JP4332260B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やレーザービームプリンター等の電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスを利用した画像形成装置は、図1に示すように、内部に第1の像担持体として回転ドラム型の電子写真感光体、すなわち感光ドラム1を備え、この感光ドラム1は、矢印R1方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動され、その表面に各色の画像形成プロセスが繰り返し行われる。
【0003】
感光ドラム1は、この回転過程で、コロナ放電器などの帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、ついで画像露光手段3(カラー原稿画像の色分解に基づく結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系等)で画像露光Lを受け、感光ドラム1の表面に目的のカラー画像の第1の色成分像(たとえばマゼンタ成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0004】
ついで、その静電潜像が第1現像器(マゼンタ現像器)41により、第1色であるマゼンタ(M)の着色荷電粒子、すなわちマゼンタトナーにより現像され、マゼンタトナー像として可視化される。
【0005】
感光ドラム1には、第2の像担持体としてのドラム状の中間転写ドラム、すなわち中間転写ドラム50が当接され、感光ドラム1上のトナー像が転写される(1次転写)。中間転写体としては、中間転写ドラムの他に、ベルト方式の中間転写ベルトを使用することもできる。
【0006】
この中間転写ドラム50は、導電性の基体51上に中抵抗の弾性層52を設けてなっており、さらにその上に表面層を設けたものもある。中間転写ドラム50は、矢印R2方向に感光ドラム1と同じ周速度で回転駆動され、転写時、基体51にバイアス電源(1次転写電源)61によって、トナー像のトナー帯電極性(本例ではマイナス)とは逆極性(プラス)の転写バイアスが印加される。
【0007】
中間転写ドラム50に対するマゼンタトナー像の転写を終えた感光ドラム1は、ドラムクリーナ14により表面を清掃され、つぎの色の画像形成に使用される。
【0008】
以下、同様にして、感光ドラム1に対する帯電→第2の色成分像(たとえばシアン成分像)に対応した画像露光L→第2現像器(シアン現像器)でのシアン(C)トナーによる現像→得られたシアントナー像の中間転写ドラム50への転写→感光ドラム1表面のクリーナ14による清掃;感光ドラム1に対する帯電→第3の色成分像(たとえばイエロー成分像)に対応した画像露光L→第3現像器(イエロー現像器)でのイエロー(Y)トナーによる現像→得られたイエロートナー像の中間転写ドラム50への転写→感光ドラム1表面のクリーナ14による清掃;感光ドラム1に対する帯電→第4の色成分像(たとえばブラック成分像)に対応した画像露光L→第4現像器(ブラック現像器)でのブラック(K)トナーによる現像→得られたブラックトナー像の中間転写ドラム50への転写→感光ドラム1表面のクリーナ14による清掃を行う。
【0009】
以上の4色の作像、転写プロセスが順次実行されることにより、中間転写ドラム50の表面上に、目的のカラー画像に対応したマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナー像を重畳した合成カラー画像(鏡像)が形成される。
【0010】
中間転写ドラム50上に形成された4色のカラー画像は、給紙カセット9から中間転写ドラム50に搬送された転写材(通常は紙)P上に一括して転写される(2次転写)。転写材Pは、給紙カセット9から給紙ローラ10によって1枚当て分離搬送され、レジストローラ対11、転写ガイド12を経て、転写装置(コロナ帯電器)7と中間転写ドラム50とで形成される2次転写部へと所定のタイミングで給送される。転写時、転写装置7にバイアス電源(2次転写電源)71によって、トナーの帯電極性と逆極性のプラスの転写バイアスが印加される。
【0011】
中間転写ドラム50上の4色のトナー像の転写を受けた転写材Pは、搬送ガイド13を経て定着器15へ導入され、そこで所定温度に加熱された定着ローラ16と加圧ローラ17とにより加熱および加圧されてトナー像の定着処理を受け、最終的なカラー画像として出力される。
【0012】
