JP4324310B2 - 下糸手繰装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸心周りに回転する針棒と、該針棒と同期して回転するとともに、ルーパを有するルーパ土台とを備えて、鳩目孔かがり縫いを行うミシンの下糸手繰装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、図9に示すように、被縫製物である布1に滴状の穴である丸孔部2と、この丸孔部2に連続する直線状の切込み部3とからなる鳩目穴4を形成するとともに、布1の鳩目穴4の周囲に対し、一連のかがり縫いを自動的に実行して縫い目5を形成する鳩目穴かがり縫いミシンが供されている。
上記ミシンは、駆動機構により上下動および左右への振れ移動させられる針棒と、針棒と同期駆動させられるルーパ等を具備し、針棒の下側のベッド部の下側に設けられるルーパ土台と、ベッド部上に備えられ、かつ、布がセットされるとともに、送り機構により移動させられる送り台と、布を送り台に押さえつける押えとを有するものである。針棒の下端部には、縫い針が設けられている。
【0003】
上記ミシンにおいては、マイコンからなる制御装置により各機構が制御され、送り台上に固定的にセットされた布に対して、布切り機構により鳩目穴4を形成するとともに、針棒が布の鳩目穴の周囲に沿って移動するように送り台を移動させつつ、駆動機構により針棒およびルーパを駆動させてかがり縫いを実行するようになっている。
【0004】
この後、切込み部3の片側に沿い矢印A方向に向かって縫い目5を形成する。そして、鳩目穴4の丸孔部2に沿って縫い目を形成する際は、丸孔部2に沿って縫い目5を右側に移動させつつb点までかがり縫いを行う。次に、丸孔部2における切込み部3の反対側の半円状の部分(以下、円弧部6と述べる。)の周囲に沿って、矢印Bに示すようにかがり縫いを行うときには、縫い目5を放射状とするように、ルーパ土台と針棒とを垂直な回転軸周りに回転させられるようになっている。そして、縫い目がc点まで至り、円弧部6のかがり縫いが終わった段階では、針棒およびルーパ土台が180度だけ反時計回りに回転した状態となっている。そして、この状態のまま、c点からd点まで、矢印Cに沿ってかがり縫いが行われるようになっている。
【0005】
このような鳩目穴かがり縫いミシンにおいては、ルーパ土台を通って繰り出される下糸に張力を与える糸調子がルーパ土台に設けられている。そのため、この種のミシンには、縫製が終わった段階で、下糸を切る前に布1を移動させる際や、下糸を切る際や、次の縫製時に下糸を十分な長さだけ繰り出す際などに、糸調子側から糸を手繰り寄せて、弛ませる下糸手繰装置が設けられている。
【0006】
従来、このような下糸手繰装置は、ミシンの他の装置の動作に対応して以下のように動作する。まず、縫製が終了した段階で、上糸切断装置による上糸切断動作が行われ、上糸が切断される。この際には、上糸切断装置の動きが下糸手繰装置に伝動されて、下糸手繰装置が作動し、下糸が繰り出される。
【0007】
次に、上糸の切断が終了した段階で、送り台が原点位置に移動する。この際には、下糸はまだ切断されておらず、下糸が引っ張れることになるが、上述のように上糸の切断時に下糸手繰装置により下糸が繰り出されて緩められているので、下糸が布1を引きつるのを防止することができる。
【0008】
次に、再び、上糸切断装置により上糸切断動作が行われるが、この際には、上述のように既に上糸が切断されているので、上糸切断装置の動きを下糸手繰装置に伝動して、上述のように下糸を繰り出して弛ませるために、上糸切断装置を作動させている。そして、再び、下糸が繰り出されて弛められた状態とされる。続いて、下糸切断装置により下糸が切断される。この際に下糸切断装置が下糸を引っ張ることになるが、ここでも、既に下糸が弛められているので、下糸が引っ張られることにより布1が引きつるのを防止することができる。
【0009】
次いで、ほぼ180度回転した状態の針棒およびルーパ土台が、反対方向にほぼ180度回転させられ(反転させられ)、かがり縫いを開始する角度に戻される。この、ルーパ土台の反転動作に下糸手繰装置が連動して、下糸が繰り出される。
【0010】
そして、ルーパ土台及び針棒の反転動作が終了することで、送り台、ルーパ、針棒などが、次の縫製作業を開始できる状態に戻る。この際に、上述のように下糸が繰り出されることにより、次の縫製開始時に下糸がルーパ土台から適切な長さだけ引き出された状態となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の下糸手繰装置においては、上述のような三回の下糸手繰動作において、最初の二回の下糸手繰動作は、上糸切断装置の動作に連動して作動するようになっている。一方、最後の一回の下糸手繰動作は、ルーパ土台が反転を開始しているため、上糸切断装置が作動しない状態となっており、そのため、ルーパ土台の反転動作を利用して下糸手繰装置を作動させている。
【0012】
すなわち、従来の下糸手繰装置においては、下糸手繰動作するために、少なくとも二系統の駆動手段を必要としている。これにより、部品点数の増加、ミシンの製造時の組み付け作業の煩雑化、コストアップ等を招いていた。
【0013】
また、上述のように、一回目及び二回目の下糸手繰動作においては、上糸切断装置による上糸切断動作が伴っている。これにより、本来上糸を切断するための上糸切断装置が、下糸を切断したり、傷つけてしまうおそれがあった。そのため、縫いの品質が低下したり、次回の縫製サイクルにトラブルが生じ得る。
【0014】
また、下糸の繰り出し長さは、鳩目穴の長さ、布や糸等の素材の種類により、調整する必要がある。従来の下糸手繰装置において、下糸の繰り出し長さを調整するには、下糸手繰装置と上糸切断装置とが関係する部分において調整を行う必要があるとともに、下糸手繰装置と、ルーパ土台とが関係する部分において調整を行う必要がある。すなわち、従来の下糸手繰装置においては、メンテナンスの箇所が多く、メンテナンスに手間がかかっていた。
【0015】
本発明の課題は、下糸手繰りを行う装置の駆動源を一元化して、製造時の組み付け作業及びメンテナンスの省力化を図るとともに、コストダウンを図ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決すべく請求項1記載の発明は、ルーパ土台及び針棒をそれぞれ上記針棒の軸心周りにミシンフレームに対して回転させて丸穴周縁の少なくとも一部に沿ってかがり縫いを形成可能なミシンに備えられる下糸手繰装置であって、
上記ルーパ土台に設けられ、張力をかけられた状態の下糸を手繰って弛ませる下糸手繰手段と、
上記ルーパ土台の回転軌道の外側へ突出して上記下糸手繰手段に設けられ、上記ルーパ土台の回転軸方向に押されることにより上記下糸手繰手段を作動する下糸手繰作動部と、
上記下糸手繰作動部に対して上記ルーパ土台の回転軸方向に対向して上記ルーパ土台の回転軌道外に設けられた係合部を有し、かつ、上記下糸手繰作動部に対して上記回転軸方向に接離移動するとともに、上記係合部が上記下糸手繰作動部に係合し上記下糸手繰作動部を上記回転軸方向に常に押すことを可能とする駆動伝達部と、を備えることを特徴としている。
【0017】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、下糸手繰作動部が下糸手繰手段を介してルーパ土台に設けられているため、下糸手繰作動部はルーパ土台とともに回転する。また、係合部、即ち、駆動伝達部がルーパ土台の回転軌道の外に配置されているため、駆動伝達部がルーパ土台の回転を妨げない。
そして、駆動伝達部とともに係合部が回転軸方向に移動し、この係合部が下糸手繰作動部に係合し、更に係合部が下糸手繰作動部を押すことにより、下糸手繰手段が作動する。そして、下糸手繰作動部を回転軸方向に常に押すことが可能なため、ルーパ土台が回転しても、下糸手繰手段を常に作動させることができる。
【0018】
したがって、例えば、下糸手繰手段を作動させるための下糸手繰駆動手段を、ルーパ土台でなくミシンのフレームに設けても、この下糸手繰駆動手段が駆動伝達部をルーパ土台の回転軸方向に移動させれば、下糸手繰手段が作動する。
【0019】
このため、ルーパ土台の回転によりルーパ土台の角度が変化しても、下糸手繰駆動手段の駆動力を駆動伝達部及び下糸手繰作動部を介して下糸手繰手段に伝達することができ、一つの下糸手繰駆動手段により必要な全てのタイミングで下糸手繰手段を駆動させることができる。すなわち、ルーパ土台の角度が異なる二回以上のタイミングで下糸手繰手段を動作させるものとしても、下糸手繰手段を一つの下糸手繰駆動手段により駆動させることができる。また、ルーパ土台の回転中でも、下糸手繰手段を作動することができるため、サイクルタイムの短縮が可能である。
【0020】
したがって、ルーパ土台が回転するものとしても、従来のように、下糸手繰手段に、複数の駆動手段を接続する必要がないので、部品点数を減らして、ミシンの製造における部品の組み付け作業の省力化と、コストダウンを図ることができる。また、二回以上のタイミングで下糸手繰手段を動作させるものとしても、下糸手繰手段を一つの下糸手繰駆動手段により作動させることができるので、例えば、下糸手繰手段による下糸の繰り出し長さを調整するようなメンテナンスを行う場合に、一つの下糸手繰手段と一つの下糸手繰駆動手段とで調整を行えば良い。これにより、従来のように少なくとも二つの下糸手繰駆動手段で調整を行う場合に比較して、メンテナンスが省力化される。なお、下糸手繰手段における下糸繰り出し長さの設定は、ミシンの最初の使用時に行われるとともに、その後に再設定も行われるが、両方において省力化できる。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の下糸手繰装置において、
上記ルーパ土台の上部に設けられ、かつ、上糸を切断する上糸切りメスと、
上記上糸切りメスを駆動する上糸切り駆動手段とを上記ミシンが有し、
上記フレームに設けられ、かつ、上記上糸切り駆動手段と別体であり、上記駆動伝達部を上記回転軸方向に移動させる下糸手繰駆動手段を備え、
上記上糸切りメスの作動と無関係に上記下糸手繰手段が作動することを特徴としている。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、上糸切りメスを駆動する上糸切り駆動手段と、下糸手繰手段を駆動するための下糸手繰駆動手段とが別体であるため、専用して使用可能な下糸手繰駆動手段により下糸手繰手段が駆動される。即ち、上糸切りメスの作動と無関係に下糸手繰手段が作動する。したがって、上糸切りメスの動作の有無によらず、下糸手繰手段が動作することができる。
