JP4333605B2 - トナー製造方法及びトナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録、静電印刷等の技術分野において用いられるトナーの製造方法及びその製造方法により製造されるトナーに関し、特に、粒度分布をシャープにし且つ着色剤の分散性を良好に保持可能なトナーの製造方法及びトナーに関するものである。
従来により、電子写真法等において使用されるトナーの製造方法については、各種の製造方法が提案されており、例えば、粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法等が知られている。ここに、トナーに対しては、一般に、その帯電性、流動性、耐久性等を勘案して、球形あるいは略球形の形状であることが求められている。このような球形あるいは略球形のトナーを製造するためには、懸濁重合法や乳化重合法が有効である。しかしながら、これらの製造方法において、トナーに必要とされるバインダとして使用できる樹脂の種類は、かなり限定されてしまい、また、バインダ樹脂の分子量設計における制約も大きいものである。
一方、近年、新しいトナー製造方法として液中乾燥法(溶解懸濁法、乳化分散法等と呼称される)が提案されている。かかる液中乾燥法において使用される樹脂は、有機溶剤に溶解あるいは膨潤可能な樹脂であれば使用することができ、これより、樹脂選択性、分子量設計の自由度が高いトナー製造方法であるといえる。
前記した液中乾燥法では、有機溶剤に溶解あるいは分散したトナー成分が水中で乳化されるものであるが、その乳化方法としては、以下の2つの方法に大別される。
1つの乳化方法は、懸濁重合法と類似しており、比較的疎水性の高い有機溶剤を使用し、分散剤を含有する水相中へ各種の分散機を用いて懸濁させる方法である。しかし、この乳化方法は、乳化状態を安定化させるための分散剤が必須であり、有機系の分散剤を使用した場合、トナーの帯電特性に悪影響を及ぼす。この有機系の分散剤(高分子分散剤や界面活性剤)はトナー化後に除去することが非常に困難である。また、洗浄除去が比較的容易な無機分散剤を使用する場合には、乳化状態を安定化させるために無機分散剤を多量に添加する必要があり、このような場合、得られるトナーの形状が梅干状のいびつな形状になってしまう場合が多い。
もう1つの乳化方法として、酸性基を含有する樹脂を溶剤に溶解あるいは分散させ、塩基性化合物を添加することによりこの樹脂を中和し乳化状態を形成させる転相乳化法が提案されている(特許文献1)。この転相乳化法では、界面活性剤のような分散剤を添加することなく安定な乳化状態を形成することができるという利点があるものの、中和剤を含む油相へ水相を滴下することでW/O型エマルションからO/W型エマルションへ転相させる方法であることから、水相の滴下速度の調整が重要であり、それほど速く滴下することができない。そのため、所望の乳化状態を形成させるにつき、ある程度長時間を必要としてしまうものである。
尚、あらかじめ水相中へ中和剤を溶解させ、油相をそこへ混合乳化する方法もあるが、この場合には均一な中和が困難となり、粒度分布が広く、かつ顔料等の着色剤のトナー材料の分散不良が問題となる。
特開平5−666000号公報
本発明は、前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、粒度分布をシャープにし且つ着色剤の分散性を良好に保持可能なトナーの製造方法及びトナーを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため請求項1に係るトナー製造方法は、水に対して溶解性を有する有機溶剤に、酸性または塩基性の官能基を含有する結着樹脂及び着色剤を溶解または/および分散させて油相を生成する工程と、前記油相と水相とを撹拌混合して混合物を生成する工程と、前記樹脂の官能基の極性とは逆極性の化合物からなる中和剤を用いて乳化液を生成する工程と、前記乳化液から有機溶剤を除去することにより固体化する工程とを含むトナー製造方法において、前記中和剤は、前記混合物における水相中の有機溶剤濃度が飽和状態となった後に添加して前記油相を乳化させることを特徴とする。
