JP4323833B2 - 二成分系現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット法等により潜像を現像する際に用いられる二成分系現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
二成分系現像剤は、キャリアがトナーの攪拌・搬送・帯電などの機能を分担し、現像剤としての機能がトナーと分離されているため、制御性がよいなどの特徴があり、現在広く用いられている。特に高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンタなどのフルカラー画像形成装置では好適に用いられている。
【0003】
二成分系現像剤に使用される磁性キャリアとしては、鉄粉キャリア、フェライトキャリア、または磁性体微粒子を結着樹脂中に分散した磁性体分散型樹脂キャリアが知られている。鉄粉キャリアにおいては、キャリア比抵抗が低いために、静電荷像の電荷がキャリアを通してリークしてしまい、静電荷像を乱すことから画像欠陥を生じる場合がある。一方、フェライトキャリアを用いた場合でも、トナー像に磁気ブラシのはきめを生じたり、比重が大きいことからキャリア表面に対する自重による負荷が大きいため、トナー成分の付着が起こりやすい。これが顕著になると、現像剤全体を頻繁に交換しなければならなくなり、ランニングコスト増につながるという問題点を有している。
【0004】
このような問題を解決するために磁性体微粒子を結着樹脂中に分散させた磁性体分散型樹脂キャリアの提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。磁性体分散型樹脂キャリアはフェライトキャリアに比べ、比較的高比抵抗で、かつ飽和磁化も小さくすることが出来、真比重も小さいためにキャリアの磁気ブラシが剛直とはならず、良好なトナー画像を形成し得る。さらに、磁性体分散型樹脂キャリアは、粒子に形状的な歪みが少なく、粒子強度が高い球形形状にすることが比較的に容易であるため、流動性に優れており、高速複写機や高速レーザービームプリンターに適用することが期待されている。
【0005】
しかしながら従来のトナーを用いた場合、磁性体分散型樹脂キャリアにおいても、高画質、高耐久を追求する上でさらに改良すべき点を有している。また、トナースペントに対しても、いまだ十分なものではないのが現状である。
【0006】
例えば、トナー粒子の表面には、帯電特性、流動性及び転写性向上を目的として無機微粒子を適宜添加することが好ましいが、このような無機微粒子を外添したトナーと組み合わせて磁性体分散型樹脂キャリアを用いる場合には、磁性体分散型樹脂キャリアの粒子表面に存在する凹凸の、凸部がトナー表面に存在する無機微粒子をかき取り、凹部にかき取った微粒子が付着してしまうという所謂外添剤付着現象が生じてしまうことがある。その結果、キャリアがトナーに与えるべき帯電性能が低下してしまうことに加えて、トナー自身の帯電特性、流動性、転写性が損なわれてしまい画像欠陥を引き起こしてしまうことになる。磁性体分散型キャリアの粒子表面の凹部に付着した外添剤は、トナーと同様の挙動をとり、現像剤担持体である現像スリーブに印加される交流バイアス電圧により現像領域に形成される交番電界によって、感光体上に現像され、その後さらに記録材上に転写され、定着器で定着されるが、一部は転写されずに感光体上に残留して、クリーニング部材に回収される。これにより、定着器、及びクリーニング器には必要以上の無機微粒子が供給されるので、定着器寿命や感光体の寿命を短くしてしまい、画像形成装置本体にまで大きな影響を与える場合がある。
【0007】
更に、磁性体分散型樹脂キャリアは、フェライトキャリアと比較して、抵抗が高い傾向にあり、上記問題点を解決するべく樹脂をコートした場合には、より一層抵抗が高まってしまうことになる。このようなキャリアを用いて低温低湿環境下にて画像形成を行った場合、エッジの効いた画になり、反面大面積の画像面では中央部の画像濃度が非常に薄くなるといった問題が生じやすい。
【0008】
そのため、十分な画像濃度を得るために必要なコントラストを大きくしなければならないが、そうすることによって、キャリア付着に対する許容幅が小さく、プリントする画像によってはキャリアが感光体側に移行することによって生じる画像欠陥が生じる問題があった。
【0009】
一方、トナーにおいても、高画質化のために様々な改良が行われており、そのうちの一つにトナーの小粒径化が挙げられる。トナーの平均粒子径を小さくすることは、画質特性のうち、特に粒状性や文字再現性をより良くするための有効な手段であるが、特定の画質項目において改善すべき課題を有している。
【0010】
第一に、キャリアが汚染されるスペントが起こり、帯電量が低下して、例えばカブリ、トナー飛散が顕著になる。この現象は、特に静電潜像の画素単位が細密化するほど目立ちやすい。
【0011】
第二に、画像面積比率の高い原稿を用いた場合においてトナーが大量に補給された際に均一に帯電されるまでに時間がかかるという問題が生じる。これは、トナーを小粒径化することによって流動性が低下するために起こる現象である。このような画像欠陥は、二成分現像剤を用いて多色重ね合わせ像を形成する場合に、特に顕著であり改善を要する。この問題は、従来、キャリア抵抗に関する検討が中心となっていたが、未だ十分なものが得られていない。
【0012】
また、高画質の達成のために、円形度分布において、0.945〜0.995(より好ましくは0.970〜0.990)の平均円形度を有し、かつ2μm以下のトナー粒子を0.5〜30個数%含有することを特徴とするトナーも提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら円形度だけを高くした場合においては、感光体上の残留物をブレードなどによってクリーニングする際に、すり抜けを起こしやすい問題が生じやすい。即ち、トナーの表面状態とりわけワックスの存在状態に触れられておらず、これでは現像装置や、定着器の構成が限定されたり、十分な定着温度領域が得られていないのが現状である。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−281806号公報
【特許文献2】
特開2002−91085号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高精彩性を満足した画像を安定的に形成できる二成分系現像剤を提供することを課題とする。より具体的には、優れた帯電性及び環境安定性を有し、装置の小型化に寄与できる二成分現像剤を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成を採用することにより、上記課題を解決することができる。
【0016】
即ち、本発明は、トナーとキャリアとを少なくとも含有する二成分系現像剤であって、
前記トナーは結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、前記トナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であり、且つ45体積%のメタノール水溶液における前記トナーの透過率が10〜70%であり、
前記キャリアは表面が樹脂でコートされており、且つ前記キャリアの真比重が3.0〜4.0であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の二成分系現像剤は、トナーとキャリアとを少なくとも含有し、該トナーは結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、トナーの円相当径が3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であり、且つ45体積%のメタノール水溶液におけるトナーの透過率が10〜70%であり、キャリアは表面が樹脂でコートされており、且つキャリアの真比重が3.0〜4.0であることを特徴とする。
【0018】
本発明の二成分系現像剤は少なくとも上記した3つの要件を満たす。第一に、トナーの円相当径が3μm以上の粒子において、平均円形度Aが0.915〜0.960であることである。この平均円形度Aは好ましくは0.918〜0.950であり、より好ましくは0.920〜0.945である。トナーの平均円形度Aを上記範囲とすることにより、トナーの流動性、接触帯電性能を最適なものとすることが出来る。
【0019】
上記平均円形度Aが0.915より小さすぎると転写性、特に転写効率に劣り、逆に0.960より大きすぎると形状が球形すぎるため、感光ドラムのクリーニングの際に転写残トナーがクリーニングブレードをすり抜けるなど、クリーニング不良の画像弊害が出る。
【0020】
しかしながら、トナー中にワックスを含有させたトナーや、カラー画像にも適した定着性の優れた比較的軟らかいトナーにおいては、トナーの形状を制御するのみではキャリアとの帯電維持と耐スペント性能を両立させるには不十分である。このようなワックスを含有するトナーや比較的軟らかいトナーにおいても上記性能を両立させるには、さらにトナー表面における離型剤の量を制御することが重要であることを本発明者等は見出した。さらに、45体積%のメタノール水溶液におけるトナーの透過率Bが、トナー表面近傍の離型剤の量を把握するための簡易且つ精度の高い方法であること、及びこの透過率Bを特定の値とすることにより上記ワックスを含有するトナーや比較的軟らかいトナーにおいてもキャリアの帯電維持と耐スペント性能とを両立できることを、本発明者等は見出した。
【0021】
即ち、本発明の二成分系現像剤は、45体積%のメタノール水溶液におけるトナーの透過率Bが10〜70%であることを特徴とする。この透過率Bは好ましくは15〜50%であり、より好ましくは15〜45である。
【0022】
この透過率Bは、トナーを一度混合溶媒中で強制分散させてトナー粒子の離型剤存在量を測定しやすくし、さらに一定時間後の透過率を測定することにより得られる値であり、トナー全体の離型剤の存在量を再現性良く、かつ正確に把握できるものである。このような透過率の測定方法によれば、疎水性である離型剤がトナー表面に多く存在すると、溶媒に分散しにくく凝集し浮かぶため、透過率が70%のような高い値になる。逆に離型剤がトナー表面に少なく存在すると、親水性である結着樹脂のポリエステルユニットが多く存在するため、均一分散し透過率が10%のような小さな値になる。
【0023】
トナーの透過率Bが70%より大きすぎるとトナー表面の離型剤が多く、帯電付与部材が離型剤により汚染され、例えば離型剤が汚染された帯電付与部材から現像スリーブ上に融着して高抵抗化することで、現像にかかる実際の現像バイアスの効力が下がり、ひいては画像濃度の低下に繋がる。
【0024】
一方、従来のワックスを内包化する方法、例えば特開昭59−61842号公報に述べられているような懸濁重合法を用いて直接トナー粒子を生成する方法や、単量体は溶解するが得られる重合体は溶解しないような水系有機溶剤を用い、直接重合しトナー粒子を生成する分散重合法、または水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合法等により製造されたトナーにおいては、表面に出ているワックスが少ないことから、上記透過率Bが10未満になる。このように、透過率Bが10%より少なすぎるとトナー表面の離型剤が少なく定着時に離型効果が現れにくいため、省エネルギーの低温定着を行うことができず、また定着構成においてもかなりの圧力を要する負荷を必要とし、定着装置の小型化の際にはオフセット現象を生じやすいなどの弊害が出る。従って、上記透過率Bは10〜70%の範囲にあることが重要である。
【0025】
このような物性を有するトナーは、装置の小型化につながる小容量の現像器に適用した場合に、特に有効である。装置の小型化に伴い、現像スリーブや、現像スリーブに現像剤を供給するための搬送スクリューなどを小さくする必要が出てくるが、小径スリーブを用いた場合においてはその曲率のため、感光体と対極する現像部位が狭くなることから、これら現像スリーブ及び搬送スクリューを小さくするのには限界があった。
【0026】
現像スリーブに関しては、現像スリーブの感光体に対する周速比を上げるなどの対策を行っても、直径が15mm以下のものについては画質、耐久性など多くの条件を満たすものがなかった。また、搬送スクリューは、補給されたトナーを現像剤と混合、帯電させて現像剤を現像スリーブに送る働きをもつが、この径についても、15mm以下である場合には搬送力が不足し、特に、大量にトナーが消費されたり、補給された際に帯電量を安定させることが困難であった。そのため、トナー飛散などを生じやすく、適用範囲が極めて限定的な条件に限られていた。
【0027】
