本発明に係る照明装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1は、本発明の照明装置が適用される放射線画像記録読取装置の概略構成説明図を示す。
この放射線画像記録読取装置10(以下、単に記録読取装置10という)は、図1に示されるように、人体等の被写体12の放射線画像情報を蓄積性蛍光体シートIPに一旦記録する放射線記録部14と、前記蓄積性蛍光体シートIPにレーザ等の励起光Lを照射し、放射線の強度に応じて発光する輝尽発光光Rを光電的に読み取る読取部16と、蓄積性蛍光体シートIPに残存している放射線エネルギを放出させる消去ユニット18とから構成される。
放射線記録部14は、基本的には、放射線Sを発生させる放射線源20と、人体等の被写体12を所定位置に保持する撮影台22と、蓄積蛍光体シートIPとから構成される。前記撮影台22の後方には散乱線除去用のグリッド24が配されており、前記グリッド24のさらに後方には蓄積性蛍光体シートIPが所定の撮影位置に固定保持されている。前記撮影台22は放射線透過性を有するものとなっている。
読取部16は、基本的には、蓄積性蛍光体シートIPから放射線画像情報を読み取る読取ユニット26と、前記読取ユニット26を上下方向に変位させる読取ユニット駆動部28とから構成される。
読取ユニット26は、ライン光源30と、集光レンズアレイ32と、CCDラインセンサ34とから構成される。
ライン光源30は、図示しないレーザダイオードアレイ及びシリンドリカルレンズから構成される。レーザダイオードアレイは、発振波長が例えば650〜690nm帯にある複数のレーザダイオードが一列に並設されたものである。各レーザダイオードから発せられた発散光状態の励起光は、シリンドリカルレンズにより一方向に集光されてファンビームとなり、それらのファンビームが合成されてなる励起光Lが蓄積性蛍光体シートIPを線状に照射する。
集光レンズアレイ32は、図示しない複数の屈折率分布型レンズが一列に並設されたものである。前記複数の屈折率分布型レンズは、励起光Lが照射される蓄積性蛍光体シートIPの幅方向(図4中、矢印X方向)と平行に配設される。各屈折率分布型レンズは、蓄積性蛍光体シートIPから発せられた輝尽発光光Rを集光し、CCDラインセンサ34に導く。
CCDラインセンサ34は、図示しない複数のセンサチップ(光電変換素子)が一列に並設されたものである。前記複数のセンサチップは、励起光Lが照射される蓄積性蛍光体シートIPの幅方向(矢印X方向)と平行に配設される。なお、蓄積蛍光体シートIPの幅が広い場合、前記蓄積性蛍光体シートIPの幅方向全域を読み取れるように、幅方向(図4中、矢印X方向)に対して、前記CCDラインセンサ34を複数個連ねるような構成にしても良い。
前記CCDラインセンサ34と集光レンズアレイ32の間には、蓄積性蛍光体シートIPで反射した励起光Lをカットするフィルタ(図示せず)が介挿される。
読取ユニット駆動部28は、装置内の上下方向(矢印Y1、Y2方向)に延設されたボールねじ36を有し、このボールねじ36を回転させることにより、ボールねじ36に噛合する読取ユニット26を上下方向に変位可能である。読取ユニット26は読み取り時以外、図1の2点鎖線で示すホームポジションに待機している。
消去ユニット18は、蓄積性蛍光体シートIPに対して読取部16を挟んで対向して配置される。消去ユニット18は、蓄積性蛍光体シートIPに消去光Qを照射して、該蓄積性蛍光体シートIPに残存している放射線エネルギを放出させるものである。
この消去ユニット18は、図1に示すように、蓄積性蛍光体シートIPと対向し、略鉛直状態に配置される略矩形状の筐体38を備え、前記筐体38の内部には、略中央部に光源50を有する照明部40が配設されている。前記筐体38は、照明部40の設けられる内壁面42を、光源50に対向する白色部材、鏡面部材等によって構成することにより、前記内壁面42によって減光されることがない。