トナー像転写後の中間転写ドラム50は、中間転写ベルトクリーナ8によって清掃され、表面の転写残りトナーが除去される。このクリーナ8は、常時は中間転写ドラム50に対し非接触状態に保持されているが、清掃時には中間転写ドラム50の表面に当接して清掃作業を行う。
【0013】
画像形成装置は、通常、上記のカラー画像の色調をより微妙に再現する目的から、画像濃度を一定に保つための濃度制御手段が装備されている。この濃度制御手段は、中間転写ドラム50の表面に対し所定の間隙で対向配置された光学センサ(濃度センサ)Sを有しており、上述した一連の画像形成動作に準じた動作により、中間転写ドラム50上に形成した濃度検出用の各色のパッチ(パターン)の光学的反射濃度を検出し、それに基づき画像形成条件を補正して最適な濃度を維持するように制御する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の画像形成装置では、つぎのような問題が発生することがあった。
【0015】
画像形成工程において、感光ドラム1上のたとえば2色目のシアントナー像を中間転写体上に転写する場合、既に1色目のマゼンタトナー像が中間転写体上に存在しており、このマゼンタトナー像が感光ドラム1と当接することになり、中間転写体50からマゼンタトナーが感光ドラム1に転移する再転写が発生することがある。
【0016】
再転写の発生原因としては、(1)次色のシアントナー像の転写時、中間転写体上のマゼンタトナー像が当接した感光ドラムにより機械的に剥ぎ取られて行くこと、(2)中間転写体上のマゼンタトナー像が、2色目以降の転写工程による影響を受けるため、マゼンタトナーのマイナスの電荷量がその転写の都度減少し、マゼンタトナーを中間転写体上に保持している電界力が弱まり、感光ドラムに対する電界力が勝ることが考えられる。これにより、中間転写体からマゼンタトナーが感光ドラムへ戻ってしまう。
【0017】
この再転写の現象は、1色目のマゼンタトナー像では、それ以降のシアン、イエロー、ブラックのトナー像転写時に、2色目のシアントナー像では、イエロー、ブラックのトナー像転写時に、3色目のイエロートナー像では、ブラックトナー像転写時に発生する可能性がある。
【0018】
再転写が発生すると以下のような不都合がある。
【0019】
(1)再転写量(再転写により感光ドラムに戻ってしまうトナー量。ここでは、中間転写体に転写されたトナー量に対する、転写材に転写する前の中間転写体上に存在するトナー量の比率で表す)は、環境条件、感光ドラムの使用頻度、使用量、現像器の使用頻度、使用量により大きく変化する。これは、これらの条件により、トナーの特性、特にトナーが保持する電荷量が変化するからである。したがって濃度制御手段を用いても、これらの状況によっては、再転写の発生により各色の濃度が大きくばらつき、カラー画像全体の濃度を安定して保つことが困難に成ってしまう。
【0020】
(2)多色画像の場合、色再現のためにトナーを積層することがある。たとえばブルーの再現は、マゼンタとシアンを積層して混色することにより達成される。しかしながら、中間転写体上にマゼンタトナーを転写し、その上にシアントナー像を転写して積層した場合、積層部分では、感光ドラムとマゼンタトナー像との間にシアントナー像が介在しているため、マゼンタトナーの感光ドラムへの戻りはないが、マゼンタトナー像単独の部分では、感光ドラムへのマゼンタトナーの再転写が発生する。このため、同一ページ内において同一の画像データを入力しながらも、マゼンタトナー像上に他のトナー像があるかないかで、マゼンタトナー像の濃度が異なってしまう。この現象は、マゼンタトナー像に限らず、シアン、イエローの各像についても同様に起こり得、濃度制御による濃度安定性が損なわれるばかりでなく、微妙な色再現性をも阻害してしまう。
【0021】
(3)単色部の再転写の発生により低下した濃度を勘案し、単色部の濃度を所望濃度に上げる制御を行った場合、この単色部を下層(中間転写ドラム側)とした2次色、3次色は、単色部の再転写が発生しないためトナー載り量が非常に大きくなる。単色部の濃度を上げる制御を行った結果、混色部でのトナー載り量は増大するため、転写性が顕著に低下し、画像が飛び散ったり、あるいはにじんだりする。さらに混色部のトナー載り量の増大のため、定着性が低下する問題もある。
【0022】
従って、本発明の目的は、中間転写体から像担持体への再転写量に応じた画像形成条件の変更を行うことにより、再転写量を軽減し、より的確な色再現性、色味バランス、画像品質が調和された高品質な多色画像を得ることを可能とした画像形成装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回動する像担持体に対する帯電、露光および現像による画像の形成、および回動する中間転写体に対する画像の転写を複数色分行って、前記中間転写体上に複数色の画像を重ね合わせた多色画像を形成し、ついで前記多色画像を転写材に転写する画像形成装置において、
