JP4324334B2 - 遊星歯車式変速機の潤滑構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊星歯車式変速機の潤滑機構、特に、入力軸と、出力軸と、入力軸に設けられたサンギアとリングギアと複数のピニオンギアと複数のピニオンギアを軸支し出力軸に動力を出力するための遊星キャリアとを有する遊星歯車機構と、入力軸と遊星キャリアとを連結及び解除するためのクラッチ機構とを備えた遊星歯車式変速機において、遊星キャリアの内周側に供給される潤滑油により潤滑を行う遊星歯車式変速機の潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊星歯車式変速機の一形態として、車両の無段変速機を構成する正逆転装置がある。一般に正逆転装置は、入力軸と出力軸と遊星歯車装置と後進用油圧ブレーキ装置と前進用油圧クラッチ装置とから主に構成されている。
【0003】
このような正逆転装置においては、複数の潤滑油路からなる潤滑構造が設けられており、潤滑を必要とする遊星歯車装置や前進用油圧クラッチ装置等に潤滑油を供給している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の正逆転装置の潤滑構造では、潤滑を必要とする装置に対応して複数の潤滑油路が設けられているため、潤滑油路の構造が複雑になっている。
【0005】
本発明の課題は、潤滑を必要とする装置の各部に潤滑油を供給する潤滑構造を簡単にすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の遊星歯車式変速機の潤滑構造は、入力軸と出力軸と遊星歯車機構とクラッチ機構とを備えた遊星歯車式変速機において、遊星キャリアの内周側に潤滑油を供給するため潤滑油供給油路と、遊星キャリアに設けられた油受け部と、遊星キャリアの軸方向外側に設けられたクラッチ潤滑用油路とを備えている。ここで、油受け部は潤滑油供給油路から潤滑油を受けて複数のピニオンギア側と遊星キャリアの軸方向外側とに潤滑油を分岐するためのものであり、クラッチ潤滑用油路は油受け部からクラッチ機構に潤滑油を導くためのものである。尚、遊星歯車機構は、入力軸に設けられたサンギアとリングギアと複数のピニオンギアと、複数のピニオンギアを軸支し前記出力軸に動力を出力するための遊星キャリアとを有している。また、クラッチ機構は、入力軸と遊星キャリアとを連結及び解除するためのものである。そして、遊星キャリアは、複数のピニオンギアの軸方向両側を挟み、複数のピニオンギアを軸支するための環状のキャリア部材を有し、油受け部は、キャリア部材の内周縁の一部をピニオンギア側である第1の側に曲げて形成され潤滑油供給油路から供給される潤滑油を受けて複数のピニオンギア側に導くための複数の第1油受け部と、キャリア部材の内周縁の一部を第1の側とは逆側の第2の側に曲げて形成され潤滑油供給油路から供給される潤滑油を受けて遊星キャリアの軸方向外側に導くための複数の第2油受け部とからなる。
【0007】
この遊星歯車式変速機の潤滑構造では、潤滑油は、潤滑油供給油路を通じて遊星キャリアの内周側から供給され、遊星キャリアに設けられた油受け部によって、複数のピニオンギア側と遊星キャリアの軸方向外側とに分岐される。そして、複数のピニオンギア側へ分岐された潤滑油は、遊星歯車機構の潤滑に使用される。また、遊星キャリアの軸方向外側に分岐された潤滑油は、クラッチ潤滑用油路を経由してクラッチ機構に供給され潤滑に使用される。
【0008】
従来、遊星キャリアの内周側から供給される潤滑油は、遊星歯車機構の潤滑のみに使用され、クラッチ機構の潤滑は、別途設けられたクラッチ機構用の油路から供給された潤滑油により行われている。
【0009】
しかし、遊星キャリアに前記の油受け部を設けることによって、一つの潤滑油路(潤滑油供給油路)から供給された潤滑油をピニオンギア側とクラッチ機構側とに分岐できる。これにより、遊星歯車機構用の油路とクラッチ機構用の油路とを共通化し、潤滑構造を簡単にできる。
【0010】