照明部40は、図2及び図3に示されるように、筐体38の内壁面42(図1参照)に固定される固定用ブラケット44に保持され、後述する光源50を略水平面に沿って所定角度傾動変位させることが可能な第1傾動機構(第1変位機構)46と、前記第1傾動機構46に保持され、前記光源50を略鉛直面に沿って傾動変位させることが可能な第2傾動機構(第2変位機構)48と、前記第2傾動機構48に保持され、蓄積性蛍光体シートIPに対して消去光Q(図4参照)を照射可能な光源50を有する光源保持部(光源部)52とを備える。なお、前記第1傾動機構46及び第2傾動機構48は、光源保持部52を所定角度傾動させることが可能な傾動手段として機能する。
固定用ブラケット44は、断面略コ字状に形成され、筐体38の内壁面42に固定される固定部54の上端部と下端部から略直角に折曲した一組の第1折曲部56a、56bが形成されている。
一組の第1折曲部56a、56bは、互いに対向するように所定間隔離間して形成され、前記第1折曲部56a、56bを貫通するようにそれぞれ第1貫通孔58a、58b(図3参照)が形成されている。前記第1貫通孔58a、58bは、一組の第1折曲部56a、56bに対して一直線上に形成されている。なお、固定用ブラケット44は、前記第1折曲部56a、56bが略水平となるように筐体38に固定されている(図1参照)。
第1傾動機構46は、前記固定用ブラケット44における一組の第1折曲部56a、56bの間に保持される第1回転駆動源60と、前記固定用ブラケット44に対して略水平面に沿って所定角度だけ傾動自在に軸支される保持ブラケット62と、前記第1回転駆動源60の駆動力を前記保持ブラケット62へと伝達する第1ギア部64とを備える。すなわち、第1傾動機構46は、照明部40と対向する位置に設けられた蓄積性蛍光体シートIPの幅方向(矢印X1、X2方向)に傾動可能に設けられている。
第1回転駆動源60は、例えば、ステップモータ等からなり、図示しない電源からコントローラを介して出力される制御信号(パルス信号)により所定量だけ回転駆動する。
保持ブラケット62は、前記固定用ブラケット44と同様に断面略コ字状に形成され、略中央に形成される平面部66の両端部からは、略直角に折曲した一組の第2折曲部68a、68b(図3参照)が形成されている。第2折曲部68a、68bは、互いに対向するように所定間隔離間して形成され、前記第2折曲部68a、68bを貫通するようにそれぞれ第2貫通孔70a、70b(図3参照)が形成されている。この第2貫通孔70a、70bが、一組の第2折曲部68a、68bに対して一直線上に形成されている。
平面部66には、保持ブラケット62の両側面から離間する方向にそれぞれ突出した一組の第1支軸72が設けられている。この第1支軸72は、保持ブラケット62における平面部66の略中央部に設けられると共に、前記第2折曲部68a、68bと略平行に設けられている。
そして、前記第1支軸72が、固定用ブラケット44の第1貫通孔58a、58bにそれぞれ挿通され、保持ブラケット62が固定用ブラケット44に対して所定角度だけ傾動自在に軸支される。この際、保持ブラケット62が軸支される固定用ブラケット44の第1折曲部56a、56bが、略水平に設けられ、前記保持ブラケット62が、第1折曲部56a、56bの間となるように配設されているため、前記保持ブラケット62の傾動方向が略水平面上に規制される。
第1ギア部64は、第1回転駆動源60の駆動軸(図示せず)に設けられ、外周面に複数のギア歯74が刻設された第1駆動ギア76と、該第1駆動ギア76のギア歯74と対向する位置に設けられ、保持ブラケット62の一方の第1支軸72に連結される第1従動ギア78とからなる。第1従動ギア78の外周面には、第1駆動ギア76と同様に複数のギア歯74が刻設され、前記ギア歯74を介して第1駆動ギア76と第1従動ギア78とが噛合している。
