図1を参照すると、本発明によるワイヤレス通信システムの一実施形態は、赤外線(IR)または無線周波(RF)信号16、好ましくは、マルチチャネル・ディジタル化オーディオ・データ、較正データ、ならびにコードまたは制御データを含むフォーマット済みディジタル・ビット・ストリームを介してヘッドセット・ユニット14と通信する送信機サブシステム12を含むワイヤレス・ヘッドホン・システム10である。送受信されるデータは、赤外線通信協会またはIRDAなどのIRデータ通信に関する業界標準に適合するかまたはそれと互換性のあるものである可能性がある。
送信機サブシステム12のIR送信機セクション18は、DSPエンコーダおよびコントローラ24、27、28、および/または30などの1つまたは複数のディジタル信号プロセッサまたはDSPからディジタル化オーディオ・データを受信する適切なIR送信機ドライバ22によって駆動される赤外線発光ダイオードまたはLEDなどのIR送信機20を含む。IR送信機セクション18によって提供されるディジタル・データ・ストリームは、好ましくは、図3、図10、および図16に関連して本明細書で後述するプロプラエタリ・フォーマットのいずれか1つによりフォーマットされる。
ディジタル化オーディオ・データは、別々に設けるか、IR送信機セクション18と結合するか、またはマスタ・コントローラ26内のDSPエンコーダおよびコントローラ24と結合することができる信号コンバイナ/マルチプレクサ32内で結合された複数のこのようなDSPエンコーダおよびコントローラからIR送信機ドライバ22に印加することができる。マスタ・コントローラ26は、オーディオ装置34などの第1のオーディオ装置内に含めるか、個別ユニットとして設けるか、またはIR送信機セクション18内に含めることができる。
マスタ・コントローラ26がオーディオ装置34内に含まれるシステム構成では、オーディオ装置34と、IR送信機セクション18と、ヘッドセット・ユニット14とを含むワイヤレス・ヘッドホン・システム10は、図3、図10、および図16に関連して本明細書で後述するプロプラエタリ・フォーマットにより、マルチチャネル・ワイヤレス・ヘッドホン・システムとしての使用のために容易にアップグレード可能な単一チャネル・ワイヤレス・ヘッドホン・システムとしての使用に適した基本または入門レベルのシステムとして有利に機能することができる。例証のため、オーディオ装置34は、それぞれがステレオ・チャネル1回路42などのステレオ処理回路に接続されたライン1ソース38およびライン2ソース40などの第1および第2のオーディオ・ソースを有するオーディオ・ステージ36を含むものとして図1に示されており、その出力はマスタ・コントローラ26に印加される。オーディオ装置34はそれにより、モノラルおよびステレオ・ラジオ、CDおよびカセット・プレーヤ、ミニディスク・プレーヤ、ならびにコンピュータ、テレビ受像機、DVDプレーヤなど、他のタイプの信号を提供する電子装置のオーディオ部分を含む任意のオーディオ・ソースを表している。
初期取付けの一部として含まれるか後でアップグレードされるかにかかわらず、MP3、WMA、またはその他のディジタル・オーディオ・フォーマット・プレーヤ44などの第2のオーディオ・ソースは、第2のチャネルのステレオ・オーディオ信号を提供するためにワイヤレス・ヘッドホン・システム10内に含めることができる。特に、MP3プレーヤ44は、都合のよいことに、ライン3ソース48およびライン4ソース50をステレオ・チャネル回路52に提供するオーディオ・ステージ46によって表すことができ、その出力はライン・アウト、スピーカ・アウト、またはヘッドホン・アウト・ポートにすることができる。図1に示す通り、ステレオ・チャネル回路52の出力は、オーディオ装置34内に含まれるマスタ・コントローラ26の信号コンバイナ/マルチプレクサ32内で結合するためにDSPエンコーダおよびコントローラ27に印加することができる。このようにして、MP3プレーヤ44などの未変更の従来のステレオ・オーディオ・ソースは、DSPエンコーダおよびコントローラ27などのアドオンDSP装置の使用により、ワイヤレス・ヘッドホン・システム10に追加することができる。
別法として、ディジタル化オーディオ信号の生成に関するなど他の目的のためにオーディオ・ソース内に含まれるDSP装置は、ワイヤレス・ヘッドホン・システム10に追加のデータ・チャネルを提供するために必要な制御およびフォーマットを可能にするようにプログラミングすることができる。特に、新ユニット・アドイン装置54は、含まれるDSPが図3に関して本明細書で後述するプロプラエタリ・フォーマットとの互換性のためにプログラミングされているオーディオ・ソースの典型例として示されている。装置54は一般にライン5ソース56ならびにライン6ソース58を含み、どちらも信号コンバイナ/マルチプレクサ32への印加のためにステレオ・チャネル回路60を介してDSPエンコーダおよびコントローラ28に接続されている。
同様に、アナログ・オーディオ装置は、レガシー・アダプタ62などのレガシー・アダプタの使用により、ワイヤレス・ヘッドホン・システム10に含めることができる。レガシー・アダプタ62は、ライン7アナログ・オーディオ入力64とライン8アナログ・オーディオ入力66とを含むものとして示されており、どちらもDSPエンコーダおよびコントローラ30への印加のためにステレオ・チャネル回路68に接続されている。ライン1〜8として明示されているオーディオ入力のうちのいずれか1つは、単独で個別モノラル入力として、またはステレオおよびモノラル入力の他の都合のよい組み合わせで、またはホームシアタ5.1または7.1システムなどのより複雑なオーディオ・フォーマットの一部として使用されるステレオ入力ラインとして対にすることができることに留意されたい。また、ライン1〜8のうちの任意の1つまたは複数は、本明細書の他の箇所でより詳細に記載するように、非オーディオ・データを送信するために使用することもできる。
図1に示す通り、ワイヤレス・ヘッドホン・システム10は、1つまたは複数のディジタル・オーディオ・ソースを含むことができ、1つまたは複数のアナログ・オーディオ・ソースを含むこともできる。図示の通り、送信機サブシステム12は、DSPエンコーダおよびコントローラ24、27、28、30などの複数のDSPのそれぞれからディジタル信号が供給される信号コンバイナ/マルチプレクサ32などの単一ディジタル信号コンバイナを含むことができる。アナログ信号入力を使用する送信機サブシステム12の代替構成については、図2に関してより詳細に後述する。
さらに図1を参照すると、IR送信機セクション18内のIR送信機20は、ヘッドセット受信機ユニット14内のIR受信機70への直接見通し経路を有する都合のよい位置から、IR信号16として明示されているIRデータのディジタル・ビット・ストリームを生成する。ホームシアタ適用例では、IR送信機20は、都合のよいことに、聴取者が位置する部屋が明瞭に見えるTVキャビネットの上部に位置することができる。乗物適用例では、IR送信機20は、乗員用コンパートメントの中心にある室内灯内に位置することができ、または望ましく実用向きの位置(室内灯付近など)に取り付けた個別コンポーネントにすることができる。複数のヘッドセット受信機ユニット14が同じIR送信機20によって駆動されるより大きい領域では、IR送信機セクション18は、それぞれが都合のよいことに1つまたは複数のヘッドセット受信機ユニット14への直接見通し経路を有するように位置する複数のIR送信機20を含むことができる。他の実施形態では、図17に関して他の箇所に記載するように、より長い距離を越えてまたはそうでなければ送信機20からヘッドセット受信機ユニット14のうちの任意の1つまたは複数への直接見通し線(複数も可)をブロックする可能性のある障害物を回って単一送信機20によって送信されるディジタル・ビット・ストリームを中継するために、IR送信リピータを設けることができる。
多くの適用例では、IR受信機70の出力は、都合のよいことに、IR受信信号プロセッサ72によって処理することができる。いずれの場合も、受信後にIR信号16は、処理のためにDSP76に印加すべき個別ディジタル信号をステレオ・チャネル1〜4に提供するように処理するために、クロック、デマルチプレクサ、およびコントローラを含むデコーダ74に印加される。DSP76は、都合のよいことに、単一DSPユニットのみが必要になるように多重化DSPにすることができる。別法として、複数のDSPユニットまたはサブユニットを設けることもできる。
ステレオ・オーディオ・チャネル1〜4は、都合のよいことに、それぞれ、個別の左および右チャネルとして処理することができ、その結果、図示の通り、チャネル(CH)1L、2R、2L、2R、3L、3R、4L、および4Rになる。前述の通り、これらのオーディオ・チャネルのそれぞれは、単一モノラル・オーディオまたはデータ・チャネルとして使用するか、または本明細書に示すように結合してサブ複数のステレオ・チャネルを形成することができることに留意されたい。結果として得られるオーディオ・チャネルは、全体としてヘッドホン80として明示されているワイヤレス・ヘッドホン・ヘッドセット・イヤホンに選択的に印加するために切換えセレクタ78にとって使用可能なものになる。
一般に、切換えセレクタ78は、都合のよいことに、ヘッドホン80に印加すべきステレオ・チャネル1〜4のうちの1つを選択するために聴取者が使用することができる。別法として、ステレオ・チャネルのうちの1つまたは複数は、聴取者によって選択可能であるかまたは特定の情況では特定のイベントが発生したときに自動的に選択可能な1つまたは2つのモノラル・チャネルを設けるために使用することができる。ヘッドホン80が4つ(または他の任意の数)のステレオ・オーディオ・チャネルを受信するように装備されているが、オーディオ装置34による送信のために使用可能なチャネルの数がそれより少なくなっている場合、実際に送信されるチャネルの数をディジタル・ビット・ストリームの信号16に組み込むことができ、このヘッドホンによりユーザは使用可能なチャネルのみを選択することができる(たとえば、2つのチャネルのみが送信される場合、ユーザは、2つまたはそれ以上の「デッド」チャネルを通過する必要なしに、この2つのチャネル間で切換えることができるだけであろう)。
たとえば、切換えセレクタ78は聴取者がチャネル1〜3などの3つのステレオ・チャネルのうちの1つを選択できるように構成することができ、ステレオ・チャネル4Lはモノラル電話チャネルを提供するために使用することができ、チャネル4Rは正面玄関モニターまたは乳児モニターなどのオーディオ信号を提供するために使用することができる。乳児モニターの場合、たとえば、乳児モニター・チャネルのオーディオ・レベルが事前設定レベルを超えたときに必ずステレオ・チャネルのうちの1つに関する聴取者の選択を自動的に指定変更して乳児モニター・オーディオを選択するように、切換えセレクタ78を構成することができる。さらに、乳児モニター・チャネルのオーディオ・レベルがもはや事前設定レベルを超えなくなってから固定期間または調整可能な期間後に、聴取者によって以前に選択されたステレオ・チャネルに自動的に戻るように、切換えセレクタ78を構成することができる。
別法として、ステレオ・チャネル1〜3は、ホームシアタおよび商用シアタに使用される5.1フォーマットなどのオーディオ・フォーマットを提供するために使用することもできる。このタイプのフォーマットでは、表示されるビデオの左右に位置する前部ステレオ・サウンド・ソースを提供するために第1のステレオ・チャネルが使用される。同様に、聴取者の後ろの左右に位置する後部ステレオ・サウンド・ソースを提供するために第2のステレオ・チャネルを使用することができる。いわゆる第5チャネルは、左右の前部ステレオ・ソース間の中心に位置する非ステレオ・サウンド・ソースを提供するモノラル・チャネルにすることができる。さらに他のモノラル・チャネルは、いわゆる「.1」チャネルを表しており、都合のよいことに、より低い可聴周波数が提示された結果として、その実際の位置があまり重要ではない可能性がある低周波ウーファまたはサブウーファ・チャネルにすることができる。同様に、ステレオ・チャネル1〜4は、いわゆる7.1オーディオ・フォーマットでオーディオを提供するために使用することができる。
ヘッドホン80は、都合のよいことに、特に複数のステレオまたはモノラル・チャネルに関するユーザ選択または自動選択あるいは指定変更選択を可能にするように構成されたワイヤレス・ヘッドホン・システム10で使用するために、聴取者の耳に隣接して都合よく位置決めするために取り付けられた1対のヘッドホン・スピーカにすることができる。ヘッドホン80は、この構成では、合成により5.1フォーマットなどのフォーマットで聴取者にオーディオを提示するために使用することができる。たとえば、5.1フォーマットの中心チャネルは、前部の左右のチャネルの各部分を結合することによって合成することができる。
別法として、図5に関して後述するように、ヘッドホン80の代替構成は、聴取者の耳に隣接する適切な位置に取り付けられた複数対のヘッドホン・スピーカを設けることにより、特定のフォーマットのより望ましい表現を提供するために使用することができる。たとえば、第1対のスピーカは、前部の左右のチャネルを再生し、中心チャネルを合成するために前方位置に位置決めすることができ、第2対のスピーカは、後部の左右のチャネルを再生するために後方位置に位置決めすることができ、サブウーファ(.1)チャネルを提供するためにスピーカを支持するヘッドバンドに取り付けられた共振空洞が使用される。
また、デコーダ74は、追加の機能を提供するために使用する制御信号を生成するために使用することもできる。たとえば、本明細書の他の箇所に記載するように、エラー・チェック、省電力化、自動チャネル選択、その他の機能のためにオーディオ装置34によって送信されるディジタル・ビット・ストリームに制御信号を組み込むことができる。DSP76に提供されるオーディオ信号に加え、バッテリ・システム84に印加するための電力制御信号82を提供するためにデコーダ74を使用することもできる。特に、他の箇所で述べたプロプラエタリ・フォーマットで含まれるコードのデコードに応答して、デコーダ74は、バッテリ・システム84からワイヤレス・ヘッドホン・システム10へのバッテリ電力の印加を維持する信号を提供することができる。その後、このコード化信号が適切な期間の間、受信されない場合、バッテリ電力は、システム10への印加を中止し、オーディオ信号または少なくともフォーマット済み信号のソースがもはや存在しないときにバッテリ電力を保存するためにシステム10をオフにする自動オートオフ機能を提供することになるだろう。この機能は、都合のよいことに、システム10が自動車内で使用される適用例で使用することができる。自動車のイグニッションがオフになると、バッテリ寿命を保存するために、バッテリ・システム84からヘッドセット受信機ユニット14に印加される電力が停止される。他の箇所で述べるように、自動オートオフ機能は、エラー・チェック機能が所定数のエラーを検出したときに呼び出すこともできる。
次に図2を参照すると、代替実施形態では、送信機サブシステム13は、信号結合およびフォーマット制御機能を提供するようにプログラミングされ、オーディオ信号をディジタル化するための単一DSPによって構成することができる。特に、IR送信機セクション18への入力は、それぞれステレオ集積回路またはIC42、52、60、68によって提供されるステレオ・チャネル1、2、3、4からのアナログ・オーディオ信号対をその入力として受信する、適切に構成されたDSPエンコーダおよびコントローラ24によって直接提供することができる。本発明はDSPの使用に限定されず、ゲート・アレイまたはASIC(特定用途向け集積回路)などの任意の他の電子回路を含み、本明細書に記載した諸機能を実行するための任意の実用向きの手段も使用することができ、その手段は本発明の範囲内である。しかし、理解しやすくするため、本明細書全体を通してDSPという用語を使用する。
オーディオ・ステージ36内のステレオ・チャネル回路42用のステレオ入力のソースは、都合のよいことに、オーディオ・ステージ36およびライン1ソース38にすることができる。MP3プレーヤ44内のステレオ・チャネル回路52用のステレオ入力のソースは、オーディオ・ステージ46によって提供されるライン3ソース48およびライン4ソース50にすることができる。同様に、新ユニット・アドイン装置54およびレガシー・アダプタ62内のステレオ・チャネル回路60および68用のステレオ入力のソースは、それぞれ、ライン5ソース56およびライン6ソース58ならびにライン7アナログ・オーディオ入力64およびライン8アナログ・オーディオ入力66にすることができる。4つのステレオ・ソースをすべて結合して5.1などの複雑なフォーマットに必要なオーディオ信号を提供する場合もあれば、このようなステレオ・チャネルのうちの1つまたは複数を複数オーディオ・チャネルとして使用できることは、留意すべき重要なことである。
