JP2020037117A - エンジンブロックの鋳造方法 - Google Patents

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元一 阿部
Genichi Abe
元一 阿部
雅夫 中山
Masao Nakayama
雅夫 中山
武久 藤田
Takehisa Fujita
武久 藤田
小林 真一
Shinichi Kobayashi
真一 小林
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Abstract

【課題】エンジンブロックを鋳造するにあたって、シリンダライナがボアピンに対して位置ずれすることがある。【解決手段】下金型30を鉛直方向下側に配置し、その上に、一対の側金型40を配置する。さらに、その上に上金型45を配置する。下金型30のキャビティChd内に、吸気ポート中子51及び排気ポート中子52を配置する。これら吸気ポート中子51及び排気ポート中子52の上に支持中子53を配置する。円筒状のシリンダライナ20の内部に、上金型45から突出するボアピン48を挿通する。そして、シリンダライナ20の下端が支持中子53の上面に当接してシリンダライナ20が支持中子53に支持されるように、下金型30に対して上金型45を型締めする。その後、下金型30、一対の側金型40、及び上金型45を型締めした状態で、キャビティChd及びキャビティCbk内に溶湯を注入する。【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンブロックの鋳造方法に関する。
特許文献1には、エンジンブロックを鋳造で製造する方法が開示されている。特許文献1の方法では、一対の金型が型締めされることで、エンジンブロックの外形状に対応するキャビティが区画される。一方の金型からは、他方の金型側に向かってボアピンが突出している。ボアピンの形状は、エンジンブロックにおけるシリンダボア(気筒)の形状に対応している。また、ボアピンには、当該ボアピンの外周面を取り囲むように、円筒形状のシリンダライナが取り付けられている。一対の金型が型締めされた状態では、ボアピンの突出先端及びシリンダライナの端部は、他方の金型に当接している。
上記のような状態で、一対の金型のキャビティ内に溶湯(溶融した金属)が注入される。そして、溶湯が硬化した後で、一対の金型を離型させることでエンジンブロックが成形される。このとき、シリンダライナは、ボアピンから外れてエンジンブロック側に残る。その結果、シリンダライナは、ピストンに対する摺動面を構成する。
特開2002−336955号公報
エンジンブロックを鋳造するにあたって、シリンダボアが区画されているシリンダブロック部分と、吸気ポートや排気ポート等が区画されているシリンダヘッド部分とを、一体的に鋳造することが考えられる。この場合、各金型の構成によっては、金型から突出するボアピンの先端が、他の金型に当接するとは限らない。仮に、ボアピンの先端が他の金型に当接していないと、ボアピンに取り付けられているシリンダライナを金型によって位置決めすることができず、シリンダライナがボアピンに対して位置ずれすることがある。
上記課題を解決するため、本発明は、シリンダボアが区画されているシリンダブロックと、前記シリンダボアに吸気を供給するための吸気ポート及び前記シリンダボアから排気を排出するための排気ポートが区画されているシリンダヘッドとを、金型を用いて一体的に鋳造で成形するエンジンブロックの鋳造方法であって、前記金型は、前記エンジンブロックのうちの前記シリンダブロック側の外形状に応じた第1キャビティを有する第1金型と、前記エンジンブロックのうちの前記シリンダヘッド側の外形状に応じた第2キャビティを有しているとともに前記第1金型に対して対向配置される第2金型とで構成され、前記第1金型には、前記第2金型側に向かって突出するボアピンが固定されており、前記第2金型を鉛直方向下側に、前記第1金型を鉛直方向上側に配置し、前記第2キャビティ内に、前記吸気ポートの形状に応じた吸気ポート中子及び前記排気ポートの形状に応じた排気ポート中子を配置し、前記吸気ポート中子及び排気ポート中子の上に支持中子を配置し、円筒状のシリンダライナの内部に前記ボアピンを挿通し、前記シリンダライナの下端が前記支持中子の上面に当接して前記シリンダライナが前記支持中子に支持されるように、前記第1金型及び前記第2金型を型締めし、前記第1金型及び前記第2金型を型締めした状態で、前記第1キャビティ及び第2キャビティ内に溶湯を注入する。