【0023】
ところで、例えば、従来のように上糸切断装置の駆動力を下糸手繰手段に伝達すると、駆動力を上糸切りメスと下糸手繰手段とに分散しなければならず、上糸切りの動作に対して駆動力の低下と、動作スピードの低下といった悪影響を及ぼすことがあった。しかし、上糸切りメスの作動と無関係に下糸手繰手段が動作するため、上糸切りメスに対する駆動力の低下や動作スピードの低下をまねくことがなくなり、安定して上糸を切断することができる。
【0024】
また、下糸手繰手段の動作の有無によらず、上糸切りメスを動作することができるため、下糸手繰りを必要とするミシンと、下糸手繰りを必要としないミシンとにおいて、部品の統一化を図った場合に、上糸切断装置の部品やルーパ土台の周囲の部品の形状を、従来より形状が簡略で加工数の少ない下糸手繰りを必要としないミシンの部品に合わせることができる。したがって、異なる仕様のミシンの部品を統一化した際に確実にコストダウンを図ることができる。
【0025】
また、従来のように下糸手繰手段が上糸切断装置の動作の伝動により駆動されることなく、専用して使用可能な駆動手段により下糸手繰手段が駆動される。したがって、下糸手繰手段により下糸を繰り出す際に、上糸切断装置を作動させる必要が無い。このため、本来上糸を切断するための上糸切断装置によって、下糸を切断したり、傷つけてしまうことが防止される。ゆえに、縫いの品質低下及び次サイクルの縫製トラブルを防止することができる。
【0026】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の下糸手繰装置において、
上記ルーパ土台の上部に設けられ、かつ、上糸を切断する上糸切りメスと、
上記上糸切りメスに設けられ、かつ、押されることにより上記上糸切りメスを駆動するメス作動部と、
上記ルーパ土台が所定の回転角度に位置した場合のみに上記メス作動部を上記回転軸方向に押す伝達部と、
上記ミシンフレームに設けられ、上記伝達部を上記回転軸方向に移動させる上糸切り駆動手段とを上記ミシンが有し、
上記伝達部が上記駆動伝達部に設けられ、上記上糸切り駆動手段により上記駆動伝達部及び上記伝達部が連動して上記回転軸方向に移動することを特徴としている。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、ルーパ土台が所定の回転角度に位置した際に、上糸切り駆動手段の駆動力により伝達部が移動して、伝達部がメス作動部を押す。これにより、上糸切りメスが作動して、上糸が切断される。この際に、伝達部に駆動伝達部が連動しているため、下糸手繰手段も作動する。一方、ルーパ土台が上記所定の回転角度以外に位置した際には、上糸切り駆動手段により伝達部及び駆動伝達部が回転軸方向に移動し、下糸手繰手段が作動するが、上糸切りメスは作動しない。即ち、上糸切り駆動手段により下糸手繰手段が作動しても、無駄な上糸切り動作をしない。そのうえ、上糸切り駆動手段により上糸切断動作と下糸手繰動作が行われるため、部品点数が削減され、ミシンの製造コストの削減を図ることができる。
【0028】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一つに記載の下糸手繰装置において、
上記駆動伝達部の移動距離がほぼ一定とした状態とし、上記係合部と上記下糸手繰作動部の所定の間隔を調節する調節手段を備えることを特徴としている。
【0029】
請求項4記載の発明によれば、駆動伝達部の移動距離がほぼ一定であり、駆動伝達部の係合部と下糸手繰作動部の所定の間隔を調節することによって、駆動伝達部の係合部が下糸手繰作動部に当接してから駆動伝達部による下糸手繰作動部を押し出す量が調整される。そのため、下糸手繰手段による下糸の手繰量が調整自在となる。例えば、駆動伝達部と下糸手繰作動部の間隔を広くするにつれて、下糸手繰作動部の押される移動量が減少する。これにより、下糸の繰出量が減少する。一方、例えば、駆動伝達部と下糸手繰作動部の間隔を狭くするにつれて、下糸手繰作動部の押される移動量が増加する。これにより、下糸の繰出量が増加する。
【0030】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つに記載の下糸手繰装置において、
上記駆動伝達部または上記下糸手繰作動部が、上記回転軸を中心とする円弧状の外形となる概三日月状または略リング状であることを特徴としている。
【0031】
請求項5記載の発明によれば、駆動伝達部の外径が円弧状となる概三日月状または略リング状となっているため、ルーパ土台が回転しても、駆動伝達部が下糸手繰作動部に対して、回転軸方向に重なっている。したがって、ルーパ土台が回転しても、駆動伝達部がルーパ土台から突出した下糸手繰作動部を常に押せる。
【0032】
【発明の実施の形態】
<第一の実施の形態例>
以下に、本発明の第一の実施の形態例のミシンの下糸手繰装置を図面を参照して説明する。
ここで、この例のミシンの下糸手繰装置を説明する前に、この下糸手繰装置を備えた鳩目穴かがり縫いミシンの概略構成を図1を参照して説明する。
【0033】
図1に示すように、この例のミシン20は、鳩目穴かがり縫いを行なうミシン20としての基本構成を備えているものである。
そして、ミシン20は、略矩形箱状をなすベッド部21と、該ベッド部21の後部に設けられた縦胴部22と、該縦胴部22から前方に延出して設けられたアーム部23とを備えたミシンフレーム24と、該ミシンフレーム24が載置されるミシンテーブル(図示略)とを備えたものである。
【0034】
そして、アーム部23の先端部には、下方に延出するように、下端部に縫い針34を備えた針棒25が上下動及び左右への振れ移動が可能に設けられている。また、ベッド部21には、この針棒25に対向して、ルーパ26,26(図2に図示)と該ルーパ26,26を補助するスプレッダ27,27(図2に図示)と、上糸を切断する上糸切りメス28(図2に図示)等を有するルーパ部29を上部に備えたルーパ土台30が設けられている。なお、ルーパ土台30については、後に詳述する。
【0035】
そして、ミシンフレーム24内には、針棒25を上下動及び左右への振れ移動させると共に、それと同期してルーパ26,26及びスプレッダ27,27を駆動させるための各駆動機構が以下のように設けられている。
すなわち、ベッド部21内において、主軸サーボモータ(図示略)に下軸(図示略)が接続されており、この下軸にルーパ駆動機構及びスプレッダ駆動機構を介してルーパ26,26及びスプレッダ27,27が接続されている。下軸は、伝動機構(図示略)を介して、アーム部23内の上軸(図示略)に接続されている。
【0036】
そして、上軸は、図示しない針棒上下駆動機構及び針棒振り機構を介して針棒25に接続され、針棒25を上下に駆動するとともに左右に振るようになっている。また、針棒25及びルーパ土台30は、Z軸パルスモータ(図示略)とタイミングベルト31や伝動シャフト32等を備えた伝動手段(一部図示略)とを有する回動機構に接続されており、針棒25とルーパ土台30とが同期して垂直な回転軸周り(針棒25の軸線周り)をミシンフレーム24に対して回転するようになっている。これは、従来技術で述べたように鳩目穴の円弧部の周囲をかがり縫いする際に縫い目を放射状とするための機構である。
【0037】
そして、ベッド部21の上面部には被縫製物である布がセットされる送り台35(図1に断面で図示)が設けられていると共に、この送り台35の上面部分には布を押えるための一対の布押え36(上げた状態で図示)が設けられている。この送り台35は、全体として下面が開放した薄形の矩形箱状をなし、その上面には、一対の布押え36間に位置して前後方向に長い開口部が設けられている。そして、この送り台35は、ベッド部21内に設けられた送り機構により、水平移動されるようになっている。
【0038】
また、ミシン20には、布に鳩目穴をあける布切り機構が設けられている。この布切り機構は、ベッド部21側に設けられたメス受台(図示略)と、該メス受台の上方側に上下動自在に設けられた可動メス37と、該可動メス37を上下動させるための布切りシリンダ(図示略)を有するメス駆動機構とを備えたものである。
【0039】
また、ミシン20には、鳩目穴を開けた部分を開く図示しない布開き機構や、下糸や芯糸を切断する図示しない下糸切り機構等が備えられている。また、ミシン20には、本発明に係る下糸手繰装置100(図2に図示)が設けられている。また、ミシン20には、上述の各機構等の動作を制御する図示しない制御装置を有し、予め設定されたパラメータに基づいて、制御装置が各機構の動作を制御して、鳩目穴を開けるとともにかがり縫いを自動的に行い、かつ、これらの動作に付帯する動作を自動的に行なうようになっている。
【0040】
このミシン20においては、被縫製物である布を送り台35にセットし、布を上記布切り機構により鳩目穴を形成できるように、上記送り機構により送り台35が原点位置に移動する。次いで、形成された鳩目穴にかがり縫いを形成するために、上記送り機構により送り台35が縫製位置に移動し、形成された鳩目穴が縫い針34と対向配置される。この縫製位置において、従来例と同様に縫い針34とルーパ26,26の協働によりかがり縫いが布に形成される。なお、従来例と同様に縫製が開始する段階では、ルーパ土台30の回転角度はほぼ0度となっており、縫製が終了する段階では、ルーパ土台30の回転角度はほぼ180度となっている。
【0041】
次に、ルーパ土台30を説明する。
ルーパ土台30は、図2に示すように、その基体41に種々の部材を取付けて構成されている。すなわち、基体41は、円環部41aと、取付板41b(図3に図示)と、支持枠41cと、軸部41dとを一体に有して構成されている。ベッド部21側にはルーパ土台30を回転自在に支持する支持部21aが設けられており、支持部21aには円形孔が設けられ、この円形孔に円環部41aが回転自在にはめられている。円環部41aの上部に取付板41bが設けられており、円環部41aの下部に略矩形枠状の支持枠41cが設けられている。支持枠41cの下部に軸部41dが設けられている。軸部41dは、支持枠41cの下側におけるベッド部21の下部支持部21bを貫通して、軸部41dが下部支持部21bから下方に突出している。軸部41dには、プーリ等が配置されており、該プーリには、ルーパ土台30を針棒25と同期して垂直軸回りに回転させるタイミングベルト(図示略)が掛けられている。
