第1の壁において相互に対して平行に延びる第1の組のリブと、前記ブレードの内部空間の第2の反対側の壁において相互に対して平行に延びる第2の組のリブを設けることを提案している。リブはロータの回転軸に対して傾斜し、第1の組のリブが第2の組のリブと交差するように配置されている。そのような解決によって、ブレードの内部空洞の厚さを減少させることなく冷却通路の流れ領域を著しく減少させることが出来る。
【0005】
しかしながら、このような周知の方法には重大な欠点がある。通常のロータのブレードにおいては、入口領域すなわちブレードの先行部分あるいは中間部分における冷却通路の流れ領域は出口領域における冷却通路の流れ領域、すなわちブレードの後行部分における流れ領域よりも著しく大きい。その理由は内部空洞の厚さがブレードあるいは羽根の中央部分において冷却通路の出口を形成する後行端におけるよりも大きいためである。このことは、冷却空気の流速がブレードの先行および中間部分において、ブレードの後行部分におけるよりも低い、すなわち前記先行および中間部分における冷却効果が不十分であることを意味する。
【0006】
(発明の要約)
本発明の目的は前述の欠点を克服し、ガスタービンあるいは何れかの類似の回転機械用のロータブレードあるいはステータの案内羽根の冷却効果を改良することである。
【0007】
前記目的は、前記第1のリブが前記先行部分において前記軸線に対する第1の傾斜角度を形成する第1の方向と、前記後行部分において前記軸線に対する第2の傾斜角度を形成する第2の方向において延び、前記第1の角度が前記第2の角度より大きいことを特徴とする、最初に述べた要素によって達成される。前記リブ、従って前記流路の先行領域における冷却流体の流路の傾斜を増大することによって、前記流路の流れ領域が著しく減少し、すなわち速度と伝熱性が上昇し、従って、ブレードあるいは羽根のより有効な冷却が得られる。そのように本発明に従って比較的簡単な手段によって達成される冷却効率の向上は、ブレードあるいは羽根の寿命や安定性を増大させる。更に、ロータのブレードあるいはステータの案内羽根の先行部分および中間部分におけるリブの大きい傾斜角度がブレードあるいは羽根の剛性、したがって強度や安定性を増大させることに注目すべきである。
【0008】
本発明の実施例によると、第2のリブが前記第2の壁から突出し、相互に対して基本的に平行に延び、前記先行入口部分から前記後行出口部分までの前記流体のための第2の流路を形成し、前記第2のリブは前記先行部分において前記軸線に対して第3の傾斜角度を形成する第3の方向と前記後行部分において前記軸線に対して第4の傾斜角度を形成する第4の方向において延び、前記第3の角度が前記第4の角度より大きい。そのような流路の配置によって、冷却流体はブレードあるい羽根において均一に分配可能であって、そのためブレードあるいは羽根の全ての部分の十分な冷却を保証する。そのため、第1のリブの方向は第2のリブの方向と交差し、すなわち第1のリブが先行部分から上方に傾斜し、一方第2のリブが先行部分から下方へ傾斜するようにしうる。そのような配置によって、第2のリブは第1の流路において乱流を促進し、第1のリブは第2の流路において乱流を促進する。
【0009】
本発明の別の実施例によると、第1のリブは前記交点において第2のリブに接合されている。そのようにして、ブレードあるいは羽根の強度は連続した内部空間と比較して顕著に改良される。
【0010】
本発明の別の実施例によると、前記第1と第3の角度の絶対値は基本的に少なくとも交点においては等しい。更に、前記第2と第4の角度もまた交点において基本的には等しい。
【0011】
本発明の別の実施例によると、第1のリブは前記要素の吸引側に設けられ、前記軸線からおよび前記流路の入口部分から上方に傾斜し、第2のリブは前記要素の圧力側に設けられ、前記軸線に向って下方へ前記流路の入口部分から傾斜している。そのような配置によって、空気流の伝熱強度はロータブレードの圧力側においてより大きく、そのためロータブレードの吸引側よりも温度がより高い圧力側の冷却効果を増大させる。
【0012】
本発明の別の実施例によると、前記リブは空隙によって先行組のリブと後行組のリブとに分割される。そのような空隙によって、冷却流体の流れのより均一な分配が得られうる。そのため、前記流路の少なくとも1個に突出要素を設け、冷却流体の乱流を増大させ、そのため冷却効率を向上するように配置可能である。更に、前記突出要素は前記先行組および後行組のリブの少なくとも一方の入口ゾーンに設けることができる。突出要素はリブ要素として形成し、該リブ要素は前記第1および第2の壁の一方から突出し、実際の組のリブの入口縁部ラインに対して平行の方向に延びうる。
【0013】
本発明の更に別の実施例によると、第1の傾斜角度は40から80度の間であり、好ましくは60から80度の間であり、第2の傾斜角度は10から50度の間である。
【0014】
単に例示として説明した種々の実施例に関連し、かつ添付図面を参照して本発明を以下説明する。
【0015】
(種々実施例の詳細説明)
