JP4323773B2 - ピストン装置 - Google Patents

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JP4323773B2
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Nippon Piston Ring Co Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J9/00Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction
    • F16J9/06Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction using separate springs or elastic elements expanding the rings; Springs therefor ; Expansion by wedging
    • F16J9/064Rings with a flat annular side rail
    • F16J9/066Spring expander from sheet metal
    • F16J9/068Spring expander from sheet metal corrugated in the axial direction

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ピストン装置に関し、特に、ピストンに装着されるピストンリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関は、シリンダとピストンとを含むピストン装置を備えている。ピストンには、複数のピストンリングが装着されている。ピストンリングは、シリンダの内側壁面にオイルの膜を形成するとともに、余分なオイルを掻き落とす機能を有している。これにより、燃焼室内へのオイルの侵入が抑制され、この結果、オイル消費量が低減される。
【0003】
また、近年、内燃機関では、シリンダ内側壁面とピストンリングとの間の摺動抵抗(フリクション)の低減が要求されている。このため、ピストンリングの張力は、比較的小さく設定されている。これは、オイルコントロール機能を有するオイルリングについても同様である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピストン温度が比較的高くなる場合には、すなわち、内燃機関の回転数や負荷が比較的大きい場合には、オイル消費量が急激に増加するという問題があった。これは、ピストンリングがシリンダの内側壁面を押圧する力(押圧力)が不足するためと、ピストンスピードが高くなりピストンリングがシリンダ内側壁面に追従でき難くなるためである。
【0005】
このため、従来では、種々の手法でピストンリングの押圧力が調整されている。例えば、特許文献1では、形状記憶合金が採用されている。具体的には、ピストンリング(オイルリング)は、油掻きリングと、その内周側に設けられたコイル状の拡張リングと、を備えており、拡張リングは、形状記憶合金で構成されている。形状記憶合金は、高温時に膨張し、低温時に収縮する特性を有している。このため、ピストン温度が高くなる場合には、押圧力が高められていた。しかしながら、この場合には、押圧力を適切に設定することが困難であった。これは、形状記憶合金は、ピストン温度の変化に対して、極狭い温度範囲で急激に変形するためである。この変形により、押圧力が急激に増加し、内燃機関の燃費を悪化させていた。
【0006】
【特許文献1】
実公平3−41078号公報
【0007】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、温度変化に応じてピストンリングの押圧力を滑らかに変化させることによって、オイル消費量を効率よく低減させることのできる技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第1の装置は、内燃機関に適用されるピストン装置であって、
シリンダと、
前記シリンダ内で往復運動するピストンと、
前記ピストンの側面に形成されたリング溝に挿入されたピストンリングセットと、
を備え、
前記ピストンリングセットは、
前記シリンダの内側壁面上を摺動する略環状の一対のサイドレールと、
前記一対のサイドレールを互いに離れた状態で支持し、前記一対のサイドレールが前記シリンダの内側壁面を押圧する押圧力を、前記一対のサイドレールに誘起させるための略環状のスペーサエキスパンダと、
を備え、
前記スペーサエキスパンダは、
外周面を形成する略環状の第1の部材と、
内周面を形成し、前記第1の部材と接触する略環状の第2の部材と、
を含み、
前記第1の部材を構成する第1の材料と前記第2の部材を構成する第2の材料とは、互いに異なる熱膨張率を有しており、前記第1の材料の膨張量と前記第2の材料の膨張量とは、それぞれ、温度上昇に応じて滑らかに増大することを特徴とする。
【0009】
第1の装置では、スペーサエキスパンダは、熱膨張率の異なる第1の部材と第2の部材とを備えているため、温度変化に応じてピストンリングの押圧力を滑らかに変化させることができ、この結果、オイル消費量を効率よく低減させることができる。
【0010】
上記の第1の装置において、
前記第1の部材と前記第2の部材とは、互いに接合されていることが好ましい。
