JP4323024B2 - 窒素ガス発生方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス分離装置を用いた窒素ガス発生方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、窒素ガス発生装置101としては、図10に示されているように圧縮空気が供給され、この圧縮空気を窒素ガスと酸素ガスに分離する中空糸膜を用いたガス分離装置103が使用されており、このガス分離装置103で分離された窒素ガス(もしくは酸素ガス)は種々の工作機械に使用され、例えばレーザ加工機105のアシストガスに使用されている。
【0003】
供給される圧縮空気としては通常、圧縮空気供給源としてのコンプレッサ107で大気が圧縮され、なおかつこのコンプレッサ107からの圧縮空気が冷凍式ドライヤ109を使用して湿度が下げられた後にフィルタ111を経てガス分離装置103へ供給される。
【0004】
上記の中空糸膜により圧縮空気中にある水分(湿度)も除去されるため、分離された窒素ガスは供給された圧縮空気よりもさらに湿度が低くなり、一方、分離された酸素ガスはガス分離装置103に供給される圧縮空気よりも湿度が高くなる。
【0005】
また、他の窒素ガス発生装置113としては、図11又は図12に示されているようにガス分離装置103の前又は後に、配管を開閉するシャット弁としての例えば電磁弁115が設けられている。
【0006】
なお、中空糸膜を用いたガス分離装置103は、分離したガスが工作機械等で使用されていない時でも圧縮空気がガス分離装置103に供給されている限り常に圧縮空気を分離するように作動するので圧縮空気は常に消費される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の窒素ガス発生装置101では、中空糸膜を用いたガス分離装置103は元々圧縮空気中の湿度を除去する性能も合わせ持っているが、一定以上の高湿度の圧縮空気が供給されると中空糸膜が濡れてしまうために窒素ガスと酸素ガスの分離能力が低下してしまうという問題点があった。
【0008】
この場合、高湿度空気の供給が1〜2日の短期間であれば乾燥空気を供給することにより中空糸膜を再生することができるが、長期にわたって高湿度空気を供給した場合には乾燥空気を供給しても容易に再生できなくなり、必要な窒素濃度もしくは酸素濃度が得られなくなるという問題点があった。
【0009】
その理由は、乾燥空気を流して再生するための再生時間は、高湿度空気にさらされた時間ほどは長く無いが、高湿度空気にさらされた時間に比例して長くなる傾向があるからである。
【0010】
また、従来の他の窒素ガス発生装置113では、図11に示されているように電磁弁115がガス分離装置103の前の配管中に介設されている場合は、電磁弁115を閉じると電磁弁115以降の圧縮空気が中空糸膜より抜けてしまうので、再び電磁弁115を開放してガス分離装置103を使用するときには圧力が上がるまで時間がかかるようになってしまうだけでなく、供給された圧縮空気がそのまま出てきてしまうという問題点があった。
【0011】
また、図12に示されているように電磁弁115がガス分離装置103の後の配管中に介設されている場合は、電磁弁115を閉じるとガス分離装置103から電磁弁115までの配管中の分離ガスの濃度が徐々に上がっていくために、電磁弁115が開放されてガス分離装置103のガスが使用された後はしばらくの間、分離ガス濃度が安定しないという問題点があった。
【0012】
以上ことから、分離ガスをすぐに使えるようにするためには経済的でなくても図12に示されているようにガス分離装置103の後に設けた電磁弁115により分離ガスを制御する必要があると共に、常に使用可能な高圧力の分離ガスを準備しておくためには、コンプレッサ107を常時稼働しておく必要があるので、電気量とコンプレッサ107の消耗が激しいという問題点があった。
【0013】
本発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、例えば中空糸膜を用いたガス分離装置から得られる窒素ガスの濃度と圧力を安定させ、さらにその安定を低コストで実現し得る窒素ガス発生方法及びその装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1によるこの発明の窒素ガス発生方法は、圧縮空気から窒素ガスを分離する中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に配管して圧縮空気を前記複数のガス分離装置ヘ順に供給し、この圧縮空気の高湿度による劣化を最初のガス分離装置で発生せしめることにより、他のガス分離装置で安定した窒素ガスを得ることを特徴とするものである。
