JP2002349338A - 内燃機関用構成部材及びその鋳造方法とそれに用いられる鋳型 - Google Patents

内燃機関用構成部材及びその鋳造方法とそれに用いられる鋳型

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JP2002349338A
JP2002349338A JP2001154823A JP2001154823A JP2002349338A JP 2002349338 A JP2002349338 A JP 2002349338A JP 2001154823 A JP2001154823 A JP 2001154823A JP 2001154823 A JP2001154823 A JP 2001154823A JP 2002349338 A JP2002349338 A JP 2002349338A
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internal combustion
combustion engine
cylinder
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Tatsuro Shimakawa
達朗 島川
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Toyota Industries Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性が高く且つ精度の高いダイカスト法に
よって鋳造される内燃機関用構成部材と、その鋳造方法
およびそれに用いられる鋳型を提供するものであり、型
抜き性が良好で、内部残留応力を低減し、シリンダライ
ナとの界面における剥がれといった問題も生じにくい内
燃機関用構成部材と、その鋳造方法およびそれに用いら
れる鋳型を提供する。 【解決手段】 複数のシリンダボア3を有する内燃機関
用構成部材のダイカスト法による鋳造方法であって、内
燃機関用構成部材に設けられる冷却水スペースの少なく
とも一部が、中空インサート部材10を用いて形成さ
れ、前記シリンダボアの内周に設けられるシリンダライ
ナ8と中空インサート部材10との間に鋳造物が介在す
るように鋳造することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイカスト法によ
り鋳造される内燃機関用構成部材と、その鋳造方法およ
びそれに用いられる鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルミニウム合金等からなる内
燃機関用構成部材であるシリンダブロック等では、薄肉
の耐摩耗性材料からなるシリンダライナが組み込まれる
シリンダボアが形成されており、このシリンダボアにピ
ストンが嵌挿されている。この種のシリンダブロックに
は、シリンダ壁に冷却水を循環させるためにシリンダボ
アを取り囲むように形成されるウォータージャケット
や、互いに隣接するシリンダボア間に位置する共通シリ
ンダ壁に形成されるボア間冷却通路などの冷却水スペー
スが設けられる。
【0003】こういった冷却水スペースのような複雑な
形状の空隙をもったシリンダブロック等を、金型に注湯
して圧力を加えて鋳造するダイカスト法で一体に成形す
ることは困難であるため、崩壊性中子を用いた低圧鋳造
法等で作られる。しかし、低圧鋳造法では、鋳造サイク
ルタイムが長いため生産性が低く、また、穴形状等の鋳
抜きができず、更に、高圧ダイカスト法と比較して形状
精度も劣るため、後加工が多くなる。そして、崩壊性中
子は、形状によっては砂残りの可能性も生じ、形状精度
及び面粗さの点で劣る。そこで、冷却水スペースを形成
するために中空インサート部材を鋳包むように鋳造する
ことで、ダイカスト法によりシリンダブロックを鋳造す
るものが、特開2000−230455号公報などに開
示されている。この例として、図7に示すようなものが
挙げられる。これは、シリンダブロック101のシリン
ダボア104を含む断面を示したものであるが、シリン
ダライナ102が、冷却水スペースであるウォータージ
ャケット105を形成する中空インサート部材103と
圧接した状態で金型内に組み込まれ、ダイカスト法によ
りシリンダブロック101を鋳造して得るものである。
かかるダイカスト法による内燃機関用構成部材の鋳造に
