JP4326601B2 - パイロット式電磁弁 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、パイロット式電磁弁に係り、特に、空調機の冷凍サイクル等において膨張弁とエバポレータとの間に介装するのに好適なパイロット式電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のパイロット式電磁弁の従来例を図6(弁閉時の全体断面図)及び図7(弁開時の要部拡大断面図)に示す。図示例のパイロット式電磁弁2は、車載用空調機等における膨張弁とエバポレータとの間に介装されるもので、流体として液・ガス混合状態の冷媒が流入するようになっており、弁部5と、該弁部5に螺着されたフランジ31付きの管状取付台30と、この管状取付台30を介して前記弁部5に取付固定されたヨーク13、コイル14,ステータ15、止めネジ17、案内スリーブ21、ゴム製パッキン19、等からなる概略有底円筒状のソレノイド3と、を備えている。なお、35は気密用のパッキンであり、図6では電源コードは省略している。
【0003】
前記弁部5における前記管状取付台30の下側には弁室10が形成されるとともに、該弁室10の中央に段付き円筒状の弁シート11が突設され、前記弁室10に冷媒流入口8が開口せしめられるとともに、前記弁シート11を介して冷媒流出口9が開口せしめられている。
【0004】
前記ソレノイド3の案内スリーブ21内には、前端部に円錐状のパイロット弁体25が下向きに突設されたプランジャ20が摺動自在に嵌挿されており、このプランジャ20は、それと前記ステータ15との間に縮装された主コイルスプリング23により常時弁シート11側(下側)に付勢されている。
【0005】
そして、前記プランジャ20と前記弁シート11との間に、それらに対して接離可能な状態、つまり、前記管状取付台30内を上下方向に摺動自在な状態で主弁体40が配置されており、この主弁体40と前記プランジャ20との間に、容積(最小容積)S' のパイロット室7が形成されている。
【0006】
前記主弁体40は、円柱状の基体部41とそれに外嵌固定された筒状外周部42とからなっており、その基体部41の中央部にはそれを縦貫するように、前記パイロット室7と前記冷媒流出口9とを選択的に連通・遮断すべく、前記プランジャ20に突設された補助弁体25により開閉せしめられるパイロットオリフィス45が穿孔されている。
また、前記主弁体40の筒状外周部42には、前記パイロット室7と前記弁室10とを連通させる均圧穴43が形成されている。
【0007】
なお、上記したパイロット式電磁弁2は、前記主弁体40とプランジャ20との間に形成されたパイロット室7の容積S' は60mm3〜70mm3程度とされ、JISB8619Aの性能試験方法で求められる冷媒の流量特性、例えば、公称3.49kw(3000kcl/h)、最大6.74kw(5800kcl/h)の膨張弁の下流に配置される。
このような構成のパイロット式電磁弁2においては、ソレノイド3を通電励磁してそれをON状態にすると、プランジャ20が主コイルスプリング23の付勢力に抗してステータ15側(上側)に引き上げられ、パイロット弁体25が主弁体40から離れてパイロットオリフィス45を開く。
【0008】
これにより、主弁体40とプランジャ20との間に形成されたパイロット室7の冷媒がパイロットオリフィス45を通じて冷媒流出口9に排出されてパイロット室7の圧力が低下し、パイロット室7の圧力が冷媒流入口8及び弁室10の圧力より小さくなり(冷媒流入口8及び弁室10の圧力>パイロット室7の圧力≧冷媒流出口9の圧力)、主弁体40は、図7に示される如くに、パイロット室7の圧力と弁室10の圧力との差圧によって上方にリフトせしめられて弁シート11から離間し、開弁状態となる。
この開弁状態では、冷媒流入口8から弁室10に流入した冷媒が主弁体40と弁シート11との間を通って冷媒流出口9に流出する。
【0009】
一方、ソレノイド3への通電励磁を解除してそれをOFF状態にすると、プランジャ20が主コイルスプリング23の付勢力によって弁シート11側(下側)に押し下げられ、補助弁体25が主弁体40に圧接してパイロットオリフィス45を閉じ、均圧穴43及び主弁体40と管状取付台30内周面とのクリアランスを通じてパイロット室に流入する圧力により主弁体40が弁シート11側に押し下げられられてそれに圧接せしめられ、閉弁状態となる。