前記多色画像の濃度制御時、前記中間転写体に複数色の濃度検出用画像を重ね合わせずに異なる濃度で複数順次形成し、そして前記中間転写体上の最終色を除く各色の複数の濃度検出用画像について、前記中間転写体に前記各色の濃度検出用画像を形成したときの濃度DM1と、前記最終色の濃度検出用画像を形成したときの濃度DM2の少なくとも2回検知し、その少なくとも2回の検知された濃度の濃度差から得られる、現像バイアスに対する再転写量である濃度変化量カーブCMを求め、
予め決められた所望の濃度目標値を得られる現像バイアスを印加した時の再転写量ΔMを前記DM1と前記DM2の値から求め、前記ΔMが所定値ΔTMより大きい場合は濃度変化量カーブCMがΔTMとなるような現像バイアスを現像剤担持体に印加し、前記ΔMが所定値ΔTM以下の場合は、予め決められた所望の濃度目標値を得られる現像バイアスを現像剤担持体に印加することを特徴とする画像形成装置である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施例を図面に則して更に詳しく説明する。
【0026】
実施例1
図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。本画像形成装置は、A3対応のレーザープリンターであり、A3のカラー画像で3ppm、A4のカラー画像で6ppmのプリントスピードを有している。
【0027】
この画像形成装置の機械的構成および画像形成動作については、従来例のところで既に述べたので、以下簡単に説明する。
【0028】
本実施例では、図1に示す第1の像担持体としての感光ドラム1(回転ドラム型電子写真感光体)に、直径60mmの有機感光体を使用している。この感光ドラム1を回転し、帯電器2により表面を帯電した後、画像露光手段3によりレーザーによる画像露光Lを施して、各色用の静電潜像を形成し、ついで現像器4(現像器41、42、43または44)により現像して、潜像をトナー像として可視化する。現像器4は、非磁性一成分非接触現像法を採用しており、現像時、現像器の現像スリーブ(現像剤担持体)に直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
【0029】
本実施例では、感光ドラム1の表面を−550Vに帯電し、画像データFFhの露光により、感光ドラムの表面電位を−150Vとして、表面に静電潜像を形成した。現像バイアスの直流成分は−150V〜−500Vの範囲で設定して印加した。
【0030】
第2の像担持体としての中間転写ドラム50は外径180mmで、アルミニウム合金からなる所定肉厚の中空の円筒状基体51に被覆層52を設けてなっている。被覆層52は、導電剤を添加して抵抗調整した所定厚さの弾性層、およびその表層に設けた離型性を高めるための所定厚さの離型層からなっている。
【0031】
画像形成装置は、画像濃度を一定に保つための濃度制御手段が装備されており、中間転写ドラム50の表面に対し所定の間隙で対向配置された光学センサ(濃度センサ)Sは、濃度検知に960nmの波長を有する赤外光を用いている。中間転写ドラム50の表層は、パッチを形成し、その反射濃度を読み取ることから、濃度センサSに対し所定の反射濃度を有するように色味を調整してある。
【0032】
中間転写ドラム50上に形成した濃度検出用パッチ(パターン)の光学反射濃度は、予め用意してある濃度変換テーブル(ルックアップテーブル(LUT))によって求められるが、濃度センサSの受光器が感知した電圧値からその電圧値に対する濃度への変換表とされている。
【0033】
濃度制御は所定のタイミングで実施されるが、主に画像形成装置の電源投入後、所定枚数の画像形成後などの時期が挙げられる。
【0034】
濃度制御法を1色目のマゼンタに関して説明する。画像形成において、画像濃度に最も影響するのは現像器に印加する現像バイアスである。濃度制御時に濃度検出用パッチを各色とも複数個形成するが、このパッチを現像するときの現像バイアスを、図2に示すように、パッチ濃度が低濃度側から高濃度側へと移行するように順次変化させて現像を行い、得られた濃度推移した複数個のパッチ濃度を検知して、検出濃度を予め設定しておいた制御濃度目標値と比較して、これから制御濃度目標値に対応する現像バイアスを算出し、これを制御現像バイアスとする。検出したパッチ濃度間は直線補間により代用している。この工程を各色とも同様に経ることにより、各色のそのときの特性に応じた現像バイアスが制御され、各色の濃度が安定化される。
