しかしながら、従来品のメダルゲーム装置には幾つかの問題点があった。まず従来品のようにメダルを標的に命中させ点数化する程度では、縁日で催される打ち落としゲームの域を出ず、テレビゲームに慣れた現代の遊技者に飽きられる可能性があった。だからといってある種のパチンコ遊技装置のようにスロットマシンゲームを連動させてもメダルゲーム装置の遊技者には適さない。そもそもパチンコの遊技者は多くの景品を当てるべく射幸心を刺激する構成を期待する。一方のメダルゲーム装置の遊技者は操作そのものを楽しむ傾向にあり、メダルを多く出すことのみを目的としていない。そのため操作要素が多くゲームそのものを楽しめるような構成を好む。ただし操作部や注目すべき場所が多数あると遊技者に混乱をきたしてしまうので、単純にテレビゲームを付加すればよいというものでもない。
またメダルゲーム装置における標的については、飛んできたメダルの存在を検出できればよいので不正使用を考慮する必要が無い。できるだけ簡単な構造で、しかし確実にコインの通過を検出すれば十分である。またコインの供給のためだけにターンテーブルを止めるということはゲームを中断させるということであり好ましいとは言えない。
音響については、発射音に対する要求とBGMに対する要求とが相反している点に問題があった。すなわち発射音が無いと遊技者にはメダルを発射したことを確認できずゲームをしている実感が湧かない。BGMはゲームの楽しい雰囲気を演出し集客するという目的があるが、前記発射音がするゲームを一部のユーザは敬遠する傾向にある。このようなユーザはシューティングゲームを好まないため弾の発射音を聞くだけでそのゲームで遊ばない。そのようなシューティングゲームとは異なり、メダルゲームは万人が参加して楽しめる要素があるためこのようなユーザに参加させるような音響が必要とされる。
そこで本願発明者は、上記不都合に鑑み、従来品にない新規なメダルゲーム装置を提供することを目的とするものである。すなわち、本願発明の第1の課題は、遊技者に飽きられないメダルゲーム装置を提供することである。本願発明の第2の課題は、多様な操作を可能にして遊技者が操作を楽しめるメダルゲーム装置を提供することである。本願発明の第3の課題は、他の遊技者と協力してゲームをすることが可能なメダルゲーム装置を提供することである。本願発明の第4の課題は、メダルゲームに適する安価なメダル検出機構を備えたメダルゲームを提供することである。本願発明の第5の課題は、標的が動く場合でも標的の動きを止めることなくメダルの供給が可能なメダルゲーム装置を提供することである。本願発明の第6の課題は、客寄せとメダルゲームプレイの双方に適した音響を提供するメダルゲーム装置を提供することである。
上記第1の課題を解決する発明は、メダルを標的に命中させるメダルゲーム装置において、メダルが標的に命中したか否かに応じてテレビゲームの処理を開始し、遊技者の操作に応じてその処理内容を変更し、当該テレビゲームの処理結果に応じて遊技者に与える賞を決定することを特徴とするメダルゲーム装置である。
ここで「メダル」とはコインや貨幣などの円板体に限らない物体をも含む。ゲームの媒体に過ぎないからである。例えば、「メダル」は、玉、ボールやブロックなどその形状に限定されることはない。さらに「メダル」は、物理的に独立な物体である他、光や(超)音波のようなエネルギーの束を含む。つまり光線銃のようなもので標的をねらう場合も含む。さらに「メダル」は、現実に存在しない観念的なものも含む。すなわち、発射装置などの方向をセンサなどで検出することにより発射装置が標的を向いているか否かを判定し、正しく標的に向いて発射動作がされた場合にコンピュータ処理上弾が飛んだものとして取り扱うなどの構成を含む。「標的」とはメダルでねらう対象物であり、物理的に存在することを要せず、画像などの実体のないものも含む。「命中」とは直接物理的に接触する場合の他、標的とメダルとが一定の関係になる場合、例えば接近するなどを含む。「賞」とは、実物のメダルの払出しの他に、観念的な点数や再ゲーム権利の獲得などであってもよい。
上記第2の課題を解決する発明は、メダルを標的に命中させるメダルゲーム装置において、遊技者の操作に応じてメダルを発射する発射装置と、メダルが命中したことを検出する標的と、遊技者により操作される操作部と、テレビゲームの画像を表示する表示装置と、賞に相当するメダルを遊技者に払い出す払出し装置と、テレビゲーム用の画像を生成し、標的にメダルが命中したと判定された場合に当該テレビゲームのゲーム処理を開始する制御装置と、を備える。そして制御装置は、遊技者の操作部の操作に応じてその処理の内容を変更し、当該ゲーム処理の結果に応じて遊技者にメダルを払い出させることを特徴とするメダルゲーム装置である。
ここで表示装置には、液晶パネル、プラズマディスプレイやCRTなどあらゆる画像表示可能な手段を含む。「ゲーム処理の開始」はゲームを最初から始める他に、既に表示されているキャラクタが弾打ちを始める等の処理内容が変わる場合を含む。
例えば上記制御装置は、標的にメダルが命中したと判定された場合に、武器に相当する第1オブジェクトが敵に相当する第2オブジェクトに向けて画面上を移動させ、当該第1オブジェクトが第2オブジェクトに衝突したと判定した場合に当該第2オブジェクトを消滅させる第1のゲーム、第1のゲームにおいて一定の条件に達した場合に、賞に相当する第3オブジェクトを画面上に表示し、遊技者に操作に対応して移動可能に設定された第4オブジェクトが画面上を移動して衝突させることができた第3オブジェクトの数に対応させてメダルを払い出す第2のゲーム、を実行可能に構成されている。
ここで「オブジェクト」は画像表示される被表示体、モデル、キャラクタ、セグメントなどであって、戦闘機や怪獣、人物、ロボット、車など動きを与える生物や無生物を画像上模擬したものをいう。
また例えば上記制御装置は、第2オブジェクトを消滅させることができる期待値を、遊技者の操作により変更可能に構成されている。
上記第3の課題を解決する発明は、メダルを標的に命中させるメダルゲーム装置において、遊技者が各々操作可能に構成された複数の発射装置と、発射装置に対応させてテレビゲームの画像を表示する複数の表示装置と、各発射装置から発射されたメダルが標的に命中したか否かに応じて発射装置ごとにテレビゲームのゲーム処理を実行する制御装置と、を備える。そして制御装置は、少なくとも一の発射装置において特別ゲームに参加するための条件を満たした場合に、他の発射装置においても同時に当該特別ゲームを実行し、各発射装置から発射されたメダルが標的に命中したか否かの結果を統合して当該特別ゲームの処理を実行することを特徴とするメダルゲーム装置である。
ここで上記制御装置は、特別ゲームを実行する場合に、各表示装置に同一のオブジェクトを表示させ、各発射装置から発射されたメダルが標的に命中したか否かの成績を各表示装置に表示させるテレビゲームに相互に反映可能に構成されていてもよい。