上記構成によれば、第1金型及び第2金型を型締めした状態では、シリンダライナが支持中子によって下側から支持される。したがって、シリンダライナが自重によって下側に位置ずれしたり、ボアピンから脱落したりすることを防げる。
内燃機関の概略構成図。 型締めした状態の金型及び中子の配置を示す断面図。 図2における3−3線断面図。
以下、本発明の実施形態を説明する。先ず、内燃機関Eの概略構成について説明する。
図1に示すように、内燃機関Eは、当該内燃機関Eの本体部分を構成するエンジンブロック10を備えている。エンジンブロック10は、下側のシリンダブロック11と、上側のシリンダヘッド14とに大別できる。
シリンダブロック11の内部には、円柱状のシリンダボア12が区画されている。シリンダボア12は、複数(例えば4つ)並設されている。なお、図1では、シリンダボア12を1つのみ図示している。シリンダボア12の下側には、クランク室13が区画されている。クランク室13は、シリンダブロック11の下端側に向かうほど幅が広くなっている。また、クランク室13は、シリンダブロック11の下端面にまで至っている。すなわち、シリンダボア12は、クランク室13を介してシリンダブロック11よりも下側の空間に連通している。
シリンダボア12の内周面には、円筒状のシリンダライナ20が固定されている。シリンダライナ20の軸線方向の寸法は、シリンダボア12の軸線方向の寸法と略同じになっている。すなわち、シリンダライナ20は、シリンダボア12の内周面の略全域を覆っている。シリンダライナ20の内径は、当該シリンダライナ20の軸線方向の全体に亘って同一になっている。
シリンダボア12の内部(シリンダライナ20の内部)には、シリンダボア12の軸線方向に往復動可能に、ピストン25が配置されている。ピストン25は、シリンダライナ20の内周面と摺動しつつ往復移動する。ピストン25は、コネクティングロッド26を介して、図示しないクランクシャフトに連結されている。
シリンダヘッド14には、シリンダボア12と連通する燃焼室15が区画されている。燃焼室15は、上側ほど径が小さくなる略円錐台状になっている。燃焼室15における下端の径は、シリンダボア12の径と同一になっている。
燃焼室15からは、当該燃焼室15に吸気を供給するための吸気ポート16が延びている。吸気ポート16は、シリンダヘッド14の側面において開口している。また、燃焼室15からは、当該燃焼室15に排気を供給するための排気ポート17が延びている。排気ポート17は、シリンダヘッド14の側面のうち吸気ポート16が開口しているのとは反対側の側面において開口している。
シリンダヘッド14には、吸気ポート16における燃焼室15側の開口を開閉する吸気バルブ18が取り付けられている。また、シリンダヘッド14には、排気ポート17における燃焼室15側の開口を開閉する排気バルブ19が取り付けられている。これら吸気バルブ18及び排気バルブ19は、シリンダヘッド14内に搭載されている図示しない動弁機構によってクランクシャフトの回転に連動して開閉する。
なお、図示は省略するが、エンジンブロック10(シリンダブロック11)の下端には、当該内燃機関Eの各所を潤滑するためのオイルを貯留するオイルパンが固定されている。また、エンジンブロック10(シリンダヘッド14)の上端には、当該エンジンブロック10の上端を上側から覆うヘッドカバーが取り付けられている。
次に、上記のように構成されたエンジンブロック10の鋳造方法を説明する。先ず、この鋳造方法に使用される金型等の構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態においては、金型として、下金型30、一対の側金型40、及び上金型45が用いられる。下金型30には、シリンダヘッド14の外形状に応じたキャビティChdが区画されている。この実施形態では、下金型30のキャビティChdは、シリンダヘッド14のうちの吸気ポート16及び排気ポート17よりも上側の部分に対応している。すなわち、本実施形態では、下金型30が、シリンダヘッド14側の外形状に応じたキャビティを有する第2金型に相当する。
