JP4331862B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関するものであって、特に誘電体層に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高精細な表示(ハイビジョン等)や大画面化などディスプレイのさらなる高性能化が要求されるようになり、種々のディスプレイの研究開発がなされている。その代表的なディスプレイとしては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などが挙げられる。
【0003】
このうちPDPはガス放電パネルの一種であり、2枚の薄いガラス板を隔壁(リブ)を介して対向させ、隔壁の間の一方のガラス板上に複数対の表示電極(一般的に良好な導電性を確保するためにAgまたはCr/Cu/Crからなる)と誘電体層と蛍光体層とをこの順に形成し、両ガラス板の間に放電ガスを封入して気密接着した構成を備え、放電ガス中で放電して蛍光発光させるものである。したがって、大画面化してもCRTのように奥行き寸法や重量が増加しにくく、またLCDのように視野角が限定される問題も回避できる点で優れている。
【0004】
このうち誘電体層は、一般に低融点ガラスで構成される。この場合、十分な耐電圧を有すること、透明度が高いこと、焼成温度ができるだけ低いこと(具体的には600℃以下で焼成できること)、といった各性質が望まれる。実際の誘電体層用のガラスとしては、前記各性質を備えるガラスとして、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi2O3)を含むガラス(誘電率ε=10〜15)などが用いられることが多い(例えば特開平9-50769号公報を参照)。
【0005】
ところでPDPでは、できるだけ消費電力を抑えた電気製品が望まれる今日において、さらにその駆動時の電力消費量を低くすることが期待されている。特に昨今のディスプレイの大画面化および高精細化の動向によって、PDPの電力消費量は増加傾向にあるので、いっそうの積極的に省電力化を実現させることが望まれている。
【0006】
省電力化を実現する方法の一つとして、誘電体層の誘電率εを低減する工夫が挙げられる。誘電体層の誘電率εは、誘電体層に蓄積される電荷量と比例するので、PbO系またはBi2O3系などの組成よりも誘電率εの低い誘電体層を用いることによって、誘電体層に蓄積される電荷量をさらに抑えることができ、PDPの消費電力を低減することができる。PbO系ガラスまたはBi2O3系ガラスなどの組成よりも誘電率εの低いガラス組成としては、具体的には特開平8-77930号公報に、誘電率εが6.2〜7.6程度のNa2O-B2O3-SiO2系ガラス、Na2O-B2O3-ZnO系ガラスといったものが開示されている。このような各組成のガラスを誘電体層に用いれば、複数対の表示電極に印加する一定電圧に対する画素セルの放電電流量を、従来より少なく抑えることができ(約1/2以下に抑えることができ)、PDPの消費電力の低減が可能となる。また、この公報の方法ではPbO系ガラスを用いずに誘電体層を作ることができるので、Pbを原因として生じる環境汚染などの問題を回避する効果も得られる。
【0007】
なお前記Na2O-B2O3-SiO2系ガラス、Na2O-B2O3-ZnO系ガラスは、実際には軟化点を下げて(具体的には焼成温度を550℃〜600℃の範囲に設定する)を容易にして製造工程を行う目的などのために、Na2Oを(全誘電体層の組成の)10wt%よりも多く添加して用いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したNa2O-B2O3-SiO2系、Na2O-B2O3-ZnO系のような各ガラスで誘電体層を構成すると、表示電極のAgまたはCu成分が誘電体層中に混入し、コロイド粒子となって析出する性質が見られる(最新プラズマディスプレイ製造技術 平成9年度版 pp.234を参照)。このコロイド粒子は、特定波長の可視光を反射する性質を有する。そのため、誘電体層を黄色く着色(すなわち黄変)してしまい、放電空間で発生した発光に好ましくない着色をしたり、本来は得られるべき光量を減らしてしまうなど、表示性能に悪影響を与える原因となりうる。誘電体層のガラス組成にNa2Oを10wt%よりも多く添加すると、前記黄変を引き起こす原因ともなりうる。このようなことから、前記コロイド粒子の発生は避けるべきである。
【0009】
さらに、誘電体層のガラス組成にNa2Oを10wt%よりも多く添加すると、誘電体層の電力損失を示すtanδ値を上昇させてしてしまうなどの悪影響も生じる。具体的には、誘電体層(20〜50μmの厚み)で約1kVまで耐電圧が落ちるといった問題が生じることがある。
このように現在では、プラズマディスプレイパネルにおいて、主に次の3つの課題が存在する。
【0010】
*1.誘電体層の誘電率εを低く抑えて省電化を図り、発光効率を向上させること。
*2.誘電体層の軟化点も低く設定して製造工程を容易にすること。
*3.誘電体層の黄変を防止して透明度を確保し、良好な表示性能を得ること。
本発明は上記3つの課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、比較的容易に誘電体層を作製でき、大画面化・高精細化しても消費電力の増加を抑制し、従来よりも優れた発光効率と表示性能のもとに駆動することが可能なPDPを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願発明者らは鋭意検討した結果、対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層は、少なくともZnOと、10wt%以下のR2Oを含み、かつPbOおよびBi2O3を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、前記誘電体層は、P 2 O 5 が10〜25wt%、ZnOが20〜35wt%、B 2 O 3 が30〜40wt%、SiO 2 が5〜12wt%で含まれ、さらに、DOが10wt%を上限として含まれているZnO−P 2 O 5 系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であるプラズマディスプレイパネル(但し、RはLi、Na、K、Rb、Cs、Cu、Agから選ばれた1つとし、DはMg、Ca、Ba、Sr、Co、Cr、Niのうちから選ばれた1つ)とした。
【0012】
このような誘電体層のガラス組成とすることにより、本願発明者らは、誘電体層中のR2O成分を少なくし、前記コロイド粒子の析出を抑制して良好な誘電体層の透明度を確保しつつ、従来より消費電力を低減できる効果が得られることを見いだした。さらに、上記誘電体層が600℃以下の焼成温度で焼成可能であることを見い出した。したがって本発明によれば、誘電体層の焼成などにかかる製造コストを低減しつつ、従来より少ない電力で優れた発光効率のもとに表示性能の良好なプラズマディスプレイパネルを駆動することが可能となる。また、上記ガラス組成ではPbを使わないので、Pbを原因として生じる環境汚染などの問題の発生を回避する効果も得られる。
【0013】
なお、「ε・tanδが0.12以下」の値とは、本発明の省電力性を良好に得るために必要な値であって、後述する実施例で明らかになった値である。ここで上記誘電体層の具体的なガラス組成としては、後述する各実施例によって、次の各ガラス組成が望ましいことが明らかにされている。