【0042】
そして、取付板41bには、ルーパ部29が配置されている。そして、ルーパ部29、すなわち取付板41b上には、ルーパ26,26、スプレッダ27,27、針穴を有する舌片部42、上糸切りメス28等が駆動可能に備えられている。また、上糸切りメス28は、上糸切断装置200の一部として構成されている。上糸切断装置200については、後述する。
【0043】
支持枠41cは、基本的に上下に長い矩形枠状に形成される。そして、支持枠41cの中央部には、上下に延在する中心線(ルーパ土台30の回転軸心)に沿って、管状のルーパ駆動軸43が配置されるとともに、ルーパ駆動軸43内に管状のスプレッダ駆動軸44が配置されている。なお、スプレッダ駆動軸44は、ルーパ駆動軸43より上方に延出するようになっており、ルーパ駆動軸43の上端からスプレッダ駆動軸44が延出した状態となっている。また、スプレッダ駆動軸44内には、図示しない糸巻きから舌片部42の針穴に向かう下糸45が、スプレッダ駆動軸44の下端から上端に向かって、スプレッダ駆動軸44内を通っている。また、ルーパ駆動軸43及びスプレッダ駆動軸44の下部は、ルーパ土台30の軸部41d内を通ってルーパ土台30の下方に延出し、図示しない下軸に、図示しない伝動機構を介して連結されている。
【0044】
また、ルーパ駆動軸43の上端部には、ルーパ駆動軸ガイド43aを介して、ルーパ駆動ロッド43bの下端部が接続されている。ルーパ駆動ロッド43bの上端部がルーパ取付台43c等を介して、ルーパ26,26に連結されている。また、スプレッダ駆動軸44の上端部には、スプレッダ駆動軸ガイド44aを介して、スプレッダ駆動ロッド44bの下端部が接続されている。スプレッダ駆動ロッド44bの上端部がスプレッダ作動カム44c等を介してスプレッダ27,27に接続されている。
【0045】
また、支持枠41cの正面側には、スプレッダ駆動軸44を通ってその上端部から出た下糸45を取出すとともに張力を掛けて舌片部42の針穴側に導くための下糸取出し部46が配置されている。下糸取出し部46は、ルーパ土台30の支持枠41cの正面側に取り付けられたフレーム部46aと、該フレーム部46aに取り付けられた以下の部材、すなわち、ねじりバネである下糸取りバネ46b、調子皿方式の糸調子46c、第一の糸掛け部46d、第二の糸掛け部46e等とを備えている。
【0046】
そして、下糸取りバネ46bは、コイル部分が回転可能にフレーム部46aに支持される。下糸取りバネ46bの一端部がフレーム部46aに固定されている。下糸取りバネ46bの他端部側が規制部材46gによって付勢方向(図中右方向)への移動が規制される。下糸取りバネ46bの他端部側の上方に延出する延出部が形成されるとともに、該延出部の先端部がリング状とされている。
【0047】
また、糸調子46cは、フレーム部46aの下端部に取り付けられ、該フレーム部46aにおける糸調子46cの上側に第二の糸掛け部46eが設けられている。この第二の糸掛け部46eの上側に第一の糸掛け部46dが設けられている。そして、第一の糸掛け部46d及び第二の糸掛け部46eにおいては、スプレッダ駆動軸44の上端部側から糸調子46c側に向かう下糸45がルーパ土台30の外より側を通り、糸調子46cに掛けられて舌片部42の針穴側に向かう糸がルーパ土台30の内より側を通るように下糸45が掛けられている。
【0048】
従って、下糸45は、ルーパ土台30の中心部にあるスプレッダ駆動軸44の上端部からルーパ土台30の外側に向かって延出して第一の糸掛け部46dの外より側の部分に至り、第一の糸掛け部46dに掛けられて方向を下側に向けられる。そして、下糸45は、第一の糸掛け部46dの外より側の部分から、第二の糸掛け部46eの外より側の部分に掛け渡された後に、糸調子46cに掛け渡される。そして、糸調子46cに掛けられた下糸45は、第二の糸掛け部46eの内より側の部分に掛け渡され、さらに第一の糸掛け部46dの内より側の部分に掛け渡される。そして、第一の糸掛け部46dの内より側の部分に掛けられた下糸45が、下糸取りバネ46bのリング部分を通って、円環部41aに取り付けられた糸通し管46fを通ってルーパ土台30の上部に向かい、ルーパを経由し舌片部42の針穴を通って被縫製物側に向かうようになっている。
【0049】
次に、上糸切断装置200について説明する。上糸切断装置200は、従来のように下糸手繰装置に連結されて下糸手繰装置を作動させるような機構を有しておらず、下糸手繰装置がなく上糸切断装置のみを有して、下糸手繰りを必要としない仕様のミシンと同様の構成のものとなっている。なお、従来、下糸手繰装置を有する仕様のミシンと、下糸手繰装置が無い仕様のミシンとでルーパ土台30関係の部品の統一化を図った場合に、前者のミシンには、下糸手繰装置を作動させるために後者のミシンにはない構成が上糸切断装置にある。このため、前者のミシンで用いられる部品を後者のミシンで用いることになり、後者のミシンには、本来必要でない余分な構成が存在することになった。
【0050】
しかし、この例においては、前者のミシンにおいても上糸切断装置200に下糸手繰装置100を作動させるための構成を設ける必要がなく、元々、下糸手繰装置100を作動させるための構成がない後者のミシンの部品を、前者のミシンに流用することで、両者のミシンにおいて、部品の統一化を図ることができる。そして、この場合には、両者のミシンにおいて、本来必要でない構成が含まれないので、部品の統一化により、さらなるコストダウンを図ることができる。
【0051】
また、図2〜図5に示すように、上糸切り作動腕28aが取付板41b側に回動自在に取り付けられており、この上糸切り作動腕28aに上糸切りメス28が取り付けられている。なお、図2においては、図面を簡略化するために、上糸切断装置200の一部の図示を省略している。図3においては、ルーパ土台30等を簡略化して示しており、ベッド部21は2点鎖線で示している。図4においては、図面を簡略化するためにルーパ土台30等の図示を省略している。
【0052】
上糸切り作動腕28aには、一端部を支持枠41cに接続された戻しバネ(図示略)の他端部が接続されている。この戻しバネにより上糸切り作動腕28aが付勢された状態となり、上糸切りメス28が切断待機位置に位置する。そして、上糸切断駆動機構201により、上糸切り作動腕28aが上記戻しバネの付勢力に抗して駆動され、上糸切りメス28が切断待機位置から作動して上糸を切断する。この上糸切断駆動機構201は上糸切断装置200を構成するものであり、この上糸切断駆動機構201も基本的に下糸手繰装置が無い使用のミシンに用いられるものである。
【0053】
上糸切り作動腕28aには突部28cが設けられており、突部28cが上糸切断駆動機構201によって押されることにより、上糸切りメス28が上糸切断動作を行う。上糸切断駆動機構201は、駆動源としての上糸切りエアシリンダ202と、上糸切りリンク203と、上糸切り駆動軸204と、押圧部205等とから構成されている。
【0054】
上糸切りエアシリンダ202は、ロッド202aを進退させ、その基端側(ロッド202aの反対側)においてシリンダブラケット206に回動自在に支持されている。シリンダブラケット206はベッド部21に対して摺動自在に取り付けられており、止めネジ206a,206aによってシリンダブラケット206がベッド部21に締結され、摺動不可となる。また、上糸切りエアシリンダ202は、ミシン20の制御装置により制御されるようになっている。なお、上糸切りエアシリンダ202のロッド202aの押出量は、常に一定となっている。
【0055】
また、ミシン20の前方を向いたロッド202aの先端部には、シリンダナックル207を介して、ロッド202aの進退方向に直交する方向の回転軸回りに回動可能となるように上糸切りリンク203の一端部が連結されている。上糸切りリンク203の中間部は、ロッド202aの進退方向に直交する方向に延在する回転軸203aによってベッド部21に回動自在に支持されている。上糸切りリンク203の他端部には、ロッド202aの進退方向に直交する回転軸回りに回動可能に棒抱き209が連結されている。この棒抱き209に上糸切り駆動軸204が挿通しており、棒抱き209は上糸切り駆動軸204の略中間部に固定されている。上糸切り駆動軸204はほぼ垂直方向に延在しており、後述する軸案内111に摺動自在にはめられている。また、上糸切り駆動軸204が後述する巻きバネ112に挿通されており、この巻きバネ112が棒抱き209と軸案内111との間を付勢している。上糸切り駆動軸204の上端部には押圧部205が設けられている。なお、ルーパ土台30が180度の回転角度に位置していれば、ルーパ土台30の回転軸方向に投影視して、押圧部205と上糸切りメス28の突部28cとが重なるように、押圧部205が配置されている。
【0056】
この上糸切断駆動機構201によれば、上糸切りエアシリンダ202の駆動力によって上糸切り駆動軸204とともに押圧部205が動作する。
すなわち、図3に示すように上糸切りエアシリンダ202がOff状態では、ロッド202aが押出されており、上糸切りリンク203が回転軸203aを中心に時計回りに回動して、止まった状態となっている。これにより、上糸切り駆動軸204とともに押圧部205が上方に移動し、上死点で止まった状態となっている。一方、上糸切りエアシリンダ202をOnの状態にした場合には、ロッド202aが引き込まれた状態となる。これにより、上糸切り駆動軸204とともに押圧部205が下方に移動し、下死点で止まった状態となる。
【0057】
ここで、図3や図5に示すように、ルーパ土台30がほぼ180度の回転角度に位置していれば、ルーパ土台30の回転軸方向に投影視して、押圧部205と突部28cとが重なっている。この場合、上糸切りエアシリンダ202がOffの状態では、押圧部205が上死点に位置し、押圧部205が上糸切りメス28の突部28cから離れた状態となっている。そして、上糸切りエアシリンダ202がOnとなり、押圧部205が上死点から下死点に移動する際に、押圧部205が上糸切りメス28の突部28cに当接し、さらに、押圧部205は上糸切りメス28の突部28cを下方へと押す。これにより、切断待機位置に位置している上糸切りメス28が作動し、上糸切りメス28が上糸切断動作を行う。再び、上糸切りエアシリンダ202がOffの状態になると、押圧部205が上死点へ移動するとともに、上糸切りメス28の戻しバネ106の付勢力により、上糸切りメス28が切断待機位置に戻る。