この閉弁状態では、弁室11と冷媒流出口9との間が遮断され、冷媒の流出が阻止される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した如くの構成のパイロット式電磁弁を実際に車載用空調機等における膨張弁とエバポレータとの間に組み込んで使用すると、異音が発生することがあった。
即ち、本願の発明者等は、前記異音について研究を重ねたところ、以下に述べる如くの究明結果を得た。
【0011】
(a)前記した従来のパイロット式電磁弁2を、特に、膨張弁に近接して設置したときにおいて、前記弁容量のものでは、1.16〜2.33kw(1000〜2000kcl/h)の近辺で不快な異音が発生しやすい。
【0012】
(b)パイロット式電磁弁においては、入出流体がフロン系冷媒等のように、液状態からガス化するときに急激な膨張作用を伴う場合、パイロット室の圧力が断続的に変化するため、主弁体が振動し、異音が発生しやすい。
【0013】
(c)前記冷媒のような急激な膨張作用を伴わない流体が入出せしめられる場合には、通常、ソレノイド3がON状態の開弁時には、前記したように、冷媒流入口8及び弁室10の圧力>パイロット室7の圧力≧冷媒流出口9の圧力、となり、主弁体40は正常にリフトし、流体は流れ続け、主弁体40が振動したり異音が発生したりすることはない。
【0014】
(d)前記冷媒のような液・ガス混合状態の流体が弁室43に流入すると、その流体の一部は、均圧穴45→パイロット室7→パイロットオリフィス45→流出口9へと流れる。この場合、パイロット室7の圧力は、流出口9の圧力に近似しているため、前記液・ガス混合状態の流体のうちの液状の部分が、前記パイロット室7に流入すると、それが該パイロット室7で膨張し、その体積が増加した分、主弁体40は弁シート11側へ押されることとなる。
【0015】
(e)それに対し、前記液・ガス混合状態の流体のうちのガス化した部分がパイロット室7に流入すると、膨張作用が発生しないため、冷媒流入口8及び弁室10の圧力>パイロット室7の圧力≧冷媒流出口9の圧力、となり、主弁体40は弁シート11から離れる方向に動く。
【0016】
(f)入出流体が液・ガス混合状態の場合、その不連続な流れの中で、前記(d)と(e)とに記述した現象(液状部分は膨張、ガス化部分はそのまま)が瞬間的に繰り返されることから、主弁体40が振動し、異音が発生する。
【0017】
(g)前記現象が発生すると、主弁体40の摺動面(外周面)が短時間で摩耗するため、主弁体40と管状取付台30内周面との間のクリアランスが拡大し、この部分からもパイロット室7に冷媒が流れ込み、パイロット室7への冷媒流入量が増大するとともに、主弁体40の径方向の移動量も増すことから、主弁体40はさらに振動しやすくなり、異音が増大することとなる。
【0018】
(h)前記(f)及び(g)の現象は、相乗効果をもたらし、主弁体40をより一層激しく振動させるので、異音が増幅せしめられる。
【0019】
本発明は、かかる本発明者等の研究結果、並びに、それに基づく実験に立脚した、前述の如き問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、大きな改造を施すことを要しないで、異音の発生を防止できるパイロット式電磁弁を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく、本発明のパイロット式電磁弁は、空調機の冷凍サイクルにおける冷媒の流量が公称3.49kw(3000kcl/h)、最大6.74kw(5800kcl/h)の膨張弁とエバポレータとの間に介装されるパイロット式電磁弁であって、弁室、冷媒の流入口と流出口、及び弁シートを有する弁部と、一方の端部にパイロット弁体が設けられたプランジャと、該プランジャを進退させるべくその外周に配置されたソレノイドと、前記プランジャと前記弁シートとの間にそれらに対して接離可能な状態で配置された主弁体と、該主弁体と前記プランジャとの間に形成されるパイロット室と、前記主弁体に形成され、前記パイロット室と前記流出口とを選択的に連通・遮断すべく前記パイロット弁体により開閉せしめられるパイロットオリフィスと、前記パイロット室と前記弁室とを連通させる均圧穴とを備え、前記流入口又は前記流出口における冷媒圧力が実質的に2kg f /cm 2G〜3kg f /cm 2Gであって、前記パイロット室の容積は、30mm3以上で40mm3以下に設定されていることを特徴としている。