おいては、中空インサート部材を鋳型に保持する構造が
必要であり、上述のようにシリンダライナを保持部とし
て利用して鋳造が行われることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、冷却水
スペースを形成する中空インサート部材がシリンダライ
ナによって保持されることで、シリンダブロックの鋳造
が行われると、中空インサート部材は、シリンダライナ
に圧接されたままの状態となる。そのため、型抜き性が
悪化するおそれが生じ、また、シリンダライナの圧接に
よる内部残留応力が増加し、シリンダブロックの強度的
に好ましくないという問題がある。また、中空インサー
ト部材は、シリンダライナに押し付けられているだけの
状態であるため、その界面における熱伝達率の変化によ
って、シリンダブロックの熱収縮時に界面での剥がれが
発生するおそれもある。
【0005】本発明は、上記実情に鑑みることにより、
生産性が高く且つ精度の高いダイカスト法によって鋳造
される内燃機関用構成部材と、その鋳造方法およびそれ
に用いられる鋳型を提供するものであり、型抜き性が良
好で、内部残留応力を低減し、シリンダライナとの界面
における剥がれといった問題も生じにくい内燃機関用構
成部材と、その鋳造方法およびそれに用いられる鋳型を
提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する請求
項1に記載の内燃機関用構成部材の鋳造方法は、複数の
シリンダボアを有する内燃機関用構成部材のダイカスト
法による鋳造方法であって、前記内燃機関用構成部材に
設けられる冷却水スペースの少なくとも一部が、中空イ
ンサート部材を用いて形成され、前記シリンダボアの内
周に設けられるシリンダライナと前記中空インサート部
材との間に鋳造物が介在するように鋳造することを特徴
とする。ここで、「内燃機関用構成部材」とは、内燃機
関のシリンダブロック、またはシリンダヘッドと一体化
したモノブロックなどを指すものである。また、この内
燃機関用構成部材が、冷却水スペースとしてシリンダボ
アを取り囲むウォータージャケットを有しているもので
あれば、このウォータージャケットがシリンダブロック
の上部に開口された構造のオープンデッキ形のものや、
シリンダブロックの上部に対してウォータージャケット
が閉じるような構造のクローズドデッキ形のものなど、
どちらの構造を有するものであってもよい。そして、
「中空インサート部材」は、内部が空洞部を有し、前記
内燃機関用構成部材に鋳包まれるものであって、前記空
洞部が、冷却水スペースを構成するものである。
【0007】この構成によると、中空インサート部材で
冷却水スペースが形成されるように鋳包まれているた
め、複雑な中空構造を有する内燃機関用構成部材を生産
性が高く且つ精度の高いダイカスト法によって鋳造する
ことが可能になる内燃機関用構成部材の鋳造方法を提供
することができる。また、シリンダライナと中空インサ
ート部材との間に鋳造物が介在するように鋳造するた
め、シリンダライナと中空インサート部材との圧接は発
生しない。そのため、型抜き性が良好で、内部残留応力
を低減し、シリンダライナとの界面における剥がれとい
った問題も生じにくい内燃機関用構成部材の鋳造方法を
提供することができる。
【0008】請求項2に記載の内燃機関用構成部材の鋳
造方法は、請求項1において、前記冷却水スペースは、
前記複数のシリンダボアを取り囲むウォータージャケッ
トと、互いに隣接する前記シリンダボア間に位置する共
通シリンダ壁内に形成されるボア間冷却通路とを備える
ものであり、前記ボア間冷却通路が、前記中空インサー
ト部材によって形成されていることを特徴とする。
【0009】この構成によると、内燃機関用構成部材の
中でも、とくに複雑な中空構造を有するボア間冷却通路
が、中空インサート部材で形成され、更に、シリンダラ
イナとの間に鋳造物が介在するように鋳包まれるため
に、生産性が高く高精度のダイカスト法によって鋳造す
ることが可能になり、型抜き性が良好で、内部残留応力
を低減し、シリンダライナとの界面における剥がれとい
った問題も生じにくい内燃機関用構成部材の鋳造方法を
提供することができる。
【0010】請求項3に記載の内燃機関用構成部材の鋳
造方法は、請求項2において用いられる鋳型の、前記ウ
ォータージャケットを形成する凸部によって、前記中空