さらに上記制御装置は、特別ゲームの実施中に、メダルが標的に命中したか否かの成績を各発射装置に対応させて記憶し、当該特別ゲームが終了した場合に、記憶した成績に対応して各発射装置を操作する遊技者に与える賞を決定するように構成してもよい。
具体的な態様として、本発明は、メダルを標的に命中させるメダルゲーム装置において、遊技者の操作に応じてメダルを発射する複数の発射装置と、メダルが命中したことを検出する一以上の標的と、一又は複数の発射装置に対応づけられたテレビゲームの画像を表示する一以上の表示装置と、一又は複数の発射装置に対応づけられ、遊技者により操作される一以上の操作部と、一又は複数の発射装置に対応づけてメダルを遊技者に一以上の払い出す払出し装置と、表示装置単位でテレビゲームのゲーム処理を実行し当該テレビゲーム用の画像を生成する制御装置と、を備える。そして制御装置は、標的にメダルが命中したと判定された場合に、各表示装置ごとに第1のテレビゲームを実行する。そして当該第1のテレビゲームの処理内容が一定の条件を満たした場合に、操作部の操作内容を反映した第2のテレビゲームを実行し、当該第2のテレビゲームの処理内容に応じて遊技者にメダルを払い出させる。そして少なくとも一の発射装置において特別ゲームに参加するための条件を満たした場合に、他の発射装置においても同時に当該特別ゲームを実行する。そして各発射装置から発射されたメダルが標的に命中したか否かの結果を統合して当該特別ゲームの処理内容を決定する。最後に当該特別ゲームの処理内容に対する遊技者の貢献度に応じて遊技者にメダルを払い出させる。
例えば制御装置は、遊技者にメダルを払い出す時に、表示装置にメダルを模擬したオブジェクトを表示させることは好ましい。実際に払い出されるメダル数が少なくても豊かな実感を遊技者に与えることができるからである。
例えば払出し装置は、表示装置の表示面から一定距離にある払出し口からメダルを払出し可能に配置されており、表示装置にオブジェクトを表示させるのと略同期してメダルを払出し口から払い出すことは好ましい。このような配置では画面上からメダルが実際のメダルとして零れ落ちるような錯覚を遊技者に与えることができるからである。
例えば上記制御装置は、発射装置によるゲームを実施する期間とテレビゲームおよびテレビゲームによるメダルの払出しを実行する期間とが重複しないようにテレビゲームを実行させることは好ましい。遊技者が操作に集中している期間をはずすことで、遊技者の操作を妨げず、また混乱を与えることもないからである。
例えば上記制御装置は、メダルが標的に命中したか否かを検出する第1の制御部と、一又は複数の発射装置単位に設けられ、夫々テレビゲームを実行可能に構成された第2の制御部と、を備える。そして第1の制御部と各第2の制御部とが双方向通信可能に構成されている。分散処理により、本発明の複雑な処理の負担を分散し、全体的な流れを完遂させるのに適する形態だからである。
上記第4の課題を解決する発明は、メダルを標的に命中させるメダルゲーム装置において、標的は、メダルを通過させる内壁を備えた筒状体と、筒状体の内径を横切って配置され、通過するメダルの向きを一定の範囲に制御する制御体と、制御体によって方向が制御されたメダルの通過を検出可能に配置された検出器と、を備えることを特徴とするメダルゲーム装置である。
例えば上記制御体は、当該筒状体の中心軸を横切って配置され、検出器は、制御体の延在方向および中心軸に略垂直な方向におけるメダルの通過を検出可能に構成され、筒状体の内径は、通過させる最小のメダル径の√2倍より小さく設定されている。
例えば、検出器によって検出された検出信号に基づいてメダルの通過の有無を判定する制御装置を備え、当該制御装置は、検出信号が定常状態から変化した時点でメダルを通過したと判定し、その後一定期間メダルの通過の検出を禁止する。
上記第5の課題を解決する発明は、メダルを標的に命中させるメダルゲーム装置において、周囲から標的に向けて発射されたメダルを受ける回収容器と、回収容器に投入されたコインを集積し搬送するコイン搬送機構と、回収容器およびコイン搬送機構を回転させる回転機構と、を備える。そして、回収容器は、水準面に対して傾斜しその最低部に穴が設けられた底部を有し、コイン搬送機構は、当該穴に集められて落下したコインを集積し搬送可能に配置されていることを特徴とするメダルゲーム装置である。
上記第6の課題を解決する発明は、メダルを標的に命中させるメダルゲーム装置において、背景音楽を演奏可能に構成された第1演奏装置と、メダルの発射音等のゲーム操作に必要な効果音を再生可能に構成された第2演奏装置と、を備える。そして第1演奏装置によるって演奏される背景音楽の発音位置に比べ、第2演奏装置により再生される効果音の発音位置が、遊技者の近傍に配置されていることを特徴とするメダルゲーム装置である。
本願発明によれば、メダルゲームとリンクしてテレビゲームが実施されるので、遊技者に飽きられないメダルゲーム装置を提供することが可能である。したがって操作を楽しみたいメダルゲームファンに対し、射幸心にのみ委ねることなくゲーム自体の爽快感を与え、遊技者の興味を長く惹きつけておくことが可能である。
本願発明によれば、リンクしたメダルゲームとテレビゲームとにおいてそれぞれ操作が可能に構成されているので、多様な操作を遊技者が楽しむことができる。
本願発明によれば、いずれかの発射装置において一定条件を満たした場合に、他の遊技者と協力してゲームをすることが可能である。したがって従来他人でしかなかった他の遊技者の間にゲームプレイを協力し合うことによる一体感が生まれ、楽しいコミュニケーションが生まれる。
本願発明によれば、一つのセンサのみで確実にメダルの通過を検出できるので、メダルゲームに適する安価なメダル検出機構を提供できる。
本願発明によれば、メダルの回収機構も標的と同時に動くので、標的が動く場合でも標的の動きを止めることなくメダルの供給が可能なメダルゲーム装置を提供することができる。
本願発明によれば、背景音楽の発音箇所と発射音等の発声箇所とを異ならせたので、客寄せとメダルゲームプレイの双方に適した音響を提供するメダルゲーム装置を提供することができる。
次に、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施の形態は、アベックが複数組同時に遊ぶことができるメダルゲーム装置に関する。
(全体構成)
図1に、本実施形態におけるメダルゲーム装置の外観図を示す。本メダルゲーム装置は、本体1、サテライト部2、標的3、ジャックポット部4およびターンテーブル部5を備えている。標的3とジャックポット部4が4つのサテライト部2によって囲まれた形態を備えている。標的3とジャックポット部4は、ターンテーブル部5の機能によって同時に回転するように構成されている。簡単に言えば当該メダルゲーム装置は、遊技者により操作される発射装置8A・Bからは標的3に向かってメダルが発射できるようになっており、標的3に命中するとさらに表示部20にテレビゲームの画像が表示されるようになっている。