【0011】
こうすれば、スペーサエキスパンダのリング溝への装着が容易となる。
【0012】
上記の第1の装置において、
前記第2の材料は、前記第1の材料よりも大きな熱膨張率を有していることが好ましい。
【0013】
こうすれば、仮に、第1の部材と第2の部材とが接合されていなくても、ピストン温度が比較的高いときには、比較的高い押圧力を得ることができる。
【0014】
上記の第1の装置において、
前記スペーサエキスパンダは、前記一対のサイドレールの内周側の面に接触し、前記押圧力を前記一対のサイドレールに誘起させるための押圧力付与部を有し、
前記押圧力付与部は、前記第1の部材と前記第2の部材との双方で形成されているようにしてもよい。
【0015】
ここで、前記スペーサエキスパンダは、外周側と内周側とに向かって交互に屈曲した外形形状を有していてもよいし、中央領域が外周側に向かって突出した外形形状を有していてもよい。
【0016】
あるいは、上記の第1の装置において、
前記スペーサエキスパンダは、前記一対のサイドレールの内周側の面に接触し、前記押圧力を前記一対のサイドレールに誘起させるための押圧力付与部を有し、
前記押圧力付与部は、前記第2の部材で構成されているようにしてもよい。
【0017】
ここで、前記スペーサエキスパンダは、前記一対のサイドレールのそれぞれに向かって交互に屈曲した外形形状を有していてもよい。
【0018】
本発明の第2の装置は、シリンダ内で往復運動するピストンの側面に形成されたリング溝に挿入されるピストンリングセットであって、
前記シリンダの内側壁面上を摺動する略環状の一対のサイドレールと、
前記一対のサイドレールを互いに離れた状態で支持し、前記一対のサイドレールが前記シリンダの内側壁面を押圧する押圧力を、前記一対のサイドレールに誘起させるための略環状のスペーサエキスパンダと、
を備え、
前記スペーサエキスパンダは、
外周面を形成する略環状の第1の部材と、
内周面を形成し、前記第1の部材と接触した状態で使用される略環状の第2の部材と、
を含み、
前記第1の部材を構成する第1の材料と前記第2の部材を構成する第2の材料とは、互いに異なる熱膨張率を有しており、前記第1の材料の膨張量と前記第2の材料の膨張量とは、それぞれ、温度上昇に応じて滑らかに増大することを特徴とする。
【0019】
第2の装置をピストン装置に適用すれば、本発明の第1の装置と同様の作用・効果を奏し、オイル消費量を効率よく低減させることができる。
【0020】
この発明は、ピストン装置、ピストンリングセット、スペーサエキスパンダ、ピストン装置を備える内燃機関、該内燃機関を搭載した移動体などの装置等の種々の態様で実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
A.第1実施例:
A−1.エンジンの構成:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明のピストン装置を適用したガソリンエンジン10の概略構成を示す説明図である。なお、本実施例のエンジン10は、車両に搭載されている。
【0022】
エンジン10は、シリンダブロック20と、シリンダヘッド30と、を備えている。シリンダブロック20とシリンダヘッド30との間には、燃焼室12が形成されている。
【0023】
シリンダブロック20は、シリンダ22と、クランクケース24と、を含んでいる。略円筒形のシリンダ22内には、上下に往復運動する略円柱形のピストン26が設けられている。クランクケース24内には、回転運動するクランクシャフト28が設けられている。ピストン26とクランクシャフト28とは、コネクティングロッド27を介して接続されている。この構成によって、ピストン26の往復運動とクランクシャフト28の回転運動との変換が行われる。
【0024】
シリンダヘッド30には、吸気ポート31と排気ポート32とが形成されている。吸気ポート31には吸気バルブ33が配置されており、排気ポート32には排気バルブ34が配置されている。空気とガソリンとを含む混合気は、吸気ポート31を介して燃焼室12に供給される。混合気は、各点火プラグ36が形成する電気火花によって、燃焼する。燃焼済みの排気ガスは、排気ポート32を介して燃焼室12から排出される。
【0025】
コネクティングロッド27には、シリンダ22およびピストン26に向かってオイル(潤滑油)を供給するためのオイル孔が設けられている。このオイルによって、ピストン26とシリンダ22との間の摩擦が低減されるとともに、ピストン26が冷却される。また、シリンダ22の壁部には、エンジン全体を冷却するための冷却水通路22aが形成されている。燃焼室12で発生する熱は、直接またはピストン26を介してシリンダ22に伝わる。
【0026】
なお、図1では、図示の便宜上、1つの気筒のみが図示されているが、実際には、エンジン10には複数の気筒が備えられている。
【0027】
A−2.ピストン装置の構成:
図2は、図1のシリンダ22とピストン26との界面付近を示す説明図である。図示するように、本実施例では、ピストン26には、3つのピストンリング100,200,300が装着されている。3つのピストンリングは、ピストン26の側面に形成された3つのリング溝26a,26b,26cにそれぞれ挿入されている。
【0028】
