JP4330729B2 - 耐紫外線性ペリクル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI(大規模集積回路)製造等におけるフォトリソグラフィー工程で使用するフォトマスクやレチクル等(以下、マスクという)を保護するための防塵カバー、すなわちペリクルに関するものである。さらに詳しくは、耐紫外線性ペリクルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LSI等の製造において、ウエハー上への集積回路パターンの形成にはステッパー(縮小投影露光装置)等の半導体製造装置が使用されている。この際、透明薄膜を有するペリクルは、膜面とは反対側のペリクルフレーム上に形成された粘着剤層を介して回路パターンを形成するためのマスクに固定され、これによって異物がマスク上に直接付着することを防ぐことができる。従って、仮にフォトリソグラフィー工程において異物がペリクル上に付着しても、フォトレジストが塗布された半導体ウエハー上にこれらの異物は結像することなく、そのため異物の像による半導体集積回路の短絡や断線等を防ぐことができ、フォトリソグラフィー工程の製造歩留まりが向上する。
【0003】
ところで、ペリクルは、フォトリソ工程において水銀灯のg線(波長は436nm)やi線(波長は365nm)等に曝される訳であるから、ペリクル膜だけでなく、ペリクルを構成する各パーツ、即ちペリクル膜をペリクル枠に固定する接着剤やペリクル膜をマスクに固定する粘着剤にも高い耐光性が要求される。
さらに近年では、大規模集積回路の発展に伴って集積回路の画線幅は非常に微細なものになりつつあり、そのためステッパーの露光用光源の主流は、g線やi線から、さらに波長の短いXeClエキシマレーザー(波長は308nm)、KrFエキシマレーザー(波長は248nm)、ArFエキシマレーザー(波長は193nm)、およびフッ素レーザー(波長は157nm)等に移行しつつある。従って上記レーザーを露光光源とする場合には、ペリクル膜、ペリクル膜接着剤(接着剤層)およびマスク粘着剤等には、相当する短波長光にさらされても光劣化しないような高い耐光性が要求されている。
【0004】
特に、ペリクル膜をペリクルフレームに接着固定するためにペリクルフレームの一端面に形成される接着剤層は、この耐光性が不十分な場合、光劣化による接着力の低下によってペリクル膜が弛んだりする可能性がある。さらには光劣化に伴う接着剤層からのガスや揮発成分の発生などによってペリクル膜面が曇ったり、マスクのパターン面に結晶状異物が生成したりしてフォトリソ工程における重大なトラブルを引き起こす可能性が有るため、当然耐光性の高い材料で形成されることが必須となる。しかもペリクル膜がフッ素ポリマーよりなる場合、フッ素ポリマーが離型性に優れているためにアクリル系接着剤やエポキシ系接着剤では実用的な接着力を得ることが不可能であり、耐光性に加えてフッ素ポリマーに対する十分な接着強度を発揮しうる材料の選択を行わなくてはならない。
【0005】
そのような特性を満足する接着剤材料として、既にフルオロカーボンシロキサン組成物(特開平5−107746号公報)やジオルガノポリシロキサン組成物(特開平5−216213号公報)といった、いわゆるシリコーン系組成物を使用する方法が知られている。さらに特開平6−67409号公報には、接着剤をペリクル膜と同種または類似のフッ素系有機物からなるものとすれば、長寿命で高性能のペリクルを得ることができることが開示されている。
ところが、フッ素系有機物を接着剤として用いる場合、これはKrFエキシマレーザーなどの短波長光に対する耐光性、およびフッ素ポリマー系ペリクル膜に対する接着強度は優れているものの、接着工程においては有機フッ素系ポリマーを各ガラス転移温度以上で柔らかくしてペリクル膜を接着(融着)するというものであるため、冷却とともに接着剤は急激に硬化する上、該硬化接着剤層が比較的硬いので、ペリクル膜の接着部分に歪みが残ったまま硬化して微小しわが生じやすく、ペリクルの外観を損ねてしまい、ひどいときにはエアパスとなって異物混入の原因にもなりうるという問題があった。
【0006】
