JP4324695B2 - 流体継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、流体継手に関し、さらに詳しくは、ソケットに接続される相手側の接続部材による押圧力を利用して流路を開放することができる流体継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気や水などの流体を供給する際に用いられる流体継手には、内部が空洞とされているソケットと、このソケット内部に挿嵌されて摺動可能な開閉バルブと、ソケット内部で流体の移動方向両側にそれぞれ配置されているプラグおよびソケットアダプタとを備えた構成のものが公知である。
【0003】
この従来の流体継手においては、ソケットアダプタと開閉バルブとの間に配置されているバネによって通常開閉バルブが閉じられた状態に維持されている。そして、このような流体継手では、プラグが挿入されると、このプラグの挿入に連動して開閉バルブが押し動かされ、開閉バルブの周面に形成されている孔が開放されてソケットアダプタ内と連通する。その結果、開閉バルブソケットアダプタ内に流れた流体が開閉バルブの先端外周面を迂回して孔に達し、その孔からプラグ側に向け流れるように構成されている。
【0004】
ところで、このような従来の流体継手にあっては、流体が開閉バルブの先端部外周面を迂回して孔に達することから、ソケットアダプタの空洞部内径を大きくする必要があり、これによって、継手が大型化する虞れがあった。
【0005】
そこで、従来では、上記ソケットアダプタの空洞内周面に開閉バルブの外周面を接触させた構成とし、開閉バルブには軸方向に沿って貫通するスリット状の流体流通部を設け、その流体流通部を介して流体を流せるようにすることで開閉バルブの外周面とソケットアダプタの空洞部内周面との間に形成されていた流体の流路用隙間をなくした構成が既に提案されている(例えば、特許第2803988号等)。
【0006】
いま、図17を参照して開閉バルブに流体流通路を設けた従来の流体継手の一例を説明すると、次の通りである。
【0007】
図17は、流体継手の接続状態を示す図であり、同図において、流体継手100は、内部に空洞部を有するソケット本体101と、ソケット本体101に締結されるプラグ102と、プラグ102内で摺動可能に配置されているバルブ体103と、を主要部として備えている。
【0008】
バルブ体103は、プラグ102内に配置されているスプリング104によって図17において左方向への移動習性が付与されており、その移動は、図18に示すように、ソケット本体101内に配置されているカラー105によって規制される。
【0009】
図19および図20において、上記バルブ体103は、周方向の等分位置にプラグ102の空洞部内周面に当接可能な突起103Aを有し、さらに、軸部には、プラグ102の空洞部内に連通可能な流路103Bが軸端部から外周面に向けて形成されている。従って、バルブ体103に向けて流れる流体は、流路103Bを介してバルブ体103の軸端から外周面に向け流れ、突起103Aとプラグ102の空洞部内周面との間の隙間(図20中、符号Sで示す空間)を通過してプラグ102側に流れる。尚、図19において符号103Cは、カラー105に当接する面をシールするためのOリングが装填される凹部を示している。
【0010】
そして、図17においてソケット本体101の内部には、上記カラー105に隣り合う位置にスライドカラー106が配置されている。
【0011】
スライドカラー106は、ソケット本体101内に挿入される相手側のソケットアダプター107を摺動案内する部材であり、その外周面および内周面にはそれぞれOリング108,109が配置されて、バルブ体103側とソケット本体101との間、およびソケットアダプタ107とソケット本体101との間のシールが行われるように構成されている。
【0012】
ソケットアダプタ107は、ソケット本体101の外周面に挿嵌されているロック部材110によって挿入位置に保持される。
【0013】