【0058】
次に、下糸手繰装置100について説明する。
下糸手繰装置100は、図2〜図6に示すように、ルーパ土台30の支持枠41cの正面側に設けられた下糸手繰手段101と、ベッド部21側に設けられ、下糸手繰手段101を駆動するための下糸手繰駆動機構102と、下糸手繰手段101に設けられ、下糸手繰駆動機構102の駆動力により下糸手繰手段101を作動させる下糸手繰作動部105とを備えたものである。
【0059】
下糸手繰手段101は、支持枠41cの正面の下端部に支点Sを中心として回動自在に取り付けられた下糸手繰板103と、該下糸手繰板103の回動の支点Sの部分に設けられた下糸皿浮かし板104とを備えるものである。
下糸手繰板103は、支点Sの部分から上方に向かうベース部103aと、該ベース部103aの下端部の支点Sの位置で支持枠41cの下部に直交するように貫通する回転軸103bと、ベース部103aの上部に設けられ、第一の糸掛け部46dと糸通し管46fとの間に下糸取りバネ46bを経由して張られた状態の下糸45を遮る位置に延出する下糸手繰部103cと、ベース部103aの下部に設けられ、支持枠41cの正面から見て支点Sの部分から右方に向かう手繰作動部103eとを備えたものである。
【0060】
また、回転軸103bは、支持枠41cの下端部の軸受け部分に回動自在の受けられた状態とされる。そして、回転軸103bにおける支持枠41c正面側の端部がベース部103aの支点Sの位置に接合されており、下糸手繰板103が支点Sを中心に支持枠41cの正面から見て左右に回動移動できるようになっている。
【0061】
手繰作動部103eには、一端部が上糸切り作動腕28aに掛けられた下糸手繰戻しバネ106の他端部が掛けられている。ベース部103aが支点Sを中心にその上部を支持枠41cの正面から見て左側に回るように、下糸手繰戻しバネ106によって下糸手繰板103が付勢される。なお、この下糸手繰戻しバネ106は、下糸手繰駆動機構102を構成するものであり、上糸切りメス28の戻しバネを兼ねている。
【0062】
下糸皿浮かし板104は、ベース部103aの支点Sの部分に接合される接合部104aと、該接合部104aから延出する皿浮かし片104bとからなる。糸調子46cが支点Sから僅かに離れた位置に配置されており、この糸調子近傍(糸調子46cの下側)に皿浮かし片104bの先端部が配置されている。そして、下糸手繰戻しバネ106に抗してベース部103aが支点Sを中心にその上部を支持枠41cの正面から見て右側に回した際に、皿浮かし片104bは支持枠41cの正面から見て上方に移動し、皿浮かし片104bが糸調子46cの下糸45を挟む二枚の皿の間に挿入される。これにより、二枚の皿の間が広がり、下糸45にかかった張力を解除するとともに、糸巻き側から下糸45を容易に繰り出せる状態とするようになっている。
【0063】
また、下糸皿浮かし板104の接合部104aは、ベース部103aの外面側の支点Sの位置でベース部103aを貫通して突出した状態となっている回転軸103bの基部に回動自在にピン結合された状態となっている。また、接合部104aには、支点Sから少し斜め上の部分に支点Sを中心とする円弧状の長孔104cが設けられている。この長孔104cの部分で止めねじ104dにより下糸皿浮かし板104の接合部104aがベース部103aに締結される。これにより、ベース部103aに対して下糸皿浮かし板104が回転不可となるように固定されている。なお、止めねじ104dを緩めるか外した状態では、下糸皿浮かし板104を支点Sの位置で回動自在となっており、下糸皿浮かし板104を回転させてその皿浮かし片104bを糸調子46cに近づけたり遠ざけたりして、糸調子46cの解除のタイミングや糸調子46cの二枚の皿の皿浮かし量を調整できるようになっている。
【0064】
そして、下糸手繰部103cには、下糸45を通す長孔103dが形成されている。この長孔103dに、糸調子46cに掛けられて張力がかけられた後に、第一の糸掛け部46dから糸通し管46fに掛け渡される下糸45が通されている。これにより、下糸手繰板103のベース部103aの上部を支持枠41cの向かって右側(支持枠41cの中心側)に回した場合に、下糸手繰部103cの長孔103dに掛けられた状態の下糸45が右側に引張られることになる。この際に、上述のように糸調子46cによる張力が下糸皿浮かし板104により解除されているので、糸巻き側から下糸45が繰出されて下糸45が弛まされた状態(緩められた状態)となる。
【0065】
下糸手繰作動部105は、第一の作動リンク105aと、第二の作動リンク105bとから構成されている。第一の作動リンク105aは、その中間部において支持枠41cの正面から見て右側(図2に向かって右側)の支持枠41cの下部に段ネジ105cによって回動自在に支持されている。これにより、第一の作動リンク105aは段ネジ105cを中心にして回動自在となる。そして、第一の作動リンク105aの一端部が、手繰作動部103eにピン結合されている。また、第二の作動リンク105bの一端部に孔部が形成されており、この孔部に段ネジ105cが挿入されて、第一の作動リンク105aに対して第二の作動リンク105bが回動自在に連結されている。これにより、第二の作動リンク105bは段ネジ105cを中心として回動自在となっている。そして、第二の作動リンク105bの中間部(図2に向かって段ネジ105cの右側)に、段ネジ105cを中心とした円弧状の長孔105dが形成されている。この長孔105dの部分で第二の作動リンク105bが止めネジ105eにより第一の作動リンク105aに締結され、これにより、第二の作動リンク105bが第一の作動リンク105aに対して回転不可となっている。そして、第二の作動リンク105bの他端部が支持枠41cから外側(支持枠41cの正面から見て右側)に向かって突出している。
【0066】
図2において、第二の作動リンク105bの他端部が上方に押されると、第一の作動リンク105aが段ネジ105cを中心に支持枠41cの正面から見て反時計回りに回動する。第一の作動リンク105aの一端部が下方に向かって移動し、これにより、下糸手繰板103のベース部103aが支点Sを中心にその上部を右側に回るように、下糸手繰板103が作動する。これにより、上述のように糸調子46cによる張力が解除され、糸巻き側から下糸45が繰り出されて、下糸45が弛められた状態となる。
【0067】
下糸手繰駆動機構102は、下糸手繰手段101を駆動するための下糸手繰エアシリンダ107と、下糸手繰エアシリンダ107をベッド部21に取り付けるためのシリンダブラケット108と、下糸手繰エアシリンダ107のロッド107aと、ロッド107aの先端部に取りつけられているシリンダキャップ109と、シリンダキャップ109に連結されている駆動伝達部110と、駆動伝達部110に設けられている軸案内111と、上糸切り駆動軸204を挿通している巻きバネ112と、下糸手繰手段101の下糸を手繰る動作を解除させるための下糸手繰戻しバネ106とを備えたものである。
【0068】
図4に示すように、下糸手繰エアシリンダ107は、図示しない電磁弁を介してエアを下糸手繰エアシリンダ107内に注入することにより、ロッド107aを押出す。一方、エアの注入を停止して、排気を開とすることにより、シリンダ内の図示しない戻しバネによりロッド107aが引き込まれる。
【0069】
そして、下糸手繰エアシリンダ107のロッド107aがシリンダブラケット108に設けられた孔部を貫通するようにして、下糸手繰エアシリンダ107がシリンダブラケット108に接合されている。ベッド部21の下部支持部21bの下側に下糸手繰エアシリンダ107が配置されており、下部支持部21bに対してシリンダブラケット108が止めネジ108b、108c、ナット108aにより締結されている。シリンダブラケット108を貫通したロッド107aにはシリンダキャップ109が設けられており、シリンダキャップ109はベッド部21の下部支持部21bから上方に突出している。また、下糸手繰エアシリンダ107は、ミシン20の制御装置に制御されるようになっている。
【0070】
下糸手繰エアシリンダ107がOnの状態になると、ロッド107aが押し出されて、ロッド107aとともにシリンダキャップ109が上方に移動する。下糸手繰エアシリンダ107がOffの状態になると、下糸手繰エアシリンダ107の戻しバネの付勢力により、ロッド107aが引き込まれ、ロッド107aとともにシリンダキャップ109が下方に移動する。なお、下糸手繰エアシリンダ107は、エアシリンダの種類を変えたり、下糸手繰エアシリンダ107の調整を行わなったりしなければ、ロッド107aの押し出し量は一定となっている。
【0071】
駆動伝達部110は板状の部材であり、シリンダキャップ109の進退方向(ルーパ土台30の回転軸方向)に対してほぼ垂直に配置されている。更に、駆動伝達部110の上面は、ルーパ土台30の回転軸にほぼ垂直となる平面(係合部)となっている。駆動伝達部110は、第二の作動リンク105bの支持枠41cから突出した部分(即ち、第二の作動リンク105bの他端部)と、下部支持部21bとの上下方向の間に配置されている。そして、駆動伝達部110の上面と第二の作動リンク105bとの間は、ルーパ土台30の回転軸方向に所定の間隔がある。即ち、駆動伝達部110の上面と第二の作動リンク105bは、対向配置されている。
【0072】
更に、図6に示すように、駆動伝達部110は、平面視して(ルーパ土台30の回転軸方向に見て)ルーパ土台30の回転軸を中心とする円弧状の外形となる略三日月状(略C字型)の形状をしている。そして、駆動伝達部110のルーパ土台30側の側縁110aは平面視して円弧状をしており、その径はルーパ土台30(支持枠41c)の回転軌跡が描く円弧の径より大きくなっている。そして、駆動伝達部110の側縁110aがなす円弧の中心と、ルーパ土台30の回転軌跡が描く円弧の中心とが平面視してほぼ一致するように、駆動伝達部110が配置されている。これにより、駆動伝達部110は、平面視してルーパ土台30を略囲むようにして、ルーパ土台30の回転軌跡より外側に配置されている。更に、ルーパ土台30の回転に伴って第二の作動リンク105bの支持枠41cから突出した部分(他端部)が描く回転軌跡の径は、駆動伝達部110の側縁110aの円弧の径より大きくなっている。