【0015】
したがって、ガス分離装置が複数にして直列に連結されているので、高湿度空気による劣化は必ず一段目のガス分離装置で発生される。
【0016】
請求項2によるこの発明の窒素ガス発生方法は、圧縮空気から窒素ガスを分離する中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に配管すると共に前記複数のガス分離装置に圧縮空気を供給して窒素ガスを分離せしめ、前記複数のガス分離装置の圧縮空気の流れを切り換えることにより、前記配管をバイパスし、前記複数のガス分離装置のうちの最初に劣化したガス分離装置と他の劣化していないガス分離装置との圧縮空気の供給順序を変更し、前記劣化していないガス分離装置から発生した乾燥した圧縮空気により前記劣化したガス分離装置の再生を行うことを特徴とするものである。
【0017】
したがって、ガス分離装置への空気供給順序を逆にする配管回路が設けられることにより、劣化した一段目のガス分離装置が二段目以降の劣化していないガス分離装置により再生される。
【0018】
請求項3によるこの発明の窒素ガス発生方法は、請求項2記載の窒素ガス発生方法において、中空糸膜を用いた前記複数のガス分離装置への圧縮空気の供給順序の変更を、一定時間毎に行うことにより、常時安定した窒素ガスを発生せしめることを特徴とするものである。
【0019】
したがって、複数のガス分離装置への圧縮空気供給順序を一定時間ごとに変更し、どちらの順序でも使用可能に配管されているので、複数のガス分離装置は常に安定した状態で使用される。
【0026】
請求項4によるこの発明の窒素ガス発生装置は、圧縮空気から窒素ガスを分離する中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に配管して圧縮空気を前記複数のガス分離装置ヘ順に供給し、この圧縮空気の高湿度による劣化を最初のガス分離装置で発生せしめることにより、他のガス分離装置で安定した窒素ガスを得ることを特徴とするものである。
【0027】
したがって、請求項1記載の作用と同様であり、ガス分離装置が複数にして直列に連結されているので、高湿度空気による劣化は必ず一段目のガス分離装置で発生される。
【0028】
請求項5によるこの発明の窒素ガス発生装置は、圧縮空気から窒素ガスを分離する中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に配管し、前記複数のガス分離装置に圧縮空気を供給して窒素ガスを分離せしめ、前記複数のガス分離装置の圧縮空気の流れを切り換えることにより、前記配管をバイパスし、前記複数のガス分離装置のうちの最初に劣化したガス分離装置と他の劣化していないガス分離装置との圧縮空気の供給順序を変更し、前記劣化していないガス分離装置から発生した乾燥した圧縮空気により前記劣化したガス分離装置の再生を行うことを特徴とするものである。
【0029】
したがって、請求項2記載の作用と同様であり、ガス分離装置への空気供給順序を逆にする配管回路が設けられることにより、劣化した一段目のガス分離装置が二段目以降の劣化していないガス分離装置により再生される。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の窒素ガス発生方法及びその装置の実施の形態について、例えば、ガス分離装置を用いて分離された窒素ガスがレーザ加工機のアシストガスに使用される場合について、図面を参照して説明する。
【0039】
図1を参照するに、本実施の形態に係わる窒素ガス発生装置1としては、中空糸膜を用いた2台のガス分離装置3A,3Bが、レーザ加工機5のアシストガスに必要な窒素濃度を得られるものとして直列に配管されて使用されている。
【0040】
上記の2台のガス分離装置3A,3Bに圧縮空気を供給する圧縮空気供給源としての例えばコンプレッサ7と、このコンプレッサ7で圧縮された圧縮空気からでる水滴を除去し湿度を下げるドライヤ9と、このドライヤ9を経て湿度が低下した圧縮空気からゴミやミストを除去するためのフィルタ11が設けられている。このフィルタ11を通過した圧縮空気は配管13Aを経てガス分離装置3Aに供給され、このガス分離装置3Aとガス分離装置3Bとは配管13Bで直列に連結されている。ガス分離装置3Bから発生される窒素ガスはアシストガスとしてレーザ加工機5へ配管13Cで供給されるように構成されている。
