JP4327410B2 - バッチ式水熱反応器及び水熱反応装置 - Google Patents

バッチ式水熱反応器及び水熱反応装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バッチ式水熱反応器、及び水熱反応装置に関し、更に詳細には、開閉が容易で、熱効率が高く、しかも死水域が生じない構成の処理能率の高いバッチ式水熱反応器、及びそのようなバッチ式水熱反応器を備えた水熱反応装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、有機物の酸化、分解能力の高い超臨界水反応を利用して、環境汚染物質を分解、無害化する試みが注目されている。すなわち、超臨界水の高い反応性を利用した超臨界水反応により、従来技術では分解することが難しかった有害な難分解性の有機物、例えば、PCB(ポリ塩素化ビフェニル)、ダイオキシン、有機塩素系溶剤等を分解して、二酸化炭素、窒素、水、無機塩などの無害な生成物に転化する試みである。
その試みの一つとして、最近では、このような有害な有機化合物を含む、様々な下水汚泥、都市ゴミ、産業排水等の液状及び固体状の広義の廃棄物の処理にも、超臨界水反応の利用が試みられている。
【0003】
ところで、汚染固形物を連続式の超臨界水反応装置で処理する場合には、固形物を粉砕してスラリー化することが必要であるものの、固形物によっては粉砕することが技術的に難しいものもある。また、仮に固形物を粉砕してスラリー化できたとしても、沈殿等のスラリー固有の種々の問題がある。
そこで、被処理固形物をスラリー化することなく、そのままの形態で反応器に投入し、バッチ式で超臨界水処理することが必要になっている。
また、バッチ式反応器は、超臨界水反応に伴う反応器の腐食を抑制することが容易であり、またバッチ毎に反応容器を開放するので、中和に伴い析出した無機塩の排出が容易であるという優れた利点も有する。
【0004】
ここで、図5を参照して、従来のバッチ式超臨界水反応装置の構成を説明する。図5は従来のバッチ式超臨界水反応装置の構成を示すフローシートである。
従来のバッチ式超臨界水反応装置80は、被処理対象である有機性固形物をバッチ式で超臨界水反応により処理する装置であって、図5に示すように、バッチ式反応器81と、反応器81に超臨界水を送入する送水手段82と、反応器81に酸化剤として空気を送入する空気圧縮機83とを備えている。
【0005】
反応器81は、蓋体81aと反応器本体81bとから構成され、処理対象固形物を内部に収容して超臨界水処理を施す、開閉自在なオートクレーブ式の反応器であって、容器内部に処理対象固形物を支持し、生成反応物及び超臨界水を通過させる目板状の支持板84を有する。
81aは、蓋体81a及び反応器本体81bのフランジ同士のボルト締結により反応器本体81bに連結されている。
【0006】
送水手段82は、水を収容した水タンク85と、水タンク85に収容された水を送水する送水ポンプ86と、送水ポンプ86によって送水された水及び後述するブースタ・ポンプ94によって送水された循環水の合流水を反応器81から流出した処理流体と熱交換させて合流水を昇温すると共に流体を冷却する熱交換器87と、超臨界水反応に必要な所定の温度、つまり超臨界水温度に合流水を昇温する加熱炉88とを備え、送水管89を介して超臨界水を反応器81に送水する。
空気圧縮機83は、圧力調節、流量調節を行うことにより吐出流量を変えることができる流量可変式の圧縮器であって、空気供給管90及び送水管89を介して反応器81に酸化剤として空気を送入する。
【0007】
反応生成物流出系は、反応器81から処理流体を流出させる流出管91と、熱交換器87の下流に設けられた気液分離器92と、気液分離器92の圧力、従って間接的に反応器81の圧力を制御する圧力制御装置93と、気液分離して得た水成分を循環するブースタ・ポンプ94とを備えている。
【0008】
気液分離器92は、処理流体を気液分離してガス成分と水成分とに分離する。ガス成分は、気液分離器92の頂部に接続されたガス放出管95を経て大気に放出されるか、又は次の処理工程、例えばCOガスが許容量以上の濃度でガス中に含まれている場合には、COコンバータに送られる。
気液分離器92の圧力を制御する圧力制御装置93は、ガス放出管95に設けられた圧力計96の圧力測定値に基づいて、圧力調節弁97の弁開度を調節して気液分離器92の圧力、従って反応器81内の圧力が所定圧力になるように制御する。また、ガス成分中のCOガス濃度を測定するために、ガス放出管95にはCO濃度計98が設けてある。
気液分離器92内の水成分は、ブースタ・ポンプ94によって昇圧され、循環水として送水管99を経由して送水管89に送水される。
【0009】
バッチ式超臨界水反応装置80を運転する際には、先ず、反応器81を開放して、バッチ運転1回分の処理対象固形物を支持板84上に載せ、反応器81を閉止する。
次いで、送水ポンプ86を起動して水タンク85から水を送水管89により熱交換器87を経由して加熱炉88に送り、加熱して反応器81に供給する。
反応器81から流出する処理流体(運転開始当初は水である)は、熱交換器87を通って気液分離器92に入り、ブースタ・ポンプ94により昇圧されて送水管99を経由、送水管89に入り、送水ポンプ86からの水と合流して熱交換器87及び加熱炉88で加熱され、次いで反応器81に入り、徐々に循環が開始される。
ブースタ・ポンプ94による循環水量が増加するにつれて、送水ポンプ86による送水量を減少させる。最終的には、ガス放出管95からガスに同伴して系外に放散する水の量だけ、送水ポンプ86により補充することになる。
【0010】
