JP4331156B2 - 氷菓の成形容器,氷菓の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の成形容器には開口部が形成されており,その開口部を介して前記成形容器の内部に氷菓の原料液(以下,ミックス)を流し込むことが可能である。また,内部に前記ミックスを保持する状態で前記成形容器を冷却することで,前記成形容器の内部に流し込まれた前記ミックスが凍結し,これにより氷菓が製造される。また,製造された氷菓は前記開口部を介して前記成形容器から抜き取られる。
ところで,氷菓(凍結した状態の前記ミックス)を前記成形容器から前記抜き取る際に,前記氷菓が大きく型崩れすることは,前記氷菓の品質を保つ上で許されない。しかし,特許文献1に記載の成形容器に前記ミックスを流し込んで前記氷菓を製造する方法では,凍結した前記ミックスの型崩れを防止するためには,前記成形容器の内部形状を複雑にすることができず,例えば直方体形状,円筒形状などの単純な形状の氷菓しか製造することができなかった。
そのような,従来例に係るアイスキャンデーの成形容器Bを図13に示す。
図13に示されるように,従来例に係る成形容器Bは,金型101及び金型102からなるものである。略直方体の形状を有する前記金型101,102各々における特定の一面は,互いに対向して密着する合わせ面103,104として定められている。該合わせ面103,104の一方又は両方には,例えばキャラクターの顔等を模した形状の彫り込みである型部105が形成されている。また,前記合わせ面104には,一端が前記型部105に接続され,もう一端が前記合わせ面104に直交する直交面106側の外部に接続されている,溝形状のスティック保持部107が形成されている。
前記成形容器Bは,アイスキャンデーの製造時には前記合わせ面103の部分及び前記合わせ面104の部分が互いに対向して密着する状態にされる。また,前記スティック保持部107を介して,アイスキャンデーのスティックが前記成形容器Bの外部から前記型部105へと差し込まれる。これにより,前記スティック保持部107を形成する左壁107a及び右壁107bが前記スティックを挟み込む状態となり,前記スティックが前記スティック保持部107により保持される。その状態で,溝形状の前記スティック保持部107を介して前記ミックスが前記型部105へと流しこまれる。
前記型部105に前記ミックスが満たされた状態で,前記成形容器Bが例えば塩化カルシウム等の冷媒で満たされたブライン槽に浸される。これにより,前記成形容器Bごと前記型部105に満たされた前記ミックスが冷却され,凍結される。次に前記合わせ面103,104が互いに離間され,その後凍結された前記ミックスであるアイスキャンデーが前記金型101若しくは102から剥離される。
以上により,前記型部105に応じた形状を有し且つスティック付のアイスキャンデーが製造可能である。
また,複雑な形状のアイスキャンデーを製造する場合に,凍結された前記ミックスに型崩れを極力生じさせずに前記ミックスを前記金型101若しくは前記金型102から剥離することは非常に重要な技術的課題であるが,このような問題を解決する方法は特許文献及び特許文献2には何ら示されていない。
何故なら,前記型部105等で凍結したアイスキャンデーは,上記型部5に強固に付着しており,容易に剥がすことができない。また,無理に剥がすと,スティックが折れたり,あるいはアイスキャンデーに欠けが生じるためである。
以上のように,従来例に係る氷菓の成形容器及びそれを用いた前記氷菓の製造方法では,複雑な形状の氷菓を高品質で製造することが困難であった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,例えばキャラクターの顔等を模した複雑な形状を有する氷菓を,型崩れ等を生じさせることなく高品質で製造することが可能な氷菓の成形容器及び氷菓の製造方法を提供することにある。
このような成形容器によれば氷菓の成形(ミックスの凍結)は,前記第2の成形型が前記第1の成形型を内包する内包状態で行われるため,冷却時に前記ミックスに膨張が生じた場合でも前記第1の成形型と前記第2の成形型とが離間することは全くなく,冷媒の液体の前記型部への侵入,前記型部から外部への前記ミックスの流出が極力防止される。その結果,形状及び味の変質が防止され,高品質の氷菓を製造することが可能である。
ここで,前記第1の成形型及び/又は前記第2の成形型は熱伝導率の良い素材からなるものが望ましく,例えばアルミニウム等からなるものを用いるのが望ましい。