一方、フルオロカーボンシロキサン組成物やジオルガノポリシロキサン組成物といったシリコーン系接着剤を用いれば、フッ素ポリマー系ペリクル膜との接着強度がフッ素系有機物接着剤よりも劣ること、および接着剤層の硬化に比較的長い時間を要するために、硬化中の接着剤層の変形や膜ずれによってペリクル膜に弛みが生じてしまう場合があるといった問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特に310nmよりも波長の短い光を用いるフォトリソ工程においても、接着剤層が光劣化、具体的には分解や含有成分揮発等に基づくガス発生によってペリクル膜内部面およびマスクパターン面の曇りを起こすことが無く、接着強度も高く、しかもペリクル膜接着工程において接着部位に微小しわ等の歪みが発生しないような加工性にも優れた接着剤層を有する耐紫外線性ペリクルを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、耐紫外線性ペリクル用接着剤を鋭意検討した結果、シリコーン系接着剤相がペリクル膜接着部における微小しわ発生防止性を有し、シリコーン系接着剤および有機フッ素系接着剤を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
1.ペリクル膜が接着剤層によってペリクルフレームの一端面に接着固定されたペリクルにおいて、該接着剤層がシリコーン系接着剤および有機フッ素系接着剤で形成され、両接着剤の分布が、両接着剤の混合状態、該混合状態に加えてシリコーン系接着剤単独からなる接着剤相および有機フッ素系接着剤単独からなる接着剤相のいずれか一つ、もしくは両方との共存状態、シリコーン系接着剤単独からなる接着剤相および有機フッ素系接着剤単独からなる接着剤相を主体としてなる相分離状態、のいずれかからなることを特徴とする耐紫外線性ペリクル、
2.波長150〜310nmの範囲の紫外線において使用することを特徴とする上記1記載の耐紫外線性ペリクル、
3.接着剤層が、両接着剤の混合状態に加えてシリコーン系接着剤相および有機フッ素系接着剤相のいずれか一相、もしくは両相を有することを特徴とする上記1記載の耐紫外線性ペリクル、
4.接着剤層が、シリコーン系接着剤相および有機フッ素系接着剤相を主体としてなることを特徴とする上記1記載の耐紫外線性ペリクル、
5.接着剤層におけるシリコーン系接着剤相および有機フッ素系接着剤相が、それぞれペリクルフレーム上を周回した形態で配置され、しかもシリコーン系接着剤相と有機フッ素系接着剤相はペリクルフレーム上の内側方向から外側方向に向かって交互に4相以上並列配置、3相並列配置、または2相並列配置されていることを特徴とする上記4記載の耐紫外線性ペリクル、
6.接着剤層において、ペリクルフレーム上の最も内側にはシリコーン系接着剤相が配置されていることを特徴とする上記5記載の耐紫外線性ペリクル、
である。
【0009】
以下、本発明について具体的に述べる。
本発明で使用されるペリクル膜としては、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンの共重合体、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデンの三元共重合体、さらには環状パーフルオロエーテル基含有ポリマーである「サイトップ」(旭硝子(株)製、商品名)、テトラフルオロエチレンと環状パーフルオロエーテル基含有フッ素モノマーとの共重合体である「テフロンAF」(米国デュポン社製、商品名)などのフッ素ポリマーよりなる有機フッ素膜が挙げられる。中でも非晶性フッ素ポリマーであるサイトップやテフロンAFが、KrFエキシマレーザーステッパーに用いられるような短波長光(248nm)においても極めて良好な光透過性を示すため好ましく用いられる。
【0010】
ペリクル膜はこれらフッ素ポリマーの溶液からスピンコート法等によって成膜され、接着剤を介してペリクルフレームの一端面に張設される。ペリクルフレーム材質も、従来公知のものが使用可能であり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、アルマイト処理したアルミニウム、ステンレス等の金属類が耐熱性にも優れるため好ましい。