流出管91に設けた温度計100で測定した温度が370℃程度に到達した時点で、空気圧縮機83を起動して、空気供給管90及び送水管89を経由して水と共に空気を反応器81に送入する。空気圧縮機83からの空気供給量は、温度計100の温度を見ながら温度上昇が速ければ低減し、温度上昇が遅ければ増量する。
反応器81内の条件が超臨界水反応の所定条件に到達すると、超臨界水反応が開始され、徐々に進行する。超臨界水反応の進行と共に流出管91から流出する処理流体は、ガス成分、例えばCO2 ガス、COガスを同伴するようになり、気液分離器92で分離され、ガス放出管95を介して放出される。同時に圧力制御装置93を動作させて、気液分離器92内の圧力、従って反応器81内の圧力を所定圧力に制御する。
【0011】
COガス濃度計98で計測したCOガス濃度がゼロとなり、酸素濃度が大気中の値と変わらない値になると、反応器81内の超臨界水反応が終点に達したと判定できる。
超臨界水反応が終点に達した時点で、バッチ式超臨界水反応装置80全体の圧力を降圧し、次いで反応器81を開放する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、開閉自在なオートクレーブ式のバッチ式反応器を使って汚染固形物を効率良く処理するためには、以下のようなことが反応器の構成に要請されている。
先ず、第1には、蓋の開閉が容易なことである。つまり、バッチ式反応器を使って汚染固形物を処理する際には、バッチ処理毎に反応器の蓋を開放して汚染固形物を反応器内に収容し、次いで蓋を閉止し、処理後には蓋を開放して残渣を取り出すことが必要である。従って、蓋の開閉が容易でないと、処理能率を向上させることが難しい。
【0013】
例えば、リングジョイントタイプのガスケットを使用したフランジ構造で反応器の蓋と反応器本体とを連結する方式では、ガスケットの価格が高く、しかもガスケットの許容使用回数は1回であるために、ガスケットのコストが嵩むと言う問題がある。
また、ボルトテンショナーを使用して大きな締め付けトルクでボルトを締め付けることが必要であるために、内容積200リットル規模の反応器の蓋の1回の開閉に、作業員3人で5〜6時間の作業時間が必要となる。
【0014】
また、ダブルコーンタイプのガスケットを使用したフランジ構造や、超臨界二酸化炭素反応の反応器でシール構造として採用されているグレイシールタイプのガスケットを使用したフランジ構造で反応器の蓋と反応器本体とを連結する方式では、リングジョイントタイプのガスケットを使用したフランジ構造ほどではないにしろ、同じように開閉に長時間を要し、コストが嵩むという問題がある。
【0015】
また、上述の3例のガスケットを使用した場合、程度の差こそあれ、ガスケットと接触するフランジのシート面に変形が発生し、しかもガスケットの装着が悪いと圧痕が残る場合もあるので、フランジのシール面の手入れに労力とコストがかかる。
いずれにしろ、バッチ式反応器の蓋と反応器本体の連結方式として上述の3例のガスケットのいずれかを使用したフランジ構造の蓋では、開閉に時間と労力とコストとを要し、実用的ではない。
【0016】
第2には、反応器に汚染固形物を収容した後の反応器の加熱性及び断熱性が良好なことが必要である。
つまり、効率的なバッチ式反応処理を行うためには、反応器の加熱性及び断熱性を向上させて、反応器の昇温及び冷却に要する時間を短縮することが必要である。
更には、熱容量の大きな反応器自体を加熱すると、所要熱エネルギーが膨大となり、また加熱に長時間を要するなどの問題があるので、反応器自体よりは寧ろ反応領域のみを効率的に加熱することが必要である。
加熱性及び断熱性に関連して、反応器が圧力容器と内筒から構成される圧力バランス型二筒式反応器の場合、圧力容器と内筒の空間に供給する圧力バランス用空気により、内筒の一部、例えば下部が冷却されて内筒内の温度が低下するという問題もある。
【0017】
第3には、反応器内に死水域が生じないようにすることである。従来の圧力バランス型二筒式反応器では、超臨界水又は亜臨界水を内筒下部に導入すると、内筒下部に死水域が生じるという問題があった。
死水域では、一般的に、未分解物や腐食性流体が滞留し易く、固形物の分解性や、反応器の耐食性にとって好ましいことではない。
【0018】
以上の説明では、超臨界水反応装置に用いる反応器を例に上げて説明したが、これは超臨界水反応装置に用いる反応器に限る問題ではなく、例えば水熱反応による反応器全般に該当する問題である。
水熱反応とは、高温高圧水、例えば温度180℃以上、圧力1MPa以上の熱水を用いる反応を言う。
【0019】
そこで、本発明の目的は、開閉が容易で、熱効率が高く、しかも死水域が生じない構成のバッチ式水熱反応器、及びそのようなバッチ式水熱反応器を備えた水熱反応装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るバッチ式水熱反応器は、水熱反応により被処理物をバッチ式で処理する水熱反応器であって、
開口部を上部に有し、上部開口部から被処理物を収容し、内部を水熱反応域とする筒状有底の反応器本体と、
反応器本体の上部開口部を開閉する蓋体と、
蓋体による反応器本体の上部開口部の開閉を迅速化する非ボルト締結型急速開閉機構と、
反応器本体の下部又は側部に接続され、超臨界水又は亜臨界水、及び必要に応じて酸化剤を供給する供給管と、
反応器本体の下部又は側部に接続され、処理流体を排出する排出管とを備えたバッチ式水熱反応器において、
前記非ボルト締結型急速開閉機構が、一体型クランプ方式のものであって、
反応器本体の内径と同じ直径の短円柱状の部材である蓋体の周囲に、相互に離隔して外歯歯車状に外方水平方向に突出する複数個の第1突出部を有する外歯部と、