そこで、本発明の二成分系現像剤を用いることにより、帯電の立ち上がりが優れ、流動性が適度に保たれることから、直径が15mm以下の現像スリーブを用いた場合においても、画質の十分に優れた性能が得られる。さらに、耐久使用時においても現像剤の流動性が低下を生じることなく、現像スリーブへの現像剤のコートが均一になる。また同時に、摩擦帯電速度や帯電安定性を損なうことなく、トナー飛散を生じにくい。特に、本発明で用いられるトナーはワックスが露出している部分が適度であり、キャリアの帯電付与能力を十分に生かしきることができるため、トナーの帯電の立ち上がりが早く、帯電量が安定する。同様の理由により、直径が15mm以下の搬送スクリューを用いた場合においても、トナー濃度の適用範囲が広く、現像器及び現像器を含む画像形成装置の小型化が容易となる。
【0028】
本発明の二成分系現像剤は、上述したようにワックスを含有していても、帯電の立ち上がり特性に優れ、流動性が適度に保たれている。従って、現像器において現像スリーブを15mmφ以下にした場合にも、従来生じていたトナー飛散やカブリなどの装置の小型化に伴う弊害を抑えられる。さらに定着性にも優れているので、定着器においても不具合が発生せず、画像欠陥を防止することができる。
【0029】
また、本発明の二成分系現像剤は転写効率にも優れ、転写残トナーを少なくすることができるので、クリーナレスもしくは小型化されたクリーナー方式を用いた場合でも、確実に転写残トナーの除去を行うことができる。
【0030】
本発明で用いられるこれらの現像器は、現像スリーブとスクリューと容器とを備え、本体に対して着脱自在のプロセスカートリッジとして構成することも可能であって、簡便な操作でトナーを補給することができる。
【0031】
本発明者らは、このような装置の小型化、小容量の現像器に適用した場合でも、十分な画質と耐久性能が満足できる二成分系現像剤の必要要件についてさらに検討を行ったところ、第三の要件として、キャリアは表面が樹脂でコートされており、且つキャリアの真比重が3.0〜4.0であることが必要であるとの結論に達した。本発明の二成分系現像剤を小型化、小容量のプロセスカートリッジに適用した場合に、このような特定の物性を有するキャリアを用いることが大きなメリットとなる。これは、スクリュー径、スリーブ径が小さい小容量の現像器を用いた場合、画像品質の維持が現像剤の帯電性能に左右される部分が多いからである。
【0032】
キャリアの真比重が4.0よりも大きすぎると、現像剤を現像剤層厚規制部材でスリーブ上に所定の層厚にする際に、現像剤にかかる負荷が大きくなる為に、現像剤の長期使用において、キャリア汚染、トナーの劣化が起こりやすく、それに伴う現像画像の画質劣化が生じる。また、攪拌トルクも大きくなる。
【0033】
また、キャリアの真比重が3.0よりも小さすぎると、現像剤の流動性が低下して、現像剤の循環が悪くなり、補給されたトナーとキャリアとの混合不良が発生しやすい。
【0034】
キャリアの真比重は乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所(株)社製)により求める。
【0035】
以下、本発明の二成分系現像剤についてさらに詳しく説明する。本発明の二成分系現像剤はトナーとキャリアとを含有する。
【0036】
本発明の二成分系現像剤に含有されるトナーは、上述したように、円相当径が3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であり、45体積%のメタノール水溶液における透過率が10〜70%であることを特徴とするものである。このような表面特性及び特定の形状を有するトナーを、上記した特定の真比重を有するキャリアとともに用いることにより、優れた帯電特性及び定着特性を有し、高画質の画像を形成することができる。
【0037】
また上述したような表面特性及び形状(円形度)を有する、本発明の二成分系現像剤に用いられるトナーにおいても、トナー粒径と球形度の高いトナーの含有率によっては、良い面とともに悪い面も助長されるため、これらの数値には好ましい範囲がある。即ち、トナーの重量平均径をXとし、円形度が0.960以上の粒子の個数基準累積値をYとした場合に下記式(1)及び(2)を満足することが好ましい。
【0038】
【数1】
−X+46 ≦ Y ≦ −X+84 (1)
4 ≦ X ≦ 11 (2)
【0039】
より好ましくはさらに下記式(1')を満足することである。
【0040】
【数2】
−X+46 ≦ Y ≦ −X+72 (1')
【0041】
上記式(1)(または式(1'))及び式(2)は、トナーの大きさと、トナー中の球形度の高いトナーの比率とを規定したものであり、現像性と転写性の両立を図る上で好ましい領域を示したものである。現像性の点では現像スリーブへのトナーによる汚染を低減させることが重要であり、それにはパッキング性という観点が効いてくる。できるだけパッキング性が低くなる方が汚染には強いため、トナー粒径が大きいか、又はトナーの球形度が低い方が良い。逆に転写性に関してはトナー粒径が小さいほうがドット再現性は良く、トナー球形度の高い方が転写効率やとびちりなどの点から好ましい。具体的には、体積平均径が4.0μm未満で、円形度が0.960以上の粒子の個数基準累積値が80%より大きいとトナーのパッキング性が高まり、しいては帯電付与部材への摩擦力が高まり、離型剤汚染を助長するものとなる。また逆に体積平均径が11.0μmより大きく、円形度0.960以上の粒子の個数基準累積値が35%未満だと、転写性が関わってくるので、とびちりなど画質に影響が出やすい。
【0042】
また、本発明で用いられるトナーは、重量平均粒径が4〜9μmであり、5.04μm以下の粒径を有するトナーが20〜70質量%含有され、4μm以下の粒径を有するトナーが3〜40質量%含有され、8μm以上の粒径を有するトナーが3〜60質量%含有され、10.08μm以上の粒径を有するトナーが15質量%以下含有されていることが好ましい。
【0043】
また、本発明で用いられるトナーは、示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークのピーク温度が65〜105℃の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、70〜90℃の範囲にあることである。
【0044】
さらに、トナーの粘弾性特性においては、温度80℃におけるトナーの貯蔵弾性率(G'80)は、1×106〜1×1010[dN/m2]の範囲であることが好ましい。より好ましくは1×106〜1×108[dN/m2]の範囲である。トナーの貯蔵弾性率を上記範囲とすることにより、トナーの高温環境下における保存性、耐熱性、耐ブロッキング性を良好にすることができる。
【0045】
また、上記粘弾性特性において、温度180℃における損失正接tanδ(損失弾性率(G")/貯蔵弾性率(G'))の値をtanδ180、温度120以上180℃未満の間におけるtanδの値の最小値(MIN[tanδ120-180])としたときにそれらの関係が、下記式(3)を満足することが耐高温オフセット性能を得る上で好ましい。
【0046】
【数3】
1 < (tanδ180)/(MIN[tanδ120-180]) (3)
【0047】
さらに、温度120〜180℃において、tanδの極小値を有することが好ましい。これにより、耐高温オフセット性能がより向上する。定着スピードが速い場合においては、紙などの転写材に移行する熱量、供給される熱量が大きく、温度の振れ幅が生じてしまうのが現状である。これにより、定着温度範囲が大きいことが要求されるためである。
【0048】
本発明で用いられるトナーは結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有する。
【0049】
本発明で用いられるトナーに含有される結着樹脂は従来よりトナーに用いられる一般的なものが用いられ特に限定されないが、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂又はポリエステル樹脂又はビニル系重合体とこれらの樹脂との混合物のいずれかであることがより好ましい。
【0050】
結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、ピーク分子量(Mp)が4000〜10000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が300以上であることが好ましい。上記Mw/Mnはより好ましくは500以上である。該結着樹脂のピーク分子量(Mp)が4000未満の場合、結果的に非オフセット温度領域が狭くなるとともに、感光体への融着及びフィルミング問題が発生する。一方、ピーク分子量(Mp)が10000を越える場合、画像のグロスが低くなる。また、該結着樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が300未満の場合には、高温オフセットが発生し易くなるという問題が生じる。
【0051】
次に、結着樹脂の材料について説明する。結着樹脂にポリエステル樹脂を用いる場合は、多価のアルコールとカルボン酸、カルボン酸無水物、又はカルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0052】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0053】
カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
【0054】
なお、上記の中でも、特に、下記一般式(1)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が特に好ましい。この組成としたポリエステル樹脂は、良好な帯電特性を有する。
【0055】
【化1】
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2〜10である)
【0056】
次に、本発明で用いられる結着樹脂において、ハイブリッド樹脂とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルなどのカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。
【0057】
なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル基を有するモノマー成分を構成成分とするものであり、多価カルボン酸成分とビニル基の両方を有するモノマー、又は多価アルコール成分とビニル基の両方を有するモノマーを構成成分とするユニットについては「ポリエステルユニット」成分として定義する。
【0058】
ハイブリッド樹脂のビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどの不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0059】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルなどの不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0060】
ビニル系共重合体を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどの不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0061】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルなどの不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0062】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどのヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0063】
本発明でいう結着樹脂のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0064】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0065】
次に、本発明で用いられるトナーに含有されるワックスについて説明する。本発明に用いることが可能なワックスとしては、例えば次のものが挙げられる。ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
【0066】
さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N'ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。