インサート部材の少なくとも一端が保持されることを特
徴とする。ここで、冷却水スペースのうち、ウォーター
ジャケットの中空構造については、鋳型の一部によって
形成されるものであり、この鋳型のウォータージャケッ
トを形成する部分は、ウォータージャケットの形状と同
様の外形を有するよう突出して形成された凸部からなる
ものである。そして、この凸部で中空インサートの少な
くとも一端が保持されるものである。
【0011】この構成によると、とくに複雑な中空構造
を有するボア間冷却通路について、シリンダライナとの
間に鋳造物が介在するように鋳包まれる中空インサート
部材の構造を簡易で、確実に実現することができる。
【0012】請求項4に記載の内燃機関用構成部材の鋳
造方法は、請求項2または3において用いられる鋳型
の、前記ボア間冷却通路から前記内燃機関用構成部材の
外部に通じる連通孔を形成する突出部によって、前記イ
ンサート部材の一端が保持されることを特徴とする。
【0013】この構成によると、とくに複雑な中空構造
を有するボア間冷却通路について、前記連通路を形成す
るための鋳型構造を有効的に利用することで、シリンダ
ライナとの間に鋳造物が介在するように鋳包まれる中空
インサート部材の構造を簡易で効率よく、確実に実現す
ることができる。
【0014】請求項5に記載の内燃機関用構成部材の鋳
造に用いられる鋳型は、複数のシリンダボアと、前記複
数のシリンダボアを取り囲むウォータージャケットと、
互いに隣接する前記シリンダボア間に位置する共通シリ
ンダ壁内に形成されるボア間冷却通路とを備える内燃機
関用構成部材のダイカスト法による鋳造に用いられる鋳
型であって、前記ボア間冷却通路を形成する部分には、
中空インサート部材が用いられ、前記ウォータージャケ
ットを形成する凸部によって、前記中空インサート部材
の少なくとも一端を保持し、前記シリンダボアの内周に
設けられるシリンダライナと前記中空インサート部材と
の間に鋳造物が介在するように鋳造することを特徴とす
る。
【0015】この構成によると、内燃機関用構成部材の
中でも、とくに複雑な中空構造を有するボア間冷却通路
が、中空インサート部材で形成され、更に、シリンダラ
イナとの間に鋳造物が介在するように鋳包まれるため
に、生産性が高く高精度のダイカスト法によって内燃機
関用構成部材を鋳造することが可能な鋳型を提供するこ
とができ、さらに、型抜き性が良好で、内部残留応力を
低減し、シリンダライナとの界面における剥がれといっ
た問題も生じにくい内燃機関用構成部材を鋳造すること
が可能な鋳型を提供することができる。
【0016】請求項6に記載の内燃機関用構成部材は、
複数のシリンダボアと、前記複数のシリンダボアを取り
囲むウォータージャケットと、互いに隣接する前記シリ
ンダボア間に位置する共通シリンダ壁内に形成されるボ
ア間冷却通路とを備え、ダイカスト法により鋳造される
内燃機関用構成部材であって、前記ボア間冷却通路は、
中空インサート部材が鋳包まれて形成され、前記中空イ
ンサート部材の少なくとも一端が、前記ウォータージャ
ケットに開口となって面するように接続し、前記シリン
ダボアの内周に設けられるシリンダライナと前記中空イ
ンサート部材との間に鋳造物が介在するように鋳造され
ていることを特徴とする。
【0017】この構成によると、内燃機関用構成部材の
中でも、とくに複雑な中空構造を有するボア間冷却通路
が、中空インサート部材で形成され、更に、シリンダラ
イナとの間に鋳造物が介在するように鋳包まれているた
めに、生産性が高く高精度のダイカスト法によって鋳造
される内燃機関用構成部材を得ることができ、さらに、
型抜き性が良好で、内部残留応力を低減し、シリンダラ
イナとの界面における剥がれといった問題も生じにくい
内燃機関用構成部材を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。なお、本発明は、内燃機関用構
成部材とその鋳造方法及びそれに用いられる鋳型を含む
ものであり、本説明においては、それらを包括的に記載
する。
【0019】図1は、本実施形態例に係る内燃機関用構
成部材であるシリンダブロック1の一部断面を含む斜視
図である。シリンダブロック1は、例えばアルミニウム
合金製の鋳造品であり、ダイカスト法によって鋳造され
る。このシリンダブロック1は、複数のシリンダボア3
と、複数のシリンダボア3を一連で取り囲むウォーター