【0015】
本発明は、対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、前記誘電体層は、P2O5が42〜50wt%、ZnOが35〜50wt%、Al2O3が7〜14wt%、Na2Oが5wt%を上限として含まれているZnO-P2O5系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であるプラズマディスプレイパネルとした。
【0017】
また本発明は、対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、前記誘電体層は、ZnOが1〜15wt%、B2O3が20〜40wt%、SiO2が10〜30wt%、Al2O3が5〜25wt%、Li2Oが3〜10wt%、MOが2〜15wt%の組成を有するZnO系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であるプラズマディスプレイパネルとした。但し、MはMg、Ca、Ba、Sr、Co、Crから選ばれた1つとする。
また本発明は、対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、前記誘電体層は、ZnOが35〜60wt%、B2O3が25〜45wt%、SiO2が1〜10.5wt%、Al2O3が1〜10wt%で含まれ、さらにNa2Oが5wt%を上限として含まれているZnO系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であるプラズマディスプレイパネルとした。
【0018】
また本発明は、対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、前記誘電体層は、ZnOが35〜60wt%、B2O3が25〜45wt%、SiO2が1〜12wt%、Al2O3が1〜10wt%で含まれ、さらにK2Oが5wt%を上限として含まれているZnO系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であるプラズマディスプレイパネルとした。
また本発明は、対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、前記誘電体層は、Nb2O5が9〜19wt%、ZnOが35〜60wt%、B2O3が20〜38wt%、SiO2が1〜10.5wt%、Li2Oが5wt%を上限として含まれているZnO−Nb2O5系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であるプラズマディスプレイパネルとした。
【0019】
また、本発明では、誘電体層の具体的なガラス組成としては、次の各ガラス組成とすると、前記R2O成分を用いなくてもよいことが、後述する各実施例によって明らかにされている。
すなわち誘電体層は、P2O5が20〜30wt%、ZnOが30〜40wt%、B2O3が30〜45wt%、SiO2が1〜10wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であるものとすることができる。
【0020】
また誘電体層は、ZnOが30〜45wt%、B2O3が40〜60wt%、SiO2が1〜15wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であるものとすることもできる。
また誘電体層は、ZnOが30〜45wt%、B2O3が40〜55wt%、SiO2が1〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%、CaOが1〜5wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であるものとすることもできる。
【0021】
また誘電体層は、ZnOが40〜60wt%、B2O3が35〜45wt%、SiO2が1〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であるものとすることもできる。
また誘電体層は、ZnOが30〜60wt%、B2O3が30〜50wt%、SiO2が1〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であるものとすることもできる。
【0022】
また誘電体層は、Nb2O5が9〜20wt%、ZnOが35〜60wt%、B2O3が25〜40wt%、SiO2が1〜10wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であるものとすることもできる。さらに本発明は、前記誘電体層の前記第一プレート表面側には、前記複数対の表示電極を被覆するように第一誘電体層が配され、前記第一誘電体層は、SiO2、Al2O3、ZnOのいずれかの薄膜、またはPbOとBi2O3のいずれかを含む組成のガラスからなるプラズマディスプレイパネルとすることもできる。
【0023】
これにより、第一誘電体層において、複数対の表示電極に由来するコロイド粒子の析出を効果的に抑制し、誘電体層の透明度を維持して、プラズマディスプレイパネルの表示性能を高めることができる。また一方で、第二誘電体層において、誘電率εを低減させることによりプラズマディスプレイパネルの消費電力を効果的に低減することができる。
【0024】
さらに、前記誘電体層及び前記第一誘電体層のトータルの厚みを40μm以下とし、このうち第一誘電体層の厚みを前記トータルの厚みの半分以下にすることによって、誘電体層に使用するトータルのPb量を従来より削減することが可能となり、Pbを原因として生じる環境汚染などの問題を回避する効果も得られる。ここで上記40μmの値は、一般的な誘電体層の厚みの最大値を示すものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
1.実施の形態1
1-1.PDPの全体的な構成
図1は、本発明の実施の形態1に係る交流面放電型プラズマディスプレイパネル(以下単に「PDP」という)の主要構成を示す部分的な断面斜視図である。図中、z方向がPDPの厚み方向、xy平面がPDPのパネル面に平行な平面に相当する。本PDPは一例として42インチクラスのVGA仕様に合わせたサイズ設定になっているが、本発明は、当然ながらこの他のサイズに適用してもよい。
【0026】
図1に示すように、本PDPの構成は互いに主面を対向させて配設されたフロントパネル20およびバックパネル26に大別される。
フロントパネル20の基板となるフロントパネルガラス21には、その片面に厚さ0.1μm、幅370μmの帯状の透明電極220、230と、厚さ5μm、幅100μmのバスライン221、231で構成される表示電極22、23(X電極23、Y電極22)が、y方向を長手方向としてx方向に複数対並設され、各対の表示電極22、23との間隙(約80μm)で面放電を行うようになっている。バスライン221、231は導電性の優れたAgあるいはCr/Cu/Crで形成される。
【0027】
なお、上記複数対の表示電極22、23はAgやCuからなるバスラインのみで構成してもよい。この場合、複数対の表示電極の間隙は80μm程度とするのが望ましい。