図1と図2とはガスタービンのロータシャフト3に接続された根元部分2を備えたロータブレード1を示している。ロータシャフト3は回転軸線xの周りで回転可能である。ロータシャフト3とロータブレード1とはケーシング4に密閉されたロータを形成する。ケーシング4とロータとは、ガスが矢印Aの方向に流れる流路5を画成している。
【0016】
ロータブレード1は、冷却流体の通路を形成し、第1の壁7と該第1の壁7と対向する第2の壁8とによって制限されている内部空間すなわち空洞6を含む。第1の壁7はロータブレード1の吸引側を形成し、第2の壁8はロータブレード1の圧力側を形成する。ロータブレード1は先行端すなわち先行部分9と後行端すなわち後行部分とを有し、それらはロータブレード1の面に沿った流れ方向を指示する。前記内部空間6は入口流路11に接続され、該入口流路11はロータブレード1の先行部分9へ入り、例えばガスタービンの圧縮機(図示せず)である、冷却加圧空気源から前記根元部分2を貫通している。更に、内部空間6は第1と第2の壁8の間でロータブレード1の後行部分10に形成された出口12に接続されている。出口12はロータブレード1の全長に亘って延びている。
【0017】
本発明によると、内部空間6は第1の壁7に設けられた第1のリブと第2の壁8に設けられた第2のリブとを含む。第1のリブは先行組のリブ13′と後行組のリブ13″とからなる。先行組のリブ13′は基本的に相互に対して平行に延び、後行組のリブ13″も同様に延びている。また、第2のリブは先行組のリブ14′と後行組のリブ14″とからなり、先行組のリブ14は、後行組のリブ14″と同様に、基本的に相互に対して平行に延びている。先行組のリブ13′と14′とは先行部分9と先行部分9と後行部分10との間の中間部分とを延びている。但し、前記中間部分は判り易くするために以下の説明においてはブレード1の先行部分9と称している。
【0018】
先行組のリブ13′は回転軸線xに対する第1の傾斜角度aを形成する第1の方向に延び、後行組のリブ13″は回転軸線xに対して第2の傾斜角度bを形成する第2の方向に延びている。図1から明らかなように、第1の角度aは第2の角度bよりも大きい。同様に、先行組のリブ14′は回転軸線xに対して第3の傾斜角度cを形成する第3の方向に延び、後行組のリブ13″は回転軸線xに対して第4の傾斜角度dを形成する第4の方向に延びており、前記第3の角度cは第4の角度dよりも大きい。第1の角度aと第3の角度cの絶対値とは基本的に等しく、第2の角度bと第4の角度dとの絶対値は基本的に等しいことに注目すべきである。開示したようなリブの配置によって、第1のリブ13′、13″は第1の方向に延び、第2のリブ14′、14″によって形成された対応する流路と交差する流路を形成している。第1と第2の方向は、リブ13′、13″および14′、14″とが相互に交差するように相互に交差し、交点において相互に接合されている。
【0019】
図1から明らかなように、先行部分9の各流路が後行部分10における2個の流路に分割されるような仕方で、後行部分10においては先行部分9におけるより2倍の第1および第2のリブ13′、13″、14′、14″を設けることが出来る。このような開示した配置によって、より厚い先行部分9、ブレード1の中間部分、並びにより薄い後行部分10において基本的に均一な流速を達成することが可能である。
【0020】
図3と図4とは先行組のリブ13′、14′が後行組のリブ13″、14″から空隙15によって分離されている本発明の第2の実施例を示している。そのような空隙15によって、先行部分9の流路からの冷却流体を後行部分10の流路内へ均一に分配することが可能である。
【0021】
図5と図6とは突出リブ16が後行部分10の各流路の入口ゾーンに設けられている本発明の第3の実施例を示す。そのような突出リブ16により、後行部分10の流路における乱流が増大でき、それによって冷却効果を改善可能である。リブ16はそれぞれ第3と第4の方向に対して基本的に垂直の方向に延びる。
【0022】
図7と図8とは、突出リブ18が後行部分10の流路の入口縁部ライン19に対して基本的に平行な方向に延びている第4の実施例を示す。
【0023】
そのような突出リブ16、18あるいはいずれかの類似の突出要素をまた先行部分9の流路において代替的に、あるいは補完関係で設けうることを注目すべきである。さらに、突出要素は流路の入口ゾーンに設けられるだけでなく、また該流路のどこに設けられてもよい。
【0024】
本発明は開示した実施例に限定されるのではなく、特許請求の範囲内で変更および修正が可能である。
【0025】
例えば、リブ13′、13″、14′、14″は、それぞれ傾斜角度がそれぞれ第1の角度aおよび第3の角度cから第2の角度bおよび第4の角度dに変更した曲線からなる連続した軌跡に沿って延びるようにしうる。
【0026】
前記要素をステータの羽根に適用した場合、第1のリブを当該要素の吸引側に設け、前記流路の先行部分から前記軸線まで下方に傾斜するようにし、前記第2のリブは当該要素の圧力側に設け。前記流路の先行部分から前記軸線から上方に傾斜するようにしうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例によるブレードの縦断面図である。
【図2】 図1に示すブレードの線II−IIに沿って見た断面図である。
