JP4329809B2 - シリンダブロック - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用エンジン等の内燃機関に使用されるシリンダブロックに係る。特に、本発明は、シリンダブロックの強度向上を図るための対策に関する。
自動車用エンジン等に使用されるシリンダブロックとして、その軽量化等を図るためにアルミニウム合金製のものが普及しつつある。
また、シリンダブロックは、一般的に鋳造加工により製造されるが、高い加工精度や加工時間の短縮化を図る観点からダイキャスト成形により製造される場合が多い。特に、上述したアルミニウム合金製のシリンダブロックにあっては、ピストンが摺接するシリンダボア内面の機械的強度、耐摩耗性、耐熱性等を確保するために、ボア内面を形成する部材として鋳鉄製等のシリンダライナを一体的に鋳込んで製造されることが多い(例えば下記の特許文献1を参照)。
また、シリンダブロックの形状として、その内部に成形される冷却水通路としてのウォータジャケットがブロック上面(シリンダヘッドとの合わせ面:デッキ面)に開放するオープンデッキタイプと、ウォータジャケットがブロック上面に開放しないクローズドデッキタイプとがあるが、オープンデッキタイプによれば鋳造加工に中子が必要なくなるため、特に上記ダイキャスト成形に適している。
一方、近年、エンジンの高出力化を図るために膨張行程時の筒内圧力を高めることが要求されている。特に、ディーゼルエンジンにあってはガソリンエンジンに比べて筒内圧力が高いため(現在、一般的には16MPa程度)、更に筒内圧力を高めて高出力化を図ろうとすると、シリンダブロックには、よりいっそう高い強度が必要になってくる。
ところが、上述したアルミニウム合金のダイキャスト成形によってシリンダブロックを製造する場合、以下のような鋳造欠陥が発生する可能性があり、この鋳造欠陥部分では上記筒内圧力の向上を図る上で十分な強度を得ることができない可能性があった。
つまり、ダイキャスト成形はアルミニウム合金の溶湯を金型のキャビティ内に向けて加圧して送り込むものであるため、空気も同時に送り込まれてしまう。そして、溶湯に気泡が存在したままアルミニウム合金が冷却固化されてしまうと、この気泡が存在していた部分が鋳巣となる。また、ダイキャスト成形はアルミニウム合金の溶湯を一旦射出スリーブに貯留するため、この射出スリーブ内において溶湯の表面にアルミニウム合金の酸化膜が生成されてしまう場合が多い。そして、この酸化膜が金型のキャビティ内に送り込まれてしまう可能性があり、この場合に、この酸化膜が混入されたままアルミニウム合金が冷却固化されてしまうと、この酸化膜残存部分が鋳造欠陥となる。このような鋳巣や酸化膜の鋳造欠陥の存在する部分は他の部分(鋳造欠陥の存在しない部分)に比べて強度が低くなってしまう。
一方、異種材料を組み合わせることで強度を高めるものとして金属基複合材料(MMC:Metal Matrix Composite)が知られている。このMMCをシリンダブロックに適用する技術として、例えば下記の特許文献2や特許文献3に開示されているものがある。
特許文献2のものでは、シリンダライナの外壁に2つの環状突起を形成しておき、この環状突起同士の間にアルミナで成る強化用繊維束のプリフォームを配設した状態でシリンダブロックの鋳造加工を行うようにしている。これにより、シリンダライナと強化用繊維束とを、シリンダブロックに一体的に鋳込み、シリンダライナのシリンダヘッド側への膨張を強化用繊維束によって抑制できるようにしている。
また、特許文献3のものでは、繊維強化用プリフォームをウォータジャケット成形用中子の内部に嵌合し、この繊維強化用プリフォームの内側に隙間を設けてシリンダボア成形用ボアピンを配置した状態でシリンダブロックの鋳造加工を行うようにしている。つまり、繊維強化用プリフォームとシリンダボア成形用ボアピンとの間の隙間を溶湯の湯道として使用して繊維強化用プリフォームをMMC化しながらシリンダブロックに一体的に鋳込むようにしている。
特開平7−284905号公報 特開昭63−19050号公報 特開2000−202613号公報
上記シリンダブロックに要求される強度は、エンジンの膨張行程時の筒内圧力に耐え得るものであることが要求される。より詳しくは、筒内圧力が最大となる膨張行程初期時(例えばピストンの上死点位置からクランク角度で十数度だけクランク回転角が進んだ時点)の筒内圧力(燃焼圧)が作用する部分、つまり、シリンダブロックにおけるシリンダヘッド側の部分(シリンダ軸が上下方向に延びるエンジンにあっては上側部分)には、特に高い応力が作用するため、この部分には高い強度が必要である。特に上記オープンデッキタイプのシリンダブロックでは、上記応力はウォータジャケットの内側に形成されているシリンダボア外壁部分に大きく作用することになるため、このシリンダボア外壁部分のシリンダヘッド側領域(シリンダブロック上端部分)での変形を抑制するべく十分な強度を確保しておかねばならない。しかしながら、シリンダボア外壁部分に対する冷却性の点に鑑みると、このシリンダボア外壁部分の肉厚は薄い方が好ましい。このように、このシリンダボア外壁部分、特にシリンダヘッド側領域には、薄肉でありながらも高い強度が得られていることが求められる。
ところが、上記特許文献2に開示されているものでは、強化用繊維束のプリフォームはシリンダライナの上端部分には配設されていない。つまり、最も高い強度が要求される部分(シリンダブロック上端部分)には強化用プリフォームが配設されていない。そればかりでなく、この部分では強化用プリフォームの外周側にシリンダブロック本体を構成する材料(例えばアルミニウム合金)が溶湯として流れ込む構成となっているため、このシリンダブロック上端部分に、上記空気の混入による鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在している場合があり、この部分での強度が低下している可能性がある。