また、請求項に係るトナーは、水に対して溶解性を有する有機溶剤に、酸性または塩基性の官能基を含有する結着樹脂及び着色剤を溶解または/および分散させて油相を生成する工程と、前記油相と水相とを撹拌混合して混合物を生成する工程と、前記樹脂の官能基の極性とは逆極性の化合物からなる中和剤を用いて乳化液を生成する工程と、前記乳化液から有機溶剤を除去することにより固体化する工程とを含むトナー製造方法において、前記中和剤は、前記混合物における水相中の有機溶剤濃度が飽和状態となった後に添加して前記油相を乳化させた後、有機溶剤を除去することにより製造されることを特徴とする。
本発明によれば、粒度分布をシャープにし且つ着色剤の分散性を良好に保持可能なトナーの製造方法及びトナーを提供することができる。
以下、本発明に係るトナー製造方法及びトナーの実施形態について、詳細に説明する。本実施形態に係るトナー製造方法では、先ず、水に対して溶解性を有する有機溶剤に、結着樹脂及び着色剤を溶解または/および分散させて油相が生成される。
ここに、結着樹脂は、ある程度の分子量分布をもち、トナーとしての熱特性に重要な役割を果たすものである。例えば、加熱加圧定着時にすばやく溶融状態となり被印字媒体に定着されるためには、ある程度低い分子量の樹脂が要求される。一方、熱定着時のオフセット防止、現像機のストレスに耐えうるトナー強度及び長期保存時の劣化がないことが要求され、そのためには高分子量さらには架橋された樹脂である必要がある。このようにトナーに要求される樹脂の分子構造としては、低分子から高分子さらには架橋分を含んだ、幅広い分子量分布を有することが必要となる。
前記結着樹脂として使用可能な樹脂は、各種有機溶剤に溶解あるいは膨潤可能なものであり、この樹脂分子中には酸あるいは塩基と反応し塩構造を形成する官能基を有するものが使用できる。特にトナーの帯電性能、定着性、耐久性などの点で、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステルなどが好ましい。前記官能基は、酸性基としては、カルボキシル基、スルホン基、硫酸基、燐酸基などがあり、中でもカルボキシル基が好ましい。また、塩基性基としては1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基などが挙げられ、中でも3級アミノ基が好ましい。カルボキシル基含有のポリエステル樹脂は、公知の原料および方法で製造されるものを使用できる。例えば、ジカルボン酸等の多塩基酸およびその無水物あるいはその低級アルキルエステルの如き多塩基酸化合物と、ジオール等の多価アルコール等を重縮合したものを使用できる。また、酸性基含有のスチレン−アクリル共重合体は、この酸性基を含有したモノマーをラジカル重合させることで得られる。また、塩基性基含有のスチレン−アクリル共重合体は、塩基性基含有のモノマーをラジカル重合することで得られる。ラジカル重合においては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合など公知の方法が使用できる。
前記樹脂の官能基を乳化剤(中和剤)により塩構造とすることにより、樹脂の親水性が増加し、水性媒体中に各種分散剤(高分子系分散剤や界面活性剤など)を使用することなく、安定に分散(乳化)させることができる。前記樹脂の官能基が中和により塩構造となる割合によって、樹脂の親水性の度合いが決まり、この割合が高いほど水に微分散しやすくなる。すなわち、樹脂の官能基量および中和剤量を制御することによって、親水性の度合いを制御でき、水性媒体中での分散液滴の大きさを制御することが可能となる。
中和によって水性媒体中へ乳化可能となるために必要な樹脂の官能基の量は、樹脂の組成や分子量、構造などにより樹脂そのものの親水性が異なるため、樹脂の種類によって違いはあるが、酸性基の場合には酸価が1.0〜100mgKOH/gの範囲がハンドリング性の点で好ましい。また塩基性基の場合には、アミン価が1.0〜100mgHCL/gの範囲が好ましい。
(用語説明)
酸価:樹脂固形分1gを中和するのに要するKOHのmg数
アミン価:樹脂固形分1gを中和するのに要するHCLのmg数
また、有機溶剤としては、樹脂を溶解あるいは膨潤することができる有機溶剤が好適であり、更に、後述する中和剤(乳化剤)と樹脂が反応し易くするために、有機溶剤は、水に対して溶解性を有し、ある程度親水性があるほうが好ましい。
