以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図9に基づいて説明する。尚、実施形態1の説明では特に断りがないかぎり、図3(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、同図(a)中の正面を前面とする。したがって、同図(b)における左端は後端となる。
本実施形態の光コンセントAは、図1、図2、及び図7に示すように、埋込配線器具用にJISで規格化された取付枠8を用いて造営材に埋込配設されるボディ1、及び、ボディ1の前面に設けた開口1a内に開閉自在に枢着されるカバー2からなるコンセント本体と、カバー2の背面側に取着されるアダプタ3と、アダプタ3をカバー2に固定する押さえ金具4と、ボディ1の背面側に装着されて光ファイバケーブルの張力止めを行う張力止め具5とを主要な構成として備える。
ボディ1は、左右および上下の四方が周壁11a,11a,11b,11cによって囲まれ、上側の略半分を前後方向に開口し、下側の略半分には背部11dを一体形成した合成樹脂成型体からなり、左右の周壁11a,11aの前側部には前端側の幅寸法を後端側の幅寸法よりも幅狭とする段部11e,11eが形成されている。各段部11eの外側縁の上下位置には、後述する合成樹脂製取付枠8の係止部88aに係止させるための各一対の被係止爪12aをそれぞれ一体形成し、段部11eよりも前側の周壁11aの外側面には、金属製取付枠(図示せず)の係止爪に係止させるための2個の係合穴12bが上下両側に開口している。
また上側の周壁11bの前面部には心棒28を回動自在に支持する軸受部13を前方へ突出形成してあり(図1及び図6参照)、周壁11bの後側部にはアダプタ3に接続されるプラグ(図示せず)を挿入するためのU字形の切欠11fを形成してある。一方、下側の周壁11cの前端部の左右両側には間隔を空けて突出部14を膨出形成し、この突出部14,14の間に背部11dの下端から前方に延長形成した可撓片15aの先部に設けた押しボタン15を介在させるとともに、この押しボタン15の操作面と突出部14,14の前面とを略同一高さとしてある。また、この押しボタン15と可撓片15aの境界部には、カバー2の下端部中央に突設した係止突片20aおよび押さえ金具4の係止突片45をそれぞれ係脱自在に係止する係止孔15bを設けてある。
また、背部11dの背面側からは四角筒状の支持部17が突出形成され、この支持部17の左右の側壁には上下両側にスリットを形成することで、厚み方向に可撓性を持たせた弾性係止片18が形成されている。各弾性係止片18は支持部17の後端よりも後方に突出しており、その先端からは外側に向かって係止爪18aが突設されている。
カバー2は合成樹脂成形体であって、矩形板状の前面部20と、この前面部20の背面両側から後方へ延長形成した略扇形の側部21,21と、側部21,21の下側部の後縁から後方に突出する脚片22,22と、両側部21,21の下側辺間に形成された取付部23と、前面部20の上端部の左右両側から上方へ突出形成された軸保持部24,24とを一体に備える。
ここに、前面部20の背面側と側部21,21と取付部23とで囲まれる空間部でアダプタ3を収納保持する収納部を構成しており、取付部23にはアダプタ3に対向させて、造営構造物の室内側の通信設備からの光ファイバケーブルの先端に設けられたSC形のプラグが挿入されるプラグ挿入口23aが開口している(図5(d)及び図6参照)。このプラグ挿入口23aは、前後に並んだ一対の保護扉25,25によって開閉自在に閉塞されており、レーザ光の外部への漏出を保護扉25,25で防止している。
また、軸保持部24,24は略円柱状であって、軸方向が左右方向と略平行するように並設されており、各軸保持部24の中心には心棒28の両端を支持する軸孔24aが貫通形成されている。而して、ボディ1の軸受部13の軸受凹部13a内にばね体29を収めるとともに、軸保持部24,24間にボディ1の軸受部13を介在させた後、一方の軸保持部24の軸孔24a、軸受部13の軸受凹部13a、他方の軸保持部24の軸孔24aに心棒28を挿通させることで、カバー2の上端部をボディ1に対して回動自在に枢支するようになっており、ばね体29によってカバー2の下端側が前方に常時付勢されている。なお、ばね体29は中央部29aをコ字状に折り曲げ形成するとともに、両端部に捻り部29b,29bを形成して構成される。