また、クラッチ機構用の油路が入力軸の軸心側に設けられている場合、遊星歯車機構用の油路とクラッチ機構用の油路との共通化により、遊星歯車式変速機全体の軸方向寸法が短縮され、省スペース化を図ることもできる。
【0011】
請求項2に記載の遊星歯車式変速機の潤滑構造は、請求項1において、複数の第1油受け部の少なくとも1つは、複数のピニオンギアの位置に対応して配置されている。
【0012】
この遊星歯車式変速機の潤滑構造では、第1油受け部は環状のキャリア部材に軸支されたピニオンギアの位置に対応して配置されているため、潤滑油供給油路から供給される潤滑油がピニオンギアに供給されやすくなっている。これにより、遊星歯車機構の潤滑状態を良好に保つことができる。
【0013】
請求項3に記載の遊星歯車式変速機の潤滑構造は、請求項1又は2において、複数の第2油受け部の少なくとも1つは、複数のピニオンギアの円周方向間の位置に対応して配置されている。
【0014】
この遊星歯車式変速機の潤滑構造では、第2油受け部は環状のキャリア部材に軸支されたピニオンギアの円周方向間の位置、すなわち、複数のピニオンギアが配置されていない位置に対応して配置されているため、潤滑油供給油路から供給される潤滑油が遊星キャリアの軸方向外側、すなわち、クラッチ機構側に供給されやすくなっている。これにより、クラッチ機構の潤滑状態を良好に保つことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(1)構成
本発明の一実施形態を採用した無段変速機の正逆転装置1を図1に示す。
【0016】
[全体構成]
図1に示す正逆転装置1は、トルクコンバータ(図示せず)から延びるシャフトである入力軸8からの回転を出力軸9に出力する機能を有している。出力軸9は、無段変速機(図示せず)から延びるシャフトである。また、正逆転装置1は、車両を後退させるためにトルクコンバータからの回転駆動方向を逆転するための機構でもある。正逆転装置1は、前後進切換装置4と、前後進切換装置4によって動力の伝達経路が切り換えられる遊星歯車装置5とを備えている。前後進切換装置4は、トルクコンバータからの動力が入力される前進用油圧クラッチ装置6と、遊星歯車装置5の制御を行う後進用油圧ブレーキ装置7とを有している。尚、図1のO−Oは、正逆転装置1の回転軸である。
【0017】
遊星歯車装置5は、入力軸8の先端に形成されたサンギア11と、後進用油圧ブレーキ装置7によって回転の許容及び禁止が制御されるリングギア14と、サンギア11及びリングギア14に噛み合うダブルピニオン式プラネタリギア12(以下、ダブルプラネタリギア12とする)とを有している。サンギア11とリングギア14は同心に配置され、ダブルプラネタリギア12はサンギア11とリングギア14に噛み合っている。ダブルプラネタリギア12は遊星キャリア13に回転自在に支持されており、遊星キャリア13は出力軸9に連結されている。
【0018】
入力軸8の先端には、フランジ部8aと、その外周縁からさらに出力軸9側にのびる筒状部8bが形成されている。つまり、入力軸8の先端面に空洞部が形成されていることになる。筒状部8bの外周面には、サンギア11が形成されており、そのトルクコンバータ側にスプライン17がさらに形成されている。また、入力軸8の中心部を回転軸O−Oに沿って貫通する油孔8cが形成されている。さらに、筒状部8bのサンギア11とスプライン17との軸方向間には、筒状部8bの内周から外周へ貫通する複数の油孔8dが放射状に形成されている。
【0019】
出力軸9は無段変速機3のプライマリプーリから延びるシャフトである。出力軸9の先端は入力軸8の筒状部8b内に延びて配置されている。具体的には、出力軸9の先端面は入力軸8のフランジ部8aに近接し、出力軸9の先端部外周面と筒状部8bとの半径方向間には隙間が確保されている。なお、出力軸9の先端側外周面にはスプライン20が形成されている。
【0020】