各ピストンリング100,200,300は、燃焼室からクランクケースへのガス漏れを抑制する機能と、シリンダの内側壁面にオイルの膜を形成するとともに余分なオイルを掻き落とす機能と、ピストンが受ける燃焼室の熱をシリンダへ伝える機能と、ピストンの外周がシリンダの内側壁面に直接強く接触することを防止する機能と、を有している。第1および第2のピストンリング100,200は、主として、燃焼室12からクランクケース24へのガス漏れを防止する機能を有しており、コンプレッションリングと呼ばれている。特に、第1のピストンリング100は、トップリングと呼ばれ、第2のピストンリング200は、セカンドリングと呼ばれている。また、第3のピストンリング300は、主として、シリンダ22の内側壁面に付着した余分なオイルを掻き落とす機能を有しており、オイルリングと呼ばれている。なお、オイルリングによって掻き取られたオイルの一部は、第3のリング溝26cに設けられた複数の排油孔(図示せず)を介して、ピストン26の内側に排出される。
【0029】
なお、上記の各機能は、各ピストンリング100,200,300がシリンダ22の内側壁面を押圧することによって、実現されている。具体的には、各ピストンリングは、合口すき間(図示せず)が狭められた状態で、シリンダ22内のピストン26に装着される。このため、各ピストンリングは、張力(外周側に広がろうとする力)を有する。この張力によって、各ピストンリングは、シリンダ22の内側壁面を押圧することができ、この結果、上記の各機能を発揮することができる。
【0030】
A−3.オイル消費:
前述のように、エンジンの回転数や負荷(トルク)が比較的大きい場合には、換言すれば、高速運転状態や高負荷運転状態では、シリンダの内側壁面に付着したオイルが燃焼室内に侵入し易くなり、オイル消費量が急激に増大する傾向にある。
【0031】
高速・高負荷運転状態におけるオイル消費量の増大は、以下のような種々の現象に起因する。(a)シリンダとピストンとの相対速度が高くなり、摩擦力が低下する。(b)ピストンリングを構成する複数の部材の剛性の相違により、シリンダの内側壁面とピストンリングの摺動面との接触度が低下する。(c)シリンダの変形(膨張)にピストンリングが追従できない。(d)ピストンの首振りによって、ピストンリングの姿勢が悪化する。(e)ランド圧力と摩擦力との間のバランスが崩れて、ピストンリングがリング溝から離れる(フラッタリング)。
【0032】
なお、上記の現象は、ピストンリングの張力が比較的小さく設定されている場合に顕著となる。したがって、ピストンリングの張力が比較的大きく設定されている場合には、オイル消費量を比較的低減させることができる。しかしながら、この場合には、シリンダとピストンリングとの間の摩擦が大きくなり、燃費が悪化するという問題がある。このため、ピストンリングの張力は、通常、比較的小さく設定されている。
【0033】
ところで、エンジンの回転数や負荷(トルク)が比較的大きい場合には、ピストン26の温度が比較的高くなる。これは、エンジン回転数が比較的大きくなると、シリンダ22とピストン26(より具体的には、ピストンリング)との間の摩擦に起因する熱量が大きくなるためである。また、負荷(トルク)が比較的大きくなると、燃焼室12内での燃焼に起因する熱量が大きくなるためである。
【0034】
本実施例では、上記の特徴、すなわち、エンジンの回転数や負荷の変化に伴うピストン温度の変化を利用して、ピストンリングの押圧力不足を解消し、オイル消費量を低減している。
【0035】
A−4.オイルリングセット:
図3は、オイルリングセット300の一部を示す概略斜視図である。オイルリングセット300は、略環状のスペーサエキスパンダ310と、一対の略環状のサイドレール316,317と、を備えている。一対のサイドレール316,317は、スペーサエキスパンダ310によって、互いに離れた状態で支持されている。
【0036】
スペーサエキスパンダ(以下、単に「エキスパンダ」とも呼ぶ)310は、外周側と内周側とに向かって交互に屈曲した外形形状を有している。エキスパンダ310は、比較的小さく突出した受圧面部310sを外周側に備えており、比較的大きく突出した耳部310wを内周側に備えている。耳部310wは、外側(すなわち、上側または下側)に向かうに連れて、内周側に傾いている。また、隣接する受圧面部310sと耳部310wとの間には、ワイヤ(図示せず)が通るワイヤ孔310hが設けられている。
【0037】
図4は、図3のスペーサエキスパンダ310の展開図である。図示するように、エキスパンダ310は、ストリップ状の板材で構成される。板材は、受圧面部310sとして機能する第1の突出部と、耳部310wとして機能する第2の突出部と、を長さ方向に沿って交互に有している。なお、各突出部は、長さ方向に沿って対称に設けられている。隣接する各突出部の間には、ワイヤ孔310hとして機能する長孔が設けられている。図4に示す板材を、図中、一点鎖線に沿って交互に屈曲させれば、図3に示すエキスパンダ310が得られる。
【0038】
図5は、図3のスペーサエキスパンダ310の全体を示す平面図である。図示するように、エキスパンダ310は、合口すき間310gを有している。エキスパンダ310をシリンダ22内のピストン26に装着する際には、合口すき間310gの存在に起因して、エキスパンダ310の2つの端部が重なってしまう場合がある。本実施例では、この重なりを防止するために、略弧状のワイヤ319が用いられている。具体的には、ワイヤ319は、エキスパンダ310の2つの端部付近に設けられたワイヤ孔310h(図3)に挿入されている。また、本実施例では、上記の重なりを確実に防止するために、ワイヤ319が合口部以外に移動しないようエキスパンダ310の2つの部分A,Bには、ワイヤ孔は設けられていない。これによって、部分A,Bを超えるワイヤ319の移動が禁止され、この結果、ワイヤ319は、必ず合口すき間310gを通る。
