JP4325989B2 - スプーン - Google Patents
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Description
この学習用スプーンは、スプーン本体を乳幼児の開いた口の中にさし入れる際に適切な位置にとどめるための位置決め手段とを備えることで、スプーン本体の食品を載せたボウル部を、その程度口の中にいれたらよいかの目安を提供し、あわせて、一回の動作で口腔内に入れる食品を量を調整できるようにしたものである。
これにより、口や唇の動きが未発達な幼児のスプーンによる食品摂取の訓練を効果的に促進しようとするものである。
請求項2の構成によれば、口唇案内部とボウル部とが接する接続部付近の平面視における曲面と、ボウル部の先端部の平面視における曲面とが、近似した曲率から形成されている。ところで、上述のように、口唇案内部は上方に突出しているため、スプーンを口腔内に挿入すると、口唇は口唇案内部の位置で規制される。そうすると、口唇案内部とボウル部とが接する接続部付近と先端部の平面視における曲面は、近似した曲率から形成されているため、先端部から口腔内へスプーンを挿入する際、先端部から接続部付近までの距離、すなわち口腔内におけるボウル部の挿入寸法は、その挿入位置或いは角度に拘わらず略同等になる。したがって、スプーンの口腔内への挿入位置或いは角度にかかわらず、ボウル部に載置された食品の量や性状等の影響を受けることなく、上唇によってこすり取ることができる。
請求項3の構成によれば、口腔内にスプーン本体をさし入れる時、上記口唇案内部を利用すると、食品を収容したボウル部は、口腔内において上顎の両犬歯を結んだ箇所よりも口唇側に位置することができる。これにより、食品を口腔内の適切な位置に置くことができる。特に、介助者がスプーンを使って食事を行う場合に、被介助者の口腔の奥に入れてしまう事を防ぎ、食品を口唇で取り込み、咀嚼し、嚥下するという動作を効果的に促すことができる。
請求項4の構成によれば、敢えて、障害者用のスプーン等に見られる太い形状の柄を採用しないことで、柄をつかむ使用者に、掌(てのひら)全体を使用するようなパームグラスプやフィンガーグラスプによる握り方をさせないで、箸を使用する際のようなペングリップにより握るように誘導する。これにより、訓練の進展により、箸などのより操作の難しい食具の使用につなげる訓練に役立てることができる。
また、柄部を握る際の方向性を明確にすることで、スプーン本体の角度が回動することで傾斜した姿勢とされてしまうことを防止できる。
さらに、重心がスプーン本体側に位置するように、柄部を比較的軽量な素材や中空構造等とすることで、常にスプーン本体が食品に向かう姿勢をとりやすくし、スプーンを使用して食品をすくう動作をおこないやすくすることができる。
請求項5の構成によれば、スプーンの使用経験が乏しい幼児等における正しいスプーンの上下方向の向きを学習させる手掛かりになるとともに、目の悪い人に対して、スプーンの上下方向の向きを知らせる役割を果たす。さらに、被介助者に食品が近づけられていることを認識させる助けともなる。特に、上面の識別手段が突起や窪み、あるいは下面とは異なる材質、柄部とは異なる色等により形成されていると、視覚に重い障害がある人でも、スプーンの上下方向の向きを識別することができる。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
上記柄12は、ある程度折れにくく強度と耐久性を備えた比較的軽い材料が使用されており、例えばポリプロピレンや、PET樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド等の樹脂や、中空としたステンレス鋼等により形成されている。なお、樹脂を使用する場合、自動食器洗い乾燥機等を使用することを考慮すると、耐熱性の高いものを使用することが好ましい。
スプーン本体11は、特に、金属により形成されており、本実施形態では、ステンレス鋼(SUS)を成形して形成している。これにより、スプーン本体11の周縁部端縁は、ある程度のエッジ仕上げをすることができ、例えば、食品をすくうだけでなく、適切な食品のすくい量を得るために、比較的軟らかい食品では、スプーン本体の側縁や先端で、食品を切断する上でも便利である。
これらの図を参照して、スプーン10のスプーン本体11について説明する。
ボウル部14は、スプーン10を食品をすくう場合の正しい位置に保持した際に、上を向いた凹部である。図6に示すボウル部14の深さHDは、約2mm乃至4mmが適切であり、3mmが最も適していることが確認されている。このボウル部14の深さは、食品を摂取する者が、その上唇を変形させることによりほぼ完全に食品をこそげとることができること、及び十分な量の食品を載せることができることを条件とする。そして、深過ぎると食品をきれいに全てとることが出来ず、浅過ぎると容量が不足してしまう。特に、本実施形態では、後述する口唇案内部13の形態との関係で、食品をこそげとることが容易であるようにした結果、極端に浅くしなくても、3mm程度の深さとすることで、一回の摂取構造で、残さずに、ほぼ完全に食品を摂取できるようにしたものである。
スプーン本体11の幅W1は、すなわち、スプーン本体の形状にあわせて唇を変形する能力と関連している。つまり、リハビリ等の点でそのような能力を訓練している者にとって、スプーン本体11の幅W1が広過ぎると、これに合わせて唇を変形できないので、スプーン本体11を十分口腔内に入れることができない。これに対して、スプーン本体11の幅W1が狭過ぎると、上唇と下唇を閉じたときに、隙間を生じて食物をこぼしやすく、また、後述する食品の適切な容量を確保しにくくなる。このような点を実験により確認すると、スプーン本体11の幅W1は、ほぼ25mmないし35mmで、特に30mmが適している。