【0073】
上述したように、ルーパ土台30は、0度の位置から180度の位置まで回転する。ルーパ土台30が0度から180度まで回転する際に、第二の作動リンク105bの他端部が描く軌跡が、平面視して駆動伝達部110の外形の内側に収まるようになっている。このため、ルーパ土台30が0度から180度までの回転範囲内に位置する際には、第二の作動リンク105bの支持枠41cから突出した部分と駆動伝達部110とがルーパ土台30の回転軸方向に重なっている。したがって、ルーパ土台30が回転しても、駆動伝達部110が上方に向けて移動した際に、駆動伝達部110が第二の作動リンク105bを常に押せる。
【0074】
また、図4に示すように、この駆動伝達部110には貫通孔(図示略)が形成されており、この貫通孔と軸案内111の挿通孔とが上下方向から見て一致するようにして、駆動伝達部110の上面部に軸案内111が設けられている。この軸案内111の挿通孔及び駆動伝達部110の貫通孔には、上糸切り駆動軸204が摺動自在に挿通している。なお、この駆動伝達部110は、上糸切り駆動軸204を摺動して、ルーパ土台30の回転軸方向に移動するようになっている。
【0075】
また、駆動伝達部110には第二の貫通孔が形成されており、この第二の貫通孔にシリンダキャップ109のロッド部109aが貫通しているとともに、シリンダキャップ109のフランジ部109bが駆動伝達部110の下面部に係合している。これにより、駆動伝達部110にシリンダキャップ109が連結している。また、シリンダキャップ109は、駆動伝達部110の上糸切り駆動軸204に対する廻り止めも兼ねている。そして、棒抱き209と軸案内111との間に介在する巻きバネ112が、ロッド107aに設けられたシリンダキャップ109及び駆動伝達部110をロッド107aが引き込む方向に付勢している。この駆動伝達部110は、巻きバネ112及び下糸手繰エアシリンダ107によって第二の作動リンク105bに対して接離移動するようになっており、更に、駆動伝達部110が第二の作動リンク105bを上方に押せるようになっている。
【0076】
そして、下糸手繰駆動機構102においては、下糸手繰エアシリンダ107をOn状態からOff状態にした場合に、下糸手繰エアシリンダ107の戻しバネによりロッド107aを引き込む際に、巻きバネ112の付勢力により駆動伝達部110をロッド107aに追従させて動作する。そして、駆動伝達部110は、第二の作動リンク105bの他端部から所定の間隔分だけ離れた状態となっており、駆動伝達部110の下面が止めねじ108cの先端108dに当接した状態で下死点に位置している。
【0077】
そして、下糸手繰手段101においては、下糸手繰エアシリンダ107をOffとした場合では、図2に示すように、下糸手繰戻しバネ106の付勢力により、下糸手繰手段101の下糸手繰板103が直立した状態より僅かに向かって左斜めに傾いた状態となるとともに、その上端部の下糸手繰部103cが下糸45を手繰っていない状態の初期位置となっている。すなわち、この状態では、下糸45が第一の糸掛け部46dから下糸取りバネ46bを経由し下糸手繰部103cの長孔103dを通って糸通し管46fに掛け渡された状態とされている。なお、図示しない支持枠41cに設けられたストッパにより、下糸手繰板103がさらに左側に移動しないようになっている。
【0078】
一方、下糸手繰エアシリンダ107をOnとした場合では、下糸手繰駆動機構102においては、巻きバネ112の付勢力に抗してロッド107aとともにシリンダキャップ109が押し出された状態となり、これとともに駆動伝達部110が上死点に位置する。駆動伝達部110が下死点から上死点に移動する際に、駆動伝達部110が第二の作動リンク105bの支持枠41cから突出した部分に当接(係合)するとともに、更に、駆動伝達部110が上昇し、駆動伝達部110が第二の作動リンク105bの他端部を上方に向かって押す。
【0079】
そして、下糸手繰手段101においては、下糸手繰エアシリンダ107をOnとした場合には、上述のように第二の作動リンク105bの他端部が上方へ押されることにより、第一の作動リンク105aが反時計回りに回動する。これにより、下糸手繰板103が回転することで、下糸手繰板103が上述の初期位置から、直立した状態より僅かに向かって右斜めに傾いた状態となるとともに、その上端部の下糸手繰部103cが下糸45を図中向かって右側に手繰った状態となる。すなわち、この状態では、第一の糸掛け部46dから下糸取りバネ46bを経由し糸通し管46fに掛け渡された下糸45が下糸手繰部103cにより右側に引張られることになる。
【0080】
なお、第二の作動リンク105bを第一の作動リンク105aに締結していた止めネジ105eを緩めるか外した状態では、段ネジ105cの位置で第一の作動リンク105aに対して第二の作動リンク105bが回動自在となる。第二の作動リンク105bを回転させて、第二の作動リンク105bの他端部を駆動伝達部110から上下方向に近づけたり遠ざけたりし、下死点に位置した駆動伝達部110と第二の作動リンク105bの他端部との間隔を調整することができる。更に、駆動伝達部110の下死点から上死点までの距離はほぼ一定となっている。したがって、第二の作動リンク105bの他端部が駆動伝達部110から遠ざかると、駆動伝達部110と第二の作動リンク105bとが当接するまでの駆動伝達部110の上昇量が増え、駆動伝達部110が当接してから第二の作動リンク105bの他端部の押される量が減少し、その分下糸の繰出量が減少する。一方、第二の作動リンク105bの他端部が駆動伝達部110に近づくと、駆動伝達部110と第二の作動リンク105bとが当接するまでの駆動伝達部110の上昇量が減少し、駆動伝達部110が当接してから第二の作動リンク105bの他端部の押される量が増加し、その分下糸の繰出量が増加する。
【0081】
次に、下糸手繰装置100を備えるミシン20の動作を説明する。なお、ミシン20における下糸手繰装置100の動作タイミングは、基本的に従来のミシンにおける下糸手繰装置の動作タイミングとほぼ同様のものである。また、下糸手繰装置100、上糸切断装置200等の動作タイミングはミシン20の制御装置によって制御される。
【0082】
まず、従来と同様にミシン20により、原点位置において布に鳩目穴を形成し、次いで、縫製位置において鳩目穴かがり縫いの縫製が行なわれる。なお、この際に、下糸手繰エアシリンダ107及び上糸切りエアシリンダ202はOff状態となっている。次に、縫製終了した状態では、ルーパ土台30は180度回転した状態となっており、上糸切りメス28の突部28cに押圧部205が平面視して重なっている。ここで、上糸切りエアシリンダ202がOnとなり、上糸切りメス28により上糸が切断される。その後、上糸切りエアシリンダ202がOffとなり、上糸切りメス28が切断待機位置に戻る。
【0083】
この際に、送り台35が原点位置への移動を開始する前に、下糸手繰エアシリンダ107をOnとして、上述のように下糸手繰エアシリンダ107の駆動力により押される下糸手繰作動部105の第二の作動リンク105bを介して、下糸手繰板103を回動させる。これにより、下糸皿浮かし板104が糸調子46cによる張力を解除するともに、下糸手繰板103の上端部側の下糸手繰部103cが上述のように下糸45を手繰る。したがって、被縫製物である布側ではなく、下糸45を供給する糸巻き側から下糸45が、下糸手繰部103cの移動量に対応する量だけ繰出されることになる。
【0084】
そして、下糸45が手繰られた後に、下糸手繰エアシリンダ107をOffとして、下糸手繰エアシリンダ107のロッド107aを引き込み、巻きバネ112の付勢力により駆動伝達部110が初期状態の下死点に戻る。これとともに、下糸手繰戻しバネ106の付勢力により下糸手繰手段101が初期状態に戻る。次に、送り台35が縫製位置から原点位置に戻るために移動するが、この際に下糸45が必要十分な量だけ繰出されているので、送り台35とともに下糸45が繋がれた布が移動しても、布が引きつるようなことがない。また、この際に、鳩目穴かがり縫いにより180度回転した状態のルーパ土台30がほぼ45度だけ逆回転して戻ることにより、下糸の切断を行なうために、下糸45と図示しない芯糸とが図示しない針板の段部によって上下にわけられる。
【0085】
次に、送り台35の移動終了と同時に、再度、下糸手繰エアシリンダ107をOnとして、上述のように下糸45を下糸手繰手段101により必要十分な量だけ繰出し、次いで、下糸手繰エアシリンダ107をOffとして、下糸手繰手段101を上述のように、初期状態に戻す。この下糸手繰動作の際には、上糸切りメス28が作動していないので、上糸切りメス28により下糸を誤って切断してしまうことがない。次いで、下糸45と芯糸とを切断する下糸切り動作を行なう。この際に下糸45が引張られる状態となっても、下糸45が手繰られているので、下糸45が引張られることにより、布が引きつることがない。
【0086】
次に、布を送り台35に押えていた布押え36が上昇する。次に、45度だけ戻った状態のルーパ土台30を更にほぼ135度だけ逆旋回させることにより、ルーパ土台30の回転角度を0度とする。
次に、再々度下糸手繰エアシリンダ107をOnとした後にOffすることにより、下糸45を繰出して、次回の縫製時に必要な下糸45の繰出し量を確保する。そして、布開きを閉じてかがり縫いのワンサイクルの動作を終了する。
【0087】
以上のように、第一の実施の形態例によれば、駆動伝達部110の外径が円弧状となる略三日月状または略リング状となっているため、ルーパ土台30が回転しても、駆動伝達部110が第二の作動リンク105bに対して、回転軸方向に重なっている。したがって、ルーパ土台30が回転しても、駆動伝達部110がルーパ土台30から突出した第二の作動リンク105bを常に押せる。
【0088】
したがって、ルーパ土台30が0度から180度までの回転範囲内に位置する際には、駆動伝達部110が上方に向かって移動した場合、駆動伝達部110が常に第二の作動リンク105bの他端部を上方に向かって押すことができる。
【0089】