また,本発明は,内部にミックスが充填可能であり,当該成形容器の外部と内部とを連通して氷菓のスティックが外部から内部へと挿通可能な連通孔が形成された氷菓の成形容器であって,前記連通孔が,前記スティックを挿通した状態で前記スティックにより占有される占有部と,前記占有部に隣接して形成され,前記スティックを挿通した状態でも前記スティックにより占有されずに当該成形容器の内部と外部とを連通する非占有部と,を有する氷菓の成形容器として捉えたものであっても良い。
前記ミックスの冷却時において前記ミックスに膨張が生じるが,前記ミックスは前記非占有部を介して前記型部の外部に逃げることが可能である。これにより,前記ミックスの膨張に伴う当該成形容器の破損などを防止することができる。
また,氷菓の製造時に前記型部に気体が侵入し,その気体が前記氷菓に気泡を生じさせて品質を低下させる原因となる場合もあった。しかし,本発明の成形容器によれば,前記型部に侵入した気体も前記非占有部を介して前記型部の外部に排気させることが可能となり,気泡が生じていない美しい氷菓を製造することが可能である。
そこで,前記非占有部が前記占有部を挟んで前記一面側の大きな第1非占有部と前記一面側とは逆側の小さな第2非占有部とに分離するように,前記占有部と前記非占有部との位置関係を定めることが考えられる。凍結した前記ミックスのうち,前記表面側にある前記第2非占有部で凍結した部分は,氷菓の前記表側の美観を損なうものである。しかし,前記第2非占有部の前記占有部を挟んだ裏側に,前記第2非占有部よりも大きな前記第1非占有部を設けておくことにより,冷却時に膨張する前記ミックスは,ほとんど前記表面側とは裏側の前記第2非占有部に流れ出す。従って,前記ミックスの前記第2非占有部における凍結部分を小さくすることが可能であり,言い換えると前記表面側に生じる凍結ミックスによる突出部を小さくすることが可能である。これにより,例えば気体吹きつけ等の簡単な処理で前記第2非占有部の突出部を除去することが可能となり,複雑な形状に形成された氷菓の前記表面側の美観を損なうことがない。
即ち,氷菓を成形容器から剥離するためには,前記氷菓のうち前記ミックスの凍結により前記成形容器と接着状態にされた部分を軽く融解させる必要がある。そこで,氷菓を熱する際に熱板を用いることにより,前記氷菓に対する均一かつ安定した加熱が可能となる。従って,前記接着部分の均一かつ行き過ぎのない良好な前記氷菓の融解が得られ,前記氷菓の形状を極力乱さずに前記成形容器から剥離することが可能となる。
尚,この成形容器としては上述の第1の成形型と前記第2の成形型とを有する(本発明に係る)成形容器を用いることが考えられ,その場合,前記氷菓と接着状態にある前記第1の成形型の,前記型部が形成された一面の裏側の面及び前記一面とその裏側の面との隣接面から前記熱板を押し当てること等が考えられる。これにより,前記氷菓の,前記第1の成形型との接着部分のみの集中的な加熱が得られ,前記第1の成形型との剥離が必要である部分以外に余計な融解が生じることがない。
ここで,熱板及びその他の方法により,前記氷菓を加熱後に前記成形型から剥離する場合,剥離された前記氷菓は表面が融解した状態である。そこで,剥離された前記氷菓を化粧フィルム等で包装する前に,前記氷菓に冷風を吹きつけて乾燥させることが考えられる。これにより,前記氷菓の化粧フィルム若しくはそれに封入される台紙等との接着が防止される。
即ち,スティック付の氷菓を製造する際には,前記氷菓の成形型として,型部の所定方向の端部に前記スティックの保持部を有する成形型が用いられる。前記保持部により,前記スティックの一方の端部が前記氷菓の中に埋没するように前記型部の内部に突出し且つ他方の端部が取っ手となるように前記型部の外部に突出するように保持される。
そこで,本発明に係る氷菓の製造方法は,前記氷菓の前記成形型からの剥離が,前記保持部を支点として前記スティックの前記他方の端部を,前記型部が形成された一面に対する交差方向に付勢して前記氷菓の前記所定方向の逆側及びその周辺を前記成形型から剥離する第1の剥離工程,及び前記一面に対する直交方向と前記所定方向の逆方向との中間方向に前記氷菓を変位させることにより前記氷菓の前記第1の剥離工程における剥離部分以外の部分を前記成形型から剥離する第2の剥離工程の二段階で行われる氷菓の製造方法である。これにより,前記氷菓に型崩れを生じさせずに,綺麗に前記氷菓を前記成形型から剥離することが可能である。ここで,前記中間方向と前記一面とのなす角度が45°前後である場合に,特にスムーズに前記氷菓を前記成形型から剥離することが可能である。