【0067】
また、トナーの定着時にワックスをより有効に機能させるために、上記ワックスの融点は、65〜105℃にあることが好ましく、65〜90℃にあることがより好ましい。ワックスは結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部使用するのが良い。ワックスは通常、樹脂を溶剤に溶解し樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有させる。
【0068】
次に、本発明で用いられるトナーに含有される着色剤について説明する。本発明に用いられる着色剤としては、公知の顔料及び/又は染料を用いることができる。例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック等の黒色着色剤が挙げられる。また、例えば染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等が挙げられる。また、顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
【0069】
また、マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209,238,C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。さらに、マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121,C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28などの塩基性染料が挙げられる。
【0070】
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0071】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,93,97,155,180、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
【0072】
着色剤の使用量は、中間色の再現性と着色力とのバランスから、結着樹脂100質量部に対して、1〜15質量部、好ましくは3〜12質量部含有していることが良い。
【0073】
また、本発明で用いられるトナーには、さらに有機金属化合物を含有させてもよい。有機金属化合物を含有させると、帯電レベルを調整でき、帯電の立ち上がりを良くし、トナーの熱溶融特性を改良することが出来るなどの点で、より好ましい。使用する有機金属化合物としては、芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であることが好ましく、その金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。2価の金属としてMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+が挙げられる。これらのうち、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+が挙げられる。これら3価以上の金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。
【0074】
本発明においては、有機金属化合物として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましい。該有機金属化合物は、トナーの質量を基準として0.1〜5質量%含有させると好ましい。該含有量とすると、トナーの帯電量の初期変動が少なく、現像時に必要な絶対帯電量が得られやすくなる。
【0075】
トナーには、流動性向上剤が外添されていてもよい。ここで、流動性向上剤とは、トナー粒子に外添することにより、流動性が増加し得る機能を有するものであり、画質向上の観点から添加される。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末などのフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末などのシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどの処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末が用いられる。このような流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤を0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0076】
本発明で用いられるトナーは、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子と、必要に応じてトナー粒子に外部添加(外添)される流動性向上剤等の外添剤とから構成される。本発明におけるトナー粒子は、以下で述べる方法により得ることができる。つまり、結着樹脂、着色剤、ワックス、及び必要に応じて有機金属化合物などの他の任意成分をヘンシェルミキサー、ボールミルなどの混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉し、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することにより、所定の平均粒径のトナー粒子を得ることができる。
【0077】
トナー粒子の円形度を調整する手段としては、特に限定されないが、中でも、機械的衝撃法によりトナー粒子を得た場合には、トナー粒子表面の離型剤量の調整が簡便であり、より好ましい。トナー粒子表面の離型剤量の調整(すなわち透過率Bの調整)は原材料の物性、特に樹脂の粘弾性を制御したり、製造条件、特に溶融混練条件や重合条件を制御することによって行うことができるが所望の物性が得られれば特に限定されない。
【0078】
しかし、従来用いられていた多くの製造手段においては、これらの物性を同時に満足することは困難である。例えば、エアージェット式を用いた場合はトナーの透過率Bを10〜70%と所望の値とすることができるものの、平均円形度Aが所望の値には至らず0.942未満と不十分なものになってしまう。そこで球形化する手段として奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステムなどを行うこともできるが、粉砕時に生じるかなり小さな微粉を取り除けないため、必要以上にシステムの回転数を上げたり、滞留時間を多くすることになる。結果としてトナーに熱量を多く与えすぎてしまい、透過率Bが70を超えるものとなってしまう。また粉砕と球形化を同時に行うものとして、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等も、上記と同様粉砕時に生じるかなり小さな微粉を取り除けないため熱量を多く与えすぎてしまい、透過率Bが70を超える。
【0079】
ここで従来のトナーの物性において、平均円形度Aが0.915未満の場合は透過率Bが10〜70の範囲にあるものも存在するが、円形度が小さく転写性などに関して不十分であり、逆に平均円形度Aが0.915〜0.960となるようにトナーに球形化処理をすると、離型剤が表面に出やすくなり、透過率Bが70%を超えてしまい現像特性などに弊害を生じていた。しかしながら、本発明はこれらの両立を可能とするものである。
【0080】
そこで、本発明における特定のトナー物性を達成する上で有効なものとして機械的衝撃法を用いることが好ましい。具体的には、図5及び図6に記載の装置を用いることが挙げられる。
【0081】
図5は本発明におけるトナーの製造に好ましく用いられる表面改質装置の構成の一例を示す模式的断面図であり、図6は図5の分散ローターの構成を示す模式的平面図である。これは、発生する微粉を系外に排出しながら、機械的衝撃力を与えることにより、所望の形状、性能を得るものである。
【0082】
通常、機械的に球形化処理する場合には、粉砕時に生じるかなり小さな微粉が再度凝集することで形状を凹凸にするため、発生する微粉を系外に排出しながら行わなければならず、所望の球形度にするには必要以上に機械的衝撃力が必要となる。その結果、余分な熱量を与えトナー表面の離型剤量が多くなってしまう弊害が生じる。またごく小さな微粉はキャリアへのスペントを悪化させる大きな原因となる。これに対し、図5および図6の装置においては、機械的衝撃力を加えている同一気流を止めることなく分級するため、再凝集させることなく効率良く系外に排出することができる。
【0083】
さらに詳しく説明すると、図5に示す表面改質装置は、ケーシング、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、ケーシング内において中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤状の回転体である表面改質手段としての分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置された、表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、表面改質時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための粉体排出口37、分級ローター31と分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級ローター31へ導入される前の第一の空間41と、分級ローター31により微粉を分級除去された粒子を表面処理手段へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39、から構成されている。分散ローター36とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター31及びその周辺部分が分級ゾーンである。
【0084】
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁38を閉じた状態で原料供給口33から微粉砕品を投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ローター31で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流にのり表面改質ゾーンへ導かれる。
【0085】
表面改質ゾーンに導かれた原料は分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれる。この時発生した微粉は、分級ローター31により再度機外へ排出され、粗粉は循環流に乗って再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開き、排出口37より表面改質粒子を回収する。
【0086】
本発明者らが検討した結果、上記表面改質装置を用いた表面改質処理の工程において、原料供給口33からの微粉砕品の投入から排出弁開放までの時間(サイクルタイム)と分散ローターの回転数が、トナーの球形度とトナー粒子表面の離型剤量(即ち、トナーの透過率)をコントロールする上で重要なことが分かった。 球形度を上げるには、サイクルタイムを長くするか、分散ローターの周速を上げるのが効果的である。またトナー粒子表面の離型剤量を低く抑えようとするなら、逆にサイクルタイムを短くするか、周速を下げることが有効である。その中でも特に分散ローターの周速がある一定以上にならないとトナーを効率的に球形化できないため、サイクルタイムを長くして球形化しなければならず、必要以上に表面離型剤量を多くしてしまうことがある。トナー粒子表面の離型剤量を所定以下に抑えつつトナーの円形度を向上させて、トナーの円形度及び透過率を上記範囲とするためには、分散ローラーの周速は1.2×105mm/sec以上であり、サイクルタイムは5〜60秒が有効である。
【0087】
また、上記の装置を用いて、処理時の温度を100℃以下の範囲に抑えて制御する、より好ましくは80℃以下に制御することによって、トナー表面に出る離型剤などの疎水性成分の量を抑えることができ、本発明の要件を満たすトナーを得ることが簡便であり、より好ましい。
【0088】
また、トナー粒子表面に流動性向上剤を有するトナーを得る場合には、上記の方法により得られたトナー粒子と流動性向上剤とを、さらにヘンシェルミキサーなどの混合機で混合させればよい。
【0089】