したがって、ルーパ土台30の回転範囲内であれば、ルーパ土台30の回転角度に関係なく、いつでも下糸手繰手段101が下糸45を手繰ることができる。その上、上糸切りメス28を作動させるための上糸切りエアシリンダ202とは別体となっている下糸手繰エアシリンダ107によって下糸手繰手段101を作動させているため、下糸手繰手段101は上糸切りメス28とは無関係に動作することができる。また、上糸切りメス28と下糸手繰手段101の駆動源が別体であるため、上糸切りメス28と下糸手繰手段101とに駆動力を分散せずとも、上糸切りメス28と下糸手繰手段101とを作動させることができる。そのため、上糸切りメス28や下糸手繰手段101の動作スピードの低下を招かず、安定して上糸を切断するとともに安定して下糸を手繰ることができる。
【0090】
そして、ルーパ土台30の回転範囲内であれば、ルーパ土台30の回転角度に関係なく、いつでも下糸手繰手段101が下糸45を手繰ることができる。このため、一つの駆動手段(下糸手繰エアシリンダ107)により下糸45を手繰る全てのタイミングで、下糸手繰手段101が下糸45を手繰ることができる。
【0091】
また、上述のように一つの下糸手繰駆動手段により必要な全てのタイミングで、下糸45を手繰ることができるので、ミシン20の設置時に下糸45の手繰量等を設定する際や、その後の再設定等のメンテナンスの際に、一つの下糸手繰駆動手段と一つの下糸手繰手段101とにおいて、設定等のメンテナンスを行えば良い。したがって、本実施形態のミシン20や下糸手繰装置100ではメンテナンスを容易なものとすることができる。
【0092】
また、この例においては、他の装置の動作に関係なく、下糸手繰駆動機構102の下糸手繰エアシリンダ107により下糸手繰手段101を最適なタイミングで動作させることができる。
【0093】
また、上述のように、上糸切断装置200や、ベッド部21のルーパ土台30の取付部分等においては、従来にあった駆動力を下糸手繰装置に伝達する構造が必要なくなる。このため、下糸手繰装置100を駆動する手段が二つではなく、一つで良いので、部品点数の削減を図ることができる。したがって、ミシンの製造時における組み付け作業の省力化と、コストダウンとを図ることができる。
【0094】
更に、上記実施形態では、下糸手繰装置100が上糸切断装置200の動作と無関係に作動することができるから、上糸切りメス28の動作するタイミングが上糸切断する時のみとなる。従来のように下糸を手繰るタイミングで上糸切断装置200が複数回動作してないため、本実施形態では上糸切断装置200の上糸切りメス28によって下糸45を切断してしまうことがなくなる。
【0095】
ところで、ルーパ土台30には、ルーパ26、スプレッダ27、上糸切りメス28、ルーパ駆動機構の一部となるルーパ駆動ロッド43b、スプレッダ駆動機能の一部となるスプレッダ駆動ロッド44b、糸調子46cを備える下糸取出し部46などの多数の部材が取り付けられており、下糸手繰手段101とともに下糸手繰手段101を駆動する下糸手繰駆動手段をルーパ土台30に設けることが困難である。しかしながら、本実施形態では、下糸手繰手段101を駆動する下糸駆動手段である下糸手繰エアシリンダ107をベッド部21側に設けている。したがって、ルーパ土台30における下糸手繰手段101を駆動する下糸手繰駆動手段のスペースを考慮せずとも、各種部材をルーパ土台30に取り付けることができる。その上、各種部材が取り付けられるルーパ土台30に取り付ける部品点数を削減することができ、製造時や製造後のメンテナンス時にルーパ土台30を組み付ける労力が削減される。なお、下糸手繰エアシリンダ107をベッド部21側に設けても、駆動伝達部110や下糸手繰作動部105が上述のような構成をしているため、下糸手繰エアシリンダ107の駆動力を下糸手繰手段101に伝達することができる。
【0096】
ところで、下糸手繰手段101を駆動するための下糸手繰駆動手段をルーパ土台30側に設けるものとしたら、下糸手繰駆動手段を駆動させるため電源用の配線やエア供給用のエアホース等をベッド部21側からルーパ土台30に導かなければならない。ところが、上述のようにルーパ土台30はベッド部21に対して回転するものであるため、配線やエアホースがルーパ土台30の回転に影響を与えてしまう。本実施形態では、下糸手繰エアシリンダ107をベッド部21側に設けているため、このような配線やエアホースがルーパ土台30の回転に影響を与えない。もちろん、駆動伝達部110がルーパ土台30の回転軌道の外側に配置されているため、駆動伝達部110がルーパ土台30の回転に影響を及ぼすことはない。
【0097】
なお、本実施形態では、駆動伝達部110の上下方向の案内を上糸切断装置200の上糸切り駆動軸204によって行っていたが、上下方向に延在する別の案内軸をベッド部21に設けて、軸案内111にこの案内軸を挿通させるようにしても良い。この際には、上糸切り駆動軸204に巻かれている巻きバネ112は必要とならず、巻きバネ112の代わりに他のバネなどの付勢手段を軸案内111または駆動伝達部110とベッド部21との間に掛けて、この付勢手段により駆動伝達部110と下糸手繰作動部105が離れるように付勢すれば良い。
【0098】
<第二の実施の形態例>
次に、第二の実施の形態例のミシンの下糸手繰装置を図7、8により説明する。
上記第一の実施形態では、上糸切断装置200を駆動する駆動手段と下糸手繰装置100を駆動する駆動手段は別体であったが、第二の実施形態では下糸手繰装置と上糸切断装置を駆動する駆動手段が同体である。更に、上記第一の実施形態においては、上糸切断装置200の上糸切断駆動機構201は、上糸切りメス28を作動させるための専用のものであったが、第二の実施形態では上糸切断駆動機構201が上糸切りメス28を作動させるとともに、下糸手繰手段を作動させる。以下、第二の実施形態の構成を説明するが、主に異なる構成について説明し、同一構成については同一の符号を付す。
【0099】
第二の実施形態例のミシンが備える下糸手繰装置300は、ルーパ土台30の支持枠41cの正面側に設けられた下糸手繰手段301と、下糸手繰手段301に設けられ、押されることにより下糸手繰手段301を作動させる下糸手繰作動部303と、下糸手繰作動部303に掛けられる下糸手繰戻しバネ307と、上糸切断装置200の上糸切り駆動軸204に固定的に設けられる駆動伝達部316とを備えたものである。なお、第一の実施の形態例では、上糸切り駆動軸204に巻きバネ112が挿通していたが、第二の実施の形態例では、上糸切り駆動軸204に巻きバネは挿通されていない。
【0100】
下糸手繰作動部303は、レバー部305と、レバー部305の基端部に固定的に設けられた回転軸306とを備えたものである。回転軸306は、支点Sの位置で支持枠41cの下部に直交するように貫通している。回転軸306は、支持枠41cの下端部の軸受け部分に回動自在に受けられた状態とされる。これにより、支持枠41cの正面から見て、下糸手繰作動部303のレバー部305は支持枠41cに対して支点Sにおいて左右に回転自在となっている。支持枠41cの正面側から見て、レバー部305は支点Sから右側に向かって延びており、更に支持枠41cの右側縁から外側に向かって突出している。これにより、レバー部305の先端部305aがルーパ土台30の回転軌道の外側に位置している。
【0101】
下糸手繰手段301は、支持枠41cの正面の下端部に支点Sを中心として回動自在に取り付けられた下糸手繰板304と、該下糸手繰板304の回動の支点Sの部分に設けられた下糸皿浮かし板104とを備えるものである。
【0102】
下糸手繰板304は、支点Sの部分から上方に向かうベース部304aと、ベース部304aの上部に設けられ、第一の糸掛け部46dと糸通し管46fとの間に下糸取りバネ46bを経由して張られた状態の下糸45を遮る位置に延出する下糸手繰部304bとから構成されている。
【0103】
ベース部304aは、レバー部305の外面側の支点Sの位置でレバー部305を貫通して突出した状態となっている回転軸306の基部に回動自在にピン結合された状態となっている。これにより、下糸手繰板304が支持枠41c及び下糸手繰作動部303に対して、支持枠41cの正面から見て支点Sを中心に左右に回動移動できるようになっている。そして、ベース部304aには、支点Sから少し斜め上の部分に支点Sを中心とする円弧状の長孔304eが設けられており、この長孔304eの部分で止めねじ304cにより下糸手繰作動部303のレバー部305がベース部304aに締結され、これにより、ベース部304aに対してレバー部305が回転不可となるように固定されている。即ち、支持枠41cの正面から見て、下糸手繰板304と下糸手繰作動部303とは一体的に支点Sを中心として左右に回動するようになっている。
【0104】
ここで、レバー部305には、一端部が上糸切り作動腕28aに掛けられた下糸手繰戻しバネ307の他端部が掛けられている。ベース部304aが支点Sを中心にその上部を支持枠41cの正面から見て左側に回るように、下糸手繰戻しバネ307によって下糸手繰作動部303及び下糸手繰板304が付勢される。
【0105】
また、下糸手繰部304bは、第一の実施形態の下糸手繰部103cと同様の構成をしており、下糸45を通す長孔304dが形成されている。そして、長孔304dに、糸調子46cに掛けられて張力が掛けられた後に、第一の糸掛け部46dから糸通し管46fに掛け渡される下糸45が通されている。
【0106】
下糸皿浮かし板104は、ベース部304aの支点Sの部分に接合される接合部104aと、該接合部104aから延出する皿浮かし片104bとからなる。下糸皿浮かし板104は、第一の実施の形態と同様の構成をしており、同一の符号を付して、詳細の説明を省略する。
【0107】
図7において、レバー部305の先端部305aが下方に押されると、下糸手繰作動部303とともに下糸手繰板304が支点Sを中心に支持枠41cの正面から見て時計回りに回動する。これにより、下糸手繰手段301が作動し、下糸手繰部304bの長孔304dに掛けられた状態の下糸45が右側に引張られることになる。この際に、上述のように糸調子46cによる張力が下糸皿浮かし板104により解除されているので、糸巻き側から下糸45が繰出されて下糸45が弛まされた状態(緩められた状態)となる。
【0108】
駆動伝達部316は板状の部材であり、ルーパ土台30の回転軸に対してほぼ垂直に配置されている。駆動伝達部316の上面には軸固定部材315が固定的に設けられている。軸固定部材315は止めネジ315a,315aによって、上糸切り駆動軸204に固定されており、この止めネジ315a、315aを緩めるかはずした場合、軸固定部材315とともに駆動伝達部316を上糸切り駆動軸204に沿って上下に摺動させることができる。