表示電極22、23を配設したフロントパネルガラス21には、当該ガラス21の主面全体にわたって厚さ約30μmの誘電体層24(詳しい組成を後述する)と、厚さ約1.0μmの酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層25が順次コートされている。
【0028】
バックパネル26の基板となるバックパネルガラス27には、その片面に厚さ5μm、幅100μmの複数のアドレス電極28がx方向を長手方向としてy方向に一定間隔毎(約150μm)でストライプ状に並設され、このアドレス電極28を内包してバックパネルガラス27の全面にわたって厚さ30μmの誘電体膜29がコートされている。誘電体膜29上には、隣接する複数のアドレス電極28の間隙に合わせて高さ約150μm、幅約40μmの隔壁30が配設され、そして隣接する隔壁30の側面とその間の誘電体膜29の面上には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに対応する蛍光体層31〜33が形成されている。これらのRGB各蛍光体層31〜33はx方向に順次繰り返し配されている。
【0029】
このような構成を有するフロントパネル20とバックパネル26は、複数のアドレス電極28と複数対の表示電極22、23の互いの長手方向が直交するように対向させつつ、両パネル20、26のそれぞれの外周縁部にて接着し封止されている。前記両パネル20、26間にはHe、Xe、Neなどの希ガス成分からなる放電ガス(封入ガス)が所定の圧力(従来は通常500〜760Torr程度)で封入されている。
【0030】
隣接する2つの隔壁30間は放電空間38となり、隣り合う一対の表示電極22、23と1本のアドレス電極28が放電空間38を挟んで交叉する領域が、画像表示にかかるセル(不図示)に対応している。x方向のセルピッチは約1080μm、y方向のセルピッチは約360μmである。
そして、このPDPを駆動する時には不図示のパネル駆動部によって、アドレス電極28と表示電極22、23のいずれか(本実施の形態1ではこれをX電極23とする。なお一般に、当該X電極23はスキャン電極、Y電極22はサステイン電極と称される)にパルスを印加し、放電させることにより各セルに書き込み放電(アドレス放電)を行った後、一対の表示電極22、23間にパルスを印加し、放電させることによって短波長の紫外線(波長約147nmを中心波長とする共鳴線)を発生させ、蛍光体層31〜33を発光させて画像表示をなす。
【0031】
ここにおいて、本PDPの主たる特徴は誘電体層24の組成にある。すなわち上記誘電体層24の組成は、PbOやBi2O3を含まないZnO-P2O5系ガラス(以降、「本発明のZnO-P2O5系ガラス」と称する)からなることを特徴とする。この本発明のZnO-P2O5系ガラスの組成は、一例として、P2O5が10wt%、ZnOが20wt%、B2O3が40wt%、SiO2が12wt%、BaOが3wt%、Na2Oが10wt%の各割合である。この本発明のZnO-P2O5系ガラスは、従来より誘電体層に用いられていたPbO系ガラスもしくはBi2O3系ガラスに比べ、誘電率εが比較的低く(具体的にはPbO系もしくはZnO系ガラスの誘電率εが10〜12程度であるのに対し、誘電率εが7程度以下に)抑えられている。また、誘電率と損失係数の積ε・tanδについては、従来が0.14〜0.7であったのに対し、本実施の形態1の誘電体層24のε・tanδの値は約0.103以下の値と大幅に低減されている。
【0032】
1-2.実施の形態1の誘電体層の構成による効果
ここで、図3は従来の誘電体層周辺の構成を具体的に示すPDPの部分断面図である。当図に示すように、従来の誘電体層では、バスラインを構成するAgやCu成分のイオンが誘電体層中でコロイド粒子となって混入し、このコロイド粒子が可視光を反射して、誘電体層が黄色く着色する(すなわち黄変する)問題があった(最新プラズマディスプレイパネル 平成9年度版 pp.234を参照)。このようなコロイド粒子による黄変の問題は、ガラス成分に含まれるR2O(RはLi、Na、K、Rb、Cs、Cu、Agのうちの中から選ばれたもの)の量が多いほど(例えば10wt%より多いほど)顕著になる。これに対し、本発明のZnO-P2O5系ガラスからなる誘電体層24では、前記コロイド粒子の発生を増長させるR2O成分(ここではNa2O)が10wt%以下に抑えられており、コロイド粒子が発生しにくいので、AgやCuをバスラインの材料に用いても、誘電体層24の透明度が従来より改善される。これにより、放電空間38で発生した蛍光発光が色彩を損なったり、光量にロスが生ずるなどの問題が回避され、本PDPでは良好な表示性能が発揮されることとなる。
【0033】
このような誘電体層24を有する本PDPによれば、PDP駆動時の放電維持期間の初期において、各一対の表示電極22、23にパルスが印加されると、当該一対の表示電極22、23の間隙で放電がなされる。
ここにおいて本実施の形態1では、誘電体層24の誘電率εが従来の値(ε=10〜15)よりも低くなっている(例えばε=6.4)ため、放電開始までに誘電体層24に蓄積される電荷量が低減されるので、少ない電流で放電が開始されることとなる。これにより本PDPは、従来に比べて小さい電力で放電を開始することが可能であって、その後も良好な省電力性のもとで駆動することができる。
【0034】
このように本実施の形態1のPDPは、優れた省電力性のもとに良好な表示性能を合わせて得られるようになっており、従来よりも発光効率の大幅な改善が期待できるものである。
1-3.誘電体層の誘電率εとPDPの消費電力の関連についての詳細な説明
一般に、一対の表示電極22、23の面積をS、一対の表示電極22、23間の静電容量(放電空間38を含む経路に存在する誘電体層の静電容量)をC、誘電体層24の厚みをd、誘電体層24の誘電率をεとするとき、これらの関係は次の数1式で表すことができる。
(数1式) C = εS/d
また、一対の表示電極22、23間に印加される電圧をV、パネルの駆動周波数をf、このときのPDPの消費電力をWをすると、Wはおよそ次の数2式で表すことができる。
(数2式) W = fCV2=f(εS/d)V2
上記数1式、数2式から明らかなように、fとV2が一定であれば、静電容量Cが小さいほど消費電力Wが小さくなる。静電容量Cは誘電率εと比例するため、誘電率εの値が小さくなると消費電力Wも小さくなる(詳細は電気学会論文集A、118巻15号平成10年pp.537〜542を参照のこと)。
【0035】
また、ここで電界強度E=V/dの関係式を用いると、PDPの電力損失wは次の数3式で表されることが知られている(エレクトロニクス材料、電気書院、昭和50年3月10日pp.23を参照のこと)。
(数3式) w ∝ f(ε・tanδ)V2
一般に電力損失wは消費電力Wと比例するため、この数3式によって、誘電率εまたはtanδの少なくともいずれかの値が小さくなると、消費電力Wも小さくなることがわかる(詳細は電気学会論文集A、118巻15号平成10年pp.537〜542を参照のこと)。
【0036】
本実施の形態1のPDPの効果はこの理論によって説明することができる。すなわち誘電体層の組成を本発明のZnO-P2O5系ガラス(PbOやBi2O3の各成分を含まず、P2O5、ZnO、B2O3、SiO2、BaO、Na2O等の各成分を含む組成)とすることによって、誘電率と損失係数の積ε・tanδの値をともに従来よりも低下させ(具体的に0.12以下の数値)、電力損失wを低下させてPDPの消費電力Wを低減させている。
【0037】
