JP4327299B2 - 非焼成色鉛筆芯 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消しゴムで消去することができる非焼成色鉛筆芯及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の非焼成色鉛筆芯は、着色性を与えるため、その配合成分中に固体のワックス又は油脂類を含んでいる。しかし、これらは固体のワックス又は油脂類であるため、その筆跡を消しゴムで消すことが困難である。一方、常温で液体の油状物質を、着色剤、体質材、水溶性樹脂と共にそのまま配合した非焼成色鉛筆芯の場合は成型が困難となり、強度及び着色性が低下する。そこで、成型後の芯に常温で液体の上記油状物質を油浸して、油状物質を含まない原料組成物の芯体により成型性及び強度を確保しながら、油浸で含有された油状物質により着色性及び消しゴム消去性を確保した非焼成色鉛筆芯が考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この油浸型の非焼成色鉛筆芯の場合、油状物質を含まない原料組成物を混練し、成型し、乾燥した後、後工程として別に油状物質を含浸させる油浸工程が必要となる。この油浸工程では芯に油浸させるために加熱又は真空に引く等の工程が必要であり、しかも油浸後、芯表面の油を除去するために、遠心分離で処理、溶剤で洗浄、ふき取る、加熱するなどの工程も必要とするなど、製造上手間がかかり、煩雑であって、製造コスト上問題がある。
【0004】
本発明の目的は、上記の様な油浸工程を必要とせず、簡易な製造によって得られると共に、しかも着色性、機械的強度及び成型性を確保しながら、優れた消しゴム消去性を有する非焼成色鉛筆芯及びその製造方法を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、少なくとも着色剤、体質材及び必要に応じて溶剤が含まれた混合物に結合材又はその溶液を加えて混合液となし、これを混練した後、前記溶剤を除去し、しかる後これに少なくとも常温で液体の油状物質、H.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤及び水を含むO/W型エマルジョンを加えて混合し、この混合された原料組成物を成型した後、上記O/W型エマルジョンに含まれる水、及び残存している場合は前記溶剤を除去して得られる非焼成色鉛筆芯であれば、使用時に優れた消しゴム消去性が発揮されることを見出した。なお、上記O/W型エマルジョンには、エマルジョン安定化のため水溶性樹脂(水溶性結合材)を含んでいることが望ましい。
【0006】
かかる非焼成色鉛筆芯が何故に優れた消しゴム消去性を発揮するかについて更に検討を加えたところ、少なくとも着色剤、体質材及び必要に応じて水などの溶剤が含まれた混合物に結合材又はその溶液を加えて混合液とすることによって、着色剤及び体質材が結合材を含む溶液中で分散しており、これを混練し水などの前記溶剤を除去させることによって、結合材が表面に被覆された上記着色剤及び体質材の微粒子群が得られる。そして、この結合材で被覆された着色剤及び体質材の微粒子群の結合材液に、少なくとも常温で液体の油状物質、H.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤及び水を含むO/W型エマルジョンを加えて混練して成型し、その後前記溶剤とO/W型エマルジョンに含まれる水を乾燥等により除去することによって、H.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤によって上記油状物質が上記着色剤及び体質剤の微粒子群に結合材を介して固定されてなる集合組織が非焼成色鉛筆芯において主体をなして構成されるためであると考えられる。
【0007】
すなわち、本発明は、結合材、上記の着色剤及び体質材、常温で液体の油状物質、及びH.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤を含有する非焼成色鉛筆芯であるため、H.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤によって常温で液体の油状物質が結合材の結合力を疎外することなく存在して機械的強度のある成形体が確保されている。そしてさらに上記着色剤粒子及び体質材粒子が結合材で覆われていることから、この非焼成色鉛筆芯を用いて筆記すると、紙面上に付着した筆跡は、結合材で覆われた着色剤粒子及び体質材粒子が常温で液体の油状物質を伴う集合群として形成されており、筆跡表面がワックス又は油脂類等の油状物質で覆われないことにより消しゴムによる消去性が優れているものと推定される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる結合材としては、例えば、アラビアガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCナトリウム)、カルボキシメチルセルロースアンモニウム(CMCアンモウニウム)、メチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、メチルヒドロキシエチルセルロース等のほか、公知の水溶性又は非水溶性高分子化合物を合成、天然を問わず使用することができる。