JP4322074B2 - 圧延機 - Google Patents
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Description
上記従来技術では、圧延材をワークロール(圧延ロール)に通板するときにロールギャップが開かれているので、圧延材の先端部は依然圧延されず、この先端部がスクラップとなる点が指摘されている(特許文献1:段落番号[0007]参照)。
一方、従来の張力付加装置として、上下一対のテンションパッドを用いて圧延材の後端を挟み込んで張力を付与するようにしていた。また、前記スティッカーをテンションパッドとしても活用し、圧延材の先端圧延と後端圧延を兼ねる場合もあった。
しかし、上記のように圧延材の先端圧延と後端圧延をした場合、スティッカー、テンションパッドはいずれも単に圧延材を挟み込んで押さえるだけであるので、これらが圧延材(板材)を上下から押さえることにより、その表面に疵が発生し易くなっていた(圧延を安定させる為には、先端もしくは後端張力を大きくする必要があるが、大きくすればする程圧延材表面に疵が入り易くなる)。
一般に圧延材への疵付きを軽減する為に、圧延材に接触する部分(パッド部)には、木片もしくは木片の上に綿布等を巻いたもの、もしくはMCナイロンのように圧延材よりも硬度が低い材料を使用する。
しかし、逆に、パッド部を軟質材とすることにより、パッドの損耗が激しくなる為、数コイルの圧延の後に交換する必要があり(1シフトに数回の交換が必要となり)、パッド材の準備及び交換作業によりロスタイムが生じ生産性が低下していた。
また、一旦停止することにより圧延材の表面に疵(ストップマーク)が発生する場合もあった。
また、圧延材をワークロール間に噛みこませた瞬間にワークロールにより圧延材が引っ張られることで、スティッカーが圧延材の送り方向(出側)に引っ張られてしまい、一瞬スティッカーに無理な力が付加される為、スティッカーのガイド部分(前進する為のガイド)に磨耗を引き起し、スティッカーガイド部の寿命が短くなるという不都合があった。
本発明の他の目的は、圧延材の表面に疵を極力発生させることなく、圧延材の尻抜け時にその後端部側に張力を与えて圧延できるようにした圧延機を提供することである。
すなわち、圧延機の上下一対のワークロールの近傍の入側に、圧延材の先端部を前記ワークロール間に案内する、上下一対のピンチロールが設けられたことを特徴とする。
前記圧延材の尻抜け時に圧延材の後端部に張力を付与すべく前記ピンチロールを制御する制御装置が設けられていることを特徴とする。
前記上下のピンチロールは接近離反可能に設けられていることを特徴とする。
前記上下のピンチロールは、送り速度をそれぞれ変更可能とされていることを特徴とする。
圧延機は可逆式冷間圧延機であり、該圧延機のミルハウジング内に前記ピンチロールが設けられていることを特徴とする。
なお、課題を解決するための技術的手段の最も好ましいものとしては、一対のリールに巻き取られた圧延材を上下一対のワークロールでリバース圧延する圧延機において、前記上下一対のワークロールの近傍の入側及び出側の各々に上下一対のピンチロールが設けられ、前記上下一対のピンチロールを、前記圧延材の先端部を案内する時には上下方向に接近させ、該先端部がワークロール間に噛み込んだ時には上下方向に離反させ、圧延材の尻抜け時には上下方向に接近させた上で圧延材の後端部に張力を付与するように制御する制御装置が設けられていて、前記上下のピンチロールのそれぞれは、送り速度を独立して変更可能とされているとよい。
また、圧延材の後端側表面に疵を極力発生させることなく、圧延材の尻抜け時に後端部側に張力を付与して圧延できる。
この実施の形態では、圧延機1の例として可逆式冷間圧延機1を示している。図1に示すように、圧延機1は、所定間隔離間された一対のリール2間に、上下一対のワークロール(圧延ロール)3(3U、3L)を収容したミルハウジング4を配置した構成となっている。
各リール2とミルハウジング4の間にはデフレクタロール5が一つずつ配置されている。一方のリール2には圧延材6(ストリップ)が巻き取られており、この圧延材6は、各リール2間を往復するときに、各リール2とミルハウジング4の間で前記各デフレクタロール5に支持される。