なお、本実施の形態1の誘電体層24は、このほかにPbOやBi2O3を含まないZnO系ガラス(以降、「本発明のZnO系ガラス」と称する)で構成してもよいことが後述の実施例で明らかにされている。この場合の本発明のZnO系ガラスの組成は、一例としてZnOが40wt%、B2O3が45wt%、SiO2が5wt%、Al2O3が5wt%、Cs2Oが5wt%の各割合とすることができる。また、PbOやBi2O3を含まないNb2O5-ZnO系ガラス(以降、本発明の「Nb2O5-ZnO系ガラス」と称する)で構成することもできる。この場合の本発明のNb2O5-ZnO系ガラスの組成は、一例としてNb2O5が19wt%、ZnOが44wt%、B2O3が30wt%、SiO2が7wt%の各割合とすることができる。
【0038】
本発明の誘電体層24のガラス組成のバリエーションについては以下の実施例のところで詳細に述べる。
2.実施の形態2
次に、実施の形態2のPDPについて説明する。本実施の形態2の構成は、誘電体層以外は前記実施の形態1とほぼ同様である。
【0039】
2-1.誘電体層周辺の構成
図2は、実施の形態2の誘電体層24周辺の構成を具体的に示すPDPの部分断面図である。当図から明らかなように、本実施の形態2の誘電体層24は、第一誘電体層241に第二誘電体層242が積層された二層構造を有している。
第一誘電体層241は、厚さ5μmのPbO系ガラス(ここでは一例としてPbOが65wt%、B2O3が10wt%、SiO2が24wt%、CaOが1wt%、Al2O3が2wt%で含まれる)からなり、表示電極22、23を被覆するようにしてフロントパネルガラス21の主面上に形成されている。
【0040】
第二誘電体層242は、厚さ25μmのZnO-P2O5系ガラス(ここでは一例としてZnOが30wt%、P2O5が20wt%、B2O3が40wt%、SiO2が10wt%で含まれる)から構成されている。第二誘電体層242の誘電率εは6.3程度である。
2-2.実施の形態2の誘電体層による効果
第一誘電体層241に用いるPbO系ガラスは、誘電率εが従来と同程度(例えば11.0)の数値となっているが、バスライン221、231に由来するAgやCuのコロイド粒子の発生が少ない性質を持っている。
【0041】
本実施の形態2ではこのような性質を有する第一誘電体層241と第二誘電体層242を積層することにより、PbO系ガラスからなる第一誘電体層241で表示電極22、23を被覆してコロイド粒子の発生を抑制しつつ、誘電率εが比較的低い第二誘電体層242によってPDPの消費電力の低減を図る作用を合わせ持たせている。このPDPの消費電力の低下の対策としては、さらに第一誘電体層241の厚みを5μmと薄く抑えることにより、誘電体層24におけるトータルの誘電率εを低く設定し、誘電体層24中に蓄積される電荷量を低減する工夫も行っている。また、このように第一誘電体層241を薄くすることによって、使用するPb量を少なく抑え、Pbに関する環境汚染などの問題への対応も図ることも可能となっている。
【0042】
なお、一般的な誘電体層の厚みは最大で40μmであることから、本発明の誘電体層24の効果(例えば上記Pb量の削減効果など)を良好に得るためには、40μm以下の厚みとすることが必要である。またこの場合、第一誘電体層241の厚みは誘電体層24のトータルの厚みの半分以下の厚みに設定することによって、いっそうPb量を効果的に減らすことができる。
【0043】
この誘電体層24を有する本PDPによれば、PDP駆動時の放電維持期間の初期に各対の表示電極22、23にパルスが印加されると、第一誘電体ガラス241中の表示電極22、23の間隙で放電がなされる。そして第二誘電体層242を介して放電空間38に放電ガスのプラズマが拡大し、放電が維持放電に移行して、次第に発光輝度が向上するようになる。
【0044】
ここにおいて本実施の形態2では、第二誘電体層242の誘電率εが従来よりも低いことから、前記実施の形態1と同様にして放電に必要な誘電体層の電荷蓄積量が低減され、本PDPは良好な省電力性のもとで駆動される。
またさらに、PbO系ガラスからなる第一誘電体層241がバスライン221、231を被覆していることから、バスライン221、231のAgやCu成分からなるコロイド粒子の発生が実施の形態1のように低減され、誘電体層24の黄変が抑制されて透明度が増している。したがって、放電空間38で発生した蛍光発光が色彩を損なうことなく良好にPDPの発光表示に供される。
【0045】
なお、第一誘電体層241は、前記PbO系ガラスのほかにBi2O3系ガラスを用いてもよいし、SiO2、Al2O3、ZnO等の薄膜酸化物層として形成してもよい。これらの薄膜酸化物層はスパッタリングにより形成することができる。
また第二誘電体層242としては、前記ZnO-P2O5系ガラスのほかにZnO系ガラスを用いてもよい。これらの具体的なガラス組成については、実施例のところで詳細に述べる。
【0046】
ここで、誘電体層を二層構造で構成する技術については、例えば特開平9-50769号公報に開示されているが、これは第一誘電体層をZnO系ガラス、第二誘電体層をPbO系ガラスでそれぞれ構成する(すなわち本実施の形態2の構成とは逆の積層構造の誘電体層)ものであって、本発明の構成と明らかに異なるものである。また、この構成では本発明に比べてバスラインに由来するコロイド粒子が第一誘電体層中で発生しやすく、黄変を生じる可能性がある。さらに当該技術におけるZnO系ガラスはBi2O3を含む組成であり、この組成では誘電体層の誘電率εが本発明の誘電体層よりもかなり高くなると思われる。このようなことから特開平9-50769号公報の技術では、本発明における優れた省電性の効果と誘電体層の黄変の抑制効果を得るのは困難であると思われる。
【0047】
3.PDPの作製方法
次に、上記各実施の形態のPDPについて、その作製方法の一例を説明する。
3-1.フロントパネルの作製
約360℃の溶融Sn(スズ)フロート上にガラス材料を浮かせて成形するフロート法によって、厚さ約2.6mmのソーダライムガラスからなるフロントパネルガラス21を作製し、その面上に表示電極22、23を作製する。これにはまず、透明電極220、230を次のフォトエッチング法により形成する。
【0048】
次に、フロントパネルガラス21の全面に、厚さ約0.5μmでフォトレジスト(例えば紫外線硬化型樹脂)を塗布する。そして透明電極220、230のパターンのフォトマスクを上に重ねて紫外線を照射し、現像液に浸して未硬化の樹脂を洗い出す。次に透明電極220、230の材料としてITO等をフロントパネルガラス21のレジストのギャップに塗布する。この後に洗浄液などでレジストを除去し、透明電極220、230を完成する。
【0049】
続いて、AgもしくはCr/Cu/Crを主成分とする金属材料により、前記透明電極220、230上に厚さ約7μm、幅50μmのバスライン221、231を形成する。Agを用いる場合にはスクリーン印刷法が適用でき、Cr/Cu/Crを用いる場合には蒸着法またはスパッタ法などが適用できる。
以上で表示電極22、23が形成される。
【0050】
3-1-1.実施の形態1の誘電体層(単一層構造の誘電体層)の作製
ここでは実施の形態1の誘電体層(P2O5-ZnO系ガラスを使用)の作製方法を説明する。