【0035】
本実施例では、中間転写ドラム50上に濃度検出用パッチを、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの順にそれぞれ5個ずつ形成した。この各色5個のパッチの現像時の現像バイアスは各色とも同一で、直流成分を−250V、−300V、−350V、−400V、−450Vとした。
【0036】
パッチはどのようなものでも構わないが、本実施例では、再転写量がよりはっきり識別しやすく、かつ最も制御したい濃度データであるという意味から、画像データFFh(いわゆるベタ)のパターンを用いた。
【0037】
以下、濃度制御により再転写量を検出する方法について述べる。まず初めに、1色目としてマゼンタの濃度検出用パッチを中間転写ドラム50上に5個形成し、そのマゼンタパッチが濃度センサSを通過すると同時にパッチ濃度を検出する。検出したマゼンタのパッチ濃度DM1は画像形成装置の制御用のCPUに格納する。同様に、2色目、3色目のシアン、イエローのパッチを順次5個ずつ形成し、そのパッチ濃度DC1、DY1を検出してCPUに格納する。最後に、4色目のブラックのパッチを中間転写ドラム50上に形成して、ブラックのパッチ濃度DK1を検出するが、このとき中間転写ドラム50上に保持したままのマゼンタ、シアン、イエローパッチの濃度DM2、DC2、DY2も改めて検出する。同様に、検出したパッチ濃度DK1、DM2、DC2、DY2はCPUに格納される。
【0038】
上記のブラックのパッチ濃度DK1の検出に引き続いて再度検出されたマゼンタ、シアン、イエローのパッチ濃度DM2、DC2、DY2は、通常の画像形成時に、中間転写ドラム50上から転写材に転写される直前のマゼンタ、シアン、イエローのトナー像濃度とほぼ同等になる。
【0039】
したがって、マゼンタ、シアン、イエローの初回に検出したパッチ濃度DM1、DC1、D12と2回目に検出したパッチ濃度DM2、DC2、DY2の濃度差分値(DM1−DM2)、(DC1−DC2)、(DY1−DY2)は、中間転写ドラム50からの感光ドラム1への再転写量とみなすことができる。
【0040】
図3に、マゼンタのパッチ濃度の推移を例にとって説明する。図3(a)は、濃度を変えた5個のマゼンタパッチの濃度推移を示すもので、横軸にパッチ現像時の現像バイアスを、縦軸にパッチの初回の検出濃度DM1と2回目の検出濃度DM2を示す。図3(a)に示されるように、再転写により全体的に濃度DM2が濃度DM1に比べて低くなっているが、濃度低下率、つまり再転写量は高濃度側の方が大きいことが窺われる。図3(b)は、その濃度低下率、すなわち濃度差分値ΔMを縦軸にして表示したもので、高濃度側の方が再転写量が大きいことがはっきり分かる。
【0041】
本発明は、この再転写量の変化を濃度制御の制御パラメータの1つとして、濃度制御するようにしたことが大きな特徴である。本実施例における濃度制御をマゼンタを例にとって図4に示すフローを用いて説明する。
【0042】
図4において、濃度制御をスタートした後、マゼンタパッチを濃度を変えて5個形成し、そのパッチ濃度を検知してパッチ濃度値DM1を算出し(検出)、その濃度データをCPUに格納する。一方、マゼンタのパッチ濃度を検知後、最終色である4色目のブラックパッチを形成し、これと同時にマゼンタのパッチ濃度を再度検知してパッチ濃度値DM2を算出し、その濃度データをCPUに格納する。この時点でマゼンタのパッチ濃度の変化量(再転写量)を各濃度について算出し、現像バイアスに対する濃度変化量のカーブCMを作成し、これをCPUに格納しておく。各測定濃度間の濃度値は直線補間により求める。
【0043】
ついで、格納された濃度DM1の現像バイアスに対する濃度推移を制御濃度目標値TMと比較し、制御濃度目標値TMに対応する現像バイアスを制御現像バイアスBMとして求める。つぎに、求められた制御現像バイアスBMでの濃度DM2’を算出し、DM2’と制御濃度目標値TM(これは制御現像バイアスBMにおけるDM1の濃度DM1’と同義になる)の差分値ΔM=TM−DM2’を算出し、その値と予め設定してある閾値ΔTMとを比較する。
【0044】
そして、
(a)ΔM>ΔTMの場合:濃度変化量カーブCMの濃度がΔTMとなるところの現像バイアスBM’を求め、それを最終制御現像バイアスとして用いる。
(b)ΔM≦ΔTMの場合:制御現像バイアスBMを最終制御現像バイアスとして用いる。
【0045】