下金型30の上面においては、複数の吸気側凹部31が窪んでいる。吸気側凹部31は、略直方体形状になっている。また、吸気側凹部31は、キャビティChd側に開放されている。吸気側凹部31の位置は、シリンダヘッド14の側面のうちの吸気ポート16が開口している箇所に対応している。吸気側凹部31は、吸気ポート16の数と同数設けられている。下金型30の上面においては、複数の排気側凹部32が窪んでいる。排気側凹部32は、略直方体形状になっている。また、排気側凹部32は、キャビティChd側に開放されている。排気側凹部32は、吸気側凹部31に対向する箇所に位置している。すなわち、排気側凹部32の位置は、シリンダヘッド14の側面のうちの排気ポート17が開口している箇所に対応している。排気側凹部32は、排気ポート17の数と同数設けられている。下金型30においては、当該下金型30の底面から下金型30の外部にまで湯口33が貫通している。湯口33は、複数(図1においては2つのみ図示。)設けられている。
一対の側金型40の内面は、シリンダブロック11の側面に対応した形状になっている。具体的には、一対の側金型40のうちの一方の内面は、シリンダブロック11の側面のうち、吸気ポート16が開口している側の側面の形状に対応している。また、一対の側金型40のうちの他方の内面は、シリンダブロック11の側面のうち、排気ポート17が開口している側の側面の形状に対応している。
上金型45は、略板状の天板部46を備えている。天板部46の厚み方向一方の面(図2において下面)からは、突出部47が突出している。突出部47の形状は、シリンダブロック11に区画されるクランク室13の形状に対応している。突出部47の突出先端面には、ボアピン48が固定されている。
ボアピン48におけるピン本体48Aは、全体として円柱形状になっている。ピン本体48Aの軸線方向の寸法は、シリンダライナ20の軸線方向の寸法と同一になっている。ピン本体48Aの外径は、基端側(突出部47側)においてはシリンダライナ20の内径と略同一になっている。そして、ピン本体48Aの外径は、先端側(突出部47側とは反対側)においては、先端側に向かうほど徐々に小さくなっている。すなわち、ピン本体48Aの先端側の一部は、先細りのテーパー状になっている。
ピン本体48Aの先端面からは、先端部48Bが突出している。先端部48Bの突出長は、シリンダヘッド14における燃焼室15の上下方向の寸法と同一になっている。図3に示すように、先端部48Bは、ボアピン48の軸線方向からの平面視で、中央がくびれた形状になっている。
図2に示すように、上述した一対の側金型40及び上金型45が互いに型締めされることで、シリンダヘッド14におけるシリンダブロック11側の一部、及びシリンダブロック11の外形状に応じたキャビティCbkが区画される。具体的には、一対の側金型40を互いに対向配置するとともに、これら一対の側金型40の間にボアピン48が位置するように上金型45を配置する。また、このとき、上金型45の天板部46によって、一対の側金型40の開口を塞ぐ。これにより、上記キャビティCbkが区画される。すなわち、この実施形態では、一対の側金型40及び上金型45が第1金型に相当する。
本実施形態では、上記の各金型に加えて、砂を所定形状に固めた複数の中子を用いる。図2に示すように、吸気ポート中子51は、直方体形状の支持部51A(巾木)を備えている。支持部51Aは、下金型30の吸気側凹部31の形状と同一になっている。支持部51Aからは、略円柱状のポート部51Bが延びている。ポート部51Bは、シリンダヘッド14における吸気ポート16の形状に対応して湾曲している。
排気ポート中子52は、直方体形状の支持部52A(巾木)を備えている。支持部52Aは、下金型30の排気側凹部32の形状と同一になっている。支持部52Aからは、略円柱状のポート部52Bが延びている。ポート部52Bは、シリンダヘッド14における排気ポート17の形状に対応して湾曲している。