【0021】
なお、パイロット室の容積を従来のものより小さくするには、例えばプランジャの長さを従来のものより長くしたり、主弁体の長さを従来のものより長くすること等によりなされる。
【0022】
このような構成とされた本発明に係るパイロット式電磁弁においては、パイロット室の容積が従来のものに比して大幅に縮小されるので、パイロット室に液・ガス混合状態の流体が流入しても、該流体はパイロット室では殆ど膨張せず、膨張しても主弁体を弁シート側に押す力は小さくなる。
【0023】
そのため、入出流体が液・ガス混合状態のものであっても、主弁体の振動が抑えられ、異音の発生が効果的に防止される。また、従来のものに対して大きな改造は必要ないので、コストアップには殆どつながらないという利点も得られる。
本発明のパイロット式電磁弁では、前記主弁体を前記プランジャ側に付勢するコイルスプリング等の補助付勢手段が配設される。
【0024】
即ち、弁室、流入口、流出口、及び弁シートを有する弁部と、前端部にパイロット弁体が設けられたプランジャと、該プランジャを進退させるべくその外周に配置されたソレノイドと、前記プランジャと前記弁シートとの間にそれらに対して接離可能な状態で配置された主弁体とを備え、前記主弁体に、該主弁体と前記プランジャとの間に形成されるパイロット室と前記流出口とを選択的に連通・遮断すべく、前記パイロット弁体により開閉せしめられるパイロットオリフィスが形成されるとともに、前記パイロット室と前記弁室とを連通させる均圧穴が形成されてなるパイロット式電磁弁において、上記主弁体を上記プランジャ側に付勢する付勢手段を具備したことを特徴とする。
【0025】
このように補助付勢手段を配設することにより、該補助付勢手段が主弁体を弁シートから離れる方向、言い換えれば全開方向に付勢するので、パイロット室に流入した液・ガス混合状態の流体が膨張しても、主弁体が押し下げられ難くなり、その結果、主弁体の振動がより確実に抑えられ、異音の発生が一層効果的に防止される。
【0026】
さらに、本発明のパイロット式電磁弁では、弁室、流入口、流出口、及び弁シートを有する弁部と、前端部にパイロット弁体が設けられたプランジャと、該プランジャを進退させるべくその外周に配置されたソレノイドと、前記プランジャと前記弁シートとの間にそれらに対して接離可能な状態で配置された主弁体とを備え、前記主弁体に、該主弁体と前記プランジャとの間に形成されるパイロット室と前記流出口とを選択的に連通・遮断すべく、前記パイロット弁体により開閉せしめられるパイロットオリフィスが形成されるとともに、前記パイロット室と前記弁室とを連通させる均圧穴が形成されてなるパイロット式電磁弁において、上記均圧穴の入口側にストッパを設けたことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は、本発明に係るパイロット式電磁弁の一実施形態を示し、図1はその弁閉時の全体断面図、図2は弁開時の要部拡大断面図である。図示実施形態のパイロット式電磁弁1は、基本的には、前記した図6及び図7に示される従来のパイロット式電磁弁2と同様な構成を有しており、従来のものの各部に対応する部分には同一の符号を付して説明する。
【0028】
本実施形態のパイロット式電磁弁1も、車載用空調機等における膨張弁とエバポレータとの間に介装されるもので、流体として液・ガス混合状態の冷媒が流入するようになっており、弁部5と、該弁部5に螺着されたフランジ31付きの管状取付台30と、この管状取付台30を介して前記弁部5に取付固定されたヨーク13、コイル14,ステータ15、止めネジ17、電源コード18、案内スリーブ21、ゴム製パッキン19、等からなる概略有底円筒状のソレノイド3と、を備えている。
【0029】
前記弁部5における前記管状取付台30の下側には弁室10が形成されるとともに、該弁室10の中央に段付き円筒状の弁シート11が突設され、前記弁室10に冷媒流入口8が開口せしめられるとともに、前記弁シート11を介して冷媒流出口9が開口せしめられている。
【0030】
前記ソレノイド3の案内スリーブ21内には、前端部に円錐状の補助弁体25が下向きに突設されたプランジャ20が摺動自在に嵌挿されており、このプランジャ20は、それと前記ステータ15との間に縮装された主コイルスプリング23により常時弁シート11側(下側)に付勢されている。
【0031】
