JP4327743B2 - ジャッキアップ用車体構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ジャッキアップ用車体構造に関するものである。
車体のリヤにジャッキ装置を受けるためのジャッキ受部材を配置した構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、後輪用のクロスメンバーの中央にジャッキ受部材を配置した構造がある(例えば、特許文献1参照。)。
実開昭57−105874号公報(第2頁、第4図、第6図) 実開平4−52978号公報(第1頁、第1図)
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図6(a),(b)は、従来の技術の基本構成(その1)を説明する図であり、従来のリヤパネル補強構造101は、リヤフロア102に成形したスペアタイヤハウス103の下面にジャッキアップ用ブラケット104を固定してボックス断面105とし、このボックス断面105に別のボックス断面106(リヤパネル107とトランクリッドロックサポート108で形成した。)を連接した構造である。
特許文献2を次図に基づいて説明する。
図7は、従来の技術の基本構成(その2)を説明する図であり、従来の車両のサスペンションクロスメンバー構造は、後輪121用のサスペンションクロスメンバー122の下面に、リヤステアリングシャフト123を保護するとともにジャッキポイント124を兼ねるプロテクトブラケット125を取付けたものである。
しかし、特許文献1のリヤパネル補強構造101では、ジャッキアップ用ブラケット104は絞り成形品であり、ブラケット104を下方に伸ばすと、ジャッキアップ用ブラケット104の強度は低下する。例えば、リヤパネル107の意匠やリヤバンパ(図に示していない)の意匠を優先した場合に、ブラケット104の寸法を変更することがあり、寸法変更に伴い、ブラケット104を深く、絞り成形すると、強度は低下する。
特許文献2のサスペンションクロスメンバー構造201では、ジャッキポイント124を後輪121と後輪121の間の中間に配置し、かつ、ジャッキポイント124から後方にはオーバーハングがあり、ジャッキ装置を使用する場合、ジャッキポイント124を見つけ難く、また、ジャッキポイント(ポイント底部)124にジャッキ装置を当てる際に死角に入ることがあり、見難い。
本発明は、作業者がポイント底部を目視するのは容易となり、強度を損なうことなく絞り成形品相当の形状を備えることで触れたものの傷を防止するジャッキアップ用車体構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車両のリヤの左右に渡るリヤエンドクロスメンバーの底にジャッキ装置を受けるジャッキ受部材を配置したジャッキアップ用車体構造において、リヤエンドクロスメンバーは、前方に向けた第1側部と、後方に向けた第2側部と、下方に向けた第3側部と、からなり、リヤエンドクロスメンバーの上部の開口に連ねた取付け部にリヤフロアを取付け、ジャッキ受部材は、U字状のU形前後材を成形し、U形前後材に左右材を組み合わせて断面ロ字状としたボックス構造で、U形前後材は、中央にジャッキ装置を当てるポイント底部を成形し、ポイント底部に連ねた前後の断面コ字状の溝形側板部を成形し、前側の溝形側板部の上部に第1取付け部を設け、後側の溝形側板部の上部に第2取付け部を設け、ポイント底部に連ねた断面コ字状の溝形側板部同士を内向きに離して対向させ、このU形前後材の端部側をそれぞれ左右材のプレートで結合し、リヤエンドクロスメンバーの第1側部にジャッキ受部材の第1取付け部を取付け、第2側部に第2取付け部を取付けるとともに、ポイント底部をリヤバンパの下端近傍に配置したことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ジャッキ受部材は、ジャッキ装置を当てるポイント底部を成形し、ポイント底部に連ねた断面コ字状の溝形側板部同士を内向きに離して対向させ、離れた端部側をそれぞれプレートで結合して断面ロ字状としたボックス構造であり、ボックス構造の上部を車体のリヤの左右に渡るリヤエンドクロスメンバーの下面側に固定するとともに、ポイント底部をリヤバンパの下端近傍に配置したので、作業者がポイント底部を目視するのは容易であるという利点がある。
また、ジャッキ受部材では、U形前後材は、中央にジャッキ装置を当てるポイント底部を成形し、ポイント底部に連ねた前後の断面コ字状の溝形側板部を成形し、前側の溝形側板部の上部に第1取付け部を設け、後側の溝形側板部の上部に第2取付け部を設け、溝形側板部同士を内向きに離して対向させ、このU形前後材の端部側をそれぞれ左右材のプレートで結合し、リヤエンドクロスメンバーの第1側部にジャッキ受部材の第1取付け部を取付け、第2側部に第2取付け部を取付ける。その結果、溝形側板部並びにプレートの強度を高めることができる。