特に、この特許文献2のものでは、シリンダライナの軸心方向の一部分のみに強化用プリフォームを適用しているため、シリンダブロック本体(アルミニウム合金で成形されている部分)とシリンダライナとの間の密着度がシリンダライナの軸心方向の各所で異なっている。このため、シリンダライナが軸心方向で熱膨張・熱収縮を繰り返すことによる金属疲労等が原因でシリンダライナのシリンダブロック本体に対する密着度が大幅に低下してしまうことが懸念される。
一方、上記特許文献3に開示されているものでは、上述した如く繊維強化用プリフォームとシリンダボア成形用ボアピンとの間に湯道を形成しており、この湯道がシリンダブロック上端部分にまで達している。つまり、この特許文献3のものでは、最も高い強度が要求される部分(シリンダブロック上端部分)には強化用プリフォームが配設されているもののその内周側にはシリンダブロック本体を構成する材料(例えばアルミニウム合金)が溶湯として流れ込む構成となっている。このため、このシリンダブロック上端部分に、上記空気の混入による鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在している場合があり、この場合にも、この部分での強度が低下している可能性がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オープンデッキタイプのシリンダブロックに対し、シリンダライナの配置状態(他部材との密着状態)を安定的に得ながらも、シリンダヘッド側の部分(シリンダブロック上端部分)に高い強度が得られるシリンダブロックを提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、シリンダボア内面をシリンダライナにより形成するオープンデッキタイプのシリンダブロックに対し、デッキ面部分(シリンダヘッドに対する合わせ面及びその周辺部分)においてシリンダライナの外周側にMMC(金属基複合材料)が密着状態で配設され、このMMCの外周側がウォータジャケットに臨む構成とし、ウォータジャケットの内側領域にあっては、デッキ面部分にシリンダヘッド本体の形成材料(アルミニウム合金等)が単独では存在しないようにしている。また、MMCをシリンダライナの外周面全体に適用することでシリンダボア部全体にも高い強度が確保でき、シリンダボアの真円度が維持されるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、シリンダボア内面を構成するシリンダライナを一体的に鋳込み且つオープンデッキタイプに構成されたシリンダブロックを前提とする。このシリンダブロックに対し、筒形状に成形された多孔質体にシリンダブロック形成材料が含浸されて成る金属基複合体を、上記シリンダライナの外周囲の全体に亘って装着させ、デッキ面部分(シリンダヘッドに対する合わせ面部分)にあっては、上記シリンダライナの内面をシリンダボアに臨ませ、金属基複合体の外面をウォータジャケットに臨ませ、且つシリンダライナの外面と金属基複合体の内面とを密着させた構成としている。また、上記多孔質体におけるデッキ面部分以外の領域に、このデッキ面部分の外径寸法よりも小径に形成された小径部を形成しておき、この小径部の外周側にシリンダブロック形成材料を存在させた構成としている。
また、上記目的を達成するための他の解決手段としては以下の構成が挙げられる。つまり、シリンダボア内面を構成するシリンダライナを一体的に鋳込み且つオープンデッキタイプに構成されたシリンダブロックを前提とする。このシリンダブロックに対し、上記シリンダライナの外周囲の全体に亘って筒形状の多孔質体を装着した状態で鋳造加工を行うことで、デッキ面部分にあっては、シリンダボアとウォータジャケットとの間に、シリンダライナ及び、上記多孔質体にシリンダブロック形成材料が含浸されて成る金属基複合体のみを存在させた構成としている。また、上記多孔質体におけるデッキ面部分以外の領域に、このデッキ面部分の外径寸法よりも小径に形成された小径部を形成しておき、上記鋳造加工を行うことで、この小径部の外周側にシリンダブロック形成材料を存在させた構成としている。
これら特定事項により、シリンダブロックにおいて最も高い強度が要求される部分であるシリンダヘッドに対する合わせ面部分(デッキ面部分)におけるウォータジャケットの内側領域にあっては、シリンダライナと、金属基複合材料で成る金属基複合体のみが存在した状態となり、この部分にシリンダブロック形成材料(例えばアルミニウム合金)単独の層(MMC化されていないシリンダブロック形成材料)が存在することがない。つまり、鋳造加工時においてデッキ面部分に向かって流れ込もうとする空気や酸化膜は、多孔質体によって捕捉されてデッキ面部分への流れ込みが阻止される。従って、シリンダブロックのデッキ面部分に、空気の混入による鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在するといった状況は招かず、この部分での強度を十分に得ることができる。また、上記金属基複合体はシリンダライナの外周囲の全体に亘って装着されているため、この金属基複合体とシリンダライナとの間の密着度がシリンダライナの軸心方向の全体で均一となって、この両者の密着度を長期間に亘って安定的に維持することが可能になる。
また、鋳造加工時には上記多孔質体の小径部の外周側がシリンダブロック形成材料の溶湯を流すための湯道として利用でき、金型内の各部への溶湯の流れ込みを円滑にできると共に、多孔質体の各領域に対するシリンダブロック形成材料の含浸性も良好に確保することができる。