すなわち、図2及び図6に示されるように、第1回転駆動源60の回転駆動作用下に第1駆動ギア76が、照明部40を上方から見て時計回り又は反時計回り(矢印A1、A2方向)に回転することにより、該第1駆動ギア76に噛合された第1従動ギア78が反時計回り又は時計回り(矢印B1、B2方向)に回転し、保持ブラケット62が固定用ブラケット44に軸支された第1支軸72を支点として略水平面に沿って傾動変位する(図6中、矢印C1、C2方向)。
一方、第2傾動機構48は、図2及び図3に示されるように、保持ブラケット62の第2折曲部68a、68bの間に保持される第2回転駆動源82と、前記第2回転駆動源82の駆動力を光源保持部52へと伝達する第2ギア部84とからなる。
第2回転駆動源82は、例えば、ステップモータ等からなり、図示しない電源からコントローラを介して出力される制御信号(パルス信号)により回転駆動する。
また、第2回転駆動源82は、保持ブラケット62に設けられた第1支軸72の軸線と略直交するように設けられると共に、前記保持ブラケット62が固定用ブラケット44に軸支された際に、第1回転駆動源60の軸線と略直交するように設けられている。
第2ギア部84は、第2回転駆動源82の駆動軸(図示せず)に設けられ、外周面に複数のギア歯74が刻設された第2駆動ギア86と、該第2駆動ギア86のギア歯74と対向する位置に設けられ、光源保持部52の一方の第2支軸92(後述する)に連結される第2従動ギア88とからなる。第2従動ギア88の外周面にも、第2駆動ギア86と同様に複数のギア歯74が刻設され、前記ギア歯74を介して第2駆動ギア86と第2従動ギア88とが噛合している。
そして、第2回転駆動源82の回転駆動作用下に第2駆動ギア86が、時計回り又は反時計回り(矢印D1、D2方向)に回転することにより、該第2駆動ギア86に噛合された第2従動ギア88が反時計回り又は時計回り(矢印E1、E2方向)に回転する。
光源保持部52は、消去光Q(図4参照)を照射する光源50と、前記光源50を保持するホルダ90とを有し、前記ホルダ90の一端部側には、その両側面から略水平方向にそれぞれ突出して一組の第2支軸92が設けられている。
そして、前記一組の第2支軸92が、保持ブラケット62の第2貫通孔70a、70b(図3参照)にそれぞれ挿通されることにより、光源保持部52が、前記保持ブラケット62の第2折曲部68a、68bに対して略鉛直面に沿って傾動自在に軸支される。これにより、保持ブラケット62に軸支された光源保持部52が、第2支軸92を支点として略鉛直面に沿って傾動変位する(矢印F1、F2方向)。
また、ホルダ90の他端部には、図4に示されるように、光源50が蓄積性蛍光体シートIPと対向し、且つ、該蓄積性蛍光体シートIPを照射可能に設けられ、この光源50は、例えば、高輝度の発光ダイオード(LED)、キセノンランプ、高圧水銀灯、ナトリウムランプ、蛍光灯等の一般用照明ランプ等からなり、前記蓄積性蛍光体シートIPにおける照射面110の局部的な照射領域112を照射可能なものが採用される。そして、光源50には、図示しない電源との間に制御回路(図示せず)を備え、前記制御回路を介して前記光源50に所望の電流が供給される。
すなわち、図2〜図6に示されるように、第1傾動機構46における第1回転駆動源60の駆動作用下に第1駆動ギア76及び第1従動ギア78を介して保持ブラケット62が略水平面(矢印C1、C2方向)に沿って傾動変位すると共に、第2傾動機構48における第2回転駆動源82の駆動作用下に第2駆動ギア86及び第2従動ギア88を介して光源保持部52が略鉛直面(矢印F1、F2方向)に沿って傾動変位する。換言すると、第2傾動機構48は、図4に示されるように、照明部40と対向する位置に設けられた蓄積性蛍光体シートIPの幅方向(矢印X1、X2方向)と略直交する長手方向(矢印Y1、Y2方向)に傾動可能に設けられている。
