JP4331326B2 - Vベルトが用いられた無段変速機の変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Vベルトが用いられた可変プーリによる無段変速機の変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、Vベルトが用いられた無段変速機の変速装置としては、装置本体に枢支させた駆動軸の一端部に固定された駆動固定プーリ、および前記駆動軸の軸方向に移動自在に取り付けられた駆動可変プーリからなる駆動プーリと、装置本体に枢支させた従動軸の一端部に固定された従動固定プーリ、および前記従動軸の軸方向に移動自在に取り付けられ、かつ常時は従動固定プーリ側に弾持された従動可変プーリからなる従動プーリと、前記駆動プーリと従動プーリを回転方向に対向させ、これら駆動プーリおよび従動プーリ間に張設されたVベルトが備えられており、この駆動可変プーリをその背面から他のモータ等の駆動源、すなわち外力による推力により軸方向に移動させることによりプーリとVベルトとの接触位置を変更させ、プーリの回転速度を調節するものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の装置のように、駆動可変プーリを外力による推力でその軸方向に移動させるものにおいては、駆動プーリの回転中に駆動可変プーリをその軸方向に移動させるための格別な構成を必要として、変速機構そのものの構成を複雑とするばかりでなく、駆動可変プーリ移動機構による駆動可変プーリの軸方向への移動に際し、駆動可変プーリに回転抵抗を生じさせ、動力伝達中における変速時の駆動可変プーリの円滑な回転に支障を生じる恐れがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、このような従来における課題を解決し、動力伝達中においても、駆動可変プーリを簡潔なウオーム歯車のみで、その軸方向へ回転抵抗を生じさせることなく、円滑確実に移動可能とし、変速終了後は作動力を遮断して安定した動力伝達ができ、かつ自動連動が容易なVベルトが用いられた無段変速機の変速装置を提供することを目的としている。
【0005】
そのために、本発明に係るVベルトが用いられた無段変速機の変速装置では、装置本体に枢支させた駆動軸の一端部に固定された駆動固定プーリ、および前記駆動軸の軸方向に移動自在に取り付けられた駆動可変プーリからなる駆動プーリと、装置本体に枢支させた従動軸の一端部に固定された従動固定プーリ、および前記従動軸の軸方向に移動自在に取り付けられ、かつ常時は従動固定プーリ側に弾持された従動可変プーリからなる従動プーリと、前記駆動プーリと従動プーリを回転方向に対向させ、これら駆動プーリおよび従動プーリ間に張設されたVベルトと、からなるVベルト無段変速機の変速装置であって、前記駆動可変プーリの背面に形成されたボス部の雌ねじが、ねじ付き太陽歯車の駆動可変プーリ側に形成された雄ねじに螺合され、かつこのねじ付き太陽歯車に噛合され、等間隔に配設された複数の遊星歯車と、これら遊星歯車と内接噛合し、かつ外周が変速作動用のウオームと噛合するウオームホイールに形成された摺動環歯車と、駆動軸の他端部に固定された太陽歯車と、この太陽歯車と同心円上の装置本体に固定された固定内面歯車と、この太陽歯車および固定内面歯車間に噛合介装され、かつ前記複数の遊星歯車とそれぞれ軸を同じくする複数の遊星歯車と、これら複数の軸を枢支し、各軸の配設角を規制する遊星枠と、を備えたことを特徴とする構成を有している。
【0006】
【本発明の実施の態様】
以下本発明に係るVベルトが用いられた無段変速機の変速装置の実施の態様を説明する。図1はVベルトが用いられた無段変速機の変速装置の要部の断面図、図2は図1におけるA−A線断面図である。
駆動プーリ室3aと従動プーリ室3bからなる装置本体3の駆動プーリ室3aには、駆動プーリ室3a外に一端部を突出させた駆動軸4が枢支されており、駆動プーリ室3a内の該駆動軸4にはその一端側に可変型Vプーリの一方である駆動固定プーリ1が固設されている。この駆動固定プーリ1に対向して可変型Vプーリの他方である駆動可変プーリ2がスプライン21を介して駆動軸4の軸方向に移動自在に取り付けられている。