本体1は、メンテナンス扉10、下部柱11、カバー部12、上部柱13および天井部14を備えている。メンテナンス扉10は、各サテライト部2に対応して開閉自在に設けられており、払い出されたメダルの受け皿24が設けられている。下部柱11は、サテライト部2を仕切ってメンテナンス扉10を挟んで設けられている。カバー部12は、ターンテーブル部5の機構を遊技者から隠し、うち損なったメダルを回収するために、外側に傾斜して設けられている。上部柱13は、天井部14を支え、サテライト部2間を仕切って設けられている。上部柱13と天井部14とで囲まれる空間が、本発明のメダルゲームが行なわれるゲーム空間を形成している。天井部14には、ゲーム空間を照らす照明具15が設けられており、上部柱13の内側にもゲーム空間を照らす照明具16が設けられている。上部柱13の上部には、BGMを流すためのスピーカ17が設けられている。またサテライト部2のレバー23の近傍には、メダルの発射音を送出するためのスピーカ26が設けられている。スピーカ26は、図面上レバーの左右に示されているが、右または左のいずれか一方のみでもよい。遊技者の耳の近傍で比較的小さい音でも明瞭に音響を聞かせることができるような位置に設置されていればよい。
このように柱の上部にBGM用スピーカ17を設置したので、効率良く周囲にBGMを流すことができメダルゲーム装置の楽しい雰囲気を演出可能になっている。このとき、発射音を送出するスピーカ26を独立して設けBGMには発射音が混じらないように構成したので、シューティングゲームが嫌いな遊技者に発射音を聞かせなくても済み集客効果が高くなっている。同時に発射装置8A・Bを操作する遊技者の近くにスピーカ26が設置されており遊技者に個別に発射音を聞かせることが可能になっているので、困難なく臨場感豊かにゲームプレイをすることができるようになっている。
サテライト部2は各々が二人の遊技者で操作可能に構成されている。つまり遊技者がペアで協力してゲームプレイすることが可能になっている。具体的にはサテライト部2は、表示部20、払出し口21、払出し樋22、レバー23、受け皿24を備えている。表示部20は、図2のサテライトユニット200によりテレビゲームの画像が表示されるようになっている。払出し口21は、当該サテライト部2の遊技者が好成績を収めた場合に、メダルが払い出される供給口である。特に、この払出し口21は表示部20の近傍、すなわち表示部の直下に配置されている。表示部にメダルのオブジェクトを表示すると同時にこの払出し口からメダルを払い出すことにより、あたかも表示部の画像であるメダルが払い出されたかのように遊技者を錯覚させ、メダル供給数が少なくても十分な払出しの快感を遊技者に与えることができるようになっている。払出し樋22は、外部に傾斜した凹部を成しており、払出し口21から払い出されたメダルが流れる様子を遊技者に認識させることが可能になっている。レバー23は、サテライトに一つ設けられ、遊技者が操作することが可能になっている。この操作は、表示部20に表示されるテレビゲームに反映されるようになっている。受け皿24は、払出し樋22を流れ落ちたメダルを貯め、遊技者が取り出せるようになっている。
標的3は、複数個(ここでは8個)設けられ、ターンテーブル部5によりゆっくりメダルゲーム装置の中心軸の周りに回転するようになっている。詳しい構成については後述する。
ジャックポット部4は、特別賞や大当たりに相当するジャックポット処理において動作し、ジャックポット用メダルを払出し可能に構成されている。具体的には、ジャックポット部4は、樹木を模した本体41に大キャラクタ部42と小キャラクタ部43を備えている。大キャラクタ部42には、モータにより揺動可能に羽44が設けられている。
ターンテーブル部5は、標的3とジャックポット部4を回転させ、発射されたメダルを回収可能に構成されている。その詳しい構造については後述する。
発射装置8Aと8Bは同様の構成を備えており、本体81と引き金82とを備えている。当該発射装置は、例えば、特開昭58−112572号、実開昭59−53080号、特開平8−289970号等に記載されているような公知の方法で、引き金82の操作に連動して円板状のメダルを一枚ずつ標的3に向けて発射できるようになっている。発射装置8には、図示しないメダル供給装置により規定数のメダルが順次供給されるようになっている。
(標的の構造)
図3および図4に標的3の内部構造を示す。標的3は、キャラクタを模したモールドで覆われて、中央部に筒状体31が軸方向を略鉛直方向に向けて設置されている。モールド上部は、中央部に穴を有する凹部をなしており、上部から飛び込んだメダルをこの穴から筒状体31に導くことが可能になっている。つまり凹部にメダルが飛び込めば(命中すれば)、筒状体31を通過させることによりメダル命中を検出させることが可能になっている。筒状体31は開口部33から開口部34に向けて一定の径以下のメダルを通過させることが可能になっており、その中心軸を横切って制御棒32が取り付けられている。この制御棒32は、開口部33から落ちてきたメダルの向きを一定の範囲に揃える機能を備えている。筒状体31は光を透過可能な材質、例えば樹脂により形成されており、制御棒32の下方に遮蔽物の有無を検出可能に発光素子304とセンサ301が設けられている。制御棒32の延在方向と発光素子304−センサ301間を結ぶ検出線とは直角を成すように設定することが好ましい。
図4に示すように、メダルのうち最も小さいメダルの径をd1、最も大きいメダルの径をd2、筒状体31の内径をD1とした場合に以下の関係を満たすように、dおよびD1を定める。
√2・d1>D1>d2
発射されるメダルの最大径より筒状体31の内径が小さいと、メダルが筒状体を通過できないからである。また検出線と制御棒とが直角をなしている場合に、必ず検出線を遮るようなメダルの大きさは、メダル面と制御棒とのなす角度が45度より小さくなるようなときである。両者が45度をなす場合にメダル径の√2倍が筒状体の内径に等しくなるから上記関係が成り立つ。センサ301による検出線と制御棒32との距離D2については、メダル面が検出線となるべく垂直を成す程度に向き制御が完了する程度の距離、例えばメダル径と同程度に設定する。
上記構成において、メダルが筒状体31内部に入り制御棒32の位置に差し掛かった場合、メダル面が鉛直方向と平行になっていない限り、制御棒にメダルの一部が当たる。メダルの一部が制御棒に当たると図3の破線で示すようにメダルが回転させられる。その力はメダル面を鉛直方向に向ける方向に作用する。またメダル面が制御棒の延在方向と大きな角度を有している場合には、その角度を45度より小さい角度に抑えるように作用する。その結果として、上記条件を満たす径を有するメダルは必ず検出線を横切り、メダル通過が検出されることになる。