即ち,本発明は,前記第1の成形型が前記第2の成形型により内包される内包状態において,本発明に係る成形容器を,略−30℃の液体が満たされたブライン槽に浸し,前記成形容器が前記ブライン槽に浸された状態で前記注入経路から氷菓の原料液を注入することにより前記第1の成形型の一面側に形成された型部に前記ミックスを充填し,該ミックスの充填から略10分が経過した後に前記成形容器を前記ブライン槽から取り出し,前記成形容器を取り出した後にその成形容器を略72℃の液体が満たされた温槽に略10秒間浸し,温槽に浸した後に,前記第2の成形型を,前記第2の成形型が前記第1の成形型を内包しない非内包状態し,前記第2の成形型から取り外された前記第1の成形型の,前記型部が形成された前記一面の裏面側の部分及び前記一面と裏面とに隣接する面側の部分を80〜90℃の熱板に押しつけて加熱することを特徴とする氷菓の製造方法である。このように各工程における前記ミックスの冷却温度及び時間,加熱温度及び時間を調節することにより,高品質の氷菓を製造可能であることが判明している。
ここに,図1は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器の斜視図,図2は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器に形成された型部の底部と側部との関係を説明する概念図,図3は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器が有する第1の型の第1断面図,図4は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデー製造装置が有する第1の型の第2断面図,図5は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデー製造装置を用いたアイスキャンデーの製造方法を表すフローチャート,図6は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS1の作業を説明する模式図,図7は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS2の作業を説明する模式図,図8は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS3の作業を説明する模式図,図9は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS4の作業を説明する模式図,図10は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS8の作業を説明する模式図,図11は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの製造方法におけるステップS9の作業を説明する模式図,図12は本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器により成形されたアイスキャンデーの部分斜視図,図13は従来例に係るアイスキャンデーの成形容器の斜視図である。
図1に示されるように,本発明の一実施形態に係るアイスキャンデーの成形容器A(以下,成形容器A)は,アルミニウムからなる第1の成形型1と,やはりアルミニウムからなる第2の成形型2とを有する。
前記第1の成形型1は直方体状の部材であり,その一面3には例えばキャラクターの顔等を模した彫り込みである型部5が形成されている。前記型部5にはアイスキャンデーの原料液(以下,ミックス)が充填可能である。
前記型部5において,前記アイスキャンデーの表面側を成形する底部Btと前記アイスキャンデーの側面側を成形する側面部Sとの綾部Rは,図2(a)のように角となっておらず,図2(b)のように丸みを付けて形成されている。これにより,前記第1の成形型1で成形され凍結したアイスキャンデーが,前記第1の成形型1から剥離しやすくなる。
以下,図1に示される矢印A1,A2,A3,A4は,前記第1の成形型1に対して固定された所定の方向を各々指すものとする。より詳しくは,前記型部5が形成された前記第1の成形型1の一面3に対する直交方向を矢印A3の方向と定める。また,前記矢印A4の方向は前記矢印A3の方向の逆方向,前記矢印A1及びA2はそれぞれ前記矢印A3の方向に対する直交方向であるものとする。従って,前記矢印A1及び前記矢印A2の指す方向は,前記一面3に沿った方向となる。
詳しくは,前記第2の成形型2は,前記第1の成形型1における前記一面3に沿った矢印A1及び矢印A2の方向に,前記第1の成形型1に対して密に摺接することが可能であり,この摺接によって,図1(b)のように,前記第2の成形型2が前記第1の成形型1を内包する内包状態と,図1(a)のような別体状態である非内包状態との切り替えが可能である。