これにより、光源保持部52に保持された光源50を、第1及び第2回転駆動源60、82の駆動作用下に固定用ブラケット44を基点として略水平面及び略鉛直面に沿って自在に傾動変位させることができる(矢印C1、C2、F1、F2方向)。
この第1回転駆動源60を有する第1傾動機構46と、第2回転駆動源82を有する第2傾動機構48とは、図示しない電源に接続されたコントローラ(図示せず)を介して別個に独立して制御されるため、前記第1傾動機構46と第2傾動機構48とをそれぞれ個別に傾動動作させることができると共に、第1傾動機構46による傾動動作と第2傾動機構48による傾動動作とを連動させて同時に傾動動作させることも可能である。
本実施の形態に係る放射線画像記録読取装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
先ず、図1に示されるように、放射線記録を行う被写体12が放射線記録部14に移動する。被写体12が放射線記録部14に移動した後、医師等の操作によって撮影台22を昇降させる等の記録位置合わせが行われる。
次いで、医師等によってショットスイッチが押されると、放射線画像情報の記録が開始される。このとき、放射線源20から出力された放射線は、被写体12を透過して蓄積性蛍光体シートIPに到達することにより、放射線画像情報が記録される。
そして、蓄積性蛍光体シートIPに放射線画像情報が記録された後、CCDラインセンサ34による蓄積性蛍光体シートIPの読み取りが開始される。すなわち、ライン光源30から出力された励起光Lが蓄積性蛍光体シートIPを矢印X方向に走査する一方、読取ユニット26がボールねじ36の回転に伴って矢印Y方向に変位することにより、放射線画像情報を蓄積した蓄積性蛍光体シートIPが励起光Lによって2次元的に走査される。
励起光Lが照射された蓄積性蛍光体シートIPは、放射線画像情報に応じた輝尽発光光Rを出力し、この輝尽発光光Rが集光レンズアレイ32を介してCCDラインセンサ34に入射する。CCDラインセンサ34は、入射した輝尽発光光Rを電気信号に変換する。この電気信号に基づき、所望の放射線画像情報が形成される。
一方、放射線画像情報の読み取られた蓄積性蛍光体シートIPに対しては、消去ユニット18を構成する光源50から消去光Qが照射され、残存する放射線エネルギの放出が行われ、次の撮影に供される。
すなわち、読取ユニット26が、記録読取装置10のホームポジション(図1中、2点鎖線形状)に退避した後、消去ユニット18における照明部40の光源50を点灯し、前記光源50より蓄積性蛍光体シートIPに向かって消去光Qが照射される。
次に、消去ユニット18に設けられた照明部40によって蓄積性蛍光体シートIPに残存している放射線画像情報の消去処理を行う場合について詳細に説明する。なお、ここでは、例えば、図7に示されるように、照明部40によって蓄積性蛍光体シートIPにおける装置の上下方向(矢印Y方向)に沿った上端部位94から下端部位96に向かって消去光Qを順次照射して消去処理を行う場合について説明する。
先ず、図示しない電源からコントローラを介して制御信号(パルス信号)が第2傾動機構48の第2回転駆動源82へと出力され、図2及び図5に示されるように、該第2回転駆動源82の第2駆動ギア86が時計回り(矢印D1方向)に回転駆動する。そして、前記第2駆動ギア86の回転作用下に噛合した第2従動ギア88が反時計回り(矢印E1方向)に回転することにより、前記光源保持部52が保持ブラケット62に軸支された第2支軸92を支点として上方(矢印F1方向)に向かって所定角度だけ傾動変位する。すなわち、光源保持部52に設けられた光源50が、蓄積性蛍光体シートIPの上端部位94と対向する角度に傾動する(図5参照)。