また、前面部20の背面には、アダプタ3の前面とそれぞれ当接する3個の支持リブ26が側部21と平行して側部21,21間に突出形成されており、各々の支持リブ26は上側ほど後方への突出量が大きくなるような形状に形成されている。またカバー2の各脚片22の後端部からは、ボディ1の左右の周壁11aの内側面に突設した突起11gと当接する係合爪22aが外向きに突設されている。また各脚片22には押さえ金具4を固定するためのねじ27を挿通する挿通孔22bが貫設されている。
一方、アダプタ3は、F04形(所謂SC形)光ファイバコネクタ(JIS C 5973参照)のプラグ(第1のプラグ)が接続される角筒状のプラグ接続部31と、このプラグ接続部31の一端側から延長形成されて、F14形(所謂MU形)光ファイバコネクタ(JIS C 5983参照)のプラグ(第2のプラグ)が接続される角筒状のプラグ接続部32とを備えたハウジング30を有し、プラグ接続部31の一端側の左右両側面からは鍔33,33が側方に突出している。そして、ハウジング30の内部には、プラグ接続部31に接続されるSC形プラグのフェルールと、プラグ接続部32に接続されるMU形プラグのフェルールとを整列させた状態で保持し、両フェルールを光学的に接続する従来周知のスリーブ(図示せず)が納装されている。このスリーブは、両フェルールをPC(Physical Contact)接続することによって光ファイバ同士を密着させ、低損失で光学的に接続するようになっている。すなわち、アダプタ3は、室内側の通信設備で一般的に使用されるSC形のプラグと、SC形に比べて小型のMU形のプラグとを光学的に結合した状態で保持する機能を有しており、造営構造物の室内側にある通信設備からの光ファイバケーブルに接続された汎用のSC形プラグをプラグ挿入口23aを通してプラグ接続部31に接続するとともに、屋外から引き込まれて造営構造物の裏側に先行配線された光ファイバケーブルに接続されている小型のMU形プラグをプラグ接続部32に接続することができる。
押さえ金具4は板金に抜き加工および曲げ加工を施すことによって形成され、アダプタ3のハウジング30後面と当接する矩形板状の当接片40と、当接片40の下部の左右両側縁から後方に向かって突出する支持片41,41と、当接片40の下側縁の中央から斜め下向きに突出する傾斜片42と、当接片40の上部の左右両側縁から前方に向かって突出する保護板43,43とを一体に形成してある。なお各支持片41の中間部にはねじ27が螺合するねじ孔44が形成され、その先端部はカバー2の脚片22の後端部裏面(すなわち係合爪22aの裏側部)と対向する位置まで延長形成されている。また傾斜片42の下側縁の中央には、可撓片15aの係止孔15bと係止する係止突片45が下側に向かって突設されている。
張力止め具5は合成樹脂成形体であって、下側の左右の角を丸めた略矩形板状の主部51と、主部51の上側縁から延長形成されて上側に凸となるように湾曲したガイド部52とを一体に備える。そして、主部51の上側部には後方に突出する円筒状の張力止め部たる引掛突起53が左右方向に3個並設してあり、各引掛突起53の後端部の円周面下半分からは略半円形の舌片53aが下側に向かって突出している。また主部51の前面の上下方向略中間部にはボディ1の支持部17の上側壁および下側壁の内面に当接する突片54a,54bが形成されるとともに、突片54a,54b間を橋絡する3本の補強用リブ54cが上下方向に沿って形成されており、ボディ1の弾性係止片18,18に対応する部位には主部51を厚み方向に貫通する貫通孔55,55が形成されている。
ところで、上述のボディ1は、JIS等で規格化された大角形連用配線器具用の取付枠8に3個まで並設することができる単位寸法(1個モジュール寸法)の配線器具の3個分の寸法(3個モジュール寸法)に形成されており、取付枠8を用いて造営構造物に埋込配設することができる。取付枠8は、図7のように合成樹脂により縦長の窓孔81を有する矩形枠状に成形されており、長手方向に対向する側片82,82には、図示しない埋込ボックスに取り付けるためのボックスねじ用の長孔84と、壁面に直接ねじ固定する際に用いるねじ挿通孔85とが少なくとも設けてある。また、短幅方向に対向する側片83a,83bの内、一方の側片83aには2つで1組となった係止孔(図示せず)が略一定の間隔で長手方向に3組並設され、他方の側片83bの後縁から撓み片86が後方に向かって延設されている。この撓み片86には3個の開口部87が長手方向に並べて形成され、各開口部87の後端からは突出片88が前方へ突設してある。