まず、P2O5-ZnO系ガラス粉末(例えばP2O510〜25wt%、ZnO20〜35wt%、B2O330〜55wt%、SiO25〜12wt%、およびBaOとNa2Oを10wt%を上限として含む組成)と、有機バインダー溶液(分散剤のホモゲノールを0.2wt%と可塑剤のフタル酸ジブチルを2.5wt%、さらにエチルセルロースを10wt%含有する有機溶剤を45wt%混合したもの)を、55:45の重量比で混合してガラスペーストを作る。このガラスペーストを、印刷法で表示電極22、23の上からフロントパネルガラス21の全面にわたってコートする。そして、600℃以下で焼成(具体的には520℃で10分)して、厚さ30μmの誘電体層24を形成する。上記のように、本願発明者らは本発明のP2O5-ZnO系ガラスの組成を決定することによって、600℃以下というガラス材料にしては比較的低温で焼成を行うことが可能となり、製造工程を容易にできることを見い出した。なお上記分散剤としては、ホモゲノール、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレートの中から選ぶことができる。
【0051】
ここにおいて、従来この誘電体層の形成時には、誘電体層中に各バスラインのAgやCuが直径300〜400Åのコロイド粒子となって析出する問題があった(前述の図3を参照)。これは主として前記フロート法を行う際にスズイオンSn2+がフロントパネルガラスの表面に付着したままになり、後に各バスラインから誘電体層中に溶け出したAg+やCu2+を還元する(例えば2Ag++Sn2+ → Ag+Sn4+)作用をなすことが原因であると考えられている。そしてこのとき、誘電体層の組成にR2O成分(RはLi、Na、K、Rb、Cs、Cu、Agのうちの中から選ばれたもの)が10wt%以上含まれていると、このような還元反応が増長されてしまう。このような還元反応は、特にR2O成分が10wt%より多いと顕著に作用することが本願発明者らによって明らかにされているが、これは比較的イオン半径の小さいR2Oに付随して、前記Ag+やCu2+が誘電体層の組成中にいっそう拡散されることが原因であるものと推定される。
【0052】
そこで本発明では、誘電体層24の組成中のR2O成分(この場合Na2O)の割合を10wt%以下とすることにより、上記還元反応を抑制し、コロイド粒子の発生を防いで透明度の良好な誘電体層24を形成するようにしている。
3-1-2.実施の形態2の誘電体層(二層構造の誘電体層)の作製
ここでは実施の形態2の誘電体層(第一誘電体層にPbO系ガラス、第二誘電体層にP2O5-ZnO系ガラスをそれぞれ使用)の作製方法を説明する。
【0053】
まず、PbO系ガラス粉末(ここでは一例としてPbOが65wt%、B2O3が10wt%、SiO2が24wt%、CaOが1wt%、Al2O3が2wt%で含まれる)と、有機バインダー溶液(分散剤のホモゲノールを0.2wt%と可塑剤のフタル酸ジブチルを2.5wt%、さらにエチルセルロースを10wt%含有する有機溶剤を45wt%混合したもの)を、55:45の重量比で混合してガラスペーストを作る。このガラスペーストを、印刷法で表示電極22、23の上からフロントパネルガラス21の全面にわたってコートする。そして焼成を行い(具体的には560℃で10分)して、厚さ5μmの第一誘電体層241を形成する。
【0054】
なお、第一誘電体層241は、SiO2、Al2O3、ZnOといった酸化物薄膜をスパッタリングすることにより形成してもよい。
ここで第一誘電体層241のガラス材料としては、当然ながら以後に形成する第二誘電体層242の融点よりも高いガラス材料を用いるように注意する。
次に、前記形成した第一誘電体層241の上から、P2O5-ZnO系ガラス粉末(ここでは一例としてZnOが30wt%、P2O5が20wt%、B2O3が40wt%、SiO2が10wt%で含まれる)と、有機バインダー溶液(分散剤のホモゲノールを0.2wt%と可塑剤のフタル酸ジブチルを2.5wt%、さらにエチルセルロースを10wt%含有する有機溶剤を45wt%混合したもの)を、55:45の重量比で混合してガラスペーストを作る。このガラスペーストを、印刷法で表示電極22、23の上からフロントパネルガラス21の全面にわたってコートする。そして焼成を行い(具体的には530℃で10分)して、厚さ25μmの第二誘電体層242を形成する。
【0055】
これで二層構造の誘電体層24が形成される。
以上のようにして誘電体層24が形成できたら、その表面上に酸化マグネシウム(MgO)よりなる保護層25を厚さ約0.9μmにわたって形成する。
以上でフロントパネル20が作製される。
3-2.バックパネルの作製
前記フロート法で作製した厚さ約2.6mmのソーダライムガラスからなるバックパネルガラス27の表面上に、スクリーン印刷法によりAgを主成分とする導電体材料を一定間隔でストライプ状に塗布し、厚さ約5μmの複数のアドレス電極28を形成する。
【0056】
続いて、前記複数のアドレス電極28を形成したバックパネルガラス27の面全体にわたって、前記誘電体層24と同様のガラスペーストを厚さ約20μmで塗布して焼成し、誘電体膜29を形成する。
次に、誘電体膜29と同じガラス材料により、誘電体膜29の上に隣り合う2つのアドレス電極28の間隙(約150μm)毎に高さ約150μmの隔壁30を1つずつ形成する。この複数の隔壁30は、例えば上記ガラス材料を含むガラスペーストを繰り返しスクリーン印刷し、その後焼成すると形成できる。
【0057】
隔壁30の形成後、隔壁30の壁面と、隣接する2つの隔壁30間で露出している誘電体膜29の表面に、赤色(R)蛍光体、緑色(G)蛍光体、青色(B)蛍光体のいずれかを含む蛍光インクを塗布し、これを乾燥・焼成してそれぞれ蛍光体層31〜33とする。
ここで一般的にPDPに使用されている蛍光体材料の一例を以下に列挙する。
【0058】
赤色蛍光体; (YxGd1-x)BO3:Eu3+
緑色蛍光体; Zn2SiO4:Mn
青色蛍光体; BaMgAl10O17:Eu3+(或いはBaMgAl14O23:Eu3+)
各蛍光体材料は、例えば平均粒径約3μm程度の粉末が使用できる。蛍光体インクの塗布法は幾つかの方法があるが、ここでは蛍光体インクを走査してノズルから吐出する方法を用いる。この方法は蛍光体インクを目的の領域に均一に塗布するのに好都合である。なお、本発明の蛍光体インクの塗布方法は、当然ながらこの方法に限定するものではなく、スクリーン印刷法など他の方法も使用可能である。
【0059】
以上でバックパネル26が完成される。
なお、フロントパネルガラス21およびバックパネルガラス27をソーダライムガラスから作製する例を示したが、これは材料の一例として挙げたものであって、当然ながらこれ以外の材料を用いてもよい。
3-3.PDPの完成
作製したフロントパネル20とバックパネル26を、封着用ガラスを用いて貼り合わせる。その後、放電空間38の内部を高真空(8×10-7Torr)程度に排気し、これに所定の圧力(500〜760Torr)でNe-Xe系やHe-Ne-Xe系、He-Ne-Xe-Ar系などの放電ガスを封入する。
【0060】
以上でPDPが完成される。
4.実施例の作製と性能測定
4-1.実施例と比較例の作製
続いて、本発明のPDPの性能評価を行うために前記作製方法に従って実施例のPDPを作製した。実施例のPDPは誘電体層の組成のみが異なる複数のバリエーション(ZnO系ガラス、P2O5系ガラスもしくはZnO-P2O5系ガラス)を全部で60種類(No.1〜60)作製した。この実施例No.1〜60のうち、実施の形態1のPDP(単一層構造の誘電体層を有するPDP)に相当する実施例をNo.1〜54、実施の形態2のPDP(二層構造の誘電体層を有するPDP)に相当する実施例をNo.55〜60とした。ここで、No.4、20、29、43、47、51はR2O成分を含まない実施例として作製した。