一方、第2回転駆動源82が回転駆動すると略同時に、図示しない電源からコントローラを介して制御信号(パルス信号)を第1回転駆動源60へと出力することにより、図2及び図6に示されるように、該第1回転駆動源60の第1駆動ギア76が上方から見て時計回り(矢印A1方向)に回転駆動する。そして、前記第1駆動ギア76と噛合している第1従動ギア78が反時計回り(矢印B1方向)に回転することにより、保持ブラケット62が、固定用ブラケット44に軸支された第1支軸72を支点として上方から見て蓄積性蛍光体シートIPの左端部104側(矢印X1方向)に向かって所定角度だけ傾動変位する(矢印C1方向)。
これにより、第2回転駆動源82の駆動作用下に上方(矢印F1方向)に向かって所定角度傾動していた光源50が、蓄積性蛍光体シートIPの幅方向(矢印X方向)に沿った左端部104側(矢印X1方向)に向かって所定角度だけ傾動することにより、図7に示される前記蓄積性蛍光体シートIPの左上端部98に向かって傾斜した状態となる。
そして、光源50を点灯させることにより、前記蓄積性蛍光体シートIPの左上端部98の近傍の照射領域112に消去光Qが局部的に照射され、該蓄積性蛍光体シートIPに残存している放射線画像情報の消去処理が行われる。
次に、蓄積性蛍光体シートIPの左上端部98に消去光Qを照射している光源50を、第1回転駆動源60の駆動作用下に第1駆動ギア76を反時計回り(矢印A2方向)に回転させることにより、噛合された第1従動ギア78を時計回り(矢印B2方向)に回転させ、光源保持部52を介して光源50を蓄積性蛍光体シートIPの左端部104側から右上端部100側(矢印X2方向)に向かって所定角度だけ傾動変位させる(矢印C2方向)。これにより、前記光源50から蓄積性蛍光体シートIPの照射面110に対して局部的に照射されている消去光Qが、前記照射面110における左上端部98側から右上端部100側に向かって順次照射されるため、前記蓄積性蛍光体シートIPの上端部位94における放射線画像情報の消去が行われる。
なお、この際、第2回転駆動源82は、図示しないコントローラからの制御信号が送られていないため滅勢され、光源保持部52を上方に向かって所定角度だけ傾動させた状態で固定されている。
そして、第1回転駆動源60による駆動作用下に光源50によって消去光Qを蓄積性蛍光体シートIPの右上端部100まで照射した後、第2傾動機構48の第2回転駆動源82に対して再びコントローラ(図示せず)を介して制御信号を出力する。これにより、該第2回転駆動源82の駆動作用下に光源保持部52を介して光源50を下方(矢印F2方向)に向かって所定角度だけ傾斜させる。
その結果、光源50からの消去光Qが、すでに消去処理が完了した蓄積性蛍光体シートIPの上端部位94の下方(矢印Y1方向)となり、さらに、第1回転駆動源60を前記とは反対方向(矢印A1方向)に回転駆動させることにより、前記光源50から照射された消去光Qが、前記とは反対に、蓄積性蛍光体シートIPの右端部106側から左端部104側に向かって順次照射され、前記蓄積性蛍光体シートIPの消去処理が行われる。
このように、光源50が保持されている光源保持部52を、筐体38に固定された固定用ブラケット44に保持された第1傾動機構46及び該固定用ブラケット44に軸支される保持ブラケット62に設けられている第2傾動機構48によって傾動変位させ、前記光源50によって蓄積性蛍光体シートIPの幅方向(矢印X方向)に沿って往復させるように消去光Qを局部的に順次照射していき、前記蓄積性蛍光体シートIPにおける略中央部位102及び下端部位96の左下端部108まで消去光Qを順次照射することにより放射線画像情報の消去処理を行う。
また、この際、光源50が蓄積性蛍光体シートIPの照射面110を照射する際に必要とされる第1及び第2回転駆動源60、82を所定量の回転角度又は回転数等に基づいて、図示しないコントローラを介して電源より所望のパルス数を有する制御信号が第1及び第2回転駆動源60、82へと出力される。これにより、第1及び第2回転駆動源60、82を高精度に所望量だけ回転駆動させることができるため、該第1及び第2回転駆動源60、82の駆動作用下に傾動する光源保持部52の傾動変位を高精度に行うことができる。