【0041】
上記のガス分離装置3Aの前後をバイパスする第1バイパス管15Aが配管13Aと配管13Bにそれぞれガスの流れを制御する切換弁17A,17Dにより連結されており、また、上記のガス分離装置3A並びにガス分離装置3Bの前後をバイパスする第2バイパス管15Bが配管13Aの切換弁17Aより後側に切換弁17Bで連結され、且つ配管13Cに切換弁17Eで連結されている。また、ガス分離装置3Aの後と切換弁17Dとの間の配管13Bには切換弁17Cを介して排出用管路19が連結されている。
【0042】
すなわち、上記の各切換弁17A〜17Eとしては図1の各配管13A〜13Cの分岐点に設けられ、圧縮空気の流す方向を制御できる例えば方向制御弁等が用いられている。
【0043】
図3を参照するに、ガス分離装置3についてより詳しく説明すると、分離容器21内に中空糸膜23を多数本、円柱状に束ねてなる中空糸膜フィルタ25が設けられている。分離容器21には一端側に空気取入れ口27と、他端側に窒素富化ガス取出し口29と、中間側壁部に酸素富化ガス取出し口31が設けられている。
【0044】
空気取入れ口27は分離容器21内にて中空糸膜フィルタ25の各中空糸膜23の一端部に直接連通されており、窒素富化ガス取出し口29は分離容器21内にて中空糸膜フィルタ25の各中空糸膜23の他端部に直接連通されている。酸素富化ガス取出し口31は中空糸膜フィルタ25の外周と分離容器21の中間側壁部の内周壁面との間に形成される円環状断面の中間室33に直接連通されている。
【0045】
空気取入れ口27から導入された圧縮空気は、図4に示されているように中空糸膜フィルタ25の中空糸膜23の中空部35に流入され、圧縮空気のうちの酸素ガスの大部分は酸素と窒素との分子の大きさの違いにより、中空糸膜23の壁面の微細孔を通過して中間室33へ流れる。その残りの窒素富化ガスのみが各中空糸膜23の中空部35を通過して窒素富化ガス取出し口29へ流れる。このようにして圧縮空気が酸素富化ガスと窒素富化ガスに分離される。
【0046】
上記構成により、通常使用する場合は図1において太線で示されているように、フィルタ11からの圧縮空気が配管13A、ガス分離装置3A、配管13B、ガス分離装置3B、配管13C、レーザ加工機5へ順に流れるように上記の各切換弁17A〜17Eが切り換えられる。
【0047】
このように、複数のガス分離装置3A,3Bが直列に配管13A,13B,13Cで接続されて使用されるので、ドライヤ9が故障した場合、コンプレッサ7により圧縮された大気は高湿度の圧縮空気となって直列に配管13Aで接続された最初のガス分離装置3Aに供給される。このときガス分離装置3A内の中空糸膜モジュールは高湿度空気により窒素分離能力が劣化されながらも圧縮空気の湿度を低下させるので、ガス分離装置3Aを経てガス分離装置3B内の中空糸膜23には乾燥した圧縮空気が供給されるために劣化しない。したがって、乾燥した必要な窒素濃度の窒素ガスが得られる。
【0048】
図2を参照するに、上記の図1に示されているように使用されたために劣化したガス分離装置3Aの中空糸膜23を再生する場合には、図2において太線のように先ず劣化していないガス分離装置3Bを通してからガス分離装置3Aに圧縮空気が流れるようにする。
【0049】
この場合はフィルタ11からの圧縮空気が配管13A、切換弁17A、第1バイパス管15A、切換弁17D、配管13B、ガス分離装置3B、配管13C、切換弁17E、第2バイパス管15B、切換弁17B、配管13A、ガス分離装置3A、配管13B、切換弁17C、排出用管路19へ順に流れるように上記の各切換弁17A〜Eが切り換えられることにより、ガス分離装置3Aには必ずガス分離装置3Bからの乾燥空気が供給されるので再生される。
【0050】
また、図5及び図6を参照するに、この場合の窒素ガス発生装置1としては、前述した図1及び図2に示されている構造とほぼ同様であるが、図1及び図2における排出用管路19に変えて第3バイパス管15Cが用いられ、この第3バイパス管15Cの後端側は切換弁17Eとレーザ加工機5との間の配管13Cに切換弁17Fで連結されている。
【0051】