【0109】
更に、駆動伝達部316の下面は、ルーパ土台30の回転軸にほぼ垂直となる平面(係合部)となっている。この駆動伝達部316は、レバー部305の先端部305aの上方に配置されている。そして、駆動伝達部316の下面とレバー部305の先端部305aとの間は、ルーパ土台30の回転軸方向に所定の間隔がある。即ち、駆動伝達部316の下面とレバー部305は、対向配置されている。
【0110】
更に、駆動伝達部316は、平面視して(ルーパ土台30の回転軸方向に見て)ルーパ土台30の回転軸を中心とする円弧状の外形となる略三日月状(略C字型)の形状をしている。そして、駆動伝達部316のルーパ土台30側の側縁は平面視して円弧状をしており、その径はルーパ土台30(支持枠41c)の回転軌跡が描く円弧の径より大きくなっている。そして、駆動伝達部316の側縁がなす円弧の中心と、ルーパ土台30の回転軌跡が描く円弧の中心とが平面視してほぼ一致するように、駆動伝達部316が配置されている。これにより、駆動伝達部316は、平面視してルーパ土台30を略囲むようにして、ルーパ土台30の回転軌跡より外側に配置されている。更に、ルーパ土台30の回転に伴ってレバー部305の先端部305aが描く回転軌跡の径は、駆動伝達部316の側縁の円弧の径より大きくなっている。
【0111】
ルーパ土台30は、0度の位置から180度の位置まで回転する。ルーパ土台30が0度から180度まで回転する際に、レバー部305の先端部305aが描く軌跡が、平面視して駆動伝達部316の外形の内側に収まるようになっている。このため、ルーパ土台30が0度から180度までの回転範囲内に位置する際には、レバー部305の先端部305aと駆動伝達部316とがルーパ土台30の回転軸方向に重なっている。したがて、ルーパ土台30が回転しても、駆動伝達部316が下方に向けて移動した際に、駆動伝達部316がレバー部305の先端部305aを常に押せる。
【0112】
そして、上糸切断装置200の上糸切りエアシリンダ202の駆動力により、上糸切り駆動軸204が上下に移動した際に、上糸切り駆動軸204に連動して、駆動伝達部316が上下に移動する。この駆動伝達部316は、上糸切りエアシリンダ202によってレバー部305の先端部305aに対して接離移動するようになっており、更に、駆動伝達部316がレバー部305の先端部305aを下方に押せるようになっている。
【0113】
即ち、図8に示すように上糸切りエアシリンダ202がOff状態では、ロッド202aが押出されており、上糸切りリンク203が回転軸203aを中心に時計回りに回動して、止まった状態となっている。これにより、上糸切り駆動軸204とともに押圧部205及び駆動伝達部316が上方に移動し、上死点で止まった状態となっている。この状態では、駆動伝達部316とレバー部305の先端部305aが離れた状態となっている。
【0114】
一方、上糸切りエアシリンダ202をOnの状態にした場合には、ロッド202aが引き込まれた状態となる。これにより、上糸切り駆動軸204及び押圧部205とともに、駆動伝達部316が下方に移動し、下死点で止まった状態となる。駆動伝達部316が上死点から下死点に移動する際に、駆動伝達部316の下面がレバー部305の先端部305aに当接(係合)して、更に、レバー部305の先端部305aを下方に押す。
【0115】
そして、下糸手繰手段301においては、上糸切りエアシリンダ202をOffとした場合では、図7に示すように、下糸手繰戻しバネ307の付勢力により、下糸手繰手段301の下糸手繰板304が直立した状態より僅かに向かって左斜めに傾いた状態となるとともに、その上端部の下糸手繰部304bが下糸45を手繰っていない状態の初期位置となっている。すなわち、この状態では、下糸45が第一の糸掛け部46dから下糸取りバネ46bを経由し下糸手繰部304bの長孔304dを通って糸通し管46fに掛け渡された状態とされている。なお、図示しない支持枠41cに設けられたストッパにより、下糸手繰板304がさらに左側に移動しないようになっている。
【0116】
一方、上糸切りエアシリンダ202をOff状態からOn状態にした場合には、上述のようにレバー部305の先端部305aが下方へ押されることにより、下糸手繰板304が上述の初期位置から、直立した状態より僅かに向かって右斜めに傾いた状態となるとともに、その上端部の下糸手繰部304bが下糸45を図中向かって右側に手繰った状態となる。すなわち、この状態では、第一の糸掛け部46dから下糸取りバネ46bを経由し糸通し管46fに掛け渡された下糸45が下糸手繰部304bにより右側に引張られることになる。
【0117】
なお、ルーパ土台30がほぼ180度の回転角度に位置していれば、第一の実施の形態と同様に、上糸切りエアシリンダ202がOff状態からOn状態になると、切断待機位置に位置している上糸切りメス28が作動し、上糸切りメス28が上糸切断動作を行う。再び、上糸切りエアシリンダ202がOffの状態になると、上糸切りメス28の戻しバネ307の付勢力により、上糸切りメス28が切断待機位置に戻る。
【0118】
なお、レバー部305を下糸手繰板304に締結していた止めねじ304cを緩めるか外した状態では、支点Sの位置で下糸手繰板304に対してレバー部305が回動自在となる。レバー部305を回転させて、レバー部305の先端部305aを駆動伝達部316から上下方向に近づけたり遠ざけたりし、上死点に位置した駆動伝達部316とレバー部305の先端部305aとの距離を調整することができる。更に、駆動伝達部316の上死点から下死点までの距離はほぼ一定となっている。したがって、レバー部305の先端部305aが駆動伝達部316から遠ざかると、駆動伝達部316とレバー部305とが当接するまでの駆動伝達部316の下降量が増え、駆動伝達部316が当接してからレバー部305が押される量が減少し、その分下糸の繰出量が減少する。一方、レバー部305の先端部305aが駆動伝達部316に近づくと、駆動伝達部316とレバー部305とが当接するまでの駆動伝達部316の下降量が減少し、駆動伝達部316が当接してからレバー部305が押される量が増加し、その分下糸の繰出量が増加する。
【0119】
一方、軸固定部材315を上糸切り駆動軸204に固定した止めネジ315a、315aを緩めるか外した場合、軸固定部材315とともに駆動伝達部316を上糸切り駆動軸204に沿って上下に摺動させることができる。これにより、駆動伝達部316の上死点の位置を上下に変更することができ、上糸切りエアシリンダ202がOff状態の際の、レバー部305の先端部305aと駆動伝達部316との上下方向の距離を変更することができる。これにより、同様に下糸の手繰量を変更することができる。
【0120】
次に、第二の実施の形態例の下糸手繰装置300を備えるミシンの動作を説明する。なお、ミシンの動作タイミングは、制御装置によって制御される。
【0121】
まず、鳩目穴かがり縫いが終了した段階では、上糸切りエアシリンダ202はOff状態となっており、ルーパ土台30は180度回転した状態となっており、上糸切りメス28の突部28cに押圧部205が上下方向に見て重なっている。ここで、送り台35が原点位置への移動を開始する前に、上糸切りエアシリンダ202がOnとなり、上糸切りメス28により上糸が切断される。その後、上糸切りエアシリンダ202がOffとなり、上糸切りメス28が切断待機位置に戻る。
【0122】
この上糸切りメス28の切断動作と同時に、上述のように上糸切りエアシリンダ202の駆動力により下糸手繰作動部303のレバー部305が押され、下糸手繰手段301の下糸手繰板304が回動する。これにより、下糸手繰板304の下端部側の下糸皿浮かし板104を糸調子46c側に移動して、上述のように糸調子46cの二枚の皿による下糸45の挟持を解除し、下糸45に張力がかかっていない状態とするとともに、下糸手繰板304の上端部側の下糸手繰部304bにより、上述のように下糸45を手繰る。この際には、下糸45に張力をかけるための糸調子46cによる下糸45の挟持が解除された状態で、下糸45が手繰られる。このため、被縫製物である布側ではなく、下糸45を供給する糸巻き側から下糸45が、下糸手繰部304bの移動量に対応する量だけ繰出されることになる。
【0123】
そして、下糸45が手繰られた後、上糸切りメス28が切断待機位置に戻る動作と同時に、駆動伝達部316が初期状態の上死点に戻る。これとともに、下糸手繰戻しバネ307の付勢力により下糸手繰手段301が初期状態に戻る。
次に、送り台35が縫製位置から原点位置に戻るために移動するが、この際に下糸45が必要十分な量だけ繰出されているので、送り台35とともに下糸45が繋がれた布が移動しても、布が引きつるようなことがない。また、この際に、鳩目穴かがり縫いにより180度回転した状態のルーパ土台30がほぼ45度だけ逆回転して戻ることにより、下糸の切断を行なうために、下糸45と図示しない芯糸とが図示しない針板の段部によって上下にわけられる。
【0124】
次に、送り台35の移動終了と同時に、再度、上糸切りエアシリンダ202をOnとして、上述のように下糸45を下糸手繰手段301により必要十分な量だけ繰出し、次いで、上糸切りエアシリンダ202をOffとして、下糸手繰手段301を上述のように、初期状態に戻す。この際、ルーパ土台30が180度の回転角度となっていないため、上糸切りメス28は上糸切断動作を行わない。したがって、上糸切りメス28により下糸を誤って切断してしまうことがない。
【0125】
次いで、下糸45と芯糸とを切断する下糸切り動作を行なう。この際に下糸45が引張られる状態となっても、下糸45が手繰られているので、下糸45が引張られることにより、布が引きつることがない。
【0126】
次に、布を送り台35に押えていた布押え36が上昇する。次に、45度だけ戻った状態のルーパ土台30を更にほぼ135度だけ逆旋回させることにより、ルーパ土台30の回転角度を0度とする。
次に、再々度上糸切りエアシリンダ202をOnとした後にOffすることにより、下糸45を繰出して、次回の縫製時に必要な下糸45の繰出し量を確保する。この際も、上糸切りメス28が上糸切断動作を行わない。そして、布開きを閉じてかがり縫いの一サイクルの動作を終了する。
【0127】
以上のように、第二の実施形態によれば、第一の実施形態と同様の効果を奏するとともに、一つの駆動手段(上糸切りエアシリンダ202)により上糸切断動作と下糸手繰動作が行われるため、部品点数が削減され、ミシンの製造コストの削減を図ることができる。