このような有機溶剤としては、イソブチルアルコール、1-ブタノール、シクロヘキサノール、メチルエチルケトン、プロピオニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム等が挙げられる。この中でも、メチルエチルケトンが疎水性、親水性のバランスがよく、好適である。因みに、メチルエチルケトンの水に対する溶解度は、20℃において21%〜23%程度である。
更に、前記のように油相を生成する際に、トナーに必要な他の成分(着色剤、荷電制御剤、離型剤)をこの段階で同時に混合しても良いし、油相(樹脂溶液)を生成してから混合分散させても良く、あるいは有機溶剤にあらかじめ分散処理しておいても良い。また、トナー材料の分散性を良くするため、好ましくは有機溶剤に着色剤(顔料)、荷電制御剤を予め分散処理しておいてから、樹脂を溶解させるほうが良い。
ここに、前記着色剤としては公知の着色剤が使用できる。例えば、カーボンブラック、酸化鉄、ニグロシン系染料、オイルブラック、ランプブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、オイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルーなどが挙げられる。これらは1種または2種以上の組合せで使用することができる。これら着色剤の添加量は、バインダー樹脂に対して3〜15重量部の範囲で添加できる。より好ましくは3〜10重量部である。本発明のトナーはトナーの性能を向上させるために必要に応じて荷電制御剤や離型剤を含有しても良い。
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、およびサリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはボントロンN01、N07、N21、N04、P51、S34、S44、E84、E88、E89、F21(オリエント化学工業)、コピーブルーPR、コピーチャージPSY(クラリアント)、T−77、T−95、TP−415、TP−302(保土ケ谷化学)などが挙げられる。また、スルホン基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。具体的には、FCA10011、FCA201(藤倉化成)などが挙げられる。荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類やその他添加剤の種類や有無などやトナーの製造方法によって決定されるため、特に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂に対して0.1〜10重量部の範囲で用いられる。
離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピン、低分子量ポリブチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス類;キャンデラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、ホホバなどの植物系天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタン、ペトロラクタムなどの石油系ワックスおよびその変性ワックス;モンタン、セレシン、オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス;これらの混合物等が挙げられる。これらの離型剤は溶剤分散体あるいは水分散体のエマルジョンタイプのものが本製法にとって好ましい。エマルジョンとするためには、溶媒置換法、高圧乳化法、転相乳化法、乳化重合法、直接分散法などの公知の方法で作製できる。これらの離型剤はバインダー樹脂に対して0.1〜10重量部の範囲で添加するのが好ましい。
また、前記樹脂と有機溶剤とを混合して油相を形成するには、公知の分散方法を使用することができ、例えばスターラー等でゆるやかに長時間攪拌すれば良い。あるいは、ホモジナイザーやボールミル等の各種混合分散機を使用することもできる。
これらの材料はあらかじめ有機溶剤中に微分散させておくことが好ましい。分散方法としては、有機溶剤と着色剤および/または荷電制御剤をプレ混合し、ボールミルや高圧ホモジナイザー等の高剪断を加えるタイプの分散機を用いて微分散させるのが良い。