外方に円環状に突出する鍔部を有して、反応器本体の上部開口部に設けられたフランジと、
縦断面で見て上部及び下部がそれぞれ円環状に内方に突出する円環部として形成され、上部と下部との間の中間部が外歯部の第1突出部及びフランジの鍔部の重ね合わせを嵌め込む凹部として形成され、上部円環部に内歯歯車状に第2突出部を備え、かつ下部円環部の内側面をフランジの鍔部の下面に接して反応器本体の上部開口部周りに回動自在に装着されたリング状の内歯部材と、
蓋体を昇降させる昇降機構と、
内歯部材を反応器本体の上部開口部周りに回動させる回動機構とを備え、
内歯部材の第2突出部は、第1突出部と同じ数で第1突出部の先端幅より小さくない間隔で内方水平方向に突出し、かつ内歯部材は蓋体を反応器本体の上部開口部に装着した際、第2突出部の内側面が第1突出部の上面と同じ高さに位置することを特徴としている。
【0021】
本発明に係る水熱反応器は、有機性有害物を含む固形物をバッチ式水熱反応処理する反応器として最適であるが、被処理物は固形物に限らず液体でも良い。
本発明では供給管及び排出管は、水熱反応器の開閉を容易にするために、蓋体ではなく反応器本体の下部又は側部に接続されている。
本発明で、非ボルト締結型急速開閉機構とは、一体型クランプ方式、又は通常のクランプ方式の開閉機構であって、蓋の開閉に要する時間が、30分間以内、長くとも1時間以内になるような開閉機構を意味する。
一体型クランプ方式とはクランプが反応器本体に一体化されている方式であり、クランプ方式とは通称グレイロック方式のようにクランプが反応器本体から分離されている方式のものである。
【0022】
本発明の好適な実施態様では、急速開閉機構として一体型クランプ方式のものが設けられている。本急速開閉機構は内歯部材の凹部を外歯部の第1突出部と反応器本体のフランジの鍔部の重ね合わせに嵌め込んで内歯部材を固定することにより、蓋体を反応器本体に固定しているので、ボルト締結型とはことなり開閉に要する時間が短い。
つまり、本実施態様の急速開閉機構は、一体型クランプ方式であって、
反応器本体の内径と同じ直径の短円柱状の部材である蓋体の周囲に、相互に離隔して外歯歯車状に外方水平方向に突出する複数個の第1突出部を有する外歯部と、
外方に円環状に突出する鍔部を有して、反応器本体の上部開口部に設けられたフランジと、
縦断面で見て上部及び下部がそれぞれ円環状に内方に突出する円環部として形成され、上部と下部との間の中間部が外歯部の第1突出部及びフランジの鍔部の重ね合わせを嵌め込む凹部として形成され、上部円環部に内歯歯車状に第2突出部を備え、かつ下部円環部の内側面をフランジの鍔部の下面に接して反応器本体の上部開口部周りに回動自在に装着されたリング状の内歯部材と、
蓋体を昇降させる昇降機構と、
内歯部材を反応器本体の上部開口部周りに回動させる回動機構と
を備え、
内歯部材の第2突出部は、第1突出部と同じ数で第1突出部の先端幅より小さくない間隔で内方水平方向に突出し、かつ内歯部材は蓋体を反応器本体の上部開口部に装着した際、第2突出部の内側面が第1突出部の上面と同じ高さに位置する。
蓋体は水平な状態で昇降機構による上下動のみが可能であり、回動しない。一方、内歯部材は回動自在であるものの、反応器本体に一旦装着すると、上下動はできない。
【0023】
本実施態様の急速開閉機構では、好適には、外歯歯車状に外方に突出する第3突出部が相互に離隔してフランジの鍔部に設けられ、かつ第3突出部と同じ数で第3突出部の先端幅より小さくない間隔で内歯歯車状に内方水平方向に突出した第4突出部が内歯部材の下部円環部に設けられ、
内歯部材を反応器本体に装着する際、フランジの第3突出部同士の間から内歯部材の第4突出部を送入することにより内歯部材を反応器本体に装着する。
これにより、内歯部材を例えば半割り状の2個の部材に分割し、半割り部材の端部をボルト結合して反応器本体に装着する代わりに、リング状の内歯部材をそのままの形態で容易に反応器本体に装着することができる。
【0024】
本実施態様の急速開閉機構は、蓋体の開閉に際し、以下のように動作する。
つまり、蓋体を反応器本体の上部開口部に装着して反応器本体を閉止する際には、内歯部材の第2突出部同士の間隙から蓋体の外歯部の第1突出部を昇降機構によって下降させて外歯部を内歯部材の下側に位置させ、次いで回動機構によって内歯部材を回動して内歯部材の第2突出部の内側面を外歯部の第1突出部の上面に接触させて、内歯部材の凹部に外歯部及びフランジを嵌め込むことにより、蓋体を反応器本体の上部開口部に固定するともに反応器本体を閉止し、
蓋体を反応器本体の上部開口部から取り外して反応器本体を開放する際には、回動機構によって内歯部材を回動して内歯部材の第2突出部の内側面と蓋体の外歯部の第1突出部の上面との接触及び外歯部及びフランジの内歯部材の凹部への嵌め込みを解除し、次いで内歯部材の第2突出部同士の間隙から外歯部の第1突出部を上昇させて蓋体を上方に取り外す。
【0025】
本発明の更に好適な実施態様では、蓋体の下部は反応器本体の内径と同じ直径の封止部として構成され、封止部の外周面にはO−リングタイプのパッキン又はオムニシールタイプのパッキンが封止体として設けられ、
蓋体による反応器本体の閉止時には、封止部を反応器本体に嵌入して反応器本体を封止する。
パッキンの材質は、耐高温、耐腐食性を兼ね備えるものであれば、特に限定するものではない。例えばフッ素樹脂からなるパッキンである。
【0026】
更に好適には、封止を確実にするために、複数本のリング状のパッキンが封止体として封止部の下部から上部に離隔して設けられている。
望ましくは、パッキンによる封止から漏れ出た流体の有無を検出するために、外部と連通する連通管がウイープホールとしてパッキンとパッキンとの間の封止部の外周面に開口しているようにする。