したがって、ガス分離装置3Aとガス分離装置3Bに供給される圧縮空気の供給順番を一定時間ごとに切り換えられる操作が行われることにより、各ガス分離装置3A,3Bは常に再生されながら安定した窒素濃度のガスを発生することが可能となるため、再生中のガスも大気開放することなく効率的に行われる。
【0052】
より詳しくは、図5の場合の圧縮空気は図1の流れと同様であり、圧縮空気は再生済の劣化していないガス分離装置3Aを経て乾燥されている圧縮空気となり、この乾燥空気は劣化しているガス分離装置3Bへ供給されるので、ガス分離装置3Bは再生されると共に必要な窒素濃度のガスが得られてレーザ加工機5へ供給される。
【0053】
図6の場合の圧縮空気は図2の流れとほぼ同様の流れを経過し、再生済の劣化していないガス分離装置3Bを経て乾燥されている圧縮空気となり、この乾燥空気は劣化しているガス分離装置3Aへ供給されるので、ガス分離装置3Aは再生されると共に必要な窒素濃度のガスが得られてから、配管13B、切換弁17C、第3バイパス管15C、切換弁17F、配管13Cを経てレーザ加工機5へ供給される。
【0054】
このとき、配管経路切換時の圧力変化をなくすために、ガス分離装置3とレーザ加工機5の間に、つまり配管13Cでレーザ加工機5の直前に窒素ガスを貯留するためのタンクが設置されてもよい。
【0055】
また、上記の図1〜図6の配管13の構成による連続安定濃度の窒素ガス供給には、多湿空気によるガス分離装置3の劣化速度が乾燥空気による再生速度より遅いときに有効である。したがって、再生速度が劣化速度より遅いガス分離装置3の場合には再生するガス分離装置3に入る配管途中に圧縮空気の温度を上げるためのヒータを設け、再生速度を劣化速度よりも早くすることもできる。
【0056】
また、前述した実施の形態ではガス分離装置3を再生するときと窒素ガスを発生するときを、いずれも空気入れ口を同方向としている。しかし中空糸膜23を使用したガス分離装置3を乾燥空気で再生する場合、空気入れ口を逆にした方が再生速度が上がるものがある。
【0057】
したがって、再生される方のガス分離装置3の空気導入方向が逆になるように配管されても構わない。例えば、図7に示されているように配管し、ガス分離装置3Bからの乾燥空気が再生される方のガス分離装置3Aの逆方向から導入されるようにできる。
【0058】
この場合は第1バイパス管15Aに切換弁17Gを介して第4バイパス管15Dを連結し、この第4バイパス管15Dの右端が配管13Cの切換弁17Fを介して連結される。
【0059】
つまり、フィルタ11からの圧縮空気が配管13A、切換弁17A、第1バイパス管15A、切換弁17G、切換弁17D、配管13B、ガス分離装置3B、配管13C、切換弁17F、第3バイパス管15C、切換弁17C、配管13B、ガス分離装置3A、配管13A、切換弁17B、第2バイパス管15B、切換弁17E、配管13C、レーザ加工機5へ順に流れるように上記の各切換弁17A〜17Fが切り換えられることにより、ガス分離装置3Aには必ずガス分離装置3Bからの乾燥空気が逆方向から導入されて再生される。
【0060】
一方、ガス分離装置3Bが再生される場合には、図8に示されるようにガス分離装置3Aからの乾燥空気がガス分離装置3Bへ逆方向から導入するために、フィルタ11からの圧縮空気が配管13A、ガス分離装置3A、切換弁17C、第3バイパス管15C、切換弁17F、配管13C、切換弁17E、ガス分離装置3B、配管13B、切換弁17D、切換弁17G、第4バイパス管15D、切換弁17F、配管13C、レーザ加工機5へ順に流れるように上記の各切換弁17A〜17Fが切り換えられる。
【0061】
また、前述した実施の形態の配管13では極論するとガス分離装置3に使用されているドライヤ9を不要にすることが可能となるために、ドライヤ9をなくす目的のガス分離装置3として使用されても構わない。
【0062】
本発明の他の実施の形態に係わる窒素ガス発生装置1としては、図8に示されているように中空糸膜23を用いたガス分離装置3として、レーザ加工機5のアシストガスに必要な窒素濃度を得られるものが開示されている。
【0063】
上記のガス分離装置3に圧縮空気を供給するコンプレッサ7と、このコンプレッサ7で圧縮された空気から出る水滴を除去し湿度を下げるドライヤ9と、ゴミやミストを除去するためのフィルタ11は前述した実施の形態と同様である。
【0064】