更に、必要に応じて離型剤を添加してもよい。有機溶剤に不溶の離型剤を内包させる場合には、離型剤を使用する有機溶剤中に分散させた状態を形成することが好ましい。分散には高圧ホモジナイザー等高剪断を加えるタイプの分散機を用いるのが良い。
前記のように油相を生成した後、かかる油相と水相とが撹拌混合され、混合物が生成される。
かかる混合物を生成する際、水相中へは有機溶剤が溶解し、有機溶剤中へは水相が溶解する相互溶解状態が形成される。このとき、油相中の樹脂の分子構造によって、低分子量分が溶解した油相と高分子分が溶解した油相とに分離することが確認された。これは、油相中に水相が溶解したことで油相のSP値が変化し(高くなり)、SP値が高めの低分子量成分の部分と、SP値が低めの高分子量成分とに分離してしまうためと考えられる。
また、油相中に分散された着色剤は親油性であるために、SP値が高めの低分子量成分よりも低めの高分子成分側へ偏析しやすいため、樹脂成分の分離とともに着色剤の偏析を引き起こしてしまう。しかしながら、混合攪拌を継続し、油相と水相との相互溶解が飽和状態近傍付近においては、油相および水相中の溶剤成分が平衡状態となるため、油相成分および水相成分が再び均一化され、前述のような樹脂成分の分離は解消されるため着色剤の偏析も解消される。この状態において、乳化操作することにより着色剤の分散状態が良好な乳化状態を形成することが可能となる。
また、使用する有機溶剤の水への溶解度と、油相と水相の割合が、前記油相分離発生の重要なファクタとなる。例えば、水に対する溶解度が比較的高い有機溶剤を用いる場合には、ある程度水相の量が必要であり、少なくとも溶解度以上の水相量が必要である。例えば、メチルエチルケトンを用いた場合には、混合物中の水相比率は30〜60%が好ましい。
また、油相中の樹脂濃度も、前記油相分離発生のファクタとなる。例えば、油相中の樹脂濃度が高い場合には、油相中への水相の溶解性が低くなり、SP値の変化が小さくなり、分離は起こりにくい。逆に樹脂濃度が低い場合には分離は起こりやすくなる。
更に、油相の粘度は、溶剤の種類、樹脂の種類、油相中における樹脂濃度に関係し、貧溶媒に多量の樹脂を溶解させた場合には粘度がかなり高く、後述の乳化処理を行うことが困難となる。従って、溶剤種類、樹脂の種類は適切な組合せを選択し、かつ油相中の樹脂濃度も最適な濃度に調整することが重要である。油相の粘度として、25℃において好ましくは1〜500mPas、より好ましくは10〜100mPasである。
油相と水相との撹拌混合は、一般に汎用されている攪拌機や分散機で行うことができる。このとき、攪拌は激しく行うよりも、比較的低速で攪拌した方が良い。攪拌により油相と水相の相互溶解が起こり、攪拌を継続することで相互溶解が飽和する。
そして、油相と水相との相互溶解が飽和状態、即ち、混合物における水相中の有機溶剤濃度が、この有機溶剤の水に対する飽和溶解量に達する近傍時点(例えば、飽和溶解量に達する直前、飽和溶解量に達した直後)で、乳化剤(中和剤)が添加され、油相が乳化されて乳化液が生成される。このとき、樹脂は自己分散し、これにより乳化状態が生成される。
ここに、中和剤としては、前記樹脂に酸性の官能基(酸基)が含有されている場合には、塩基性化合物が使用される。かかる中和剤には、特に制限はなく、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩基や、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類などの有機塩基を用いれば良い。
また、樹脂に塩基性基が含有されている場合には、酸性化合物が使用される。例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸、シュウ酸、蟻酸、酢酸、琥珀酸等の有機酸が使用される。
尚、混合物における水相中の有機溶剤濃度が、この有機溶剤の水に対する飽和溶解量に達した状態は、次のようにして確認することができる。
具体的には、水相中の有機溶剤量を測定すれば良い。例えば、油相と水相を混合し、所定時間攪拌後、静置し、油相と水相が分離したところで水相を採取する。採取した水相約1.5gをメタノール10mlで希釈する。この希釈液3μlをガスクロマトグラフ(GC14A:島津製作所)で測定する。油相に使用する有機溶剤を使用してあらかじめ検量線を作成しておけば、水相中の有機溶剤濃度を測定することができる。