【0027】
更には、冷却水により封止部を冷却してパッキンの温度をパッキンの許容温度以下に維持する冷却ジャケットが、蓋体の封止部に設けられている。パッキンの許容温度は、材質にもよるが、例えば250℃である。
冷却水が流れる流路は、特に限定するものではないが、好ましくはパッキンの周辺から流入して積極的にパッキン部分を冷却する構造の方が望ましい。また、冷却水流路は、反応器内の高い圧力がかからないように隔離され、常圧又は低圧の水圧の冷却水を流すことができるようにすることが望ましい。
【0028】
本発明の好適な実施態様では、反応器を構成する反応器本体及び蓋体により水熱反応の圧力を保持する圧力容器形成し、かつ内部を水熱反応域とする反応カートリッジを反応器内に設けて、反応器を二重筒型反応器として構成し、供給管及び排出管を反応カートリッジに接続し、圧力バランス用流体を反応器と反応カートリッジとの間に送入して、反応器内の圧力と反応カートリッジ内の圧力を所定圧力差に維持する。
反応カートリッジにより水熱反応域を構成し、反応器本体と蓋体とから圧力容器を構成する二重筒型反応器とすることにより、耐腐食性の高価な金属材料からなる反応カートリッジの所要肉厚を小さくして、水熱反応器の経済性を高めることができる。
つまり、水熱反応器の構成を、耐圧容器である反応器本体及び蓋と、耐腐食性容器である反応カートリッジとの機能別二重筒型容器にすることにより、水熱反応器のコストを低減することができる。
【0029】
反応カートリッジが密閉型容器であって、超臨界水又は亜臨界水、及び必要に応じて酸化剤を供給する供給管が、反応器本体の下部又は側部を貫通して反応カートリッジの底部に接続され、かつ供給管の出口開口には分散板が設けられ、
処理流体を排出するために、反応カートリッジ内の上部に入口開口を有する排出管が、反応カートリッジ内を経て反応カートリッジの底部を貫通し、更に反応器本体の下部又は側部を貫通する外部接続口に接続されている。
供給管の出口開口に衝突板等の分散板を設けて、超臨界水又は亜臨界水、及び酸化剤の混合流体を分散させ、混合させることにより、従来のように反応カートリッジの下部に死水域を発生させるようなことが抑制される。また、混合により、内部加熱器の加熱を促進させることができる。
【0030】
また、反応カートリッジの外側に内部加熱器が設けられている。断熱材からなる断熱壁が内部加熱器の外側に沿って及び反応器本体の内壁に沿って設けてある。これにより、反応器本体及び蓋体の加熱を抑制し、水熱反応域のみを加熱して所要熱エネルギーを節減し、昇温に要する時間を低減することができる。
内部加熱器として、シースヒータ、パイプヒータ、抵抗発熱型ヒータ、誘導加熱器の何れかであることが好ましい。
【0031】
筒状隔壁体が反応カートリッジと反応器本体との間の環状空間に反応カートリッジと同芯状に設けられ、
圧力バランス用空気が反応器本体と隔壁体との間の環状空間に導入され、次いで隔壁体と反応カートリッジとの間を流れ下りて空気断熱層を形成すると共に反応器本体内の圧力と反応カートリッジ内の圧力を所定圧力差に維持しつつ反応カートリッジに導入されることなく反応器本体から外部に排出される。
空気断熱層を形成することにより、反応カートリッジの加熱性及び断熱性を高めることができる。
【0032】
本発明の好適な実施態様では、被処理物が固形物のときには、通液性が高く、フィルタ機能を有する出し入れ自在の固形物保持カートリッジを備え、有機性有害物を含む固形物を固形物保持カートリッジに収容して、水熱反応域に保持する。
固形物保持ユニットは、固形物を反応器本体内又は反応カートリッジ内の所定領域に保持できる構造であれば、特に構造を限定するものではない。好ましくは、固形物から出る微細物が外部に流出するのを防止するために、フィルタ機能を有する材質で形成され、固形物の出し入れが容易な開閉自在な筒型カートリッジタイプの構造である。
固形物保持カートリッジを使用することにより、固形物の収容及び固形物の処理残渣の排出が容易になる。
【0033】
本発明に係る水熱反応器は、固形物の水熱反応処理を目的とする限り、固形物の性状、形状に制約なく適用できる。
例えば、本発明に係る水熱反応器は、PCBやダイオキシンなどの難分解性有害化学物質、それらに汚染された固形物、環境ホルモン物質、環境ホルモンを含んだ固形物、農薬、農薬に汚染された固形物、農薬を含有する土壌等を好適に水熱反応処理することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照し、実施形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。
水熱反応器の実施形態例
本実施形態例は本発明に係るバッチ式水熱反応器の実施形態の一例であって、図1は本実施形態例のバッチ式水熱反応器の構成を示す断面図、図2(a)及び(b)は、それぞれ、蓋体の縦断面図及び平面図、並びに図3(a)及び(b)は、それぞれ、内歯部の縦断面図及び矢視I−Iの横断面図である。
本実施形態例のバッチ式水熱反応器(以下、簡単に反応器と言う)10は、図1に示すように、反応カートリッジとして設けられた密閉型内筒14と、内筒14を収容する上部開放の有底反応器本体16と、反応器本体16の上部開口を閉止する反応器蓋体18とを備え、二重筒型の圧力バランス型反応器として構成されている。
【0035】
また、被処理物である固形物Wを収容するために、内筒14内に出し入れ自在の固形物保持カートリッジ12が設けられている。