図5に、センサ301から出力される検出信号の波形を(B)〜(F)に示す。波形(B)と(C)はメダルの径や向きに応じて検出線を遮る期間が異なることによってパルス幅が異なることを示している。波形(D)、(E)および(F)は、制御棒32によってメダルに回転力が与えられた場合に、同一メダルが短期間中に複数回検出線を横切り、複数のパルスが発生する場合があることを示している。本実施形態の検出回路(図2のボード302中に存在する)では、検出信号が定常状態(Lレベル)からHレベルに変化した時点で一個のメダルを通過したと判定し、その後一定期間メダルの通過の検出を禁止可能に構成されている。例えば所定のサンプリング期間(2ms程度)ごとに検出信号のステータスを検出し、一定期間(例えば3サンプリング)Lレベルが検出された後に一定期間(例えば3サンプリング)Hレベルが検出されると、一個のメダルが通過したと判定し、その後、波形(D)〜(F)における二番目のパルスを無視し得るに十分な期間(例えば10ms程度)、ステータスの検出を禁止する。図5の波形(A)で示すようにパルスの立ち上がりでメダル通過を検出し、立ち上がり後一定期間Tだけ立ち上がり検出を禁止可能に構成してもよい。以上の構成によって、一つのセンサのみによって確実にかつ安価にメダル通過の有無を検出できる。
(ターンテーブル部の構造)
図6に、ターンテーブル部5の構造を示す斜視図を示す。ターンテーブル部5は、図6に示すように、メダル受け皿51、ラウンドシュート52、メダル供給装置53、回転板54および基台55を備えている。メダル受け皿51および基台55を除く構成要素は、同時に同じ回転軸で回転するようになっている。
メダル受け皿51は、開口部511を備えたドーナツ形状の皿を成している。開口部511から外周部には図示しない梁が渡されており、その梁上に標的3が設けられている。メダル受け皿51には、標的3の周囲に飛んできたメダルを回収可能なテーパ形状の底部512が設けられている。底部512の最低部は開口し、樋513に繋がっている。この構成により、メダル受け皿51内に飛んできたメダルは底部512を滑って樋513から排出されるようになっている。なおこのメダル受け皿は必須の構成ではなく、直接ラウンドシュート52にメダルが落下するように構成してもよい。
ラウンドシュート52は、開口部521を備えたドーナツ形状を成している。ラウンドシュート52には、最低部(最深部)の開口524に向けてテーパ状に傾斜した底部522を備えている。開口部524にはメダルを安定して落下させることが可能に樋523が設けられている。この構成により、ラウンドシュート内に落下したメダルが開口524一個所に集まり、樋523から排出されるようになっている。
メダル供給装置53は、ラウンドシュート52で集められたメダルをジャックポット部4に供給可能に構成されている。すなわちメダル供給装置53は、メダル貯蔵部531、メダル供給モータ601、メダルガイド532、揺動レバー533およびカウントセンサ405を備えている。メダル貯蔵部531の底部には図示しないメダル送出装置が設けられている。メダル送出装置は、メダルを嵌挿可能な穴が複数設けられた円盤を回転させてメダルを順次メダルガイド532内に送り出すことが可能になっている。メダルガイド532は、メダルの通路となっており、メダルを一列にして長い距離搬送させることが可能になっている。メダルガイド532の出口からメダルがジャックポット内に排出される際に、揺動レバー533が揺動しその揺動に対応してカウントセンサ405が排出されたメダルを検出するようになっている。メダル供給装置53の構造としては、特開平10−97660号公報や特開平10−177666号公報に記載されているような公知技術を利用可能である。
回転板54は、基台55に備えられたモータ501(図示しない)によってメダル受け皿51、ラウンドシュータ52、メダル供給装置53を一体的に回転させることが可能になっている。
(制御ブロックの構成)
図2に、本実施形態のメダルゲーム装置を動作させるシステムブロック図を示す。図2に示すように、システムブロックとしては、メインユニット100、サテライトユニット200、標的ユニット300、ジャックポットユニット400、ターンテーブルユニット500、メダル回収ユニット600、照明ユニット700、メンテナンスユニット800およびインターフェースボード900を備えている。第1の制御装置になるメインユニット100と第2の制御装置になる複数のサテライトユニット200が双方向通信で接続されることによって分散処理システムを形成している点に特徴がある。
メインユニット100は、標的ユニット300、ジャックポットユニット400、ターンテーブルユニット500、メダル回収ユニット600、照明ユニット00およびメンテナンスユニット800を制御可能に構成されている。また各サテライトユニット200との間でデータとコマンドの送受信をするようになっている。具体的にメインユニット100は、CPU101、メモリ102、タイマ103、インターフェース回路104,105,106,108、音源回路107などを備えている。
CPU101は、メモリ102に格納されたプログラムを実行することにより、本発明の制御装置の一部として図7および図11に示すような処理を実行可能になっている。メモリ102は、ROM部分にプログラムが格納されている他、RAM部分をCPUのワークエリアとして提供可能になっている。タイマ103は、水晶発振器を分周することによって一定期間ごとにCPUに割り込みを掛けることで経過時間を通報可能になっている。インターフェース回路104は、各サテライトユニット200との双方向シリアル通信および音源制御コマンドの送信を行うようになっている。インターフェース回路105は、ターンテーブルユニット500にモータ駆動信号を、メダル回収ユニット600にドライブ信号を、照明ユニット700に点灯指示信号を送出し、ターンテーブルユニットから位置センサ502,503の検出信号を受信するようになっている。インターフェース回路106は、インターフェースボード900を介してジャックポットユニット400との間で、モータ401用の小キャラクタ駆動信号、モータ402用の大キャラクタ駆動信号およびモータ404用のホッパー駆動信号を出力し、大キャラクタ42のウェーブセンサ403、本体41のカウントセンサ405およびフルセンサ406の検出信号を入力するようになっている。また各標的ユニット300に点灯指示信号を出力し、センサ301の検出信号を入力するようになっている。インターフェース回路108は、メンテナンスユニット800とメンテナンス用の操作信号を入力するようになっている。音源回路107は、波形メモリを内蔵し、CPUからの音源制御信号に応じて波形を合成し合成した波形の音響信号を出力するようになっている。この音源回路で合成される音響信号は主としてBGMに関わるものである。音響信号はアンプ110で電力増幅され、メダルゲーム装置本体1の上部柱13に取り付けられたスピーカ107に供給される。