また,前記第2の成形型2は,前記内包状態において,前記成形容器Aの内面に位置する前記型部5の縁のうち前記スティック保持部7を除く全面と密着し,これにより前記型部5に充填された前記ミックスの漏洩を防止する。
図1,図3及び図4に示されるように,前記第1の成形型1の,矢印A1方向の端部6(以下,第1端部6という)側には,アイスキャンデーIC(図10,図11等参照)のスティック8を保持するスティック保持部7が設けられている。該スティック保持部7は左壁7a,右壁7b及び底部7cに囲まれた断面凹状の切り欠き部分である。また,前記スティック保持部7は,図3に示されるように,前記第1の成形型1が前記第2の成形型2に内包される内包状態において,前記型部5と,前記第1端部6側の外部空間とを接続する。従って,前記スティック保持部7は,前記内包状態において前記ミックスを前記型部5に注入可能とする注入経路ともなる。また,前記スティック保持部7の前記底部7cには,前記矢印A1−A2方向に沿って凹形状の溝部7dが形成されている。
図4に示されるように,前記スティック保持部7において,アイスキャンデーのスティック8は,前記底部7cに当接しつつ前記左壁7aと前記右壁7bとに挟みこまれた状態で保持される。
前記スティック保持部7(連通孔)は,前記スティックによりその全部分が占有されるわけではなく,前記スティックを保持して挿通する状態でも,前記スティックにより占有されずに前記成形容器Aの内部(つまり,型部5)と外部とを連通する非占有部を有する。より詳しくは,前記型部5が設けられた一面3側方向(前記矢印A3方向)の比較的大きな第1非占有部9aと,前記型部5が設けられた前記一面3の裏側方向(矢印A4方向)の比較的小さな第2非占有部9bと,が前記非占有部であり,前記スティック8の占有部分により分離されている。尚,前記第2非占有部9bは溝部7dの部分である。
このように前記スティック保持部7を形成する理由は,後に詳述する。
ステップ1に続くステップS2では,前記第2の成形型2を前記第1の成形型1に対して摺接し,これにより前記第2の成形型2が前記第1の成形型1を内包する内包状態(図1(b)参照)にする。例えば,図7に示されるように,前記第2の成形型2が,前記開口部4aが上方を向くように複数配列されて固定されている場合には,前記スティック8を保持した状態の前記第1の成形型1を,前記スティック8が上方に突出した状態で,上方から前記第2の成形型2各々に差し込めば良い。
前記ブライン槽11に満たされる冷媒の液体10としては塩化カリウム等が考えられる。しかし,万が一その液体10が前記成形容器Aの内部に侵入した場合,塩化カリウムはアイスキャンデーを苦くしてしまうので,そのようなアイスキャンデーの味の変質を防止するために,例えばプロテイングリコール等の食品添加物を冷媒の液体10として用いることも考えられる。当該ステップS3の作業が成形容器冷却工程の一例である。
ステップS3に続くステップS4では,図9に示されるように,前記成形容器Aが前記ブライン槽11に浸された状態で,前記スティック保持部7(注入経路の一例)から前記ミックスを注入し,前記成形容器Aの内部に(つまり,前記第1の成形型1の一面3側に形成された型部5に)前記ミックスを充填する。当該ステップS4の作業が原料液充填工程の一例である。
そこで,ステップS4に続くステップS5では,ステップS4における前記ミックスの注入後約10分の経過後に,前記成形容器Aを前記ブライン槽11から取り出す。当該ステップS5の作業が成形容器取り出し工程の一例である。
ステップS5に続くステップS6では,前記第1の成形型1を前記第2の成形型2から引き出す作業(続くステップS7の作業)の準備作業として,前記成形容器Aを加熱する。即ち,上述のステップS4〜S5にかけて前記ミックスは凍結されており,前記ミックスを介して前記第1の成形型1と前記第2の成形型2とは接着された状態にある。そこで,当該ステップS6では,前記ブライン槽11から取り出された前記成形容器Aを,略72℃の温槽に10秒前後浸す等して加熱する。これにより,前記第1の成形型1と前記第2の成形型2との接着が解消される。当該ステップS6の作業が温槽加熱工程の一例である。
ステップS6に続くステップS7では,前記第2の成形型2を,前記第1の成形型1を内包しない非内包状態にする。つまり,前記第2の成形型2に内包されている前記第1の成形型1を,前記第2の成形型2から引き出す。当該ステップS7が第2成形型取り外し工程である。
詳しくは,図10に示されるような断面L字状の熱板12に,前記第1の成形型1の,前記型部5が形成された一面の裏側部分14(つまり,前記第1の成形型1のうち,前記矢印A4方向の面を形成する部分)及び前記矢印A1方向の前記第1端部6に対する逆側の端部13(つまり前記矢印A2方向側の端部)を押し当てることで,前記アイスキャンデーICの,前記型部5と接触した面を僅かに融解させ,前記アイスキャンデーICの形状を壊すことなく,前記アイスキャンデーICを前記型部5から取り出し得るようにする。