ジャケット4と、互いに隣接するシリンダボア3間に位
置する共通シリンダ壁5内に形成されるボア間冷却通路
6とを備えるものである。このウォータージャケット4
とボア間冷却通路6とが、シリンダブロック1を冷却す
るための冷却水が循環する冷却水スペースを構成してい
る。そして、このシリンダブロック1の上部には、図示
しないシリンダヘッドが取り付けられるための取り付け
面7を有しており、この取り付け面7にウォータージャ
ケット4が開口するオープンデッキ形に形成されてい
る。また、シリンダブロック1の下方は、略半円状断面
をもつ外形を有し、図示しないクランクシャフトが回転
するクランク室の上半分を構成するものである。かかる
シリンダブロック1の内周となるシリンダボア3には、
図示しないピストンが摺動する円筒状のライナ面を形成
するシリンダライナ8が設けられている。
【0020】このシリンダブロック1を取り付け面7か
らみたのが図2である。図2においては、複数のシリン
ダボア3のうち一部のみが表されるように図示されてい
る。図2にて、シリンダライナ8は、内周部がシリンダ
ボア3を形成するように設けられており、シリンダ壁9
によって外周部を覆われるように鋳包まれている。
【0021】ここで、共通シリンダ壁5内に形成される
ボア間冷却通路6について詳しく説明する。図1及び図
2において、ボア間冷却通路6は、ウォータージャケッ
ト4に面する開口部6aと、共通シリンダ壁5の上部の
取り付け面7に開口する連通孔6bとを有し、共通シリ
ンダ壁5を冷却する冷却水を循環可能にするものであ
る。
【0022】ボア間冷却通路6は、図3に示す中空イン
サート部材10が鋳包まれることで形成されている。こ
の中空インサート部材10は、四角筒状に形成されて冷
却通路6を構成するものであり、一端には、先述の開口
部6aが、他端には、先述の連通孔6bを形成する中空
円筒部10aが設けられている。
【0023】この中空インサート部材10が鋳包まれて
いる様子を示したのが、図4及び図5である。図4は、
図2におけるA−A線矢視断面を、図5は、B−B線矢
視断面を示したものであり、それぞれ共通シリンダ壁5
の一部断面を示すものである。
【0024】図4において、ボア間冷却通路6を構成す
る中空インサート部材10は、隣接するシリンダボア3
間の共通シリンダ壁5内に位置し、二つのシリンダライ
ナ8の間に配置されるように鋳包まれている。そして、
両側に位置するシリンダライナ8と、中空インサート部
材10との間に鋳造物が介在するように鋳造されてい
る。
【0025】図5において、中空インサート部材10の
一端は、ウォータージャケット4に開口部6aが面する
ように接続しており、連通孔6bは取り付け面7に面し
て開口している。なお、ウォータージャケット4から取
り付け面7側へと至る冷却水の循環経路を図中に矢印
(a)で示している。
【0026】以上説明したように、本実施形態例に係る
内燃機関用構成部材であるシリンダブロック1が構成さ
れる。かかる構成によると、内燃機関用構成部材の中で
も、とくに複雑な中空構造を有するボア間冷却通路が、
中空インサート部材で形成され、更に、シリンダライナ
との間に鋳造物が介在するように鋳包まれているため
に、生産性が高く高精度のダイカスト法によって鋳造さ
れる内燃機関用構成部材を得ることができ、さらに、型
抜き性が良好で、内部残留応力を低減し、シリンダライ
ナとの界面における剥がれといった問題も生じにくい内
燃機関用構成部材を得ることができる。
【0027】次に、本実施形態例に係る内燃機関用構成
部材の鋳造方法に用いられる鋳型20について説明す
る。図6に、鋳型20の断面図を示す。本発明において
は、鋳型20を用いてダイカスト法による鋳造を行うこ
とで、上述したシリンダブロック1を得ることができる
ものである。図6に示す断面は、シリンダブロック1に
おいてシリンダボア3と平行でボア間冷却通路6を含む
断面に対応する部分を示すものである。なお、鋳型20
の説明においては、上述したシリンダブロック1の説明
と重複する部分については、適宜割愛しながら説明する
ものとし、また、本実施形態例に係る内燃機関用構成部
材の鋳造方法の説明も兼ねるものである。
【0028】鋳型20は、固定型21、上方可動型2
2、下方可動型23、側部可動型24とを備えている。
固定型21は、シリンダブロック1におけるウォーター
ジャケット4を形成するため、ウォータージャケット4