支持中子53は、シリンダヘッド14の燃焼室15の形状に応じた円錐台形状になっている。すなわち、支持中子53における最大の外径(図2においては上端の外径)は、シリンダボア12の径と同一になっている。支持中子53においては、当該支持中子53の軸線方向に貫通孔54が貫通している。貫通孔54は、ボアピン48における先端部48Bの形状に応じた形状になっている。すなわち、貫通孔54は、支持中子53の軸線方向からの平面視で、中央がくびれた形状になっている。
上記の各金型及び各中子を用いてエンジンブロック10を鋳造するにあたっては、図2に示すように、先ず、下金型30を、キャビティChdが上側に向かって開放されるように配置する。また、下金型30の鉛直方向上側において、一対の側金型40を互いに対向するように配置する。さらに、下金型30の鉛直方向上側において、ボアピン48が下側(下金型30)側に向かって突出するように、上金型45を配置する。
次に、下金型30の吸気側凹部31に、吸気ポート中子51の支持部51Aを嵌め合わせる。同様に、下金型30の排気側凹部32に、排気ポート中子52の支持部52Aを嵌め合わせる。これにより、下金型30のキャビティChd内に、吸気ポート中子51のポート部51B及び排気ポート中子52のポート部52Bが配置される。
次に、下金型30の上端面に各側金型40の下端面が当接するように各側金型40を型締めする。これにより、吸気ポート中子51の支持部51Aが、下金型30(吸気側凹部31)と側金型40とによって上下から挟まれるようにして支持される。同様に、排気ポート中子52の支持部52Aが、下金型30(排気側凹部32)と側金型40とによって上下から挟まれるようにして支持される。
次に、吸気ポート中子51及び排気ポート中子52の上に、支持中子53を配置する。具体的には、円錐台状の支持中子53を、径が小さい側が鉛直方向下側、径が大きい側が鉛直方向上側になるように向きを定める。そして、支持中子53の外周面に、吸気ポート中子51におけるポート部51Bの先端面及び排気ポート中子52におけるポート部51Bの先端面が当接するように、支持中子53を上側から吸気ポート中子51及び排気ポート中子52上に載置する。なお、図3に示すように、支持中子53における貫通孔54は中央がくびれた形状になっている。そのため、このくびれた部分に対応して、吸気ポート中子51及び排気ポート中子52を支持中子53の外周面に当接させることで、貫通孔54が設けられている箇所を避けることができる。
図2に示すように、支持中子53を載置した後、さらに、シリンダライナ20を支持中子53上に載置する。このときシリンダライナ20の下端における外周縁が、支持中子53の上端における外周縁に一致するように調整する。
支持中子53の上にシリンダライナ20を取り付けた後、上金型45を下降させて型締めする。上金型45を型締めすると、上金型45から突出するボアピン48が、シリンダライナ20に挿通される。ここで、ピン本体48Aにおける突出先端側の外径は、シリンダライナ20の内径よりも小さくなっている。したがって、シリンダライナ20をボアピン48に取り付けた状態においては、ピン本体48Aの先端側とシリンダライナ20との間に隙間Sが生じる。
また、上金型45を型締めすると、ボアピン48における先端部48Bが、支持中子53の貫通孔54内に収容される。上述したとおり、先端部48Bの突出長は、シリンダヘッド14における燃焼室15の上下方向の寸法、すなわち支持中子53の軸線方向の寸法と同一である。したがって、ボアピン48における先端部48Bが支持中子53の貫通孔54内に収容された状態では、ボアピン48のピン本体48Aの下面が、支持中子53の上面に面接触する。また、先端部48Bが下側に露出するとともに支持中子53の下面と面一になっている。
上述したとおり、支持中子53における上端の外径は、シリンダボア12の径と同一になっている。換言すると、支持中子53における上端の外径は、シリンダライナ20の内径よりも大きくなっている。したがって、上金型45を型締めした状態では、シリンダライナ20の上端が突出部47に当接しているとともに下端が支持中子53の上面に当接している。したがって、シリンダライナ20は、支持中子53によって下側から支持される。さらに、ボアピン48のピン本体48Aとシリンダライナ20との間の隙間Sが、支持中子53によって下側から蓋されたような状態になる。