前記熱板12の温度が80℃〜90℃である場合に,適度な前記アイスキャンデーICの融解が得られることが知られている。また,前記熱板12がそのような温度である場合,適当な前記第1の成形型1の押し当て時間は数秒程度である。但し,これは前記第1の成形型1がアルミニウムである場合に適当な融解を得るための加熱温度及び加熱時間であり,前記第1の成形型1の材質等によって適当な加熱温度及び加熱時間は変化し得る。当該ステップS8の作業が熱板加熱工程の一例である。
図11は,ステップS9における前記アイスキャンデーICの剥離方法を説明する前記第1の成形型1の断面図である。以下,図11を参照しつつ,ステップS9における前記アイスキャンデーICの剥離方法について説明する。
ステップS9において,前記アイスキャンデーICは,前記第1の成形型1の底部Btに対向密着する表面部IC1及び前記矢印A2側の端部IC2(以下,第2端部IC2)等の,前記第1の成形型1の側面部Sに対向密着する部分が,主に前記第1の成形型1と接着された状態にある。
まず,図11(a)に示すように,前記スティック8の,前記矢印A1側の端部8A1を,前記型部5が形成された一面の直交方向(図11の矢印A4方向)に向けて付勢する。このとき,前記スティック8を保持している前記スティック保持部7の底部7cが前記スティック8の支点になり,前記アイスキャンデーICに対して,前記底部7cを中心として図11の矢印A3の方向に持ち上げる力が作用する。これにより,前記第2端部IC2及び前記表面部IC1の前記第2端部IC2との近接部分(周辺の一例)が最初に前記第1の成形型1より剥離する。以上が第1の剥離工程の一例である。
次に,図11(b)に示すように,前記第1の剥離工程により斜めに傾斜した前記アイスキャンデーICを,前記矢印A2(前記一面3に沿う方向)と前記矢印A3との中間方向である矢印A5方向に平行移動させる。これにより,前記第1の剥離工程において剥離せずに残っている部分,詳しくは前記表面部IC1のうち前記第2端部IC2に近接しない部分が前記第1の成形型1より剥離し,前記アイスキャンデーICが前記第1の成形型1より完全に剥離する。以上が第2の剥離工程の一例である。ここで,前記矢印A5の方向(中間方向)と前記一面3とのなす角θが45°である場合に,前記アイスキャンデーICの型崩れを極力抑えつつスムーズに前記アイスキャンデーICを剥離することが可能となる。
先ず,第1の理由は以下のものである。
上述のステップS6及びステップS8の作業により,前記アイスキャンデーICの表面は融解している。そこで,当該ステップS10において冷風を吹きつけて,融解している前記アイスキャンデーICの表面を乾燥される。当該ステップ10の作業が乾燥工程の一例である。これにより,例えば化粧フィルムに前記アイスキャンデーICと同時に封入される台紙等に,前記アイスキャンデーが接着されてしまうことを防止する。また,前記アイスキャンデーICの表面を再び冷却して低温状態にすることにより,前記アイスキャンデーICの購入者が化粧フィルムによるパッキングを前記アイスキャンデーICから剥がした際に,霜が前記アイスキャンデーICに付着するようになり,前記アイスキャンデーICの美観が向上する。
上述のように前記第1の成形型1の有する前記スティック保持部7(連通孔)において,膨張した前記ミックスを前記型部5の外部へと逃がすための第1非占有部9aと第2非占有部9bとが設けられている。ステップS4からステップS5にかけて,冷却により膨張した前記ミックスが前記第1非占有部9a及び前記第2非占有部9bへと流出する。この状態で前記ミックスが凍結することにより,図12に示される如く,前記アイスキャンデーICには,第1非占有部9aにおいて前記ミックスが凍結して形成された第1突出部OH1及び前記第2突出部OH2が,前記スティック8を挟んで,前記アイスキャンデーICの裏面部の側(前記矢印A3方向の面側)及び表面部IC1の側(前記型部5の底部Btにより成形された面側)に,それぞれ形成される。
このように,前記型部5に対向する前記アイスキャンデーICの表面部IC1の側(前記矢印A4側)における前記第2非占有部9bを,前記裏面部の側(前記矢印A3側)における前記第1非占有部9aよりも小さく設けておくことで,特に美観が重要となる前記表面部IC1の側に形成された前記第2突出部OH2を,冷風吹きつけ等の処理で簡単に除去することができる。
