JP4325217B2 - インダクタ部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング電源等に用いられるインダクタ部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のインダクタ部品は、図6(a),(b)に示されるような構成をしており、図6はその断面図である。図6(a)はボビン1にコイル2が巻かれ、E型磁心12を挿入した構造のものである。この種のインダクタ部品は図6(a)に示すように磁気回路を効率よく構成するためにE型磁心12を2個突き合わせて閉磁路で使用するのが一般的である。そのためこの磁心12を挿入するためのボビン1は両側から入るような貫通孔13となっている。しかし磁心12は図6(a)に示すようにボビン1と定位置で嵌合するようになっているため、コイル2に対してずれることはない。
【0003】
しかし一部のインダクタ部品においては、図6(b)に示すようにI型磁心3のみでも十分特性が得られる場合や、逆に開磁路での特性が必要な場合もある。しかしボビンの標準化や金型起工コストの削減、及び生産設備共用の理由から、I型磁心3のみを使用するインダクタ部品においても、貫通孔13を設けたボビンを兼用していた。
【0004】
また磁心にフェライトのような酸化皮膜を有した固形物を使用する場合は全く問題ないが、図8、図9(a)に示すように、ケイ素鋼板15を使用する場合は、外気に触れると錆17が発生する。錆17は磁心の特性を劣化させるとともに、外部に飛散すると回路を短絡させたりいろいろな製品不良の原因となる。
【0005】
さらに磁心は磁化されると磁歪が起き、磁心自身、及び磁心とボビン間でうなり音が発生する。とくにケイ素鋼板15を使用する場合は、印加される動作周波数が低いためより大きなうなり音として発生する。そのため、錆の発生、及びうなり発生の防止として、図9(b)に示すように、磁心にワニス含浸剤18やワックス等を塗布、または含浸を施し、外気との遮断を行うと共に、磁心間、及び磁心とボビンの固着を行っていた。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1が知られている。
【0007】
【特許文献1】
実開平4−96826号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のI型磁心3を挿入する構成では、磁心挿入孔が貫通孔13となっているために、前記I型磁心3を挿入する場合においては、図7のようにボビン1との位置固定ができないため、磁心3の位置ずれ部14が発生する。またさらに図8に示すようにI型磁心3にケイ素鋼板15を複数挿入する場合においては、先端の位置規制がないために、ケイ素鋼板の先端のずれ16も発生する。インダクタ部品においてコイル2と磁心3の位置ずれは主特性であるインダクタンスの不良となるため絶対に避けなければならない。そのため生産工程においては先端整列と位置決めの作業を行っていた。
【0009】
また錆とうなりの発生防止のため、ワニスやワックス等の塗布、含浸で外気との遮断及び固着を行っているが、含浸設備や乾燥機などの大きな設備が必要で、また有機溶剤等の環境に影響を及ぼす物質を使用する。そのため生産コストは大きなものになっていた。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、生産性のよい安価なインダクタ部品を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明は、ボビンにコイルを巻線しコイルの中央に、I型磁心を組み込んでなるコイル部品において、前記I型磁心を挿入するボビンの貫通孔の一方を塞いだうえで他方から前記I型磁心を挿入し、前記貫通孔の他方における前記I型磁心の露出部を接着剤で被覆し、前記I型磁心を外気と遮断した構成としたものである。
【0013】
上記構成により、磁心挿入孔4にI型磁心3を上部から挿入するのみで磁心の先端6がボビンの塞いだ壁5の位置に固定される。またケイ素鋼板15を複数挿入する場合においては、上部から挿入するのみで、個々の磁心の先端部6が塞いだ壁5で同じ位置に固定されるため、ケイ素鋼板の先端のずれ16が防止できる。そのため磁心挿入後に行っていた先端の整列作業が不要となる。また磁心3とコイル1の位置も一定に保たれるためインダクタンス不良が無くなるものである。さらに、ボビン1から露出する磁心7一箇所に接着剤8を塗布するのみで、磁心間が固着され、磁心間で発生するうなりが防止できるとともに、外気との遮断も同時に行え、錆17の発生も防止できる。そのため従来のワニスやワックス塗布、含浸18等の工数のかかる作業工程が大幅に削減できるため、安価なインダクタ部品が提供できるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施の形態を添付図面によって説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は本発明の製品の外観図であり、図2は図1(a)のX−X断面図である。