また、本発明の二成分系現像剤に含まれるトナーはチャージアップしにくいことから、上記本発明で用いられる、抵抗が高く、比較的比重の低いキャリアを用いた場合においても、キャリア付着に対する許容幅が大きい。
【0090】
以下、本発明の二成分系現像剤に含有されるキャリアについて説明する。前述したように、本発明で用いられるキャリアは表面が樹脂でコートされており、且つキャリアの真比重が3.0〜4.0であることを特徴とするものである。
【0091】
また、本発明で用いられるキャリアは、体積平均粒径が25〜65μmであり、粒径が22μmより小さいキャリア粒子の存在量がキャリア全体に対して30体積%以下であり、粒径が16μmより小さいキャリア粒子の存在量が2体積%以下であり、粒径が62μm以上のキャリア粒子の存在量が0.2〜55体積%であり、粒径が88μm以上のキャリア粒子の存在量が28体積%未満であることが好ましい。
【0092】
キャリアの体積平均粒径が25μmよりも小さい場合、トナーとの混合が難しくなる。また、粒径が62μm以上のキャリア粒子の存在量が55体積%を超えるか、粒径が88μm以上のキャリア粒子の存在量が28体積%以上の場合、キャリアの比表面積が小さいことから、トナー補給時の帯電能力が劣り、カブリやトナー飛散の原因となることがある。
【0093】
キャリアの粒径を制御する方法は特に限定されないが、例えば、適当な剪断力・圧密度がかかるように撹拌装置の撹拌翼周速度を調整する手段を用いることができる。
【0094】
また、好ましくは、該キャリアの240KA/mの印加磁場に対する飽和磁化が30〜90[Am2/kg]であり、且つ残留磁化が2〜20[Am2/kg]であり、保磁力が0.4〜4.8[kA/m]であることが好ましい。より好ましくは、飽和磁化が58〜78[Am2/kg]であり、残留磁化が2〜18[Am2/kg]であり、保磁力が0.5〜3.8[kA/m]である。
【0095】
飽和磁化が90Am2/kgを超える場合は、磁気ブラシ上の穂立ちが固くなり、攪拌時、現像剤規制ブレードなどへの衝撃が大きくなり易い傾向が見られる。また飽和磁化が30Am2/kgに満たない場合は、キャリア飛散が生じやすくなる。また、残留磁化や保磁力が上記の値を外れると、現像器内での現像剤の搬送性が不安定となりやすく、耐久性が劣る傾向が見られる。具体的には残留磁化が20[Am2/kg]を超えるか、保磁力が4.8[kA/m]を超える場合は、現像剤の流動性が悪化しやすく、残留磁化が2[Am2/kg]未満であり、保磁力が0.4[kA/m]未満であると、流動性が高過ぎて十分に帯電しないトナーが生じる可能性がある。
【0096】
さらに、本発明で用いられるキャリアは、電界強度3000V/cmにおいて、比抵抗が1×108〜1013Ω・cmの範囲にあることが画像濃度と耐リーク性能を満足する上で好ましい。なお、この比抵抗は、現像剤中のトナーをブローオフして得られたキャリアを500μmの厚さにして1000Vの電界下で測定した抵抗率(Ω・cm)である。
【0097】
本発明で用いられるキャリアは、キャリアコアの表面を樹脂でコートしてなるものである。キャリアコアとしてはバインダー樹脂と金属酸化物とを有するものを好ましく用いることができる。このようなキャリアコアはより具体的には、バインダー樹脂に下記の金属酸化物粒子を分散してなるものを用いることができる。この場合、1種類の金属酸化物を樹脂に分散して用いることもできるが、特に好ましくは少なくとも2種以上の金属酸化物を混合した状態で用いることができる。
【0098】
キャリアコア中に分散される金属酸化物粒子の材料としては、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Ba、Pb等の金属単独のあるいは複数用いた非磁性の金属酸化物又は磁性を示す金属酸化物を使用できる。例えば非磁性の金属酸化物としてAl2O3、SiO2、CaO、TiO2、V2O5、CrO2、MnO2、Fe2O3、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y2O3、ZrO2系等を使用することができる。
【0099】
また、磁性の金属酸化物粒子の材料としては、例えば、マグネタイトとヘマタイト、マグネタイトとSiO2、マグネタイトとAl2O3、マグネタイトとTiO2、マグネタイトとCa−Mn系フェライト、マグネタイトとCa−Mg系フェライトの組み合わせ等を好ましく用いることができる。中でも、マグネタイトとヘマタイトの組み合わせがキャリア強度の面から好ましく用いることができる。
【0100】
上記の金属酸化物粒子を樹脂に分散してキャリアコアとする場合、磁性を示す金属酸化物粒子の個数平均粒径はキャリア粒径によっても変わるが、0.02〜2μmまでのものが好ましく用いることができる。
【0101】
また、樹脂に分散して用いる金属酸化物粒子の比抵抗は、磁性の金属酸化物粒子(これを「磁性金属酸化物粒子」という)が1×103Ω・cm以上の範囲のものを使用でき、特に2種以上の金属酸化物を混合して用いる場合には、磁性金属酸化物粒子が1×103Ω・cm以上の範囲のものであり、他方の非磁性の金属酸化物粒子は磁性粒子よりも高い比抵抗を有するものを用いることが必要である。好ましくは本発明に用いる他方の非磁性の金属酸化物粒子(これを「非磁性金属酸化物粒子」という)の比抵抗は、1×108Ω・cm以上のものが好ましく用いられる。磁性金属酸化物粒子の比抵抗が1×103Ω・cm未満であると、分散する金属酸化物の含有量を減量しても所望のキャリア比抵抗が得られない。また、2種以上の金属酸化物粒子を分散する場合には粒径の大きな非磁性金属酸化物粒子の比抵抗が1×108Ω・cm未満であると、キャリアコアの比抵抗を十分に高めることができず、本発明の効果が得られにくくなる。
【0102】
本発明で用いるキャリアコア、特に樹脂に金属酸化物を分散させてなるキャリアコア(以下、「金属酸化物分散樹脂コア」という)における好ましい金属酸化物の総含有量は、50〜95質量%である。金属酸化物の量が50質量%未満であると、帯電性が不安定になり、特に低温低湿環境下においてキャリアが帯電し、その残留電荷が残存しやすくなるために微粉トナーや外添剤等がキャリア表面に付着しやすくなる。また、95質量%を超えるとキャリア強度が低下して、耐久によるキャリアの割れなどの問題を生じやすくなる。
【0103】
さらに本発明の好ましい形態としては、2種以上の金属酸化物粒子を分散した金属酸化物分散樹脂コアにおいて、含有する金属酸化物粒子全体に占める磁性金属酸化物粒子の含有量が30質量%〜95質量%である。30質量%未満であるとコアの高抵抗化は良好になる半面、キャリアとしての磁気力が小さくなり、キャリア付着を招く場合がある。また、95質量%を超えると画像のベタ部分が均一になりにくい。
【0104】
また、本発明で使用するキャリアコアに含有される磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子については表面を親油化処理していることが好ましく、かつ、該キャリアコア粒子中の金属酸化物総量が50〜95質量%であり、該磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径raに対する非磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径rbの比rb/raが1.0倍を超えることが好ましい。このrb/raは5.0倍以下であることがより好ましい。rb/raが1.0倍以下であると比抵抗の低い磁性金属酸化物粒子が表面に出やすくなり、キャリアコアの抵抗を十分に上げることができず、キャリア付着を防止する効果が得られにくくなる。また、5.0倍を超えると樹脂中への金属酸化物粒子の取り込みが上手くいかなくなる場合もあり、キャリアの強度が低下し、キャリア破壊を引き起こしやすくなる。
【0105】
なお、磁性及び非磁性の酸化物粒子の個数平均粒径を制御する方法としては、例えば、特開平10−072218号公報及び特開平8−81638号公報等に開示されている。
【0106】
また、親油化処理された金属酸化物粒子はバインダー樹脂中に分散させコア粒子を形成する場合、均一でかつ高密度でバインダー樹脂中に取り込まれることが可能となる。特に、重合法でコアを形成する場合は球形で表面が平滑な粒子を得るために、また、粒度分布をシャープにするために重要である。
【0107】
親油化処理はシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤などのカップリング剤で金属酸化物を処理するか、界面活性剤を含む水性溶媒中に金属酸化物を分散させることにより表面を親油化する等の方法がある。界面活性剤としては、市販の界面活性剤をそのまま使用することができる。
【0108】
本発明で用いるキャリアコアに用いられるバインダー樹脂としては、ビニル系モノマーを重合して得られる全ての樹脂が挙げられる。ここで言うビニル系モノマーとしては例えば、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン及び不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ジオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;マレン酸、マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体;アクロレイン類などが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上使用して重合させたものが用いられる。
【0109】
また、ビニル系モノマーから重合して得られる樹脂以外にポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂などの非ビニル縮合系樹脂あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物を用いることができる。
【0110】
本発明で用いる、バインダー樹脂と金属酸化物とを有するキャリアコア(より好ましくは金属酸化物分散樹脂コア)を製造する方法としては、ビニル系、非ビニル系の熱可塑性樹脂、金属酸化物、その他硬化剤等の添加剤を混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の混練機を用いて溶融、混練して、これを冷却後、粉砕分級を行ってキャリアコアを得ることができる。この際、得られた金属酸化物含有樹脂粒子を熱あるいは機械的に球形化してキャリアコアとして用いることが好ましい。
【0111】
より好ましく本発明で用いる金属酸化物分散樹脂コアを製造する方法としては、直接モノマーと金属酸化物を攪拌装置等を用いて混合し、その後重合してキャリアコアを得る方法がある。このとき、重合に用いられるモノマーとしては、前述したビニル系モノマーの他にエポキシ樹脂の出発原料となるビスフェノール類とエピクロルヒドリン、フェノール樹脂のフェノール類とアルデヒド類、尿素樹脂の尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類等が用いられる。例えば、硬化系フェノール樹脂を用いたキャリアコアの製造方法としては、水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で前述した金属酸化物、好ましくは親油化処理した金属酸化物を入れ、重合しコアを得る。このようなキャリアコアの製造方法では、さらに水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で得られたキャリアコアを入れ、さらにフェノール系樹脂を表面にコートさせることで、キャリアコアの比抵抗をさらに向上させることができる。また、この際、前述した金属酸化物粒子をコートさせる樹脂に含有させることで、キャリアコアの表面をさらに頑強にすることができる。また、上述したように、モノマーと金属酸化物を混合する際の攪拌装置の攪拌翼周速度を調整することによって、キャリアの粒径を所望の範囲に制御することができる。
【0112】
特に好ましく本発明のキャリアコアを製造する方法としては、キャリアコアの強度をアップさせたり、コート樹脂をより良好にコートさせるためにバインダーを架橋させて用いるのが好ましい。例えば、溶融混練時に架橋成分を添加し混練時に架橋させる。あるいは直接重合時に硬化型樹脂を選択し直接重合させてコアを得る、あるいは架橋成分を入れたモノマーを使用する等の方法を挙げることができる。
【0113】
本発明に用いるキャリアは、目的とする帯電量に合わせて適当な樹脂をキャリアコアにコートすることが必要である。本発明で使用される樹脂のコート量は、キャリアコアに対して0.1質量%〜10質量%の範囲であり、さらには0.3質量%〜5質量%の範囲であることが最も好適である。