前記したように、中和剤を添加した後、乳化状態が均一になるまで攪拌を継続し、その後、公知の方法で乳液中の有機溶剤分を除去することで固体粒子を得ることができる。有機溶剤除去方法としては、例えば、加熱・減圧等である。またそれ以外にも、アルコールなどの両親媒性溶媒を多量添加することにより、油相中の有機溶剤を水相側へ放出させて固体粒子を得ることもできる。
また、有機溶剤除去後の懸濁液中へ酸を適量加え逆中和することで中和された樹脂の酸基を元に戻すことが好ましい。酸としては、塩酸、硫酸等の酸を用いれば良い。更に、逆中和後の懸濁液をろ過し、ろ過後のケーキを乾燥させることで粉体状の着色微粒子を得る。
このとき、場合によっては、ろ過後のケーキをアルコール等によって洗浄するのが好ましい。乾燥後の着色微粒子に外添剤を外添し、静電現像用トナーを得る。外添剤としては、公知の疎水性シリカやチタン、アルミナなどを用いることができる。外添方法としては、公知の攪拌混合機、例えば、ヘンシェルミキサー等を使用することができる。
以下、トナー製造方法及びトナーの実施例、比較例について説明する。
尚、実施例、比較例においては、後述するように、有機溶剤としてメチルエチルケトンを使用しており、水相中におけるメチルエチルケトンの飽和溶解度と中和剤添加後の撹拌時間との関係については、以下のように確認した。
[メチルエチルケトンの飽和溶解度と撹拌時間との関係]
先ず、油相と水相との攪拌混合時間によって水相中の有機溶剤濃度が異なることが確認され、所定の攪拌条件において、油相と水相との攪拌を開始した後180秒後には、水相中のメチルエチルケトンの濃度は略21%となり、この時点で、水に対するメチルエチルケトンの溶解度が飽和に達していることが確認された。
尚、攪拌開始時(開始後0秒)、撹拌開始後60秒後においては、いずれの場合においてもメチルエチルケトンの溶解度値は、飽和値に達していなかった。
[粒度分布の測定]
前記のように生成されたトナーの粒度分布の測定は、ベックマンコールター製、マルチサイザーII、アパーチャ径50μmを使用した。
[顔料分散性評価方法]
着色剤として使用された顔料のトナー粒子中における分散状態の評価は、次のように行った。
トナー粒子中における顔料分散性の指標として、前記のように得られた乾燥トナーそのものの黒さを評価した。具体的には、トナーサンプル2gを採取し、圧縮プレス機(MAEKAWA MACHINE MFG製 BRIQETTING PRESS BRE−30)にサンプルを充填し、60kNで2分間圧縮して直径40mmのペレットを得た。これを反射濃度計(Macbeth製 TR914)で反射濃度を測定した。ペレット(円)中心1点と外周付近8点の合計9点を測定して平均化し、顔料分散性の指標とした。この時の平均値が1.6以上あれば、見た目の粉体の色も均一で十分に着色されており、このトナーを光学顕微鏡(1000倍)で観察した際に、着色されていない(つまり顔料が十分に内包されていない)トナーがほとんど存在しない。
(実施例1)
ポリエステル樹脂(ガラス転移点Tg=61.3℃、THF可溶分の樹脂の数平均分子量Mn=4400、重量平均分子量Mw=81300、ゲル分率17.4%、酸価2.0KOHmg/g)を100部とカーボンブラック(#260、1次粒子径40nm、BET比表面積70m2/g、吸油量79ml/100g、pH8.0:三菱化学製)5部と荷電制御剤ボントロンN01(アジン化合物:オリエント化学製)1部とメチルエチルケトン(MEK)400部をホモジナイザーを用いて混合攪拌し、油相を調製した(部は重量部の意味)。この油相と水相(蒸留水)を1:2の割合で混合し、6枚平板タービン翼400rpmで回転攪拌し、攪拌開始180秒後に、1規定の水酸化ナトリウム水溶液を0.3部添加した。添加後攪拌を5分継続して、安定な乳化液を形成した。これを60℃に加熱・送風により乳液中の溶剤を除去し、固体粒子が懸濁された懸濁液を得た。ここへ、1規定の塩酸を液のpHが3.0以下になるまで攪拌しながら添加し、さらに10分間攪拌を継続したのち、これをろ過した。ろ過後に75%メタノール水溶液700部に分散し、30分攪拌処理を行い、再度ろ過し、これを乾燥させて着色微粒子粉体を得た。この着色微粒子に外添剤(疎水性シリカ:HVK2150 (ワッカー製)を1部メカノミル2800rpmで1分間外添処理し非磁性1成分トナーを得た。このトナーの粒度分布を測定したところ、体積平均粒子径10.2μm、分散度(体積平均粒子径と個数平均粒子径の比)1.25 、CV値(偏差係数)25%であった。また、外添前の着色微粒子粉体の顔料分散性を評価したところ、反射濃度1.61であった。このトナーを非磁性1成分現像機(自社製HL−1850)に装填し、印字したところ良好な画像が得られた。