本発明では、オープンデッキタイプのシリンダブロックに対し、シリンダヘッドに対する合わせ面部分であるデッキ面部分においてシリンダライナの外周側にMMCで成る金属基複合体が密着状態で配設され、この金属基複合体の外周側がウォータジャケットに臨む構成とすることで、ウォータジャケットの内側領域にあっては、デッキ面部分にシリンダヘッド本体の構成材料(アルミニウム合金等)が単独では存在しないようにしている。このため、このデッキ面部分の強度を十分に得ることができる。また、金属基複合体をシリンダライナの外周囲の全体に亘って装着したことで、この金属基複合体とシリンダライナとの間の密着度がシリンダライナの軸心方向の全体で均一となり、この両者の密着度を長期間に亘って安定的に維持することも可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の各実施形態では、自動車用直列4気筒ディーゼルエンジンに使用されるサイアミーズ構造のシリンダブロックに本発明を適用した場合について説明する。
参考例
本発明の各実施形態について説明する前に参考例について説明する。
−シリンダブロックの概略構成−
図1は、本参考例に係る直列4気筒ディーゼルエンジンの各シリンダボア11,11,…及びその周辺部を示すシリンダブロック1の平面図(シリンダブロック1上部の端面図)であって、シリンダヘッドとの合わせ面であるデッキ面1a(シリンダブロック頂面)、シリンダ列、ウォータジャケット(冷却水通路)12の配置状態を示している。また、図2は、図1におけるII−II線に沿った断面図である。
尚、以下の説明では、図1において左端に位置する気筒を第1番気筒♯1、その右側に位置する気筒を第2番気筒♯2、更に、その右側に位置する気筒を第3番気筒♯3、そして、右端に位置する気筒を第4番気筒♯4として説明する。また、図1における上側を吸気側とし、下側を排気側として説明する。気筒番号や吸排気系の形態はこれに限るものではない。
参考例に係るシリンダブロック1は、その大部分がアルミニウム合金製であって、図1に示すように、直列状態で配置された4個のシリンダバレル21,21,…を有するサイアミーズシリンダバレル2を備えている。このサイアミーズシリンダバレル2の詳細な構成については後述する。
また、シリンダブロック1はオープンデッキ型に構成されている。つまり、シリンダヘッドの組み付け面であるシリンダブロック1のデッキ面1aにウォータジャケット12が開放されている。
また、このウォータジャケット12は、上記サイアミーズシリンダバレル2の略全周囲を囲むようにシリンダブロック1の外壁とサイアミーズシリンダバレル2との間に形成されている。このため、このウォータジャケット12は、図1の如く、各シリンダバレル21,21,…の外周面である円筒面形状に沿って延びている。
また、シリンダブロック1には、ウォータポンプ(図示省略)からの冷却水をウォータジャケット12に導入するための冷却水入口通路12aがシリンダ列方向の一端側(図1における左端側)、つまり、第1番気筒♯1の近傍に形成されている。
そして、このシリンダブロック1のウォータジャケット12における冷却水の主な流れとしては、上記冷却水入口通路12aから導入された冷却水が各シリンダバレル21,21,…の配列方向に沿って略水平方向に流れていき、これによってシリンダブロック1の冷却を行う。具体的には、冷却水入口通路12aから流入した冷却水が、サイアミーズシリンダバレル2の一方側(図1における上側である吸気側)及び他方側(図1における下側である排気側)に分流されて、それぞれが第1番気筒♯1から第4番気筒♯4に向かって略水平方向に流れ(図1における矢印参照)、これによってシリンダブロック1が冷却されるようになっている。また、このシリンダブロック1を冷却した冷却水は、その後、シリンダヘッドのウォータジャケットに流入されてシリンダヘッドの冷却を行うことになる。
尚、このシリンダブロック1の複数箇所には、シリンダヘッドガスケット及びシリンダヘッドを一体的に組み付けるためのヘッドボルトが挿通されるヘッドボルト孔13,13,…が複数箇所に形成されている。
−サイアミーズシリンダバレル2−
次に、上記サイアミーズシリンダバレル2について説明する。上述した如く、このサイアミーズシリンダバレル2は4個のシリンダバレル21,21,…によって構成されている。各シリンダバレル21,21,…の構成は互いに略同一であるので、ここでは一つのシリンダバレル21についてのみ説明する。
シリンダバレル21は、内周側に位置するシリンダライナ3と、このシリンダライナ3の外周側に位置するMMC構造の筒体4(以下、MMCスリーブと呼ぶ)とを備えている。以下、具体的に説明する。
シリンダライナ3は鋳鉄製の円筒体で成り、ピストンが摺動するシリンダボア11の内面を構成する部材である。これにより、シリンダボア11の内面の機械的強度、耐摩耗性、耐熱性等を確保するようになっている。
MMCスリーブ(金属基複合体)4は、予め略円筒形状に成形された多孔質成形体(プリフォーム)41(図3参照)に、後述するダイキャスト成形時にアルミニウム合金(シリンダブロック形成材料)の溶湯が含浸されることによって構成される金属基複合材料(MMC)で成っている。
そして、このMMCスリーブ4は、内径寸法がシリンダライナ3の外径寸法に略一致して形成されており、これにより、MMCスリーブ4の内周面はシリンダライナ3の外周面に密着している。一方、MMCスリーブ4の外周面の大部分は上記ウォータジャケット12に臨んでいる。より詳しくは、各MMCスリーブ4,4,…は隣接する(隣の気筒の)MMCスリーブ4との合わせ面42が平坦面となっており、これら合わせ面42,42同士が密着された状態で配設されている。このため、各MMCスリーブ4,4,…では、この合わせ面42,42,…以外の外周面43,43,…の大部分が上記ウォータジャケット12に臨んでいる。