次に図3を参照すると、IR信号16のフォーマットまたは構造がより詳細に示されている。IR信号16は、4つのステレオ・チャネル用のディジタル化オーディオ・データならびに様々な較正および制御データを含むディジタル・データのビット・ストリームを形成する。一実施形態では、IR信号16は、少なくとも10.4MHzの周波数または速度のディジタル・データの未圧縮ストリームである。好ましくは、パルス位置変調(PPM)エンコードが使用される。このエンコードは、情報またはデータを伝達するための時間またはシーケンスにおけるパルスの位置を使用することにより、送信される信号の平均電力レベルを大幅に増加せずに、実際に送信されるパルスの電力レベルを増加するものである。PPMエンコードでは、エンコードされていないディジタル・ビット・ストリーム内の第1の電力レベルで1対のビットとして搬送される同じ量の情報が4通りの可能なビット位置(4パルス位置変調またはPPM−4エンコードの場合)のうちの1つで使用される単一ビットによって伝達可能であるので、この省電力化が行われる。このため、パルス位置エンコードで送信される単一ビット内の電力レベルは、エンコードされていないビット・ストリーム内の1対のビットのそれぞれのレベルの2倍になる可能性があるが、平均電力レベルは変わらない。
図3に示す通り、IR信号16は、都合のよいことに単純にすべて0で形成された16ビット・ワードにすることができるギャップ100によって互いに分離された複数の送信信号(または、本明細書の他の箇所に記載するように、パケット)86を含む。ギャップ100は、図4に関してより詳細に後述するように、受信機のデコードを送信機のクロック速度に同期させるためのクロッキング情報を伝達するために有用なものである。
送信信号またはパケット86は、都合のよいことに、図示の通り、ヘッダ・セクション87とデータ・セクション88という2つのセクションにパーティション化することができる。データ・セクション88は、都合のよいことに、処理される4つのステレオ信号に含まれる8つのオーディオ・データ・ストリームのそれぞれの25個のサンプルから構成することができる。たとえば、データ・セクション88はステレオ・チャネル1左のサンプル・ディジタル出力を表すワード103を含むことができ、ワード104はステレオ・チャネル1右のサンプル・ディジタル出力を表し、残りの3つのステレオ・チャネルの表現がそれに続いている。8つのディジタル・ワードからなるこの最初に記述したグループは単一サンプルを表し、8つのオーディオ信号すべての逐次サンプルからなる他の24個のセットがそれに続いている。この例では、各データ・セクション88は、25個のオーディオ・データ・サンプルを提供するために400個のディジタル・ワードを含む。図1に示すDSPエンコーダおよびコントローラ24内に含まれるアナログ・ディジタルまたはA/D変換機能のデータ転送速度が16ビットである場合、各チャネルに関する第1の8ビット・ワードは、したがって、各サンプルのハイ・ビット部分を表すことができ、第2の8ビット・ワードはそのサンプルのロー・ビット部分を表すことができるであろう。
次に図1も参照すると、チャネル3左などの特定のモノラルまたはステレオ・チャネルを選択するように切換えセレクタ78を操作した場合、そのサンプルの既知の順序を使用して、ヘッドセット受信機ユニット14のエネルギー収支を低減することができる。特に、チャネル3左などの選択したオーディオまたはステレオ・チャネルに必要な時期にのみ、各データ・セクション88中にディジタル・アナログ(D/A)変換を実行することができる。このようにして、D/A変換は8つのモノラル・チャネルまたは4つのステレオ・チャネルのすべてについて実行されるわけではないので、D/A変換によって消費される電力(通常はエネルギーまたはバッテリ・システム収支のかなりの部分である)は大幅に低減され、それによりバッテリおよび/またはバッテリ充電の寿命を延ばすことができる。
本明細書に記載するデータ・ブロック92の編成は、インターリーブまたはブロック伝送などの他の既知のデータ伝送技法に応じて、容易に変えることができる。特に図3を参照すると、一実施形態では、各送信パケット86は、データ・セクション88の前に位置決めされたヘッダ・セクション87を含むことができる。各ヘッダ・セクション87は、1つまたは複数の較正セクション101と制御コード・セクション102とを含むことができる。一般に、較正セクション101は、タイミング・データ、信号規模データ、ボリュームおよび/または周波数データ、ならびに、たとえばオーディオ・フォーマットまたはその他の音響情報に関連する制御データを提供することができる。制御コード・セクション102は、システム10のエラー検出および/または訂正、自動チャネル選択、自動電源オフ、その他の機能に使用する情報を含むことができる。他の好ましい実施形態については、図12に関連して本明細書の他の箇所に記載する。
特定の取付け例では、聴取者のために、送信機サブシステム12の取付け位置の所望の音響特性または実際の音響特性を合成するかまたは考慮に入れることができる。たとえば、特定のコンサート・ホールまたはその他の場所では、聴取者に対する様々な音源またはスピーカのアジマスおよび距離を含む相対位置は、チャネル間の相対遅延を調整することにより、ヘッドセット受信機ユニット14を使用する聴取者のためにそのコンサート・ホールに関連する適切な音響経験を合成できるように、較正データとして表すことができる。このような技法は、5.1フォーマットなどの特定のオーディオ・フォーマットを確立するために使用するものと同様である。
同様に、種々のタイプまたはスタイルのヘッドホン80の音響経験を向上または補償することができる。従来のヘッドホン・ユニットは通常、図1に示す通り、左右の耳用スピーカ81および83などの1対の個別スピーカを含む。図5に関してより詳細に後述するマルチチャネル・ヘッドホン118などのより複雑なバージョンのヘッドホン80は、較正セクション98に含まれる較正データの恩恵を受けることができる。
聴取者の音響経験を調整するための技法は、上記の通り、較正セクション101内のデータおよび/または切換えセレクタ78の操作により助成することができ、制御コード・セクション102内に含まれるデータによって制御、調整、または影響を及ぼすこともできる。また、制御コード・データ102は、バッテリ・システム84のオートオフ機能、エラー検出および/または訂正、省電力化、自動使用可能チャネル選択など、システム10の他の動作を制御するためにも使用することができる。
次に図4および図1を参照すると、データ・セクション88などの処理したIRパケット86内のIRデータは、都合のよいことに、アナログ・オーディオ・データへの変換のためにデコーダ74を介してDSP76に印加することができる。ヘッダ・セクション87内のIRデータは、様々な目的のために、都合のよいことにデコーダ74内に含まれるかまたはそれに関連する他の回路により、さらに処理することができる。
オートオフ機能で使用するために、IR受信信号プロセッサ72によって処理されるIRデータの一部分であって制御コード・セクション102を含む部分をコード検出器106に印加して、所定のコードまたはその他の固有識別子の存在を検出することができる。適切なコードを検出すると、遅延カウンタ108を30秒などの所定の遅延に設定することができる。選択したコードをもう一度検出したことを受信すると、遅延カウンタ108を所定の遅延にリセットすることができる。所定の遅延が満了すると、すなわち、事前選択オートオフ制御ワードの認識とともに所定の遅延が満了すると、ヘッドセット・ユニット14を遮断するためにバッテリ・システム84に電力制御信号82を送るキル・スイッチ110に信号を送ることができる。
動作時に、上記の手順は、直前の60秒以内に適切なコード信号が認識されない限り、ヘッドセット・ユニット14用のバッテリ電力をオフするように機能する。したがって、このオートオフ機能は、送信機サブシステム12による正確なIRデータ伝送を中止してから60秒(またはその他の所定の期間)後にバッテリ電力をオフにするように構成することができる。他の箇所に記載した通り、システム10はエラー検出方法を取り入れることができる。このような実施形態では、所定数および/または所定のタイプのエラーが検出された後でバッテリ電力をオフにするようにオートオフ機能を構成することもできる。この手法は、おそらく自動車のイグニッションをオフにすることにより自動車内のラジオまたはその他の送信機がオフになってから所定の期間後に、または別法として/追加として、非常に多くの送信/受信エラーによって受容できないレベルまでオーディオ・パフォーマンスが劣化したときに、ヘッドホンをオフにすることによりヘッドセットのバッテリ電力を節約するために使用可能な有利なオートオフ機能を提供する。また、ヘッドセット・ユニット14は、非常に多くのエラーを検出したときにのみ電源を切断するように構成することもでき、その場合、すべての処理は停止し、所定数のパケット86を受信し、これらの受信パケット内にエラーがあるかどうかをチェックするために所定の間隔(たとえば、30秒)で再活動化される。ヘッドセット・ユニット14は、エラーがまったくないかまたは事前選択数未満のエラーを有する事前選択数のパケット86を受信した後で完全かつ一定の動作を再開するようにさらに構成することができる。
有利なモードでは、それにより要求される電力が受容できる最小値である場合にIR受信信号プロセッサ72、遅延カウンタ108、およびコード検出器106に印加される電力を維持することにより同じようにオートオン機能を提供するためにキル・スイッチ110を使用することもできる。送信機サブシステム12の一部として適切な信号源を活動化すると、所定のコード信号を検出し、電力制御信号82をバッテリ・システム82に送って、ヘッドセット受信機ユニット14内の残りの非通電システムをオンにすることができる。
もう一度、図1および図4を参照すると、システム10の適切な動作を維持する際に重要なタスクの1つは、動作間、特に、送信機サブシステム12のサンプリングおよび/またはA/D動作とヘッドセット受信機ユニット14のデコードおよび関連動作との間の同期を維持することである。同期は複数の異なる方法で維持することができるが、ヘッドセット受信機ユニット14の動作のタイミングを、送信機サブシステム12によって提供され、IR信号16内に含まれるタイミング情報に同期させて、随時、自動者間で交換可能または移動可能な複数の受信機ユニットについて同期が正確に達成されたことを保証することは、可能な複数のバッテリ電力式遠隔または受信機ユニット(ヘッドセット・ユニット14など)を含むシステム(システム10など)で使用するために特に有利であることが分かっている。
図4に示す通り、IRデータは、IR受信信号プロセッサ72から同期検出器112に印加され、その同期検出器112は都合のよいことに、たとえば、特定の送信パケット86内のデータ・セクション88の立下り区間を検出し、適切な事前選択遅延またはギャップ後に、その後の送信パケット86のヘッダ・セクション87の立上り区間を検出することにより、ギャップ100を検出することができる。別法として、この同期信号検出の単純な変形例は、立下り区間、ギャップの長さ、および/またはすべて1またはすべて0などの予想データ内容に関連する情報と、ギャップおよび/または立上り区間の実際の長さまたは予想される長さとを結合することにより、同期検出器112によって実行することができる。
適切な同期データを検出すると、同期検出器112は、クロックを調整するか、または好ましくはPLL114などの位相ロック・ループ回路(またはPLL)を更新して同期を維持することにより、ヘッドセット受信機ユニット14に関する適切なクロッキング情報を維持することができる。PLL114の出力は、たとえば、DSP76のD/A変換機能のクロック速度を制御することによりIRデータのデコードおよび/またはサンプリングを同期させるためにDSP76に印加することができる。結果として得られる同期信号は、切換えセレクタ78によってヘッドホン80に印加される。出願人は、このような同期がない場合、ヘッドホン80によって発生される音のオーディオ品質が大幅に劣化する可能性があることに気付いた。
デコーダ74によって提供可能なもう1つの機能は、ヘッドセット受信機ユニット14の動作を更新することを含む。特に、コード検出器106によって適切な更新コードを認識すると、コード検出器106によって、1つまたは複数のその後の送信信号またはパケット86からのデータ・セクション88内のデータを書換え可能メモリ116などのヘッドセット受信機ユニット14内の適切なメモリに印加することができる。メモリ116内に記憶されたデータは、たとえば、デコーダ74により、ヘッドセット受信機ユニット14のその後の動作を制御するために使用することができる。
図4に関して前述した更新機能は、5.1または7.1オーディオ・フォーマットの変形例など、複数チャネル・フォーマットのデータの処理を多様にするモードを操作するためにヘッドセット受信機ユニット14を改訂または更新するために使用することができる。更新フォーマットのその他の使用法は、特定の視聴者に提供されるものを制御するために様々なオーディオ・チャネル上で使用される言語または年齢特有のフォーマットを自動的に選択する場合である可能性がある。
たとえば、システム10は、1つまたは複数の展示品に関する情報をオーディオ・フォーマットで提供するために博物館で使用することができる。特定のヘッドセット受信機ユニット14が博物館の来館者に提供または賃貸される前に、更新フォーマットの使用により、そのヘッドセット・ユニットを使用することになる聴取者に年齢特有のオーディオを提供するように、そのヘッドセット・ユニットをプログラミングすることができるであろう。
別法として、提供すべきオーディオ・サービスに対応するために、ヘッドセット・ユニットの賃貸時に更新を実行することもできる。説明すべき展示品に近接したことを示すために十分な規模のオーディオ信号を受信すると自動的に活動化するように、特定のヘッドセットをプログラミングすることができるであろう。所与のコレクション内の展示品についてのみオーディオを提供するようにあるヘッドセットをプログラミングし、すべての関連オーディオを受信するように他のヘッドセットをプログラミングすることができるであろう。このプログラミングまたは更新は、各ヘッドセットの賃貸またはその他の配布の時点で容易に実行することができる。
更新またはプログラミング機能のもう1つの使用法は、同時により多くのヘッドセットの再プログラミングを可能にすることである。たとえば、引き続き博物館の典型例を使用すると、そのヘッドセットに選択したコードを有する博物館の利用者またはすべてのこのような利用者が博物館の閉館時刻または火災などの緊急事態が宣言されたときに従うべき手順などの指定の情報について選択的に呼出しまたは通知を受けることができるように、アップグレード機能によってページング・システム、緊急システム、またはその他の通知システムを実現することができる。このため、通常生成されるオーディオを変更するのではなく、1つまたは複数の選択されたヘッドホンで生成されるオーディオを可制御式に切換えることにより、単純な電話またはページング・インターフェースからリアルタイムでこのような情報を提供することができる。
アップグレード機能の使用法のもう1つの例は、盗難またはヘッドホンの改ざんを防止するために、ヘッドホンまたは関連機器の操作を可能にするコードを変更することが考えられる。乗物などの聴取室から不適切に取り外されたヘッドホンは、出口を通過するときに、聴取者またはその他の人に警告を発するようにプログラミングすることができる。このような動作を阻止するためのヘッドセットの改ざんを防止するため、コードはランダムにまたは頻繁に変更することができる。
アップグレード機能のさらに他の使用法は、ヘッドホン・ユニットをあるレベルでの使用のために販売または提供し、後でより高レベルの動作へアップグレードできるようにすることである。1つの単純な例として、マルチチャネル動作を実行するために必要なコーディングを行わずに、マルチチャネル・ヘッドホンを配布することができる。このようなヘッドホンは、単一チャネル動作のために望ましいものであるが、適切な手数料を支払うと、より高いパフォーマンス用に一次的にまたは永続的にアップグレードすることができる。
次に図5を参照すると、システム10とともに使用されるマルチチャネル・ヘッドホン118の上面図および正面図が示されており、同図では、聴取者の頭の上にイヤホンを位置決めするために使用するヘッドバンド124に左イヤホン・システム120と右イヤホン・システム122が取り付けられている。それぞれのイヤホン・システムは、有効アパーチャ132および有効オーディオ経路134とともに、右イヤホン・システム122上に明示されている前部スピーカ126、中心スピーカ128、後部スピーカ130などの複数のスピーカを含む。
各イヤホン内のスピーカ126、128、130から有効アパーチャ132までの有効オーディオ経路134に沿った見かけの距離は、音源としての各スピーカと聴取者との間の見かけのアジマス方向および距離が所望の経験と一致するように所望のオーディオ経験を提供するように制御される。たとえば、音源間の見かけの空間関係を合成してホームシアタ・フォーマットのパフォーマンスの効果を再現できるように、スピーカ126および128によって提供されるオーディオは、時間をわずかに変え、その音の立上り区間と立下り区間でのエンファシスを変えて、提供することができる。高周波クリックのような何らかのタイプの音の空間関係は他のタイプの音より合成しやすい可能性があるが、ヘッドセット内の空間音響関係の部分合成の場合でもその効果は驚くべきものであり、オーディオ経験の向上を可能にする。
ユーザのオーディオ経験を向上させるために、ステレオおよび複数チャネル・ステレオ・フォーマットで使用するための上記のスピーカに加え、サブウーファ134などの低周波の無指向性モノラル・ソースをヘッドバンド124に有利に取り付けることができる。