また、この幅W1は、スプーン本体11全体ではなく、少なくとも、口腔内に差し入れられるボウル部14の幅としてもよい。
これにより、後述するように、スプーン10を使用する者が、口を閉じた際に、口唇の両端、すなわち口角よりの箇所が、口唇案内部13の両端部13b,13bに位置し、口唇の先端が、スプーン本体11の奥側に入り込んだ領域に接触する。つまり、口唇案内部13が上述のような形状とされていると、口唇案内部13の形成する壁部15は口唇の形状と沿うことになり、口唇との間で隙間を生じて、その間に食品が取り残されたりすることがない。このため、口唇により食品をこすり取る際に、取り残しを生じることなく、特に、食物摂取における口唇の動きがまだ十分でない幼児や、口唇の動きが不十分な高齢者、障害者等においても、支障なく食物を摂取することができる。
使用者もしくは介助者は、スプーン10の柄部12を持って、使用者に適した食品をスプーン本体11にすくいとる(図示せず)。
この場合、スプーン本体11のボウル部14は、上述の寸法に設定されていることから、食品を過不足ない量すくい取ることができる。
これにより、スプーン本体11は口腔内Sへの差し入れ量に関して、位置決めされる。つまり、介助者は口唇案内部13がスプーン本体11の上面に形成されていることから、使用者を見下ろす角度から容易に凸部を視認でき、しかも口唇案内部13は壁部15を備えていることから、この口唇案内部15が使用者の上唇の前端に当接した軽い手掛かりからも、きわめて容易に口腔内への差し入れ量を制御できる。また、介助者を介さずに、使用者自身がスプーン10を使用する場合においても、上唇が口唇案内部13に接触した感触により挿入位置を把握することができる。
すなわち、上述したように、口唇案内部13において、図6に示すスプーン本体11の先端から、口唇案内部13の最高部13aまでの寸法LDは、ほぼ32mmないし38mmとされ、35mm程度とされている。これにより、上述したように、口唇案内部15が使用者の上唇UMの前端に当接した状態では、図10に示されているように、ボウル部14が、使用者の口腔内Sにおいて上顎の両犬歯DT,DTを結んだ箇所よりも口唇側に位置することができる。
このため、口唇案内部13の形成する壁部15は口唇UMの形状と一致しているので、口唇UMにより食品をこすり取る際に、取り残しを生じることなく、特に、食物摂取における口唇の動きがまだ十分でない幼児や、口唇の動きが不十分な高齢者、障害者等においても、支障なく食物を摂取することができる。
これらの図において、図1ないし図10のスプーン10と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
このスプーン30が第1の実施形態と主に異なるのは、口唇案内部13の形状についてである。
この口唇案内部13における曲面は、スプーン30を、正面側からだけでなく、斜めから口腔内に挿入したときも、正面側からと同様に、口唇が口唇案内部13の中央部13d付近に当接できるように、平面視において略均一な曲面から形成されている。具体的には、図14に示される挿入角度θを左右それぞれ約45度程度の範囲内で、スプーン30を口腔内Sに挿入したとき、どの角度から挿入された場合においても、均等に口唇案内部13の壁部15の略中央部13d付近に口唇UMが当接されるように、口唇案内部13が形成されている。この時、図11に示す口唇案内部13の壁部15における平面方向の半径r1が、12mm〜18mmの範囲、ここでは15mm程度となるように形成されている。
例えば、ボウル部14の平面形状は、長楕円形のみならず、やや角張った形態でもよい。
また、利き腕に応じて選択できるよう、口唇案内部13は、ボウル部14の先端側から見て、左右(図3、図11の上下)のいずれか一方に形成されていてもよい。
なお、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
Claims (5)
- 把持するための長尺の柄部と、
この柄部の先端に設けられたスプーン本体と
を備えており、
前記スプーン本体は、
その先端側に設けられ下方に凹状とされたボウル部と、このボウル部より奥側で上方に突出した口唇案内部とが、連続した曲線状に一体に接続されており、
前記口唇案内部は、平面視において、幅方向の中央部が前記ボウル部先端方向に突出し、幅方向の両端部が前記中央部よりも前記柄部側に位置する曲面を備える
ことを特徴とする、スプーン。 - 前記口唇案内部と前記ボウル部とが接する接続部付近の平面視における曲面と、前記ボウル部の先端部の平面視における曲面とが、近似した曲率から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスプーン。
- 前記スプーン本体を口腔内に挿入し、前記口唇案内部の頂部に上唇が接触したとき、前記ボウル部が、口腔内において上顎の両犬歯を結んだ箇所よりも、口唇側に位置する構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載のスプーン。
- 前記柄部が、細く形成され、その断面形状において、ほぼ楕円もしくは長円形状とされており、スプーン全体における重心が、前記スプーン本体側に位置していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスプーン。
- 前記柄部の上面には、少なくとも前記柄部の下面の形態と異なる形態を有することによる識別手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスプーン。
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