【0061】
なお、比較例として従来のガラス組成(Bi2O3系ガラスまたはPbO系ガラス(詳細な組成は表11、12を参照))からなる誘電体層を備えるPDPも計15種類(No.61〜75)作製した。このうち、ZnO系ガラス、P2O5系ガラスもしくはZnO-P2O5系ガラスにおいて、それぞれR2O(一例としてNa2O)を10wt%よりも多く添加したものからなる誘電体層を備える比較例のPDPを計3種類(No.65〜67)作製した。
【0062】
これらNo.1〜75のPDPの誘電体層におけるトータルの厚みはそれぞれ30μmに統一した。また各誘電体層は、No.58〜60のPDPの第一誘電体層をスパッタリング法で作製する場合を除き、すべて印刷法によって形成した。
このように作製したPDPのNo.1〜75について、誘電体層の着色状態、損失係数(tanδ)、耐電圧(DC)、ε・tanδ積値、誘電率ε、PDPのパネル輝度(cd/m2)、PDPの消費電力(W)等を測定した。具体的な各測定方法は以下の通りである。なお誘電体層の着色状態は、PDPを白バランス表示状態に設定し、肉眼にて確認した。
【0063】
4-2.誘電体層の損失係数(tanδ)、誘電率εの測定
各PDPの誘電体層の耐電圧と損失係数はLCRメータ(ヒューレット・パッカード社製4284A)を用い、交流電圧(周波数10kHz)を印加してそれぞれ測定した。このときの具体的な測定方法は次の通りである。
すなわち、フロントパネルの隣接する5本のX電極を連結して共通電極とする。次に、誘電体層の上に4mm×4mmのサイズを有する方形状のAg電極を作製し、これらの電極に印加して、その間の容量Cと損失係数tanδを測定する。Cとtanδの値は、LCRメータに直接表示される。また誘電率εは、上記数1式を利用して(d=30μm、S=4mm×4mm)算出する。
【0064】
4-3.誘電体層の耐電圧の測定
誘電体層の耐電圧については、各実施例および比較例No.1〜75のPDPに形成したものと同様の各誘電体層をガラス基板上に作製し、これらについて測定を行った。具体的には、前記ガラス基板上に作製した各誘電体層を4mm×4mmのサイズを有する方形状の2つのAg電極で上下方向から挟み込み、当該2つの電極間に直流電圧を印加して測定した。
【0065】
こうして得られた実施例No.1〜60および比較例No.61〜75の各データを表1〜25に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】
【表9】
【0075】
【表10】
【0076】
【表11】
【0077】
【表12】
【0078】
【表13】
【0079】
【表14】
【0080】
【表15】
【0081】
【表16】
【0082】
【表17】
【0083】
【表18】
【0084】
【表19】
【0085】
【表20】
【0086】
【表21】
【0087】
【表22】
【0088】
【表23】
【0089】
【表24】
【0090】
【表25】
【0091】
5.実施例の性能評価
5-1.誘電率εについて
まず表1のように、実施例のZnO-P2O5系ガラス(No.1〜8)では、省電性を得るために良好な誘電率εの値(ε=6.2〜6.7)が得られることが確認できた。この実施例No.1〜8のP2O5-ZnO系ガラスは、実施の形態1で述べた誘電体層のガラス組成に直接基づくバリエーション群である。このうち実施例No.3、5〜8によれば、本発明の効果が得られるZnO-P2O5系ガラスの具体的な組成範囲は、P2O5が10〜25wt%、ZnOが20〜35wt%、B2O3が30〜55wt%、SiO2が5〜12wt%、およびDOとR2Oが10wt%を上限として含まれる割合が望ましい。ここで、RはLi、Na、K、Rb、Cs、Cu、Agのうちの中から選ばれたもの、DはMg、Ca、Ba、Sr、Co、Cr、Niのうちの中から選ばれたものとする。なお、RのCuとDのCrについては、別の実験により上記DOまたはR2Oとして使用可能であることが確認されている。
【0092】
なお、R2O成分を含まないNo.4については、表1中の誘電体層のガラス組成を基準として、P2O5が20〜30wt%、ZnOが30〜40wt%、B2O3が30〜45wt%、SiO2が1〜10wt%のガラス組成の範囲で若干変化させても同様の性能が得られるものと推測される。
次に、表2に示す実施例のZnO-P2O5系ガラス(No.9〜14)の組成でも、誘電率εの値が6.0台以下(ε=5.8〜6.5)にまで低減され、良好な結果が得られることが分かった。これらの実施例No.9〜14によれば、そのガラス組成範囲は、P2O5が42〜50wt%、ZnOが35〜50wt%、Al2O3が7〜14wt%、Na2Oが5wt%を上限として含まれるものが望ましいと考えられる。
【0093】
さらに、表3に示す実施例のZnO系ガラス(No.15〜22)の組成でも、誘電率εの値が6.0台(ε=6.4〜6.8)にまで抑えられ、良好な結果が得られることが分かった。これらの実施例No.15〜22によれば、そのガラス組成範囲は、ZnOが20〜44wt%、B2O3が38〜55wt%、SiO2が5〜12wt%で含まれ、さらに、R2OおよびMOがそれぞれ10wt%を上限として含まれるものが望ましい。但し、RはLi、Na、K、Rb、Cs、Cu、Agのうちの中から選ばれたもの、MはMg、Ca、Ba、Sr、Co、Crのうちの中から選ばれたものとする。ここで、MのCoとCrについては当表中に書かれていないが、別の実験により上記MOとして使用可能であることが確認されている。
【0094】
なお、R2O成分を含まないNo.20については、表3中の誘電体層のガラス組成を基準として、ZnOが30〜45wt%、B2O3が40〜60wt%、SiO2が1〜15wt%のガラス組成の範囲で若干変化させても同様の性能が得られるものと推測される。
さらに、表4に示す実施例のZnO系ガラス(No.23〜30)の組成でも、誘電率εの値が6.0台(ε=6.3〜6.4)にまで抑えられ、良好な結果が得られることが分かった。これらの実施例No.23〜30によれば、そのガラス組成範囲は、ZnOが20〜43wt%、B2O3が38〜55wt%、SiO2が5〜12wt%、Al2O3が1〜10%で含まれ、さらに、R2OおよびMOがそれぞれ10wt%を上限として含まれるものが望ましい。但し、RはLi、Na、K、Rb、Cs、Cu、Agのうちの中から選ばれたもの、MはMg、Ca、Ba、Sr、Co、Crのうちの中から選ばれたものとする。ここで、MのCoについては当表中に書かれていないが、別の実験により上記MOとして使用可能であることが確認されている。
【0095】
なお、R2O成分を含まないNo.29については、表4中の誘電体層のガラス組成を基準として、ZnOが30〜45wt%、B2O3が40〜55wt%、SiO2が1〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%、CaOが1〜5wt%のガラス組成の範囲で若干変化させても同様の性能が得られるものと推測される。