上記のフィルタ11から圧縮空気をガス分離装置3へ供給する供給管路37には管路を開閉する切換弁としての例えば電磁弁39が設けられており、ガス分離装置3の後の管路41にはガス分離装置3からの窒素ガスを逆止弁43を介して流入せしめて貯留するタンク45が設けられており、このタンク45は貯留された窒素ガスをレーザ加工機5へ供給可能にするある程度の大きさを有している。
【0065】
また、タンク45の圧力を検出する圧力検出装置としての例えば圧力スイッチ47がタンク45に設けられており、上記の電磁弁39は圧力スイッチ47により開閉を制御可能に電気的に接続されている。
【0066】
また、レーザ加工機5にはアシストガスを開閉する電磁弁と圧力をコントロールする減圧弁等が配置されており、タンク45の窒素ガスがアシストガスとして発生窒素ガスの状況に依り、断続的に使用される。
【0067】
上記構成により、レーザ加工機5でタンク45の窒素ガスが使用されると、タンク45の内圧が下がるので圧力スイッチ47が働き電磁弁39が開放される。
【0068】
電磁弁39が開かれると圧縮空気がコンプレッサ7からガス分離装置3に供給されるが、タンク45とガス分離装置3との間の管路41に逆止弁43が設けられているので、ガス分離装置3内の圧力がタンク45の圧力以上にならないとタンク45にはガス分離装置3で分離された窒素ガスは供給されない。
【0069】
したがって、レーザ加工機5で窒素ガスが使用されてもすぐに圧力低下するなどの影響を受けないほどの適当な容量のタンク45が選定されることによって、ガス分離装置3内の圧力が上がるまでの間にタンク45の内圧が維持されるので、従来のようにガス分離装置3からの未処理の圧縮空気が直接レーザ加工機5へ供給されて加工に使用されるという事態は防げられると共に、レーザ加工に用いられる窒素ガスの純度の安定を図ることができる。
【0070】
また、レーザ加工機5でアシストガスの使用が停止されると、タンク45の内圧が上昇するので所定の圧力で圧力スイッチ47が働いて電磁弁39が閉じられる。電磁弁39が閉じられるとガス分離装置3の内圧は抜けるが、逆止弁43によりタンク45内の窒素ガスの圧力は維持される。またこの間、通常のコンプレッサ7についている自動発停やロードアンロード運転機能によりコンプレッサ7の消費電力は削減できる。
【0071】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。本実施の形態では窒素ガスを使用する工作機械としてレーザ加工機を例にとって説明したがその他の工作機械であっても構わない。
【0072】
また、前述した実施の形態では中空糸膜を使用したガス分離装置について説明されているが同様の方法で吸着材を使用するPSA(Pressue Swing Adsorption)式ガス発生装置が用いられても同様の効果が得られる。この場合は、PSA式ガス発生装置が前述した中空糸膜を使用したガス分離装置に変えられるだけで、他の構成は同様である。
【0073】
また、前述した実施の形態では圧縮空気の開閉に電磁弁と圧力スイッチが使用される構成であるが、他の実施の形態としてタンク内圧とコンプレッサ供給空気圧の差圧をトリガーにして電磁弁を開閉する方法もある。また電磁弁の代わりにシリンダー弁等の開閉を制御できる弁なら何でも良い。
【0074】
また、前述した逆止弁も圧力スイッチにより起動する電磁弁等でも代用可能である。
【0075】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態から理解されるように、請求項1の発明によれば、中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に連結しているので、高湿度空気による劣化は必ず一段目のガス分離装置で発生するようにできる。
【0076】
請求項2の発明によれば、中空糸膜を用いた複数のガス分離装置への圧縮空気供給順序を逆にする配管回路を設けることで、劣化した一段目のガス分離装置を二段目以降の劣化していないガス分離装置により再生することができる。
【0077】
請求項3の発明によれば、中空糸膜を用いた前記複数のガス分離装置への圧縮空気供給順序を一定時間ごとに変更し、どちらの順序でも使用できるように配管されているので、ガス分離装置を常に安定した状態で使用することができる。
【0083】
請求項4の発明によれば、請求項1記載の効果と同様であり、中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に連結しているので、高湿度空気による劣化は必ず一段目のガス分離装置で発生するようにできる。