【0039】
なお、本実施例では、エキスパンダ310は、ワイヤ孔310hを備えているが、省略可能である。ただし、上記のように、エキスパンダに孔を設けることによって、エキスパンダを軽量化することができるという利点がある。
【0040】
各サイドレール(以下、単に「レール」とも呼ぶ)316,317(図3)は、外周側および内周側に曲面を有しており、上側および下側に平面を有している。外周側の曲面は、シリンダ22の内側壁面上を摺動する摺動面を形成する。上レール316は、エキスパンダ310の上側の受圧面部310sと耳部310wとの双方で支持されている。具体的には、上レール316の外周側の平面は、受圧面部310sに接触しており、内周側の曲面は、耳部310wに接触している。下レール317についても同様である。また、各レール316,317の半径方向内側への移動は、エキスパンダ310の耳部310wによって制限される。なお、各レール316,317も、図示しない合口すき間を有している。
【0041】
エキスパンダ310は、合口すき間が狭められた状態でシリンダ22内のピストン26に装着されるため、張力を有する。この張力は、レール316,317の環を広げようとする。この結果、レール316,317は、シリンダ22の内側壁面を押圧することができる。すなわち、エキスパンダ310の張力は、レール316,317がシリンダ22の内側壁面を押圧する押圧力を、レール316,317に誘起させる。
【0042】
ところで、図3に示すように、本実施例のエキスパンダ310は、2つの部材を含んでいる。具体的には、エキスパンダ310は、外周面を形成する略環状の第1の部材311と、内周面を形成する略環状の第2の部材312と、を備えている。そして、第1の部材311と第2の部材312とは、ほぼ同じ形状を有しており、互いに接合されている。第1の部材と第2の部材とは、融接や、圧接、ろう接、接着などによって接合可能である。なお、エキスパンダ310は、例えば、プレス成形することによって作製可能である。
【0043】
本実施例では、外周側の第1の部材311を構成する第1の材料は、熱膨張率の比較的低い材料に設定されており、内周側の第2の部材312を構成する第2の材料は、熱膨張率の比較的高い材料に設定されている。そして、第1の材料の膨張量と第2の材料の膨張量とは、それぞれ、温度上昇に応じて滑らかに増大する。
【0044】
なお、熱膨張率(線熱膨張係数)の比較的低い材料としては、例えば、ステンレス鋼,炭素鋼,ばね鋼,コバルト鋼などの鋼材や、より膨張係数の差分を大きくするためにFe−36Ni材(インバー)などの低膨張材を用いることができる。ステンレス鋼としては、SUS430(約12×10-6(/℃))やSUS201などが好適である。一方、熱膨張率(線熱膨張係数)の比較的高い材料としては、例えば、銅(約17×10-6(/℃))や、マンガン合金(Mn−Cu−Ni合金:約32×10-6(/℃))、アルミニウム(またはその合金)(約22×10-6(/℃))、マグネシウム合金、Cu−Zn合金、Fe−Ni−Mn合金、Niなどを用いることができる。
【0045】
図6は、オイルリングセット300の概略断面図である。図6(A),(B)は、ピストン温度が比較的低い場合と比較的高い場合とのオイルリングセット300をそれぞれ示している。なお、図6(A),(B)では、オイルリングセット300は、ピストン26に形成されたリング溝26cの上面および下面から離れた状態で描かれているが、通常、少なくとも一方の面に接触した状態となっている。
【0046】
ピストン温度が比較的低い場合(図6(A))には、レール316,317は、エキスパンダ310の張力によって、シリンダ22の内側壁面を押圧力Paで押圧する。一方、ピストン温度が比較的高い場合(図6(B))には、レール316,317は、エキスパンダ310の張力によって、シリンダ22の内側壁面を押圧力Paよりも大きな押圧力Pbで押圧する。これは、熱膨張率の比較的高い内周側の第2の部材312が比較的大きく膨張することによって、熱膨張率の比較的低い外周側の第1の部材311の環が広げられるためである。
【0047】
このように、エキスパンダ310が2つの部材311,312で構成されていれば、レール316,317の押圧力は、ピストン温度の上昇に従って、次第に大きくなる。したがって、ピストン温度が比較的高い場合、換言すれば、エンジンの回転数や負荷(トルク)が比較的大きい場合におけるオイル消費量の増大を緩和することができる。
【0048】
また、本実施例では、耳部310wは、互いに接合された2つの部材311,312で構成されている。このため、内周側に傾いた耳部310wは、2つの部材311,312の熱膨張率の差に起因して、外周側に向かう。このとき、レール316,317は、エキスパンダ310の外周を支点として、内側に向かう力で、シリンダ22の内側壁面を押圧する。換言すれば、押圧力Pbは、シリンダ22の内側壁面に垂直な力成分と、オイルリングセット300の内側に向かう力成分と、を含む。これにより、レール316,317の外周側がエキスパンダ310から離れ難くなり、この結果、オイル消費量を低減することができる。具体的には、ピストン26が下降(上昇)する行程では、摩擦力によって、上レール316(下レール317)の外周側は上方(下方)に傾き易い。しかしながら、この構成を採用すれば、上記の傾きを抑制することができるため、オイル掻き性能の低下を抑制することが可能となる。