これらは単独または組み合わせて使用することができる。また後述する様な水などの溶剤を加えて結合材溶液としても用いることができる。結合材の配合量は、原料組成物(固形分)全量に対して3〜15重量%、好ましくは4〜6重量%である。結合材が原料組成物(固形分)全量の15重量%より過剰である場合には描き味が低下し、また原料組成物(固形分)全量の3重量%より過小に配合された場合には機械的強度が低下すると共に芯状への成形性が低下する。
【0009】
油状物質としては、常温で液体の油状物質が好ましい。これにより、前記の通り、H.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤によって、常温で液体の油状物質が、結合材の結合力を疎外せずに存在する結果、紙面上に付着した筆跡は、結合材で覆われた着色剤粒子及び体質材粒子が常温で液体の油状物質を伴う集合群として形成されるもので、筆跡表面がワックス又は油脂類等の油状物質で覆われないことによると考えられる。
【0010】
常温で液体の油状物質を具体的に例示すれば、流動パラフィン、シリコーンオイル、α−オレフィンオリゴマー、鯨油、液状ラノリン、ヒマシ油、オリーブ油、エポキシ化大豆油、スクワレン等を挙げることができる。油状物質は、合成、天然を問わずこれらを単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0011】
常温で液体の油状物質は、着色性及び発色性等を与えるために配合されるものであるが、特にその配合量は原料組成物(固形分)全量に対して3〜20重量%であることが望ましい。3重量%未満の場合は描き味及び着色性が低下し、20重量%を越えると芯状への成型性が低下し、機械的強度が得にくい。
【0012】
本発明で用いられる着色剤は、通常使用されている無機顔料、有機顔料のいずれも単独で又は組み合わせて使用することができる。また、パール顔料、蛍光顔料、金属粉顔料等も使用できる。その配合量は、原料組成物(固形分)全量に対して5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%である。上記配合量が原料組成物(固形分)全量の25重量%より過剰であると描き味が低下し、5重量%より過小であると発色が必ずしも十分でない。
【0013】
体質材としては、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナシリケート、カオリン等を例示することができる。そしてこれらの中から適宜選択して単独で又は組み合わせて使用できる。なお、タルクが体質材として最適である。体質材の配合量は、原料組成物(固形分)全量の60〜80重量%、好ましくは65〜75重量%である。体質材の配合量が原料組成物(固形分)全量の80重量%より過剰であると芯状への成型性が低下し、60重量%より過小であると描き味が低下する。
【0014】
本発明では、着色剤、体質材と共に分散剤を配合することが好ましい。かかる分散剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤を用いることができる。
【0015】
本発明で用いられる溶剤は、特に限定されるものではなく、水、アルコール系溶剤など各種の溶剤を単独又は混合して用いることができるが、最適な溶剤として水を用いることができる。
【0016】
本発明において、常温で液体の油状物質と共に配合される界面活性剤は、H.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤であれば特に限定されない。ここで、「H.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤」とは、H.L.B.価が7以上〜18以下の界面活性剤のほか、2種以上の界面活性剤を混合して界面活性剤全体のH.L.B.価が7以上〜18以下となる界面活性剤も含まれることをいう。H.L.B.価が7未満となるように界面活性剤を配合した場合は、W/O型の乳化作用をもつ。この点で、本発明で用いられる界面活性剤はH.L.B.価が7以上〜18以下となるような界面活性剤であるため、常温で液体の油状物質をO/W型のエマルジョンとして構成できる点で好適である。
【0017】
H.L.B.価が7以上〜18以下の界面活性剤としては、
モノラウリン酸ソルビタン(H.L.B.価:8.6)、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=4モル、H.L.B.価:9.5)、
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=4モル、H.L.B.価:9.6)、