ロック部材110は、ソケット本体101に形成されている孔に装填されたボール111をソケットアダプタ107の凹部に対して係脱させることができる構成を備えており、ロック部材110内に配置されているスプリング112の習性によりボール111を、常時、ソケットアダプタ107の凹部に係合させるように構成されている。
【0014】
上記構成の流体継手においては、通常、スプリング104の付勢により、図18に示すように、バルブ体103がカラー105に衝止され、流体の流路を閉じ、プラグ102側に形成されている流体通路102A内への流体の流れを遮断する。
【0015】
一方、ソケットアダプタ107が挿入されると、図17に示すように、バルブ体103がスプリング104の付勢に抗して押し動かされるので、ソケットアダプタ107側の流体通路107Aとバルブ体103側の流路103Bとが連通し、図20に示した隙間Sを介してプラグ102側の流体通路102A側からの流体の流れが許容される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の流体継手は、次のような課題を有していた。
第1に、Oリング108,109がそれぞれ個別のシール特性を持つ関係上、それぞれの設置場所を異ならせて組み付けする必要があり、それだけ部品点数が増加するとともに組立が困難となる。
【0017】
第2に、バルブ体103に形成されている流路103Bは、図21に示すように、ソケットアダプタ107に形成されている流体通路107Aに対して流路面積が小さくなっているために、ソケットアダプタ107内を流れた流体が流路103Bにおいて絞られることになり、所謂、流量損失が発生してしまう。
【0018】
さらに、第3には、バルブ体103は、図18に示すように、カラー105によって流路103Bの全域を完全に塞ぐことができる構成にはなっていないので、ソケットアダプタ107がソケット本体101から抜き取られる過程でプラグ102側の流路102Aと流路103Bとが連通する場合があり、しかも、ソケットアダプタ107が抜き取られた後にはカラー105による衝止位置でのみシールされる構成であることから、流体の漏れを確実に防止することができない場合があり、所謂、開閉弁としての機能を持ち合わせた構成にはなっていない。
【0019】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、部品点数の増加や組立工数の増加を防止できるとともに、非接続状態における確実な流体漏洩防止が可能な構成を備えた流体継手を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ソケット内に摺動可能な弁体を配置し、該弁体を接続対象部材により押し動かすことで開放して上記接続対象部材との間に流路を形成する流体継手において、上記ソケット内部に挿嵌された端部が該ソケットと一体化され、上記接続対象部材が挿入された際に一端が拡径可能であるとともに他端が縮径可能であり、該他端が上記ソケット本体の外周面に係合可能な可撓性部材からなる接続対象部材保持手段を備え、上記接続対象部材保持手段は、内部に上記接続対象部材が挿入されたときに該接続対象部材と係合して上記接続対象部材の抜け止めを行ない、上記一端が拡径されることで上記接続対象部材を引き抜ける状態に設定したことを特徴とするものである。
【0021】
そして、請求項2に記載の発明は、ソケット内に摺動可能な弁体を配置し、該弁体を接続対象部材により押し動かすことで開放して上記接続対象部材との間に流路を形成する流体継手において、上記ソケット内部に形成された空洞部内周面と上記弁体の外周面との間における同一箇所で、上記ソケット側と上記弁体側との間のシールと、上記ソケット側およびこれに挿脱される接続対象部材側との間のシールが可能なOリングを、共用可能に設けると共に、上記ソケット内部には、上記弁体における上記ソケットと上記弁体あるいは上記接続対象部材との間のシールを行うOリングの受け面を一端に有し、他端には上記弾性体の受け部を有する台座部材が挿嵌されていることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の流体継手を技術的前提とし、上記ソケット内部に挿嵌された端部が該ソケットと一体化され、上記接続対象部材が挿入された際に一端が拡径可能であるとともに他端が縮径可能であり、該他端が上記ソケット本体の外周面に係合可能な可撓性部材からなる接続対象部材保持手段を備え、上記接続対象部材保持手段は、内部に上記接続対象部材が挿入されたときに該接続対象部材と係合して上記接続対象部材の抜け止めを行ない、上記一端が拡径されることで上記接続対象部材を引き抜ける状態に設定することを特徴とするものである。