本発明では、ペリクルフレームの一端面にペリクル膜を張設するための接着剤として、シリコーン系接着剤および有機フッ素系接着剤を用いることが必要である。また、その結果ペリクルフレーム上に形成される接着剤層の幅は、フレーム幅を1とした場合、0.1〜1であることが好ましく、0.5〜1がより好ましく、0.8〜1が特に好ましい。フレーム幅を1とした場合の接着剤層の幅が0.1未満であると、接着強度が不十分となって好ましくない。
【0011】
接着剤の一つとして用いられるシリコーン系接着剤とは、例えば両末端もしくは片末端に架橋性の官能基を有するジオルガノポリシロキサン類を主成分ポリマー(ベースポリマー)とし、これらの架橋反応を促進しうる、いわゆる硬化剤(例えば、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも1個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ジアミン類、ジイソシアネート類、ジオール類等)や触媒(白金化合物やチタン化合物等)等を加えた様な、いわゆるシロキサン系接着剤組成物であれば、どのようなものであっても構わない。
【0012】
また、ベースポリマーが両末端もしくは片末端に有する架橋性の官能基とは、硬化剤や触媒の存在下、もしくは不在下で、ベースポリマー間の架橋反応を起こしうる官能基であればどのようなものでも構わない。そのような官能基としては、例えば、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基、クロロ基、ブロモ基、水素原子等が挙げられ、それらの官能基はケイ素原子に直接結合していても、結合していなくても構わない。またベースポリマー間の架橋反応は、分子鎖の末端−末端間だけではなく側鎖−側鎖間でも側鎖−末端間でも構わないため、それに応じてベースポリマーの側鎖に架橋性官能基が付与されていても構わない。従って、ベースポリマーであるジオルガノポリシロキサンのオルガノ基としては、メチル基やエチル基などのアルキル基やフェニル基が例示されるが、上記のような架橋性官能基を含んでいても構わない。
また、上記ベースポリマーは、その耐光性やフッ素ポリマー系ペリクル膜との親和性を増すためにベースポリマーが有する官能基の水素原子がフッ素原子に置換された、いわゆるフルオロカーボンシロキサンであってももちろん構わない。
【0013】
一方、本発明で言う有機フッ素系接着剤とは、フッ素樹脂やフッ素塗料用途に一般に用いられるフッ素系ポリマーのようなものであっても、有機フッ素ポリマー系ペリクル膜と実用上問題のない接着強度を発現するものであればどの様なものであっても構わないが、例えば、ペリクル膜用ポリマー材料として既に記したテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンの共重合体や、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデンの三元共重合体のような有機フッ素ポリマーと類似もしくは同一のものであっても構わない。さらにクロロテトラフルオロエチレンと炭化水素系ビニルエーテル類との共重合体のようなC−Cl結合やC−H結合を含有するものでも構わない。特に環状パーフルオロエーテル基含有ポリマーである「サイトップ」(旭硝子(株)製、商品名)やテトラフルオロエチレンと環状パーフルオロエーテル基含有フッ素モノマーとの共重合体である「テフロンAF」(米国デュポン社製、商品名)などが好適なフッ素系接着剤として用いられる。またサイトップやテフロンAFの場合は、ペリクルフレームとの接着性を高めるため、末端にアクリロイル基、アルコキシ基、カルボキシル基などを有していても構わない。
【0014】
前述したように、本発明はシリコーン系接着剤単独からなる接着剤相(本発明でいうシリコーン系接着剤相であり、以後「S相」と称す。)がペリクル膜接着部における微小しわ発生を防止する性質を有することを見出したことに基づくものであり、本発明において、ペリクル膜とペリクルフレームを接着固定する接着剤層は、上記シリコーン系接着剤および有機フッ素系接着剤で形成されていることが必要である。両接着剤は本発明の要求特性を満足するのであれば、接着剤層中にどの様に分布していても構わない。例えば、両者は接着剤層中で混合状態であっても構わないし、またそのような混合状態に加え、S相および有機フッ素系接着剤単独からなる接着剤相(本発明でいう有機フッ素系接着剤相であり、以後「F相」と称す。)のいずれか一つ、もしくは両方が共存していても構わない。さらに接着剤層はS相とF相を主体としてなる、いわゆる相分離状態であっても構わない。