そして、前記プランジャ20と前記弁シート11との間に、それらに対して接離可能な状態、つまり、前記管状取付台30内を上下方向に摺動自在な状態で主弁体40が配置されており、この主弁体40と前記プランジャ20との間に、容積(最小容積)がSのパイロット室7が形成されている。ここで、本実施形態においては、前記主弁体40の長さが図6及び図7に示される従来のものより長くされており、前記パイロット室7の容積Sが、前記した図6及び図7に示される従来のパイロット式電磁弁2におけるパイロット室7の容積S' の約半分乃至1/3程度、具体的には、30mm3〜40mm3の範囲内に設定されている。
【0032】
前記主弁体40は、円柱状の基体部41とそれに外嵌固定された段部42a付きの筒状外周部42とからなっており、その基体部41の中央部にはそれを縦貫するように、前記パイロット室7と前記冷媒流出口9とを選択的に連通・遮断すべく、前記プランジャ20に突設された補助弁体25により開閉せしめられるパイロットオリフィス45が穿孔されている。
また、前記主弁体40の筒状外周部42には、前記パイロット室7と前記弁室10とを連通させる均圧穴43が形成されている。
【0033】
そして、前記管状取付台30の下端内周側の均圧穴43の冷媒流入口には邪魔板としても作用する縦断面がL字状で全体が円環状のストッパ52が固着されており、このストッパ52と前記主弁体40の外周部42に形成された段部42aとの間に、前記主弁体40を前記プランジャ20側に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング50が介装されている。
【0034】
なお、本実施形態のパイロット式電磁弁1は、前記した従来のパイロット式電磁弁2と同様に、JISB8619Aの性能試験方法で求められる冷媒の流量特性、例えば、公称3.49kw(3000kcl/h)、最大6.74kw(5800kcl/h)の膨張弁の下流に配置されて使用され、その弁容量、つまり、開弁状態で通過する冷媒の流量は、前記膨張弁の流量と同等で、冷媒流出口9の圧力が概ね2kg f /cm 2G〜3kg f /cm 2 Gで使用される。
このような構成の本実施形態のパイロット式電磁弁1においては、ソレノイド3を通電励磁してそれをON状態にすると、プランジャ20が主コイルスプリング23の付勢力に抗してステータ15側(上側)に引き上げられ、パイロット弁体25が主弁体40から離れてパイロットオリフィス45を開く。
【0035】
これにより、主弁体40とプランジャ20との間に形成されたパイロット室7の冷媒がパイロットオリフィス45を通じて冷媒流出口9に排出されてパイロット室7の圧力が低下し、パイロット室7の圧力が冷媒流入口8及び弁室10の圧力より小さくなり(冷媒流入口8及び弁室10の圧力>パイロット室7の圧力≧冷媒流出口9の圧力)、主弁体40は、図2に示される如くに、パイロット室7の圧力と弁室10の圧力との差圧によって上方にリフトせしめられて弁シート11から離間し、開弁状態となる。
この開弁状態では、冷媒流入口8から弁室10に流入した冷媒が主弁体40と弁シート11との間を通って冷媒流出口9に流出する。
【0036】
一方、ソレノイド3への通電励磁を解除してそれをOFF状態にすると、プランジャ20が主コイルスプリング23の付勢力によって弁シート11側(下側)に押し下げられ、補助弁体25が主弁体40に圧接してパイロットオリフィス45を閉じるとともに、主弁体40が弁シート11側に押し下げられられてそれに圧接せしめられ、閉弁状態となる。
この閉弁状態では、弁室11と冷媒流出口9との間が遮断され、冷媒の流出が阻止される。なお、前記弁室10に流入した冷媒の一部は均圧穴43を通じてパイロット室7に流入する。
【0037】
そして、本実施形態のパイロット式電磁弁1においては、前記のように、閉弁時におけるパイロット室7の容積Sが従来のパイロット室7の容積S' の約半分乃至1/3程度とされているので、パイロット室7に液・ガス混合状態の冷媒が流入しても、該冷媒はパイロット室では殆ど膨張せず、膨張しても主弁体40を弁シート11側に押す力は小さくなる。
そのため、入出流体が液・ガス混合状態の冷媒であっても、主弁体40の振動が抑えられ、異音の発生が効果的に防止される。
【0038】