さらに、蓄積性蛍光体シートIPのサイズが変更された場合でも、前記蓄積性蛍光体シートIPのサイズに対応した制御信号に基づいて第1及び第2回転駆動源60、82の回転角度又は回転数等を変化させることにより、第1及び第2傾動機構46、48の傾動変位量を簡便且つ高精度に変更することが可能となる。そのため、サイズが変更された蓄積性蛍光体シートIPに対しても、光源50及び光源保持部52を高精度に傾動変位させ、消去光Qを照射することが可能となる。これにより、蓄積性蛍光体シートIPにおける各サイズごとの消去範囲の最適化及び処理時間の短縮化を図ることができる。
一方、このように光源50から蓄積性蛍光体シートIPに対して消去光Qを照射する際、前記光源50を有する照明部40が、該光源50と対向する蓄積性蛍光体シートIPの略中央部となる位置に設けられている。そのため、図5に示されるように、例えば、蓄積性蛍光体シートIPの上端部位94又は下端部位96と、該蓄積性蛍光体シートIPの略中央部位102とでは、前記光源50からの離間距離が異なり、光源50から略均一の光量及び時間で蓄積性蛍光体シートIPに対して消去光Qを照射した場合に、該蓄積性蛍光体シートIPの部位によって照射される消去光Qの照射光量が異なってくる。
そのため、本実施の形態では、光源50と蓄積性蛍光体シートIPの照射面110との間の離間距離に応じて、前記光源50から消去光Qを照射する時間の制御を行っている。
具体的には、光源50との離間距離が比較的小さい蓄積性蛍光体シートIPの略中央部位102の近傍に消去光Qを照射する際には、前記消去光Qの照射時間を短くするために第1及び第2傾動機構46、48による光源50の傾動変位速度を速くすると共に、前記光源50との離間距離が比較的大きい蓄積性蛍光体シートIPの上端部位94又は下端部位96の近傍に消去光Qを照射する際には、前記消去光Qの照射時間を長くするために第1及び第2傾動機構46、48による光源50の傾動変位速度が遅くなるように制御している。
これにより、光源50と照射面110との離間距離に応じて最適な照射時間で消去光Qを蓄積性蛍光体シートIPの各部位へと照射することができるため、前記光源50と照射面110との離間距離の差による放射線画像情報の消去ムラが生じることなく、前記蓄積性蛍光体シートIPの照射面110の全体に対して略均等に消去処理を行うことが可能となる。
また、上述の説明においては、光源50から蓄積性蛍光体シートIPへと照射される消去光Qの光量を略一定として、消去光Qを照射する光源50と蓄積性蛍光体シートIPの照射面110との離間距離に応じて該消去光Qの照射時間を変化させる場合について説明したが、これとは反対に、前記消去光Qの照射時間を、蓄積性蛍光体シートIPへの照射部位に関わらず略一定とし、光源50から照射される光量を蓄積性蛍光体シートIPの消去光Qが照射される部位に応じて制御するようにしてもよい。
具体的には、光源50との離間距離が比較的小さい蓄積性蛍光体シートIPの略中央部位102の近傍に消去光Qを照射する際には、図示しないコントローラを介して前記消去光Qの照射光量を減少させると共に、前記光源50との離間距離が比較的大きい蓄積性蛍光体シートIPの上端部位94又は下端部位96の近傍に対しては、消去光Qの照射光量を増大させるように制御している。
これにより、光源50との離間距離が比較的大きい蓄積性蛍光体シートIPの上端部位94又は下端部位96の近傍に対しても、光源50から十分な光量の消去光Qを照射することが可能となり、前記光源50と照射面110との離間距離の差による放射線画像情報の消去ムラが生じることなく、前記蓄積性蛍光体シートIPの照射面110の全体に対して略均等に消去処理を行うことが可能となる。