さらに、ジャッキ受部材は、ジャッキ装置を当てるポイント底部を成形し、ポイント底部に連ねた断面コ字状の溝形側板部同士を内向きに離して対向させ、離れた端部側をそれぞれプレートで結合して断面ロ字状とした。その結果、溝形側板部は、断面コ字状を構成する本体部と端部でなす角はアール部となり、ジャッキ受部材の角に触れても、触れたものに傷はつかない。
従って、強度を損なうことなく絞り成形品相当の形状を備えることで触れたものの傷を防止することができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は、本発明のジャッキアップ用車体構造を採用した車両の斜視図である。図下の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は前方を向いた運転者から見た方向を示す。
車両11は、車体12を備え、車体12はフロントボデー13と、アンダボデー14と、サイドボデー15,15と、ルーフ16と、リヤボデー17と、リヤボデー17に配置したリヤバンパ18と、を備える。
リヤボデー17は、リヤエンドパネル19を備える。
アンダボデー14は、フロントボデー13のフロントサイドフレーム21,21に連なるインナサイドシル22,22と、リヤサイドフレーム23,23と、リヤサイドフレーム23,23に取付けたリヤエンドクロスメンバー24と、リヤフロア25と、ジャッキアップ用車体構造26と、を備える。
リヤエンドクロスメンバー24は、断面U字形で、前方に向けた第1側部27と、後方に向けた第2側部31と、下方に向けた第3側部32と、からなり、上方に向けた開口にリヤフロア25を配置した。33は第3側部32の下面を示す。
次にジャッキアップ用車体構造26を主体に説明する。
ジャッキアップ用車体構造26は、リヤエンドパネル19の下方に配置し、かつ、左右方向に伸ばしたリヤエンドクロスメンバー24と、リヤエンドクロスメンバー24の上部に取付けたリヤフロア25と、リヤエンドクロスメンバー24のほぼ中央に取付けたジャッキ受部材34とからなる。
図2は、図1の2矢視図であり、ジャッキアップ用車体構造26を示す。
ジャッキアップ用車体構造26は、具体的には、リヤエンドクロスメンバー24の上部の開口に連ねた取付け部36にリヤフロア25を溶接で取付け、リヤエンドクロスメンバー24の第1側部27にジャッキ受部材34の第1取付け部41を溶接で取付け、リヤエンドクロスメンバー24の第2側部31にジャッキ受部材34の第2取付け部42を溶接で取付け、リヤエンドクロスメンバー24の第3側部32の下面33にジャッキ受部材34の第3・第4取付け部43,44を溶接で取付けたものである。
図3は、本発明のジャッキアップ用車体構造に用いたジャッキ受部材の斜視図である。
図4は、図3の4−4線断面図である。
ジャッキ受部材34は、U字状のU形前後材46を成形し、U形前後材46にU字状のU形左右材47を溶接で一体的に組み合わせたものである。Hはジャッキ受部材34の深さを示す。
U形前後材46は、中央にポイント底部51を成形し、ポイント底部51に連ねた断面コ字状の溝形側板部52,53を成形し、溝形側板部52の上部に第1取付け部41を成形し、溝形側板部53の上部に第2取付け部42を成形し、溝形側板部52,53同士を内向(矢印a1,a1の方向)きに、深さHに対して中央位置で距離B1だけ離して対向させた板部材である。
溝形側板部52は、本体部54の両側に端部55,56をほぼ直角に成形するとともに角にアール部57,57を成形した部位である。
溝形側板部53は、溝形側板部52と同様である。
U形左右材47は、中央にポイント底部61を成形し、ポイント底部61に連ねたプレートであるところのプレート部62,63を成形し、プレート部62の上部に第3取付け部43を成形し、プレート部63に第4取付け部44を成形し、プレート部62を溝形側板部52の端部55並びに溝形側板部53の端部55に溶接で固定し、プレート部63を溝形側板部52の端部56並びに溝形側板部53の端部56に溶接で固定した。その際、ポイント底部61をポイント底部51に密着させ、ポイント底部51と呼称する。
次に本発明のジャッキアップ用車体構造の作用を説明する。
図5は、本発明のジャッキアップ用車体構造の作用図である。
車両11を上げる場合、車両11の下にジャッキ装置64をポイント底部51まで運び入れる。その際、作業者Mは、リヤバンパ18の近くから車両11の下を矢印a2のように見ると、すぐにポイント底部51を特定することができる。従って、作業者Mがジャッキ装置64を当てるポイント底部51を目視するのは容易となる。