【0084】
請求項5の発明によれば、請求項2記載の効果と同様であり、中空糸膜を用いた複数のガス分離装置への圧縮空気供給順序を逆にする配管回路を設けることで、劣化した一段目のガス分離装置を二段目以降の劣化していないガス分離装置により再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すもので、窒素ガス発生装置におけるガスの流れを示す概略的な配管図である。
【図2】図1と同様の窒素ガス発生装置におけるガスの他の流れを示す概略的な配管図である。
【図3】本発明の実施の形態で使用されるガス分離装置の詳細断面図である。
【図4】中空糸膜と構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態を示すもので、他の窒素ガス発生装置におけるガスの流れを示す概略的な配管図である。
【図6】図5と同様の窒素ガス発生装置におけるガスの他の流れを示す概略的な配管図である。
【図7】本発明の実施の形態を示すもので、他の窒素ガス発生装置の再生に際しガスの流れを示す概略的な配管図である。
【図8】本発明の実施の形態を示すもので、他の窒素ガス発生装置の再生に際しガスの流れを示す概略的な配管図である。
【図9】本発明の実施の形態を示すもので、他の窒素ガス発生装置の概略的な配管図である。
【図10】従来の窒素ガス発生装置の概略的な配管図である。
【図11】従来の他の窒素ガス発生装置の概略的な配管図である。
【図12】従来の他の窒素ガス発生装置の概略的な配管図である。
【符号の説明】
1 窒素ガス発生装置
3 ガス分離装置
5 レーザ加工機(工作機械)
7 コンプレッサ(圧縮空気供給源)
13A〜13C 配管
15A 第1バイパス管
15B 第2バイパス管
15C 第3バイパス管
15D 第4バイパス管
17A〜17G 切換弁
23 中空糸膜
39 電磁弁
43 逆止弁
45 タンク
47 圧力スイッチ(圧力検出装置)

Claims (5)

  1. 圧縮空気から窒素ガスを分離する中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に配管して圧縮空気を前記複数のガス分離装置ヘ順に供給し、この圧縮空気の高湿度による劣化を最初のガス分離装置で発生せしめることにより、他のガス分離装置で安定した窒素ガスを得ることを特徴とする窒素ガス発生方法。
  2. 圧縮空気から窒素ガスを分離する中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に配管すると共に前記複数のガス分離装置に圧縮空気を供給して窒素ガスを分離せしめ、前記複数のガス分離装置の圧縮空気の流れを切り換えることにより、前記配管をバイパスし、前記複数のガス分離装置のうちの最初に劣化したガス分離装置と他の劣化していないガス分離装置との圧縮空気の供給順序を変更し、前記劣化していないガス分離装置から発生した乾燥した圧縮空気により前記劣化したガス分離装置の再生を行うことを特徴とする窒素ガス発生方法。
  3. 中空糸膜を用いた前記複数のガス分離装置への圧縮空気の供給順序の変更を、一定時間毎に行うことにより、常時安定した窒素ガスを発生せしめることを特徴とする請求項2記載の窒素ガス発生方法。
  4. 圧縮空気から窒素ガスを分離する中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に配管して圧縮空気を前記複数のガス分離装置ヘ順に供給し、この圧縮空気の高湿度による劣化を最初のガス分離装置で発生せしめることにより、他のガス分離装置で安定した窒素ガスを得ることを特徴とする窒素ガス発生装置。
  5. 圧縮空気から窒素ガスを分離する中空糸膜を用いた複数のガス分離装置を直列に配管し、前記複数のガス分離装置に圧縮空気を供給して窒素ガスを分離せしめ、前記複数のガス分離装置の圧縮空気の流れを切り換えることにより、前記配管をバイパスし、前記複数のガス分離装置のうちの最初に劣化したガス分離装置と他の劣化していないガス分離装置との圧縮空気の供給順序を変更し、前記劣化していないガス分離装置から発生した乾燥した圧縮空気により前記劣化したガス分離装置の再生を行うことを特徴とする窒素ガス発生装置。
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