固形物保持カートリッジ12は、図1に示すように、円筒形のカートリッジ本体20と、カートリッジ本体20の直径より僅かに大きな直径を有し、上方からカートリッジ本体20を蓋する蓋部22とから構成されていて、処理される固形物Wは、カートリッジ本体20の底壁に支持されて内部に収容される。
また、通水性を確保し、かつ固形物から生じる微細物を流出させないために、カートリッジ本体20の筒壁及び底壁、並びに蓋部22は、フィルタ機能を有する多孔性板、例えばステンレス鋼を原料とする焼結金属で形成されている。
【0036】
内筒14は、内部が水熱反応の反応域となる密閉式容器であって、図1に示すように、上部開放で有底の筒体24と、筒体24の上部開口を密閉する筒蓋26とから構成され、筒体24と筒蓋26とは、パッキン25を介するフランジ結合又はクランプ結合により開閉自在に密閉して連結される。
筒体24は、下部に設けられた複数本の脚部28を介して反応器本体16の底板16aに支持されていて、筒体24の底壁24aと反応器本体16の底板16aとの間は、空気が自在に流れることができるようになっている。
また、筒体24の円筒壁及び底壁には、内筒14内に収容された固形物、水、空気等を加熱するために環状の加熱体30がコイル状に巻回されている。加熱体30は、例えばシースヒータである。
【0037】
更に、筒体24を断熱して加熱体30による加熱を促進し、かつ熱の放散を防止するために、例えば溶融シリカなどのセラミック材の断熱材からなる円筒状の断熱壁32が断熱体として筒体24の円筒壁に巻回された加熱体30の外側に設けられている。
また、筒蓋26の外面には、同じく溶融シリカなどのセラミック材の断熱材からなる板状の断熱壁33が断熱体として設けられている。
【0038】
筒体24は、底板24aから離隔して円環状に設けられた支持部35を備え、固形物保持カートリッジ12のカートリッジ本体20の底部周辺部20aを支持部35で支持する。これにより、筒体24の底板24aとカートリッジ本体20の底部との間には、後述する分散板42として衝突板(バッフル板)を設置する空間が形成される。
本実施形態例では、内筒14内の圧力を反応器本体16内の圧力Pより僅かに低い圧力P′に維持することにより、内筒14の筒体の設計圧力をP−P′の低い圧力、例えば0.1〜0.3MPaに設定することができる。これにより、高価な耐腐食性金属からなる内筒14の肉厚を薄くして、内筒14のコストを低減することができる。
【0039】
反応器10、従って反応器10を構成する反応器本体16及び蓋体18は、水熱反応の反応圧力及び反応温度に耐えることができる圧力容器として形成されている。
反応器本体16は、上部開放で有底の円筒体であって、加熱体30による内筒14の加熱を促進するために、例えば溶融シリカなどのセラミック材の断熱材からなる円筒状の断熱壁34が反応器本体16の円筒壁の内壁面に沿って断熱体として設けられている。
また、円筒状の隔壁体36が断熱壁34及び断熱壁32からそれぞれ離隔して反応器本体16の底壁16aから直立している。
【0040】
反応器10を介して外部から内筒14に水(超臨界水、亜臨界水を含む)と酸化剤、例えば空気との混合流体を導入する内部導入管38が、反応器本体16の底板16aの貫通孔40の内側出口から反応器本体16内を経て内筒14の筒体24の底板24aを貫通し、上方に突出している。
内部導入管38の開口端には、分散板42、例えば衝突板が設けられ、内部導入管38から導入された混合流体を分散板42に衝突させて底板24aに沿う流れに向きを変えて均一な分散で内筒14内に導入するようになっている。これにより、従来の二重筒型反応器の反応カートリッジの底部で生じていたような死水域の発生を防止することができる。
【0041】
また、処理流体を内筒14から流出させるために、固形物保持カートリッジ12の蓋部22と内筒14の筒蓋26との間に流入口44を有し、固形物保持カートリッジ12内を経て内筒14の底板24aを貫通して、反応器本体16の底板16aの貫通孔46に到る処理流体導出管48が設けられている。
尚、処理流体導出管48のうち固形物保持カートリッジ12の蓋部22から上方に突出している管部分48aは、蓋部22の取り付け、取り外しのために、差し込み結合49により脱着自在になっている。
【0042】
本実施形態例では、反応器本体16内の圧力Pを内筒14内の圧力P′より僅かに高い圧力に維持するために、反応器本体16内に圧力バランス用の空気を流入させ、流出させている。
圧力バランス用空気の流入口として貫通孔50が断熱壁34と隔壁体36との間の反応器本体16の底板16aに、また圧力バランス用空気の流出口として貫通孔52が内筒14の底板24a下方の反応器本体16の底板16aに設けられている。
【0043】
圧力バランス用空気は、貫通孔50から断熱壁34と隔壁体36との間に流入して上昇し、次いで隔壁体36と断熱壁32との間を下降し、断熱壁32の下部開口(図示せず)及び内筒14の脚部28を経て反応器本体16の底板16aと内筒14の底板24aとの間の空間に到り、続いて貫通孔52から外部に流出する。
【0044】
これにより、圧力バランス用空気は、断熱壁34と隔壁体36、及び隔壁体36と断熱壁32との間に空気断熱層を形成すると共に反応器本体16内の圧力と内筒14内の圧力を所定圧力差に維持する。
圧力バランス用空気は、空気断熱層を形成することにより、反応器本体16の温度が上昇し過ぎないように反応器本体16を断熱し、常温で供給される圧力バランス用空気が内筒14を冷却しないように内筒14を断熱する。
また、経路を流れる間に圧力バランス用空気が加熱され、加熱された圧力バランス用空気が内筒14の周囲に流入することにより、内筒14を保温する効果を奏する。
【0045】
蓋体18は、一体型クランプ方式の急速開閉機構によって反応器本体16を閉止するようになっている。