【0114】
コート量が0.1質量%未満ではキャリアコア材を十分にコートすることが困難となり、とくに耐久使用後にトナーに対して十分な帯電付与制御ができない。また、コート量が10質量%を超えると、製造コストが上昇する。
【0115】
本発明に使用できるコート用の樹脂(コート樹脂)としては、公知の樹脂を好適に使用することができる。具体的には例えば熱可塑性の樹脂としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂を挙げることができる。
【0116】
また硬化性樹脂としては、具体的には例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、具体的には例えば無水マレイン酸−テレフタル酸−多価アルコールの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。上述した樹脂は、単独でも使用できるがそれぞれを混合して使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤などを混合し硬化させて使用することもできる。
【0117】
本発明の樹脂でコートされたキャリアを製造する方法としては、キャリアコアを浮遊流動させながら樹脂溶液をスプレーしキャリアコア表面にコート膜を形成させる方法、及びスプレードライ法が挙げられる。またその他のコート方法として、剪断応力を加えながら溶媒を徐々に揮発させるといった他のコート方法によっても本発明で用いる、樹脂でコートされたキャリアを製造することができる。かかる方法としては具体的にはコート樹脂のガラス転移点以上で溶媒揮発後に固着したキャリアを解砕する方法、及び、剪断応力を加えつつ被膜を硬化、解砕する方法によっても製造することができる。
【0118】
このような実質的に高抵抗なキャリアを用いた場合、潜像担持体にキャリアが付着する、いわゆるキャリア付着現象が起こりにくいという利点もある。特に交番電界印加における接触現像方式において、現像剤担持体から現像磁性キャリアへ電荷注入の起こりにくいためであると考えられ、本発明のトナーを用いれば、キャリア付着現象は飛躍的に改善される。
【0119】
本発明の二成分系現像剤は、上記トナーとキャリアとを所定の混合比で混合することにより得ることができる。トナーとキャリアの混合比及び混合方法は従来公知のものを用いることができ、特に限定されない。このような本発明の二成分系現像剤は、上記した一定範囲の形状と表面特性を持ったトナーおよび特定範囲の真比重を持ったキャリアを用いているため、従来の問題点を解決し、耐キャリア汚染性、現像性、定着性を満足することが可能である。
【0120】
また、本発明においては、上記現像剤の流動度が23〜34(秒/50g)であることが好ましい。現像剤の流動度が23〜34(秒/50g)であることにより、帯電の立ち上がりが良好であり、搬送性に優れていることからトナー飛散やカブリなどを生じにくくなる。
【0121】
以下、本発明の二成分系現像剤を好適に用いることができる現像器及び該現像器を含むプロセスカートリッジについて説明する。本発明の二成分系現像剤は、前述したように、二成分系現像剤を収容する現像容器と、二成分系現像剤を担持して潜像担持体に搬送する1又は2以上の現像スリーブと、現像容器に収容された二成分系現像剤を現像スリーブに搬送するための、1又は2以上の搬送スクリューを有する現像剤搬送部材と、現像スリーブ上の二成分系現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、を有する現像器又は該現像器を有するプロセスカートリッジにおいて、現像スリーブの直径及び/又は搬送スクリューの直径が15mm以下の現像器又はプロセスカートリッジにおいても好適に用いることができる。このような小径の現像スリーブ及び/又は搬送スクリューを用いて画像形成を行ってもトナーの帯電性を良好なものとすることができ、従来技術では、画像不良等の問題によって、使いこなすのが困難であった小径の現像スリーブ及び/又は搬送スクリューを用いることができるため、装置の小型化にも適している。
【0122】
図1は、本発明の二成分系現像剤を好適に用いることができる現像器又は該現像器を含むプロセスカートリッジの構成の一例を示す模式的断面図である。図1に示すように、本発明で用いられる現像器は、二成分系現像剤を収容する現像容器27と、二成分系現像剤を担持する現像スリーブ21と、現像容器27中の二成分系現像剤を現像スリーブ21に搬送する搬送スクリュー24及び25と、現像スリーブ21上の二成分系現像剤の量を規制する現像剤規制部材18とを有する。現像容器27の内部は、隔壁29によって現像室(第1室)R1と撹拌室(第2室)R2とに区画され、撹拌室R2の上方には隔壁29を隔ててトナー貯蔵室R3が形成され、該トナー貯蔵室R3内には補給トナー28が収容されている。なお、隔壁29には補給口26が設けられ、消費されたトナーに見合った量の補給トナー28が補給口26を経て撹拌室R2内に補給される。現像室R1及び撹拌室R2内には現像剤19が収容されている。
【0123】
現像容器27の静電潜像担持体としての感光ドラム3に近接する部位には開口部が設けられ、該開口部から現像剤担持体としての現像スリーブ(非磁性円筒)21が配置されている。この現像スリーブ21は磁界発生手段としての磁石23が内包されている。磁石23の現像磁極N1は、現像スリーブ21と感光ドラム3との間の現像部(感光ドラム23と現像スリーブ21との最近接部)の近傍に磁界を形成し、該磁界によって現像スリーブ21上に二成分系現像剤からなる磁気ブラシが形成される。この位置に於いて、現像スリーブの回転と共に、矢印の方向に運ばれてきた現像剤は感光ドラム3と接触し、感光ドラム3上の静電潜像が現像される。
【0124】
この時、現像スリーブ21と感光ドラム3の近接位置(現像部)に於いては、現像スリーブ21と感光ドラム3は互いに逆方向(カウンター方向)に移動する。現像スリーブの直径は装置の小型化を考慮して15mm以下のものを好適に用いることができる。
【0125】
現像室R1内には、搬送スクリュー24が収容されている。スクリュー径は、羽根を含めた径のことであり、図中のスクリューの回転の軌跡により形成される円の直径に相当する。搬送スクリュー24は図中矢印が示す方向に回転され、該搬送スクリュー24の回転駆動によって現像室R1内の現像剤19は現像スリーブ21の長手方向に沿って全域で現像スリーブ21に向けて搬送される。
【0126】
本発明におけるスクリュー径とは、これらの複数の搬送スクリュー全てに当てはまる。この直径を小さくすることが、カートリッジの小型化のために必須である。本発明の二成分系現像剤を用いて画像形成を行う場合には、上述の理由によりこの搬送スクリューの直径が15mm以下のものも好適に用いることができる。
【0127】
貯蔵室R2内には搬送スクリュー25が収容されている。搬送スクリュー25はその回転によって、トナーを現像スリーブ21の長手方向に沿った全域で撹拌しつつ搬送し、その末端で、十分に撹拌された現像剤を現像室R1へ受け渡す。なお、補給口26からは適当量のトナーが撹拌室R2内に自然落下する。
【0128】
現像スリーブ21と感光ドラム3の基体との間にはバイアス電圧を印加してもよい。
【0129】
本発明においては、装置の小型化に寄与するために、現像器(又は該現像器を含むプロセスカートリッジ)に用いられている搬送スクリューの直径が15mm以下であるものが好ましい。さらに、該プロセスカートリッジに用いられている現像スリーブの直径が15mm以下であるものが好ましい。
【0130】
従来の現像剤を用いた場合、補給されたトナーを速やかに帯電させるために、また、十分な耐久性を確保するために、攪拌スクリューは16mm以上の大きな直径のものを用いる必要があった。さらに、十分な画像濃度を得るために、現像スリーブの直径が15mm以上である必要があった。そのために、プロセスカートリッジの小型化が困難であった。
【0131】
本発明の現像剤を用いることにより、適度な現像剤の流動性を得ることができ、現像剤の比重が小さく、且つトナーの表面状態が適切に制御されていることから、帯電立ち上がり性能および帯電維持性能が優れている。従って、本発明の二成分系現像剤を用いた場合、15mm以下の小さな直径の攪拌スクリューを用いた場合においても、帯電不良を生じることなく、十分な画像濃度、画質とともに耐久性を有する。
【0132】
さらに、本発明の現像剤は、現像スリーブ上において、穂立ちが軟らかく、表面ワックス量が適度に保たれているトナーを保持する能力が優れている。従って、本発明の二成分系現像剤を用いた場合、15mm以下の小さな直径の現像スリーブを用いた場合においても、十分な画像濃度、画質とともに耐久性を有する。
【0133】
さらに、定着オイル等の離型性成分の供給をしない定着装置を備えた画像形成装置においても、優れた定着性能を得ることが出来る。
【0134】
以下、本発明で用いられる各種物性の測定方法について説明する。
【0135】
〈トナーの平均円形度及び円形度が0.960以上の粒子の個数基準累積値の測定〉
トナーの円相当径、円形度及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(シスメックス社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出する。
【0136】
【数4】
円相当径 = (粒子投影面積/π)1/2×2
【0137】
【数5】
【0138】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0139】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。本発明において、トナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径D1(μm)と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
【0140】
【数6】
【0141】
【数7】
【0142】
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0143】
【数8】
【0144】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス製)を用い、2分間分散処理を行って測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0145】
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、3μm以下のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度及び円形度頻度分布を求める。
【0146】
〈45体積%メタノール水溶液におけるトナーの透過率Bの測定〉
(i)トナー分散液の調整
メタノール:水の体積混合比が45:55の水溶液を作製する。この水溶液10mlを30mlのサンプルビン(日電理化硝子:SV−30)に入れ、トナー20mgを液面上に浸しビンのフタをする。その後、ヤヨイ式振とう器(モデル:YS−LD)により150rpmで5秒間振とうする。この時、振とうする角度は、振とう器の真上(垂直)を0度とすると、前方に15度、後方に20度、振とうする支柱が動くようにする。サンプルビンは支柱の先に取り付けた固定用ホルダー(サンプルビンの蓋が支柱中心の延長上に固定されたもの)に固定する。サンプルビンを取り出した後、30秒静置後の分散液を測定用分散液とする。
【0147】
(ii)透過率測定
(i)で得た分散液を1cm角の石英セルに入れ、分光光度計MPS2000(島津製作所社製)を用いて10分後の分散液の波長600nmにおける透過率(%)を測定する。
【0148】
【数9】
透過率(%) = I/I0×100
(上記式において、Iは透過光束、I0は入射光束を表す)
【0149】
〈キャリアの飽和磁化、残留磁化、保磁力の測定〉
本発明におけるキャリアの飽和磁化、残留磁化、保磁力の測定には、BHU−60型磁化測定装置(理研測定製)を用いる。測定試料を約1.0g秤量し内径7mmφ、高さ10mmのセルに詰め、上記装置にセットする。測定は印加磁場を徐々に加え、240(KA/m)まで変化させる。次いで印加磁場を減少させ、最終的に記録紙上に試料のヒステリシスカーブを得る。これより、飽和磁化、残留磁化、保磁力を求める。
【0150】
〈キャリアの粒度測定〉
キャリアの粒度分布の測定装置としては、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7〜125μmのレンジ設定で行って、キャリアの体積平均粒径及び粒度分布を求める。
【0151】
〈摩擦帯電量測定〉