【0023】
そして、請求項4記載の発明は、ソケット内に摺動可能な弁体を配置し、該弁体を接続対象部材により押し動かすことで開放して上記接続対象部材との間に流路を形成する流体継手において、上記ソケット内部に形成された空洞部内周面と上記弁体の外周面との間における同一箇所で、上記ソケット側と上記弁体側との間のシールと、上記ソケット側およびこれに挿脱される接続対象部材側との間のシールが可能なOリングを、共用可能に設けると共に、上記弁体の外周面と上記ソケットの内周面との間には、上記弁体が閉じられた際に、該弁体において径方向に貫通して形成された流路の開口を覆うことができるとともに、該弁体とソケットとの間のシールを行う部材の受け部を有するカラーが設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
さらに、請求項5に記載の発明は、、請求項4に記載の流体継手を技術的前提とし、前記ソケット内部に挿嵌された端部が該ソケットと一体化され、上記接続対象部材が挿入された際に一端が拡径可能であるとともに他端が縮径可能であり、該他端が上記ソケット本体の外周面に係合可能な可撓性部材からなる接続対象部材保持手段を備え、上記接続対象部材保持手段は、内部に上記接続対象部材が挿入されたときに該接続対象部材と係合して上記接続対象部材の抜け止めを行ない、上記一端が拡径されることで上記接続対象部材を引き抜ける状態に設定することを特徴とするものである。
【0026】
それ故、請求項1に記載の発明では、接続対象部材が装填された際に接続対象部材保持手段が撓み変形するのを利用して接続対象部材保持手段をソケットに対して係合させることができるとともに、接続対象部材保持手段の一端を拡径するだけの操作で接続対象部材を引き抜ける状態とすることができるので、接続対象部材をねじ込んだりする操作を要することなく単に挿脱操作のみで接続対象部材の着脱可能とすることができる
【0027】
また、請求項2に記載の発明では、ソケット側と弁体側とのシールおよびソケット側およびこれに挿嵌される接続対象部材との間のシールを行うOリングが同一箇所で供用できるので、異なる位置にOリングを設けた場合と違って、部品点数および装填位置の加工が容易となると共に、弁体にシール部材の受け部とこの弁体を閉じ方向に付勢する弾性体の受け部とを纏めて設けることにより、弁体以外の部材により上記シール部材および弾性体の受け部を設ける必要がなく、構成を簡素化できる。
【0028】
さらに、請求項3に記載の発明では、請求項2の効果に加え、接続対象部材をねじ込んだりする操作を要することなく単に挿脱操作のみで接続対象部材の着脱可能とすることができる
【0029】
そして、請求項4に記載の発明では、ソケット側と弁体側とのシールおよびソケット側およびこれに挿嵌される接続対象部材との間のシールを行うOリングが同一箇所で供用できるので、異なる位置にOリングを設けた場合と違って、部品点数および装填位置の加工が容易となると共に、弁体が閉じられているときに弁体に設けられている流路の開口を覆うことができるとともに、弁体とソケットとの間のシールを行う部材の受け部を有するカラーが備えられているので、閉じた状態の弁体からの流体の漏洩を確実に防止でき、さらに、シール部材を弁体とソケットとの間の所定位置に位置決めすることも可能となるので、弁体とソケットとの間のシール性を確保して接続対象部材が抜き取られる際の流体の漏洩を確実に防止できる。
【0030】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4の効果に加え、接続対象部材をねじ込んだりする操作を要することなく単に挿脱操作のみで接続対象部材の着脱可能とすることができる
【0032】
【発明の実施の形態例】
以下、添付図面に示す実施の形態例に基づき、この発明を詳細に説明する。