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=5モル、H.L.B.価:10.0)、
トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=4モル、H.L.B.価:10.5)、
トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=4モル、H.L.B.価:11.0)、
ポリオキシエチレングリコール400モノオレイン酸エステル(H.L.B.価:11.4)、
ポリオキシエチレングリコール400モノステアリン酸エステル(H.L.B.価:11.6)、
ポリオキシエチレンノニルフェニル(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=9モル、H.L.B.価:13.0)、
ポリエチレングリコール400モノラウリン酸エステル(H.L.B.価:13.1)、
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=4モル、H.L.B.価:13.3)、
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル、H.L.B.価:14.9)、
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル、H.L.B.価:15.0)、
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル、H.L.B.価:15.3)、
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル、H.L.B.価:9)、
モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル、H.L.B.価:15.6)、
ポリオキシエチレンセチルエーテル(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル、H.L.B.価:15.7)、
ポリオキシエチレンステアリン酸エステル(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=30モル、H.L.B.価:16.0)、
ポリオキシエチレンステアリン酸エステル(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=40モル、H.L.B.価:16.9)、
モノオレイン酸デカグリセリル(H.L.B.価:12)、
ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル)ポリオキシプロピレン(プロピレンオキサイド鎖の付加モル数n=8モル)セチルエーテル(H.L.B.価:16.5)、
ジイソステアリン酸デカグリセリル(H.L.B.価:10)
を例示することができる。
【0018】
中でも、モノオレイン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル)、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル)ポリオキシプロピレン(プロピレンオキサイド鎖の付加モル数n=8モル)セチルエーテルが好適である。
【0019】
また、2種以上の界面活性剤を組み合わせてH.L.B.価が7以上〜18以下の界面活性剤として用いることができる。かかる場合、例えば、上記界面活性剤のほか、下記の界面活性剤を使用することができる。
【0020】
トリオレイン酸ソルビタン(H.L.B.価:1.8)、
トリステアリン酸ソルビタン(H.L.B.価:2.1)、
プロピレングリコールモノステアリン酸エステル(H.L.B.価:3.4)
セスキオレイン酸ソルビタン(H.L.B.価:3.7)、
非自己乳化性グリセロールモノステアリン酸エステル(H.L.B.価:3.8)
モノオレイン酸ソルビタン(H.L.B.価:4.3)、
プロピレングリコールモノラウリン酸エステル(H.L.B.価:4.5)、
ジエチレングリコールモノステアリン酸エステル(H.L.B.価:4.7)、
モノステアリン酸ソルビタン(H.L.B.価:4.7)、
自己乳化性グリセロールモノステアリン酸エステル(H.L.B.価:5.5)
ジエチレングリコールモノラウリン酸エステル(H.L.B.価:6.1)
モノパルミチン酸ソルビタン(H.L.B.価:6.7)
モノオレイン酸グリセリル(H.L.B.価:2.5)
等である。
なお、この中でも、セスキオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸グリセリルが好適である。
【0021】
H.L.B.価が7以上〜18以下となるような界面活性剤は、原料組成物(固形分)全量に対して少なくとも1重量%以上配合することが望ましい。当該界面活性剤の使用量が原料組成物(固形分)全量に対して1重量%未満の場合は、着色性、機械的強度及び押出成型機による成型性が低下する。