次に図6を参照すると、本発明によるオーディオ送信装置の代替構成では、送信装置500は単一DSP600を含み、これはDSP600のシリアル・ポート613、615に接続された直接メモリ・アクセス(DMA)バッファDMA0 614およびDMA1 616に入力するために2つのマルチプレクサ606、608によって2つの信号610、612に多重化される4つのディジタル化オーディオ入力ストリーム602、603、604、605を受信することができる。オーディオ・ストリーム602〜605は、たとえば、図7に示すオーディオ・モジュール622、623、624、625内に位置するアナログ・ディジタル変換器(ADC)618、619、620、621によってディジタル化することができる。図1のオーディオ装置34およびMP3プレーヤ44は、このようなオーディオ・モジュールの典型的な例である。図1に関して上記の通り、単一ADCに提供される複数のアナログ入力ならびにマルチプレクサ606、608などのマルチプレクサに直接提供される複数のディジタル入力を使用するオーディオ装置を使用することができる。
図7を参照すると、オーディオ送信装置500のデータ多重化回路は、2つのチャネルのディジタル化データ602、603および604、605をそれぞれ1つのシリアル・データ・ストリーム610、612に結合する。1つの一定のディジタル・データ・ストリーム633を作成するために、それぞれ異なる位相調整が施された2つのディジタル・オーディオ・ステレオ対(2つのステレオ対)610、612用のデータ・ストリーム・スロットが結合される。本明細書の他の箇所により詳細に記載するオーディオ・モジュール用の左/右クロッキング方式は、2つのステレオ・チャネル(4つのアナログ・オーディオ入力ライン)が1つのデータ・ラインを共用するように構成される。同相ADC618、620および619、621の出力602、603および604、605は、90度位相シフトしたデータで多重化される。高次チャネル(チャネル3および4)は、低次チャネル(チャネル1および2)から90度位相がずれてクロックされる。このため、2つのチャネル対(チャネル1左および右とチャネル3左および右)は単一データ・ラインを共用することができる。DSP600には2組のシリアル・ディジタル化オーディオ・データ・セットが入力される。両方の奇数番号チャネルは同じシリアル・ライン上にあり、両方の偶数番号チャネルは同じシリアル・ライン上にある。クロックおよびクロック位相合わせ回路628は、マルチプレクサ606、608の入力データ・ライン選択を可能にする。
引き続き図7を参照すると、DSP600は、マルチプレクサ606、608とともに、送信機500内のエンコーダ626上に設けることができる。エンコーダ626は、オーディオ・モジュール622、623、624、625から4つのディジタル化オーディオ入力602、603、604、605を受け入れ、ライン・ドライバ631を使用して、ヘッドホン80に送信するためにIR送信機モジュール634にディジタル化シリアル・データ・ストリーム633を送る。
また、ベースボード626は、クロックおよびクロック位相合わせ回路628と、ブート/プログラム・メモリ630と、電源632も含む。DSP600は、オーディオ送信装置500のすべての入力および出力の制御を含む、エンコーダ626回路用の中央制御装置として機能する。クロッキング回路628内に設けられたクロッキング・ディバイダは、オーディオ・モジュール(たとえば、ADC)用のクロックを駆動するための信号とオーディオ・データ入力をDSPに提供するためにDSP600によって活動化される。DSP600は、2つのシリアル・ソース(マルチプレクサ606、608)からのオーディオ・データ610、612を結合し、そのオーディオ・データをフォーマット化して、IR送信機634に送るためにライン・ドライバ631に提供されるデータ・パケットからなる単一シリアル・データ・ストリーム633にする。一実施形態では、ライン・ドライバ631はRS485トランシーバを備えた差動ライン・ドライバにすることができ、DSP600からのデータを反転し、バッファリングするためにインバータを使用することができる。DSP600は、DSP内部の位相ロック・ループ(PLL)によって多重化されたクロッキング回路628の10.24MHzのベース・クロックを使用する。一実施形態ではDSPクロック速度は8X MHzであるが、これはオーディオ送信装置500による全体的な電力消費量を削減するように低減することができる。
引き続き図7を参照すると、ブート・メモリ630は、シャットダウン中にDSP600用のプログラム・メモリ(DSPを制御するソフトウェアを含む)を記憶する。ブート・メモリ630としては、8ビットのシリアルEEPROMを使用することができる。電源投入時に、ロードして実行を開始するためにそのブート・プログラムを求めて外部メモリ回路をサーチするようにDSPをプログラミングすることができる。ブート・メモリ630は、DSP600のマルチチャネル・バッファ付きシリアル・ポート615(McBSP1)に取り付けられる。代替実施形態では、DSPソフトウェアは、DSPの読取り専用メモリ(ROM)内に設けることができる。
次に図8を参照すると、クロックおよびクロック位相合わせ回路628は、エンコーダ626およびオーディオ・モジュール622、623、624、625が必要とするすべてのクロックを発生する。DSP、オーディオ・データ転送、およびオーディオ・ディジタル化のために4つの別々のクロックが必要である。これらは、マスタ・クロック660と、シリアル・クロック661と、左/右クロック662と、マルチプレクサ・クロック663である。図6に関して前述した通り、ディジタル化オーディオ入力ストリーム602、603、604、605を多重化するために、マルチプレクサ606、608はクロック位相合わせも必要とする。マスタ・クロック660は、オーディオ・ディジタル化モジュールおよびDSP用のマスタ同期クロック信号を駆動するために使用する。マスタ・クロック信号660は、スタンドアロンの水晶発振器回路660から生成され、バッファリングされた出力661を有する。マスタ・クロックの周波数は10.24MHzであり、これによりマスタ・クロックからシリアル・クロックおよび左/右クロックの導出が可能になる。シリアル・クロックは、オーディオ・モジュール622、623、624、625からDSP600へのディジタル化オーディオ入力ストリーム602、603、604、605の各個別ビットをクロッキングするために使用する。シリアル・クロック信号661は、2.56MHzの周波数のクロッキング信号を生成するために1/4クロック・ディバイダ667を使用してマスタ・クロックから導出される。
左/右クロックは、DSP600に入力するためにマルチプレクサ606、608によって生成されたディジタル・オーディオ・データ・ストリーム610、612からの左および右のデータ・ワードをクロッキングし、DSPのフレーム同期を発生するために使用する。左/右クロック信号662は、マスタ・クロックより256倍遅い周波数の信号を生成するためにクロック・ディバイダ667を使用してマスタ・クロックから導出される。クロック位相合わせ回路668は、左/右クロックの一方に90度の位相シフトを提供することにより、左/右クロックを2つの位相に分離する。このため、4つのオーディオ・モジュール622、623、624、625のうちの2つは90度位相シフトした出力を生成することができる。同相の左/右クロック・オーディオ・モジュール出力の出力は、1つのライン上で90度位相シフトしたデータによって多重化される。左/右クロックの各位相は、オーディオ・モジュール622、623、624、625からのディジタル化オーディオ入力ストリーム602、603、604、605用の個別フレーム同期として機能する。
マルチプレクサ・クロック663は、選択した入力データ・ラインを切換えて、ディジタル・オーディオ・パケットをオーディオ・モジュール622、623、624、625からのディジタル化オーディオ入力ストリーム602、603、604、605に結合するために、マルチプレクサ・ロジックによって使用される。また、マルチプレクサ・クロック信号663はクロック・ディバイダ667によって生成される。DSPクロック信号664は、DSP600を駆動するために使用され、バッファ/電圧変換器669により、DSPが必要とする低電圧に(たとえば、3.3Vから1.8Vに)マスタ・クロック信号660を変換することによって生成される。基本水晶発振器周波数を変更することにより、他のクロッキング方式を使用することができる(すなわち、40KHzの左/右クロック用の9.216MHzのベース・クロックは、44.1KHzの左/右クロック用の11.2896MHzのベース・クロックに変更することができる)。
電源632は、エンコーダ626に必要な電圧をすべて発生する。一実施形態では、エンコーダの電源632は、+10VDC〜+18VDCの範囲の入力電圧を受け入れることができる。送信機のベースボードでは、入力電圧(通常は+12VDC)、+5VDC、+3.3VDC、+1.8VDCという4つの別々の電圧を使用することができる。入力電力ライン上のサージまたは過渡現象を防止するために、過渡現象保護を使用することができる。また、DSP600との安定性を維持するために、電圧スーパバイザを使用することもできる。未調整の入力電圧は+5VDC用の電源電圧として使用される。調整された+5VDCは、IR送信機モジュール634に供給するために使用される。オーディオ・モジュール622、623、624、625は、入力オーディオ保護および入力オーディオ・レベル・バイアスのために+5VDCを使用する。IR送信機634は、バイアス制御およびIRドライバ回路650のために+5VDCを使用する。調整された+3.3VDCは、DSP600およびエンコーダ626のロジックに供給するために使用され、そのADCのためにオーディオ・モジュールにも供給される。この+3.3VDCは、調整された+5VDCの供給電圧から発生され、電圧スーパバイザによってモニターされる。このレベルが+3.3VDCの供給電圧の10%以下に低下した場合、電圧スーパバイザは、電圧が+3.0Vより上に増加してから200msなどの期間が経過するまでDSP600をリセット状態に保持することができる。調整された+1.8VDCは、エンコーダ626のDSPコアに供給するために使用され、調整された+3.3VDCの供給電圧から発生される。
次に図9を参照すると、一実施形態では、オーディオ・モジュール622、623、624、625を使用して、DSP600にディジタル化オーディオ入力ストリーム602、603、604、605を提供することができる。このオーディオ・モジュールは、エンコーダ626への外部または内部プラグイン・モジュールにするか、またはエンコーダに組み込むことができる。オーディオ用として4つのチャネルを提供する一実施形態では、送信機のベースボードとともに4つのオーディオ・モジュールを使用することができる。各オーディオ・モジュール(たとえば、図9に示すオーディオ・モジュール622)は、入力638、639からなる1つのステレオ・オーディオ対(左および右)を受け入れる。電力およびマスタ・クロック、シリアル・クロック、左/右クロックはすべてエンコーダ626によって供給される。ディジタル化する前に信号638、639を調製し、入力回路を過渡現象から保護するために、信号調節および入力保護回路を使用することができる。
信号638、639は別々に調節される。DCバイアス回路640は、入力信号がDCバイアス上で対称になるように、信号638、639を5ボルト電源の中域に設定する。このようにして、何らかのクリッピングが発生する場合、そのクリッピングは正および負の各ピークで均等に発生することになる。電圧条件について過渡現象から入力回路を保護するために、入力サージ保護回路641を使用することができる。過渡現象保護は、高電圧を電源およびアースに分流するために信号調節および入力保護回路640内の2つのバックツーバック・ダイオードによって行うことができる。ライン・レベル入力は、ピークツーピークで2ボルトまたはその他の実用向きの値に制限することができる。D/A内部フィルタの拒絶帯減衰を増加するための前置フィルタとして機能するように、低域フィルタ642を設けることができる。一実施形態では、各アナログ入力オーディオ・チャネルの周波数は20Hz〜18KHzであり、低域フィルタ642のコーナ周波数は、オーディオ入力の通過幅に及ぼす影響が最小限になるように140KHzより上である。
引き続き図9を参照すると、ADC643は、左右両方のアナログ入力638、639をディジタル化するために使用する。左右両方のチャネルを含む単一シリアル・ディジタル・データ・ストリーム602は、ADC643によってエンコーダ626に出力される。ADC643用のタイミングを発生するために10.24MHzのマスタ・クロックを使用し、ADCからのデータをクロッキングするために2.56MHzのシリアル・データ・クロックを使用する。そのデータを別個のオーディオ・サンプルにフレーミングするために40KHzの左/右クロックを使用する。左右の各アナログ・サンプルは16ビット値にすることができる。
次に図10を参照すると、IR送信機またはモジュール634は、ディジタル・データ・ストリーム633をIR(赤外線)送信信号16に変換する。ビット位置値を使用することにより送信機の電力を増加するために、PPM(パルス位置変調)エンコードを使用する。IR送信機634は、差動RS485信号633をライン・ドライバ631から受信し、それをシングルエンド形データ・ストリームに変換するためのライン・レシーバ650を含む。データ・ストリームは次にバッファリングされて赤外線バイアスおよび制御回路650に転送され、その回路はエミッタ652の発光ダイオード(複数も可)(LED)を駆動し、送信されるエネルギーの量を制御する。本発明の一実施形態では、IR送信機634は、4つの赤外線バイアスおよび制御回路650と、4つのそれぞれのエミッタ652とを含み、各エミッタ652ごとに25%のデューティ・サイクルである。バイアス制御は、データ・ストリーム633内の0ビットが感知されたときにIRエミッタ(複数も可)を非常に低いパワーオン状態に維持し、正のパルス(1ビット)が感知されたときに直接ダイオード・ドライブが直ちにIRエミッタ・ダイオードに全電力を印加できるようにする。エミッタ・ダイオード・ドライバがパルス発信されたときにバイアス制御がダイオードを通る定電流を維持するようにダイオードに供給される電流の量をモニターするために、感知抵抗器を使用する。IRエミッタ652は、任意の実用向きの数(たとえば、IRエミッタあたり4つ)のIRエミッタ・ダイオードを使用して、ディジタル・データ・ストリーム633を赤外線エネルギーのパルスに変換する。この電気データ・パルスの帯域幅は主に、ダイオードの物理的特性のために、IRエミッタ・ダイオードに印加される方形波パルスの基本周波数によって制限される。一実施形態では、IRエネルギーは、870nMの中心波長に集中させることができる。エンコーダ626は全電力をIR送信機モジュール634に供給する。+5VDCはドライバおよびバイアス制御回路650に使用される。一実施形態では、エンコーダ626は、11.52Mb/sでIR送信機634にPPMエンコードのディジタル・データ・ストリーム633を供給する。
次に図11を参照すると、MCBSP613、615およびDMA614、616は、4つのステレオ(8つのモノラル)チャネルのデータを独立して収集するために使用する。いずれか一方のMcBSPが完全な16ビット・データ・ワードを受信すると、それぞれのDMAは合計4つの保持バッファの場合に2つの保持バッファ670、671(DMA1 616用)または672、673(DMA0 614用)のうちの1つにそのデータ・ワードを転送する。各McBSP613、615は、それ自体のDMA614、616およびバッファ対672/673、670/671を使用して、ディジタル化データを移動し記憶する。1つのバッファが充填されている間、DSP600は相補的バッファを処理している。各バッファは、2つの異なるADCからの25個の左データ・サンプルと25個の右データ・サンプルを記憶する(合計100個の16ビット・サンプルの場合)。各McBSPによって受信された各ワードはそれぞれのDMAのメモリ・アドレスを増分する。各バッファが一杯になると、それぞれのDMAからDSP600に割込みが送られる。DSP600はDMAアドレスをリセットし、もう一方のバッファは新しいデータ・セットでもう一度充填される。このプロセスは連続的に繰り返される。
DSP600は、それぞれが完全送信パケット86のサイズである2つの送信バッファを作成する。一実施形態では、450個の(16ビット)ワードが各パケットで使用される(より詳細に後述する)。パケット86が最初に初期設定されると、静的ヘッダ/トレーラ値がそのパケットに挿入される。初期パケットおよび後続パケットの場合、制御ブロック96のユーザID/特殊オプション/チャネル状況(USC)値と、データ・オフセットと、動的ヘッダ値と、チャネル・オーディオ・データが各パケットに追加される。好ましくは前のパケット・オーディオ・データから計算されたUSC値が使用される。オーディオ・データはPPMエンコードされ、データ・ブロック・パケット内に置かれる。各チャネルからの所定数(たとえば、25個)のサンプルが処理されると、パケット86は完了する。