また、このMMCスリーブ4の軸心方向(上下方向)の長さ寸法と上記シリンダライナ3の軸心方向(上下方向)の長さ寸法とは略同一であって、MMCスリーブ4の上端面4a及びシリンダライナ3の上端面3aがシリンダブロック1のデッキ面1aに略面一となるように上記シリンダライナ3及びMMCスリーブ4は一体的に鋳込まれている。このため、MMCスリーブ4の下端面4bとシリンダライナ3の下端面3bも略面一となっている。
尚、このMMCスリーブ4及びシリンダライナ3の下側部分は、シリンダブロック1のスカート部1b(クランク室の上側を構成する部分)の近傍まで延びている。また、MMCスリーブ4の下側部分の外側にはウォータジャケット12は存在しておらず、この部分にあってはMMCスリーブ4の外面がシリンダブロックの外壁面の一部を構成するように外部に露出した構成となっている(図2における領域A部分)。つまり、このMMCスリーブ4は、シリンダブロック1の外壁を構成する部材としての機能も備えている。
上記シリンダライナ3及びMMCスリーブ4をシリンダブロック1に一体的に鋳込む鋳造加工については後述する。
このように、シリンダバレル21は、内周側のシリンダライナ3と外周側のMMCスリーブ4との2層構造で構成されており、シリンダブロック1の構成材料であるアルミニウム合金単独の層(MMC化されていないアルミニウム合金の層)を含まない構成となっている。つまり、シリンダボア11とウォータジャケット12との間には、シリンダライナ3及びMMCスリーブ4の2層構造のみが存在した構成とされている。
−シリンダブロック1の鋳造加工−
次に、上記構成のシリンダブロック1を製造するための鋳造加工について説明する。
この鋳造加工では、前段階として上記シリンダライナ3とプリフォーム(多孔質体)41とを一体的に組み付ける工程が行われ、このシリンダライナ3とプリフォーム41とが一体化されたシリンダバレル成形物が金型5(図4参照)内に配置された状態でダイキャスト成形が行われることになる。
先ず、シリンダライナ3とプリフォーム41とを一体的に組み付ける工程について説明する。本参考例に係るシリンダブロック1は4気筒であるため、図3に示すように4個のシリンダライナ3,3,…と4個のプリフォーム41,41,…とが用いられる。
各シリンダライナ3,3,…は、上述した如く鋳鉄製の円筒体で成り、互いに同一構造である。
一方、プリフォーム41,41,…としては、第1番気筒♯1及び第4番気筒♯4に対応する外側プリフォーム41A,41Aと、第2番気筒♯2及び第3番気筒♯3に対応する内側プリフォーム41B,41Bとが用いられる。
外側プリフォーム41A,41Aは、それぞれ隣接する内側プリフォーム41Bとの合わせ面42が1箇所に形成されている。また、内側プリフォーム41B,41Bは、それぞれ隣接する外側プリフォーム41A及び内側プリフォーム41Bとの合わせ面42,42が2箇所に形成されている。
また、これらプリフォーム41A,41Bとして、具体的には、セラミック繊維で成形されている。例えばアルミナ繊維とカーボン繊維から成り、アルミナ繊維の成分はアルミナ97%、シリカ3%程度で、カーボン繊維の成分はカーボン99.7%である。アルミナ繊維とカーボン繊維の繊維長さは、共に平均長さ70〜130μmで、繊維径は平均径3〜6μmを用いる。また、プリフォーム41A,41Bの繊維体積率は12〜21%とし、その繊維配合比はアルミナ繊維体積率8〜16%、カーボン繊維体積率4〜5%を混合し、上記所定の繊維体積率(12〜21%)に調節する。また、アルミナ繊維とカーボン繊維を上述した繊維長さ、繊維径に設定する理由は、アルミニウム合金の溶湯の含浸性を考慮し、繊維間の隙間を20〜80μmに保つためである。そして、アルミナ繊維とカーボン繊維をセラミックバインダーで接着することで上記プリフォーム41A,41Bを成形している。
また、このプリフォーム41A,41Bの構成材料としては、セラミック繊維に限るものではなく、その他の繊維材料であってもよいし、多孔質金属材料であってもよい。つまり、このプリフォーム41A,41Bの機能として、後述するダイキャスト成形時において、溶湯中に含まれる気泡やアルミニウム合金の酸化物が捕捉(トラップ)できる性能を備えておればよい。
これらプリフォーム41A,41A,41B,41Bに対してそれぞれシリンダライナ3,3,…が圧入により嵌合され、その上端面4a,3a同士及び下端面4b,3b同士がそれぞれ面一な状態とされる。これにより、シリンダライナ3の外周面の全体とプリフォーム41の内周面の全体とが密着状態で当接されることになる。
その後、このシリンダライナ3とプリフォーム41とが一体化されたシリンダバレル成形物が予熱される。例えば400℃程度の加熱炉によって所定時間加熱される。この加熱は、その後に行われるダイキャスト成形時の溶湯の含浸性を良好にするためである。また、この加熱温度は上述したものに限らず、例えば500℃程度であってもよい。また、加熱の方式も上述したものに限らず電磁誘導方式であってもよい。
そして、それぞれシリンダライナ3,3,…が嵌合されたプリフォーム41A,41A,41B,41Bが、互いに合わせ面42,42同士が当接された状態で金型5内に配置される。図4は、このシリンダライナ3及びプリフォーム41が金型5内に配置された状態を気筒列に沿う方向から見た断面図である。
この図4に示すように、金型5は、ボアピン51、ウォータジャケット成形用金型52、側型53、下型54を備えている。