而して、取付枠8の後方からボディ1の前面に取着されたカバー2を窓孔81内に挿入するとともに、ボディ1の片側の被係止爪12aを側片83aの係止孔に挿入した後、ボディ1の反対側を前方へ押し込むことによって、反対側の被係止爪12aで撓み片86を外側に撓ませ、突出片88の肩部からなる係止部88aに載せるようにして開口部87に挿入すれば、ボディ1を取付枠8に取り付けることができる。なお、取付枠8の前面には化粧プレート9が係止爪やねじなどを用いて取り付けられ、この化粧プレート9によって造営材に設けた取付穴や取付枠8を被蔽し、また化粧プレート9の開口窓9aから光コンセントAの前部を外部に露出させるようになっている。
次に本実施形態の光コンセントAの組み立てについて説明する。
先ずカバー2の前面部20と側部21,21とで囲まれる収納部に、ハウジング30の向きを合わせてアダプタ3を挿入し、前面部20の裏面に突設した支持リブ26をハウジング30の前面に当接させる。この状態で押さえ金具4の当接片40をハウジング30の後面に当接させるとともに、各脚片22の内側面に押さえ金具4の支持片41を当接させた後、脚片22の挿通孔22bに通したねじ27を支持片41のねじ孔44に螺入することで、押さえ金具4をカバー2に固定し、押さえ金具4とカバー2との間にアダプタ3を挟持する。この時、各支持片41の先端部は、各脚片22の係合爪22aが突設された部位の裏側部に配置されるので、側部21,21を内側に押圧する力を、金属材料からなる押さえ金具4の支持片41,41で受けることができる。
次にカバー2をボディ1に組み付けるに当たっては、ボディ1の軸受部13の下面側に、ばね体29の中央部29aの中央片を係止させるとともに、軸受凹部13aの両端に形成した凹部(図示せず)にばね体29の両端の捻り部29b,29bを嵌め込み、軸受凹部13aの両端と捻り部29b,29bの透孔とを連通させる。そして、カバー2の軸保持部24,24間に軸受部13を介在させるようにボディ1の前面側にカバー2を配置して、一方の軸保持部24の軸孔24a、一方の捻り部29bの透孔、軸受部13の軸受凹部13a、他方の捻り部29bの透孔、他方の軸保持部24の軸孔24aに心棒28を挿入する。なお、心棒28は挿入側の一端部から他端部近くまでの直径を、軸孔24aおよび軸受凹部13aの内径よりもやや細い直径とすることで挿通を可能にしているが、他端部28aの直径を軸孔24aの内径よりも太い径に形成するとともに外面にローレット加工を施しており、この他端部28aが最終的に軸孔24aに圧入されることで心棒28がボディ1に固定される。
このとき、ばね体29の捻り部29b,29bから延長形成された延長部29c,29cがカバー2の前面部20の背面に弾接して、カバー2を前方方向(図6中の右回りの回転方向)に回動させる付勢力を与えるようになっている。つまり、カバー2は、上端部がボディ1に対して心棒28を中心に回動自在に枢支されており、ばね体29によって下端側がボディ1の前面部より前方方向へ回動する付勢力が与えられている。
その後、ボディ1の背部11dに後方から張力止め具5を近付けて、ボディ1の弾性係止片18,18を張力止め具5の貫通孔55,55内に挿入して、主部51の背面側に突出させ、各弾性係止片18の先端の係止爪18aを貫通孔55の孔縁に引掛係止させることで、張力止め具5をボディ1に装着する。
以上のようにカバー2にアダプタ3を装着し、このカバー2をボディ1に取り付けるとともに、ボディ1の背面側に張力止め具5を装着することで光コンセントAの組立が完了する。図3及び図6(a)は、ばね体29の付勢力に抗してカバー2を図6中左回りに回転させ、カバー2の下端の係止突片20aを可撓片15aの弾性力を利用して係止孔15bに係止させた状態を示しており、このときカバー2は前面部20の前面をボディ1の前面(突出部14および押しボタン15の前面)と略同一高さとした状態に保持され、前面部20の背方に取り付けたアダプタ3はボディ1の内部に収納された収納状態となる(この状態が非使用状態となる。)。