また、本発明に係るパイロット式電磁弁では、図1の実施形態に示すように前記主弁体40を前記プランジャ20側に付勢する補助付勢手段としての補助コイルスプリング50が配設されているので、該補助コイルスプリング50が主弁体40を弁シート11から離れる方向、言い換えれば全開方向に付勢するので、パイロット室7に流入した液・ガス混合状態の冷媒が膨張しても、主弁体40が押し下げられ難くなり、その結果、主弁体40の振動がより確実に抑えられ、異音の発生が一層効果的に防止される。さらに、本発明に係るパイロット式電磁弁では、図1の実施形態に示すように均圧孔43の冷媒流入口に設けたストッパ52により、冷媒流入口より流入した冷媒が主弁体40に直接当たらないようにしているので、主弁体40の振動が抑制され、異音の発生を低減せしめることができる。
【0039】
図3及び図4は、本発明に係るパイロット式電磁弁の他の実施形態を示しており、図3に示されるパイロット式電磁弁1は、プランジャ20の長さを長くすることにより、パイロット室7の容積Sを従来のものより小さくしたものであり、図4に示されるパイロット式電磁弁1は、主弁体40の長さを長くすることにより、パイロット室7の容積Sを従来のものより小さくしたものであり、両方とも補助付勢手段(補助コイルスプリング50)は配設されていないが、前記実施形態のものと略同様な作用効果が得られる。
【0040】
また、従来のものに対して大きな改造は必要ないので、コストアップには殆どつながらないという利点も得られる。
上記の如くの作用効果を確認すべく、パイロット室7の容積が異なる何種類かのパイロット式電磁弁を試作して、従来のパイロット式電磁弁2との比較実験を行ったところ、図5に示される如くの実験結果が得られた。
【0041】
すなわち、図5は、横軸に従来のパイロット式電磁弁2におけるパイロット室7の容積S' を100として各パイロット式電磁弁のパイロット室の容積比(パーセント表示)をとり、縦軸に冷媒流出口9における圧力(kg f /cm 2G)をとって表したもので、図の曲線Kより左側及び上側の領域Pが異音が発生しなかった領域を示している。この図5から、パイロット室7の容積を従来のものの半分(50パーセント)以下にすることより、異音の発生が防止されることが理解されよう。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明に係るパイロット式電磁弁は、パイロット室の容積を可及的に小さくすることで、大きな改造を施すことを要さず異音の発生を確実に防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパイロット式電磁弁の一実施形態の閉弁状態での全体断面図。
【図2】図1に示されるパイロット式電磁弁の開弁状態での要部拡大断面図。
【図3】本発明に係るパイロット式電磁弁の他の実施形態を示す要部拡大断面図。
【図4】本発明に係るパイロット式電磁弁の他の別の実施形態を示す要部拡大断面図。
【図5】本発明のパイロット式電磁弁の作用効果を確認すべく行った比較実験結果を示すグラフ。
【図6】従来のパイロット式電磁弁の一例の閉弁状態での全体断面図。
【図7】従来のパイロット式電磁弁の一例の開弁状態での要部拡大断面図。
【符号の説明】
1 パイロット式電磁弁
3 ソレノイド
5 弁部
7 パイロット室
8 冷媒流入口
9 冷媒流出口
10 弁室
11 弁シート
20 プランジャ
30 管状取付台
40 主弁体
43 均圧穴
45 パイロットオリフィス
S パイロット室の容積
Claims (1)
- 空調機の冷凍サイクルにおいて、冷媒の流量が公称3.49kw(3000kcl/h)、最大6.74kw(5800kcl/h)の膨張弁とエバポレータとの間に介装されるパイロット式電磁弁であって、
弁室、前記冷媒の流入口と流出口、及び弁シートを有する弁部と、一方の端部にパイロット弁体が設けられたプランジャと、該プランジャを進退させるべくその外周に配置されたソレノイドと、前記プランジャと前記弁シートとの間にそれらに対して接離可能な状態で配置された主弁体と、該主弁体と前記プランジャとの間に形成されるパイロット室と、前記主弁体に形成され、前記パイロット室と前記流出口とを選択的に連通・遮断すべく前記パイロット弁体により開閉せしめられるパイロットオリフィスと、前記パイロット室と前記弁室とを連通させる均圧穴とを備え、
前記流入口又は前記流出口における冷媒圧力が実質的に2kg f /cm 2G〜3kg f /cm 2Gであって、前記パイロット室の容積は、30mm3以上で40mm3以下に設定されていることを特徴とするパイロット式電磁弁。
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