本実施例の効果を確認するために、本実施例で示した濃度制御を行わない場合(つまり制御現像バイアスが常にBMである場合)と、本実施例の濃度制御を、制御濃度目標値TMを1.40、閾値ΔTMを0.20に設定して行った場合とを比べた。効果の比較は、再転写が比較的発生しやすい環境である高温高湿下(30℃、80%RH)に画像形成装置を搬入し、十分にその環境に馴染ませてから、耐久評価を行った。比較に際しては、再転写量が最も多い第1色目のマゼンタに注目して比較した。
【0046】
制御濃度目標値TMを1.40に設定したのは、実際の転写材への出力画像において、FFh(ベタ)の濃度が十分に視覚的に、さらに色再現的に満足できる値であるからであり、また閾値ΔTMを0.20に設定したのは、色味バランスを考慮した場合の適性値が判断されるからである。
【0047】
本実施例の制御を行わない場合の結果:
現像器がまだ新しい耐久評価初期の段階では、再転写の程度も問題なく、制御現像バイアスがBMのままでも特に不都合はなかった。しかし、耐久評価が進み、現像器の使用度が現像器寿命の中期から後期にかけて、出力画像上に再転写が徐々に顕著になり、FFh(ベタ)の濃度が次第に目標値の1.40に対して1.20→1.00となり、最終的には0.80まで落ち込んでしまった。
【0048】
このとき、フルカラー画像のブルー200%(入力画像データ:マゼンタ100%+シアン100%)およびレッド200%(入力画像データ:マゼンタ100%+イエロー100%)は、マゼンタの再転写がないためにマゼンタの色味バランスの崩れはないにもかかわらず、マゼンタ100%の画像濃度が低すぎ、全体として色味バランスがばらつき、著しく画像品質を劣化させていた。
【0049】
本実施例の制御を行った場合:
耐久評価初期は最終制御現像バイアスがBMであり、それでも特に問題はなかった。耐久評価の中期頃には再転写が徐々に見え始め、最終制御現像バイアスがBMとBM’と双方が選択されるようになり、それ以降は常に最終制御現像バイアスがBM’となっていた。しかしながら、マゼンタ100%の濃度は制御現像バイアスをBMにして出力した場合と特に差はなく感じられ、さらにブルー200%、レッド200%とのバランスも非常によく、画像全体の色味バランスのばらつきが緩和され、違和感のない出力画像を得ることができた。
【0050】
以上では、マゼンタを例に説明したが、シアン、イエローに対しても同様であり、さらにブラックが最終色でない場合には、ブラックに関しても同様の設定を行って、制御できることは言うまでもない。
【0051】
以上のように、本実施例では、濃度制御時に濃度検知用パッチの再転写量(濃度変化量)を検出し、それを濃度制御パラメータにフィードバックして、再転写による濃度変動を所定量以下に制御するようにしたので、再転写に起因する色味バランスのばらつきを抑制して、画像品質の劣化を最小限とした最終出力画像を得ることが可能となった。
【0052】
実施例2
本実施例は、1次色の画像濃度は所定の濃度を満足しつつ、濃度制御時に測定した再転写量の情報を下に2次色のトナー載り量を画像データにより落とすことにより、再転写での影響を回避するようにしたことが特徴である。
【0053】
本実施例の制御フローを図5、図6にしたがって説明する。濃度制御などの基本的な動作に関しては実施例1と同様なので省略する。また説明を簡単にするために、本実施例においてもマゼンタを例にとって説明する。
【0054】
本実施例では、濃度DM2により制御現像バイアスを算出し、その制御現像バイアスに対応するDM1での濃度を算出し(図5参照)、その濃度差分値を制御条件としてフィードバックすることを特徴としている。
【0055】
図6において、濃度制御をスタートした後、マゼンタパッチを濃度を変えて5個形成し、そのパッチ濃度を検知してパッチ濃度値DM1を算出し、その濃度データをCPU(図示せず)に格納する。一方、マゼンタのパッチ濃度を検知後、最終色である4色目のブラックパッチを形成し、これと同時にマゼンタのパッチ濃度を再度検知してパッチ濃度値DM2を算出し、その濃度データをCPUに格納する。
【0056】
格納された濃度DM2の現像バイアスに対する濃度推移を制御濃度目標値TMと比較し、制御濃度目標値TMに対応する制御現像バイアスBM2を求める。つぎに、求められた制御現像バイアスBM2に対応するDM1カーブ上の濃度DM1’を算出し、DM1’と制御濃度目標値TM(これは制御現像バイアスBM2におけるDM2の濃度DM2’と同義になる)の差分値ΔTM’=DM1’−TMを算出する。このΔTM’と予め設定しておいた閾値ΔM’との関係により、以下の制御工程に分かれる。
【0057】