さらに、表5に示す実施例のZnO系ガラス(No.31〜38)の組成でも、誘電率εの値が6.0台(ε=6.4〜6.7)にまで抑えられ、良好な結果が得られることが分かった。これらの実施例No.31〜38によれば、そのガラス組成範囲は、ZnOが1〜15wt%、B2O3が20〜40wt%、SiO2が10〜30wt%、Al2O3が5〜25wt%、Li2Oが3〜10wt%、MOが2〜15wt%の組成のものが望ましい。但し、MはMg、Ca、Ba、Sr、Co、Crのうちの中から選ばれたものとする。ここで、MのCoとCrについては当表中に書かれていないが、別の実験により上記MOとして使用可能であることが確認されている。
【0096】
さらに、表6に示す実施例のZnO系ガラス(No.39〜44)の組成でも、誘電率εの値が6.0台(ε=6.3〜6.8)にまで抑えられ、良好な結果が得られることが分かった。これらの実施例No.39〜44によれば、そのガラス組成範囲は、ZnOが35〜60wt%、B2O3が25〜45wt%、SiO2が1〜10.5wt%、Al2O3が1〜10wt%で含まれ、さらにNa2Oが5wt%を上限として含まれる組成のものが望ましい。
【0097】
なお、R2O(ここではNa2O)成分を含まないNo.43については、表6中の誘電体層のガラス組成を基準として、ZnOが40〜60wt%、B2O3が35〜45wt%、SiO2が1〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%のガラス組成の範囲で若干変化させても同様の性能が得られるものと推測される。
さらに、表7に示す実施例のZnO系ガラス(No.45〜50)の組成でも、誘電率εの値が6.0台(ε=6.4〜6.5)にまで抑えられ、良好な結果が得られることが分かった。これらの実施例No.45〜50によれば、そのガラス組成範囲は、ZnOが35〜60wt%、B2O3が25〜45wt%、SiO2が1〜12wt%、Al2O3が1〜10wt%で含まれ、さらにK2Oが5wt%を上限として含まれる組成のものが望ましい。
【0098】
なお、R2O(ここではK2O)成分を含まないNo.47については、表7中の誘電体層のガラス組成を基準として、ZnOが30〜60wt%、B2O3が30〜50wt%、SiO2が1〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%のガラス組成の範囲で若干変化させても同様の性能が得られるものと推測される。
次に、表8に示す実施例のZnO-Nb2O5系ガラス(No.51〜54)の組成でも、誘電率εの値が6.0台(ε=6.5〜6.8)にまで抑えられ、良好な結果が得られることが分かった。これらの実施例No.51〜54によれば、そのガラス組成範囲は、Nb2O5が9〜19wt%、ZnOが35〜60wt%、B2O3が20〜38wt%、SiO2が1〜10.5wt%、Li2Oが5wt%を上限として含まれる組成のものが望ましい。
【0099】
なお、R2O(ここではLi2O)成分を含まないNo.51については、表8中の誘電体層のガラス組成を基準として、Nb2O5が9〜20wt%、ZnOが35〜60wt%、B2O3が25〜40wt%、SiO2が1〜10wt%のガラス組成の範囲で若干変化させても同様の性能が得られるものと推測される。
以上のように、実施例No.1〜54のどれもが誘電率εの値が6.0台かそれ以下の数値であって、表11および表12に示す比較例No.61〜64、68〜75の誘電率ε(11〜12台)に比べて半分程度(6.0台)までに低減されている。なお、比較例No.65〜67については誘電率εが6.4〜6.7と実施例並に低く抑えられているが、これら比較例No.65〜67の性能は後述するように損失係数tanδや黄変などの特性で実施例の性能に及んでいない。
【0100】
さらに、実施の形態2の誘電体層(二層構造の誘電体層)の構成に相当する実施例No.55〜60では、第一誘電体層にPbO系ガラス(No.55〜57)またはスパッタリングにより形成したSiO2系ガラス(No.58)、Al2O3系ガラス(No.59)、ZnO系ガラス(No.60)を用い、第二誘電体層にZnO系ガラス(No.55、57〜60)またはP2O5-ZnO系ガラス(No.56)を用いた構成としている。これらの構成によっても、前記した実施例No.1〜54と同様に、全体的な誘電率εが7以下に低く抑えられている。
【0101】
5-2.パネル輝度およびパネル消費電力について
表14〜25に示す結果から、実施例No.1〜60では、総じてパネル輝度に関して比較例No.61〜75とほぼ同等の性能を保ちながらも、その消費電力が当該比較例よりも大幅に(比較例の830〜1000W台に比べて450〜550W台にまで)低減されることがわかった。
【0102】
一方、電力損失wと比例するε・tanδ(数3式を参照のこと)の値に関しては、比較例の0.140〜0.750台の値の範囲に対して、R2Oを誘電体層の組成に含まない実施例No.4、20、29、43、47、51も合わせた実施例No.1〜60の全体で、最高値でも0.12以下にまで低減されている。このことから、実施例のPDPが省電力性に優れ、良好な発光効率が得られることが分かる。また、本発明の誘電体層のガラス組成を決定する際には、上記実施例No.1〜60の全体的な測定結果から、ε・tanδが0.12以下の値となるものを選ぶことが一つの基準にできると思われる。
【0103】
また、このようなガラス組成によって、実施例No.1〜60は耐電圧も最大で比較例のほぼ1.5倍程度までに改善され、耐久性の面でも優れていることが分かった。
5-3.誘電体層の透明度(着色状態)について
実施例No.1〜60で挙げたすべてのガラス組成においては、表14〜22に示すように、肉眼での観察によっても比較例No.61〜67やNo.72〜75のように黄変が観察されることなく良好な透明度が維持されることが確認できた。このおかげで前記パネル輝度のおける優れた性能が発揮されたとも思われる。なお、比較例No.68〜71については黄変は見られなかったものの、前述の通り誘電率εが10.5〜11.0と実施例に対してかなり高い数値を示している。
【0104】
誘電体層の黄変は既に述べたように、主としてバスラインのAgもしくはCu成分のコロイド粒子が可視光を反射するために起こるとされているが、実施例の誘電体層ではこのコロイド粒子の発生が抑えられ、透明度が維持されている。これは当該ガラス層の組成中のR2O成分を10wt%以下の範囲にとどめることによって、前述したAgもしくはCuイオンの還元反応を抑える働きを付与した結果、得られたものである。これを言い換えれば、本実施例の誘電体層中の組成はZnOを含み(またはさらにP2O5を含み)、R2Oを10wt%の上限で含んで誘電率εが7以下の値をとるものを選択するのが望ましいと思われる。しかし、表記した実施例のうちにはこのR2Oを全く含まないもの(例えばNo.4、20等)でも良好な誘電率値を呈するものがあるため、必ずしもR2Oが誘電体層中に含まれることが絶対条件であるというわけではない。
【0105】
なお、比較例No.65〜67のデータに示されるように、ZnO系ガラスもしくはZnO-P2O5系ガラスでR2O(例えばNa2O)を10wt%よりも多く添加すると黄変が観察された(ここで、比較例No.67は特開平8-77930号公報に開示されているものに基づくPDPである)。これらの黄変は、他の比較例よりも強い程度に観察された。
【0106】
6.その他の事項
上記実施の形態および実施例ではVGA方式のPDPを作製する例について示したが、当然ながら本発明はこれに限定するものではなく、別の規格のPDPに適用してもよい。
またPDPの放電ガスはNe-Xe系に限らず、これ以外の放電ガスであっても同様の効果を奏する。