DSP600が出力バッファの1つを完全に充填すると、送信DMA(DMA2)が使用可能になる。次にDMA2は、送信装置500のシリアル・ポート(McBSP0)に充填した出力バッファ内のデータを転送する。次にMcBSP0は、IR送信機634に送るためにシリアル・データ633をライン・ドライバ631に送る。出力DMAとMcBSPは、始動されると、連続的に動作する。DSP600がバッファの1つを充填している間、もう一方のバッファはDMA2によって空になり、McBSP0に送られる。同期は入力データを介して維持される。
DSP600は、DMA614、616からの割込みを処理し、本明細書の他の箇所に記載した特殊オプションおよびチャネル状況情報をモニターし、各個別信号(または送信パケット)86を構築し、オーディオ・データおよびパケット情報を結合して変調する。DMA割込みは、入力オーディオ・バッファが一杯であることをDSP600に通知するように機能し、その時点でDSPは代替保持バッファの充填を開始するためにそれぞれのDMAを再構成し、次に「一杯の」保持バッファの処理を開始する。出力DMAではいかなる割込みも使用されない。出力バッファが一杯になると、出力DMAが始動され、もう一方のバッファの充填を開始する。
本明細書の他の箇所により詳細に記載した通り、特殊オプション情報は、オーディオ送信装置500が固有の構成で使用されるかどうかを示すために使用することができ、ハードウェア・スイッチにより提供するかまたはファームウェアでハードコード化することができる。特殊オプションとしては、5.1および7.1サラウンド・サウンド処理を含むことができるが、これに限定されない。一実施形態では、特殊オプションの状況を示すために4ビットを使用することができる。4ビットは、最高4つのユーザ選択可能スイッチ(複数も可)または最高15個のハードコード化特殊オプションに備えることになる。ヘッドホンの通常動作は、0000hとして明示される予約済みオプションにすることができる。
スイッチ・オプションを使用すると、15個の特殊オプションのうち最低1つまたは複数は追加オプションに使用不能なものになる(すなわち、2つのスイッチを使用する場合、4つの追加の特殊オプションのみが使用可能になる可能性がある。4つのスイッチを使用する場合、追加の特殊オプションはまったく使用可能にならない可能性がある)。たとえば、5.1または7.1サラウンド・サウンド・オプションを使用するためには、ハードウェア・スイッチを使用して、DSP600のHPI(ホスト・ポート・インターフェース)上のビット・レベルを切換えることができる。HPI上の1(ハイ)は、あるオプションが使用されることを示すことができる。HPI上の0(ロー)は、通常の4チャネル動作を示すことができる。DSP600は、HPIポートを読取って、特殊オプション値に適切なビットを設定することができる。
チャネル状況情報は、どのステレオ・チャネル(左および右チャネル)がアクティブ・オーディオ・データを含むかを示すために使用することができる。ディジタル・オーディオ・データの振幅は、あるステレオ・チャネルがアクティブであるかイナクティブであるかを決定することができる。ステレオ・チャネル上でアクティブ・オーディオが検出されない場合、チャネル状況は発信パケット内にOFF(0)としてフラグで示すことができる。ステレオ・チャネル上でアクティブ・オーディオが感知された場合、チャネル状況は発信パケット内にON(1)としてフラグで示すことができる。
一実施形態では、ステレオ・チャネルがアクティブであるかどうかを判定するために、4つのステレオ・チャネル・データ・サンプルの各セットごとの絶対値が累積される。各左チャネルと各右チャネルの25個のサンプル(1つのパケット内の個別チャネル・データ・サンプルの数)が結合され、累積される。ステレオ・チャネル・サンプルの合計がオーディオしきい値を超える場合、チャネル状況にはアクティブとしてタグを付けることができる。ステレオ・チャネル・サンプルの合計がオーディオしきい値を超えない場合、チャネル状況にはイナクティブとしてタグを付けることができる。ステレオ・チャネル状況を示すために4つのビット(各ステレオ・チャネルごとに1つずつ)を使用することができ、これらのビットは好ましくはパケットが作成されるたびに更新される。
図12を参照すると、各信号86をヘッダ・セクション87とデータ・セクション88にパーティション化するために4つのチャネルを個別信号または送信パケット86にエンコードするための本発明による一実施形態が示されている。ヘッダ・セクション87は、有効送信パケット86の先頭を感知し、同期させ、検証するための受信機700に関する情報(本明細書で以下に詳述する)のすべてを含む。可能な一実施形態では、ヘッダ・セクションは、PPMエンコードされないプリアンブル値と、ターミネータ値と、ギャップ値とを含み、PPMエンコードされるプロダクト識別子値と、データ・オフセット値とをさらに含む。
ギャップ値90は、ヘッダ・セクション87を感知し、送信パケット86と同期させるために受信機700によって使用される32ビット(ダブル・ワード)値にすることができる。ギャップ90は、感知ギャップと、トリガ・ギャップと、同期ギャップから構成することができる。このギャップは、好ましくはPPMエンコードされず、決して変更されない静的値である。ギャップ90の第1の部分は感知ギャップであり、7つの先行する0を含む。これらのビットは、ギャップ期間の開始を認識するために受信機700によって使用される。ギャップ90の第2の部分はトリガ・ギャップであり、交互に並ぶ1ビットと0ビットとを含む。これらのビットは、ギャップ期間にわたってクロック復元回路を安定化するために受信機700によって使用される。ギャップの第3の部分は同期ギャップであり、3つの0ビットを含む。これらのビットは、各送信パケット86の開始にマークを付けるために受信機700によって使用される。
プリアンブルPREは、受信機700と送信機500との同期をさらに使用可能にするために、所定数の等しい値(たとえば、16進のAAAA)から構成することができる。このプリアンブルは、2つの別々の16ビット(ダブル・ワード)値89、91からなり、各パケット86の開始を識別するために受信機700によって使用される。また、このプリアンブルは、クロック復元回路の安定化を支援するためにも使用される。プリアンブルは、PPMエンコードされず、決して変更されない静的値にすることができる。プリアンブル・ワード89は好ましくはパケット86の先頭に置かれ、もう一方のプリアンブル・ワード90は好ましくはギャップ90に続く。プリアンブル・ワードは、交互に並ぶ1と0(AAAAh)から構成される。第2のプリアンブル・ワード91の第1の「1」ビットは、特定のパケット86の先頭を知らせることができる。
第2のプリアンブル・ワード90の後には所定のコードまたは固有識別子ID(PID)92が続き、これは受信機700に対して送信機500を明確に識別するように選択することができる。PID92は、好ましくはPPMエンコードされ、変化しない静的値である。この特徴は、たとえば、自動車または特定の型の自動車内であるいは特定の型の送信機とともにのみ使用可能な本発明によるヘッドホンを調製するために使用することができる。したがって、来館者がヘッドホンを賃借する博物館で使用されるヘッドホンの場合、ヘッドホン内の受信機は、博物館内に取り付けられた送信機500によってのみ送信される固有識別子IDを検出したときにのみ動作可能になるようにプログラミングすることができる。ヘッドホンは単に博物館外部のどこでも機能不能になるだけなので、この機能は来館者がヘッドホンを不正流用するのを阻止することになるであろう。この機能は、OEMによるアフターマーケット・アクセサリの品質を制御するためにさらに使用することができる。たとえば、乗物メーカまたはカー・オーディオ・システム・メーカは、本発明による送信機を自社の機器に取り付けることができるが、OEMの特定の要件を満たすアクセサリ(ヘッドホン、ラウドスピーカなど)メーカに対し自社の機器から送信される固有IDのライセンス/配布を制御することができる。
PID92の後にはデータ・オフセット値(DO)93が続き、さらにヘッダ・セクション87の最後の部分であるオフセット部分94が続く。オフセット値93は、オフセット部分94およびデータ・フィラー部分97の長さ(すなわち、その中のワード数)を示し、一定であり、各送信信号またはパケット86内で等しい固定値にすることができ、別法として、ランダムにまたは所定の方式により動的に変化させることもできる。信号ごとにオフセット部分の長さを変化させると、固定周波数の送信および/または受信エラーを回避し、バースト・ノイズ効果を低減する助けとなる可能性がある。好ましくはオフセット部分94とデータ・フィラー部分97はともに同じ数のワード(たとえば、30個)を含み、それにより、すべてのパケットについて一定の全長を維持しながら、特定のパケット86内でデータ・セクションのランダム配置を可能にする。オフセット部分94は、データ・セクション88から間隔を置いて固有PID92を配置するように機能し、様々なデータを含むことができる。このデータは未使用のものにすることができ、したがって、受信機700によって廃棄または無視されるようにすべてランダム値またはすべて0値で構成することができる。別法として、オフセット部分94は、データ・セクション88に含まれるオーディオ・データまたはオーディオ・データのプロパティを示す値など、エラー検出および/またはエラー訂正に使用されるデータを含むことができる。
データ・セクション88は、データ・ブロック95と制御ブロック96をインターリーブすることによって形成される。一実施形態では、データ・ブロック95は、合計80個のPPMエンコード・ワードの場合、オーディオ情報の左および右エンコード16ビット値(1ワード)の4つのチャネルの5つのサンプルからなる。データ・ブロック95は、他の任意の数のワードで構成することができる。さらに、送信機500によって送信される各信号86内のデータ・ブロックは、等しい数のワードを含む必要がなく、むしろ、ランダムにまたは所定の方式によりそれぞれ信号ごとに変化する数のワードを含むことができる。単一パケット86内の連続データ・ブロック95は長さが変化する場合もある。追加として、連続パケット86は、それぞれのデータ・セクション88内に可変数のデータ・ブロック95を含むことができる。たとえば、送信機700が各パケット86に含まれるデータを適切に処理できるようにするために、データ・ブロックの数および各データ・ブロックに含まれるワードの数を表すインジケータを、オフセット部分94など、各パケット86のヘッダ・ブロック87に含めることができる。
制御ブロック96は、各データ・ブロック95の後に続き、一実施形態では、前述した特殊オプションおよびチャネル状況情報ならびに所定のコードまたは固有識別子ユーザIDを含む。本明細書の他の箇所に記載した通り、ユーザIDは、ヘッダ87に含まれるユーザIDと後続制御ブロック96内で検出される各後続ユーザID値とを比較することなどにより、エラー検出に使用される値にすることができる。パケット86の全体わたってユーザIDの値が同一ではない場合、そのパケットを不良パケットとして廃棄することができ、所定数の逐次不良パケットが受信された後でヘッドホンのオーディオ出力を使用不能にすることができる。たとえば、特定のメーカの自動車内に取り付けられた送信装置とともに使用するためにプログラミングされた受信機700が他のメーカの自動車内あるいは博物館または個人住宅などの建物内に取り付けられた送信装置とともに使用できなくなるように、様々な送信装置500同士を区別するためにユーザIDをさらに使用することができる(本明細書の他の箇所にさらに詳述する)。本明細書の他の箇所にさらに詳述する通り、アクティブ・チャネルの選択のみを可能にするように受信機700上のチャネル選択スイッチを制御するため、ならびにイナクティブ・チャネルに関連する各パケット86内のデータ・ワードの処理を回避するために受信機DSPの電源を切断することにより電力消費量を最小限にするために、チャネル状況情報を使用することができる。
データ・セクション87の末尾には終了ブロックまたはターミネータ・ブロック(TRM)98がある。TRM98は、好ましくは16ビット(シングル・ワード)値であり、短時間でMcBSPパラメータを再構成し、新しいパケット86に備えることができるようにするために受信機700によって使用することができる。また、TRM98は、ギャップ90の期間にわたって受信機700のハードウェア・クロック復元の安定化を支援するためにも使用することができ、他の箇所に述べた通り、エラー検出および/またはエラー訂正のためのデータを含むこともできる。TRM98は、好ましくはPPMエンコードされず、好ましくは交互に並ぶ0と1(AAAAh)からなる静的値である。
次に図13を参照すると、受信機装置またはヘッドセット・ユニット700は、全方向性の受信を可能にするため、およびヘッドホン80のエンクロージャ全体にわたって受信機の回路をより均等に分散するために2つの個別セクションを有する。受信機のメイン・セクションは一次受信機702である。二次モジュールは二次受信機704である。一次受信機702と二次受信機704はどちらもIR受信機前置増幅器を含む。一実施形態では、一次受信機702は受信機回路の大部分を含むことができ、二次受信機702は、ヘッドホン80を装着する聴取者の向きまたは位置のために一次受信機のIR受信機が送信IR信号の見通し線内にないときにIR信号16用の補助前置増幅器として使用することができる。
図14を参照すると、一次受信機702は、受信機DSP710と、IR受信機/AGC714と、データ・クロック復元回路716と、D/A変換器(DAC)および音声増幅器回路722と、ユーザ選択可能スイッチおよびインジケータ制御回路718と、ブート/プログラム・メモリ730と、電源および電圧スーパバイザ回路740とを含む。DSP710は、受信機700回路用の中央制御装置として機能し、受信機のすべての入力および出力を制御する。IRデータ・パケットは、IR受信機714からの単一シリアル・ストリーム712としてDSP710によって受信される。IRデータ・ストリーム712の開始により、着信データ・パケットのフレーム同期が作成される。クロック復元回路716は、IRデータをサンプリングするために使用するIRデータ・クロックを発生する。DSPシリアル・ポートは16ビットDAC用のクロッキングを完了する。16ビットD/A変換器用のマスタ・クロックは追加のシリアル・ポートから発生される。
外部スイッチおよびインジケータ719は、所望のチャネルの選択およびオーディオ・ボリュームの調整などの機能に聴取者がアクセスできるようにするためのスイッチを含むことができる。受信機および選択したチャネルに電力が供給されているかどうかを示すためにDSP710によって駆動されるようにLEDインジケータを設けることができる。制御回路718は、外部スイッチおよびインジケータ719とDSP710とのインターフェースを取り、スイッチからDSPへ入力を提供し、DSPが指図する通りにインジケータを制御する。
DSP710用のベース・クロッキングはクロック復元回路716から発生される。DSP710への入力クロックは、DSP内部のPLLによって逓倍される。DSPのクロック速度は8X MHzであり、受信機700による全体的な電力消費量を最小限にするように低減することができる。また、DSP710は、トランジスタおよびフリップフロップを介して二次受信機704上のスイッチング電源を使用不能にすることもできる。ソフトウェアが設定時間内に有効な信号を検出しない場合、本明細書の他の箇所に詳述する通り、DSPは、スイッチング電源を使用不能にし、受信機から電力を除去することができる。
次に図15を参照すると、IR受信機/AGC714は、受信信号16に含まれる赤外線データを変換し増幅するために使用される。また、IR受信機/AGC714は、増幅を制御し、DSP710およびデータ・クロック復元回路716用のディジタル・データ・ストリーム712を発生する。IR受信機について使用可能な距離は、送信機500の電力および周囲の照明条件などの変数に依存する。一実施形態では、IR受信機/AGC714の全利得は約70dBになる可能性がある。
引き続き図15を参照すると、IR受信機/AGC回路714は、前置増幅器770と、終段増幅器771と、データ・スクエアリング・ステージ(またはデータ・スライサ)772と、AGC(自動利得制御)回路773とを含む。IR前置増幅器770は、光学信号16を電気信号に変換し、第1ステージの増幅を行う。IR前置増幅器は3つの個別増幅器からなる。第1の増幅器は、4つのIR光検出器ダイオードと1つのトランスインピーダンス増幅器からなる。一実施形態では、結合された広視角フォトダイオードにより、120度の水平軸受信および180度の垂直軸受信より良好なものを生成することができる。誘導トランスインピーダンス増幅器のフィードバックとともに周囲の照明のDCバイアス効果を最小限にする昼光フィルタを光検出器ダイオードに組み込むことができる。IR信号16が送信されると、IR信号の強度に比例した電流パルスが光検出器ダイオード内で生成される。受信IR信号の強度は送信IRソースからの距離に依存する。