また、光源から蓄積性蛍光体シートIPへと照射される消去光Qの照射時間と、照射光量とを両方とも同時に制御するようにしてもよい。これにより、蓄積性蛍光体シートIPにおける放射線画像情報の消去ムラをより一層好適に防止することができ、前記蓄積性蛍光体シートIPの照射面110の全体に対して好適に消去処理を行うことが可能となる。
このように、蓄積性蛍光体シートIPにおける照明部40と対向する照射面110に対して光源50から該光源50との離間距離に応じた光量又は時間に基づき消去光Qが照射されるため、前記蓄積性蛍光体シートIPに残存している放射線エネルギの放出が十分且つ確実に行われて消去処理が完了する。
さらに、蓄積性蛍光体シートIPの幅方向(矢印Y方向)に沿った左端部104及び右端部106に光源50より消去光Qを照射する場合についても同様に、前記光源50からの消去光Qの照射時間又は照射光量をその離間距離に応じて制御している。
なお、上述した説明においては、第1及び第2傾動機構46、48による傾動作用下に光源50を介して消去光Qを蓄積性蛍光体シートIPの左上端部98より照射しているが、これに限定されるものではなく、前記蓄積性蛍光体シートIPの下端部位96から最初に消去光Qを照射するようにしてもよいし、該蓄積性蛍光体シートIPの左端部104側からではなく右端部106側から照射するようにしてもいいのは勿論である。また、蓄積性蛍光体シートIPの上下方向(矢印Y1、Y2方向)に沿って往復させるように照射するようにしてもよい。すなわち、光源50から照射される消去光Qを、前記蓄積性蛍光体シートIPの照射面110の全体に対して略均等に照射できればよい。
以上のように、本実施の形態では、蓄積性蛍光体シートIPと対向して設けられる消去ユニット18に、消去光Qを照射可能な光源50を略水平方向に傾動させる第1傾動機構46と、前記光源50を略鉛直方向に傾動させる第2傾動機構48とを有する照明部40を設けている。そして、前記第1及び第2傾動機構46、48による傾動作用下に前記光源50からの消去光Qを蓄積性蛍光体シートIPの所望の部位に対して局部的に照射し、該蓄積性蛍光体シートIPの照射面110に沿って消去光Qを順次照射していくことにより該照射面110の全体に照射することにより、前記蓄積性蛍光体シートIPに残存している放射線画像情報の消去処理を行なうことができる。
これにより、消去ユニット18に設けられた単一の光源50によって蓄積性蛍光体シートIPの消去処理を行うことが可能となるため、従来、筐体の内部に配列された複数の光源によって消去処理を行っていた面照明装置と比較して、前記消去ユニット18の小型化を図ることができる。そのため、記録読取装置10の内部における省スペース化を図ることができる。
また、従来、筐体の内部に設けられていた複数の光源50を、単一の光源50として消去処理を行うことができるため、前記光源50にかかるコストの低減を図ることが可能となる。さらに、光源50から蓄積性蛍光体シートIPに照射される消去光Qの照射時間及び/又は照射光量を高精度に制御することにより、前記蓄積性蛍光体シートIPにおける放射線画像情報の消去処理時間を短縮することが可能となる。
次に、変形例に係る消去ユニット150の照明部152について説明する。なお、上述した消去ユニット18及び照明部40と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図8及び図9に示されるように、この照明部152には、保持ブラケット62に傾動自在に保持される光源保持部52のホルダ90に、消去光を照射するための例えば、高輝度発光ダイオード等からなる第1光源154と、紫外線の発光が抑制された第2光源156とが所定間隔離間して並列に設けられている。