【0033】
図1は、この発明の実施の第1形態例に係る流体継手1の弁体3が閉じ状態にある時を示す断面図であり、同図において流体継手1は、ソケット本体2と、弁体3と、これら両者間のシールを行うOリング4,5と、接続対象部材保持手段6と、を備えている。以下に各部材の詳細を説明する。
【0034】
ソケット本体2は、軸方向一端にホース等との接続部2Aが設けられており、接続部2Aに連続する胴部の内部には空洞部2Bが形成され、後記する弁体3が摺動可能に支持されている。空洞部2Bは接続部2Aの内部に形成されている流体通路2A1と連通させてある。
【0035】
弁体3は、ソケット本体2の空洞部2B内に配置されているスプリングなどの弾性体7により常時、閉じ習性を付与されている部材であり、図2に示すように、流体導入口3A1が内部に形成された筒部3Aを有し、その筒部3Aの一部には、流体導入口3Aに連通して弁体3の径方向に貫通する流路3Bが形成されている。
【0036】
図2において弁体3には、軸方向において筒部3A側の端部と反対側の端部近傍に、ソケット2の空洞部内周面に当接可能な高さを有する複数のリブ3Cが周方向に沿って等分位置、本形態例では3等分位置に設けられており、それらリブ3Cと隣り合う位置には、Oリング8(図1参照)を装着するための受け部に相当する凹部3Dが形成されている。
【0037】
弁体3では、図3に示すように、ソケット2内を流れる流体が流体通路2A1よりリブ3Cの配置位置間の空間部Pを通過して流路3Bを通過し、流体導入口3A1内に流れる。
【0038】
図1においてOリング4,5は、弁体3の外周面とソケット本体2の空洞部2Bの内周面との間で同一箇所に並設されており、これら各Oリング4,5は、両リング4,5間に位置するスペーサ9によって仕切られ、一方のOリング4が後記する接続対象物11とソケット本体2側の空洞部2Bとの間のシールを行い、他方のOリング5が弁体3とソケット本体2の空洞部2B内周面との間のシールを行う。
【0039】
一方、ソケット本体2の空洞部2B内周面と弁体3の外周面との間には、閉じ態位にあるときの弁体3の流路3Bの開口を覆うことができるカラー10が配置されている。
【0040】
カラー10には、弁体3の摺動方向に沿った幅方向の一方が弁体3に有するOリング8に当接可能であるとともに、Oリングの他方に相当しているOリング5の受け面が設けられている。
【0041】
カラー10は、弁体3が弾性体7の付勢により、図1において左側に向け移動する閉じ態位にあるとき、弁体3に有する流路3Bの開口を覆うことで弁体3を介した流体の流れを遮断することができる。また、図6および図7に示すように接続対象物11が挿入されて接続過程にあるとき、および、接続態位にあるときには、弁体3がカラー10から離れることで流路3Bの開口を開放するように構成されている。
【0042】
上記接続対象部材11は、本形態例の場合、図4に示すように、ホース(図示されず)の先端に取り付けられたパイプ部材が相当しており、内部には弁体3の筒部3Aに形成されている流体導入口3A1(図2参照)と同径の流体通路11Aが形成されているとともに、外周面の一部には、後記する接続対象部材保持手段6と係合可能な突起11Bおよびソケット本体2内への挿入量を規制することができる鍔状のストッパ11Cが設けられている。
【0043】
そして、図1において、上記接続対象部材保持手段6には、ソケット本体2の空洞部2B内に一端部6Aが圧入されるとともに、他端部6Bが径方向で複数に分割されて二重筒構造とされた可撓性部材が用いられている。二重筒部のうちで外筒部6Cの内面にはソケット本体2の外周面に形成されている凹状の係合部2Cに係脱可能な係合突起6C1が設けられ、複数分割されている他端部6Bの内面には接続対象部材11の外周面に設けられている突起11B(図4参照)が嵌合可能な凹状部6B1が形成されている。
【0044】