サテライトユニット200は、サテライト部2に対応して設けられており(本実施形態では4ユニット)、メインユニット100とデータの交換をしつつ各サテライト部2の制御が可能に構成されている。具体的にサテライトユニット200は、ボード上にCPU201、メモリ202,インターフェース回路203,204,206,207,208,209、ビデオ表示回路207(VDP)および音源回路205を備えている。
CPU201は、メモリ202に格納されたプログラムを実行することにより、本発明の制御装置の一部として図8〜図10および図12に示すような処理を実行可能になっている。特に表示部20に表示させるテレビゲームを実行可能に構成されている。メモリ202は、ROM部分にプログラムが格納されている他、RAM部分をCPUのワークエリアとして提供可能になっている。インターフェース回路203は、メインユニット100とデータやコマンドの送受信を行い、インターフェース回路204は、音源制御信号を受信するようになっている。インターフェース回路206は、各発射装置8A・Bにメダルを供給するホッパー25にモータ212用駆動信号を出力し、カウントセンサ213から検出信号を入力するようになっている。インターフェース回路207は、レバー23の検出信号を入力し、インターフェース回路209は、メダルセンサ214およびトリガセンサ214から検出信号を入力するようになっている。ビデオ表示装置207は、データメモリとフレームメモリとを内蔵し、テレビゲームの進行を制御するCPU201のコマンドにより指定されたオブジェクトデータと位置情報に基づいてフレーム画像を生成し、表示部20に映像信号を出力可能に構成されている。音源回路205は、波形メモリを内蔵し、CPU201からの音源制御信号に応じて波形を合成し合成した波形の音響信号を出力するようになっている。この音源回路で合成される音響信号は主としてメダルの発射音や表示部20に表示するテレビゲームの音響に関わるものである。音響信号はアンプ211で電力増幅され、サテライト部2のレバー3横に取り付けられたスピーカ26に供給される。
標的ユニット300は、標的3の内部に設けられるユニットであり、前記したセンサ301、ボード302および冷陰極管303を備える。この他図示しないが図3および図4で示した発光素子304を備える。ボード302は、センサ301からの検出信号を入力し前述したような判定方法によりメダルの通過を検出し検出した旨をCPUに出力可能になっている。またメダルが通過したと検出された場合に冷陰極管303を点滅させたり、CPUからの点灯制御信号に対応させて、冷陰極管303の点灯を制御したりが可能な回路を備えている。冷陰極管303は、筒状体301を囲んで配置されており、標的3のモールドを通して標的を光らせることが可能な程度の光量で発光するものである。
ジャックポットユニット400は、小キャラクタ43を駆動するモータ401,大キャラクタ42を駆動するモータ402、本体41内のホッパーを駆動するモータ404を備えている。また大キャラクタ42の羽44の動きを検出するセンサ403,ホッパーのカウントセンサ405とフルセンサ406を備えている。モータ401と402はそれぞれキャラクタを動かし視覚的効果を与えることに寄与するものである。モータ404はジャックポット処理においてメダルの払い出しをするための駆動装置である。センサ403は羽44の位置を検出しモータ402の動きを反転させ、大キャラクタ42が羽ばたいているように見せるものである。カウントセンサ405は払い出しメダル数を計数し、フルセンサ406は、ホッパー内にメダルが充填された場合にそれ以上のメダル供給を停止させるための検出信号を出力するようになっている。
ターンテーブルユニット500は、ターンテーブル部5の制御ブロックであり、モータ501,ジャックポットセンサ502および位置センサ503を備えている。モータ501は回転板54を回転させるために基台55に設けられたものである。ジャックポットセンサ502はジャックポット処理時にメダル払い出しを行う位置を検出しターンテーブル部を停止させるためのものである。位置センサ503は、サテライト部2ごとに設けられ、各サテライト部に対応する標的を特定するための位置センサである。
メダル回収ユニット600は、ジャックポット用のメダル供給装置53の他、各サテライト部2の発射装置8にメダルを供給する図示しないメダル供給装置の駆動装置601を複数備えている。照明ユニット700は、ゲーム空間を照明する照明具15や16が配置されているユニットである。メンテナンスユニット800は、保守用のリセットスイッチ、電源投入スイッチ、試験用選択スイッチ、音響のボリュームなどが配置されたユニットである。インターフェースユニット900は、回転している標的ユニット300およびジャックポットユニット400と静止しているメインユニット100とを電気的に接続するためのインターフェース機構を備えている。
(動作の説明)
次に本実施形態におけるメダルゲーム装置の動作を説明する。まず全体的なゲームの流れを説明する。
全体的な流れ
遊技者がゲームプレイを開始すると通常ゲームが開始する。通常ゲーム処理では、遊技者が発射装置8を操作してメダルを標的3に命中させる。遊技者はアベックで二つの発射装置を使用して協力してゲームプレイが可能である。標的にメダルが命中すると命中させた遊技者に対応づけられているサテライト部2の表示部20においてテレビゲームが開始する。テレビゲームの内容は、例えばキャラクタから弾が発射され敵のキャラクタを破壊していくといった内容である。ある種の敵キャラクタを一定数破壊するとサテライトごとの持ち点であるエネルギー点が加算される。これで1ステージが終了する。
遊技者が一定数のステージを完遂させると、ボス戦が開始する。いずれかのサテライト部2においてボス戦が開始すると、他のサテライト部において実施されている通常ゲームが一旦中断し、同時にボス戦が始まる。ボス戦では、標的が点滅する。点灯している標的に発射装置からメダルを命中させると、表示部20内において表示されている「ボス」(強いキャラクタ)に対しテレビゲーム上の攻撃が加えられる。一つのサテライト部におけるメダルの命中の有無が、他のサテライト部にもテレビゲーム上のデータとして反映される。つまり同じメダルゲーム装置のサテライト部でそれぞれプレイしていたカップル同士が協力して「ボス」を倒すことになる。サテライト部ごとに射撃成績が記録され、「ボス」を倒すことができたらその成績に応じて表示部にメダルの絵が表示される。遊技者がレバーでメダルを回収すれば、回収した数のメダルが払い出される。ボス戦の成績に応じてさらにエネルギーが加算される。ボス戦が終了すると、また通常ゲーム処理に戻る。