前進用油圧クラッチ装置6は、クラッチドラム18と、クラッチドラム18の内部に配置された遊星キャリア13の一部である第2サイドメンバー52(キャリア部材)と、クラッチドラム18と第2サイドメンバー52との間の動力の伝達を制御するクラッチ部22と、クラッチドラム18内に摺動自在に配置されたピストン23とから構成されている。
【0021】
後進用油圧ブレーキ装置7は、ピストン41と、このピストン41によって互いに圧接される複数のブレーキプレートを有するブレーキ部42とから構成されている。
【0022】
[遊星歯車装置の構成]
遊星歯車装置5は、前述のように、サンギア11、ダブルプラネタリギア12、リングギア14及び遊星キャリア13から構成されている。
【0023】
リングギア14は、後進用油圧ブレーキ装置7によって回転の禁止及び許容が制御されるようになっている。つまり、リングギア14は、後進用油圧ブレーキ装置7に連結されていない状態では、自由に回転可能となっている。リングギア14は内歯14a及びスプライン14bを有している。スプライン14bは、後進用油圧ブレーキ装置7のブレーキ部42に噛み合っている。
【0024】
図2及び図3に示すように、ダブルプラネタリギア12は、合計6個のピニオンギアからなり、互いに噛み合う3対のダブルピニオンとなっている。各対において一方のプラネタリギア12はサンギア11と噛み合い、他方のプラネタリギア12はリングギア14の内歯14aと噛み合っている。
【0025】
ダブルプラネタリギア12は、遊星キャリア13に回転自在に装着されている。この遊星キャリア13は、主に、第1サイドメンバー51と、クラッチ装置6の出力部材を構成する第2サイドメンバー52とから構成されている。ダブルプラネタリギア12は、第1サイドメンバー51と第2サイドメンバー52とにより軸方向両側が挟まれ、6つのシャフト53によりそれぞれ軸支されている。
【0026】
第1サイドメンバー51は、出力軸9と連結する出力ハブであり、環状の固定部51aと、その内周縁から入力軸8側に延びるように曲げ一体成形された内側筒状部51bと、固定部51aの外周縁から入力軸8側に延びるように曲げ一体成形された外側筒状部51cとから構成されている。固定部51aには、出力軸9を挿入するための中心孔51fと、シャフト53の出力軸9側の端部が挿入される孔51dとが形成されている。内側筒状部51bは入力軸8の筒状部8b内に延びている。内側筒状部51bの先端と入力軸8のフランジ部8aとの間にはスラストニードルベアリング31が配置されている。内側筒状部51bの内周面には、スプライン孔51eが形成されている。スプライン孔51eは、ブローチ加工で形成され、出力軸9のスプライン20に噛み合っている。すなわち、遊星キャリア13の出力部である筒状部51bはサンギア11の内周側の同一軸方向位置に形成されている。各プラネタリギア12はサイドメンバー51,52に挿入されたシャフト53の回りに回転自在になっている。外側筒状部51cは、ダブルプラネタリギア12の各対の円周方向間を延び、第2サイドメンバー52に溶接固定されている。
【0027】
第2サイドメンバー52は、筒状部52aと、筒状部52aの遊星歯車装置5側を内周側にプレス曲げで一体で形成された環状の固定部52bとを有している。筒状部52aの外周面には、前進用油圧クラッチ装置6のクラッチ部22が係合する複数の係合凹凸部52cが形成されている。また、固定部52bには、シャフト53の他端が挿入される孔52dが形成されている。さらに、固定部52bの内周縁には、図3に示すように、油孔8dから供給される潤滑油をダブルプラネタリギア12側と第2サイドメンバー52の外側とに分岐するための第1油受け部52eと第2油受け部52fが各3個づつ形成されている。
【0028】
第1油受け部52eは、固定部52bの内周縁の一部がトルクコンバータ側に曲げられた突出形状を有しており、ダブルプラネタリギア12の装着位置に対応して3個形成されている。第2油受け部52fは、固定部52bの内周縁の一部がダブルプラネタリギア12側に曲げられた突出形状を有しており、ダブルプラネタリギア12の装着されていない位置に対応して3個形成されている。すなわち、第1油受け部52eと第2油受け部52fとは、固定部52bの内周縁の円周上に交互に並んで形成されている。尚、本実施形態において、油受け部52e、52fは、第2サイドメンバー52のプレス成形時に同時に一体成形されている。