接続対象物保持手段6は、二重筒の基部を支点として外筒部6Cが揺動できるように構成されており、接続対象部材11の突起11Bが凹状部6B1に対して入り込む前段階で拡径されるとともに、係合突起6C1を有する端部は縮径することができる。縮径可能な端部は図6に示すように、ソケット本体2側の係合部2Cに係合突起6C1が係合することができる。これにより、接続対象物11を接続する際には接続対象部材保持手段6に対して挿入するだけの操作ですみ、また、接続対象部材11を引き抜く際には、接続対象部材保持手段6における係合突起6C1を有する端部をソケット本体2側の係合部2Cに向けて押しつけておき、接続対象部材11を引き抜く方向に移動させるだけで接続対象部材11の突起11Bにより接続対象部材保持手段6の端部を拡径して接続対象部材11を引き抜くことができる。
【0045】
本形態例に係る流体継手は、以上のように構成されているため、図1に示すように、接続対象部材11が接続されていない状態では、ソケット本体2の空洞部2B内で弁体3が弾性体7の付勢により左側に移動した状態を維持される。このとき、弁体3の流路3Bは、その開口がカラー10によって覆われるので、流路3Bと接続部2Aの流体通路2A1とが遮断され、さらにカラー10とOリング5とが密接することで流体の漏洩が阻止される。
【0046】
そして、上記接続対象部材11がソケット2の空洞部2B内に挿入され始めると、図5に示す状態が得られる。
【0047】
即ち、図5において、接続対象部材11がソケット2の空洞部2B内に挿入されると、弁体3が接続対象物11の先端により押し動かされる。これにより、弁体3は、弾性体7の付勢に抗して、図5において右側に移動し、流路3Bがカラー10から離れることにより流路3Bが開放され始める。
【0048】
一方、接続対象部材11がソケット本体2の空洞部2B内に挿入されると、接続対象部材11に有する突起11Bにより接続対象部材保持手段6の他端部6Bが拡径され、接続対象部材11をソケット2内に挿入することができる。
【0049】
次に、図5に示す状態から接続対象部材11がさらに挿入され、図6に示すように、接続対象部材11に有するストッパ11Cが接続対象部材保持手段6の他端縁に衝合すると、接続対象部材11の挿入が完了する。
【0050】
この状態では、弁体3に有する流路3Bの開口がカラー10から完全に離れているので、ソケット2Aの流体通路2A1内から流れた流体は弁体3流路3Bを通過し、接続対象部材11に向けて流れることができる。
【0051】
そして、接続対象部材11が挿入され終わると、図7に示すように、接続対象部材11の内部に形成されている流体通路11Aと弁体3の筒部3Aに形成されている流体導入口3A1とが連通して同面積の流路が構成される。
【0052】
流路3Bの開口から流れ出る流体は、図8に示すように、弁体3に有するリブ3Cの配置位置間の空間Pを介してソケット2の空洞部2B内に流れ、接続部2Aに有する流体通路2A1に向け流れる。尚、図6において矢印で示す方向は、流体の流れる方向を示している。
【0053】
ソケット2内に挿入された状態の接続対象部材11をソケット2から引き抜く場合には,接続対象部材保持手段6の外筒部6Cに有する係合突起6C1をソケット2側の係合部2Cに係合させるように押し付けた状態とし、この状態で接続対象部材11を引き抜く。接続対象部材11が引き抜かれる際には突起11Bによって接続対象部材保持手段6の他端部6Bが拡径されるので、接続対象部材11を引き抜くことができる。接続対象部材11が引き抜かれるときには接続対象部材保持手段6も連れ動こうとするが、係合突起6C1と係合部2Cとが係合させた状態に維持されているので,接続対象部材11のみが引き抜かれることになる。この結果、接続対象部材11の着脱操作としては、挿脱方向への移動のみで済み,ねじ込みなどの時間のかかる操作を必要としないで済む。
【0054】
本形態例によれば、弁体3の筒部3Aに形成されている流体導入口3A1が接続対象部材11に有する流体通路11Aと同径にされているので、接続対象部材11内を流れた流体が弁体3の入り口で絞り抵抗を受けることがないので、従来の流体継手で生じていた流量損失を確実に防止することができる。
【0055】
尚、上記形態例では、弁体3における弾性体7の支持部の構成として、弾性体7を挿嵌できる外径を有した凸部を設けた構成を例にとり説明したが、この発明にあってはこれに限定されるものではなく、例えば、図9乃至図12に示す構成とすることも可能である。
【0056】