【0128】
なお、上記各実施形態例において、具体的な細部構造等についても、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能しても良い。
例えば、下糸手繰エアシリンダ107、上糸切りエアシリンダ202としたが、エアシリンダに変えて電磁ソレノイドを用いるものとしても良い。また、ステッピングモータ等のモータと、ギア、ベルト等の伝動手段とを用いて、駆動伝達部110,316を移動させるものとしても良い。
【0129】
また、駆動伝達部110,316はベッド部21側に設けるものとしたが、逆に第二の作動リンク105bの他端部や、レバー部305の先端部305aに設けるものとしても良い。即ち、駆動伝達部110,316と平面視してほぼ同一形状の駆動伝達部を略水平になるように第二の作動リンク105bの他端部や、レバー部305の先端部305aに設け、この駆動伝達部によってルーパ土台30の回転軌道の外をほぼ囲むようにする。そして、ルーパ土台30の回転範囲において、下糸手繰エアシリンダ107の駆動出力部(シリンダキャップ109)や、下糸手繰エアシリンダ107の駆動出力部(軸固定部材315)がその駆動方向に投影視して、その駆動出力部と駆動伝達部が常に重なっていれば良い。
【0130】
また、駆動伝達部110,316の形状を平面視して略C字型としたが、リング状の形状とし、ルーパ土台30の回転軌道の周囲に配置するようにしても良い。また、ルーパ土台30が回転する角度は0度から180度としたが、これにかぎらず、例えば、0度から270度等としても良い。この際には、駆動伝達部110,316の形状もルーパ土台30の回転範囲に対応した形状とする。
また、鳩目穴かがりに限らず、菊孔周囲にかがり縫いにしても良い。即ち、鳩目穴の丸孔部や菊孔等の丸い穴の周りにかがり縫いをするために、ルーパ土台30を回転させるようなミシンに適用することができる。
【0131】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、例えば、下糸手繰手段を作動させるための下糸手繰駆動手段を、ルーパ土台でなくミシンのフレームに設けても、この下糸手繰駆動手段が駆動伝達部をルーパ土台の回転軸方向に移動させれば、駆動伝達部が下糸手繰作動部を常に押せるため、下糸手繰手段が作動する。したがって、ルーパ土台の回転によりルーパ土台の角度が変化しても、下糸手繰駆動手段の駆動力を駆動伝達部及び下糸手繰作動部を介して下糸手繰手段に伝達することができ、一つの下糸手繰駆動手段により必要な全てのタイミングで下糸手繰手段を駆動させることができる。すなわち、ルーパ土台の角度が異なる二回以上のタイミングで下糸手繰手段を動作させるものとしても、下糸手繰手段を一つの下糸手繰駆動手段により駆動させることができる。
【0132】
したがって、ルーパ土台が回転するものとしても、従来のように、下糸手繰手段に、複数の駆動手段を接続する必要がないので、部品点数を減らして、ミシンの製造における部品の組み付け作業の省力化と、コストダウンを図ることができる。
【0133】
また、請求項2記載の発明によれば、上糸切りメスを駆動する上糸切り駆動手段と、下糸手繰手段を駆動するための下糸手繰駆動手段とが別体であるため、専用して使用可能な下糸手繰駆動手段により下糸手繰手段が駆動される。したがって、上糸切りメスの動作の有無によらず、下糸手繰手段が動作することができる。そして、上糸切りメスの作動と無関係に下糸手繰手段が動作するため、上糸切りメスに対する駆動力の低下や動作スピード低下をまねくことがなくなり、安定して上糸を切断することができる。
【0134】
また、専用して使用可能な下糸手繰駆動手段により下糸手繰手段が駆動されるため、下糸手繰手段により下糸を繰り出す際に、上糸切断装置を作動させる必要が無い。このため、本来上糸を切断するための上糸切断装置によって、下糸を切断したり、傷つけてしまうことが防止される。ゆえに、縫いの品質低下及び次サイクルの縫製トラブルを防止することができる。
【0135】
また、請求項3記載の発明によれば、ルーパ土台が所定の回転角度に位置した際に、上糸切りメスが作動して、上糸が切断されるるとともに、下糸手繰手段も作動し、下糸が手繰られる。上記所定の回転角度以外に位置した際には、上糸切り駆動手段が作動するが、上糸切りメスは作動しない。即ち、上糸切り駆動手段により下糸手繰手段が作動しても、無駄な上糸切り動作をしない。そのうえ、一つの上糸切り駆動手段により上糸切断動作と下糸手繰動作が行われるため、部品点数が削減され、ミシンの製造コストの削減を図ることができる。
【0136】
また、請求項4記載の発明によれば、調節手段によって、例えば、駆動伝達部の係合部と下糸手繰作動部の間隔を広くするにつれて、下糸手繰作動部の押される移動量が減少する。これにより、下糸の繰出量が減少する。一方、例えば、駆動伝達部の係合部と下糸手繰作動部の間隔を狭くするにつれて、下糸手繰作動部の押される移動量が増加する。これにより、下糸の繰出量が増加する。
【0137】
また、請求項5記載の発明によれば、駆動伝達部の外径が円弧状となる略三日月状または略リング状となっているため、ルーパ土台が回転しても、駆動伝達部が下糸手繰作動部に対して、回転軸方向に重なっている。したがって、ルーパ土台が回転しても、駆動伝達部がルーパ土台から突出した下糸手繰作動部を常に押せる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のミシンを示す図面であり、一部を破断して示す側面図である。
【図2】第一の実施の形態の下糸手繰装置を説明するためのルーパ土台を正面から示し、該ルーパ土台が備えられたミシンの一部を示す図面である。
【図3】第一の実施の形態の下糸手繰装置及び上糸切断装置を説明するためのベッド部を透視して示す側面図である。
【図4】第一の実施の形態の下糸手繰装置の駆動手段を主に示す正面図である。
【図5】第一の実施の形態の下糸手繰装置及び上糸切断装置を説明するためのベッド部を透視して示す平面図である。
【図6】第一の実施の形態の下糸手繰装置を説明するためのベッド部を透視して示す平面図である。
【図7】第二の実施の形態の下糸手繰装置を説明するためのルーパ土台を正面から示し、該ルーパ土台が備えられたミシンの一部を示す図面である。
【図8】第二の実施の形態の下糸手繰装置及び上糸切断装置を説明するためのベッド部を透視して示す側面図である。
【図9】従来のミシンによる鳩目穴かがり縫いを説明するための図面である。
【符号の説明】
20 ミシン
21 ベッド部
24 ミシンフレーム
25 針棒
26 ルーパ
28 上糸切りメス
28c 突部(メス作動部)
30 ルーパ土台
45 下糸
100 下糸手繰装置
101 下糸手繰手段
102 下糸手繰駆動機構
105 下糸手繰作動部
105a 第一の作動リンク
105b 第二の作動リンク(下糸手繰作動部)
105c 段ネジ(調節手段を構成する。)
105d 長孔(調節手段を構成する。)
105e 止めネジ(調節手段を構成する。)
107 下糸手繰エアシリンダ(下糸手繰駆動手段)
110 駆動伝達部
202 上糸切りエアシリンダ(上糸切り駆動手段)
203 押圧部(伝達部)
204 上糸切り駆動軸
300 下糸手繰装置
301 下糸手繰手段
303 下糸手繰作動部
304c 止めねじ(調節手段を構成する。)
304e 長孔(調節手段を構成する。)
305 レバー部(下糸手繰作動部)
306 回転軸(調節手段を構成する。)
316 駆動伝達部

Claims (5)

  1. ルーパ土台及び針棒をそれぞれ上記針棒の軸心周りにミシンフレームに対して回転させて丸穴周縁の少なくとも一部に沿ってかがり縫いを形成可能なミシンに備えられる下糸手繰装置であって、
    上記ルーパ土台に設けられ、張力をかけられた状態の下糸を手繰って弛ませる下糸手繰手段と、
    上記ルーパ土台の回転軌道の外側へ突出して上記下糸手繰手段に設けられ、上記ルーパ土台の回転軸方向に押されることにより上記下糸手繰手段を作動する下糸手繰作動部と、
    上記下糸手繰作動部に対して上記ルーパ土台の回転軸方向に対向して上記ルーパ土台の回転軌道外に設けられた係合部を有し、かつ、上記下糸手繰作動部に対して上記回転軸方向に接離移動するとともに、上記係合部が上記下糸手繰作動部に係合し上記下糸手繰作動部を上記回転軸方向に常に押すことを可能とする駆動伝達部と、を備えることを特徴とする下糸手繰装置。
  2. 請求項1記載の下糸手繰装置において、
    上記ルーパ土台の上部に設けられ、かつ、上糸を切断する上糸切りメスと、
    上記上糸切りメスを駆動する上糸切り駆動手段とを上記ミシンが有し、
    上記フレームに設けられ、かつ、上記上糸切り駆動手段と別体であり、上記駆動伝達部を上記回転軸方向に移動させる下糸手繰駆動手段を備え、
    上記上糸切りメスの作動と無関係に上記下糸手繰手段が作動することを特徴とする下糸手繰装置。
  3. 請求項1記載の下糸手繰装置において、
    上記ルーパ土台の上部に設けられ、かつ、上糸を切断する上糸切りメスと、
    上記上糸切りメスに設けられ、かつ、押されることにより上記上糸切りメスを駆動するメス作動部と、
    上記ルーパ土台が所定の回転角度に位置した場合のみに上記メス作動部を上記回転軸方向に押す伝達部と、
    上記ミシンフレームに設けられ、上記伝達部を上記回転軸方向に移動させる上糸切り駆動手段とを上記ミシンが有し、
    上記伝達部が上記駆動伝達部に設けられ、上記上糸切り駆動手段により上記駆動伝達部及び上記伝達部が連動して上記回転軸方向に移動することを特徴とする下糸手繰装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載の下糸手繰装置において、
    上記駆動伝達部の移動距離がほぼ一定とした状態とし、上記係合部と上記下糸手繰作動部の所定の間隔を調節する調節手段を備えることを特徴とする下糸手繰装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載の下糸手繰装置において、
    上記駆動伝達部または上記下糸手繰作動部が、上記回転軸を中心とする円弧状の外形となる概三日月状または略リング状であることを特徴とする下糸手繰装置。
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