フォトダイオードからの電流パルスはトランスインピーダンス増幅器に直接印加される。トランスインピーダンス増幅器は、光検出器ダイオードからの電流パルスの立上りおよび立下り区間を感知し、各パルスを電圧「サイクル」に変換する。第2の増幅器は基本電圧増幅器である。第2のステージの出力はAGC回路773によって制御される。第3の増幅器も基本電圧増幅器である。前置増幅器770の第3のステージの出力は、終段増幅器ステージ771およびAGC773の入力に供給される。
終段増幅器ステージ771は、受信IR信号16の利得をさらに増加するために使用し、ヘッドホン左およびヘッドホン右の前置増幅器750、770用のコンバイナとしても機能する。終段増幅器771は2つの基本電圧増幅器からなる。この2つの増幅ステージのそれぞれは受信IR信号の利得を増加するものである。終段増幅器への入力信号は、後述する通り、AGC773の第2のステージでも制御される。終段増幅器ステージの出力は、AGC773およびデータ・スクエアリング・ステージ772に供給される。
AGC773は増幅されたIR信号レベルを制御する。AGC回路は、1つの増幅器と3つの個別制御トランジスタからなる。3つの個別制御トランジスタは2つのレベルのAGC制御を有する。第1のレベルのAGC制御は、2つのAGC制御トランジスタ(各ステージごとに1つずつ)を使用し、ヘッドホン左およびヘッドホン右の前置増幅器ステージ750、770内の第1の電圧増幅器の後で実行される。第2のレベルのAGC制御は、前置増幅器750、770の両方の出力ステージと終段増幅器ステージ771への入力との接合部で行われる。AGCのDCバイアス電圧を発生するために、終段増幅器ステージの出力からのIR信号の正のピークが整流され、フィルタリングされる。DC信号は演算増幅器によって増幅される。増幅されたDC電圧の値は受信信号強度に依存する(すなわち、送信装置500のIRエミッタ652からの距離に比例する)。AGCトランジスタの抵抗は、DCバイアスによって制御され、受信信号強度に依存する。信号強度が増加すると、ABCトランジスタでのバイアスが増加し、その信号はさらに減衰される。したがって、AGC773は、データ・スクエアリング・ステージ772用の安定したアナログ信号を生成する。
データ・スクエアリング・ステージ772は、アナログIR信号からディジタル化二層方形波(すなわち、1と0からなる)を生成する。データ・スクエアリング・ステージからの入力は、終段増幅器ステージ771の出力から受信される。データ・スクエアリング・ステージは、終段増幅器771の出力電圧「サイクル」を正および負のしきいレベルと比較する。終段増幅器出力の正のピークが正のしきいレベルを超えると、ハイ・パルス(1ビット)が発生される。負のピークが負のしきいレベルを超えると、ロー・パルス(0ビット)が発生される。ノイズによって出力レベルが不規則に変化するのを防止するために、ヒステリシスが反映される。データ・スクエアリング・ステージ772の出力は、クロック復元回路716に送られ、IRデータ入力720としてDSP710に送られる。
データ・クロック復元回路716は、送信機500によって使用されたデータ・クロックを再生するために使用する。本発明の受信機700の一実施形態では、データ・クロック復元回路はエッジ検出器とPLL(位相ロック・ループ)とを含む。データ・クロック復元回路716はPLLを使用して、データ・クロックを生成し、それを着信IRデータ720と同期させる。エッジ検出器は、PLL用の追加のデータ・サンプル用としてダブル・パルスを作成するように各立上りまたは立下りビット・エッジによってパルスを生成するために使用する。立上りまたは立下りパルス・エッジが感知されると、エッジ検出器から短いパルスが出力される。エッジ検出器からの出力はPLLに供給される。
PLLは同期化クロックを生成するために使用され、このクロックはIRデータ信号712をサンプリングするためにDSP710によって使用される。PLL内の周波数および位相チャージ・ポンプ比較器回路は、エッジ検出器信号をPLLから出力されるVCO(電圧制御発振器)クロックと比較する。比較器の出力は低域フィルタに送られる。低域フィルタはパルス記憶域も取り入れている。データはPPM(パルス位置変調)であり、PLL比較器に一定の入力を提供するわけではないので、パルス記憶域が必要になる。低域フィルタは、PLLのVCOによって使用されるDC電圧を発生する。VCOは、低域フィルタによって発生されたDC電圧に比例した出力周波数を発生する。ループ・フィルタからの電圧が上昇するとVCO周波数も高くなり、逆も同様である。VCOのクロック出力がエッジ検出器出力と同期されると、低域フィルタ電圧およびVCO周波数が安定化する。VCO周波数とエッジ検出器信号との間に位相または周波数の差が発生するまで、VCO周波数はエッジ検出器と同期してロックされたままになる。VCOの出力はDSP710のシリアル・ポート711用のデータ・サンプル・クロックとして使用され、DSPのベース・クロック周波数としても使用される。受信機DSP710は復元されたデータ・クロックを使用して送信機DSP600と同期し、送信機500によってエンコードされ送信されるデータが同じ速度で受信機500によって受信されデコードされるようにする。また、PLLはロック検出も含み、これはPLLがロックされた(着信データと同期された)ときにDSP710に知らせるために使用することができる。したがって、本発明の方法により、各データ・パケットのヘッダが処理されたときだけでなく、着信データ・パケットが処理されたときに、着信データ・クロックが受信機500によって連続的に復元される。
図16を参照すると、本発明の受信機700の代替実施形態では、PLLを使用せずむしろエッジ検出器775を使用するデータ・クロック復元回路716は、オーディオ送信装置500のマスタ・クロックの周波数に同調された水晶発振器776と、データ・クロックを着信IRデータ712と同期させるためのバッファ777、778とを含む。エッジ検出器775は、各立上りビット・エッジによってパルスを生成するために使用する。立上りエッジが感知されたときにエッジ検出器によって出力される短いパルスを作成するために、4つのNORゲートの組み合わせが使用される。これは、水晶発振器776用の同期エッジを提供する。エッジ検出器の第1のNORゲートは、データ・ストリームに真の反転を提供する。第1のNORゲートからの出力はDSP710のシリアル・ポートに送られる。第2のNORゲートはバッファ/遅延を提供する。第2のNORゲートからの出力はRC時定数(遅延)に供給される。第3のNORゲートはRC時定数(遅延)からトリガする。第4のNORゲートは、第1および第3のゲートの出力を収集する。これは、水晶発振器776に短い同期パルスを提供する。
水晶発振器776およびバッファ・ステージ777、778は、IRデータ712をサンプリングするための二層クロックを提供する。水晶発振器は、発信送信装置500のデータ・クロック周波数に整合された水晶周波数を使用する。インバータを備えた並列水晶を使用して、自励発振器を提供する。エッジ検出器から発生されたパルスは、受信データ・ストリーム712との同期を可能にする。2つのインバータ/バッファ777、778は、水晶発振器776に分離を提供するために使用する。バッファリングされた出力は、DSPシリアル・ポート・データ・クロック入力および電圧変換バッファに送られる。電圧変換バッファは、DSPコア・クロック入力についてクロックのピーク・レベルを1.8ボルトまで低下させる。
次に図17を参照すると、DACおよび音声増幅器回路722は、DSP710によって出力されたディジタル化データ・ストリーム721からアナログ信号724を発生し、さらにヘッドホン・スピーカ81、83への出力を増幅してバッファリングする。DACおよび音声増幅器回路722は、ディジタル・シリアル・データ・ストリーム721から別々の左および右アナログ信号724を生成するためにDSPシリアル・ポート713から(スイッチ719を介した聴取者選択によりDSP710によって選択されたチャネルから)シリアル・ディジタル・オーディオ・データ・ストリーム721を受信するためのDAC780を含み、これは16ビットDACにすることができる。ディジタル・データ・ストリーム721は本質的にオーディオ・モジュール622、623、624、625内のアナログ・ディジタル変換プロセスから逆の順序で変換される。DAC780の出力は低域フィルタ781を通って(DACによって発生された高周波を除去するために)音声増幅器782に送られる。音声増幅器782は、オーディオ信号を増幅し、ヘッドホン80とDAC780との間のバッファを提供する。音声増幅器782からの出力はヘッドホン・スピーカ81、83に結合される。
ユーザ選択可能スイッチ718により、聴取者はヘッドホン・スピーカ81、83のオーディオ・ボリュームを調整し、オーディオ・チャネルを変更することができる。選択したチャネルを示すためにLED(発光ダイオード)を使用することができる。ボリュームを調整するために2つの手動操作セレクタ・スイッチを使用することができる。ボリュームアップ・ボタンを1回押すと、DSP710にロー・パルスが送られ、それによりDSPは所定の値を有する1つのレベル分だけディジタル・オーディオ・データのボリュームを上げる。ボリュームダウン・ボタンを1回押すと、DSPにロー・パルスが送られ、DSPは1つのレベル分だけディジタル・オーディオ・データのボリュームを下げる。他のタイプのスイッチも使用することができるが、本発明にとって重要ではない。8つなどの事前選択した数の総ボリューム・レベルをDSPによって提供することができる。すべてのボタンは、スイッチのデバウンシングのためにRC(抵抗器/キャパシタ)時定数を使用することができる。
所望のオーディオ・チャネルを選択するために、聴取者は手動操作セレクタ・スイッチを使用することができる。チャネル・セレクタ・ボタンを1回押すと、ロー・パルスがDSP710に送られ、DSPはオーディオ出力(DSPシリアル・ポート713による)というチャネル・データを増加する。所定数(たとえば、4つ)の異なるチャネルが選択可能である。最高チャネルに達すると、DSPは最低チャネルにロールオーバする(たとえば、チャネル4からチャネル1に移行する)。別法として、あるチャネルが使用不能である場合、聴取者が決して「デッド」チャネルに遭遇せず、むしろ必ずアクティブ・チャネル、すなわち、現在オーディオを流しているチャネル間で選択するように、使用不能チャネルを自動的に飛ばして次の使用可能チャネルに移行するようにDSPをプログラミングすることができる。選択したチャネルを示すために、複数のLED(たとえば、4つなど、使用可能チャネルの数に等しい数)を使用することができる。1つのLEDの点灯により、その回路に電力が供給されていることと、DSP710が機能していることを示すこともできる。別法として、LCDまたはその他のタイプのディスプレイにより、選択したチャネル、ボリューム・レベル、その他の情報を示すこともできる。このような情報は、各データ・パケットのヘッダにエンコードすることができ、選択したオーディオ・ストリームに関する追加データ(たとえば、アーチスト、曲名、アルバム名、エンコード速度など)ならびに他の使用可能チャネル上で流れている内容、使用可能なもの(使用不能または「デッド」チャネルに対するもの)の識別、環境変数(速度、温度、時間、日付)、メッセージ(たとえば、広告メッセージ)などのその他のタイプの情報を含むことができる。表示される情報は、テキストとグラフィックスを含むことができ、静止状態または動画にすることもできる。
もう一度、図14を参照すると、ブート・メモリ730はシャットダウン中にDSP710用のプログラム・メモリを記憶する。このDSPプログラムを記憶するために、DSP710のシリアル・ポート715に接続された8ビットのシリアルEEPROMを使用することができる。電源投入すると、そのオペレーティング・ソフトウェアを検索してロードするために外部メモリをサーチするようにDSPを構成することができる。別法として、DSPの読取り専用メモリ(ROM)内にプログラムを設けることもできる。
引き続き図14を参照し、図18も参照すると、一次受信機702の回路基板上の電源740は、二次受信機704内のスイッチング電源760からDC電力761を受け取る。電源640は、電源759(たとえば、AAAバッテリまたはその他のタイプまたはサイズのバッテリ、あるいは別法として、乗物または建物の電力システムからの電力コードを介したDC、あるいはその他の実用向きの電源)からDC電力を受け取り、+1.8V(または、DSP回路の要求に応じてその他の電圧)の電源および関連電圧スーパバイザを含む。調整された+1.8VDCは、DSP710のDSPコアに供給するために使用され、調整された+3.3VDC供給電圧から発生される。電圧スーパバイザは+3.3VDCをモニターするために使用される。レベルが+3.3VDC電源の10%以下に低下した場合、電圧スーパバイザはDSPをリセット状態に保持することができる。レベルが+3.3VDC電源の10%以下に低下した場合、電圧スーパバイザは、電圧が+3.0Vより上に増加してから200msなどの期間が経過するまでDSP710をリセット状態に保持することができる。
引き続き図18を参照すると、二次受信機704は、受信機システム700に電力761を供給し、一次受信機のIR受信機714が送信IR信号16の直接見通し線内にないときにIR信号701用の補助前置増幅器として機能する。二次受信機704は、IR受信機前置増幅器750と、スイッチング電源760と、オン/オフ・スイッチ762とを含む。IR受信機前置増幅器750は、見通し線が一次受信機のIR受信機714に使用不能であるときにIRアナログ信号16を増幅する。二次受信機のIR受信機前置増幅器の2つのステージは一次受信機702内のものと同じであり、第2のステージの出力は一次受信機702のIR受信機およびAGC回路714内のAGC773の入力に提供される。
スイッチング電源760は、バッテリ759の電圧を受信機700回路によって使用されるレベルに変換する。二次受信機および一次受信機回路の大部分は3.3VDCで動作する(<200mAの場合)。このスイッチング電源は2つのAAAバッテリ759から3.3VDCを発生する。スイッチング電源760は、チャージ・ポンプ(インダクタなし)または別法としてブーストタイプの変換器を使用して、0.9ボルトまで低下したバッテリ759から電力を調達することができる。スイッチング電源760の高周波成分を除去するために、低域フィルタを使用することができる。
オン/オフ・スイッチ762は、スイッチング電源760を使用可能にし、使用不能にする。オン/オフ・スイッチ回路762は、バッテリ759から直接電力供給される。オン/オフ・スイッチ回路762への入力718は手動操作スイッチおよびDSP710を含む。手動操作SPST(単極単投接点)スイッチはフリップフロップのクロック入力に接続され、SPSTスイッチを押すごとにフリップフロップが切換えられる。SPSTスイッチからのリンギングおよび過渡現象を低減するために、RC(抵抗器/キャパシタ)時定数が使用される。フリップフロップからのハイ出力はスイッチング電源760を使用可能にする。フリップフロップからのロー出力は、スイッチング電源760を使用不能にし、受信機700回路から効果的に電力を除去する。DSP710はフリップフロップのアクションも制御することができる。ソフトウェアが設定時間内に有効な信号を検出しない場合、DSP710は、手動操作SPSTスイッチと同様にフリップフロップを切換えるためにトランジスタを駆動することができる。
もう一度、図14を参照すると、動作時に、DSP710は、シリアル・ポート(McBSP)711上で受信したPPM4エンコード・データを2つの受信データ・バッファのうちの1つに移動するために内部DMAバッファを活動化する。1つのデータ・パケットの25個のサンプルすべてが収集されると、データ処理をトリガするためにフラグが設定される。受信バッファ「充填済み」フラグが設定されると、データ処理が開始される。これは、選択したチャネルのデータをPPM4デコードすることと、ハイおよびロー・バイトを16ビット・ワードに結合することと、聴取者選択に基づいてボリュームを減衰することと、25個のサンプルすべてについてデコードした左および右ディジタル化値を出力バッファDacBufferに入れることを含む。出力バッファが充填されるとフラグが設定され、第2のDMAは、DAC回路722に送信するために現行データをシリアル・ポート(McBSP)713に移動するように出力バッファにより連続的にループする。
シリアル・ポート711の受信機は、IRデータを捕捉するために使用する。受信機クロック(CLKR)およびフレーム同期(FSR)は外部ソースからのものである。この受信機は、単相、1ワード、8ビット・フレーム、0ビット遅延、データMSB優先として構成される。第1の受信パルスの後の受信フレーム同期パルスは無視される。受信データは受信機クロックの立下り区間でサンプリングされる。
シリアル・ポート713の送信機は、ヘッドホン・スピーカ81、83へのオーディオ出力のためにDAC回路722にデータを提示するために使用する。送信機クロック(CLKX)およびフレーム同期(FSX)は、前述した通り、連続的に内部で生成される。この送信機は、単相、4ワード、16ビット・フレーム、0ビット遅延、データMSB優先として構成される。送信データは送信機クロックの立上り区間でサンプリングされる。