【0049】
以上説明したように、本実施例のピストン装置では、ピストンリングセット300は、シリンダの内側壁面上を摺動する略環状の一対のサイドレール316,317と、一対のサイドレールを互いに離れた状態で支持し、一対のサイドレールがシリンダの内側壁面を押圧する押圧力を、一対のサイドレールに誘起させるための略環状のスペーサエキスパンダ310と、を備えている。スペーサエキスパンダ310は、外周面を形成する略環状の第1の部材311と、内周面を形成する略環状の第2の部材312と、を含んでいる。第1の部材および第2の部材は、外周側と内周側とに向かって交互に屈曲した外形形状を有しており、互いに接合されている。第2の部材312を構成する第2の材料は、第1の部材311を構成する第1の材料よりも大きな熱膨張率を有しており、第1の材料の膨張量と第2の材料の膨張量とは、それぞれ、温度上昇に応じて滑らかに増大する。
【0050】
本実施例の構成を採用すれば、温度変化に応じてピストンリングセット300の押圧力を滑らかに変化させることができ、この結果、オイル消費量を効率よく低減させることが可能となる。すなわち、ピストンリングセット300は、2つの部材311,312の熱膨張率の差を利用して、ピストン温度に応じた適度な押圧力で、シリンダの内側壁面を押圧することができる。
【0051】
なお、本実施例では、エキスパンダ310の張力は比較的小さく設定されているため、ピストン温度が比較的低い場合には、すなわち、エンジンの回転数や負荷が比較的小さい場合には、燃費を良好に保つことができるという利点がある。
【0052】
また、本実施例では、エキスパンダ310の張力は比較的小さく設定されているため、エンジン始動時のシリンダ22とピストンリングセット300との間の摩擦を小さくすることができ、この結果、円滑な始動が可能であるという利点もある。なお、エンジン始動時の摩擦が小さいため、始動時に必要な燃料量を低減させることができ、この結果、始動時の排気ガス中の有害成分を低減させることもできる。
【0053】
さらに、本実施例では、燃焼室12内へのオイルの侵入が抑制されるため、燃焼室内のデポジットの堆積量を低減させて、デポジットによる燃焼室の容積の減少を緩和することができる。したがって、圧縮比を比較的高く維持することができ、この結果、ノッキングを抑制することができるという利点もある。
【0054】
A−5.スペーサエキスパンダの変形例:
図7は、スペーサエキスパンダの種々の変形例を示す説明図である。なお、図7(A)は、図3と同じエキスパンダ310を示しており、図7(B)〜図7(D)は、変形例としてのエキスパンダ310B〜310Dを示している。
【0055】
図7(A)のエキスパンダ310は、前述のように、第1の部材311と第2の部材312とを備えている。図7(B)〜図7(D)のエキスパンダ310B〜310Dも、それぞれ、第1の部材311と第2の部材312B〜312Dとを備えているが、第2の部材312B〜312Dの形状が変更されている。具体的には、図7(A)では、第2の部材312は、第1の部材311とほぼ同じ波状形状を有している。図7(B)では、第2の部材312Bは、第1の部材311と同様に波状形状を有しているが、その振幅は比較的小さく設定されている。また、図7(C)でも、第2の部材312Cは、第1の部材311と同様に波状形状を有しているが、その周期が比較的大きく設定されている。また、図7(D)では、第2の部材312Dは、略円形の形状を有している。
【0056】
図示するように、図7(A)では、第2の部材312は、第1の部材311の内周側部分と外周側部分との双方で接触しているが、図7(B)〜図7(D)では、第2の部材312B〜312Dは、第1の部材311の外周側部分と接触しておらず、内周側部分と接触している。図7(B)〜図7(D)のエキスパンダ310B〜310Dを採用する場合にも、図7(A)のエキスパンダ310を採用する場合と同様に、温度変化に応じてピストンリングセットの押圧力を滑らかに変化させることができる。
【0057】
また、図7(B)〜図7(D)では、図7(A)と同様に、各エキスパンダ310B〜310Dは、互いに接合された2つの部材で形成された耳部を含んでいる。したがって、前述のように、レールの外周側をエキスパンダから離れ難くすることができる。耳部は、第1の部材と第2の部材との双方で形成されていればよい。
【0058】
上記の説明からも分かるように、耳部または耳部の一部に熱膨張率の比較的高い部材を配置することによって、本発明における押圧力付与部が構成される。
【0059】
B.第2実施例:
図8は、第2実施例におけるオイルリングセット400の一部を示す概略斜視図である。このオイルリングセット400は、第1実施例(図3)と同様に、略環状のスペーサエキスパンダ410と、一対の略環状のサイドレール416,417と、を備えているが、エキスパンダ410が変更されている。
【0060】