この第2光源156は、例えば、紫外線を吸着させるUV吸着膜が塗布されたメタルハライドランプ等からなり、前記第2光源156から照射される消去光Q2は、前記第1光源154より照射される消去光Q1と比較して紫外線の量が抑制されている。すなわち、光源保持部52には、異なる波長を有する消去光Q1、Q2を照射可能な第1光源154と第2光源156とが設けられている。
この照明部152によって蓄積性蛍光体シートIPの消去処理を行う場合には、例えば、第1光源154を点灯させた状態で蓄積性蛍光体シートIPの照射面110に沿って前記第1光源154を往復動作させて消去光Q1を前記蓄積性蛍光体シートIP照射すると共に、前記第1光源154による蓄積性蛍光体シートIPの照射面110の全体への照射が完了した後に、前記第1光源154を消灯して第2光源156を点灯させる。そして、第2光源156を点灯させた状態で蓄積性蛍光体シートIPの照射面110に沿って前記第1光源154とは反対方向より前記第2光源156を往復動作させて消去光Q2を照射する。
このような構造とすることにより、蓄積性蛍光体シートIPに残存している放射線画像情報を消去する際に、該蓄積性蛍光体シートIPの照射面110に対して単一の照明部152に設けられた第1光源154と第2光源156とからそれぞれ波長の異なる消去光Q1と消去光Q2とを交互に照射することができる。
そのため、第1光源154から照射される通常光と、第2光源156から照射される紫外線が抑制されたUVカット光とを組み合わせて蓄積性蛍光体シートIPに照射することにより、該蓄積性蛍光体シートIPに残存している放射線画像情報の消去処理を効率的に行うことができる。
なお、前記光源保持部52に設けられた第2光源156の代わりに、蓄積性蛍光体シートIPと照明部152との間に紫外線の透過を抑制することが可能なカットフィルタ(図示せず)を移動自在に設けるようにしてもよい。これにより、単一の第1光源154によって消去光Q1を照射する際には、カットフィルムを蓄積性蛍光体シートIPと照明部152との間より移動させ、前記第1光源154からの消去光Q1を直接的に蓄積性蛍光体シートIPに照射させると共に、前記第1光源154による照射が完了した後に、カットフィルタを蓄積性蛍光体シートIPと照明部152との間に移動させて該第1光源154からの消去光Q1を前記カットフィルタを透過させて蓄積性蛍光体シートIPへと照射する。
これにより、蓄積性蛍光体シートIPと照明部152との間に、紫外線の透過を抑制可能であり、且つ、状況に応じて移動自在なカットフィルタを設けることにより、照明部152に設けられた単一の第1光源154で、蓄積性蛍光体シートIPに対して消去光Q1、Q2を照射することが可能となり、前記蓄積性蛍光体シートIPにおける消去処理を効率的に行うことが可能となる。また、照明部152に設けられる光源を単一とすることができるため、前記照明部152の小型化が可能となり省スペース化を図ることができる。
なお、上述の説明において、消去ユニット18における照明部40の光源50、又は、消去ユニット150における照明部152の第1及び第2光源154、156からの消去光Q、Q1、Q2を、記録読取装置10の内部に固定されている蓄積性蛍光体シートIPに対して照射する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図示しない搬送ローラ等からなる搬送機構によって前記記録読取装置10の内部を搬送される蓄積性蛍光体シートIPに適用するようにしてもよい。
この場合には、消去処理を行う際に、搬送されている蓄積性蛍光体シートIPを一旦停止させて照明部40、152より消去光Q、Q1、Q2の照射を行ってもよいし、又は、消去処理を行う際の蓄積性蛍光体シートIPの搬送速度を低速に制御し、該蓄積性蛍光体シートIPの該搬送速度に応じて光源50又は第1及び第2光源154、156から照射する消去光Q、Q1、Q2の照射時間、照射光量等を制御するようにしてもよい。