【0015】
なお、本発明において言う「S相およびF相を主体としてなる」とは、両者が相溶化していないことを意味する。この場合、両者が相溶化した構造は両相の界面に局所的に存在するだけであり、逆に以上のような状態を本発明では「相分離状態」という。
本発明において、シリコーン系接着剤からなるS相はペリクル膜接着部における微小しわ発生を防止する性質を有し、また有機フッ素系接着剤からなるF相はフッ素ポリマー系ペリクル膜への高接着性(高膜保持性)を有するため、両者の長所を十分に活用するためには、接着剤層にはS相とF相が存在することが好ましく、特にS相とF相の上記長所を最大限に生かすためには、接着剤層は両相を主体としてなる、いわゆる相分離状態であることが好ましい。
【0016】
上記のように接着剤層がS相とF相を主体としてなる場合も、本発明の要求を満たすので有ればS相とF相は接着剤層においてどの様に配置されていても構わないが、既述のようなS相の微小しわ防止性とF相のフッ素膜に対する高接着性を生かすには、両相はそれぞれペリクルフレーム上を周回した形態で配置され、しかもS相とF相はペリクルフレーム上の内側から外側方向に向かって交互に並列配置されていることが望ましい。さらに接着部のペリクル膜微小しわは、当然ペリクルフレーム上の最も内側に存在する接着剤層との接着部分に多く発生するため、接着剤層におけるペリクルフレーム上の最も内側にはS相が配置されていることが特に好ましい。
【0017】
ただし上記の様にS相とF相がペリクルフレーム上に周回塗布配置されている場合でも、本発明の要求を満たす範囲であれば、S相において、その一部がF相で置き換わっていたり、S相とF相が混在している箇所があっても構わない。同様にF相においても、その一部がS相で置き換わっていたり、S相とF相が混在している箇所があっても構わない。なお、接着剤層において、S相とF相はペリクルフレーム上の内側方向から外側方向に向かって「S/F/S/F/・・・」もしくは「F/S/F/S/・・・」のように何相も交互に並列配置されても構わないが、接着剤塗布工程を考慮した場合、実質的には「S/F/S」のような3相並列構造もしくは「S/F」のような2相並列構造が好ましい。
特に、S相の微小しわの発生防止性とF相の高接着性を生かしながら、しかも接着剤塗布工程を簡便にするためにはフレーム内側方向から外側方向に向かって「S/F」の様に2相並列配置する事が特に好ましい。
【0018】
本発明における接着剤層は、いかなる工程を経て形成されたものであっても構わないが、例えばS相とF相を主体としてなる接着剤層を形成する方法としては、シリコーン系接着剤と有機フッ素系接着剤をそれぞれ逐次フレーム上に塗布して行く方法や、両接着剤の混合物を塗布した後、シリコーン系ポリマーとフッ素系ポリマーの低相溶性を利用して、柔らかい状態で相分離状態とした後、膜接着・冷却(硬化)させるといった方法が挙げられるが、S相とF相の配置を好みの形態に制御するためには前者の逐次交互塗布方法が好ましい。
本発明において、接着剤層を形成するために使用されるシリコーン系接着剤と有機フッ素系接着剤の重量比は、5/95〜95/5が好ましく、20/80〜70/30がより好ましく、35/65〜50/50が特に好ましい。シリコーン系接着剤が接着剤全体の5重量%未満だとペリクル膜接着部において微小しわが発生しやすくなるため好ましくないし、95重量%より多いとフッ素系ペリクル膜への接着強度が低くなってしまうために好ましくない。
【0019】
また本発明において、接着剤層におけるS相および/またはF相が、それぞれペリクルフレーム上を周回した形態で配置されている場合、フレーム上の接着剤層の幅を1とするときのS相の幅は、0.01〜0.95が好ましく、0.10〜0.70がより好ましく、0.20〜0.50が特に好ましい。S相の幅が0.01未満だと微小しわの発生を十分に防ぐことができず、また0.95より大きいと接着強度が不十分となり好ましくない。同様に、フレーム上の接着剤層の幅を1とするときのF相の幅は、0.05〜0.99が好ましく、0.20〜0.90がより好ましく、0.30〜0.80が特に好ましい。F相の幅が0.05未満だと接着強度が不十分となるし、また0.99より大きいと接着面に微小しわが発生しやすいため好ましくない。