本実施例のエキスパンダ410は、中央領域が外周側に向かって突出した外形形状を有している。中央領域を突出させることによって形成された一対の対向部410cの間隔は、内周側に向かうに連れて小さくなっている。エキスパンダ410は、比較的小さく突出した受圧面部410sを外周側に備えており、比較的大きく突出した耳部410wを内周側に備えている。耳部410wは、外側(すなわち、上側または下側)に向かうに連れて、内周側に傾いている。また、エキスパンダ410の内周側および外周側には、所定の間隔毎に切欠部410nが設けられている。このように、エキスパンダに切欠部を設けることによって、エキスパンダを軽量化することができるという利点がある。また、一対のサイドレール416,417間に掻き落とされたオイルをエキスパンダの内周側に向かって迅速に排出することができるという利点もある。
【0061】
本実施例においても、エキスパンダ410は、2つの部材を含んでいる。具体的には、エキスパンダ410は、外周面を形成する略環状の第1の部材411と、内周面を形成する略環状の第2の部材412と、を備えている。そして、第1の部材411と第2の部材412とは、ほぼ同じ形状を有しており、互いに接合されている。外周側の第1の部材411を構成する第1の材料は、熱膨張率の比較的低い材料に設定されており、内周側の第2の部材412を構成する第2の材料は、熱膨張率の比較的高い材料に設定されている。
【0062】
図9は、オイルリングセット400の概略断面図である。図9(A),(B)は、ピストン温度が比較的低い場合と比較的高い場合とのオイルリングセット400をそれぞれ示している。
【0063】
本実施例においても、第1実施例と同様に、ピストン温度が比較的高い場合(図9(B))には、熱膨張率の比較的高い内周側の第2の部材412が比較的大きく膨張することによって、熱膨張率の比較的低い外周側の第1の部材411の環が広げられる。そして、レール416,417は、エキスパンダ410の張力によって、シリンダ22の内側壁面を押圧力Paよりも大きな押圧力Pbで押圧することができる。この結果、ピストン温度が比較的高い場合、換言すれば、エンジンの回転数や負荷(トルク)が比較的大きい場合におけるオイル消費量の増大を緩和することができる。
【0064】
また、本実施例では、耳部410wは、互いに接合された2つの部材411,412で構成されている。このため、内周側に傾いた耳部410wは、2つの部材411,412の熱膨張率の差に起因して、外周側に向かう。これにより、レール416,417の外周側がエキスパンダ410から離れ難くなり、この結果、オイル消費量を低減することができるる。
【0065】
さらに、一対の対向部410cも、2つの部材411,412の熱膨張率の差に起因して、外側(上側または下側)に向かう。このとき、レール416,417がリング溝26cに押し付けられる。これにより、レールとリング溝との間隔(サイドクリアランス)が小さくなるため、オイル消費量をかなり低減することが可能となる。
【0066】
以上説明したように、本実施例では、スペーサエキスパンダ410は、外周面を形成する略環状の第1の部材411と、内周面を形成する略環状の第2の部材412と、を含んでいる。第1の部材と第2の部材とは、中央領域が外周側に向かって突出した外形形状を有しており、互いに接合されている。第2の部材412を構成する第2の材料は、第1の部材411を構成する第1の材料よりも大きな熱膨張率を有しており、第1の材料の膨張量と第2の材料の膨張量とは、それぞれ、温度上昇に応じて滑らかに増大する。本実施例の構成を採用する場合にも、第1実施例と同様に、オイル消費量を効率よく低減させることができる。
【0067】
C.第3実施例:
図10は、第3実施例におけるオイルリングセット500の一部を示す概略斜視図である。このオイルリングセット500は、第1実施例(図3)と同様に、略環状のスペーサエキスパンダ510と、一対の略環状のサイドレール516,517と、を備えているが、エキスパンダ510が変更されている。
【0068】
本実施例のエキスパンダ510は、一対のレール516,517のそれぞれに向かって交互に屈曲した外形形状を有している。エキスパンダ410は、比較的小さく突出した受圧面部510sを外周側に備えており、比較的大きく突出した耳部510wを内周側に備えている。なお、耳部510wの外周側の面は、外側(すなわち、上側または下側)に向かうに連れて、内周側に傾いている。
【0069】
本実施例においても、エキスパンダ510は、2つの部材を含んでいる。具体的には、エキスパンダ510は、外周面を形成する略環状の第1の部材511と、内周面を形成する略環状の第2の部材512と、を備えており、2つの部材511,512は互いに接合されている。外周側の第1の部材511を構成する第1の材料は、熱膨張率の比較的低い材料に設定されており、内周側の第2の部材512を構成する第2の材料は、熱膨張率の比較的高い材料に設定されている。
【0070】
図11は、オイルリングセット500の概略断面図である。図11(A),(B)は、ピストン温度が比較的低い場合と比較的高い場合とのオイルリングセット500をそれぞれ示している。
【0071】
本実施例においても、第1実施例と同様に、ピストン温度が比較的高い場合(図11(B))には、熱膨張率の比較的高い内周側の第2の部材512が比較的大きく膨張することによって、熱膨張率の比較的低い外周側の第1の部材511の環が広げられる。そして、レール516,517は、エキスパンダ510の張力によって、シリンダ22の内側壁面を押圧力Paよりも大きな押圧力Pbで押圧することができる。この結果、ピストン温度が比較的高い場合、換言すれば、エンジンの回転数や負荷(トルク)が比較的大きい場合におけるオイル消費量の増大を緩和することができる。
【0072】