急速開閉機構は、図2(a)及び(b)に示すように、蓋体18の外周に設けられた外歯部54と、蓋体18を水平な状態で上下に昇降させる昇降機構(図示せず)と、図3(a)及び(b)に示すように、外方に円環状に突出する鍔部55aを有して、反応器本体16の上部開口部に設けられたフランジ55と、反応器本体16の上部をリング状に囲む内歯部材56と、内歯部材56を反応器本体の上部開口部周りに回動させる回動機構(図示せず)とから構成されている。
【0046】
蓋体18は、図2(a)に示すように、反応器本体16の内径より大きな直径の上部の大径部18aと、反応器本体16の内径と等しい直径の下部の小径部18bとからなる短円柱状の部材である。
蓋体18の小径部18bを反応器本体16の上部開口に嵌入し、封止することにより、反応器本体16を閉止することができる。
【0047】
外歯部54は、蓋体18の大径部18aの外周に設けられていて、水平方向に突出する12個の肉厚の厚い第1突出部54aを大径部18aの外周に等間隔で外歯歯車状に備えている。
第1突出部54aは、図2(b)に示すように、蓋体18の半径方向を対称軸として左右対称な形状の台形であって、先端の幅が基端の幅より僅かに小さく、先端の両端及び基端の両端にアールを設けた形状である。第1突出部54a同士の間隔は先端幅に等しく、従って先端の幅+基端の幅の12倍が大径部18aの円周に等しくなっている。
【0048】
小径部18bは、直径が反応器本体16の上部開口の開口径と同じ寸法であって、小径部本体58aと、小径部本体58aの下部に設けられた冷却ジャケット板58bとから構成されている。
小径部本体58aの外周面には、小径部本体58aと冷却ジャケット板58bとの連結部に設けられている第1パッキン溝と、第1パッキン溝から離隔して上方に設けられた第2パッキン溝とを備え、それぞれに、第1パッキン60及び第2パッキン62として許容温度が250℃のフッ素樹脂からなるO−リングが装着されている。
【0049】
第1パッキン60と第2パッキン62との間には、外部に連通する連通管64がウイープホールとして開口し、第1パッキン60による封止から漏れ出た流体を圧力計66で検出することができる。
また、連通管64の外部開口端には開閉弁68が設けてあり、開閉弁68を開放して漏れ出た流体を外部に排出するようになっている。
【0050】
冷却ジャケット板58bには、第1パッキン60及び第2パッキン62の温度が許容温度以上に上昇しないように、小径部18bを冷却する冷却水流路70が冷却ジャケット板58bに沿ってコイル状に設けられている。
冷却水流路70は、冷却ジャケット板58bに設けられた溝と小径部本体58aの下面とから構成され、流入管72からパッキン冷却用の水温の低い冷却水を第1パッキン60に近い位置に送水して冷却水流路70に流し、水温が高くなった冷却水を中央の流出管74から排水するようになっている。
また、冷却水流路70と第1パッキン60との間には、パッキン溝が設けられ、封止用パッキン76が装着されている。これにより、冷却水の圧力を反応器10内の圧力から絶縁することができるので、冷却水の所要圧力を低い圧力に維持することができる。
【0051】
内歯部材56は、図3(a)に示すように、反応器本体16の上部開口部に装着されたリング状の部材である。
内歯部材56は、図3(a)に示すように、縦断面で見て上部円環部57a及び下部円環部57bがそれぞれ円環状に内方に突出する円環部として形成され、上部と下部との間の中間部57cが外歯部54の第1突出部54a及びフランジ55の鍔部55aの重ね合わせを嵌め込む凹部として形成されている。
そして、内歯部材56は、反応器本体16に設けられた支持機構59によって支持され、下部円環部57bの内側面をフランジ55の鍔部56aの下面に接して反応器本体16の上部開口部周りに回動自在に装着されている。
支持機構59は、内歯部材56の下部円環部57bの外側面に接する複数個の回転自在なローラ59aと、ローラ59aを回転自在に支持する軸受け部59bと、反応器本体16に取り付けられた支持体59cとで構成されていて、反応器本体16の周りに少なくとも3個が等間隔で設けてある。
【0052】
また、内歯部材56は、図3(b)に示すように、外歯部54の各第1突出部54aと対になるように内方に突出する12個の台形で肉厚の厚い第2突出部56aを内歯歯車状に周囲に等間隔で上部円環部57aに備えている。
第2突出部56aは、第1突出部54aと同様に、先端の幅が基端の幅より僅かに小さく、先端の両端及び基端の両端にアールを設けた形状であって、第2突出部56a同士の間隔は先端幅に等しい。
第2突出部56aは、基本的には第1突出部54aと同じ形状であって、第2突出部56aの先端の幅及び基端の幅が、それぞれ、第1突出部54aの先端の幅及び基端の幅に等しく、隣り合う第2突出部56aの間に第1突出部54aが丁度ピッタリ収まるようになっている。
【0053】
フランジ55は、反応器本体16の上部開口部に設けられたフランジであって、図示しないが、外歯歯車状に外方に突出する第3突出部が相互に離隔してフランジ55の鍔部55aに設けられている。
また、第3突出部と同じ数で第3突出部の先端幅より小さくない間隔で内歯歯車状に内方水平方向に突出した第4突出部(図示せず)が内歯部材56の下部円環部57bに設けられている。
内歯部材56を反応器本体16に装着する際には、フランジ55の第3突出部同士の間から内歯部材56の第4突出部を送入することにより、内歯部材56を反応器本体16に装着する。
これにより、内歯部材56を例えば半割り状の2個の部材に分割し、半割り部材の端部をボルト結合して反応器本体16に装着する代わりに、リング状の内歯部材56をそのままの形態で容易に反応器本体16に装着することができる。
