JP4331380B2 - 簡易筆記具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メモ書きなどに適するボールペン等の小型の簡易筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常のボールペンは、長寸のケース内に移動可能として収容されたリフィールを、ノック機構に連係し、ノブを押すことにより、リフィールのペン先をケースの前端より出没させるようにしたノック式のものや、単にケース内にリフィールを移動不能として収容し、そのペン先を、ケース先端より常時突出させた固定式のものが殆んどである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した前者のノック式のボールペンは、部品点数が多いため、製造コストが高くなるとともに、使用時及び使用後に、ノブを操作しなければならないという煩わしさがある。
また、製品の価格が高くなるため、例えばセミナー等の出席者に配布したり、宣伝用等として提供したりする際の経費が増大する。
【0004】
一方、上述した後者の固定式のボールペンは、部品点数が少なく、製造コストが比較的安価であるため、無償配布用としては適している。
【0005】
しかし、この種のものは、ペン先を覆うキャップを有するものが多く、このキャップを、ボールペンの使用時及び使用後に、その都度着脱しなければならず、メモ書き等を迅速に行うことができない。
また、取外したキャップを紛失するおそれもある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構成により、ペン先をケースより容易に出没しうるようにし、ノック機構やキャップを廃止して、メモ書き等を迅速に行いうるようにした、安価な簡易筆記用具を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)離間して対向する側片を備える平面視ほぼ前向きU字状の外ケースにおける両側片間に、該両側片間の上下両端の隙間を覆いうる大きさのカバー片を備える内ケースを、内外のケース間に介設した付勢手段により常時前方に付勢するとともに、内外のケース間の適所に設けた停止手段により、互いに前後限位置まで相対移動しうるように摺動自在に嵌合し、かつ前記内ケースの中心に穿設された挿入孔に挿入した筆記用リフィールの後端部を、内ケースを後限まで移動させたとき、その前端部が内ケースの前端より突出し、同じく、前限まで移動させたとき、前端が内ケースの挿入孔内に収容されるように、前記外ケースの両側片間の後端部に設けた保持孔に圧入する。
【0008】
(2)上記(1)項において、外ケースの側片と内ケースのカバー片との少なくともいずれか一方を、外向きに弾性変形可能として、内外のケース間の停止手段の係合を解除しうるようにする。
【0009】
(3)上記(1)または(2)項において、内ケースの両カバー片の表面に、滑り止め用の突部を設ける。
【0010】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、内ケースを前限位置で停止させる停止手段を、外ケースに設けた係止突部と、内ケースに設けた、係止突部側に突出する係合段部とよりなるものとする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、本発明の第1の実施形態を示すもので、筆記具であるボールペン(1)は、図1の分解斜視図に示すように、外ケース(2)、内ケース(3)、リフィール(4)、及び圧縮コイルばね(5)よりなっている。
【0012】
外ケース(2)は、弾性変形可能な合成樹脂により、平面視ほぼ前向き(以下、図1の左方を前として説明する)U字状に形成され、全体の形状を、平面視において概ね長楕円形とし、かつ手の平により隠れる大きさとされている。
【0013】
外ケース(2)における互いに対向する両側片(2a)(2a)の前端部は、僅かに内向きに湾曲され、対向面間の間隔を、前端部ほど小としてある。
【0014】
両側片(2a)間の後端部には、両側片(2a)よりも若干低寸の内ケース(3)のための係止部(6)が一体的に形成され、その上下両面の前端縁には、上下方向に若干突出する係止突部(6a)が形成されている。
係止部(6)の中心には、前後方向を向く有底の保持孔(7)が前面から穿設され、この保持孔(7)には、リフィール(4)の後端部が圧入されるようになっている。
【0015】
内ケース(3)は、合成樹脂からなり、外ケース(2)の両側片(2a)間に、がたなく嵌入しうるとともに、摺動しうるような寸法形状とされ、かつ両側片(2a)間へ嵌入した際に、その上下のカバー片(3a)と両側片(2a)の上下の端面とがほぼ同一面に整合する寸法とされ、かつ前端部は、先細りテーパ状をなして、外ケース(2)の前端より若干突出する長さとされている。