即ち、図9においては、弁体3における弾性体7の受け部を平坦面とし、その平坦面からは弾性体7の軸方向に延出する壁部3Eが周方向に沿って複数箇所に設けてある。この場合の壁部3Eは、その外径が図1に示した例におけるリブ3Cの外径寸法に合わせてあり、これにより、弾性体7の外れ防止とともにソケット2の空洞部2B内周面を弁体3が摺動する際のガイド部を兼用させることができる。尚、図10は、図9における弁体3を右側から視た場合の図である。
【0057】
また、図11においては、弁体3における弾性体7と対向する面に弾性体7を受けるための凹部3Fを形成し、その凹部3F内に弾性体7の一端を填め込むことで弾性体7が弁体3から外れるのを防止している。尚、図12は、図11における弁体3を右側から視た図である。
【0058】
さらに、弁体3は、リブ3Cを設けてソケット2の空洞部2Bを摺動する際の案内部とする場合に限らず、図13に示すように、リブ3Cを設ける代わりに、弁体3の一部に鍔部3Gを設け、この鍔部3Gの外周面をソケット2の空洞部2Bに当接させるようにすることも可能である。この場合には、図13と図14に示すように、図3において符号Pで示した空間部に相当する流体の通路3G1を周方向に沿って複数箇所設ける。
【0059】
次に、図15は、この発明の第2形態例を示す図6相当の断面図であり、同図に示す形態例では、カラー10を設ける代わりに、有底筒状の台座部材12を設けたことを特徴としている。
【0060】
即ち、上記台座部材12は、ソケット本体2の接続部2A側に底部を有し、空洞部2Bの内径に対応する外径寸法を有する有底筒部材であり、底部12Aには接続部2Aの流体通路2A1に連通する開口12A1が形成されている。
【0061】
そして、台座部材12における底部12Aの内面は、弾性体7の受け部とされ、この底部12Aと反対側の端部12Bは、Oリング5の受け面とされている。台座部材12におけるOリング5と対面する端部12Bは、弁体3および接続対象部材11を挿嵌できる内径を持ち、図1に示したカラー10としての機能を持ち合わせている。
【0062】
また、台座部材12における外周部のうちで、弁体3に有するリブ3Cが移動する箇所には、図15および図16に示すように、移動方向に沿った長手方向を有するスリット12Cが形成され、このスリット12Cから弁体3のリブ3Cがソケット2の空洞部2B内周面に向けて突出して当接できるように構成されている。
【0063】
この形態例に係る流体継手は、以上のように構成されているため、流体継手1の組立時、ソケット本体2の空洞部2Bにおいて接続部2A側の内部に台座部材12が装着される。台座部材12を装着するに際しては、予め、弁体3をリブ3Cが台座部材12のスリット12Cから突出する状態で組み込んでおき、弁体3とともに台座部材12をソケット2の空洞部2B内に配置する。
【0064】
そして、台座部材12がソケット2の空洞部2B内に装着されると、次いで、Oリング4,5およびスペーサ9が順次空洞部2B内に配置され、接続対象部材保持手段6の一端6A(図1参照)が空洞部2B内に圧入される。
【0065】
このとき、上記台座部材12は、弾性体7の受け部とともにOリング5と対向当接してシール面を構成する。このため、接続対象部材11が空洞部2B内に挿入されるまでの間、あるいは空洞部2Bから引き抜かれる場合には、カラーとしての機能を有する端部12Bによって弁体3における流路3Bの開口を覆い、接続部2A側の流体通路2A1と弁体3の筒部3A側の流体導入口3A1との連通を遮断する。
【0066】
一方、接続対象部材11が空洞部2B内に挿入されると、前記第1形態例と同様に、弁体3が接続対象部材11によって押し動かされることにより、流路3Bの開口が台座部材12の端部12Bから離れて開口が開放され、接続部2Aの流体通路2A1と筒部3Aの流体導入口3A1とを連通させる。
【0067】
このように本形態例によれば、空洞部2Bの内径と台座部材12の底部12Aの外径寸法とを対応させてあるので、空洞部2B内に装填されると必然的に空洞部2Bの断面中心に台座部材12の断面中心を一致させることができ、空洞部2Bの断面中心を基準として配置される弁体3およびOリング5とに対しても断面中心を一致させ、中心位置のずれが発生した場合と違って、弁体3の移動を阻害しないように構成できるとともに、Oリング5と適正な密着状態を維持できることでシール効果を低下させないようにすることができる。