【0054】
また、蓋体18を反応器本体16の上部開口に装着した際には、第2突出部56aの内側面が第1突出部54aの上面と同じ高さになるように、内歯部材56の内側面及び反応器本体16のフランジ55の鍔部55aの寸法が調整されている。
【0055】
蓋体18を反応器本体16の上部開口に装着して反応器本体16を閉止するときには、蓋体18を昇降機構によって下降させる。その際、図1に示すように、内歯部材56の第2突出部56a同士の間隙から外歯部54の第1突出部54aを下降させて外歯部54を内歯部材56の下側に位置させる。
次いで、回動機構によって内歯部材56を回動して内歯部材56の第2突出部56aの内側面を外歯部54の第1突出部54aの上面に接触させて、内歯部材56の凹部57cを外歯部54及びフランジ55に嵌め込み、固定することにより、蓋体18を反応器本体16の上部開口部に固定するともに反応器本体を閉止する。
【0056】
蓋体18を反応器本体16の上部開放部から取り外して反応器本体16を開放するときには、回動機構(図示せず)で内歯部材56を回動して、内歯部材56の第2突出部56aの内側面と蓋体18の外歯部54の第1突出部54aの上面との接触及び外歯部54及びフランジ55の内歯部材56の凹部57cへの嵌め込みを解除する。
次いで、内歯部材56の第2突出部56a同士の間隙から外歯部54の第1突出部54aを上昇させて蓋体18を上方に取り外す。
【0057】
第1突出部54aの上面、及び第2突出部56aの内側面は、それぞれ、第2突出部56aの内側面又は第1突出部54aの上面との接触、固定を強固にするために、テーパが設けられている。
また、第1突出部54aの横断面を楔状にして第2突出部56aの下に入り易く、かつ相互の固定が強固になるようにしても良い。
【0058】
水熱反応装置の実施形態例
上述の反応器10を使用した水熱反応装置110は、図4に示すように、従来のバッチ式超臨界水反応装置80の送水管89と空気供給管90の合流管を反応器10の貫通孔40に、流出管91を反応器10の貫通孔46にそれぞれ接続し、圧力バランス用空気を反応器10の貫通孔50に供給し、貫通孔52から排出することを除いて、基本的には図5に示す従来のバッチ式超臨界水反応装置80の構成と同じである。また、反応器10に設けた内部加熱器30で内筒14を加熱することにより、加熱炉88を省くこともできる。
但し、圧力バランス用空気を反応器10に供給する際には、反応器10を二重筒型反応器として機能させるために、圧力バランス用空気の供給圧を反応器10内の圧力より0.1〜0.3MPaだけ高く維持する。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、蓋体による反応器本体の上部開口部の開閉を迅速化する非ボルト締結型急速開閉機構を備え、超臨界水又は亜臨界水、及び必要に応じて酸化剤を供給する供給管を反応器本体の下部又は側部に接続し、処理流体を排出する排出管を反応器本体の下部又は側部に接続することにより、開閉が容易で処理能率の高いバッチ式水熱反応器及びバッチ式水熱反応装置を実現している。
また、本発明に係る水熱反応器を使用することにより、スラリー化に伴うトラブルが多い連続スラリー式水熱反応法の問題点を解決し、有害化学物質に汚染された固形廃棄物を水熱反応処理で安全に、かつ完全にバッチ処理することが可能となる。また、水熱反応技術の適用に際し、バッチ処理の処理量を増加させることが可能となるので、水熱反応技術の適用範囲を拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例のバッチ式水熱反応器の構成を示す断面図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、それぞれ、蓋体の断面図及び平面図である。
【図3】図3(a)及び(b)に示すように、内歯部材の断面図及び矢視I−Iの断面図である。
【図4】実施形態例のバッチ式超臨界水反応装置の構成を示すフローシートである。
【図5】従来のバッチ式超臨界水反応装置の構成を示すフローシートである。
【符号の説明】
10 実施形態例のバッチ式水熱反応器
12 固形物保持カートリッジ
14 密閉型内筒
16 反応器本体
18 蓋体
20 カートリッジ本体
22 蓋部
24 筒体
25 パッキン
26 筒蓋
28 脚部
30 加熱体
32 断熱壁
33 断熱壁
34 断熱壁
35 支持部
36 隔壁体
38 内部導入管
40 貫通孔
42 分散板
44 流入口
46 貫通孔
48 処理流体導出管
49 差し込み結合
50 貫通孔
52 貫通孔
54 外歯部
54a 第1突出部
55 フランジ
55a 鍔部
56 内歯部材
56a 第2突出部
57a 上部円環部
57b 下部円環部
57c 凹部
58a 小径部本体
58b 冷却ジャケット板
60 第1パッキン
62 第2パッキン
64 連通管
66 圧力計
68 開閉弁
70 冷却水流路
72 流入管
74 流出管
76 封止用パッキン
80 従来のバッチ式超臨界水反応装置
81 バッチ式反応器
82 送水手段
83 空気圧縮機
84 目板状の支持板
85 水タンク
86 送水ポンプ
87 熱交換器
88 加熱炉
89 送水管
90 空気供給管
91 流出管
92 気液分離器
93 圧力制御装置
94 ブースタ・ポンプ
95 ガス放出管
96 圧力計
97 圧力調節弁
98 CO濃度計
99 送水管

Claims (10)

  1. 水熱反応により被処理物をバッチ式で処理する水熱反応器であって、
    開口部を上部に有し、上部開口部から被処理物を収容し、内部を水熱反応域とする筒状有底の反応器本体と、