また、本実施例では、耳部510wは、熱膨張率の比較的高い第2の部材512のみで構成されている。このため、ピストン温度が比較的高い場合(図11(B))には、耳部510wは比較的大きく膨張することができる。また、耳部510wは、その先端部に向かう程、大きく膨張する。これにより、レール516,517の外周側がエキスパンダ410から離れ難くなり、この結果、オイル消費量を低減することができる。
【0073】
以上説明したように、本実施例では、スペーサエキスパンダ510は、外周面を形成する略環状の第1の部材511と、内周面を形成する略環状の第2の部材512と、を含んでいる。第1の部材と第2の部材とは、一対のサイドレール516,517のそれぞれに向かって交互に屈曲した外形形状を有しており、互いに接合されている。第2の部材512を構成する第2の材料は、第1の部材511を構成する第1の材料よりも大きな熱膨張率を有しており、第1の材料の膨張量と第2の材料の膨張量とは、それぞれ、温度上昇に応じて滑らかに増大する。本実施例の構成を採用する場合にも、第1実施例と同様に、オイル消費量を効率よく低減させることができる。
【0074】
C−1.第3実施例の変形例:
図12は、第3実施例の変形例におけるオイルリングセット500Aの概略断面図である。図12(A),(B)は、ピストン温度が比較的低い場合と比較的高い場合とのオイルリングセット500Aをそれぞれ示している。
【0075】
図12は、図11とほぼ同じであるが、第1の部材511Aと第2の部材512Aとの関係が変更されている。具体的には、図12では、外周側の第1の部材511Aを構成する第1の材料は、熱膨張率の比較的高い材料に設定されており、内周側の第2の部材512Aを構成する第2の材料は、熱膨張率の比較的低い材料に設定されている。
【0076】
この変形例においても、第3実施例と同様に、ピストン温度が比較的高い場合(図12(B))には、レール516,517は、エキスパンダ510Aの張力によって、シリンダ22の内側壁面を押圧力Paよりも大きな押圧力Pbで押圧することができる。ただし、この変形例では、熱膨張率の比較的高い外周側の第1の部材511Aが比較的大きく膨張することによって、熱膨張率の比較的低い内周側の第2の部材512Aの環が広げられる。換言すれば、外周側の第1の部材511Aは、内周側の第2の部材512Aを外周側に向かって引っ張る。このようなエキスパンダ510Aを採用する場合にも、ピストン温度が比較的高い場合、換言すれば、エンジンの回転数や負荷(トルク)が比較的大きい場合におけるオイル消費量の増大を緩和することができる。
【0077】
また、この変形例では、第1の部材511Aを構成する第1の材料の熱膨張率は、比較的高い。このため、ピストン温度が比較的高い場合(図12(B))には、受圧面部510sは、レール516,517をリング溝26cに比較的大きな力で押し付けることができる。このとき、レールとリング溝との間隔(サイドクリアランス)が小さくなり、この結果、オイル消費量をかなり低減することが可能となる。
【0078】
なお、この変形例では、耳部510Awは、熱膨張率の比較的低い第2の部材512Aのみで構成されている。したがって、図11の構成を用いる場合の方が、レール516,517の外周側をエキスパンダ410から離れ難くすることができる。
【0079】
ところで、ピストンのリング溝26cは、実際には、外周側に向かうに連れて上方に傾いている。そこで、変形例では、受圧面部510Asの形状が工夫されている。図13は、図12の受圧面部510As付近を拡大して示す説明図である。図示するように、受圧面部510Asは、その先端部に、リング溝26cとほぼ同じ傾きを有する斜面を有している。このような受圧面部510Asを有するエキスパンダ510Aを採用すれば、サイドクリアランスlをより小さくすることができるという利点がある。
【0080】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0081】
(1)上記実施例では、スペーサエキスパンダは、比較的小さく突出した受圧面部を外周側に備えており、比較的大きく突出した耳部を内周側に備えている。そして、受圧面部と耳部とが、サイドレールを支持する機能を有している。しかしながら、受圧面部は省略可能である。この場合には、耳部よりも外周側の比較的平坦な領域のみが、サイドレールを支持する機能を有する。
【0082】
また、上記実施例では、スペーサエキスパンダは、内周端にサイドレールの内周側の面に接触する耳部を備えているが、これに代えて、他の位置に凸部や凹部を備えていてもよい。例えば、スペーサエキスパンダは、その外周と内周との中間位置に凸部(または凹部)を備えており、サイドレールは、凸部に対応する位置に凹部(または凸部)を備えていればよい。
【0083】
スペーサエキスパンダは、一対のサイドレールを互いに離れた状態で支持し、一対のサイドレールが前記シリンダの内側壁面を押圧する押圧力を、一対のサイドレールに誘起させることができればよい。
【0084】
(2)上記実施例では、スペーサエキスパンダを構成する第1の部材と第2の部材とは、互いに接合されているが、2つの部材は接合されていなくてもよい。2つの部材が接合されている場合には、ピストンへの装着等において、スペーサエキスパンダの取り扱いが容易となるという利点がある。一方、2つの部材が接合されていない場合(すなわち、2つの部材が組み合わされる場合)には、接合の手間を省略することができるという利点がある。
【0085】
スペーサエキスパンダを構成する第1の部材と第2の部材とは、互いに接触していればよい。