そして、この非使用状態においてボディ1の前面に露出する押しボタン15を下向き加減に押操作すると、可撓片15aの前側部分が下側に撓んで、係止突片20aの先端が係止孔15bから離脱し、カバー2がばね体29の付勢力を受けて心棒28を中心に図6中右回りに回転する。カバー2の下端部が前方へ回動すると、カバー2の両脚片22に設けた係合爪22aが、ボディ1の左右の周壁11aの内側面に設けたリブ16の後端と係止することで、カバー2の前方方向への回転が規制されて、上端部から下端部にかけて前面部20が下り傾斜するようにボディ1の前部より前方へ突出することになり、前面部20の下端部とボディ1の前部との間からプラグ挿入口23aが外部に臨むことになる。この突出状態がプラグ接続を行う使用状態となり、この状態ではカバー2に装着された押さえ金具4の係止突片45が可撓片15aの係止孔15bに係入し、係止突片45が係止孔15bの後縁に係止することで、カバー2の後方への回転が規制されて、カバー2が前方に突出した状態を保持する(図5、図6(b)および図8参照)。
この使用状態において、室内側の通信設備からの光ファイバケーブルの先端に接続されたSC形のプラグをプラグ挿入口23aに挿入すると、プラグによって保護扉25,25が開けられて、プラグ接続部31にSC形のプラグが接続される。この時、アダプタ3のプラグ接続部32に接続されたMU形のプラグと、プラグ接続部31に接続されたSC形のプラグとがPC接続され、2つの光ファイバケーブルの間が光学的に結合される。
さらに、接続したSCプラグを抜いた後、この状態から押しボタン15を下向き加減に押操作して、可撓片15aの前側部分を下側に撓ませると、押さえ金具4の係止突片45が係止孔15bから離脱する。そして係止突片45と係止孔15bとの係止状態が外れた状態で、カバー2の下側部をばね体29の付勢力に抗して後方(ボディ1の前部側)へ押圧し、心棒28を中心に図6中左回りに回転させると、カバー2がボディ1の開口1a内に収納される。このとき、カバー2の下端の係止突片20aが可撓片15aの弾性力を利用して係止孔15bに係止することで、カバー2の前面部20の前面がボディ1の前面と略同一高さとなり、前面部20の背方に取り付けたアダプタ3がボディ1の内部に収納された収納状態となる。ここに、ばね体29と押しボタン15を有する可撓片15aとでカバー2およびアダプタ3をポップアップさせるポップアップ機構が構成される。
次に本実施形態の光コンセントAを、造営構造物を構成する壁パネルやコンクリート壁のような壁の室内側に開口するよう、壁に埋設した埋込ボックス(図示せず)からなる取付穴に配設する施工について説明する。
まず、ボディ1の背部11dに装着された張力止め具5を後側に引っ張ることで、係止爪18aと貫通孔55との係止状態を解除させ、張力止め具5をボディ1から取り外す。そして、取付枠8の窓孔81に背方からカバー2の前面部20aを嵌め込み、ボディ1の一方の被係止爪12aを側片83aの係止孔に挿入した後、ボディ1の他方の被係止爪12aを側片83bの係止部88aに挿入することによって、ボディ1を取付枠8に取り付ける。
次に、造営構造物の内側(壁パネルの場合には壁パネルの裏側の壁内、コンクリート壁の場合にはコンクリート壁内)に先行配線され、壁に埋設された埋込ボックス内に導入されている光ファイバケーブルBの先端に接続されたプラグ(図示せず)をボディ1の上側の周壁11bに設けた切欠11fを通してボディ1内に挿入し、カバー2に保持されたアダプタ3のプラグ接続部32に差し込んで、アダプタ3に接続する。
光ファイバケーブルBの先端に接続されたプラグをアダプタ3に接続した後、ボディ1の背部に張力止め具5を装着し、ボディ1から斜め上向きに引き出された光ファイバケーブルBを張力止め具5のガイド部52に沿わせて下向きに配線し、何れかの引掛突起53に半周だけ巻付けて上方に導出する(図9参照)。このとき、引掛突起53の下側の円周面に突設された舌片53aに光ファイバケーブルBが引っ掛かることで、光ファイバケーブルBの脱落を防止できるようになっている。そして、アダプタ3の装着後、光コンセントAの背部を埋込ボックス内に収納し、取付枠8の上下の側片82に設けた長孔84を利用して埋込ボックスにねじ固定し、取付枠8の前面側に係止爪やねじなどで化粧プレート9を取り付け、化粧プレート9の開口窓9aから光コンセントAの前部を外部に露出させて施工を完了する。