の形状と同様の外形を有するよう突出して形成された凸
部21a、21bと、ボア間冷却通路6からシリンダブ
ロック1の外部に通じる連通孔6bを形成する突出部2
1cと、を備えている。そして、上方可動型22は凸部
21aの上方に、下方可動型23は凸部21bの下方に
配置され、それぞれ、固定型21の側面21d上を摺動
しながら垂直方向へ往復動し、凸部21a及び21bに
対してそれぞれ接近及び離間する。側部可動型14は、
水平方向に往復動可能に配置されており、その往復動に
より固定型21に接近及び離間する。上下可動型22、
23および側部可動型24は、シリンダブロック1にそ
れぞれ対応する外形を有しており、これらの鋳型要素2
1、22、23、24で形成される空間25にアルミニ
ウム合金等の溶湯が注湯されて圧力が加えられるダイカ
スト法により、鋳造品であるシリンダブロック1が得ら
れる。
【0029】ここで、ボア間冷却通路6を成形する鋳型
の構成について、詳しく説明する。ボア間冷却通路6
は、前述したように、中空インサート部材10によって
形成される。この中空インサート部材10は、空間25
内に配置されるように保持される。図6にて、中空イン
サート部材10は、連通孔6bを形成する中空円筒部1
0aにおいて、突出部21cと嵌合されている。そし
て、開口部6aを有する一端において、凸部21aの側
面に押し付けられるように圧接されている。すなわち、
中空インサート部材10は、突出部21cに中空円筒部
10aを嵌め込みながら、開口部6aを凸部21aに押
し付けるようにして、固定型21に取り付けることで、
空間25内に保持されるものである。このように中空イ
ンサート部材10が空間25内に保持された状態で、ア
ルミニウム合金等の溶湯が注湯されて鋳造が行われる。
【0030】以上説明したように中空インサート部材1
0を保持するために、シリンダライナ8を用いる必要が
なく、シリンダライナ8と中空インサート部材10との
間に鋳造物が介在するように鋳造することを容易に行う
ことができる。したがって、シリンダライナ8と中空イ
ンサート部材10とが、そもそも圧接状態となることは
ない。そのため、型抜き性が良好で、余分な内部残留応
力が発生することを防止することができ、シリンダライ
ナとの界面を確実に結合するため、界面での剥がれとい
った問題も生じにくい内燃機関用構成部材を鋳造するこ
とが可能な鋳造方法及びその鋳型を提供することができ
る。また、中空インサート部材10の開口部6aは、凸
部21aによって完全に蓋をされている状態に保たれる
ため、鋳造時にアルミニウム合金等が中空インサート部
材10の内部に侵入してしまうことを確実に防止でき
る。さらに、中空インサート部材10を直接固定型にセ
ットすることができるため、中空インサート部材10の
位置精度が向上するという効果も得られる。なお、図示
しないが、シリンダライナ8については、固定型21等
によって保持された状態で鋳造される。
【0031】以上本実施形態例の効果を効果を総括する
と、生産性が高く且つ精度の高いダイカスト法によって
鋳造される内燃機関用構成部材と、その鋳造方法および
それに用いられる鋳型を提供することができ、型抜き性
が良好で、内部残留応力を低減し、シリンダライナとの
界面における剥がれといった問題も生じにくい内燃機関
用構成部材と、その鋳造方法およびそれに用いられる鋳
型を提供することができる。
【0032】以上が、本実施形態例についての説明であ
るが、実施の形態は上記に限定されるものではなく、例
えば、次のように変更してもよい。 (1)本実施形態例においては、シリンダライナ8は、
シリンダブロック1を鋳造成形する際に、同時に鋳包ま
れるように成形されているが、必ずしもこのとおりでな
くてもよく、例えば、鋳造後のシリンダブロック1に対
して、圧入するように嵌挿して設けられるものであって
もよい。
【0033】(2)本実施形態例においては、ボア間冷
却通路は、中空インサートの一端のみがウォータージャ
ケットに開口するように面するように接続するものであ
るが、必ずしもこのとおりでなくてもよく、両端ともウ
ォータージャケットに開口して面するものであってもよ
い。
【0034】(3)本実施形態例においては、中空イン
サート部材は、ボア間冷却通路の形成にのみ用いている
が、必ずしもこのとおりでなくてもよく、ウォータージ
ャケットについても適用するものであってもよい。
【0035】(4)本実施形態例においては、オープン