【図3】 本発明の第2の実施例によるブレードの縦断面図である。
【図4】 図3に示すブレードの線IV−IVに沿って見た断面図である。
【図5】 本発明の第3の実施例によるブレードの縦断面図である。
【図6】 図5に示すブレードの線VI−VIに沿って見た断面図である。
【図7】 本発明の第4の実施例によるブレードの縦断面図である。
【図8】 図7に示すブレードの線VIII−VIIIに沿って見た断面図である。

Claims (11)

  1. 軸線(x)の周りで回転可能なロータ(3)を有する回転機械用のブレードと羽根の一方を画成する要素であって、前記要素(1)が、
    冷却流体のための通路であって、相互に対面する第1と第2の壁(7、8)とによって制限される通路を形成する内部空間(6)と、
    前記第1の壁(7)から突出し、かつ基本的に相互に対して平行に延び、前記内部空間の先行入口部分(9)から前記内部空間の後行出口部分(10)までの前記流体のための第1の流路を形成する第1のリブ(13′、13″)にして、前記先行入口部分における先行組の第1のリブ(13’)と前記後行出口部分の後行組の第1のリブ(13”)に分割されている第1のリブ(13′、13″)と、
    前記第2の壁(8)から突出し、かつ基本的に相互に対して平行に延び前記先行入口部分(9)から前記後行出口部分(10)までの前記流体用の第2の流路を形成する第2のリブ(14′、14″)にして、前記第2のリブが前記先行入口部分における先行組の第2のリブ(14’)と後行出口部分における後行組の第2のリブ(14”)とに分割される第2のリブ(14′、14″)とを含む要素において、
    前記第1のリブ(13′)が前記先行部分(9)において前記軸線(x)に対する第1の傾斜角度(a)を形成する第1の方向と、前記後行部分(10)において前記軸線(x)に対して第2の傾斜角度(b)を形成する第2の方向に延びており、前記第1の角度(a)が第2の角度(b)より大きいこと
    前記先行組の第2のリブ(14′)が前記先行部分(9)において前記軸線(x)に対する第3の傾斜角度(c)を形成する第3の方向に延び、前記後行組の第2のリブ(14”)が前記後行部分(10)において前記軸線(x)に対する第4の傾斜角度(d)を形成する第4の方向に延び、さらに、前記第3の角度(c)が前記第4の角度(d)よりも大きく、
    前記第1のリブ(13′、13″)の方向が前記第2のリブ(14′、14″)の方向と交差し、そして
    前記第1のリブ(13′、13″)が前記交点において前記第2のリブ(14′、14″)に接合されていることを特徴とする要素。
  2. 前記第1と第3の角度(a,c)の絶対値が少なくとも前記交点において基本的に等しいことを特徴とする請求項1に記載の要素
  3. 前記第2と第4の角度(b,d)の絶対値が少なくとも前記交点において基本的に等しいことを特徴とする請求項1および2のいずれか1項に記載の要素
  4. 前記第1のリブ(13′、13″)が前記要素(1)の吸引側に設けられ、前記軸線(x)から、および前記流路の先行部分(9)から上方に傾斜して設けられ、前記第2のリブ(14′、14″)が前記要素(1)の圧力側に設けられ、前記軸線(x)まで下方に、前記内部空間の先行部分(9)から傾斜していることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の要素
  5. 前記リブ(13′、13″、14′、14″)は空隙(15)によって先行組のリブ(13′、14′)と後行組のリブ(13″、14″)とに分離されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の要素
  6. 突出要素(16、18)が前記流路の少なくとも1個に設けられ、冷却流体の乱流を増大するように配置されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の要素
  7. 前記突出要素(16、18)が前記先行組および後行組のリブ(13′、13″、14′、14″)のうちの少なくとも1個の入口ゾーン(17)に設けられていることを特徴とする請求項5および6のいずれか1項に記載の要素
  8. 前記突出要素(16、18)が前記第1および第2の壁(7、8)の一方から突出したリブ要素としての形状にされていることを特徴とする請求項6および7のいずれか1項に記載の要素
  9. 前記突出要素(18)が対応した組のリブ(13′、13″、14′、14″)の後行部分の流路の入口縁部ラインに対して平行な方向に延びていることを特徴とする請求項6および7のいずれか1項に記載の要素
  10. 前記第1の傾斜角度(a,c)が40度から80度までの間であることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載の要素
  11. 前記第2の傾斜角度(b,d)が10度から50度の間であることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の要素
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