上金型45を型締めした後、下金型30における湯口33から溶融した金属(例えば、アルミニウムや鋳鉄)である溶湯を注入し、キャビティChd及びキャビティCbkを溶湯で満たす。そして、溶湯が冷えて硬化したら、上金型45を上昇させて離型する。このとき、シリンダライナ20は、硬化した金属(エンジンブロック10)に一体化されているため、硬化した金属側に残ってボアピン48から外れる。その後、成形物を各側金型40や下金型から取り出してその成形物に振動を加えるなどして吸気ポート中子51、排気ポート中子52、支持中子53を崩して除去する。その結果、上述したエンジンブロック10が鋳造される。
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態では、各金型を型締めした状態では、シリンダライナ20の下端が支持中子53の上面に当接してシリンダライナ20が支持される。したがって、シリンダライナ20が自重によって下側に位置ずれしたり、ボアピン48から脱落したりすることは抑制できるし、溶湯の流れによって位置ずれすることも抑制できる。
(2)本実施形態においてシリンダライナ20を支持するための支持中子53は、エンジンブロック10(シリンダヘッド14)における燃焼室15を成形するための中子である。したがって、シリンダライナ20を支持するためにのみ、別途中子を用意するよりも、中子の数の低減、ひいては鋳造方法全体の工程の簡略化にもつながる。
(3)本実施形態では、各金型を型締めした状態では、ボアピン48とシリンダライナ20との間の隙間Sが支持中子53によって下側から蓋されたような状態になる。したがって、キャビティCbk内に溶湯を注入したときに、隙間Sに溶湯が侵入して「バリ」として残ってしまうことを抑制できる。
(4)本実施形態では、各金型を型締めした状態では、ボアピン48における先端部48Bの先端面がキャビティCbk内に露出する。したがって、溶湯をキャビティCbk内に注入した場合に溶湯がボアピン48における先端部48Bの先端面に接触する。そして、溶湯の熱がボアピン48の先端部48Bを介して上金型45へと伝達されるため、溶湯が冷やされやすくなる。その結果、溶湯を注入してから硬化するまでの時間短縮に寄与できる。
(5)一般にエンジンブロック10では、シリンダヘッド14側において肉厚が大きい箇所が多く、シリンダブロック11側において肉厚が小さい箇所が多い。そして、鋳造でエンジンブロック10を成形する場合には、肉厚が小さい箇所において溶湯が硬化しやすい。本実施形態では、エンジンブロック10を、シリンダヘッド14側が鉛直方向下側を向く倒立状態で、下金型30側から溶湯を注入することにより鋳造している。したがって、比較的に肉厚が大きくて硬化しにくいシリンダヘッド14側から溶湯が注入されることになる。そのため、溶湯の注入途中でキャビティChdの一部において溶湯が硬化してしまい、キャビティChdやキャビティCbkの一部分に溶湯が注入できなくなることを防げる。このように、キャビティChdやキャビティCbk内の全体に溶湯を注入しやすくすることで、溶湯の注入圧が低い低圧鋳造法の適用が可能になる。
本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・上記実施形態におけるエンジンブロック10の形状は、あくまでも概略的に例示したものである。エンジンブロック10の内部には、シリンダボア12、吸気ポート16及び排気ポート17等の他にも、エンジンブロック10を冷却するための冷却水が流通するウォータジャケットや、吸気バルブ18や排気バルブ19等を取り付けるための孔などが区画されている。
・エンジンブロック10の形状に応じたキャビティが区画できるのであれば、金型の数は適宜変更できる。すなわち、上記実施形態では、下金型30、一対の側金型40、及び上金型45の合計4つの金型を用いたが、5つ以上の金型を用いて鋳造してもよい。
・下金型30に溶湯を注入するための湯口33を設けるのに代えて、又は加えて、側金型40や上金型45に湯口33を設けてもよい。