シリアル・ポート711のサンプルレート発生器は、DAC回路722およびシリアル・ポート713の送信機とともに使用される。サンプルレート発生器は、8.192MHzの周波数を達成するためにDSP710クロックの9除算を使用する。送信フレーム同期信号は、64クロック・サイクルのフレーム周期と、32のフレーム幅で、サンプルレート発生器によって駆動される。シリアル・ポート711のサンプルレート発生器はマスタ・クロックである。サンプルレート発生器はDSP710クロックの4除算を使用する。送信フレーム同期信号は、16クロック・サイクルのフレーム周期で、サンプルレート発生器によって駆動される。
受信機700のDMAバッファは一般に、送信機500のものと同様に構成される。DMA優先順位および制御レジスタは、多重化割込み選択を決定するために使用される2ビットのINT0SELレジスタを含み、これはDMA0およびDMA1について割込みを使用可能にするために10bに設定しなければならない。DMA0は、シリアル・ポート711の受信機を使用して受信したIRデータ712を2つのバッファのうちの1つに転送するために使用する。ソースはシリアル・ポート711の受信レジスタDRR1_0である。宛先は2つの受信データ・バッファRxBuffer1およびRxBuffer2のうちの1つに切換えられる。カウンタは各バッファのサイズに設定され、そのサイズは408ワードにすることができる。同期イベントは、32ビット転送用のダブル・ワード・モードのREVT0である。転送モード制御は、マルチフレーム・モード、ブロック転送完了時の割込み、および宛先の事後増分について設定される。DMA2は、単一チャネルのディジタル・オーディオをDAC回路722に転送するために使用する。ソースはDSP出力バッファDacBufferである。宛先はシリアル・ポート713の送信レジスタDXR1_0である。カウンタはDacBufferのサイズに設定され、そのサイズは4ワードにすることができる。同期イベントはXEVT0である。転送モード制御は、オートバッファ・モード、ハーフ・バッファおよびフル・バッファ時の割込み生成、およびソースの事後増分について設定される。
シリアル・ポート711の受信機ISRは、データ・ストリーム712が同期しているかどうかをチェックするために使用する。受信データ状態マシンはドウェル・モードから開始され、そのモードでは同期が達成される時期を決定するために受信データが検査される。通常動作は、同期後にのみ開始される。シリアル・ポート711の受信機ISRはまず、データ・ストリームのヘッダ・ブロック90内にプリアンブルPREがあるかどうかをチェックする。この同期が検出されると、シリアル・ポート711の受信機は二相フレームに設定され、第1の位相はフレーム無視なしでフレームあたり128個の32ビット・ワードであり、第2の位相はフレーム無視なしでフレームあたり73個の32ビット・ワードである。この組み合わせにより、402個の16ビット・ワードと同等のものが得られる。状態マシンは、その後受信したワードが所定のコードを形成することのチェックに取りかかる。この同期が検出されると、DMA0は、そのカウンタ長が受信バッファRxBufferのサイズの半分に設定されて初期設定され、その長さは408/2=204ワードである。その場合、宛先は現行受信バッファRxBuffer1またはRxBuffer2に設定される。次にDMA0は使用可能になり、シリアル・ポート711の受信機ISRはオフになる。状態マシンは、次に同期を失う前にドウェル・モードに入る。データ・ストリームが同期外れになる場合、シリアル・ポート711の受信機はフレーム無視なしで単相、4ワード、8ビット・フレームに設定され、シリアル・ポート711の受信機ISRはオンになる。
所定のコードが検出されない場合、受信エラーが発生したものと推定することができ、DSP710内のカウンタは、エンコード値が検出されない受信パケットの数をカウントするように初期設定することができる。事前選択数のこのようなオカレンスがカウントされた後、DSPはヘッドホンに対するオーディオ出力をミュートすることができる。事前選択数のこのようなオカレンスの検出に基づいてミュートすると、うなるような騒音や割れるような音が除去され、受信エラーの繰り返しが検出されたときに間欠的な音声遮断を行うことができる。最初のエラーが検出された後または多数のエラー(たとえば、10個、50個、100個など)がカウントされた後でオーディオ出力をミュートするようにDSPをプログラミングすることができる。ヘッドホンへのオーディオ出力をミュートすると、DSPは、次にそのコードが検出されるパケットを待ち、その後、ヘッドホンへのオーディオ出力をもう一度提供するかまたはエラーのない所定数のデータ・パケットが受信されるまで待ち、その時点では、前の受信エラーに至った理由はもはや存在せず、システムはもう一度明瞭な受信が可能であると推定することができる。所与の時間(たとえば、60秒)の間、エラーのないパケットが受信されない場合、DSPはオートオフ機能を開始し、受信機700の電源を切断することができ、その時点では、聴取者はシステムをもう一度オンに戻すために手動スイッチ762を活動化しなければならないであろう。追加として、オーディオ装置34がオフになっていることまたはノイズ(たとえば、光受容に干渉する明るい光)のために、所定の時間が経過し、いかなるヘッダもまったく処理されない場合、オートミュートまたはオートオフ機能を従事させることができる。
DMA0がその転送を完了すると、同期手順が再始動される。DMA0はオフになり、シリアル・ポート711の受信機はオンになり、現行バッファ・インデックスはRxBuffer1またはRxBuffer2を示すように切換えられる。次に、DMA転送が完了したことを示すフラグが設定される。DSP710内のメイン・ループは、4つのチャネルのオーディオを含むパケットが受信され、2つの受信バッファのうちの1つに転送されたことを示すフラグが設定される(DMA0 ISR内)のを待つ。このフラグが設定されると、DSP710による出力処理が開始される。出力処理は、バッファ・インデックスに基づいて現行バッファを決定することと、次に、選択したチャネル・データを使用してPPM4エンコードの左および右チャネル・データを検索しデコードすることからなる。ディジタル信号を減衰するために選択したボリューム・レベルが印加され、図14に関連して前述した通り、変換および増幅のためにDAC回路に送信するために左および右イヤホン用の最終ディジタル信号が現行発信データ・ブロックに入る。
前述の諸実施形態は本発明によるワイヤレス通信システムの例にすぎず、本発明の新規の概念を継続する際にこれらの実施形態に対し多数の変更および追加を行うことができる。これらは、ハードウェアおよびソフトウェアの変更、追加の特徴および機能、オーディオ・ストリーミング以外のまたはそれに追加の本発明の通信方法の使用法を含む。
したがって、次に図19を参照すると、本発明の他の一実施形態では、本発明による通信システム801を乗物800に設けることができる。乗物800は自動車として示されているが、バス、路面電車、軍艦、または飛行機などの他のタイプの乗物にすることができる。乗物800は通常、工場で取り付けたオーディオ装置34を含むことになり、これは、ラジオ・チューナ、CDプレーヤまたはカセット・テープ・プレーヤ、およびアンプを有する、典型的なダッシュボード内取付け用のヘッド・ユニットにすることができる。オーディオ装置34は、乗物800の電力システム802(たとえば、バッテリ、オルタネータなど)によって電力供給された状態で示されている。
システム801は、送信機サブシステム12とIR送信機ドライバ22とを含むプラグイン・ユニット820を含み、少なくとも1つのチャネルのステレオ・オーディオ・データをそれから受信するためにオーディオ装置34に接続されている。プラグイン・ユニット820には、その他のデータ・ソース、たとえば、DVDプレーヤ832などのビデオ装置およびMP3プレーヤ834などのオーディオ装置を接続することができる。このプラグイン・ユニットは、前述の通り、ディジタルおよびアナログ・データを受け入れることができ、好ましくはオーディオ装置34によって電力供給される。通信システムは、IR発光ダイオード(LED)20を含む送信機806と、プラグイン・ユニット820を送信機806に接続するためのワイヤリング・ハーネス804とをさらに含む。別法として、IR送信機またはLED20およびIR送信機ドライバ22を含むIR送信機セクション18全体を送信機806内に収容することもできる。
前述の通り、送信機サブシステム12は、複数チャネルのオーディオ・データを受信し、単一ディジタル化オーディオ信号を生成する。ディジタル化オーディオ信号はIR送信機ドライバ22に提供され、このドライバはIR信号16を放出するようにLED20を操作するための適切な電流を発生する。IR送信機ドライバ22がプラグイン・ユニット820内に収容されている場合、この電流はワイヤリング・ハーネス804によって送信機806内のLED20に搬送される。別法として、IR送信機ドライバ22が送信機806内に収容されている場合、送信機サブシステム12によって生成されたディジタル化オーディオ信号はワイヤリング・ハーネス804によってIR送信機ドライバに搬送される。
3つの別個のコンポーネント(プラグイン・ユニット820、ワイヤリング・ハーネス804、および送信機806)を有するこのセグメント化設計は、乗物が工場を離れた後のアフターマーケット付加分として乗物800内にシステム801を取り付けやすくするものである。プラグイン・ユニットは、乗物のダッシュボード内に取り付けられ、ダッシュボード内取付け用のヘッド・ユニットまたはオーディオ装置34への単一接続と、任意選択で各追加オーディオ・ソースへの接続を必要とする。別法として、オーディオ装置34は、複数の同時チャネルのオーディオをプラグイン・ユニット820に提供できる場合もあり、その構成ではオーディオ装置34への単一接続が必要である。
送信機806は、乗物の後部までの十分広範な直接見通し線を提供するような位置に取り付けなければならない。好ましい一実施形態では、送信機は乗物800の室内灯エンクロージャ内に取り付けられる。このような取付けは、IR送信機ドライバ22をプラグイン・ユニット820内に組み込むことにより、さらに容易になり、それにより送信機806はLED20しか含まなくなるので比較的小さくなる。また、IR送信機ドライバ22によって増幅されるかまたはLED20を直接操作するためのディジタル化信号を搬送するために少数のワイヤのみを収容すればよいので、ワイヤリング・ハーネスも比較的小さくなる。いずれの場合も、ワイヤリング・ハーネス804によって搬送される電流は非常に低い電圧およびワット数であり、ワイヤリング・ハーネスは好ましくは、曲がりくねった経路を容易にたどることができるので乗物800内の取付けをさらに簡単にし、限られた空間を必要とするような小さい断面で形成される。
引き続き図19を参照すると、システム801は、ヘッドセット・ユニット14およびラウドスピーカ842など、信号16を受信するために装備された装置をさらに有する。ヘッドセット・ユニットおよびラウドスピーカはどちらも、送信機806からIR信号16を受信するためのIR受信機70をそれぞれ装備している。ヘッドセット・ユニットについては本明細書の他の箇所に詳しく記載されている。ラウドスピーカ842は、IR受信信号プロセッサ72、クロック付きのデコーダ74、デマルチプレクサおよびコントローラ、ディジタル・アナログ変換用のDSP76、ならびに選択したチャネルを増幅するための1つまたは複数の増幅器を含む、同様の回路を装備している。
代替実施形態では、ラウドスピーカ842は、チャネル切換えセレクタ78を含まない場合があるが、むしろ、事前選択チャネル、たとえば、ヘッド・ユニットで選択したチャネルを必ず再生するように事前プログラミングすることができる。加えて、電力要件が高いために、ラウドスピーカ842は好ましくは、乗物の電力システム802(図16には示されていない)によりケーブルを介して電力供給される。別法として、ラウドスピーカ842は、前述した通り、自動的に割り込んで乳児モニターなどの緊急チャネルまたはセルホン・チャネルを再生するように事前プログラミングすることもできる。
図20を参照すると、本発明の他の一実施形態では、上記で詳述した通り、本発明による通信システム801を乗物800に設けることができる。前述の通り、システム801は、乗物800の電力システム802(たとえば、バッテリ、オルタネータなど)によって電力供給された状態で示されているオーディオ装置34を含むことができる。オーディオ装置34は、IR送信機(たとえば、発光ダイオード(LED))とIR受信機(光受容体)とを含む送信機/受信機806にワイヤ(複数も可)804を介して配線接続することができる。前述の通り、オーディオ装置34は、複数のチャネルのオーディオ・データを提供することができる。他の諸実施形態では、オーディオ装置34は、ビデオ・データ、セルラー電話の音声データ、テキスト・データを含む、他のタイプのデータを提供することができる。したがって、DVDプレーヤ803などのビデオ装置をオーディオ装置34に接続することができ、次にオーディオ装置34は前述した通り、DVDプレーヤからのビデオ信号をエンコードし、IR信号16を介して乗物800の後部に向かって送信するためにそれをIR送信機/受信機806に提供することができる。また、乗物800は、オーディオ装置34に接続可能なセルラー電話またはその他のワイヤレス通信装置805も含むことができ、この場合もオーディオ装置34はIR送信のために電話からの音声ストリームをエンコードすることができる。後述する通り、乗員による双方向通信のために、本発明によるオーディオ装置34およびその他のIR装置を介して電話で会話するための機器を設けることもできる。
システム801は、送信機/受信機806と同様に、IR送信機とIR受信機とを含むIRリピータ810をさらに含むことができる。リピータ810は、IR信号16を受信し、それを再送信し、システム801の実効伝送エリアを増加する。リピータ810は、乗物800の前部、後部、またはその他の任意の方向または全方向から来る信号16を中継するように設計することができる。したがって、適用例に応じて、リピータ810は、複数の受信方向に向かう複数の受信機と、複数の送信方向に向かう複数の送信機を取り入れることができる。リピータ810は、バッテリ、乗物の電源へのハードワイヤ、乗物800の屋根に取り付けられた太陽電池パネル、またはその他の任意の実用向けのまたは都合の良い電源を含むことができる電源(図示せず)を必要とする。
システム801は任意選択で、スルー・ブレーキ・ライト824など、乗物800の電源に接続されたワイヤ(複数も可)823を介して電力供給されるアダプタ・モジュール822を含む通信サブシステム820を含むことができる。IR信号を受信してモジュールに中継するため、ならびにモジュール222からの信号を受信してIRにより乗物800の他のエリアに向かって送信するために、送信機/受信機826はワイヤ(複数も可)827を介してモジュール822に接続されている。モジュール822は、送信機/受信機826によるIR送信のために前述した通り、データ入力を受け入れ、そのデータをエンコードするために、オーディオ装置34と同様の回路(DSPを含む)を含む。入力データはディジタルまたはアナログにすることができ、したがって、モジュール822は、本発明によるエンコードのためにアナログ・データを受け入れてそれをディジタル化するために、1つまたは複数のADCを含むことができる。サブシステム820は乗物800のメーカによってあらかじめ取り付けることができ、したがって、乗物のその後の購入者は、乗物内での骨の折れる複雑な追加配線取付けの必要なしに、必要または要求に応じて、後述するカスタムIR装置を取り付けることができる。
モジュール822は、送信機/受信機826、806、および任意選択で810を介してオーディオ装置34に中継するために、ビデオ・カメラ830からのアナログまたはディジタル・ビデオ・データを含む多様なデータを受信することができる。オーディオ装置は、ビデオ・カメラ830から受信したビデオ・データを表示するためにビデオ・ディスプレイ831を含むかまたはそれに接続することができる。ビデオ・カメラ830は、本質的に他の乗物または他の障害物が乗物800に接近しすぎている場合に運転手に警告するためのバック・ミラーおよび/または近接センサとして動作して、乗物800の後ろの自動車のリアルタイム表示を可能にするために、乗物の後部に取り付けることができる。また、モジュール822は、マイクロホン832などのオーディオ装置からのオーディオ入力も受け入れることができる。マイクロホン832は、オーディオ・モニター、たとえば、前述の乳児モニターまたは乗物800の後部で移動中の病人用の医療用モニターとして、使用することができる。また、マイクロホン835は、前述のオーディオ装置34に接続されたセルラー電話装置(あるいはCB無線またはその他のタイプのワイヤレス通信装置)にアクセスしてセルラー電話またはその他の通信装置により会話を受信し伝導するために、ヘッドホン80を装着した人が使用することもできる。したがって、マイクロホン832は、物理的にヘッドホン80とは別途のものにすることができ、あるいは別法としてヘッドホン80に組み込むことができる。ヘッドホン80またはマイクロホン835は、ハングアップ、ダイヤル、ボリューム制御、通信チャネル選択など、セルラー電話またはその他の通信装置の諸機能にアクセスするための所与の制御部を組み込むことができる。