【0020】
なお、接着剤層がS相および/またはF相を含むことを示す方法としては、種々の解析手段が考えられるが、簡便な解析方法としては顕微赤外吸収スペクトル法(顕微IR法)があげられる。具体的には、接着剤層の様々な部位の顕微IR測定を行うと、S相とF相の混合IRスペクトルの他に、S相単独のIRスペクトルもしくはF相単独のIRスペクトルがサンプリングの場所によっては得られるというものである。
本発明の接着剤層には、硬化物の熱安定性、耐光性、あるいは機械的強度向上の目的で従来公知の充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等を含んでいても構わない。
【0021】
本発明において、接着剤層の厚みは0.5〜500μmが好ましく、10〜300μmがより好ましく、50〜200μmが特に好ましい。接着剤層の厚みが0.5μm未満であると接着剤層が薄すぎてペリクル膜とペリクルフレームの密着が不十分となる可能性が高く、エアパスによる塵などの異物混入の点から好ましくない。一方、厚みが500μmを越えると接着剤層の平坦化が難しく、接着面の微小しわが発生しやすく好ましくない。本発明のペリクルは、150〜310nmの範囲の紫外線において特に好ましく使用される。光の波長が150nmよりも短波長であると、接着剤層の劣化が著しくなるため好ましくない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に実施例および比較例によって本発明を更に具体的に説明する。
【実施例】
(ペリクルの組立)
150×120mmの長方形アルミニウム製ペリクルフレームの一端面上(幅2mm)に、フレームの外側から内側方向に1.5mm幅の全領域に、サイトップの20重量%フッ素溶媒溶液(CTX−109Aを濃縮:旭硝子(株)製、商品名)をシリンジより常温で周回塗布したのち、これを150℃の雰囲気下で乾燥して脱溶媒(沸点100℃)を行った。乾燥後のフッ素接着層の厚みは150μmであった。続いて、該フレーム内側の残り0.5mm幅の全領域に、常温湿気硬化タイプのシリコーン系接着剤SUPER、X8008クリア(セメダイン(株)製、商品名)を同じく150μmの厚みになるようにシリンジより常温塗布した。この場合、実質的に接着剤層形成に使用したサイトップとSUPER、X8008クリアの重量比は80/20であった。
次いで、上記の接着剤塗布済みペリクルフレームを120℃のホットプレート上で素早く加温した後、スピンコート法で得られたサイトップ膜(CTX−809SP2:旭硝子(株)商品名)を接着剤塗布したペリクルフレーム面に軽く押しあて、すぐにホットプレートよりはずし、そのままの状態で24時間保持した。24時間後、余分な膜をカットし、接着剤塗布した面の反対側ペリクルフレーム上にマスク粘着剤を付設してペリクルを組み立てた。得られたペリクルの部分断面模式図を図1に示す。
【0023】
(ペリクルの評価)
組み立てたペリクルの外観評価は、接着面の実体顕微鏡観察(20倍)で行い、ペリクル膜の“きわ”(接着剤層との境)に発生した微小な“しわ”の個数をカウントすることで行った。
また、接着剤層とペリクル膜との接着強度比較には、内径0.6mmφのノズルより噴出するエアーを、膜面に対して45度の角度でペリクル膜面下部より任意のペリクル膜接着部位(10カ所)に各々10秒間噴射する方法(ノズル先端から接着部位までの距離は10mm)を採用し、エアー圧力を0.5〜5.0kg/cm2 の範囲で次第に上昇させて行きながら、接着面からの膜剥がれが起きたときのエアー圧力の10カ所の平均値を比較することで行った。
【0024】