ボアピン51は、外径寸法が上記シリンダライナ3の内径寸法に略一致した円柱形状で成っており、型締め状態では、シリンダライナ3の内部に挿入される。ウォータジャケット成形用金型52は、上記ボアピン51が挿通されるピン孔52a、上記ウォータジャケット12を成形するためのウォータジャケット成形部52bを備えている。側型53は、シリンダブロック1の外壁面を成形するためのものであって、上記ウォータジャケット成形部52bとの間に所定間隔のキャビティ55を形成している。また、この側型53の一部は上記プリフォーム41の外側面に当接している(上記領域A部分)。下型54は、シリンダブロック1のスカート部1bを成形するためのものであって、上記ボアピン51の先端面に当接した位置で位置決めされ、上記側型53との間に所定間隔のキャビティ56を形成している。この状態では、上記シリンダライナ3の下端面3b及びプリフォーム41の下端面4bが、このキャビティ56に臨んだ状態となっている。
このようにしてシリンダライナ3及びプリフォーム41が収容された状態で金型5が型締めされ、下型54が形成しているキャビティ56からシリンダブロック形成材料であるアルミニウム合金の溶湯が所定圧力で注入される。
この溶湯は、下型54と側型53との間のキャビティ56を流れた後、プリフォーム41の下端面4bに達し、このプリフォーム41の内部に含浸されていく。このため、このプリフォーム41とアルミニウム合金とによるMMC化がなされ、この部分がMMCスリーブ4として成形されることになる。
また、このプリフォーム41の存在により、溶湯中に含まれる気泡やアルミニウム合金の酸化物はプリフォーム41の下端面4b付近で捕捉(トラップ)され、プリフォーム41の内部にまで気泡やアルミニウム合金の酸化物が流入することが阻止される。これによりプリフォーム41の下端面4bよりも下流側(溶湯の流れ方向の下流側)には、鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在することがなくなる。
このようにして気泡や酸化物が除去されたアルミニウム合金の溶湯は、上記MMCスリーブ4を成形するべくプリフォーム41内に含浸されていくと共に、上記ウォータジャケット成形用金型52と側型53との間のキャビティ55に充填され、シリンダブロック1の外壁を成形する。上述した如く溶湯中に含まれる気泡やアルミニウム合金の酸化物はプリフォーム41の下端面4b付近で捕捉されているので、シリンダブロック1の外壁にも鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥は存在しない。このようにして、キャビティ55に充填されたアルミニウム合金とMMCスリーブ4との間にウォータジャケット12が成形される(図2参照)。
このようにして各キャビティ55,56にアルミニウム合金が充填されると共に、プリフォーム41がMMC化されてMMCスリーブ4が成形された状態で溶湯が冷却固化され、その後、型開きされて上記構成のシリンダブロック1が得られることになる。
以上の鋳造加工により製造されたシリンダブロック1にあっては、上述した如く、シリンダバレル21の構成として、内周側のシリンダライナ3と外周側のMMCスリーブ4との2層構造で成っており、シリンダブロック1の構成材料であるアルミニウム合金単独の層(MMC化されていないアルミニウム合金の層)を含まない構成となっている。つまり、図1及び図2に示すように、シリンダボア11とウォータジャケット12との間には、シリンダライナ3及びMMCスリーブ4の2層構造のみが存在した構成となっている。つまり、本参考例によれば、シリンダブロック1において最も高い強度が要求される部分であるデッキ面1a及びその周辺部分におけるウォータジャケット12の内側領域にあっては、シリンダライナ3とMMCスリーブ4のみが存在した状態となり、この部分にシリンダブロック形成材料であるアルミニウム合金単独の層(MMC化されていない材料)が存在することがない。従って、シリンダブロック1においてデッキ面1a及びその周辺部分に、空気の混入による鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在するといった状況は招かず、この部分での強度を十分に得ることができる。また、上記MMCスリーブ4はシリンダライナ3の外周囲の全体に亘って成形されているため、このMMCスリーブ4とシリンダライナ3との間の密着度がシリンダライナ3の軸心方向の全体で均一となって、この両者の密着度を長期間に亘って安定的に維持することも可能になっている。
また、上記MMCスリーブ4を構成しているMMC(金属基複合材料)の物性としては、熱膨張率が17×10-6〜18×10-6/℃であり、ヤング率が200〜250Mpaであり、ビッカース硬さが135〜150となっている。一般的なダイキャスト用アルミニウム合金では、熱膨張率が20×10-6/℃程度であり、ヤング率が150〜250Mpaであり、ビッカース硬さが98〜105である。このため、上記MMCスリーブ4を備えさせたことにより、熱膨張率の抑制に伴うシリンダボア11内面の変形防止(真円度の維持)、ヤング率の向上に伴うシリンダボア11の強度向上、ビッカース硬さの向上に伴うヘッドガスケット当接部分での圧痕防止による高いシール性の維持といった優れた効果を発揮することができる。
(第実施形態)
次に、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態は、プリフォーム41の形状が上記参考例のものと異なっている。その結果、MMCスリーブ4の形状も上記参考例のものと異なることになる。その他の構成及び鋳造加工の手法は上記参考例と同様である。従って、ここではプリフォーム41及びそれにより形成されるMMCスリーブ4の形状について主に説明する。