モジュール822は、一定の監視を必要とする可能性があり、乗物800で移動中の人に物理的に貼り付けることができるモニター833から患者監視データ(たとえば、心拍、体温など)など、他のデータ入力を受け入れることができる。モニター833は、他の任意のタイプのモニターにすることができ、したがって、(たとえば)食品配達サービスによって配達される食品容器などの容器の温度を乗物800の運転手に報告するために使用すべき容器に関する温度モニターにすることができる。
システム801は、後部座席に着座している乗員が見るために、たとえば、助手席の裏面に取り付けられたビデオ表示装置838をさらに含むことができる(明瞭にするために図20には乗員は示されていない)。ディスプレイ838は、たとえば、DVDプレーヤ803またはビデオ・カメラ830からのビデオ・データを含むIR信号16を受信するためにIR受信機839を含む。
任意選択で、オーディオ装置34に接続されたビデオ・ゲーム・コンソール837と通信するために、モジュール822にゲーム制御装置836も接続することができる。この実施形態では、乗員は、オーディオ装置34によって送信するためのオーディオおよびビデオ信号を生成するために、ビデオ・ゲーム・コンソール837によって実行されるゲーム・ソフトウェアのサウンドトラックを聞くためにヘッドホン80を装着することができる。ビデオ信号は表示装置838上で乗員に対して表示することができ、乗員はゲーム制御装置(たとえば、ジョイスティック、タッチ・パッド、マウスなど)836による入力を介してゲーム・コンソール上で実行されるゲーム・ソフトウェアと対話することができる。
モジュール822はさらにオーディオ・スピーカ840にオーディオ・データを出力することができ、それによりスピーカのために乗物800の前部から後部へワイヤを伸ばす必要性が除去される。スピーカ840は乗物の電源によって電力供給することができ、その場合、モジュール822から受信したオーディオ信号を増幅するための増幅器を含むことができる。別法として、モジュール822は、受信信号16を処理してアナログ・オーディオ信号にし、それをスピーカ840に提供する前にアナログ信号を増幅するために必要なすべての回路(DACを含む)を含むことができる。スピーカ840により再生されるチャネルは、オーディオ装置34(すなわち、乗物800の運転手による)またはゲーム制御装置836を含むその他の任意の入力装置(すなわち、乗物内の乗員による)により選択することができ、このように選択されたチャネルはモジュール822内のDSPによってデコードするためにオーディオ装置から送信された各パケットのヘッダ内に示すことができる。
前述のエンコード方式(図12に関連して記載した方式など)の他の諸実施形態では、受信機による処理電力消費量を削減するために他の様々な構成で送信バッファ(複数も可)内にデータを配置することができる。一例として、1つのチャネルを表すすべてのデータは、順次、バッファ内に記憶(その後、送信)することができ、その後に次のチャネルが続き、以下同様になる。1つまたは複数のチャネルが使用不能である場合、これらのチャネルは各パケットのヘッダ内で識別することができる。このようにして、受信機DSPは、イナクティブ・チャネル・データが受信されている間に電源切断することができる。
1つまたは複数のチャネルがイナクティブである場合、送信機は、たとえば、より高速で着信オーディオ・データをサンプリングして、より高品質のディジタル・ストリームを提供することにより、各チャネルに割り振られた帯域幅を増加することができる。別法として、送信機は、冗長サンプルまたはリード・ソロモン値などの高度なエラー訂正情報を含めることなど、エラー検出および/または訂正機能を増加することにより、過剰容量を利用することができる。
受信エラーを最小限にするために、受信機が経験するエラーの数およびタイプに応じて、各パケットに含まれるオーディオ・サンプルの数も調整することができる。この機能は、おそらく、経験したエラーに関する受信機からの何らかのフィードバックを必要とすることになると思われるが、それに基づいて送信機DSPはパケットごとに含むオーディオ・サンプルの数をより少なくするようにプログラミングすることができる。
本発明では他のエラー検出方式も使用することができる。一例として、パケットごとにコードをランダムに変更し、ヘッダ内だけでなくデータ・ブロック内の1つまたは複数の位置にもそのコードを挿入することができる。別法として、同じエンコード値を使用することもできる。固定周波数エラーの影響を除去するために、パケットごとに値(複数も可)の位置(複数も可)をランダムに変更することもできる。各パケットのヘッダ内にこの位置(複数も可)を指定し、その値を読取ってデータ・ブロック内の指定の位置(複数も可)に同じ値があるかどうかをチェックするようにDSPをプログラミングすることができる。この位置(複数も可)にある値(複数も可)がヘッダ内に指定された値と一致しない場合、DSPは、エラーを含むものとしてそのパケットを廃棄し、任意選択で前述の通り出力をミュートすることができる。
帯域幅を保存し、処理効率を高めるために、エンコード値(複数も可)は追加の情報を含むことができ、すなわち、ランダム値の代わりに、エンコード値は、たとえば、アクティブおよびイナクティブ・チャネルを表すことができる。その値がDSPによる処理のために聴取者によって選択されたチャネル内にあることを保証するために、エンコード値は好ましくは、少なくとも各アクティブ・チャネルに割り当てられたデータ・ブロック内の1つの位置に置かれることになるであろう。他の実施形態では、それぞれが異なるシステム変数またはその他の情報を表す複数のエンコード値を使用することができる(たとえば、1つのエンコード値がアクティブ・チャネルを示し、他のエンコード値がチェックサム値を含み、他のエンコード値が前方エラー訂正用のリード・ソロモン値を含むなど)。
システム801などの双方向システムでは、ヘッドホン80は、受信機DSPが受信データに関連するオーディオ装置34に受信エラー値を送信できるようにするためにIR送信機を含むことができる。これらの値に基づいて、送信機DSPは、不良データ・パケットの再送信、データ・パケット・サイズの調整(たとえば、エラー率が所定のしきい値を上回るときにより少ないデータを含むパケットを送信するか、または受信エラー率の関数としてパケットあたりのデータ量を動的に調整する)、IR送信機18が発生する送信出力の増加を含む、所与のエラー訂正アクションに取りかかることができる。
次に図21を参照すると、代替実施形態では、乗物900は本発明による通信システム901を含む。他の諸実施形態に関連して述べた通り、通信システム901は、ワイヤ(複数も可)804により光送信機/受信機806に配線接続されたオーディオ装置34を含むことができる。前述の通り、本発明による通信システムは、オーディオ装置34からエンコード・データを受信し、光送信機/受信機806を制御しそれに電力供給して光パルスのディジタル・ビット・ストリームを放出するためにIR送信機セクション18を含むことができる。IR送信機セクション18は、取付け、修理、保守、およびアップグレードをしやすくするために、図18に示すようにオーディオ装置34とは別に設けることができ、別法として、オーディオ装置34内に含めることもできる。
オーディオ装置34は、複数のチャネルのオーディオおよびその他のデータを提供することができ、DVDプレーヤ803からのオーディオおよびビデオ・データ、補助オーディオ装置922(たとえば、MP3プレーヤ、ディジタル衛星ラジオ・チューナ、ビデオ・ゲーム・プレーヤなど)およびセルラー電話805からのオーディオおよび/またはビデオ・データ、GPSユニット920からの地理的位置データ、乗物900の様々な機能をモニターし制御する乗物の中央演算処理装置(CPU)924からの様々な乗物データ(たとえば、遠隔測定情報)を受信するものとして示されている。前述の通り、本発明による通信システムは双方向通信を可能にすることができ、したがって、オーディオ装置34は、乗物900内の他のIR装置から送信機/受信機806が受信したデータを受け入れ、そのデータを乗物のCPU924およびセルラー電話805などの装置に向けることもできる。CPU924は、乗物900の運転手に対して適切なビデオ・ピクチャまたは警告を表示するためにビデオ・カメラ/近接センサ830からの近接情報などの情報を受信することができる。
引き続き図21を参照すると、通信システム901は、モジュール822(図17)に関連して他の箇所に記載した通り、ビデオ・カメラからのデータを受信し、それをIR受信機/送信機926、806およびオーディオ装置34により乗物のCPU924に送信するためにビデオ・カメラ/近接センサ830に配線接続可能な通信モジュール923にワイヤ(複数も可)827を介して配線接続されたIR受信機/送信機926を含む通信サブシステム921をさらに含むことができる。モジュール923は、オーディオ装置34からのオーディオ・データを受信し、トランク内または図示の通り、乗物900の後部座席の下に取り付けることができるサブウーファ942にオーディオ・データを提供することもできる。追加として、モジュール923は、トランクに取り付けたCDチェンジャ950に配線接続し、CDチェンジャからのオーディオ・データを受け入れて、乗物900内で再生するためにオーディオ装置34に送信するとともに、CDおよびトラック選択、入替え、リピートなど、CDチェンジャを制御するためにオーディオ装置34を介して乗物の運転手が入力した制御コマンドを受け取ることもできる。
モジュール923は、他の箇所に記載した通り、オーディオ装置34から受信したオーディオ・データをデコードし、デコードしたデータをサブウーファ942用のアナログ形式に変換するために1つまたは複数のDACを含むことができる。別法として、サブウーファ942は、DACを含み、したがって、デコードしたディジタル・オーディオ・データをモジュール923から直接受け入れることができる。また、モジュール923は、ビデオ・カメラ830およびCDチェンジャ950からのアナログ・データを受け入れ、それをディジタル形式に変換し、本明細書の他の箇所に記載する通り、それをエンコードし、それをオーディ装置34に送信するために1つまたは複数のADCも含むことができる。前に開示した通り、乗物のCPU924は通信システム901に接続することができ、システム901はこのような実施形態では、乗物に関連する遠隔測定情報をCPUに中継するために使用することができる。たとえば、タイヤ空気圧モニター952は、乗物900の後部エリアに配置することができ、後部タイヤ(複数も可)の空気圧に関連する情報を乗物のCPU924に送信するためにモジュール923に配線接続することができる。このようにして、本発明の通信システム901の有用性は、娯楽機能を超えて乗物の動作機能に拡張することができる。他の一実施形態では、IR受信機/送信機926は、乗物900内の任意のIR送信機からのIR信号を受信するためのリピータを取り入れ、受信IR信号を増幅し、乗物内の他のIR受信機による受信のためにその受信信号を再送信することができる。
ワイヤレス・スピーカ940は、乗物900のドア内または他の任意の実用向きの位置に取り付けることができ、IR受信機/送信機941を含む。好ましくは、スピーカ940は、IR受信機/送信機806、926から受信したエンコード済みのディジタル・オーディオ・データをデコードするためのDSPと、乗物900内で再生するためにデコードしたオーディオ・データをアナログ形式に変換するためのDACとを含む。スピーカ940とサブウーファ942はいずれも電源を必要とし、その電源は、乗物のテールランプへの電源からなど、乗物900の電源によって提供することができる。
さらに図21を参照すると、双方向ヘッドホン980はIR受信機/送信機982とマイクロホン984とを含む。IR受信機/送信機982は、IR受信機/送信機806によりまたは任意選択で前述の通りリピータを含むIR受信機/送信機926により、光ビット・ストリームのデータを介してオーディオ装置34と通信する。双方向ヘッドホン980は、電話をかけ、双方向会話を伝導するためにオーディオ装置34によりセルラー電話805にアクセスするために使用することができる。双方向ヘッドホン980はダイヤルするための数字パッドを含むことができ、別法として、オーディオ装置34は、マイクロホン984に向かってコマンドを話すことにより、ユーザ933(ヘッドホン980を使用する)が電話をかけるための所定のチャネルを選択し、セルラー電話805を活動化して操作できるようにするための音声認識機能を含むことができる。双方向ヘッドホン980は、本明細書の他の箇所に記載した通り、エンコードおよびIR送信のためにユーザ933の音声をディジタル化するためにマイクロホン984に接続されたADCをさらに含むことができる。また、双方向ヘッドホン980は好ましくは、オーディオ・ボリュームを制御すること、複数の通信チャネルのうちの1つを選択することを含む、前述した通り、ヘッドホン80によって提供される他の諸機能も提供する。
引き続き図21を参照すると、リモート・コントローラ936は、IR受信機/送信機806および任意選択でIR受信機/送信機926に含まれるリピータを介してオーディオ装置34との双方向通信のためのIR受信機/送信機984を含む。リモート・コントローラ936は、キー・パッド、ジョイスティック、押しボタン、トグル・スイッチ、ボイス・コマンド・コントロールを含むがこれらに限定されない複数の制御部のうちの任意の1つまたは複数を提供することができ、オーディオまたは触覚/振動などの感覚フィードバックをさらに提供することができる。リモート・コントローラ936は、前述の通り、セルラー電話805にアクセスして制御することを含む、様々な目的に使用することができる。また、リモート・コントローラ936は、ゲーム・オーディオ・トラックがヘッドホン80、980により再生され、ビデオ・ディスプレイ(複数も可)838上に表示されたビデオ・ゲームをプレイするためにビデオ・ゲーム・プレーヤ922にアクセスして制御するために使用することもできる。さらに、リモート・コントローラ936は、DVDプレーヤ803を制御してビデオ・ディスプレイ838上に映画を表示し、その諸機能(たとえば、一時停止、停止、早送り)を制御するため、トランクに取り付けたCDチェンジャ950を制御するため、乗物のCPU924から遠隔測定データを要求してビデオ・ディスプレイ838上に表示するため、またはドアのロック/ロック解除および窓の開閉など、乗物900の他の諸機能を制御するために、ビデオ・ディスプレイ838を制御し、表示機能および制御部を調整するために使用することもできる。2人またはそれ以上のユーザ933、935が複数のそれぞれのビデオ・ディスプレイ838上に個別に表示されたビデオ・ゲームをプレイできるようにするために、2つまたはそれ以上のリモート・コントローラ936を乗物900内に設けることができる。各リモート・コントローラ936は、個別通信チャネルによりオーディオ装置34およびビデオ・ゲーム・プレーヤ922にアクセスすることができ、したがって、ゲーム・プレーヤがそれぞれのビデオ・ディスプレイ838およびヘッドホン980、80によりそれぞれのユーザ933、935に異なる個別ビデオおよびオーディオ・ストリームを提供できるようにすることができる。さらに、ヘッドホン80、980は、他のチャネルを選択するためにリモート・コントローラ936からIR信号を受信するかまたはユーザが選択した機能(たとえば、ビデオ・ゲームをプレイすること、DVDを見ること)に基づいて適切なチャネルを自動的に選択するようにプログラミングすることもできる。
本発明の他の一実施形態では、ヘッドホン80のDSP76は、乗物内および住宅内で見つけられるような種々のオーディオ装置34を識別するようにプログラミングすることができる。したがって、各オーディオ装置34は、固有識別子を提供するために各データ・パケットのヘッダ内に他の情報を含むことができる。DSP76は、それからヘッドホン80のユーザがオーディオおよびその他のデータを受信したいと希望する可能性のある各オーディオ装置34に関連する様々なユーザ選択可能オプションを記憶するためにプログラマブル・メモリをさらに含むことができる。したがって、例証として、DSP76は、乗物に取り付けたオーディオ装置34からデータを受信するときに所定数のステレオおよび/またはモノラル・オーディオ・チャネルを受信しデコードするように、また、ホームシアタ・システムに接続されたオーディオ装置34からデータを受信するときに6つのチャネルのモノラル・オーディオ・データを受信しデコードして真の5.1オーディオ経験を提供するようにプログラミングすることができる。
他の実施形態では、本発明により動作するヘッドホン80には、使用可能な各チャネルごとに異なる値に調整可能であって、それぞれのチャネルがユーザによって選択されたときに自動的に検出し適用される音質制御(たとえば、低音、高音)など、ユーザがカスタマイズ可能な諸機能を設けることができる。追加として、前述の通り、乗物内のオーディオ装置および住宅内のオーディオ装置など、個々のオーディオ装置34についてもカスタム機能を設定することができる。したがって、ヘッドホン80には、低音および高音制御部などの追加の制御部と、その他の信号処理オプション(たとえば、パノラマ、コンサート・ホールなど)を設けることができる。カスタム設定はヘッドホン80内に含まれるメモリ内にヘッドホン・プロファイルとして保持することができ、そのメモリは任意のタイプの消去可能メモリにすることができる。別法として、双方向ヘッドホン980の場合、ユーザによって調整されたカスタム機能値は、オーディオ装置内のメモリに記憶するためにオーディオ装置34に送信することができ、その後、これらのカスタム値は、ヘッドセット980によって復元され、選択したチャネルの信号に適用される各チャネルを表すデータ・ストリームに(たとえば、データ・パケットのヘッダ内に)組み込むことができる。