ここで、従来は光コンセントAまでの距離が現場毎に異なるため、施工現場にて先行配線された光ファイバケーブルBを切断して、その先端にプラグを接続する作業が必要であったが、切断作業やプラグの接続作業を行うために高価な専用工具を用意しなければならず、また作業に熟練を要するという問題があった。そこで、光ファイバを螺旋状に形成することで伸縮性を持たせ、その先端に予めプラグが接続されている光カールコードを先行配線に用いることが望まれており、このような光カールコードを用いた場合は、光コンセントAの設置位置までの距離に合わせて光カールコードを伸長させることで、施工現場での光ファイバケーブルBの切断作業、およびコネクタの接続作業が不要になり、また取付後に光カールコードが縮むことで光ファイバケーブルBの余長処理も不要になる。ここで、光カールコードは先行配線に用いる場合など狭い配管内を通すことがあるので、先端に接続するプラグには、室内側の通信設備で使用されるSC形のプラグに比べて小型のMU形のプラグを用いているが、本実施形態の光コンセントAでは、アダプタ3が種類の異なるプラグ同士を光学的に結合する機能を有しており、室内側の通信設備からの光ファイバケーブルに接続されたSC形のプラグと、造営構造物に配線された光ファイバケーブルに接続されたMU形のプラグの間を光学的に結合した状態で保持するものであるから、先行配線にMU形のプラグが予め接続されている光カールコードを用いることができ、施工現場での光ファイバケーブルの切断作業やプラグの接続作業を無くすことで、高価な専用工具を用意する必要が無くなり、また熟練を要する作業も無くなるので、施工作業の作業性を向上させることができた。
また、施工後は光カールコードが光コンセントまでの距離に合わせて縮むため、光ファイバケーブルの余長処理が不要になって、施工性がさらに向上し、且つ、光カールコードをガイド部52に沿わせて下向きに配線した後、引掛突起53に半周だけ巻付けてから上側に導出することで、光ファイバケーブルBに加わる張力を引掛突起53で受けることができるから、光ファイバケーブルBの先端に設けたプラグがアダプタ3から抜けるのを防止できる。
なお、光ファイバケーブルBを引掛突起53にもう1周巻付けてから上側に導出するようにしても良く、張力止めの効果をさらに高めることができる。また、引掛突起53は張力止め具5の主部51の上側部に左右方向に並べて3個形成されているので、配線ダクトの埋込ボックスへの取付位置などに合わせて最適な引掛突起53を選んで光ファイバケーブルBを巻付けることができる。なお、引掛突起53の半径やガイド部52の曲率半径、および、ガイド部52から引掛突起53までの距離などの寸法は、光ファイバケーブルBをどの方向に通して巻付けたとしても、光ファイバケーブルBの曲げ半径が最小許容曲げ半径以上となるような寸法に設定してある。また、張力止め部の形態は上記のものに限定されるものではなく、光ファイバケーブルBを引掛係止して張力止めを行えるのであれば、その形状は問わない。
(参考例)
本発明の参考例を図10〜図13に基づいて説明する。尚、以下の説明では特に断りが無い限り、図11(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、同図(a)中の正面を前面とする。したがって、同図(b)における左端は後端となる。
本参考例の光コンセントA’は、造営構造物を構成する壁の室内側の表面に露設される露設形のコンセントであり、アダプタ3と、アダプタ3を保持するとともに造営構造物に設置される合成樹脂製のボディ6と、アダプタ3を覆うようにしてボディ6に被着される合成樹脂製のカバー7とを主要な構成として備え、ボディ6とカバー7とで略箱形のケースが構成される。
アダプタ3は、実施形態1で説明したものと共通の構成を有しており、室内側の通信設備で一般的に使用されるSC形のプラグと、SC形に比べて小型のMU形のプラグとを光学的に結合した状態で保持する機能を有している。すなわち、アダプタ3は、造営構造物の室内側にある通信設備からの光ファイバケーブルに接続された汎用のSC形プラグを後述のプラグ挿入口62bを通してプラグ接続部31に接続するとともに、屋外から引き込まれて造営構造物の表面にモールなどを用いて露出配線された光ファイバケーブルに接続されている小型のMU形プラグを後述のノックアウト67を通してプラグ接続部32に接続することができる。