前記圧延材6は、一方のリール2から繰り出された後、一方のデフレクタロール5を介してミルハウジング4内に送られ、ワークロール3によって圧延された後、他方のデフレクタロール5を介して他方のリール2に巻き取られる。この行程を複数回繰り返すことで、圧延材6は所定の厚さに圧延される。
図1〜図3に示すように、ミルハウジング4内において、ワークロール3の近傍位置に圧延材6を挟みこむピンチロール装置8が配置されている。ピンチロール装置8は、ミルハウジング4外またはミルハウジング4内に設けられた制御装置9によってその位置または回転速度等を変更可能に制御される。
ピンチロール装置8は、圧延材6(ストリップ)を挟み込む上下一対のピンチロール10(10U、10L)と、ピンチロール10を回転駆動する駆動手段11と、ピンチロール10の位置を変更するための位置変更手段12を有している。
一方、ミルハウジング4の上部および下部には、その横方向の側壁13内面同士を連結するように上下一対のフレーム14(14U、14L)が設けられており、各フレーム14は各ピンチロール装置8を支持している。前記フレーム14は鋼製で、四角柱状に形成されている。各フレーム14U、14Lには、ピンチロール10を上下に移動させるための位置変更手段12(昇降手段)として上下一対の油圧シリンダ15(15U、15L)が固定されている。この油圧シリンダ15は、フレーム14の側外面から突出して形成された対の板状ブラケット16に挟持固定されている。
前記フレーム14の幅方向各基部にはスライドフレーム17を上下に案内するためのガイド溝18が設けられている。
スライドフレーム17は、スライド板19が前記ガイド溝18と係合し、前記油圧シリンダ15を作動させることで前後方向、または横方向の位置を規制されながら上下にスライドするようになっている。
上スライドフレーム17Uは、筒状の胴部20と、胴部20の下部に設けられた上ピンチロール10Uのハウジング部21を有する。
前記上油圧シリンダ15Uのロッド26の先端は、上スライドフレーム17Uの中空状の胴部20内を通じて、水平板部22上面の長手方向中途部に連結固定されている。これによって、上スライドフレーム17Uは前記上油圧シリンダ15Uを介して上フレーム14Uに支持される。また、この上油圧シリンダ15Uを前記制御装置9を介して動作させることで、上スライドフレーム17Uは上フレーム14Uのガイド溝18を介して昇降することができる。
上油圧モータ27Uは、上スライドフレーム17Uのワークロール3側の側外面に形成されたモータ収納部28に収容されている。
この上油圧モータ27Uの軸の先端には駆動スプロケット29が設けられている。一方、上ピンチロール10Uの一端の軸部25先端は、対のロール支持板部23の一方を貫通してハウジング部21外に突出されており、この先端に従動スプロケット30が設けられている。
油圧モータ27は、前記制御装置9に組み込まれた油圧回路により、駆動、フリーラン(空転)、バックテンション1(大張力:圧延材6の板厚が厚い場合)、バックテンション2(小張力:圧延材6の板厚が薄い場合)の4種類の回転モードを切り替え可能としている。また、油圧モータ27は、回転数を自在に変更することができるようになっている。
なお、下スライドフレーム17Lは、上スライドフレーム17Uと同じ構成、すなわち、上記構成の上スライドフレーム17Uの上下を逆にした状態で下ピンチロール10Lを昇降させるようになっている。従って、下ピンチロール10Lと下油圧モータ27Lの位置関係、下スライドフレーム17Lの胴部20とハウジング部21の位置関係等は、全て上スライドフレーム17Uの場合と上下逆になっている。また、下スライドフレーム17Lは、下フレーム14Lに固定された下油圧シリンダ15Lを介して上下にスライドする。