【0107】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、本発明は、対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルとして、前記誘電体層は、少なくともZnOと、10wt%以下のR2Oを含み、かつPbOおよびBi2O3を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であることを特徴とする(但し、RはLi、Na、K、Rb、Cs、Cu、Agから選ばれたものとする)ので、表示電極のAgやCuといった成分が誘電体層中に混入してコロイド粒子となり、このコロイド粒子によってディスプレイの表示性能が低下するのが効果的に防止される。また、誘電体層の誘電率εとその損失係数tanδの積の値が従来よりも低いため、消費電力を抑えたプラズマディスプレイパネルとすることが可能となる。さらに、上記組成のガラス組成は軟化点が600℃以下と従来に比べて低く抑えられているので、誘電体層の焼成などにかかる製造コストを抑えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るPDPの構成を示す部分的な断面斜視図である。
【図2】実施の形態2に係るPDPの誘電体層周辺の構成を示す部分断面図である。
【図3】従来におけるPDPの誘電体層周辺の構成を示す部分断面図である。
【符号の説明】
21 フロントパネルガラス
22.23 表示電極
221,231 バスライン
24 誘電体層
241 第一誘電体層
242 第二誘電体層
Claims (14)
- 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、少なくともZnOと、10wt%以下のR 2 Oを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、
前記誘電体層は、P2O5が10〜25wt%、ZnOが20〜35wt%、B2O3が30〜40wt%、SiO2が5〜12wt%で含まれ、さらに、DOが10wt%を上限として含まれているZnO−P2O5系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
但し、RはLi、Na、K、Rb、Cs、Cu、Agから選ばれた1つとし、DはMg、Ca、Ba、Sr、Co、Cr、Niのうちから選ばれた1つとする。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、
前記誘電体層は、P2O5が42〜50wt%、ZnOが35〜50wt%、Al2O3が7〜14wt%、Na2Oが5wt%を上限として含まれているZnO−P2O5系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、
前記誘電体層は、ZnOが1〜15wt%、B2O3が20〜40wt%、SiO2が10〜30wt%、Al2O3が5〜25wt%、Li2Oが3〜10wt%、MOが2〜15wt%の組成を有するZnO系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
但し、MはMg、Ca、Ba、Sr、Co、Crから選ばれた1つとする。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、
前記誘電体層は、ZnOが35〜60wt%、B2O3が25〜45wt%、SiO2が1〜10.5wt%、Al2O3が1〜10wt%で含まれ、さらにNa2Oが5wt%を上限として含まれているZnO系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、
前記誘電体層は、ZnOが35〜60wt%、B2O3が25〜45wt%、SiO2が1〜12wt%、Al2O3が1〜10wt%で含まれ、さらにK2Oが5wt%を上限として含まれているZnO系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、少なくともZnOを含み、かつPbOおよびBi 2 O 3 を含まない組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であり、
前記誘電体層は、Nb2O5が9〜19wt%、ZnOが35〜60wt%、B2O3が20〜38wt%、SiO2が1〜10.5wt%、Li2Oが5wt%を上限として含まれているZnO−Nb2O5系ガラスからなり、その誘電率εが7以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、P2O5が20〜30wt%、ZnOが30〜40wt%、B2O3が30〜45wt%、SiO2が1〜10wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、ZnOが30〜45wt%、B2O3が40〜60wt%、SiO2が1〜15wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、ZnOが30〜45wt%、B2O3が40〜55wt%、SiO2が1〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%、CaOが1〜5wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、ZnOが40〜60wt%、B2O3が35〜45wt%、SiO2が1〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、ZnOが30〜60wt%、B2O3が30〜50wt%、SiO2が1〜10wt%、Al2O3が1〜10wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 対向して設けられた第一プレートと第二プレートの間に、放電ガスが封入され、第二プレートに対向する第一プレート表面には、AgまたはCuからなる複数対の表示電極が形成され、当該第一プレートの表面に、前記複数対の表示電極を覆うようにして誘電体層が被覆された構成を有するプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層は、Nb2O5が9〜20wt%、ZnOが35〜60wt%、B2O3が25〜40wt%、SiO2が1〜10wt%の組成のガラスからなり、その誘電率εとその損失係数tanδの積が0.12以下の値であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 前記誘電体層の前記第一プレート表面側には、前記複数対の表示電極を被覆するように第一誘電体層が配され、
前記第一誘電体層は、SiO2、Al2O3、ZnOのいずれかの薄膜、またはPbOとBi2O3のいずれかを含む組成のガラスからなる
ことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネル。 - 前記誘電体層及び前記第一誘電体層のトータルの厚みは40μm以下であって、前記第一誘電体層の厚みは前記トータルの厚みの半分以下であることを特徴とする請求項13に記載するプラズマディスプレイパネル。
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