別法として、単方向ヘッドホン80でもカスタマイズした設定を享受できるように、オーディオ装置34によりカスタム機能を調整することができる。カスタマイズした機能がオーディオ装置34によりメモリに記憶される諸実施形態では、それぞれの個別ヘッドホン・セット80および/または980には個別識別の手段を設けることができ、これはヘッドホン上に設けられた制御部を介してユーザが入力することができる(たとえば、番号1、2、3などとしてヘッドホンを定義する)。この個別識別により、オーディオ装置は、すべてのヘッドホン・セットに関するカスタム設定を各ヘッドホン・セットによって復元すべき各チャネルを表すデータ・ストリームに組み込むことができるようになり、それに続いて、各ヘッドホン・セットは、その特定のヘッドホン・セットのユーザによって選択されたチャネルの信号に適用するためにそれ自体の適切なカスタム設定セットを識別し選択することになる。
カスタム・ヘッドセット・プロファイルに加えて、ユーザは、乗物900内のヘッドホンの各個別ユーザの特定の設定選択を指定する個別ユーザ・プロファイルを指定することができる。このような個別プロファイルは、前述の通り、オーディオ装置34に記憶し、データ・ストリーム内で送信することができる。この実施形態では、各ユーザは、選択したヘッドホン80に対して自分自身を識別するためにそのヘッドホン80の制御部により固有識別子の入力を要求される可能性があり、それは、ヘッドホンを装着し、ユーザが選択したチャネルの信号にプロファイル内のカスタム設定を適用するユーザの個別ユーザ・プロファイルを抽出するようにプログラミングすることができる。このようなプロファイルは、各データ・パケットに組み込むか、またはオーディオ装置34が最初に電源投入されたときに一度だけ送信するか、あるいは別法として、一定の間隔で送信することができる。別法として、すべてのユーザ・プロファイルは乗物900内の各ヘッドホン・セット80によってメモリ内に記憶することができ、そのプロファイルは間欠的にまたはオーディオ装置34に電源投入するたびに更新することができる。
次に図22を参照すると、代替実施形態では、本発明による通信システム991が乗物988内に設けられ、その乗物はデータ・バス990を含む。データ・バス990は、乗物のCPU924に接続され、乗物内の様々な装置(たとえば、ビデオ・カメラ830、CDチェンジャ950)をCPUに接続するために乗物988の全体にわたって延びている。データ・バス990は、図示の通り、乗物988のヘッドライナを通って延びることができ、または所望の装置を接続するために乗物を通る代替経路を取ることができる。データ・バスは、光ファイバ・バスにするかまたは電子配線式バスにすることができ、様々な伝送速度および帯域幅で動作することができる。一実施形態では、データ・バス990は、Bluetooth無線通信規格によるかまたは光ファイバ・ネットワーク用のMedia Oriented Systems Transport(MOST)通信規格により動作することができる。
通信システム991は、乗物988内の1つまたは複数の位置に取り付けられ、データ・バス990に接続されたIRモジュール992を含む。各IRモジュール992は、1つのIR受信機(光受容体)を含むことができ、追加として、1つのIR送信機(たとえば、1つまたは複数のLED)を含むことができる。前述の通り、受信IR信号を再送信するために、各IRモジュール992内にリピータも取り入れることができる。追加として、各IRモジュール992は、バスにより送信されるデータを読取り、LED(複数も可)による送信のためにそのデータをIR信号に変換するため、ならびに、受信IR信号をバスが受け入れるデータ・フォーマットに変換し、オーディオ装置34またはバスに接続された他の任意の装置に対しバスによりこのようなデータを送信するために、データ・バス990とのインターフェースを取るための回路(たとえば、ネットワーク・インターフェース・カード)を含む。このインターフェース回路は、IR受信機および/または送信機がデータ・バス990とは異なる速度で動作する場合にデータをバッファリングするためのバッファまたはキャッシュをさらに含むことができる。
この実施形態では、オーディオ装置34は、通信システム991の中央制御ユニットである必要はなく、代わりに、IRモジュール992により乗物988内部の任意のIR装置が本発明により動作する他の任意のIR装置またはデータ・バス990に接続された他の任意の装置とのインターフェースを取ることができる分散システムにすることができる。本明細書の他の箇所に示す本発明の原理により(たとえば、図10に関連して記載した固有識別子IDによる)、データ・バス990により送信されたデータを適切にアドレス指定し識別することにより(たとえば、各データ・ブロックまたはデータ・パケットのヘッダ内に置かれた情報による)、データ・バスに接続された各装置は、デコードし使用するためにそれが要求されたチャネルのデータを識別することができ、任意選択でそれが受信する予定のデータを明確にアドレス指定可能な固有のアドレスを割り当てることができる。追加の装置をネットワークに接続するために追加の配線は一切不要であるので、このハイブリッド・ネットワークは容易に拡張可能であり、代わりに、新しい各装置は、ワイヤレス・インターフェースの1つによりその装置がネットワークに接続できるようにするIR送信機/受信機を装備することができる。
次に図23を参照すると、さらに他の実施形態では、本発明による通信システム1000は建物1010内に設けられており、その建物は通信ネットワーク1020を含む。ネットワーク1020は、有線にするかまたは802.11(WiFi)準拠の無線(RF)ネットワークなどの無線にすることができる、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)にすることができる。別法として、ネットワーク1020は単に、たとえば、ローカルのケーブルテレビ会社のネットワーク1022に接続された有線データ・パイプラインにすることができる。したがって、当技術分野で既知の通り、ネットワーク1020は、テレビおよび音楽チャネルなどのメディア・コンテンツを受信するために、さらにケーブル・モデム1024を介してインターネットへの接続を提供するために、ケーブル・ネットワーク1022とのインターフェースを取ることができる。
ネットワーク1020は、RF信号1032により建物の全体にわたってネットワーク上を流れるデータをブロードキャストするために、ネットワークに配線接続され、建物1010の部屋1011内に取り付けられたワイヤレス(無線)RFトランシーバ1030を含む。複数のRF送信機からの建物1010全体にわたるRF干渉を最小限にするため、建物内の部屋1012は、ネットワーク1020からのデータを搬送するRF送信機1030からのRF信号1032を受信するためにRFアンテナ1034に接続されたインターフェース・エンコーダ/デコーダ1040を装備することができる。次にエンコーダ/デコーダ1040は、たとえば、図10の説明に関連して、本明細書の他の箇所に記載した通り、受信したネットワーク信号をエンコードし、ネットワーク・データを搬送するIR信号1052を放出するようにIR送信機/受信機1050のIR LEDを駆動することができる。PC1060などの部屋内の装置は、IR信号1052を受信するためのIR送信機/受信機1070と、IR信号からデータを抽出するとともにPCからのデータをエンコードし、送信機/受信機1050によりインターフェース・エンコーダ/デコーダ1040によって受信すべきIR信号1062としてそれを送信するためのエンコーダ/デコーダ1080とを装備することができる。次にインターフェース・エンコーダ/デコーダ1040は、PC1060からIR信号1062により搬送されたデータをデコードまたは逆多重化し、それをRFアンテナ1034に回すことができ、次にそのアンテナは、トランシーバ1030によって受信し、ネットワーク1020に通信すべきRF信号1036としてそのデータを送信する。
引き続き図23を参照すると、建物1010の部屋1013は、テレビおよびオーディオ番組を受信するためにネットワーク1020に接続されたホームシアタ・システム1100を装備することができる。ホームシアタ・システムは、本明細書の他の箇所に記載した通り、ホームシアタ・システムの前置増幅器から1つまたは複数のチャネルのオーディオを受信し、IR信号1122としてそのチャネルのオーディオを送信するようIR送信機1120を駆動するために、デコーダ1110にも接続することができる。ワイヤレス・ヘッドホン14およびリモート・スピーカ1130などの部屋1012内の装置はそれぞれ、IR受信機70と、前述の通り、IR信号1122をデコードするためのデコーダ回路を装備することができる。IR信号1122は、いわゆる5.1オーディオ・システムを形成する各スピーカ1130ごとに5つのチャネルのモノラル・オーディオなどのオーディオ情報を搬送することができる。また、IR信号は、ヘッドホン14を装着した聴取者1150が、ラウドスピーカ1130によって再生されているチャネルとは異なるオーディオ・チャネルを聞くことを選択できるように、複数チャネルのオーディオも搬送することができる。電話、ファクシミリ装置、テレビ、ラジオ、ビデオ・ゲーム・コンソール、携帯情報端末、遠隔制御用の装備が施された様々な家庭電化製品、ホーム・セキュリティ・システムを含むがこれらに限定されない他の多くのタイプの装置が本発明のやり方でワイヤレスでネットワーク1020に接続可能であることを理解されたい。
したがって、ハイブリッド・システム1000は、壁を通って伝搬するRF信号の能力を利用するが、このような状況で発生する可能性のあるRF干渉を最小限にする。また、システム100は、非常にフレキシブルであり、建物内に追加のケーブルまたは配線を実際に取り付けずに、PC1060などの複数の追加装置をネットワーク1020などの有線ネットワークに接続することを可能にする。代わりに、単一インターフェース・エンコーダ/デコーダ1040は建物の各部屋に取り付けることが必要であり、そのように装備した部屋のいずれかにある装置は、デコーダ1110などの単方向デコーダまたはエンコーダ/デコーダ1080などの双方向エンコーダ/デコーダのいずれかによりネットワーク1020に接続することができる。このようにして、古い建物は、必要なネットワーク/通信機能を備えた最新オフィスの建造に、容易かつコスト効率よく改装することができる。
次に図24を参照すると、本明細書に記載する他の実施形態では、乗物800は、IR受信機/送信機806に配線接続されたオーディオ装置34を含む、前述の通信システムを装備することができる。この実施形態では、通信システムは、本明細書の他の箇所に前述した通り、それからディジタル信号を受信するために、それぞれがワイヤ807Lおよび807Rを介してオーディオ装置34に個別に配線接続された2つのIR受信機/送信機806Lおよび806Rを含む。IR受信機/送信機806Lおよび806Rは、それぞれ乗物800の左および右後部座席に着座している乗員が装着したヘッドセット受信機ユニット14(説明の便宜のため、図24では14L、14Rとして示す)による個別受信のために、それぞれ比較的狭く集束したIR信号16L、16Rを放出するために、乗物800のそれぞれ左および右後部座席のかなり上に取り付けられる。このようにして、各ヘッドセット14L、14Rは、それぞれ個別信号16L、16を受信することができる。信号16L、16Rは、互いに同一である場合もあれば、互いに異なる場合もある。したがって、この実施形態により、信号16L、16Rなどのワイヤレス信号を受信および/または送信するために前述の通り装備された複数のヘッドセットおよびその他のワイヤレス装置間をさらに区別することができる。
信号16L、16Rは、単方向である場合もあれば、図示の通り、ワイヤレス装置がワイヤレス受信機ならびに送信機を装備しているときに双方向になる場合もある。この実施形態では、各ヘッドセット(または他のワイヤレス装置)のユーザが個別にオーディオ装置34と通信できるようにするためのより単純でコスト効率の良いワイヤレス装置を設けることができる。このようにして、オーディオ装置34は、それぞれがオーディオおよび/またはビデオ・データなどの複数(たとえば、4つ)の多重化チャネルのデータを搬送する複数の個別ワイヤレス(たとえば、IR)信号を提供し、したがって、より多くの選択肢をワイヤレス装置のユーザに提供するように構成することができる。各受信機/送信機(たとえば、IR受信機/送信機806L、806Rなど)によって送信される個別ワイヤレス信号(たとえば、IR信号16L、16Rなど)は、オーディオ装置34を介して選択することができ、あるいは別法として、そのそれぞれのIR受信機/送信機にワイヤレス装置を送信可能な各双方向ワイヤレス装置のユーザによって選択することができる。
ワイヤレス信号の所望の狭い集束を達成するために、ワイヤレス信号がIR信号16である一実施形態では、乗物800の後部座席のすぐ下およびそれに向かって照準が定められているIR受信機/送信機内にIR LEDを設けることができる。以下にさらに記載する通り、幅が800μmで高さが1000μm程度に小さくすることができるSMD(表面実装デバイス)LEDなどの比較的小さい物理的寸法を有するLEDを使用することが有利である可能性がある。このような実施形態は全体的な設計を単純にし、LEDの狭い集束のために異なる信号間の相互干渉も最小限にすることが分かるであろう。
ディジタル信号を送信するシステムに関連して上記の諸実施形態を説明してきたが、本明細書に記載した諸実施形態がアナログ信号を送信するアナログ・システムにも等しく適用可能であることを理解されたい。したがって、本明細書に記載した諸実施形態は、それぞれのワイヤレス受信機/送信機によって送信すべき信号を選択することにより、ヘッドセットなどのアナログ・ワイヤレス装置のユーザに複数チャネルへのアクセスを提供するために使用することができる。したがって、ヘッドセットなどのワイヤレス装置のユーザは、そのユーザの上に位置するそれぞれのワイヤレス受信機/送信機によって送信するために、同じ乗物内の他のユーザによって受信されるチャネルのデータとは異なる個別チャネルのデータ(ステレオ・オーディオなど)を選択できるので、この実施形態は(アナログ・システムとディジタル・システムのいずれについても)複数チャネルのデータを完全に単一信号に多重化する必要性をなくすことができる。
また、本明細書に記載する諸実施形態は、アナログ信号とディジタル信号の混合を可能にするためにも使用することができる。このようにして、乗物は、アナログ・ワイヤレス装置による受信のためにオーディオ装置34などのオーディオ装置からデータ・チャネルを送信するために、1つまたは複数のアナログ・ワイヤレス受信機/送信機を装備するかまたは増設することができ、ディジタル・ワイヤレス装置による受信のために同じかまたは追加のオーディオ(あるいはビデオまたはその他の)装置からディジタル化データ・チャネルを送信するために、1つまたは複数のディジタル・ワイヤレス受信機/送信機を設けることもできる。このように装備した乗物は、そこで使用するためのワイヤレス装置に関するより多様なオプションをユーザに与えることができる。
本明細書に記載し、図25に図示した一実施形態では、IR受信機/送信機806(明瞭にするために1つのみ示されている)は乗物800のヘッドライナ809内に取り付けられている。既知の通り、乗物のヘッドライナは、乗物の屋根の下に延び、それに取り付けられている。ヘッドライナは通常、ポリスチレン・フォームまたはその他のフォームなどの柔軟な材料811から形成され、布または織物またはPVCなどの審美的に満足な材料813のシートで覆われている。可能な一実施形態では、IR受信機/送信機806をその中にぴったりと受け入れるためにヘッドライナ809内に中空空間815を形成することができる。その中にワイヤ807を受け入れて、オーディオ装置34が通常、位置することになる乗物の前部に向かってワイヤを伝導するために、中空空間815から延びる細長い空間817もヘッドライナ内に形成することができる。ヘッドライン・カバー813は、受信機/送信機によって放出されるワイヤレス信号(たとえば、IR受信機/送信機806によって放出されるIR信号)にとって透過的な材料で有利に形成することができる。別法として、ワイヤレス信号がそれを通過できるようにするためにカバー813に開口部を形成することができ、任意選択で保護および/または審美的理由により開口部内にワイヤレス受信機/送信機の上に第2の透明なカバー819を取り付けることができる。
特許法の要件に従って本発明を説明してきたが、当業者であれば、その具体的な要件または条件を満たすために本発明に変更および修正を加える方法を理解できるであろう。このような変更および修正は、本明細書に開示する本発明の範囲および精神から逸脱せずに行うことができる。