さらに接着剤層の耐光性評価としては、ペリクルフレームの膜面と反対側に付設した粘着剤を介して石英ガラス製マスクに1kg/cm2 で張り付けたペリクルに、500Wのキセノン−水銀ランプを用いて、ペリクル上部方向よりトータルエネルギーで1000J/cm2 (波長250nmに最大の光感度を持つオーク社製紫外線センサーUV25を使用)の紫外線照射を行い、照射後のペリクル膜面およびマスク表面の曇り発生の有無を集光灯下で目視観察することで評価した。
以上の評価結果を表1に示す。接着強度は2.7kg/cm2 であり、接着面の微小しわ、および紫外線照射後の膜面とマスク面の曇りは観察されなかった。
【0025】
【比較例1】
ペリクルフレームの一端面上(幅2mm)において、2.0mm幅のフレーム上の全領域に、サイトップの20重量%フッ素溶媒溶液(CTX−109Aを濃縮:旭硝子(株)製、商品名)のみをシリンジより常温で周回塗布し、これを150℃の雰囲気下で乾燥して脱溶媒(沸点100℃)することで接着剤層(厚み150μm)を形成する以外は、実施例と同様にしてペリクルを組み立て、実施例と同様の評価を行った。
結果を表1に示す。接着強度は2.7kg/cm2 であり、膜面とマスク面の曇りは見られなかったが、接着面の微小しわが多数(28カ所)存在した。
【0026】
【比較例2】
ペリクルフレームの一端面上(幅2mm)において、2.0mm幅のフレーム上の全領域に、常温湿気硬化タイプのシリコーン系接着剤SUPER、X8008クリア(セメダイン(株)製、商品名)をシリンジより常温で周回塗布する事で接着剤層(厚み150μm)を形成する以外は、実施例と同様にしてペリクルを組み立て、実施例と同様の評価を行った。
結果を表1に示す。接着面の微小しわ、および膜面とマスク面の曇りは見られなかったが、接着強度が1.4kg/cm2 であった。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明によリ、接着剤層が光劣化する、具体的には分解や含有成分揮発等に基づくガス発生によってペリクル膜内部面およびマスクパターン面の曇りを起こすことも無く、フッ素ポリマーよりなるペリクル膜とペリクルフレームの接着性も良好であり、しかもペリクル膜接着工程において接着部位に微小しわ等の歪みが発生しないような加工性にも優れた接着剤層を有する耐紫外線性ペリクルを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるシリコーン系接着剤相と有機フッ素系接着剤相を主体とする接着剤層を有するペリクルの部分断面模式図である。
【符号の説明】
1 ペリクル膜
2 接着剤層
3 有機フッ素系接着剤相
4 シリコーン系接着剤相
5 フレーム
6 マスク粘着剤
Claims (6)
- ペリクル膜が接着剤層によってペリクルフレームの一端面に接着固定されたペリクルにおいて、該接着剤層がシリコーン系接着剤および有機フッ素系接着剤で形成され、両接着剤の分布が、両接着剤の混合状態、該混合状態に加えてシリコーン系接着剤単独からなる接着剤相および有機フッ素系接着剤単独からなる接着剤相のいずれか一つ、もしくは両方との共存状態、シリコーン系接着剤単独からなる接着剤相および有機フッ素系接着剤単独からなる接着剤相を主体としてなる相分離状態、のいずれかからなることを特徴とする耐紫外線性ペリクル。
- 波長150〜310nmの範囲の紫外線において使用することを特徴とする請求項1記載の耐紫外線性ペリクル。
- 接着剤層が、両接着剤の混合状態に加えてシリコーン系接着剤相および有機フッ素系接着剤相のいずれか一相、もしくは両相を有することを特徴とする請求項1記載の耐紫外線性ペリクル。
- 接着剤層が、シリコーン系接着剤相および有機フッ素系接着剤相を主体としてなることを特徴とする請求項1記載の耐紫外線性ペリクル。
- 接着剤層におけるシリコーン系接着剤相および有機フッ素系接着剤相が、それぞれペリクルフレーム上を周回した形態で配置され、しかもシリコーン系接着剤相と有機フッ素系接着剤相はペリクルフレーム上の内側方向から外側方向に向かって交互に4相以上並列配置、3相並列配置、または2相並列配置されていることを特徴とする請求項4記載の耐紫外線性ペリクル。
- 接着剤層において、ペリクルフレーム上の最も内側にはシリコーン系接着剤相が配置されていることを特徴とする請求項5記載の耐紫外線性ペリクル。
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