エネルギー点が一定値を超えたサテライト部では、ジャックポット処理に移行する。ジャックポット処理では、本体41のホッパーからメダルが払い出され標的3に入る。標的3にメダルが入ると、また表示部20においても新たなテレビゲームが開始し、新たな「ボス」を倒すように展開していく。一定数のメダルが標的に命中すると「ボス」が破壊され、ボーナスに相当するメダルが遊技者に払い出され、当該サテライト部におけるゲームが終了する。
具体的な処理
次に具体的なユニットごとの処理の流れをフローチャートに基づいて説明する。図7はメインユニット100で実行される処理を示し、図8は各サテライトユニット200で実行される処理を示している。
メインユニット100とサテライトユニット200とは、相互にステータスを通報し会って、ゲームの進行状況を一致させている。砲撃単位やゲーム単位で幾つかの通報が行なわれる。例えば、メダル発射を検出するのはサテライトユニットであるため、その発射がメインユニットに伝達される。メダルが標的に命中したことを感知するのはメインユニットであるため、命中がサテライトユニットに伝達され、サテライトユニットではテレビゲームの処理を変更する。ボス戦やジャックポット戦の開始や終了といったゲームモードも相互に通報される。このような双方向通信により、全体として一つのゲーム制御がなされる。一つのコンピュータ装置でタスクシェアリングしてサテライトを含む処理をする場合に比べ、このような分散処理により迅速に効率的に処理を進めることができる。
ゲームの開始時、遊技者は表示部20に表示させるキャラクタの強さを設定することが可能である。サテライトユニット200はこの設定を記憶しておく。キャラクタの強さに応じて、加算されるエネルギー点や払い出されるメダル数が決定される。
メインユニット100とサテライトユニット200では、ループ処理の途中で現在のゲームモードをフラグ判定している。ゲームモードの変更や射撃の事実はコマンドで通信される。コマンドが送信されると対応するフラグを変更し、互いのユニットにおけるゲームの進行状態を一致させる。最初は砲撃した旨を記録する砲撃フラグとともに、ゲームモードを決定するボス戦フラグやJP(ジャックポット)戦フラグもリセットされている。このため通常ゲーム処理から開始する。
メインユニットでは、まず位置センサ503からの検出信号に対応してターンテーブル部5の回転角を検出する(S101)。複数ある標的3と各サテライト部2との対応関係を把握するためである。サテライトユニットでは、発射手段8Aまたは8Bのトリガセンサ215から検出信号が供給され、一定時間以内にさらにメダルセンサ214から検出信号が供給された場合に実際に有効なメダルの射撃があったものと判定する(S201;YES)。トリガ82を引いてもメダル詰まりなどで実際にメダルが発射されない場合があるからである。実射撃があったと判断されたら、インターフェース回路203を介してメインユニットに実射撃があった旨を示すコマンドを通報する(S202)。
両ユニットともループ処理中でシリアルデータが送信されたか否かが判定され(S102、S203)。シリアルデータがインターフェース回路のバッファか割り込み処理により蓄積されたリングバッファに存在すると判断されたら(S102、S203:YES)、シリアルデータを読み取る(S103、S204)。サテライトユニットでは、実射撃があった場合にその発射音を音源回路205を駆動してスピーカ26から送出する。また音源制御信号がメインユニットから送信されてきていた場合にはそのコマンドに応じて音源回路を駆動する。スピーカ26からは発射音にBGMが合成されていても、遊技者の操作に悪影響がないからである。
メインユニットでは、サテライトユニットから実射撃が通報された場合(S104;YES)、一定期間以内にこのサテライト部2に対向しているいずれかの標的3にメダルが命中したか否かを検出する(S105)。そしてメダルが命中していることを標的ユニット300のセンサ301が検出したら(S105;YES)、メインユニットはメダル命中をサテライトユニットに通報する(S106)。そして当該ゲームステージにおけるこのサテライト部のメダル命中数を記録しておく(S108)。
サテライトユニットでは、メダル命中が通報されると(S206;YES)、砲撃フラグをセットする(S208)。各ゲームモード処理(S217、S219,S220)で利用するためである。そして最初はボス戦フラグがリセットされており(S209;NO)、JP戦フラグもリセットされており(S211;NO、S218;NO)、これら特殊戦の終了が通報されたわけでもないので(S213;NO)、通常ゲーム処理(S220)を行う。メインユニットでも、ボス戦が通報されたりボス戦フラグがセットされたりしておらず(S109;NO,S112;NO、S117;NO)、JP戦フラグがセットされていないので(S119;NO),通常の照明処理(S121)と音源処理(S122)を行う。これにより標的3は点灯照明され、音源回路107によりスピーカ17から通常ゲーム処理用のBGMが送出される。
(通常ゲーム処理)
図9にサテライトユニットにおける通常ゲーム処理手順を示す。本実施形態の処理ループでは理解し易くするために、1ループに一回この通常ゲーム処理をするように記載してあるが、実際には画像更新期間(フレーム期間ごと)単位に処理される。CPU201は電源立上げからテレビゲーム用プログラムを実行しており、何らかのテレビゲーム画像データがビデオ表示回路207で生成され、表示部20にテレビゲーム画面が表示されている。サテライトユニットは、背景画像の手前に所定のオブジェクト(以下、プログラムまたは操作に対応して画面内を移動するオブジェクトを「キャラクタ」と称する)を表示可能である。後に遊技者が操作することが可能になるキャラクタ(以下「操作キャラクタ」と称する)が当初から表示されている。また砲撃が開始すると、プログラムにより移動し攻撃対象となる敵のキャラクタ(以下「敵キャラクタ」と称する)が表示される。通常ゲーム処理の冒頭でそれらキャラクタが表示されている場合には、CPU201はそれらの移動先の座標を計算する(S301)。砲撃フラグがセットされている場合(S302;YES)、CPUは操作キャラクタから弾を表すキャラクタ(以下「弾」と称する)が発射されるようにオブジェクトの配置を定め、砲撃フラグをリセットする(S303)。弾の移動処理を画像更新期間ごとに行えば、操作キャラクタから弾が発射されていくような画像が表示される。この弾のうちいずれかが敵キャラクタと衝突した場合には(S304;YES)CPUはその敵キャラクタを消滅させる(S305)。CPUは例えば複数の敵キャラクタを同時に出現させ、それらの総てが破壊されると、他の種類の敵キャラクタを出現させる。数種類の敵キャラクタが総べて破壊されると、CPUは敵キャラクタの基地を意味する特殊キャラクタを出現される。その特殊キャラクタが破壊されると、CPUは基地の破壊数を計数していく。最後に各キャラクタについてCPUにより決定された移動位置にそれらキャラクタを表示させるための画像データをビデオ表示回路207が生成し、画像更新時期に同期させて表示部20に出力する(S306)。この処理により、フレーム単位で表示位置が少しずつ変化していくキャラクタが表示され、遊技者には画像が動いているように認識させることができる。