従動プーリ室3bには、従動プーリ室3b外に一端部を突出させた従動軸7が枢支されており、従動プーリ室3b内の該従動軸7にはその他端側に可変型Vプーリの一方である従動固定プーリ5が固設されている。この従動固定プーリ5に対向して可変型Vプーリの他方である従動可変プーリ6がスプライン22を介して従動軸7の軸方向に移動自在に取り付けられている。従動可変プーリ6の背面と従動軸7の一端側に形成されたばね受23間には、従動可変プーリ6を常時従動固定プーリ5側に弾持させるためのスプリング24が介装されている。
前記駆動プーリ1、2と従動プーリ5、6は、相互に回転方向に対向して設置されており、駆動プーリ1、2の最外周側にVベルト8が位置したときに従動プーリ5、6の最内周側(従動軸側)にVベルト8が位置し、駆動プーリ1、2の最内周側(駆動軸側)にVベルト8が位置したときに従動プーリ5、6の最外周側にVベルト8が位置する長さに駆動プーリ1、2および従動プーリ5、6間にVベルト8が張設されている。
【0007】
前記駆動可変プーリ2の背面に形成されたボス部9の内面には雌ねじ9aが形成され、この雌ねじ9aには、相互に回転自在ではあるが駆動軸4の軸方向に移動が阻止されかつ駆動可変プーリ2側に延成して形成された雄ねじ10aを有するねじ付き太陽歯車10の該雄ねじ10aが螺合されている。このねじ付き太陽歯車10には、その周囲に3個の遊星歯車11が等間隔に噛合配設されるとともに、これら遊星歯車11は、内面が内面歯車13aに形成され、かつ外周が変速作動用のウオーム12と噛合するウオームホイール13に形成された摺動環歯車14の内面歯車13aに噛合されている。
摺動環歯車14の両外周側面に形成されたフランジ14aは、駆動プーリ室3aの内面に形成された摺動部3cに摺動自在に嵌入され、摺動環歯車14が駆動軸4の回転とは各別に回転できるようになっており、かつ摺動環歯車14が駆動軸4の軸方向への移動を阻止している。
【0008】
駆動軸4の他端部には、上記ねじ付き太陽歯車10と同形同大の太陽歯車15が固定されており、この太陽歯車15と同心円上の駆動プーリ室3aには、内面に内面歯車16aが形成された上記摺動環歯車14と同形同大の固定内面歯車16が固設されている。そして、この太陽歯車15と固定内面歯車16間には、前記3個の遊星歯車11とそれぞれの遊星歯車軸17を同じくする3個の同形同大の遊星歯車18が噛合介装され、これらの軸17は、各軸17の配設位置を規制する遊星枠19に枢支されている。
【0009】
ここで、上記Vベルトが用いられた無段変速機の変速装置の実施例による作動を説明する。いま駆動軸4が図1の状態、すなわち駆動プーリ1,2中、駆動可変プーリ2が駆動固定プーリ1側に引き寄せられた状態で回転していたとする。すると、駆動プーリ1、2間に張設されているVベルト8は、駆動プーリ1、2の外周側に位置することになるため、従動プーリ5、6側のVベルト8は、スプリング24の弾性に抗して内周側(従動軸側)に位置することになって、駆動軸4の回転数に比し、従動軸7の回転数が大となる。この状態でウオーム12を回転させ、摺動環歯車14を正回転又は逆回転させると、駆動軸4とねじ付き太陽歯車10との間に回転差動を生じるため、ねじ付き太陽歯車10の雄ねじ10aが駆動可変プーリ2のボス部9の雌ねじ9a内を出入りし、駆動可変プーリ2をスプライン21を介して駆動軸4の一方又は他方に移動させる。このねじ付き太陽歯車10の軸方向の移動に伴って、Vベルト8をさらに駆動プーリ1、2の最外周側に移動させるか、内周側(駆動軸側)の方向へ移動させる。
【0010】
Vベルトが駆動軸4の方向、すなわち駆動プーリ1、2の内周側へ移動すると、駆動プーリ1、2と従動プーリ5、6間に張設されたVベルト8は弛緩することになるが、従動可変プーリ6背面に介装されたスプリング24の弾性により従動可変プーリ6はスプライン22を介して従動固定プーリ5側に移動させられ、Vベルト8は従動プーリ5、6の円周側に移動させられることになるため、Vベルトの張設状態に変動はない。このように、Vベルト8が従動プーリ5、6の円周側に移動させられると、前記とは逆に駆動軸4の回転速度より従動軸7の回転速度が遅く変速される。