また、H.L.B.価が7以上〜18以下となるような界面活性剤の使用量は、原料組成物(固形分)全量に対して多くとも10重量%以下であることが望ましい。当該界面活性剤の使用量が原料組成物(固形分)全量に対して10重量%を越えて配合した場合は、描き味が低下する。
【0022】
なお、必要に応じて、滑剤を配合することもできる。滑剤は、書き味の滑らかさを与えるために配合されるものであり、潤滑性、白色度に優れたものであることが好ましい。具体的には合成雲母、天然雲母、窒化ホウ素、フッ化黒鉛等を好適に使用することができ、特に合成雲母、天然雲母、窒化ホウ素が最適である。
【0023】
特に、合成雲母は、劈開性に優れており、これを非焼成色鉛筆芯の滑剤として使用した場合、芯に適度な硬さを与えながら、筆記時においては芯の先端部が筆記面との摩擦により劈開し、書き味が向上する点で好ましい。特に、合成雲母の中でも水による膨潤性を持つ合成雲母が好ましい。
【0024】
ここでいう合成雲母とは、人工的に合成したフッ素雲母系鉱物を意味し、その構造は例えば天然雲母の結晶中の結晶水をフッ素で置き換えたものとしてとらえられる層状化合物であり、その層間で剥離しやすい劈開性を有する。具体的にはフッ素金雲母、フッ素4ケイ素雲母、デニオライトが例示される。また、合成雲母には非膨潤性のものと膨潤性のものとが存在するが、膨潤性のものがより好適に使用できる。なお、膨潤性の合成雲母とは結晶層間に水分子を引き入れて膨れ上がる性質を有するものである。なお、本発明で好適に使用される合成雲母としては例えばトピー工業社製商品名「DMA−350」が挙げられる。
【0025】
滑剤、特に合成雲母の配合量は限定されないが、原料組成物全量(固形分)に対して1〜15重量%配合することが好ましい。これらの範囲より過剰に含有してもこれらの範囲より少なすぎても書き味の低下を招くため好ましくない。
【0026】
なお、本発明の非焼成色鉛筆芯は、既述の通り、まず少なくとも着色剤、体質材及び必要に応じて溶剤が含まれた混合物に結合材又はその溶液を加えて混合液となし、これを混練した後、前記溶剤を除去するが、かかる溶剤の除去については、前記の成型後の除去工程も同様であるが、加熱、乾燥など各種の除去手段を採用することができる。また、上記混合液の溶剤の除去は、一部の溶剤、特に一部の水を残した含水状態にて水などの溶剤を除去することが最も好ましい。一方、前記の成型後のO/W型エマルジョンに含まれる水の除去、及び含水等により残存している場合の前記溶剤の除去は完全に行うことが望ましい。
【0027】
【実施例】
次の製法により、表1に示す原料組成物を用いて本発明の実施例に係る非焼成色鉛筆芯を得た。
【0028】
顔料としてPigment Black 7(三菱化成株式会社製、商品名「PRINTEX G」)、体質材としてPigment White 26(日本タルク株式会社製、商品名「MICROACE P-4」)、分散剤として商品名「ラベリンFW」(第一工業製薬社製)及び滑剤として合成雲母(トピー工業社製、商品名「DMA-350」)からなる組成物を、当該組成物と約同量の水を用いてニーダーで混練し、この分散液にメチルヒドロキシエチルセルロース(クラリアント社製、商品名「Tylose MH200YP2」)をさらに加えて混練し、これを加熱して水を除去した。
【0029】
次に、この組成物に、流動パラフィン(三光化学社製、商品名「ホワイトミネラルオイル」)、セスキオレイン酸ソルビタン(H.L.B.価:3.7、日光ケミカルズ社製、商品名「SO−15」)及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル、H.L.B.価:15.0、日光ケミカルズ社製、商品名「TO−10」)及び水を含むO/W型エマルジョンを加えて同じくニーダーで混練した後、この混練された原料組成物を水分13%以下でプランジャー型押出成型機によって直径約3mmの色鉛筆芯に押し出し成型した後、前記水を乾燥除去して、非焼成色鉛筆芯を得た。
【0030】
【表1】
Figure 0004327299
【0031】
なお、この実施例のO/W型エマルジョンの調製については次の通りである。
まず、次の表2に示す配合によって、流動パラフィン(三光化学社製、商品名「ホワイトミネラルオイル」)、セスキオレイン酸ソルビタン(H.L.B.価:3.7、日光ケミカルズ社製、商品名「SO−15」)及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(エチレンオキサイド鎖の付加モル数n=20モル、H.L.B.価:15.0、日光ケミカルズ社製、商品名「TO−10」)を混合し、80℃に加熱する。次に、この80℃に加熱された混合液に、同じく80℃に加熱した水を少しずつ加え、攪拌しながら室温まで放冷し、O/W型エマルジョンを得る。
【0032】
【表2】
Figure 0004327299
【0033】