尚,前記第2非占有部9bを設けない場合(言い換えると,前記溝部7dを形成しない場合)に,前記第2突出部OH2が形成されないので,前記アイスキャンデーICの表面部IC1側の美観を保つ上で有利であるように思えるが,その場合,以下の不都合が生じる。詳しくは,前記第2非占有部9bを設けない場合,前記ステップS4において前記型部5に侵入した気体が完全には前記型部5から抜け出すことができない。そのため,前記ミックスが凍結されて得られた前記アイスキャンデーICの,特に図12に示される顎部15等に気泡が生じ,結果的に前記アイスキャンデーICの表面部IC1側の美観が損なわれてしまう。
以上,本発明に係る,前記第1の成形型1と前記第2の成形型2とを有する成形容器Aによれば,冷媒の液体10の前記型部5への侵入,前記型部5から外部への前記ミックスの流出等が極力防止される。その結果,形状及び味の変質が防止され,高品質のアイスキャンデーICを製造することが可能である。また,本発明のアイスキャンデーICの製造方法によれば,前記アイスキャンデーICに型崩れを生じさせずに成形型から剥離することが可能になる等,高品質なアイスキャンデーICを製造することが可能である。
B…従来例に係るアイスキャンデーの成形容器
1…第1の成形型
2…第2の成形型
3…一面
5…型部
Claims (6)
- 一面側に氷菓の原料液が充填可能な型部が形成された第1の成形型と,
前記第1の成形型の前記一面に沿う所定方向に摺接することにより前記第1の成形型を内包する内包状態とそうでない非内包状態とに切り替え可能であり,前記内包状態において前記第1の成形型の前記一面と密着する第2の成形型とを備え,
前記第1の成形型の前記型部の縁に,前記第1の成形型の外部と前記型部とを連通して氷菓のスティックが前記第1の成形型の外部から前記型部へと挿通可能であるとともに,前記スティックを保持するスティック保持部が形成され,
前記スティック保持部は,前記スティックを挿通した状態で前記スティックにより占有される占有部と,前記占有部に隣接して形成され,前記スティックを挿通した状態でも前記スティックにより占有されずに前記型部と外部とを連通する非占有部とを有し,
前記非占有部は,前記占有部を挟んで前記一面側に形成され,前記スティックの幅に相当する幅を有する相対的に大きい第1非占有部と,該一面側とは裏側に形成され,前記スティックの幅より狭い幅を有する相対的に小さい第2非占有部とに分離されることを特徴とする氷菓の成形容器。 - 前記第1の成形型及び/又は前記第2の成形型がアルミニウムからなることを特徴とする請求項1に記載の氷菓の成形容器。
- 請求項1に記載の氷菓の成形容器を用いた氷菓の製造方法において,
前記スティックにおける一方の端部が前記第1の成形型の前記型部に突出して且つ他方の端部が前記第1の成形型の所定方向側の外部に突出するように前記スティックを前記スティック保持部に保持させるスティック保持工程と,
前記第2の成形型を前記第1の成形型に対して摺接し,前記第2の成形型が前記第1の成形型を内包する内包状態にする工程と,
前記第1の成形型の前記型部に前記スティック保持部の前記非占有部を介して氷菓の原料液を満たす原料液充填工程と,
前記成形容器を冷却して前記型部内の前記原料液を凍結させる凍結工程と,
前記第2の成形型に内包されている前記第1の成形型を,前記第2の成形型から引き出す第2成形型取り外し工程と,
前記凍結工程で前記原料液が凍結して得られた氷菓を前記第1の成形型から剥離する剥離工程と,を備え,
前記第2成形型取り外し工程と前記剥離工程との間に,前記第1の成形型を熱板に押し当てて前記氷菓を加熱する熱板加熱工程を設けたことを特徴とする氷菓の製造方法。 - 前記熱板加熱工程は,前記第2の成形型の非内包状態にある前記第1の成形型における前記一面の裏側の部分及び前記一面と裏側の面とに隣接する面側の部分を前記熱板に押し当てる工程であることを特徴とする請求項3に記載の氷菓の製造方法。
- 前記剥離工程は,
前記スティック保持部を支点として前記スティックの他方の端部を前記一面に対する交差方向に付勢することにより,前記氷菓の前記所定方向とは逆方向側の端部及びその周辺を前記第1の成形型から剥離する第1の剥離工程と,
前記一面に対する直交方向と前記所定方向の逆方向との中間方向に前記氷菓を変位させることにより,前記氷菓の前記第1の剥離工程における剥離部分以外の部分を前記第1の成形型から剥離する第2の剥離工程と,を有してなることを特徴とする請求項3に記載の氷菓の製造方法。 - 前記剥離工程の後に,前記第1の成形型から剥離された前記氷菓に冷風を吹き付けて前記氷菓を乾燥させる乾燥工程を更に設けたことを特徴とする請求項3に記載の氷菓の製造方法。
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