(実施例2)
攪拌開始300秒後に中和剤を添加する以外は実施例1と同じ方法によりトナーを生成した。得られたトナーの粒度分布は体積平均粒子径9.5μm、分散度1.27、CV値26%であった。このトナーの外添前の着色微粒子の顔料分散性を評価したところ、反射濃度1.62であった。このトナーを非磁性1成分現像機で印字したところ、良好な画像が得られた。
(実施例3)
スチレンアクリル樹脂(Tg=60.5℃、THF可溶分の樹脂の数平均分子量Mn=2600、重量平均分子量Mw=96700、ゲル分率5.5%、アミン価30 HClmg/g)を100部とカーボンブラック#2605部と荷電制御剤ボントロンN01 1部とメチルエチルケトン400部を混合攪拌し、油相を調製した。この油相と蒸留水を1:2の割合で混合し、6枚平板タービン翼380rpmで回転攪拌し、攪拌開始180秒後に1規定の塩酸水溶液を4.0部添加して安定な乳化状態を形成した。これを60℃に加熱・送風により溶剤を蒸発させ、固体粒子懸濁液を得た。ここへ、1規定の水酸化ナトリウム水溶液を液のpHが7.0になるまで加えた。ろ過後にメタノール水溶液中で洗浄後、再度ろ過しこれを乾燥させて着色剤含有粒子を得た。これにシリカHVK2150を1%外添し、トナーを得た。このトナーの粒度分布を測定したところ、体積平均粒子径8.9μm、分散度1.26、CV値26%であった。また、外添前の着色微粒子の顔料分散性を評価したところ、反射濃度1.61であった。このトナーを非磁性1成分現像機で印字したところ良好な画像が得られた。
(比較例1)
攪拌開始直後に中和剤を添加する以外は実施例1と同じ方法によりトナーを生成した。このトナーの粒度分布は体積平均粒子径11.1μm、分散度1.8、CV値38%であった。外添前粒子の顔料分散性は反射濃度1.27で見た目はかなり灰色の粉体だった。このままで印字したところ、カブリの多い画像となった。
(比較例2)
攪拌開始60秒後に中和剤を添加する以外は実施例1と同じ方法によりトナーを生成した。このトナーの粒度分布は体積平均粒子径10.9μm、分散度1.6、CV値35%であった。反射濃度は1.52であり、少し灰色っぽい粉体であった。これを印字したところ、カブリの多い画像となった。
以上の通り本発明は、粒度分布をシャープにし且つ着色剤の分散性を良好に保持可能なトナーの製造方法及びトナーを提供することができる。

Claims (2)

  1. 水に対して溶解性を有する有機溶剤に、酸性または塩基性の官能基を含有する結着樹脂及び着色剤を溶解または/および分散させて油相を生成する工程と、
    前記油相と水相とを撹拌混合して混合物を生成する工程と、
    前記樹脂の官能基の極性とは逆極性の化合物からなる中和剤を用いて乳化液を生成する工程と、
    前記乳化液から有機溶剤を除去することにより固体化する工程とを含むトナー製造方法において、
    前記中和剤は、前記混合物における水相中の有機溶剤濃度が飽和状態となった後に添加して前記油相を乳化させることを特徴とするトナー製造方法。
  2. 水に対して溶解性を有する有機溶剤に、酸性または塩基性の官能基を含有する結着樹脂及び着色剤を溶解または/および分散させて油相を生成する工程と、
    前記油相と水相とを撹拌混合して混合物を生成する工程と、
    前記樹脂の官能基の極性とは逆極性の化合物からなる中和剤を用いて乳化液を生成する工程と、
    前記乳化液から有機溶剤を除去することにより固体化する工程とを含むトナー製造方法において、
    前記中和剤は、前記混合物における水相中の有機溶剤濃度が飽和状態となった後に添加して前記油相を乳化させた後、有機溶剤を除去することにより製造されたトナー。
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