図2に示すような摩擦帯電量測定装置を用いて測定を行う。まず測定しようとする粒子と、キャリアの混合物を作る。測定しようとする粒子及びキャリアを測定環境に置いて、12時間以上放置した後ポリエチレン製のビンに入れ、十分混合、撹拌する。
【0152】
次に、底に500メッシュ(磁性粒子の通過しない大きさに適宜変更可能)の導電性スクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとする粒子とキャリアの混合物を入れ金属製のフタ4をする。このときの測定容器2全体の質量を秤り、W1(g)とする。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で充分(約2分間)吸引を行いトナーを吸引除去する。このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定容器全体の重量を秤り、W2(g)とする。この摩擦帯電量T(mC/kg)は下記式より計算される。
【0153】
【数10】
T(mC/kg) = C×V/W1−W2
【0154】
〈現像剤の流動度の測定〉
本発明において現像剤の流動度は、以下の様に測定する。トナーとキャリアとを実際に用いられるトナー濃度(0.5〜20%)にて混合し、温度23℃±2℃、湿度60%±3%の環境に24時間放置後、測定を行う。測定方法はJIS−Z 2502に基づく。ここで、測定装置は図3に示す粉末流動計において、図4((a)は平面図であり(b)は断面図である)に示す様にロートを改造したものを用いる。
【0155】
〈トナーの粘弾性の測定〉
トナーを直径25mm、厚さ約2〜3mmの円板状の試料に加圧成形する。次に試料をパラレルプレートにセットし、50〜200℃の温度範囲内で徐々に昇温させ、温度分散測定を行う。昇温速度は2℃/minとし、角周波数(ω)は6.28rad/secに固定し、歪率は自動とする。グラフの横軸に温度、縦軸に貯蔵弾性率(G')を取り、各温度における値を読み取る。測定にあたってはRDA−II(レオメトリックス社製)を用いる。
【0156】
〈示差熱分析測定〉
示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。測定試料は2〜10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程、降温過程で、温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線のメインピークの吸熱、発熱ピークが得られる。
【0157】
〈キャリアに用いられる磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径ra及び非磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径rbの測定方法〉
フィールドエミッション走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800(日立製作所(株)製)を用いて、キャリア断面の磁性体微粒子の配向を統計処理することにより測定した。具体的には、ランダムに抽出された10個のキャリア断面写真の中から、本発明に用いられる、形状異方性の磁性体を100個以上ランダムに抽出し、磁場の方向と考えられる方向の±15°の範囲内を向いているものの比率を計算した。キャリア断面のサンプルは、平行磁場中でエポキシ樹脂中にキャリアを分散・固化させた後、該プラスチック包理サンプルをミクロトームFC4E(REICHERT−JUNG社製)にて切削することにより作製した。
【0158】
本発明の実施態様を以下に列挙する。
【0159】
(1)トナーとキャリアとを少なくとも含有する二成分系現像剤であって、
前記トナーは結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、前記トナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であり、且つ45体積%のメタノール水溶液における前記トナーの透過率が10〜70%であり、
前記キャリアは表面が樹脂でコートされており、且つ前記キャリアの真比重が3.0〜4.0であることを特徴とする二成分系現像剤。
【0160】
(2)前記キャリアの240[kA/m]の印加磁場に対する飽和磁化が30〜90[Am2/kg]であり、かつ残留磁化が2〜20[Am2/kg]であり、保磁力が0.4〜4.8[kA/m]であることを特徴とする(1)の二成分系現像剤。
【0161】
(3)前記キャリアは、バインダー樹脂と、表面を親油化処理した磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子とを有するキャリアコアを有し、前記キャリアコア中の金属酸化物粒子の総量が50〜95質量%であり、前記磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径raと非磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径rbとの比rb/raが1.0より大きいことを特徴とする(1)または(2)の二成分系現像剤。
【0162】
(4)トナーとキャリアとを少なくとも含有する二成分系現像剤によって、静電潜像担持体に担持された静電潜像を可視化する画像形成方法に用いられるプロセスカートリッジであって、
二成分系現像剤を収容する現像容器と、前記二成分系現像剤を担持して潜像担持体に搬送する1又は複数の現像スリーブと、前記現像容器に収容された二成分系現像剤を前記現像スリーブに搬送するための、1または2以上の搬送スクリューを有する現像剤搬送部材と、前記現像スリーブ上の二成分系現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、を少なくとも有し、
前記トナーは結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、前記トナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であり、且つ前記トナーの45体積%のメタノール水溶液における透過率が10〜70%であり、
前記キャリアは表面が樹脂でコートされており、且つ前記キャリアの真比重が3.0〜4.0であり、
前記搬送スクリューの直径が15mm以下であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0163】
(5)トナーとキャリアとを少なくとも含有する二成分系現像剤によって、静電潜像担持体に担持された静電潜像を可視化する画像形成方法に用いられるプロセスカートリッジであって、
二成分系現像剤を収容する現像容器と、前記二成分系現像剤を担持して潜像担持体に搬送する1又は複数の現像スリーブと、前記現像スリーブ上の二成分系現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、を少なくとも有し、
前記トナーは結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、前記トナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であり、且つ前記トナーの45体積%のメタノール水溶液における透過率が10〜70%であり、
前記キャリアは表面が樹脂でコートされており、且つ前記キャリアの真比重が3.0〜4.0であり、
前記現像スリーブの直径が15mm以下であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0164】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0165】
〈キャリアの製造例1〉
フェノール 8.0質量部
ホルマリン溶液 13.0質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約12%、残りは水)
親油化処理されたマグネタイト 71.0質量部
(粒径0.23μm、比抵抗7×105Ω・cm)
親油化処理されたヘマタイト 15.0質量部
(粒径0.61μm、比抵抗9×109Ω・cm)
ここで用いたマグネタイト及びヘマタイトの親油化は、それぞれの金属酸化物の質量に対して0.5質量%のシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサーを用いて100℃、40分間の条件で混合撹拌して処理することによって行った。
【0166】
上記材料と塩基性触媒として28%アンモニア水2.0質量部、さらに水13質量部をフラスコに入れ、攪拌装置を用いて撹拌、混合しながら40分間で90℃まで昇温・保持し、4時間反応・硬化させ重合を行った。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、180℃で乾燥して、マグネタイトとヘマタイトとをフェノール樹脂をバインダーとして結合した球状のキャリアコアを得た。得られたコアの抵抗は、2.1×1012Ω・cmであった。
【0167】
得られたコア粒子の表面に熱硬化性のシリコーン樹脂を以下の方法でコートした。コア材の質量に対するコート樹脂量が0.6質量%になるようにトルエンを溶媒として10質量%のキャリアコート溶液を作製した。このコート溶液を流動床において溶媒を揮発させてキャリアへのコートを行った。このコートキャリア粒子を180℃で1.5時間キュアし、その後、多分割分級装置を用いてコートキャリアの分級を行った。得られたキャリア粒子の体積平均粒径は48.2μmであった。
【0168】
〈キャリアの製造例2〉
キャリアの製造例1において、使用したマグネタイト及びヘマタイトの量をそれぞれ46.0質量部、23.0質量部に変えた以外は上記製造例1と同様の方法を用いてキャリア2を得た。
【0169】
〈キャリアの製造例3〉
キャリアの製造例1において、使用したマグネタイト及びヘマタイトの個数平均粒径を表1に示すように変え、量をそれぞれ95.0質量部、5.0質量部に変えた以外は上記製造例1と同様の方法を用いてキャリア3を得た。
【0170】
〈キャリアの製造例4〉
キャリアの製造例1において、使用したマグネタイト及びヘマタイトの個数平均粒径を表1に示すように変えた以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてキャリア4を得た。
【0171】
〈キャリアの製造例5〉
キャリアの製造例1において、撹拌装置の撹拌翼周速度を上げてキャリアの平均粒径を表2に示すように変更した以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてキャリア5を得た。
【0172】
〈キャリアの製造例6〉
フェノール 10.0質量部
ホルマリン溶液 15.0質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約12%、残りは水)
親油化処理されたマグネタイト 85.0質量部
(粒径0.23μm、比抵抗9.3×105Ω・cm)
親油化処理されたヘマタイト 4.0質量部
(キャリアの製造例1で用いたもの)
上記材料を用い、さらに加える水の量を22質量部とした以外はキャリアの製造例1と同様の方法を用いて重合を行い、マグネタイトとヘマタイトとをフェノール樹脂をバインダーとして結合したキャリアコアを得た。得られたコアの比抵抗は、2.5×1012Ω・cmであった。
【0173】
得られたコア粒子に、キャリアの製造例1で用いたものと同じコート樹脂を、上記製造例1と全く同様にしてコートし、分級を行ってキャリア6を得た。得られたキャリア粒子の体積平均粒径は、49.7μmであった。
【0174】
〈キャリアの製造例7〉
キャリアの製造例1において、使用したマグネタイト及びヘマタイトの量をそれぞれ40.0質量部、42.0質量部に変えた以外は上記製造例1と同様の方法を用いてキャリア7を得た。
【0175】
〈キャリアの製造例8〉
キャリアの製造例1において、重合時における攪拌翼周速度を下げてキャリアの平均粒径を表2に示すように変更した以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてキャリア8を得た。
【0176】
〈キャリアの製造例9〉
重合時におけるpH値を変化させて異形化処理を行った以外は、キャリアの製造例1と同様の方法を用いてキャリア9を得た。
【0177】
〈キャリアの製造例10〉
Fe2O3 54.0質量部
CuO 13.1質量部
ZnO 32.9質量部