【0086】
(3)上記実施例(図6,図9,図11)では、内周側の第2の部材を構成する第2の材料は、外周側の第1の部材を構成する第1の材料よりも大きな熱膨張率を有しているが、第3実施例の変形例(図12)に示すように、内周側の第2の部材を構成する第2の材料は、外周側の第1の部材を構成する第1の材料よりも小さな熱膨張率を有していてもよい。ただし、第2の材料が、第1の材料よりも大きな熱膨張率を有していれば、仮に、第1の部材と第2の部材とが接合されていなくても(図7)、ピストン温度が比較的高いときに比較的高い押圧力を得ることができる。
【0087】
第1の部材を構成する第1の材料と第2の部材を構成する第2の材料とは、互いに異なる熱膨張率を有していればよい。
【0088】
(4)上記実施例では、熱膨張率の比較的高い材料および比較的低い材料として、異なる金属材料が用いられているが、熱膨張率の比較的高い材料としては、樹脂を用いることも可能である。樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPA66(ポリヘキサメチレンアジポアミド)などを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のピストン装置を適用したガソリンエンジン10の概略構成を示す説明図である。
【図2】 図1のシリンダ22とピストン26との界面付近を示す説明図である。
【図3】 オイルリングセット300の一部を示す概略斜視図である。
【図4】 図3のスペーサエキスパンダ310の展開図である。
【図5】 図3のスペーサエキスパンダ310の全体を示す平面図である。
【図6】 オイルリングセット300の概略断面図である。
【図7】 スペーサエキスパンダの種々の変形例を示す説明図である。
【図8】 第2実施例におけるオイルリングセット400の一部を示す概略斜視図である。
【図9】 オイルリングセット400の概略断面図である。
【図10】 第3実施例におけるオイルリングセット500の一部を示す概略斜視図である。
【図11】 オイルリングセット500の概略断面図である。
【図12】 第3実施例の変形例におけるオイルリングセット500Aの概略断面図である。
【図13】 図12の受圧面部510As付近を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
10…エンジン
12…燃焼室
20…シリンダブロック
22…シリンダ
22a…冷却水通路
24…クランクケース
26…ピストン
26a,26b,26c…リング溝
27…コネクティングロッド
28…クランクシャフト
30…シリンダヘッド
31…吸気ポート
32…排気ポート
33…吸気バルブ
34…排気バルブ
36…点火プラグ
100…トップリング
200…セカンドリング
300…オイルリングセット(ピストンリングセット)
310,310B〜310D…スペーサエキスパンダ
310g…合口すき間
310h…ワイヤ孔
310s…受圧面部
310w…耳部(押圧力付与部)
311…第1の部材
312,312B〜312D…第2の部材
316,317…サイドレール
319…ワイヤ
400…オイルリングセット
410…スペーサエキスパンダ
410c…対向部
410n…切欠部
410s…受圧面部
410w…耳部
411…第1の部材
412…第2の部材
416,417…サイドレール
500,500A…オイルリングセット
510,510A…スペーサエキスパンダ
510s,510As…受圧面部
510w,510Aw…耳部
511,511A…第1の部材
512,512A…第2の部材
516,517…サイドレール

Claims (1)

  1. 内燃機関に適用されるピストン装置であって、
    シリンダと、
    前記シリンダ内で往復運動するピストンと、
    前記ピストンの側面に形成されたリング溝に挿入されたピストンリングセットと、
    を備え、
    前記ピストンリングセットは、
    前記シリンダの内側壁面上を摺動する略環状の一対のサイドレールと、
    前記一対のサイドレールを互いに離れた状態で支持し、前記一対のサイドレールが前記シリンダの内側壁面を押圧する押圧力を、前記一対のサイドレールに誘起させるための略環状のスペーサエキスパンダと、
    を備え、
    前記スペーサエキスパンダは、
    外周面を形成する略環状の第1の部材と、
    内周面を形成する略環状の第2の部材であって、前記第1の部材と面で接触するように形成される前記第2の部材と、
    前記一対のサイドレールの内周側の面に接触し、前記押圧力を前記一対のサイドレールに誘起させるための押圧力付与部と、
    を含み、
    前記第1の部材を構成する第1の材料と前記第2の部材を構成する第2の材料とは、互いに異なる熱膨張率を有しており、前記第1の材料の膨張量と前記第2の材料の膨張量とは、それぞれ、温度上昇に応じて滑らかに増大すると共に、
    前記第1の部材と前記第2の部材とは、互いに接合されており、
    前記第2の材料は、前記第1の材料よりも大きな熱膨張率を有しており、
    前記押圧力付与部は、前記第1の部材と前記第2の部材との双方で形成されており、
    前記スペーサエキスパンダは、外周側と内周側とに向かって交互に屈曲した外形形状を有している、ピストン装置。
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