【0029】
[潤滑構造]
正逆転装置1の遊星歯車装置5と前進用油圧クラッチ装置6のクラッチ部22とに潤滑油を供給する潤滑構造について説明する。
【0030】
図1に示すように、正逆転装置1の遊星歯車装置5及び前進用油圧クラッチ装置6のクラッチ部22の潤滑構造は、遊星キャリア13の内周側に向けて潤滑油を供給するための潤滑油供給油路61と、遊星キャリア13に形成された油受け部52e、52fと、遊星キャリア13の軸方向外側から前進用油圧クラッチ装置6のクラッチ部22に潤滑油を導くためのクラッチ潤滑用油路62を有している。
【0031】
潤滑油供給油路61は、入力軸8の軸心を貫通する油孔8cと、入力軸8のフランジ部8aと出力軸9の入力軸8側端部との間に形成された油路61aと、入力軸8の筒状部8bをその内周から遊星キャリア13側に貫通する油孔8dとから構成されている。
【0032】
クラッチ潤滑用油路62は、第2サイドメンバー52と前進用油圧クラッチ装置6のピストン23との軸方向間に形成された油路であり、クラッチ部22に連通している。
【0033】
次に、潤滑構造の作用について説明する。
【0034】
潤滑油は、油圧コントロールバルブ(図示せず)から潤滑油供給油路61を通じて遊星キャリア13の内周部に供給される。このとき、潤滑油は、油路61aに設置されているスラストニードルベアリング31を潤滑している。
【0035】
そして、油孔8dを通って遊星キャリア13に供給された潤滑油は、油受け部52e、52fに供給される。このとき、第1油受け部52eはトルクコンバータ側に曲げられた突出形状を有しているため、第1油受け部52eによって受けられた潤滑油はダブルプラネタリギア12側に向かって流れ(図3の矢印A参照)、遊星歯車装置5を潤滑する。一方、第2油受け部52fはダブルプラネタリギア12側に曲げられた突出形状を有しているため、第2油受け部52fによって受けられた潤滑油は遊星キャリア13の外側に向かって流れ(図3の矢印B参照)、クラッチ潤滑用油路62を通って前進用油圧クラッチ装置6のクラッチ部22を潤滑する。すなわち、油受け部52e、52fは、潤滑油を遊星歯車装置5側と前進用油圧クラッチ装置6のクラッチ部22側とに分岐する機能を有している。
【0036】
(2)特徴
本実施形態の特徴について説明する。
【0037】
(i)潤滑油路の共通化
本実施形態の正逆転装置1の潤滑構造では、潤滑油は、潤滑油供給油路61を通じて遊星キャリア13の内周側に向けて供給され、遊星キャリア13に設けられた油受け部52e、52fによって、プラネタリギア12側と遊星キャリア13の軸方向外側とに分岐される。そして、プラネタリギア12側へ分岐された潤滑油は、遊星歯車機構5の潤滑に使用される。また、遊星キャリア13の軸方向外側に分岐された潤滑油は、クラッチ潤滑用油路62を経由して前進用油圧クラッチ装置6のクラッチ部22に供給され潤滑に使用される。
これにより、従来、別々に設けられていた遊星歯車機構5用の潤滑油供給油路と前進用油圧クラッチ装置6のクラッチ部22用の潤滑油供給油路とを共通化し、潤滑構造を簡単にできる。
【0038】
(ii)省スペース化
また、前述の潤滑油供給油路の共通化により、正逆転装置1の軸方向寸法を小さくして、無段変速機全体の省スペース化を図ることができる。
【0039】
(iii)潤滑油供給位置の適切化
この正逆転装置1の潤滑構造では、第1油受け部52eがダブルプラネラリギア12の位置に対応して配置されているため、潤滑油供給油路61から供給される潤滑油がダブルプラネラリギア12に供給されやすくなっている。これにより、潤滑油供給位置を適切にし、遊星歯車機構5の潤滑状態を良好に保つことができる。同様に、第2油受け部52fがダブルプラネラリギア12が配置されていない位置に対応して配置されているため、潤滑油供給油路61から供給される潤滑油が遊星キャリア13の軸方向外側、すなわち、クラッチ潤滑用油路62に供給されやすくなっている。これにより、クラッチ部22の潤滑状態を良好に保つことができる。