【0068】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、接続対象部材が装填された際に接続対象部材保持手段が撓み変形するのを利用して接続対象部材保持手段をソケットに対して係合させることができるとともに、接続対象部材保持手段の一端を拡径するだけの操作で接続対象部材を引き抜ける状態とすることができるので、接続対象部材をねじ込んだりする操作を要することなく単に挿脱操作のみで接続対象部材の着脱可能とすることができる
【0069】
請求項2に記載の発明によれば、ソケット側と弁体側とのシールおよびソケット側およびこれに挿嵌される接続対象部材との間のシールを行うOリングが同一箇所で供用できるので、異なる位置にOリングを設けた場合と違って、部品点数および装填位置の加工が容易となると共に、弁体にシール部材の受け部とこの弁体を閉じ方向に付勢する弾性体の受け部とを纏めて設けることにより、弁体以外の部材により上記シール部材および弾性体の受け部を設ける必要がなく、構成を簡素化できる。
【0070】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、接続対象部材をねじ込んだりする操作を要することなく単に挿脱操作のみで接続対象部材の着脱可能とすることができる
【0071】
請求項4に記載の発明によれば、ソケット側と弁体側とのシールおよびソケット側およびこれに挿嵌される接続対象部材との間のシールを行うOリングが同一箇所で供用できるので、異なる位置にOリングを設けた場合と違って、部品点数および装填位置の加工が容易となると共に、弁体が閉じられているときに弁体に設けられている流路の開口を覆うことができるとともに、弁体とソケットとの間のシールを行う部材の受け部を有するカラーが備えられているので、閉じた状態の弁体からの流体の漏洩を確実に防止でき、さらに、シール部材を弁体とソケットとの間の所定位置に位置決めすることも可能となるので、弁体とソケットとの間のシール性を確保して接続対象部材が抜き取られる際の流体の漏洩を確実に防止できる。
【0072】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加え、接続対象部材をねじ込んだりする操作を要することなく単に挿脱操作のみで接続対象部材の着脱可能とすることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の第1形態例に係る流体継手の構成を接続対象部材の非接続状態で説明するための断面図である。
【図2】図1に示した流体継手に用いられる弁体の断面図である。
【図3】図2に示した弁体を左側から視た図である。
【図4】図1に示した流体継手に接続される接続対象部材の構成を説明するための断面図である。
【図5】図1に示した流体継手に対して図4に示した接続対象部材が挿入される過程を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した流体継手に対して図4に示した接続対象部材の挿入完了時の状態を説明するための断面図である。
【図7】図6中、符号(7)で示す方向の矢視断面図である。
【図8】図6中、符号(8)で示す方向の矢視断面図である。
【図9】図1に示した流体継手に用いられる弁体の変形例を説明するための断面図である。
【図10】図9に示した弁体を右側から視た図である。
【図11】図1に示した流体継手に用いられる弁体の他の変形例を説明するための断面図である。
【図12】図11に示した弁体を右側から視た図である。
【図13】図1に示した流体継手に用いられる弁体のさらに他の変形例を説明するための断面図である。
【図14】図13に示した弁体を右側から視た図である。
【図15】この発明の実施の第2形態例に係る流体継手の構成を示す断面図である。
【図16】図15において符号(16)で示す方向の矢視断面図である。
【図17】従来の流体継手の一例を説明するための断面図である。