すなわち、
(a)ΔM’>ΔTM’の場合:この場合は、再転写による濃度低下が小さいことを意味するので、画像データの補正は行わずにそのまま出力する。
(b)ΔM’≦ΔTM’の場合:この場合は、再転写による濃度低下が著しく、画像品質に対する影響が大きいことから画像データの補正を行い、1次色と2次色などのその他の複次色間での画像データの補正を行う。すなわちコンピュータなどから送信され、展開された画像の入力画像データに対し、本制御による補正処理を行い、出力画像データを所定の関係を持って変調する。
【0058】
データの補正方法は、
X=1−TM/DM1’ ・・・(1)
に基づいて行う。Xは補正後の出力画像データであり、この(1)式は2次色として使用されるマゼンタ濃度を1次色のマゼンタ濃度と均等にすることを示している。
【0059】
本実施例において、上記図6の制御フローにより、実施例1と同様に高温高湿環境下で画像形成装置を動作させ、耐久評価を実施した。制御濃度目標値TMを1.40、制御閾値ΔM’を0.20とした。
【0060】
評価の結果、本実施例の制御を採用しなかった場合には、耐久評価の中盤から徐々に再転写による色味バランスの崩れや、2次色のトナー載り量の増大による画像にじみなどが発生し、さらに耐久評価後半にはその画像品質はさらに劣悪なものになってしまった。しかしながら、本実施例で説明した制御を実施した場合には、耐久評価中盤において徐々に再転写が発生し始める頃に、入力画像データ変換制御が行われ始めた。さらには耐久評価後期においても2次色のトナー載り量が1次色と同じになっているために、全体の色味バランスが崩れることもなく、また2次色の画像飛び散り、にじみ、さらには定着不良などの発生を確認することができなかった。
【0061】
すなわち、本実施例の制御を行うことにより、画像品質に対する劣化抑制が可能となることが証明された。
【0062】
実施例1と同様、本実施例でも、他の色に関して同様の効果が得られる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、濃度制御時に、中間転写体上に形成した濃度検知用パッチが感光ドラムと接触することによる変化するパッチ濃度変化をモニターし、その変化量に応じて画像形成条件を変化させ、あるいはその変化量をコントローラ側に送信して、画像処理により出力画像データを変調させるので、再転写によって引き起こされる色味バランスのばらつき、あるいは画像飛び散り、にじみ、さらには定着不良といった画像品質の劣化を防止することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】制御現像バイアスの求め方を示す説明図である。
【図3】図1の実施例における濃度推移・再転写量を示す説明図である。
【図4】図1の実施例における制御法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施例における濃度推移を示す説明図である。
【図6】図5の実施例における制御法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 帯電器
3 画像露光手段
4 現像器
15 定着器
50 中間転写ドラム
S 濃度センサ
Claims (1)
- 回動する像担持体に対する帯電、露光および現像による画像の形成、および回動する中間転写体に対する画像の転写を複数色分行って、前記中間転写体上に複数色の画像を重ね合わせた多色画像を形成し、ついで前記多色画像を転写材に転写する画像形成装置において、
前記多色画像の濃度制御時、前記中間転写体に複数色の濃度検出用画像を重ね合わせずに異なる濃度で複数順次形成し、そして前記中間転写体上の最終色を除く各色の複数の濃度検出用画像について、前記中間転写体に前記各色の濃度検出用画像を形成したときの濃度DM1と、前記最終色の濃度検出用画像を形成したときの濃度DM2の少なくとも2回検知し、その少なくとも2回の検知された濃度の濃度差から得られる、現像バイアスに対する再転写量である濃度変化量カーブCMを求め、
予め決められた所望の濃度目標値を得られる現像バイアスを印加した時の再転写量ΔMを前記DM1と前記DM2の値から求め、前記ΔMが所定値ΔTMより大きい場合は濃度変化量カーブCMがΔTMとなるような現像バイアスを現像剤担持体に印加し、前記ΔMが所定値ΔTM以下の場合は、予め決められた所望の濃度目標値を得られる現像バイアスを現像剤担持体に印加することを特徴とする画像形成装置。
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