上記材料を秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。これを仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、さらにスプレードライヤーにより造粒を行った。これを焼結し、さらに分級してキャリアコアを得た。得られたキャリアコアの比抵抗は5.4×108Ω・cmであった。このキャリアコアに、スチレン−メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合比:50/50)をコート量1.5質量%になるようにトルエンを溶媒として流動床式塗布装置スピラコーター(岡田精工社製)を用いてコートを行い、150℃で1時間流動床中において乾燥してキャリア10を得た。
【0178】
得られた各キャリア1〜10の組成、用いた磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径(ra及びrb)及びこれらの比(rb/ra)、及びコート樹脂の材質を表1に、各キャリア1〜10の諸物性を表2に、それぞれ示す。
【0179】
【表1】
【0180】
【表2】
【0181】
次に、本実施例で用いたトナーの結着樹脂の製造例について説明する。
【0182】
〈ハイブリッド樹脂の製造例1〉
ビニル系共重合体として、スチレン1.8mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.23mol、フマル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、コハク酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、フマル酸4.8mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応させてハイブリッド樹脂(1)を得た。
【0183】
〈ハイブリッド樹脂の製造例2〉
ハイブリッド樹脂の製造例1において、スチレンの量を4.1mol、α−メチルスチレンの2量体の量を0.08mol、ジクミルパーオキサイドの量を0.1molにそれぞれ変えた以外は上記製造例1と同様の方法を用いて、ハイブリッド樹脂(2)を得た。
【0184】
〈ハイブリッド樹脂の製造例3〉
ハイブリッド樹脂の製造例1において、4つ口フラスコに投入されるフマル酸4.8molに代えてマレイン酸3.8molとイタコン酸3.0molを使用し、ジクミルパーオキサイド0.05molに代えてイソブチルパーオキサイド0.12molを使用した以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてハイブリッド樹脂(3)を得た。
【0185】
〈ハイブリッド樹脂の製造例4〉
ハイブリッド樹脂の製造例1において、コハク酸3.0mol及び無水トリメリット酸2.0molの代わりに無水トリメリット酸5.2molを使用した以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてハイブリッド樹脂(4)を得た。
【0186】
〈ポリエステル樹脂の製造例〉
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.5mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸1.1mol、フマル酸2.4mol及び酸化ジブチル錫0.1gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下で、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂(1)を得た。
【0187】
上記各成分を、4つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換し120℃に昇温させた後3.5時間かけて滴下した。更にキシレン還流後下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去し、ビニル系樹脂を得た。
【0188】
〈トナーの製造例1〉
以下の方法により、トナー1を調製した。
【0189】
ハイブリッド樹脂(1) 100質量部
パラフィンワックス(ワックスA;表3参照) 4質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム錯体 4質量部
上記材料をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行った後、二軸式押出機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度に粗粉砕した。次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。次に、図5および6に記載の装置を用いる機械的衝撃法(周速:2.2×105mm/sec、サイクルタイムは23秒)による微粉砕と風力による分級を行った。処理にあたっては装置内温度を、52〜56℃になるように制御した。このようにして、重量平均粒径が6.8μmのトナー粒子を得た。
【0190】
上記トナー粒子100質量部に対して、i−C4H9Si(OCH3)3を30質量部で処理した疎水性酸化チタン(BET法による比表面積173m2/g)1.2質量部を添加してトナー1とした。トナー1の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0191】
〈トナーの製造例2〉
トナーの製造例1において、ハイブリッド樹脂(1)の代わりにハイブリッド樹脂(2)を使用したこと及びワックス(B)を使用したこと以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてトナー2を得た。トナー2の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0192】
〈トナーの製造例3〉
トナーの製造例1において、機械的衝撃法におけるサイクルタイムを7秒とした以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてトナー3を得た。トナー3の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0193】
〈トナーの製造例4〉
トナーの製造例1において、機械的衝撃法におけるサイクルタイムを55秒とした以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてトナー4を得た。トナー4の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0194】
〈トナーの製造例5〉
トナーの製造例1において、ハイブリッド樹脂(1)の代わりにハイブリッド樹脂(3)を使用し、ワックス(A)の代わりに、表3に示すワックス(B)を使用した以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてトナー5を得た。トナー5の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0195】
〈トナーの製造例6〉
トナーの製造例1において、機械的衝撃法による微粉砕と風力による分級を行った際、装置内温度を75〜80℃になるように制御した以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてトナー6を得た。トナー6の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0196】
〈トナー製造例7〜10〉
トナーの製造例1において、結着樹脂及びワックスを表4に示すように変更した以外は上記製造例1と同様の方法を用いてトナー7〜10を得た。なお、表4中に記載されたワックスC〜ワックスFの種類及びDSCにより得られる最大吸熱ピーク温度は表3に示されている。トナー7〜10の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0197】
〈トナーの製造例11〉
トナーの製造例10において、疎水性酸化チタンの添加量を1.9質量部とした以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてトナー11を得た。トナー11の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0198】
〈トナーの比較製造例1〉
トナーの製造例10において、機械的衝撃法を用いなかった以外は上記製造例10と同様の方法を用いてトナー12を得た。トナー12の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0199】
〈トナーの比較製造例2〉
トナーの製造例10において、機械的衝撃法におけるサイクルタイムを110秒とした以外は上記製造例10と同様の方法を用いてトナー13を得た。トナー13の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0200】
〈トナーの比較製造例3〉
トナーの製造例1において、ハイブリッド樹脂(1)の代わりにハイブリッド樹脂(4)を用い、ワックスを表4に示すように変更した以外は、上記製造例1と同様の方法を用いてトナー14を得た。トナー14の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0201】
〈トナーの比較製造例4〉
トナーの製造例10において、ワックスを表4に示すように変更し、微粉砕後に120℃の熱風中でトナーを球形化処理した以外は上記製造例10と同様の方法を用いてトナー15を得た。トナー15の処方及び物性を表4及び表5に示す。
【0202】
〈トナーの耐ブロッキング性の評価〉
得られた各トナー1〜15について、トナーの耐ブロッキング性を次のように評価した。トナーを50℃のオーブン内にて2週間放置し、放置後の凝集性のレベルを目視により観察し、以下の基準に従い判定した。
【0203】
(評価基準)
A:凝集体が全く見られなく流動性が非常に良い
B:凝集体が全く見られない
C:若干の凝集体は見られるがすぐにほぐれる
D:現像剤撹拌装置で凝集体がほぐれる(普通)
E:現像剤撹拌装置では凝集体が十分にほぐれない(やや悪い)
【0204】
評価結果を表5に示す。
【0205】
【表3】
【0206】
【表4】
【0207】
【表5】
【0208】
〈実施例1〉
トナーの製造例1で得られたトナー1と、キャリアの製造例1で得られた、シリコーン樹脂で表面被覆したキャリア1とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、二成分系現像剤1とした。この二成分系現像剤1及び下記の評価機を用いて画像形成を行い、以下に示すような評価を行った。
【0209】
評価機としては、カラー複写機CP−2150(キヤノン製)改造機を用いた。現像プロセスカートリッジ内における、搬送スクリュー25、搬送スクリュー24は、ともに直径14mmのものを用いた。さらに、本実施例では現像スリーブは直径が14mmのものを用いた。
【0210】
この評価機のシアンステーションに上記現像剤1を装填し、単色モードで高温高湿(H/H)環境下(30℃、80%)及び常温低湿(N/L)環境下(23℃、5%)において、画像面積比率20%のオリジナル原稿を用いて、単位面積当たりのトナー載り量は0.7mg/cm2に設定し、3万枚の未定着画像出力による耐刷試験を行った。尚、現像スリーブおよびスクリューの小型化に伴い、カートリッジを当初のものより容積比で約16%小型化したものを用いた。
【0211】
次に、各評価項目について説明する。
【0212】
(1)トナースペント
H/H環境下における3万枚複写後の現像剤から洗浄剤を用いてトナーを分離し、キャリアのみを取り出した。この洗浄キャリア20gから、20ccのメチルエチルケトンを用いて、被覆した樹脂とスペントしたトナー成分を抽出した。未使用のキャリアについても同様の処理を行った。評価対象のキャリア(洗浄キャリア)及び未使用のキャリアそれぞれの抽出液を100mlとなるように希釈し、分光光度計を用いて500nmで透過率を測定した。評価対象のキャリアと未使用キャリアとの透過率の差を求め、下記の基準に従い判断した。
【0213】
(評価基準)
A:7%未満
B:7%以上14%未満
C:14%以上21%未満
D:21%以上
【0214】
(2)キャリア付着
N/L環境下での初期の感光体上のキャリア付着レベルを判断した。この評価方法は、Vback.=300V時のベタ白部のドラム上をテーピングし、5×5cmの視野中を25倍ルーペを用いて観察し、以下の基準に従い目視判断した。
【0215】
(評価基準)
A:キャリア付着が全くない
B:キャリア粒子が5個以下観測される