【図18】図17に示した流体継手における接続対象部材の非接続状態を説明するための断面図である。
【図19】図17に示した流体継手に用いられる弁体の構成を説明するための断面図である。
【図20】図19に示した弁体を左側から視た図である。
【図21】図17中、符号(21)で示す方向の矢視断面図である。
【符号の説明】
1 流体継手
2 ソケット本体
2A 接続部
2A1 流体通路
2B 空洞部
2C 係合部
3 弁体
3A 筒部
3A1 流体導入口
3B 流路
3C リブ
4,5 Oリング
6 接続対象部材保持手段
6A ソケット本体に圧入される一端部
6B 他端部
6B1 凹状部
6C 外筒部
6C1 係合突起
7 弾性体
10 カラー
11 接続対象部材
11A 流体通路
11B 凹状部に係合する突起

Claims (5)

  1. ソケット内に摺動可能な弁体を配置し、該弁体を接続対象部材により押し動かすことで開放して上記接続対象部材との間に流路を形成する流体継手において、上記ソケット内部に挿嵌された端部が該ソケットと一体化され、上記接続対象部材が挿入された際に一端が拡径可能であるとともに他端が縮径可能であり、該他端が上記ソケット本体の外周面に係合可能な可撓性部材からなる接続対象部材保持手段を備え、上記接続対象部材保持手段は、内部に上記接続対象部材が挿入されたときに該接続対象部材と係合して上記接続対象部材の抜け止めを行ない、上記一端が拡径されることで上記接続対象部材を引き抜ける状態に設定することを特徴とする流体継手。
  2. ソケット内に摺動可能な弁体を配置し、該弁体を接続対象部材により押し動かすことで開放して上記接続対象部材との間に流路を形成する流体継手において、上記ソケット内部に形成された空洞部内周面と上記弁体の外周面との間における同一箇所で、上記ソケット側と上記弁体側との間のシールと、上記ソケット側およびこれに挿脱される接続対象部材側との間のシールが可能なOリングを、共用可能に設けると共に、上記ソケット内部には、上記弁体における上記ソケットと上記弁体あるいは上記接続対象部材との間のシールを行うOリングの受け面を一端に有し、他端には上記弾性体の受け部を有する台座部材が挿嵌されていることを特徴とする流体継手。
  3. 前記ソケット内部に挿嵌された端部が該ソケットと一体化され、上記接続対象部材が挿入された際に一端が拡径可能であるとともに他端が縮径可能であり、該他端が上記ソケット本体の外周面に係合可能な可撓性部材からなる接続対象部材保持手段を備え、上記接続対象部材保持手段は、内部に上記接続対象部材が挿入されたときに該接続対象部材と係合して上記接続対象部材の抜け止めを行ない、上記一端が拡径されることで上記接続対象部材を引き抜ける状態に設定することを特徴とする請求項2に記載の流体継手。
  4. ソケット内に摺動可能な弁体を配置し、該弁体を接続対象部材により押し動かすことで開放して上記接続対象部材との間に流路を形成する流体継手において、上記ソケット内部に形成された空洞部内周面と上記弁体の外周面との間における同一箇所で、上記ソケット側と上記弁体側との間のシールと、上記ソケット側およびこれに挿脱される接続対象部材側との間のシールが可能なOリングを、共用可能に設けると共に、上記弁体の外周面と上記ソケットの内周面との間には、上記弁体が閉じられた際に、該弁体において径方向に貫通して形成された流路の開口を覆うことができるとともに、該弁体とソケットとの間のシールを行う部材の受け部を有するカラーが設けられていることを特徴とする流体継手。
  5. 前記ソケット内部に挿嵌された端部が該ソケットと一体化され、上記接続対象部材が挿入された際に一端が拡径可能であるとともに他端が縮径可能であり、該他端が上記ソケット本体の外周面に係合可能な可撓性部材からなる接続対象部材保持手段を備え、上記接続対象部材保持手段は、内部に上記接続対象部材が挿入されたときに該接続対象部材と係合して上記接続対象部材の抜け止めを行ない、上記一端が拡径されることで上記接続対象部材を引き抜ける状態に設定することを特徴とする請求項4に記載の流体継手。
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