デッキ形のシリンダブロックについて説明しているが、
クローズドデッキ形に対してであっても、同様に本発明
を適用し得るものである。
【0036】
【発明の効果】請求項1の発明によると、中空インサー
ト部材で冷却水スペースが形成されるように鋳包まれて
いるため、複雑な中空構造を有する内燃機関用構成部材
を生産性が高く且つ精度の高いダイカスト法によって鋳
造することが可能になる内燃機関用構成部材の鋳造方法
を提供することができる。また、シリンダライナと中空
インサート部材との間に鋳造物が介在するように鋳造す
るため、シリンダライナと中空インサート部材との圧接
は発生しない。そのため、型抜き性が良好で、内部残留
応力を低減し、シリンダライナとの界面における剥がれ
といった問題も生じにくい内燃機関用構成部材の鋳造方
法を提供することができる。
【0037】請求項2の発明によると、内燃機関用構成
部材の中でも、とくに複雑な中空構造を有するボア間冷
却通路が、中空インサート部材で形成され、更に、シリ
ンダライナとの間に鋳造物が介在するように鋳包まれる
ために、生産性が高く高精度のダイカスト法によって鋳
造することが可能になり、型抜き性が良好で、内部残留
応力を低減し、シリンダライナとの界面における剥がれ
といった問題も生じにくい内燃機関用構成部材の鋳造方
法を提供することができる。
【0038】請求項3の発明によると、とくに複雑な中
空構造を有するボア間冷却通路について、シリンダライ
ナとの間に鋳造物が介在するように鋳包まれる中空イン
サート部材の構造を簡易で、確実に実現することができ
る。
【0039】請求項4の発明によると、とくに複雑な中
空構造を有するボア間冷却通路について、前記連通路を
形成するための鋳型構造を有効的に利用することで、シ
リンダライナとの間に鋳造物が介在するように鋳包まれ
る中空インサート部材の構造を簡易で効率よく、確実に
実現することができる。
【0040】請求項5の発明によると、内燃機関用構成
部材の中でも、とくに複雑な中空構造を有するボア間冷
却通路が、中空インサート部材で形成され、更に、シリ
ンダライナとの間に鋳造物が介在するように鋳包まれる
ために、生産性が高く高精度のダイカスト法によって内
燃機関用構成部材を鋳造することが可能な鋳型を提供す
ることができ、さらに、型抜き性が良好で、内部残留応
力を低減し、シリンダライナとの界面における剥がれと
いった問題も生じにくい内燃機関用構成部材を鋳造する
ことが可能な鋳型を提供することができる。
【0041】請求項6の発明によると、内燃機関用構成
部材の中でも、とくに複雑な中空構造を有するボア間冷
却通路が、中空インサート部材で形成され、更に、シリ
ンダライナとの間に鋳造物が介在するように鋳包まれて
いるために、生産性が高く高精度のダイカスト法によっ
て鋳造される内燃機関用構成部材を得ることができ、さ
らに、型抜き性が良好で、内部残留応力を低減し、シリ
ンダライナとの界面における剥がれといった問題も生じ
にくい内燃機関用構成部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態例に係る内燃機関用構成部材である
シリンダブロックの一部断面を含む斜視図である。
【図2】本実施形態例に係る内燃機関用構成部材である
シリンダブロックを上からみた図である。
【図3】本実施形態例において用いられる中空インサー
ト部材の斜視図である。
【図4】本実施形態例におけるボア間冷却通路の構造を
説明する図である。
【図5】本実施形態例におけるボア間冷却通路の構造を
説明する図である。
【図6】本実施形態例に係る内燃機関用構成部材の鋳造
方法に用いられる鋳型を示す断面図である。
【図7】従来の技術におけるシリンダブロックの断面図
である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック 3 シリンダボア 4 ウォータージャケット 5 共通シリンダ壁 6 ボア間冷却通路 8 シリンダライナ 10 中空インサート部材 20 鋳型
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 17/22 B22D 17/22 H 17/24 17/24 Z 19/08 19/08 E

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のシリンダボアを有する内燃機関用