したがって、通常は駆動軸4とねじ付き太陽歯車10は同一方向に同一回転数で回転しているが、摺動環歯車14がウオーム12とウオームホイール13により正回転または逆回転されると、摺動環歯車14は、遊星歯車11を介してねじ付き太陽歯車10に駆動軸4の回転方向と同一方向に加速され、または反対方向に減速されて駆動軸4とねじ付き太陽歯車10との間に差動を生じさせることになるので、ねじ付き太陽歯車10はボス部9を介して駆動可変プーリ2を駆動軸4に沿ってその前後に移動させる。
なお、この実施例では駆動プーリ、従動プーリ、ねじ付き太陽歯車・遊星歯車を一組づつ設けたものが示されているが、これを使用目的に応じて複数づつ設けてもよいことは自明である。
【0011】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、Vベルトが用いられた無段変速機の変速装置において、動力伝達中においても駆動可変プーリの軸方向の移動に際し、駆動可変プーリの移動のための格別な外力による推力のための構成を必要とすることなく、単にウオームにより摺動環歯車を回動させ、駆動軸と太陽歯車間に回転差動を生じさせるのみで駆動軸と従動軸との間の回転速度を可変とすることができて構成を簡潔とすることができるとともに、駆動可変プーリに回転抵抗を生じさせることなく、円滑確実に移動可能とし、変速終了後は差動力を遮断して差動前の安定した動力伝達が継続でき、しかもウオームに通常の自動制御装置を連設することにより容易に自動連動装置を付加できて、Vベルトを用いた無段変速機の変速装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るVベルトが用いられた無段変速機の変速装置の要部の断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 駆動固定プーリ
2 駆動可変プーリ
3 装置本体
4 駆動軸
5 従動固定プーリ
6 従動可変プーリ
7 従動軸
8 Vベルト
9 ボス部
9a 雌ねじ
10 ねじ付き太陽歯車
10a雄ねじ
11 遊星歯車
12 ウオーム
13 ウオームホイール
14 摺動環歯車
15 太陽歯車
16 固定内面歯車
17 遊星歯車軸
18 遊星歯車
19 遊星枠
Claims (1)
- 装置本体(3)に枢支させた駆動軸(4)の一端部に固定された駆動固定プーリ(1)、および前記駆動軸(4)の軸方向に移動自在に取り付けられた駆動可変プーリ(2)からなる駆動プーリ(1)(2)と、
装置本体(3)に枢支させた従動軸(7)の一端部に固定された従動固定プーリ(5)、および前記従動軸(7)の軸方向に移動自在に取り付けられ、かつ常時は従動固定プーリ(5)側に弾持された従動可変プーリ(6)からなる従動プーリ(5)(6)と、
前記駆動プーリ(1)(2)と従動プーリ(5)(6)を回転方向に対向させ、これら駆動プーリ(1)(2)および従動プーリ(5)(6)間に張設されたVベルト(8)と、
からなるVベルト無段変速機の変速装置であって、
前記駆動可変プーリ(2)の背面に形成されたボス部(9)の雌ねじ(9a)が、ねじ付き太陽歯車(10)の駆動可変プーリ側に延成して形成された雄ねじ(10a)に螺合され、かつこのねじ付き太陽歯車(10)に噛合され、等間隔に配設された複数の遊星歯車(11)と、
これら遊星歯車(11)と内接噛合し、かつ外周が変速作動用のウオーム(12)と噛合するウオームホイール(13)に形成された摺動環歯車(14)と、
駆動軸(4)の他端部に固定された太陽歯車(15)と、
この太陽歯車(15)と同心円上の装置本体(3)に固定された固定内面歯車(16)と、
この太陽歯車(15)および固定内面歯車(16)間に噛合介装され、かつ前記複数の遊星歯車(11)とそれぞれ軸(17)を同じくする複数の遊星歯車(18)と、
これら複数の軸(17)を枢支し、各軸(17)の配設角を規制する遊星枠(19)と、
を備えたことを特徴とするVベルトが用いられた無段変速機の変速装置。
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