【0016】
内ケース(3)における上下のカバー片(3a)間の前半部には、カバー片(3a)の幅よりも小幅のリフィール(4)の保持部(8)が一体的に形成され、この保持部(8)の中心軸線に沿って、リフィール(4)を挿通しうる挿通孔(9)が、内ケース(3)の前端まで貫設されている。
【0017】
上記保持部(8)の両側端と上下のカバー片(3a)との間に形成された凹部(10)は、外ケース(2)における両側片(2a)の前半部を摺動可能として嵌合しうる嵌合部となっている。
【0018】
上下のカバー片(3a)の後半部は、上下方向に弾性変形可能であり、かつ後端部を互いに近接する方向に若干湾曲させることにより、それらの対向面間の離間寸法を、上記外ケース(2)の係止部(6)の上下寸法と同等、もしくは僅かに小寸としうるようになっている。
【0019】
両カバー片(3a)の対向面の後端部には、上記係止部(6)の係止突部(6a)の後側が係合しうる係合段部(11)が形成されている。
【0020】
(12)は、各カバー片(3a)の上下の面に形成された滑り止め用の突部である。
【0021】
上記構成のボールペン(1)の組付けは、次のようにして行う。
まずリフィール(4)を、内ケース(3)の前端より挿通孔(9)に挿入し、リフィール(4)の後端部を保持部(8)の後端より突出させる。
【0022】
ついで、リフィール(4)の突出する後端部に圧縮コイルばね(5)を挿入したのち、図1に示すように、外ケース(2)の前端と内ケース(3)の後端とを対向させ、内ケース(3)の上下のカバー片(3a)を、外ケース(2)の両側片(2a)間に挿入し、カバー片(3a)の後端の係合段部(11)が、係止部(6)の係止突部(6a)を乗り越えて、その後方に位置するまで押し込む。
【0023】
これと同時に、リフィール(4)の後端部を、係止部(6)の保持孔(7)に圧入し、リフィール(4)を外ケース(2)に固定する。
【0024】
上記外ケース(2)と内ケース(3)との組付け時において、それらの側片(2a)の前端部、及びカバー片(3a)の後端部は、内向きに若干湾曲しているため、側片(2a)の前端部は、内ケース(2)の凹部(10)内において保持部(8)の両側面に、またカバー片(3a)の後端部は、係止部(6)の上下両面に、それぞれ圧接する。従って、外ケース(2)と内ケース(3)とは互いに挟持し合い、がた付くのが防止される。
【0025】
図2及び図4は、組付け後のボールペン(1)を示すもので、内ケース(3)は、圧縮コイルばね(5)の付勢力により、外ケース(2)に対しその前端よりやや大きく突出し、カバー片(3a)の後端の係合段部(11)が係止突部(6a)に当接することにより、前方への抜け止めがなされている。
【0026】
この状態が不使用時であり、リフィール(4)のペン先は、内ケース(3)内に収容される。従って、リフィール(4)の前端に付着したインクにより、手や衣服等を汚す恐れはない。
【0027】
使用時には、図3及び図5に示すように、第1指と第3指により、内ケース(3)の両カバー片(3a)の滑り止め用の突部(12)を把持するとともに、第2指により、外ケース(2)の一方の側片(2a)を押さえ、かつ外ケース(2)の後端を、第2指の付け根付近に押し当てながら、内ケース(3)を、圧縮コイルばね(5)の付勢力に抗して外ケース(2)内に引き込ませ、カバー片(3a)の後端を、外ケース(2)の後端に当接させる。
これにより、リフィール(4)の前端は、内ケース(3)より突出し、筆記することができる。
【0028】
筆記後、内ケース(3)又は外ケース(2)より指を離せば、圧縮コイルばね(5)により、図2及び図4に示す前限位置に自動的に復帰する。
【0029】
このように、上記第1の実施形態のボールペン(1)においては、内外のケース(2)(3)を3本の指により把持し、内ケース(3)を外ケース(2)内に引き込むだけで、リフィール(4)のペン先が突出するので、通常のノック式やキャップ付きのボールペンに比して、メモ書き等を迅速に行うことができる。
【0030】
しかも、使用後に内ケース(3)より指を離すだけで、ペン先が自動的に内ケース(3)内に収容されるので、ノブを操作したり、キャップを被せたりする手間が省ける。
また、部品点数が4点と少ないので、ノック機構を備えるボールペンに比して安価となる。
【0031】
さらに、内ケース(3)のカバー片(3a)の後端部を外向に弾性変形させれば、内ケース(3)の係合段部(11)と外ケース(2)の係止突部(6a)との係合が外れて分解することができるので、廃棄する際の部品の分別も容易となり、環境負荷も小さくしうる。