(ボス戦処理)
さて一回の通常ゲーム処理(S220)の終了後に基地の破壊数が最大数(例えば10個)に達している場合(S221;YES)、サテライトユニットは最大破壊数に達した旨をメインユニットに通報する(S222)。メインユニットでは、シリアルデータとして入力した(S103)通報によりボス戦がいずれかのサテライトユニットで開始されたと判断する(S109;YES)。そして総てのサテライトユニットにボス戦を開始させるコマンドを送出し(S110)、内部処理のためにボス戦フラグをセットする(S111)。ボス戦フラグがセットされていると、メインユニットでは標的の冷陰極管303を点滅させる。冷陰極管が点灯している期間中に発射装置からのメダルが標的に命中した場合に限り、メダル命中通報(S106)を行うように処理を変更する。
ボス戦コマンドを受信した総てのサテライトユニットでは、ボス戦開始のコマンドを認識し(S209;YES)、内部処理用のボス戦フラグをセットする(S210)。ボス戦フラグがセットされているので(S216;YES)、CPU201はボス戦処理(S217)に移行する。
図10にサテライトユニットで実施されるボス戦の処理手順を示す。本実施形態の処理ループでは理解し易くするために、1ループに一回このボス戦処理を実施するように記載してあるが、実際には画像更新期間(フレーム期間ごと)単位に処理される。ボス戦では通常ゲーム処理と同様に操作キャラクタが表示される。さらにプログラムにより移動しボス戦の攻撃対象となる敵のキャラクタ(以下「ボスキャラクタ」と称する)が表示される。CPU201は画像更新期間ごとにこれらキャラクタの移動先の座標を計算しておく(S401)。
テレビゲームにおいてボスキャラクタを倒す弾を操作キャラクタから発射させるために、遊技者は発射装置8AおよびBを操作して点滅している標的3に向かってメダルを発射する。メインユニットでは、冷陰極管が点灯している期間中にメダルが標的に命中した場合に限り、メダル命中を通報してくる。メダル命中が通報されると砲撃フラグがセット(S208)されるので、サテライトユニットでは、砲撃フラグがセットされている場合(S402;YES)、通常ゲーム処理と同様にして弾を移動させる。このとき他のサテライトにおける砲撃状況をメインユニットが各サテライトに共通して流すように設定してもよい。複数の操作キャラクタを同時に表示させ、各操作キャラクタから砲撃状況に応じた弾を発射させるように設定すれば、総てのサテライト間で協力してボスキャラクタと戦っているという実感を遊技者に与えることが可能である。
規定の時間以内にボスキャラクタを破壊できなかった場合(S404;YES)、CPU201は通常ゲーム処理に移動するためのステージやり直しフラグをセットし、ボス戦フラグをリセットし、ボス戦が不成功だった旨をメインユニットに通報する(S405)。メインユニットではこれを検出し(S117;YES)、ボス戦フラグをリセットすると同時に総てのサテライトにボス戦終了コマンドを送信する(S118)。このコマンドを受けるとサテライトユニットではボス戦が終了したと認識し(S213;YES)、ボス戦フラグをリセットする(S215)。フラグリセットにより、メダルゲーム装置は通常ゲーム処理に戻ることになる。
一方、サテライトユニットにおいて、規定の時間以内に(S404;NO)、ボスキャラクタを破壊する条件に達した場合(例えば一定数の弾が撃ち込まれたこと)(S406;YES)、ボス戦に処理した旨がメインユニットに通報される(S407)。メインユニットでは、ボス戦勝利を認識すると(S112;YES)、サテライトユニットに対応づけて記憶していたメダルの命中数を、対応するサテライトユニットに通知する(S113)。つまりボス戦における各サテライト部の貢献度を通知するのである。サテライトユニットでは、CPU201がメインユニットから通知された当該サテライト部の貢献度に対応するメダルを意味するキャラクタ(以下「メダルキャラクタ」という)を表示部20に表示する(S408)。同時にCPUはレバー23からの入力を許可し、遊技者に対してレバー操作を促す文字表示または音声ガイダンスをする。遊技者がレバー23を操作すると、その操作内容に対応してCPUは操作キャラクタを移動させる(S409)。そして操作キャラクタとメダルキャラクタとの衝突判定をし、衝突したと判定できたメダルキャラクタを消滅させる(S410)。そしてCPUは、消滅させることができたメダルキャラクタ数に対応した数の実物のメダルを、ホッパー25を駆動して払い出させ、エネルギー点を上昇させる(S411)。表示部20には貢献度に応じて飛び交うメダルキャラクタが表示され操作キャラクタで消滅、すなわち回収することができた数のメダルが実際に表示部直下の払出し口21から排出されてくるので、まるで実際に空飛ぶメダルを掴み取ったかのような錯覚を遊技者に与えることができる。サテライト部の貢献度が高ければ高い程、表示されるメダルキャラクタの数も多い。レバー操作を適切に行う限り、貢献度の高さに応じた数のメダルを遊技者に払い出すことができる。最後にボス戦フラグをオフにし、通常ゲーム処理における次の処理から開始するようにステージ数をアップさせる(S412)。画像更新のための画像データ生成・出力処理が行われると(S413)、ボス戦処理が終了する。
(ジャックポット処理)
さてボス戦に勝利する毎にサテライト単位でエネルギー点が蓄積されていく(S413)。このエネルギー点は随時メインユニットに通報される。メインユニットにおいていずれかのサテライトのエネルギー点が一定数を超えると(S115;YES)、ジャックポット(JP)戦の開始が対応するサテライトに通知され、JPフラグがセットされる(S116)。JPフラグがセットされていると(S119;YES)、メインユニットではJP処理が行なわれる(S120)。またJP戦の通知が通知されると(S211;YES)、サテライトユニットではJP戦フラグがセットされ(S215)、JPフラグがセットされていると(S218;YES)、JP戦処理が行われる(S219)。