    反応器本体の上部開口部を開閉する蓋体と、
    蓋体による反応器本体の上部開口部の開閉を迅速化する非ボルト締結型急速開閉機構と、
    反応器本体の下部又は側部に接続され、超臨界水又は亜臨界水、及び必要に応じて酸化剤を供給する供給管と、
    反応器本体の下部又は側部に接続され、処理流体を排出する排出管とを備えたバッチ式水熱反応器において、
    前記非ボルト締結型急速開閉機構が、一体型クランプ方式のものであって、
    反応器本体の内径と同じ直径の短円柱状の部材である蓋体の周囲に、相互に離隔して外歯歯車状に外方水平方向に突出する複数個の第1突出部を有する外歯部と、
    外方に円環状に突出する鍔部を有して、反応器本体の上部開口部に設けられたフランジと、
    縦断面で見て上部及び下部がそれぞれ円環状に内方に突出する円環部として形成され、上部と下部との間の中間部が外歯部の第1突出部及びフランジの鍔部の重ね合わせを嵌め込む凹部として形成され、上部円環部に内歯歯車状に第2突出部を備え、かつ下部円環部の内側面をフランジの鍔部の下面に接して反応器本体の上部開口部周りに回動自在に装着されたリング状の内歯部材と、
    蓋体を昇降させる昇降機構と、
    内歯部材を反応器本体の上部開口部周りに回動させる回動機構とを備え、
    内歯部材の第2突出部は、第1突出部と同じ数で第1突出部の先端幅より小さくない間隔で内方水平方向に突出し、かつ内歯部材は蓋体を反応器本体の上部開口部に装着した際、第2突出部の内側面が第1突出部の上面と同じ高さに位置することを特徴とするバッチ式水熱反応器。
  2. 外歯歯車状に外方に突出する第3突出部が相互に離隔してフランジの鍔部に設けられ、かつ第3突出部と同じ数で第3突出部の先端幅より小さくない間隔で内歯歯車状に内方水平方向に突出した第4突出部が内歯部材の下部円環部に設けられ、
    内歯部材を反応器本体に装着する際、フランジの第3突出部同士の間から内歯部材の第4突出部を送入することにより内歯部材を反応器本体に装着することを特徴とする請求項に記載のバッチ式水熱反応器。
  3. 蓋体を反応器本体の上部開口部に装着して反応器本体を閉止する際には、内歯部材の第2突出部同士の間隙から蓋体の外歯部の第1突出部を昇降機構によって下降させて外歯部を内歯部材の下側に位置させ、次いで回動機構によって内歯部材を回動して内歯部材の第2突出部の内側面を外歯部の第1突出部の上面に接触させて、内歯部材の凹部に外歯部及びフランジを嵌め込むことにより、蓋体を反応器本体の上部開口部に固定するとともに反応器本体を閉止し、
    蓋体を反応器本体の上部開口部から取り外して反応器本体を開放する際には、回動機構によって内歯部材を回動して内歯部材の第2突出部の内側面と蓋体の外歯部の第1突出部の上面との接触及び外歯部及びフランジの内歯部材の凹部への嵌め込みを解除し、次いで内歯部材の第2突出部同士の間隙から外歯部の第1突出部を上昇させて蓋体を上方に取り外すことを特徴とする請求項又はに記載のバッチ式水熱反応器。
  4. 反応器を構成する反応器本体及び蓋体により水熱反応の圧力を保持する圧力容器形成し、かつ内部を水熱反応域とする反応カートリッジを反応器内に設けて、反応器を二重筒型反応器として構成し、供給管及び排出管を反応カートリッジに接続し、
    圧力バランス用流体を反応器と反応カートリッジとの間に送入して、反応器内の圧力と反応カートリッジ内の圧力を所定圧力差に維持することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のバッチ式水熱反応器。
  5. 反応カートリッジが密閉型容器であって、超臨界水又は亜臨界水、及び必要に応じて酸化剤を供給する供給管が、反応器本体の下部又は側部を貫通して反応カートリッジの底部に接続され、かつ供給管の出口開口には分散板が設けられ、
    処理流体を排出するために、反応カートリッジ内の上部に入口開口を有する排出管が、反応カートリッジ内を経て反応カートリッジの底部を貫通し、更に反応器本体の下部又は側部を貫通する外部接続口に接続されていることを特徴とする請求項に記載のバッチ式水熱反応器。
  6. 反応カートリッジの外側に内部加熱器が設けられていることを特徴とする請求項又はに記載のバッチ式水熱反応器。
  7. 断熱材からなる断熱壁が内部加熱器の外側に沿って及び反応器本体の内壁に沿って設けてあることを特徴とする請求項に記載のバッチ式水熱反応器。
  8. 筒状隔壁体が反応カートリッジと反応器本体との間の環状空間に反応カートリッジと同芯状に設けられ、
    圧力バランス用空気が反応器本体と隔壁体との間の環状空間に導入され、次いで隔壁体と反応カートリッジとの間を流れ下りて空気断熱層を形成すると共に反応器本体内の圧力と反応カートリッジ内の圧力を所定圧力差に維持しつつ反応カートリッジに導入されることなく反応器本体から外部に排出されることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載のバッチ式水熱反応器。
  9. 被処理物が固形物のときには、通液性が高く、フィルタ機能を有する出し入れ自在の固形物保持カートリッジを備え、有機性有害物を含む固形物を固形物保持カートリッジに収容して水熱反応域に保持することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のバッチ式水熱反応器。
  10. 請求項1からのいずれか1項に記載のバッチ式水熱反応器を備えていることを特徴とする水熱反応装置。
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