カバー7はボディ6の前面に対向配置される縦長の主部71を有し、この主部71の上側および左右両側の3辺からは後方に向かって周部72が一体に延出しており、後面および下面が開口した略箱形に形成されている。主部71の略下半分は前方に膨出しており、下側部の背面にはボディ6側に突出する突条73が左右方向に並べて複数並設されている。また、左右両側の周部72の後縁からは、内側(左右方向における中心方向)に向かって係止片74が突出しており、各係止片74の前面の下端部には係止突起74aが突設されている。
一方、ボディ6は縦長の矩形板状の主部61を有しており、主部61の下側辺からは前方に突出する縦壁62が一体に立設され、下側辺を除く3辺からは縦壁62よりも突出量の小さい側部61aが前方に延出している。主部61の上下方向略中央には一対のねじ挿通孔69,69が貫設されており、ねじ挿通孔69にタッピングねじのような固定ねじ(図示せず)を挿通して、造営構造物を構成する壁パネルなどにねじ込むことによって、ボディ6を造営構造物にねじ固定できるようになっている。また、左右両側の側部61aの下半分は、上半分よりも幅広に形成されており、この幅広部61b,61bの内側縁(ボディ6の左右方向中央部に近い側)からは前方に突出するガイド壁68,68が一体に延出形成され、各ガイド壁68,68の下側部の前縁からは外側に向かって係止片68a,68aが突設されている。
而して、ボディ6にカバー7を取り付ける際には、ボディ6の主部61に、カバー7を上側から下側へスライドさせて被せると、カバー7の左右両側の周部72に設けた係止片74がボディ6の主部61と係止片68aとの間に挿入され、カバー7の下側縁が縦壁62の周部に当接する位置までカバー7をスライド移動させると、係止片74の係止突起74aが係止片68aの後面に設けた突起68bを乗り越え、係止突起74aが突起68bと係止することでカバー7の抜けが防止される。この時、カバー7の突条73の下端部が縦壁62に当接することで、カバー7の下側への移動が規制され、またカバー7の係止片74が、ボディ6のガイド壁68および係止片68aと当接することで、カバー7の前後方向および左右方向への移動が規制される。なお、カバー7を取り外す際には、カバー7を上側にスライド移動させると、係止突起7aと突起68bとの係止状態が外れるので、カバー7をボディ6から容易に取り外すことができる。
また、主部61の前面の略下半分には、アダプタ3の後面と当接する3本の突条63が長手方向に沿って形成されており、3本の突条63を挟んだ左右両側部にはプラグ接続部32の左右両側面をガイドする一対のガイド片64a,64aと、プラグ接続部31の左右両側面をガイドする一対のガイド片64b,64bとが上下に間隔を空けて突設されている。ガイド片64a,64bの間の隙間はアダプタ3の鍔33が嵌る溝65となり、下側のガイド片64b,64bの対向面先端部には、プラグ接続部32の前面側の角に引掛係止する爪64c,64cが突設されている。
而して、アダプタ3の向きを合わせて、アダプタ3の鍔33が溝65内に挿入されるようにしてアダプタ3を主部61に近付けると、プラグ接続部31,32の左右両側面にそれぞれガイド片64a,64bが当接し、プラグ接続部32の角部にガイド片64bの爪64cが引掛係止することによってアダプタ3がボディ6に取着される。ここで、縦壁62はプラグ接続部32に対向しており、縦壁62の略中央には、造営構造物の室内側の通信設備からの光ファイバケーブルの先端に設けられたSC形のプラグが挿入されるプラグ挿入口62aが開口している。このプラグ挿入口62aは保護扉62b,62bによって開閉自在に閉塞されており、レーザ光の外部への漏出を保護扉62b,62bで防止している。なおアダプタ3を取り外す際には、ガイド片64bの先端部を外側に押して爪64cの係止を解除すれば、アダプタ3をボディ6から容易に取り外すことができる。
また、主部61の上側部には、主部61を前後方向に貫通する角孔状の挿通孔66が左右方向に3個並べて貫設されている。各々の挿通孔66に望む側部61aの部位には、左右両端部を薄肉に形成することによって、薄肉部67a,67aの間の部位にノックアウト67を形成してあり、薄肉部67a,67aをカッターやニッパーなどで切断してノックアウト67を切り取ることで、光ファイバケーブルの挿通口を容易に形成できるようになっている。すなわち、ボディ6の上側の側部61a(造営構造物への取付面以外の側面)には、左右方向の両側部および中央部に合計3個のノックアウト67が形成されている。