図5は、本実施形態においてシリンダライナ3及びプリフォーム41が金型5内に配置された状態を気筒列に沿う方向から見た断面図(図4に相当する図)である。
この図5に示すように、本実施形態におけるプリフォーム41は、その上端部分(図5における左側部分:デッキ面部分)の外径寸法とそれ以外の部分の外径寸法とが異なっている。図5に示す如く、鋳造加工では、シリンダブロック1が横向きに(デッキ面1aが左側を向くように)して成形されるが、以下のプリフォーム41の説明においてはデッキ面1a側の上側とし、クランクケース側を下側と言うこととする。
上記プリフォーム41の上端部分(デッキ面部分)の外径寸法は、上記参考例におけるプリフォーム41の外径寸法と同様に、ウォータジャケット成形用金型52のウォータジャケット成形部52bの内径寸法に略一致している。
これに対し、プリフォーム41における上端部分以外の領域の外径寸法は、上記上端部分の外径寸法よりも小径に形成され、この部分が小径部44として形成されている。つまり、このプリフォーム41はデッキ面部分に形成された大径部45とそれ以外の部分である小径部44とを備えている。
そして、図5に示すようにシリンダライナ3及びプリフォーム41が金型5内に配置された型締め状態では、プリフォーム41の小径部44とウォータジャケット成形用金型52のウォータジャケット成形部52bとの間に所定間隔のキャビティ57が形成されている。また、上記領域A部分では、プリフォーム41の小径部44と側型53との間に所定間隔のキャビティ58が形成されている。
そして、シリンダブロック1の鋳造加工においては、上記形状のプリフォーム41とシリンダライナ3とが一体的に組み付けられた状態で金型5が型締めされ、下型54が形成しているキャビティ56からシリンダブロック1の構成材料であるアルミニウム合金の溶湯が所定圧力で注入される。
この溶湯は、下型54と側型53との間のキャビティ56を流れた後、プリフォーム41の小径部44の外周側を流れ、この小径部44と側型53との間のキャビティ58、小径部44とウォータジャケット成形部52bとの間のキャビティ57にそれぞれ充填されると共に、プリフォーム41の内部に含浸されていく。このため、このプリフォーム41とアルミニウム合金とによるMMC化がなされ、この部分がMMCスリーブ4として成形される。また、MMCスリーブ4とウォータジャケット成形部52bとの間に存在するアルミニウム合金がシリンダバレル21の一部を形成することになる(図6参照)。
また、溶湯中に含まれる気泡やアルミニウム合金の酸化物はプリフォーム41の外周面付近で捕捉(トラップ)され、プリフォーム41の内部にまで気泡やアルミニウム合金の酸化物が流入することが阻止される。これによりプリフォーム41の内部には、鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在することがなくなる。
更に、溶湯は、ウォータジャケット成形用金型52と側型53との間のキャビティ55に充填され、シリンダブロック1の外壁を成形する。
このようにして各キャビティ55,56,57,58にアルミニウム合金が充填されると共に、プリフォーム41がMMC化されてMMCスリーブ4が成形された状態で溶湯が冷却固化され、その後、型開きされてシリンダブロック1が得られることになる。
図6は、上記鋳造加工によって製造されたシリンダブロック1の気筒列に沿う方向から見た断面図である。この図6に示すように、シリンダバレル21の構成として、上端部分(デッキ面部分)にあっては、内周側のシリンダライナ3と外周側のMMCスリーブ4(上記大径部45がMMC化された部分)との2層構造で成っており、シリンダブロック1の構成材料であるアルミニウム合金単独の層(MMC化されていないアルミニウム合金の層)を含まない構成となっている。つまり、図1(参考例)のものと同様に、デッキ面部分にあってはシリンダボア11とウォータジャケット12との間に、シリンダライナ3及びMMCスリーブ4の2層構造のみが存在した構成となっている。
このため、本実施形態によっても、シリンダブロック1においてデッキ面1a及びその周辺部分に、空気の混入による鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在するといった状況は招かず、この部分での強度を十分に得ることができる。また、上記MMCスリーブ4はシリンダライナ3の外周囲の全体に亘って成形されているため、このMMCスリーブ4とシリンダライナ3との間の密着度がシリンダライナ3の軸心方向の全体で均一となって、この両者の密着度を長期間に亘って安定的に維持することも可能になっている。
(第実施形態)
次に、第実施形態について説明する。本実施形態も、プリフォーム41の形状が上記参考例及び第1実施形態のものと異なっている。その結果、MMCスリーブ4の形状も上記参考例及び第1実施形態のものと異なることになる。その他の構成及び鋳造加工の手法は上記参考例及び第1実施形態と同様である。従って、ここではプリフォーム41及びそれにより形成されるMMCスリーブ4の形状について主に説明する。
図7に示すように、本実施形態におけるプリフォーム41は、その上端部分(デッキ面部分)及び下端部分(クランクケース側の部分)の外径寸法とそれ以外の部分の外径寸法とが異なっている。
具体的には、プリフォーム41の上端部分の外径寸法及び下端部分の外径寸法は、上記参考例におけるプリフォーム41の外径寸法と同様に、ウォータジャケット成形用金型52のウォータジャケット成形部52bの内径寸法に略一致しており、大径部45A,45Bとして形成されている。