C:キャリア粒子が5〜10個観測される
D:キャリア粒子が10個よりも多く観測される
【0216】
(3)カブリ
N/L及びH/H環境下での耐久試験において、3万枚耐久後のカブリを測定した。方法としては、画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をグリーンフィルターを搭載したリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。一方、普通紙上にベタ白画像を画出しし、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。カブリ(Fog[%])は下記式
【0217】
【数11】
Fog[%] = Dr[%]−Ds[%]
【0218】
より算出した。得られたカブリの値から、以下の評価基準に従い評価を行った。
【0219】
(評価基準)
A:0.7%未満
B:0.7以上1.5%未満
C:1.5以上2.3%未満
D:2.3以上3.1%未満
E:3.1%以上
【0220】
(4)画質
画像濃度の評価は、N/L及びH/H環境下における耐久試験初期及び3万枚耐久後に、反射濃度計RD918(マクベス社製)で測定される画像濃度が1.5の直径20mmの円を5ヶ所設けたオリジナル原稿を複写し、画像部の各円の中心の画像濃度を反射濃度計RD918で測定し、5ヶ所の平均値とした。なお、耐久試験初期における画像濃度は、初期の1枚目から5枚目の画像について得られた濃度の平均値とした。
【0221】
ベタ均一性の評価は、上記の画像濃度の評価で測定した5箇所の画像濃度の最大値と最小値との差を求め、下記の評価基準に従い評価した。
【0222】
(評価基準)
A:0.04以下
B:0.04を超え0.08以下
C:0.08を超え0.12以下
D:0.12を超える
【0223】
(5)転写率
転写性は、カラー複写機CP−2150(キヤノン製)の改造機を用いた常温低湿環境下(23℃、5%)での3万枚の耐久試験において行った。評価方法は、まず感光体ドラム上にベタ画像を形成し、そのベタ画像を透明な粘着テープで採取し、その画像濃度(D1)をカラー反射濃度計(color reflection densitometer X−RITE 404A manufactured by X−Rite Co.)で測定した。次に再度、ベタ画像を感光体ドラム上に形成し、ベタ画像を記録材へ転写し、記録材上に転写されたベタ画像を透明な粘着テープで採取し、その画像濃度(D2)を同様に測定した。転写率は、得られた画像濃度(D1)及び(D2)から下式に基づいて算出した。
【0224】
【数12】
転写率(%) = (D2/D1)×100
【0225】
(6)定着ローラー汚れ
H/H環境下における耐久試験終了後、定着ローラー表面への異物の付着の様子に基づいて、定着ローラーへの影響について評価を行った。
【0226】
A:付着物はほとんど見られず、画像上も影響が小さい
B:付着物はほとんど見られず、画像品位の変化が少ない
C:付着物は極めて少なく、画像も問題ないレベル
D:付着物が多く、画像欠陥を生じる
【0227】
現像剤1の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0228】
〈実施例2〉
実施例1において、トナー1の代わりにトナー2を用いた以外は、上記実施例1と同様にして現像剤2を調製し、各項目を評価した。その結果、現像剤2は転写性に優れるとともに、耐久性も良く、優れた定着性、環境安定性を示した。現像剤2の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0229】
〈実施例3〜6〉
実施例1において、トナー1の代わりにトナー3〜6を用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤3〜6を調製し、各項目を評価した。現像剤3〜6の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0230】
〈実施例7〜11〉
表6に示す、トナーおよびキャリアの組み合わせによって、実施例1と同様にして現像剤7〜11を調製し、各項目を評価した。現像剤7〜11の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0231】
〈実施例12、13〉
実施例1において、キャリア1の代わりにキャリア2又は3を用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤12及び13を調製し、各項目を評価した。現像剤12及び13の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0232】
〈実施例14〜18〉
表6に示す、トナーおよびキャリアの組み合わせによって、実施例1と同様にして現像剤14〜18を調製し、各項目を評価した。現像剤14〜18の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0233】
〈比較例1〉
実施例14においてトナー1の代わりにトナー8を、キャリア4の代わりにキャリア10を、それぞれ用いた以外は、上記実施例14と同様の方法を用いて現像剤19を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。その結果、キャリアスペント性が悪く、耐久時の濃度低下を生じ、カブリを悪化させた。現像剤19の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0234】
〈比較例2〉
トナー12を用い、表6に示す処方で現像剤20を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。その結果、トナー飛散を生じ、定着時における画像周囲のトナーの飛び散りを悪化させた。現像剤20の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0235】
〈比較例3〉
トナー13を用い、表6に示す処方で現像剤21を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。その結果、定着器のローラーにトナーが付着し画像欠陥を生じた。また、高温高湿環境下ではドラムへの融着が若干発生した。現像剤21の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0236】
〈比較例4〉
トナー14を用い、表6に示す処方で現像剤22を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。その結果、現像性が悪化し、耐久性も著しく劣るものとなった。現像剤22の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0237】
〈比較例5〉
トナー15を用い、表6に示す処方で現像剤23を調製し、各項目を評価した。その結果、耐久1000枚を過ぎたあたりから、かぶり、トナー飛散が悪化し、さらに高温高湿環境においては、顕著なトナースペントが発生した。現像剤23の処方及び流動度を表6に、各項目の評価結果を表7に、それぞれ示す。
【0238】
【表6】
【0239】
【表7】
【0240】
【発明の効果】
本発明によれば、トナーの種々の環境下においても優れた帯電性を長期にわたって好適に維持することができるため、高精彩性を満足した画像を形成できる。また、本発明によれば優れた帯電性を有する二成分系現像剤を提供することができるため、現像器または該現像器を含むプロセスカートリッジの小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二成分系現像剤が好適に用いられるプロセスカートリッジの一例の構成を示す模式的断面図
【図2】摩擦帯電量を測定する装置の斜視図
【図3】粉末流動計の構成を示す模式的断面図
【図4】本発明において図3の粉末流動計に用いるロートの形状を示す(a)平面図、及び(b)側面図
【図5】本発明で用いる表面改質装置の構成の一例を示す模式的断面図
【図6】図5の分散ローターの構成を示す模式的平面図
【符号の説明】
19 現像剤
21 現像スリーブ
22 電源
23 磁石(磁界発生手段)
24、25 搬送スクリュー
26 補給口
27 現像容器
28 補給トナー
29 隔壁
31 分級ローター
32 微粉回収口
33 原料供給口
34 ライナー
35 冷風導入口
36 分散ローター
37 製品排出口
38 排出弁
39 ガイドリング
40 角型ディスク
41 第一の空間
42 第二の空間
Claims (5)
- トナーとキャリアとを少なくとも含有する二成分系現像剤であって、
前記トナーは結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、前記トナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であり、且つ45体積%のメタノール水溶液における前記トナーの透過率が10〜70%であり、
前記キャリアは表面が樹脂でコートされており、且つ前記キャリアの真比重が3.0〜4.0であることを特徴とする二成分系現像剤。 - 前記キャリアの240[kA/m]の印加磁場に対する飽和磁化が30〜90[Am2/kg]であり、かつ残留磁化が2〜20[Am2/kg]であり、保磁力が0.4〜4.8[kA/m]であることを特徴とする請求項1に記載の二成分系現像剤。
- 前記キャリアは、バインダー樹脂と、表面を親油化処理した磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子とを有するキャリアコアを有し、前記キャリアコア中の金属酸化物粒子の総量が50〜95質量%であり、前記磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径raと非磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径rbとの比rb/raが1.0より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の二成分系現像剤。
- トナーとキャリアとを少なくとも含有する二成分系現像剤によって、静電潜像担持体に担持された静電潜像を可視化する画像形成方法に用いられるプロセスカートリッジであって、
二成分系現像剤を収容する現像容器と、前記二成分系現像剤を担持して潜像担持体に搬送する1又は複数の現像スリーブと、前記現像容器に収容された二成分系現像剤を前記現像スリーブに搬送するための、1または2以上の搬送スクリューを有する現像剤搬送部材と、前記現像スリーブ上の二成分系現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、を少なくとも有し、
前記トナーは結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、前記トナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であり、且つ前記トナーの45体積%のメタノール水溶液における透過率が10〜70%であり、
前記キャリアは表面が樹脂でコートされており、且つ前記キャリアの真比重が3.0〜4.0であり、
前記搬送スクリューの直径が15mm以下であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - トナーとキャリアとを少なくとも含有する二成分系現像剤によって、静電潜像担持体に担持された静電潜像を可視化する画像形成方法に用いられるプロセスカートリッジであって、
二成分系現像剤を収容する現像容器と、前記二成分系現像剤を担持して潜像担持体に搬送する1又は複数の現像スリーブと、前記現像スリーブ上の二成分系現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、を少なくとも有し、
前記トナーは結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、前記トナーの円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であり、且つ前記トナーの45体積%のメタノール水溶液における透過率が10〜70%であり、
前記キャリアは表面が樹脂でコートされており、且つ前記キャリアの真比重が3.0〜4.0であり、
前記現像スリーブの直径が15mm以下であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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