比較例1は、表1に示す様に、セスキオレイン酸ソルビタン及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンを配合していない以外は前記実施例と同じ原料組成物の配合成分であるが、次の製法によって非焼成色鉛筆芯を得た。すなわち、表1に示す配合量で、顔料としてPigment Black 7(三菱化成株式会社製、商品名「PRINTEX G」)、体質材としてPigment White 26(日本タルク株式会社製、商品名「MICROACE P-4」)、分散剤として商品名「ラベリンFW」(第一工業製薬社製)、合成雲母(トピー工業社製、商品名「DMA-350」)及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCナトリウム、クラリアント社製、商品名「Tylose MH200YP2」)からなる組成物を、当該組成物と約同量の水とともにニーダーで混練した。
【0034】
次に、この組成物に、流動パラフィン(三光化学社製、商品名「ホワイトミネラルオイル」)を加えて同じくニーダーで混練した後、水分13%以下でプランジャー型押出成型機によって直径約3mmの色鉛筆芯に押し出し成型し、その後前記水を乾燥除去して、非焼成色鉛筆芯を得た。
【0035】
比較例2は、表1に示す配合量で、次の製法によって非焼成色鉛筆芯を得た。すなわち、あらかじめ前記実施例と同様のO/W型エマルジョンを調製して、これを着色剤、体質材、水溶性結合材及び水を含む組成物に加えた後混練し、この混練された原料組成物を水分13%以下でプランジャー型の押出成型機により直径約3mmの色鉛筆芯に押し出し成型した後、前記水を乾燥除去して非焼成色鉛筆芯を得た。
【0036】
次に、表1に示す実施例及び比較例の非焼成色鉛筆芯について、機械的強度、着色性、成型性及び消しゴム消去性についてそれぞれ評価した。
【0037】
(機械的強度)
機械的強度は、JIS S 6005に準拠して曲げ強度を測定した。すなわち、両支点間に支持した色鉛筆芯の中央部に荷重を加えて、芯が折損したときの荷重を測定し、JIS 試験法に定められた計算式に代入して行った。評価は算出された曲げ強さの値(MPa)で行った。数値が大きい程曲げ強度が大きく芯折れし難いことを示している。
【0038】
(着色性)
10名のモニターを用いて、各実施例、比較例の番号を隠した色鉛筆を使って画用紙に筆記し、その着色性の良さを評価した。その結果、10名中10名の者が着色がよいと判断したものを◎、9名から8名の者が着色がよいと判断したものを○、7名から5名の者が書き味がよいと判断したものが△、よいと判断した者が4名以下のものを×とし、前記表1に示した。
【0039】
(成型性)
成型中もしくは乾燥中に、成型した芯の40%以上がバラバラに破損してしまったものは×、破損してしまった芯が40%未満〜35%以上のものは△、35%未満のものは○とした。
【0040】
(消しゴム消去性)
実施例及び比較例の番号を隠した色鉛筆を使って画用紙に筆記し、その消しゴム消去性の良さを評価した。消しゴムはラビット株式会社製の商品名「RC−60」を用いた。その結果、消しゴム消去性が優れていると判断したものを○、消しゴム消去性が余りよくない或いは良くないと判断したものを×とし、前記表1に示した。
【0041】
表1より、実施例の非焼成色鉛筆芯は、着色性、機械的強度及び成型性において優れていると共に、さらに消しゴム消去性が比較例の非焼成色鉛筆芯と比較して優れていることが認められた。
【0042】
【発明の効果】
以上の通り、本発明は、少なくとも着色剤、体質材及び必要に応じて溶剤が含まれた混合物に結合材又はその溶液を加えて混合液となし、これを混練した後、前記溶剤を除去し、しかる後これに少なくとも常温で液体の油状物質、H.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤及び水を含むO/W型エマルジョンを加えて混合し、この混合された原料組成物を成型した後、上記O/W型エマルジョンに含まれる水、及び残存している場合は前記溶剤を除去して得られる非焼成色鉛筆芯であるため、従来の様な油浸工程を必要とせず、簡易な製造方法によって得ることができ、しかも着色性、機械的強度及び成型性において優れていると共に、さらにこの非焼成色鉛筆芯を用いて筆記すると、紙面上に付着した筆跡は、結合材で覆われた着色剤粒子及び体質材粒子となり、常温で液体の油状物質により覆われていないためと思われ、優れた消しゴム消去性が発揮される。

Claims (1)

  1. 少なくとも着色剤、体質材及び溶剤が含まれた混合物に結合材又はその溶液を加えて混合液となし、これを混練した後、前記溶剤を除去し、しかる後これに少なくとも常温で液体の油状物質、H.L.B.価が7以上〜18以下となるような1種又は2種以上の界面活性剤及び水を含むO/W型エマルジョンを加えて混合し、この混合された原料組成物を成型した後、上記O/W型エマルジョンに含まれる水、及び残存している場合は前記溶剤を除去することを特徴とする非焼成色鉛筆芯の製造方法。
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