これに対し、プリフォーム41における上端部分及び下端部分を除いた中央部分の外径寸法は、上記上端部分及び下端部分の外径寸法よりも小径に形成され、この部分が小径部44として形成されている。つまり、図7に示すようにシリンダライナ3及びプリフォーム41が金型5内に配置された型締め状態では、プリフォーム41の小径部44とウォータジャケット成形用金型52のウォータジャケット成形部52bとの間に所定間隔のキャビティ57が形成されている。また、図中の領域B部分では、プリフォーム41の小径部44と側型53との間に所定間隔のキャビティ58が形成されている。
そして、シリンダブロック1の鋳造加工においては、上記形状のプリフォーム41とシリンダライナ3とが一体的に組み付けられた状態で金型5が型締めされ、上記キャビティ56からシリンダブロック1の構成材料であるアルミニウム合金の溶湯が所定圧力で注入される。
この溶湯は、上記キャビティ56を流れた後、プリフォーム41の下端部分(下側の大径部45B)において気泡やアルミニウム合金の酸化物が捕捉される。
このようにして気泡や酸化物が捕捉された溶湯は、小径部44の外周側を流れ、この小径部44と側型53との間のキャビティ58、小径部44とウォータジャケット成形部52bとの間のキャビティ57にそれぞれ充填されると共に、プリフォーム41の内部に含浸されていく。このため、このプリフォーム41とアルミニウム合金とによるMMC化がなされ、この部分がMMCスリーブ4として成形される。また、MMCスリーブ4とウォータジャケット成形部52bとの間に存在するアルミニウム合金がシリンダバレル21の一部を形成することになる(図8参照)。
上述した如く、溶湯中に含まれる気泡や酸化物はプリフォーム41の下側の大径部45Bで捕捉されているため、プリフォーム41の内部にまで気泡や酸化物が流入することが阻止される。これによりプリフォーム41の内部には、鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在することがなくなる。
更に、溶湯は、ウォータジャケット成形用金型52と側型53との間のキャビティ55に充填され、シリンダブロック1の外壁を成形する。
このようにして各キャビティ55,56,57,58にアルミニウム合金が充填されると共に、プリフォーム41がMMC化されてMMCスリーブ4が成形された状態で溶湯が冷却固化され、その後、型開きされてシリンダブロック1が得られることになる。また、プリフォーム41の下側の大径部45Bでの上記気泡及び酸化物の捕捉に伴い、上記キャビティ55,57,58に充填されるアルミニウム合金中にも鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥は存在していない。
図8は、上記鋳造加工によって製造されたシリンダブロック1の気筒列に沿う方向から見た断面図である。この図8に示すように、シリンダバレル21の構成として、上端部分(デッキ面部分)にあっては、内周側のシリンダライナ3と外周側のMMCスリーブ4(上記上側の大径部45AがMMC化された部分)との2層構造で成っており、シリンダブロック1の構成材料であるアルミニウム合金単独の層(MMC化されていないアルミニウム合金の層)を含まない構成となっている。つまり、上記参考例及び第1実施形態のものと同様に、デッキ面部分にあってはシリンダボア11とウォータジャケット12との間に、シリンダライナ3及びMMCスリーブ4の2層構造のみが存在した構成となっている。
このため、本実施形態によっても、シリンダブロック1においてデッキ面1a及びその周辺部分に、空気の混入による鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在するといった状況は招かず、この部分での強度を十分に得ることができる。
(第実施形態)
次に、第実施形態について説明する。本実施形態も、プリフォーム41の形状が上記参考例及び各実施形態のものと異なっている。その結果、MMCスリーブ4の形状も上記参考例及び各実施形態のものと異なることになる。その他の構成及び鋳造加工の手法は上記参考例及び各実施形態と同様である。従って、ここではプリフォーム41及びそれにより形成されるMMCスリーブ4の形状について主に説明する。
この図9に示すように、本実施形態におけるプリフォーム41は、その上端部分(デッキ面部分)及び軸心方向の中央部分の外径寸法とそれ以外の部分の外径寸法とが異なっている。
具体的には、プリフォーム41の上端部分(デッキ面部分)の外径寸法及び軸心方向の中央部分の外径寸法は、上記参考例におけるプリフォーム41の外径寸法と同様に、ウォータジャケット成形用金型52のウォータジャケット成形部52bの内径寸法に略一致しており、大径部45A,45Cとして形成されている。
これに対し、プリフォーム41における上端部分及び軸心方向の中央部分を除いた各部の外径寸法は、上記上端部分及び軸心方向の中央部分の外径寸法よりも小径に形成され、この部分が小径部44A,44Bとして形成されている。つまり、図9に示すようにシリンダライナ3及びプリフォーム41が金型5内に配置された型締め状態では、プリフォーム41の一方の小径部44Aとウォータジャケット成形用金型52のウォータジャケット成形部52bとの間に所定間隔のキャビティ57が形成されており、他方の小径部44Bと側型53との間に所定間隔のキャビティ58が形成されている。
そして、シリンダブロック1の鋳造加工においては、上記形状のプリフォーム41とシリンダライナ3とが一体的に組み付けられた状態で金型5が型締めされ、上記キャビティ56からシリンダブロック1の構成材料であるアルミニウム合金の溶湯が所定圧力で注入される。