    構成部材のダイカスト法による鋳造方法であって、 前記内燃機関用構成部材に設けられる冷却水スペースの
    少なくとも一部が、中空インサート部材を用いて形成さ
    れ、前記シリンダボアの内周に設けられるシリンダライ
    ナと前記中空インサート部材との間に鋳造物が介在する
    ように鋳造することを特徴とする内燃機関用構成部材の
    鋳造方法。
  2. 【請求項2】 前記冷却水スペースは、前記複数のシリ
    ンダボアを取り囲むウォータージャケットと、互いに隣
    接する前記シリンダボア間に位置する共通シリンダ壁内
    に形成されるボア間冷却通路とを備えるものであり、前
    記ボア間冷却通路が、前記中空インサート部材によって
    形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃
    機関用構成部材の鋳造方法。
  3. 【請求項3】 前記内燃機関用構成部材の鋳造方法にお
    いて用いられる鋳型の、前記ウォータージャケットを形
    成する凸部によって、前記中空インサート部材の少なく
    とも一端が保持されることを特徴とする請求項2に記載
    の内燃機関用構成部材の鋳造方法。
  4. 【請求項4】 前記内燃機関用構成部材の鋳造方法にお
    いて用いられる鋳型の、前記ボア間冷却通路から前記内
    燃機関用構成部材の外部に通じる連通孔を形成する突出
    部によって、前記インサート部材の一端が保持されるこ
    とを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関用構
    成部材の鋳造方法。
  5. 【請求項5】 複数のシリンダボアと、前記複数のシリ
    ンダボアを取り囲むウォータージャケットと、互いに隣
    接する前記シリンダボア間に位置する共通シリンダ壁内
    に形成されるボア間冷却通路とを備える内燃機関用構成
    部材のダイカスト法による鋳造に用いられる鋳型であっ
    て、 前記ボア間冷却通路を形成する部分には、中空インサー
    ト部材が用いられ、前記ウォータージャケットを形成す
    る凸部によって、前記中空インサート部材の少なくとも
    一端を保持し、前記シリンダボアの内周に設けられるシ
    リンダライナと前記中空インサート部材との間に鋳造物
    が介在するように鋳造することを特徴とする内燃機関用
    構成部材の鋳造に用いられる鋳型。
  6. 【請求項6】 複数のシリンダボアと、前記複数のシリ
    ンダボアを取り囲むウォータージャケットと、互いに隣
    接する前記シリンダボア間に位置する共通シリンダ壁内
    に形成されるボア間冷却通路とを備え、ダイカスト法に
    より鋳造される内燃機関用構成部材であって、 前記ボア間冷却通路は、中空インサート部材が鋳包まれ
    て形成され、前記中空インサート部材の少なくとも一端
    が、前記ウォータージャケットに開口となって面するよ
    うに接続し、前記シリンダボアの内周に設けられるシリ
    ンダライナと前記中空インサート部材との間に鋳造物が
    介在するように鋳造されていることを特徴とする内燃機
    関用構成部材。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009052535A (ja) * 2007-08-01 2009-03-12 Toyota Motor Corp クローズドデッキタイプのシリンダブロック構造、又はクローズドデッキタイプのシリンダブロック
JP2010024916A (ja) * 2008-07-17 2010-02-04 Toyota Motor Corp クローズドデッキタイプのシリンダブロック及びその製造方法
CN103008561A (zh) * 2012-11-27 2013-04-03 天长缸盖有限公司 一种柴油机气缸盖整体水道模具
CN105364046A (zh) * 2014-08-11 2016-03-02 福特全球技术公司 孔桥冷却通道
CN112872316A (zh) * 2020-12-29 2021-06-01 宁波斯贝科技缸套有限公司 一种缸套生产的模芯结构

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