図11にメインユニットのJP処理(S120)の手順を、図12にサテライトユニットのJP戦処理(S219)の手順を示す。メインユニットでは、まずJPセンサ502の検出信号によりJP戦の対象となるサテライト部の前にジャックポット部4のメダル払出し口を移動させる(S501)。そして一定数のメダルをジャックポット部4から払い出す(S502)。払い出されたメダルが標的3に命中すると(図7;S105;YES)、メダル命中通報がされる(S106)。ここでJP戦では発射装置を操作したか否かの判断は行われない(S104)。サテライトユニットでは、CPU201がJP戦用の画像データを準備しておく(S601)。そして標的にメダルが入った結果、砲撃フラグがセットされると(S206;S208;S602;YES)、前述と同様にCPUは表示部に弾を表示し、移動処理を行う(S603)。そして一定数の弾が敵キャラクタと衝突すると(S604;YES)、CPUは敵キャラクタを消滅させ(S605)、ステップS407〜S411と同様のメダル回収処理を行う。ジャックポットは特別賞なので多量のメダルキャラクタが表示され、遊技者が頑張れば沢山のメダルを実際に取得することができる。
メインユニットでは、メダルの命中数が一定値を超えたら(S503;YES)、JP戦成功を当該サテライト部に通報してJP戦フラグをリセットし(S504)、ループ処理に戻る。サテライトユニットでは、JP戦成功が通報されたら(S607;YES)CPU201はJP戦フラグをリセットし(S608)、画像更新処理をして(S609)、ループ処理に戻る。また通常ゲーム処理でサテライトの最終ステージに達したら(図8:S223;YES)、そのサテライト部におけるゲーム処理を終了する。
(利点)
これまで述べたように本実施形態によれば以下の利点がある。
(1)本実施形態によれば、遊技者がメダルゲームに集中している間は表示部では勝手に(CPUの処理で)テレビゲームが実施され、ボス戦やJP戦などで勝利を収める発射装置を操作する必要が無くなった段階で、メダルの回収操作が可能になっている。したがって、操作手段を次々切り替えながらゲームプレイができるので、操作を楽しみたいメダルゲームファンを十分に楽しませることができる。
(2)また本実施形態によれば、サテライトユニットで一定の結果に到達しても一端それをメインユニットに通報しメインユニットが改めてコマンドを送信してくるため、数百msec程度のタイムラグが生じる。したがって遊技者が発射装置を操作してから若干遅れて表示部の画像表示が変化するので、遊技者に操作に支障を来すことなく表示の変化を楽しませることができる。
(3)本実施形態によれば、一つのサテライト部に二つの発射装置が備えられているので、アベックがペアでゲームプレイを楽しむことができる。
(4)さらに本実施形態によれば、ボス戦時に総てのサテライト間で共同戦線が張られるので、アベック同士が協力して遊ぶことができ、他人同士の間で達成感を共有することができる。
(5)またボス戦では貢献度に応じたメダル支払がされるので、努力に応じた見返りをサテライト単位に提供することができる。
(6)さらにメダルシューティングとレバーによるメダルキャラクタの回収をともに成功させない限り多くのメダルを獲得できないので、操作が好きな遊技者にはたまらないメダルゲーム装置を提供可能である。
(7)本実施形態によれば、かわいいキャラクタ形状に標的を成型し、その真ん中に届いたメダルを命中したものと判定するので、万人に受け入れ易いメダルゲームを提供可能である。
(8)本実施形態によれば、メダルの通過を検出したら標的を点滅させるので、メダルの命中を直接確認可能である。
(9)本実施形態によれば、ターンテーブル上に乗って標的とともにメダルの回収機構や供給機構が動くので、ゲームを中断することなくメダルの供給が可能である。
(10)本実施形態によれば、BGMが上部に付けられているので遠くに楽しい音楽を届かせることができる一方、遊技者の手元で発射音を鳴らすことができる。このためシューティングゲームが嫌いな者に対する客寄せ効果がある一方、操作し易い程度に発射音も個別に提供可能である。
(11)本実施形態によれば、通常ゲーム、ボス戦、ジャックポット戦と正確の異なるゲームが一定の順番でなく開始するように構成されているので、変化に富んだ楽しいゲーム環境を創造可能である。
(その他の変形例)
本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨の範囲で種々に変形して適用することが可能である。
メダルゲーム系に関しては、例えば本実施形態ではメダル、すなわち円板体を弾として使用していたが、玉、ボール、ブロックその他の物体であってもよい。さらに課題を解決する手段で示したように、エネルギーの束であったり、観念的なものであったりしてもよい。その弾の形態に応じた検出手段を設けておけばよい。標的は中央で回転させていたがこれに限定させず、例えば往復させたり上下動させたりまたは静止させたりしてもよい。ゲーム機の形態としても中央の標的をねらう形態でなく、遊技者が横一列に並んだり二列で向かい合って並んだりする等、どんな形態であってもよい。
テレビゲーム系に関しては、例えば本実施形態ではシューティングゲームであったが、他の種類のテレビゲームであってもよい。要は複数の異なる種類のゲームが有機的にリンクしている点に本発明の特徴がある。またテレビゲーム中でメダルキャラクタを回収する形態ではなくレバー操作によりシューティングゲームを操作可能に構成しその結果に対応して払い出すメダル数を定めてもよい。またメダルを払い出さず、観念的に点数を競い合ったり再ゲームの権利を見返りとして遊技者に提供したりしてもよい。
機械系に関しては、各メダル回収容器の形状は上記実施形態に限ることなく、発明の目的に合致した範囲で設計変更可能である。例えば一つの開口にメダルを集める代わりに、複数の開口部からメダルを回収可能に構成してもよい。
処理全体に関しては、例えばメダルゲームの後にテレビゲームという関係ではなく、その逆の順序でゲームが進められてもよい。またメインユニットとサテライトユニットという分散処理でなく、コンピュータの処理能力が許容すれば集中処理にしてもよい。さらに協力関係を形成する複数のサテライトを同一のメダルゲーム装置におけるサテライトに限定することはない。すなわちメダルゲーム装置に通信機能を持たせネットワーク経由でコマンドとデータとを双方向通信可能に構成すれば、遠隔地にあるサテライト単位あるいは遊技者単位で本実施形態のようなゲーム処理を遂行可能である。直接協力すべき遊技者が近くにいなくても、協力ゲームプレイが可能である。
1…メダルゲーム装置本体 2…サテライト部 3…標的 4…ジャックポット部 5…ターンテーブル部 8…発射装置 20…表示部 21…払い出し口 23…レバー