このように、ジャッキアップ用車体構造26では、ジャッキ受部材34は、ジャッキ装置64を当てるポイント底部51を成形し、ポイント底部51に連ねた断面コ字状の溝形側板部52,53同士を内向きに離して対向させ、離れた端部55,55側をプレート(プレート部)62で結合し、端部56,56側をプレート(プレート部)63で結合して断面ロ字状としたボックス構造であり、ボックス構造の上部(第1〜第4取付け部)41〜44を車体11のリヤの左右に渡るリヤエンドクロスメンバー24の下面33に固定するとともに、ポイント底部51をリヤバンパ18の下端近傍に配置したので、作業者Mがポイント底部51を目視するのは容易である。
図3及び図4に示すように、ジャッキ受部材34は、U字状のU形前後材46を成形し、U形前後材46にU字状のU形左右材47を溶接で一体的に組み合わせたもので、深さHで深い形状を成形しても、板厚はほぼ均一であり、強度を高めることができる。
ジャッキ受部材34では、溝形側板部52,53同士を内向きに中央位置で距離B1だけ離して対向させ、離れた端部55,55側をプレート(プレート部)62で結合し、端部56,56側をプレート(プレート部)63で結合して断面ロ字状としたボックス構造である。その結果、溝形側板部52,53並びにプレート(プレート部)62,63の強度を高めることができる。
ジャッキ受部材34では、溝形側板部52は、断面コ字状を構成するように本体部54の両側に端部55,56を成形したので、角はアール部57,57となり、ジャッキ受部材34の角に触れても、触れたものに傷はつかない。
従って、強度を損なうことなく絞り成形品相当の形状を備えることで触れたものの傷を防止することができる。
このように、ジャッキ受部材34は、ジャッキ装置64を当てるポイント底部51を成形し、ポイント底部51に連ねた断面コ字状の溝形側板部52,53同士を内向きに離して対向させ、離れた端部55,55側をプレート(プレート部)62で結合し、端部56,56側をプレート(プレート部)63で結合して断面ロ字状としたので、溝形側板部52,53の角はアール形状とり、強度を損なうことなく絞り成形品相当の形状を備えることで触れたものの傷を防止することができる。
本発明のジャッキアップ用車体構造は、四輪車に好適である。
本発明のジャッキアップ用車体構造を採用した車両の斜視図 図1の2矢視図 本発明のジャッキアップ用車体構造に用いたジャッキ受部材の斜視図 図3の4−4線断面図 本発明のジャッキアップ用車体構造の作用図 従来の技術の基本構成(その1)を説明する図 従来の技術の基本構成(その2)を説明する図
符号の説明
11…車両、18…リヤバンパ、23…リヤサイドフレーム、24…リヤエンドクロスメンバー、26…ジャッキアップ用車体構造、33…リヤエンドクロスメンバーの下面、34…ジャッキ受部材、41〜44…ボックス構造の上部(第1〜第4取付け部)、51…ポイント底部、52,53…溝形側板部、55…端部、62…プレート(プレート部)、64…ジャッキ装置。

Claims (1)

  1. 車両(11)リヤの左右に渡るリヤエンドクロスメンバー(24)の底にジャッキ装置を受けるジャッキ受部材(34)を配置したジャッキアップ用車体構造において、
    前記リヤエンドクロスメンバー(24)は、前方に向けた第1側部(27)と、後方に向けた第2側部(31)と、下方に向けた第3側部(32)と、からなり、リヤエンドクロスメンバー(24)の上部の開口に連ねた取付け部(36)にリヤフロア(25)を取付け、
    前記ジャッキ受部材(34)は、U字状のU形前後材(46)を成形し、U形前後材(46)に左右材(47)を組み合わせて断面ロ字状としたボックス構造で、前記U形前後材(46)は、中央にジャッキ装置を当てるポイント底部(51)を成形し、該ポイント底部(51)に連ねた前後の断面コ字状の溝形側板部(52,53)を成形し、前側の溝形側板部(52)の上部に第1取付け部(41)を設け、後側の溝形側板部(53)の上部に第2取付け部(42)を設け、前記ポイント底部(51)に連ねた断面コ字状の溝形側板部(52,53)同士を内向きに離して対向させ、このU形前後材(46)の端部(55,56)側をそれぞれ前記左右材(47)のプレート(62,63)で結合し、
    前記リヤエンドクロスメンバー(24)前記第1側部(27)にジャッキ受部材(34)の前記第1取付け部(41)を取付け、前記第2側部(31)に前記第2取付け部(42)を取付けるとともに、前記ポイント底部(51)をリヤバンパ(18)の下端近傍に配置したことを特徴とするジャッキアップ用車体構造。
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