【0040】
(iv)油受け部の加工の容易化
この正逆転装置1の潤滑構造では、油受け部52e、52fが第2サイドメンバー52のプレス成形時に同時に一体成形されているため、油受け部52e、52fを容易に成形することができ、また、第2サイドメンバー52の加工工数の増加も生じない。
【0041】
(3)他の実施形態
正逆転装置を構成する前進用油圧クラッチ装置、後進油圧ブレーキ装置及び遊星歯車装置の配置は、前記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0042】
遊星キャリアの第2サイドメンバーへの油受け部の成形は、前記実施形態に限定されず、焼結又は鍛造により成形されていてもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る遊星歯車式変速機の潤滑構造では、遊星キャリアに油受け部を設けることによって、一つの潤滑油路(潤滑油供給油路)から供給された潤滑油をピニオンギア側とクラッチ機構側とに分岐できる。これにより、遊星歯車機構用の油路とクラッチ機構用の油路とを共通化し、潤滑構造を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態が採用された無段変速機の正逆転装置の縦断面概略図。
【図2】 図1の遊星歯車装置の遊星キャリアの平面図(一部断面を図示)。
【図3】 遊星歯車装置の遊星キャリアの縦断面図であり、図2のY−O−Y断面図。
【符号の説明】
5 遊星歯車装置(遊星歯車機構)
6 前進用油圧クラッチ装置
7 後進用油圧ブレーキ装置
12 プラネタリギア(ピニオンギア)
13 遊星キャリア
22 クラッチ部(クラッチ機構)
51 第1サイドメンバー(キャリア部材)
52 第2サイドメンバー(キャリア部材)
52e 第1油受け部(油受け部)
52f 第2油受け部(油受け部)
61 潤滑油供給油路
62 クラッチ潤滑用油路
Claims (3)
- 入力軸と、出力軸と、前記入力軸に設けられたサンギアとリングギアと複数のピニオンギアと前記複数のピニオンギアを軸支し前記出力軸に動力を出力するための遊星キャリアとを有する遊星歯車機構と、前記入力軸と前記遊星キャリアとを連結及び解除するためのクラッチ機構とを備えた遊星歯車式変速機において、前記遊星キャリアの内周側から供給される潤滑油により潤滑を行う遊星歯車式変速機の潤滑構造であって、
前記遊星キャリアの内周側に潤滑油を供給するための潤滑油供給油路と、
前記遊星キャリアに設けられ、前記潤滑油供給油路から潤滑油を受けて前記複数のピニオンギア側と前記遊星キャリアの軸方向外側とに潤滑油を分岐するため油受け部と、
前記遊星キャリアの軸方向外側に設けられ、前記油受け部から前記クラッチ機構に潤滑油を導くためのクラッチ潤滑用油路と、
を備え、
前記遊星キャリアは、前記複数のピニオンギアの軸方向両側を挟み、前記複数のピニオンギアを軸支するための環状のキャリア部材を有し、
前記油受け部は、前記キャリア部材の内周縁の一部を前記ピニオンギア側である第1の側に曲げて形成され前記潤滑油供給油路から供給される潤滑油を受けて前記複数のピニオンギア側に導くための複数の第1油受け部と、前記キャリア部材の内周縁の一部を前記第1の側とは逆側の第2の側に曲げて形成され前記潤滑油供給油路から供給される潤滑油を受けて前記遊星キャリアの軸方向外側に導くための複数の第2油受け部とからなる、
遊星歯車式変速機の潤滑構造。 - 前記複数の第1油受け部の少なくとも1つは、前記複数のピニオンギアの位置に対応して配置されている、請求項1に記載の遊星歯車式変速機の潤滑構造。
- 前記複数の第2油受け部の少なくとも1つは、前記複数のピニオンギアの円周方向間の位置に対応して配置されている、請求項1又は2に記載の遊星歯車式変速機の潤滑構造。
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