この溶湯は、上記キャビティ56を流れた後、プリフォーム41の小径部44Bの外周側を流れ、この小径部44Bと側型53との間のキャビティ58に充填されると共に、ウォータジャケット成形用金型52と側型53との間のキャビティ55に充填され、シリンダブロック1の外壁を成形する。
また、溶湯は、プリフォーム41の大径部45Cにおいて気泡やアルミニウム合金の酸化物が捕捉され、この溶湯は、大径部45Cに含浸され且つこの大径部45Cを通過して小径部44Aの外周側を流れ、この小径部44Aとウォータジャケット成形部52bとの間のキャビティ57に充填される。更に、この溶湯は、プリフォーム41の内部に含浸されていく。このため、このプリフォーム41とアルミニウム合金とによるMMC化がなされ、この部分がMMCスリーブ4として成形される。また、MMCスリーブ4とウォータジャケット成形部52bとの間に存在するアルミニウム合金がシリンダバレル21の一部を形成することになる(図10参照)。
上述した如く、溶湯中に含まれる気泡や酸化物はプリフォーム41の大径部45Cで捕捉されているため、プリフォーム41の内部やキャビティ57に充填されるアルミニウム合金中には鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在することがなくなる。
このようにして各キャビティ55,56,57,58にアルミニウム合金が充填されると共に、プリフォーム41がMMC化されてMMCスリーブ4が成形された状態で溶湯が冷却固化され、その後、型開きされてシリンダブロック1が得られることになる。
図10は、上記鋳造加工によって製造されたシリンダブロック1の気筒列に沿う方向から見た断面図である。この図10に示すように、シリンダバレル21の構成として、上端部分(デッキ面部分)にあっては、内周側のシリンダライナ3と外周側のMMCスリーブ4(上記上側の大径部45AがMMC化された部分)との2層構造で成っており、シリンダブロック1の構成材料であるアルミニウム合金単独の層(MMC化されていないアルミニウム合金の層)を含まない構成となっている。つまり、上記参考例及び各実施形態のものと同様に、デッキ面部分にあってはシリンダボア11とウォータジャケット12との間に、シリンダライナ3及びMMCスリーブ4の2層構造のみが存在した構成となっている。
このため、本実施形態によっても、シリンダブロック1においてデッキ面1a及びその周辺部分に、空気の混入による鋳巣や酸化膜の混入による鋳造欠陥が存在するといった状況は招かず、この部分での強度を十分に得ることができる。
−その他の実施形態−
以上説明した各実施形態は、自動車用直列4気筒ディーゼルエンジンに使用されるサイアミーズ構造のシリンダブロック1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、その他の形式のディーゼルエンジンやガソリンエンジンにも適用可能である。また、サイアミーズ構造ではないシリンダブロックに対しても本発明は適用可能である。更に、自動車用に限らず、その他の用途に使用されるエンジンにも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(直列型やV型や水平対向型等の別)についても特に限定されるものではない。
参考例に係るシリンダブロックの平面図である。 図1におけるII−II線に沿った断面図である。 シリンダライナとプリフォームとを一体的に組み付ける工程を説明するための斜視図である。 シリンダライナ及びプリフォームが金型内に配置された状態を気筒列に沿う方向から見た断面図である。 実施形態における図4に相当する図である。 実施形態における図2に相当する図である。 実施形態における図4に相当する図である。 実施形態における図2に相当する図である。 実施形態における図4に相当する図である。 実施形態における図2に相当する図である。
符号の説明
1 シリンダブロック
1a デッキ面(頂面)
11 シリンダボア
12 ウォータジャケット
3 シリンダライナ
4 MMCスリーブ(金属基複合体)
41 プリフォーム(多孔質体)
43 外周面
44 小径部

Claims (2)

  1. シリンダボア内面を構成するシリンダライナを一体的に鋳込み且つオープンデッキタイプに構成されたシリンダブロックにおいて、
    筒形状に成形された多孔質体にシリンダブロック形成材料が含浸されて成る金属基複合体が、上記シリンダライナの外周囲の全体に亘って装着され、デッキ面部分にあっては、上記シリンダライナの内面がシリンダボアに臨み、金属基複合体の外面がウォータジャケットに臨み、且つシリンダライナの外面と金属基複合体の内面とが密着された構成となっている一方、上記多孔質体におけるデッキ面部分以外の領域には、このデッキ面部分の外径寸法よりも小径に形成された小径部が形成されており、この小径部の外周側にシリンダブロック形成材料が存在した構成となっていることを特徴とするシリンダブロック。
  2. シリンダボア内面を構成するシリンダライナを一体的に鋳込み且つオープンデッキタイプに構成されたシリンダブロックにおいて、
    上記シリンダライナの外周囲の全体に亘って筒形状の多孔質体を装着した状態で鋳造加工が行われることで、デッキ面部分にあっては、シリンダボアとウォータジャケットとの間に、シリンダライナ及び、上記多孔質体にシリンダブロック形成材料が含浸されて成る金属基複合体のみが存在した構成とされている一方、上記多孔質体におけるデッキ面部分以外の領域には、このデッキ面部分の外径寸法よりも小径に形成された小径部が形成されており、上記鋳造加工が行われることで、この小径部の外周側にシリンダブロック形成材料が存在した構成とされていることを特徴とするシリンダブロック。
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