【0016】
本発明はボビン1にコイル2が巻かれ、I型磁心3が挿入される構造となっている。前記ボビン1に形成した前記I型磁心3を挿入する磁心挿入孔4の一方には、貫通を塞ぐ壁5を形成した構造となっている。
【0017】
そのために前記磁心3が塞ぎ壁5の位置で固定されるため、磁心3の位置ずれがなくなりコイルとの位置も一定になるものである。また複数の磁心3を挿入する場合に、挿入するのみで、先端が整列でき、磁心の位置も定まるので、作業効率が格段に向上するものである。
【0018】
(実施の形態2〜4)
図3は磁心3が磁心挿入孔4から露出する磁心露出部7と、磁心3の端面10より高くしたボビン端面11の間に、接着剤8を塗布したものである。
【0019】
図4に示すように、接着剤8は磁心露出部7の全体を覆うように、さらに磁心挿入孔4の壁面9とも固着されるように塗布される。接着剤8は磁心表面を覆うとともに、磁心とボビンの間にも浸透していき、双方を固着する。
【0020】
これにより、磁心3が外気に触れることがなくなり、錆の発生が防止できるとともに、さらに磁心及び、磁心〜ボビン間のうなりの発生が無くなるものである。
【0021】
また磁心の端面10より高くしたボビン端面11によって、接着剤8の塗布位置が限定され周囲へのはみ出しをあまり気にせず塗布ができるため、作業効率が上がり、接着剤はみ出しの外観不良も皆無になるものである。
【0022】
尚、図5はインダクタンス部品の上面(I型磁心の露出部)から見た図である。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、
(1)コイルと磁心の位置ずれが防止できインダクタンス不良がなくなる。
(2)複数の磁心を挿入する場合においても、磁心をボビンに挿入するのみで、個々の先端が同じ位置に固定され、磁心間及びコイル間の位置ずれが防止できるので作業性が大幅に改善できる。
(3)磁心のうなりと錆発生防止が、ボビンからの磁心露出部の一ヶ所の接着塗布で可能となるため、大幅な工程改善が図れる。
(4)有効な接着剤の塗布が容易にでき、外観不良がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の実施の形態におけるインダクタ部品の構成を示す上面図
(b)同側面図
(c)同底面図
(d)同側面図
【図2】 本発明の実施の形態におけるインダクタ部品の断面図
【図3】 本発明の実施の形態におけるインダクタ部品の上部断面の拡大図
【図4】 本発明の実施の形態におけるインダクタ部品の上面の接着剤塗布の使用例を示す断面図
【図5】 本発明の実施の形態におけるインダクタ部品の上面(I型磁心の露出部)から見た図
【図6】 (a)従来のインダクタ部品(E型磁心)を示す断面図
(b)従来のインダクタ部品(I型磁心)を示す断面図
【図7】 従来のインダクタ部品の磁心の位置ずれ状態を示す断面図
【図8】 従来のインダクタ部品の磁心間の位置ずれ状態を示す断面図
【図9】 (a)従来のインダクタ部品の磁心の錆発生状態を示す断面図
(b)従来のインダクタ部品のワニス含浸状態を示す断面図
【符号の説明】
1 ボビン
2 コイル
3 磁心
4 磁心挿入孔
5 貫通孔の塞壁
6 磁心の先端部
7 磁心露出部
8 接着剤
9 磁心挿入孔側面壁
10 磁心端面
11 ボビン端面
12 E型磁心
13 ボビンの貫通孔
14 磁心の位置ずれ部
15 ケイ素鋼板
16 ケイ素鋼板の先端のずれ
17 磁心の錆発生部
18 ワニス含浸剤
Claims (1)
- ボビンにコイルを巻線しコイルの中央に、I型磁心を組み込んでなるコイル部品において、前記I型磁心を挿入するボビンの貫通孔の一方を塞いだうえで他方から前記I型磁心を挿入し、前記貫通孔の他方における前記I型磁心の露出部を接着剤で被覆し、前記I型磁心を外気と遮断したことを特徴とするインダクタ部品。
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JP2004259729A JP2004259729A (ja) | 2004-09-16 |
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- 2003-02-24 JP JP2003045626A patent/JP4325217B2/ja not_active Expired - Fee Related
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