以上のような構成の光コンセントA’を造営構造物を構成する壁に施工するに当たっては、先ずボディ6の挿通孔69,69にタッピングねじのような固定ねじを挿通し、造営構造物(例えば石膏ボードよりなる壁)に螺入することによってボディ6を造営構造物に固定する。次に、屋外から引き込まれた光ファイバケーブルを造営構造物(壁)の表面に露出配線し、この光ファイバケーブルの先端に予め接続されているMU形のプラグ(第2のプラグ)をアダプタ3のプラグ接続部32に接続する。その後、光ファイバケーブルをケース内部に導入するために、何れかのノックアウト67の薄肉部67a,67aをカッターやニッパーなどで切断し、ノックアウト67を切り取ってできた挿入口に光ファイバケーブルを通した状態で、アダプタ3の鍔33が溝65内に嵌るようにして、プラグ接続部32をガイド片64a,64a間に挿入するとともに、プラグ接続部31をガイド片64b,64b間に挿入し、プラグ接続部31の前面側の角にガイド片64bの爪64cを引掛係止させることで、アダプタ3をボディ6に保持させる。そして、ボディ6の主部61に、カバー7を上側から下側へスライドさせて被せると、カバー7の係止片74がボディ6の主部61と係止片68aとの間に挿入され、カバー7の下側縁が縦壁62の周部に当接する位置までカバー7をスライド移動させると、係止片74の係止突起74aが係止片68aの突起68bと係止することでカバー7がボディ6に装着される。
この組立完了状態において、アダプタ3のプラグ接続部31は縦壁62のプラグ挿入口62aと対向配置され、室内側の通信設備からの光ファイバケーブルの先端に接続されたSC形のプラグをプラグ挿入口62aに挿入すると、プラグによって保護扉62b,62bが開けられて、プラグ接続部31にSC形のプラグが接続される。この時、アダプタ3によりSC形のプラグとMU形のプラグとがPC接続され、2つの光ファイバケーブルの間が光学的に結合される。
ここで、アダプタ3は種類の異なるプラグ(SC形とMU形)同士を光学的に結合する機能を有しており、一般的に用いられるSC形のプラグよりも小型のMU形のプラグを接続することが可能なので、屋外から引き込まれる光ファイバケーブルの先端にMU形のプラグを予め接続したものを用いることができ、配線を引き込むのに必要な通線用のスペースを小さくできる。
また、コンセント本体(ケース)を構成するボディ6の側部61a(造営構造物への取付面以外の側面)において、取付面と略平行な方向の両側位置を少なくとも含む複数の位置(本参考例では中央および左右両側の3箇所)にノックアウト67を形成しているので、図13に示すように光コンセントA’のケースを部屋の隅に設置する際に、同図(a)のようにケースの右側面を取付面100aの右端にある柱100bに近接させて設置する場合は、右端のノックアウト67を除いてできた挿入口から光ファイバケーブルBを入線すれば、他のノックアウト67から入線する場合に比べて光ファイバケーブルBを部屋の隅により近付けて配線することができ、配線の見栄えを良くできる。また同図(b)のようにケースの左側面を取付面100aの左端にある柱100cに近接させて設置する際は、左端のノックアウト67を除いてできた挿入口から光ファイバケーブルBを入線すれば、他のノックアウト67から入線する場合に比べて光ファイバケーブルBを部屋の隅により近付けて配線することができ、配線の見栄えを良くできる。またケースを部屋の壁の中央付近に設置する場合は、中央にあるノックアウト67を除いてできた挿入口から光ファイバケーブルを入線すれば、ケースの左右方向略中央に光ファイバケーブルを入線することができ、配線の見栄えを良くできる。
このように、コンセント本体(ケース)を構成するボディ6には、造営構造物への取付面以外の側面において、取付面と略平行な方向の両側位置を少なくとも含む複数の位置に通線用のノックアウト67を設けているので、設置場所に合わせたノックアウト67を選んで使用することができ、配線の施工性が向上するという利点がある。なお、造営構造物を構成する壁などに穿設した孔を通してコンセント本体の内部に光ファイバケーブルを導入する場合は、壁に穿設した孔と挿通孔66とが連通するようにボディ6を造営構造物に固定し、壁に穿設された孔と挿通孔66とを通して光ファイバケーブルをコンセント本体内部に導入すれば良い。