・ボアピン48における先端部48Bの形状は、上記実施形態の例に限らない。例えば、先端部48Bが円形状や多角形状であってもよい。また、先端部48Bが複数設けられていてもよい。なお、先端部48Bの形状を変更した場合には、それに応じて支持中子53の貫通孔54の形状も変更することになるが、この貫通孔54が、支持中子53と吸気ポート中子51との接触箇所や支持中子53と排気ポート中子52との接触箇所にまで至らないように、ボアピン48の先端部48Bの形状を設計する必要がある。
・吸気ポート中子51、排気ポート中子52、及び支持中子53が、一体的な1つの中子であってもよい。
・エンジンブロック10における燃焼室15に対応する中子と、シリンダライナ20を支持するための中子とが、別体の中子であってもよい。例えば、吸気ポート中子51及び排気ポート中子52の上に、燃焼室15に対応する中子を載置し、さらにその上にシリンダライナ20を支持するための中子を載置してもよい。
・支持中子53は、必ずしもボアピン48とシリンダライナ20との間の隙間Sを下側から蓋していなくてもよい。この場合、溶湯が当該隙間Sに侵入し得るが、例えば、ボアピン48とシリンダライナ20との間の隙間Sをシールするためのシール部材(例えばOリング)を設ければ溶湯の侵入は防げる。また、仮に「バリ」が生じても、鋳造後にそのバリを除去する工程を組み込めるのであれば、隙間S内に多少の溶湯が侵入しても構わない。
・支持中子53の上にシリンダライナ20を載置してから型締めするのではなく、ボアピン48にシリンダライナ20を取り付けてから型締めすることもできる。ボアピン48におけるピン本体48Aの基端側の外径は、シリンダライナ20の内径と同一になっているため、ボアピン48にシリンダライナ20を取り付けたときに、多少の位置ずれは生じるものの、すぐさまシリンダライナ20がボアピン48から脱落するとは考えにくい。したがって、ボアピン48にシリンダライナ20を取り付けてすぐに上金型45を下降させればよい。
10…エンジンブロック、11…シリンダブロック、12…シリンダボア、13…クランク室、14…シリンダヘッド、15…燃焼室、16…吸気ポート、17…排気ポート、18…吸気バルブ、19…排気バルブ、20…シリンダライナ、25…ピストン、26…コネクティングロッド、30…下金型、31…吸気側凹部、32…排気側凹部、33…湯口、40…側金型、45…上金型、46…天板部、47…突出部、48…ボアピン、48A…ピン本体、48B…先端部、51…吸気ポート中子、51A…支持部、51B…ポート部、52…排気ポート中子、52A…支持部、52B…ポート部、53…支持中子、54…貫通孔、E…内燃機関、Chd…キャビティ、Cbk…キャビティ。

Claims (1)

  1. シリンダボアが区画されているシリンダブロックと、前記シリンダボアに吸気を供給するための吸気ポート及び前記シリンダボアから排気を排出するための排気ポートが区画されているシリンダヘッドとを、金型を用いて一体的に鋳造で成形するエンジンブロックの鋳造方法であって、
    前記金型は、
    前記エンジンブロックのうちの前記シリンダブロック側の外形状に応じた第1キャビティを有する第1金型と、前記エンジンブロックのうちの前記シリンダヘッド側の外形状に応じた第2キャビティを有しているとともに前記第1金型に対して対向配置される第2金型とで構成され、
    前記第1金型には、前記第2金型側に向かって突出するボアピンが固定されており、
    前記第2金型を鉛直方向下側に、前記第1金型を鉛直方向上側に配置し、
    前記第2キャビティ内に、前記吸気ポートの形状に応じた吸気ポート中子及び前記排気ポートの形状に応じた排気ポート中子を配置し、
    前記吸気ポート中子及び排気ポート中子の上に支持中子を配置し、
    円筒状のシリンダライナの内部に前記ボアピンを挿通し、前記シリンダライナの下端が前記支持中子の上面に当接して前記シリンダライナが前記支持中子に支持されるように、前記第1金型及び前記第2金型を型締めし、
    前記第1金型及び前記第2金型を型締めした状態で、前記第1キャビティ及び第2キャビティ内に溶湯を注入する
    ことを特徴とするエンジンブロックの鋳造方法。
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