【0032】
内外のケース(3)(2)を分解して、使い切ったリフィール(4)を容易に交換することもできる。
【0033】
図6及び図7は、本発明の第2の実施形態を示すもので、外ケース(2)における一方の側片(2a)の前端部内面に、大小2個の係止突部(13)(14)を、前後に所要寸法離間させて突設するとともに、内ケース(3)における上記側片(2a)と対向する保持部(8)に、上記両係止突部(13)(14)に係合可能な係合段部(15)を設け、この係合段部(15)が前側の係止突部(14)と当接することにより、図6に示す不使用状態に保持し、同じく、後側の係止突部(13)と当接することにより、図7に示す使用状態に停止しうるようにしてある。
【0034】
この実施形態によると、第1の実施形態において外ケース(2)の係止部(6)に突設した係止突部(6a)、及び内ケース(3)の両カバー片(3a)に設けた係合段部(11)は不要となる。
【0035】
第2の実施形態においても、上述と同様の作用効果を奏しうるとともに、外ケース(2)の側片(2a)を外方に弾性変形させて容易に分解することができる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、内外のケースを、第1指から第3指の3本の指で把持し、内ケースを外ケース内に引き込ませるだけで、リフィールの前端が内ケースより突出するので、通常のノック式やキャップ付きのボールペン等に比して、メモ書き等を迅速に行うことができる。
【0037】
また、使用後、内ケースより指を離せば、リフィールの前端が自動的に内ケース内に収容されるので、ノブを操作したり、キャップを被せたりする手間が省ける。
さらに、部品点数が少ないので、通常のノック機構を有するボールペン等に比して安価となる。
【0038】
請求項2記載の発明によれば、内外のケースの組付けや分解が容易となるだけでなく、廃棄する際の部品の分別も容易となり、環境負荷が小さくなる。
【0039】
請求項3記載の発明によれば、内ケースの移動操作が容易となるとともに、筆記する際に指が滑るのを防止しうる。
【0040】
請求項4記載の発明によれば、内ケースを単に外ケースに押し込むだけで、係合段部が係止突部を乗り越えて、それらが係合可能状態となるため、特別な工具やねじ等を用いることなく、内外のケースの組付けを簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同じく、組付け後における不使用時の平面図である。
【図3】同じく、使用時の平面図である。
【図4】同じく、図2のIV−IV線の縦断側面図である。
【図5】同じく、図3のV−V線の縦断側面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における不使用時の一部切欠平面図である。
【図7】同じく、使用時の一部切欠平面図である。
【符号の説明】
(1)ボールペン(筆記具)
(2)外ケース
(2a)側片
(3)内ケース
(3a)カバー片
(4)リフィール
(5)圧縮コイルばね(付勢手段)
(6)係止部
(6a)係止突部
(7)保持孔
(8)保持部
(9)挿入孔
(10)凹部
(11)係合段部
(12)突部
(13)(14)係止突部
(15)係合段部
Claims (4)
- 離間して対向する側片を備える平面視ほぼ前向きU字状の外ケースにおける両側片間に、該両側片間の上下両端の隙間を覆いうる大きさのカバー片を備える内ケースを、内外のケース間に介設した付勢手段により常時前方に付勢するとともに、内外のケース間の適所に設けた停止手段により、互いに前後限位置まで相対移動しうるように摺動自在に嵌合し、かつ前記内ケースの中心に穿設された挿入孔に挿入した筆記用リフィールの後端部を、内ケースを後限まで移動させたとき、その前端部が内ケースの前端より突出し、同じく、前限まで移動させたとき、前端が内ケースの挿入孔内に収容されるように、前記外ケースの両側片間の後端部に設けた保持孔に圧入したことを特徴とする簡易筆記具。
- 外ケースの側片と内ケースのカバー片との少なくともいずれか一方を、外向きに弾性変形可能として、内外のケース間の停止手段の係合を解除しうるようにした請求項1記載の簡易筆記具。
- 内ケースの両カバー片の表面に、滑り止め用の突部を設けた請求項1または2記載の簡易筆記具。
- 内ケースを前限位置で停止させる停止手段を、外ケースに設けた係止突部と、内ケースに設けた、係止突部側に突出する係合段部とよりなるものとした請求項1〜3のいずれかに記載の簡易筆記具。
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