ピンチロール10は、金属製(例えば鋼製)、ゴム製等の種々の材料で形成可能であるが、このうち、より強度の高い鋼製とするのが望ましい。ピンチロール10を鋼製とすることにより、ゴム製等で形成されたものよりも、ピンチロール10の寿命を長く保つことができるからである。仮に、ピンチロール10をゴム製ロールとした場合には、圧延材6と接触する部分でゴムの剥がれ、損傷が進み、硬質のゴムを使用したとしても、その寿命は、生産量・圧延材6の材質にもより予想は困難だが、鋼製ロールの10分の1程度になる。例えば、ゴム製ロールと鋼製ロールについて、ロール径等の諸元を同一として両者を比較した場合、ゴム製ロールは、最大1ヶ月程度の周期でピンチロール10を交換する必要があるが、鋼製ロールは、1年程度は交換せずに使用することが可能となる。
上下一対のピンチロール10U、10Lは、圧延機1の上下一対のワークロール3の近傍の入側に配置されている。上下ピンチロール10U、10Lは、その軸心が圧延材6の送り方向にオフセット可能に設けられていることが望ましい。これによって、圧延材6が上下ピンチローラ10U、10Lにより、より多くの接触面積で押さえられ、圧延材6の搬送状態が安定する。上下ピンチロール10の軸心を圧延材6の送り方向に一致させて圧延材6を挟んだ場合、製作上の誤差及び圧延材6からピンチローラ10の送り方向に作用する力の不均一により上下ピンチロール10U、10Lがクロス(交差)する場合があり、このとき圧延材6が幅方向に蛇行してしまって、圧延材6を安定して押さえにくい場合がある。この点、上記のようにピンチロール10をオフセットすることにより、このような不具合を防止でき、この点で有利である。
前記各ピンチロール装置8は、ミルハウジング4内に送られてきた圧延材6の先端を圧延する場合(以下、先端圧延という)、または圧延材6の後端部を圧延する場合(以下、後端圧延という)に作動する。
上下ワークロール3間に圧延材6の先端が噛み込んだ瞬間に上下ピンチロール10U、10Lを開し(上ピンチロール10Uを上方に上げ、下ピンチロール10Lを下方に下げ、圧延材6に当たらないようにする)、これと同時に回転モードをフリーランモードとする。これによって、ピンチロール10には無理な力がかからず、ピンチロール10の寿命を長く保つことができる。
後端圧延を行う場合には、圧延材6の尻抜け時に上下ピンチロール10U、10Lにより圧延材6の入側部分を挟み、前記制御装置9によって、ピンチロール10の油圧回路をブレーキ回路に切り替えて油圧モータ27(駆動手段11)に負荷を発生させ、この負荷を、前記チェーン31を介して油圧モータ27に連結されているピンチローラ10の回転の際の抵抗とすることで、バックテンションモードとして圧延材6の入側にバックテンションを付加する。
また、従来使用されていたスティッカー、テンションパッドでは頻繁にパッド部を交換しなければならないが、ピンチロール式ではパッド部がなく交換の必要が無い為、生産性が高く、且つランニングコストも低減できる。
ピンチロール10は、先端圧延の際には圧延材6の先端を上下ワークロール3間に案内するものであるので、このワークロール3間に極力近づけて配置するのが望ましい。なお、機器設置スペースの関係で、ミルハウジング4内にピンチロール10を設けることができない場合には、ミルハウジング4外直近位置に設置してもよい。
例えば、駆動手段11について、油圧モータ27(27U、27L)をブレーキ付きの電動モータに替えてピンチロール10の回転数やバックテンション等の回転モードを変更調整可能とすることができる。
また、上記の実施の形態では、可逆式冷間圧延機1を例示したが、いわゆるタンデム圧延機の入側にピンチロール10を配置する構成にしてもよく、または、熱間圧延機のワークロール3近傍にピンチロール装置8を配置する構成にしてもよい。圧延材6としては、板材のみでなく棒材を圧延することも可能である。
3 ワークロール
4 ミルハウジング
9 制御装置
10 ピンチロール
Claims (4)
- 一対のリールに巻き取られた圧延材を上下一対のワークロールでリバース圧延する圧延機において、
前記上下一対のワークロールの近傍の入側及び出側の各々に上下一対のピンチロールが設けられ、
前記上下一対のピンチロールを、前記圧延材の先端部を案内する時には上下方向に接近させ、該先端部がワークロール間に噛み込んだ時には上下方向に離反させ、圧延材の尻抜け時には上下方向に接近させた上で圧延材の後端部に張力を付与するように制御する制御装置が設けられていて、
前記上下のピンチロールのそれぞれは、送り速度を独立して変更可能とされていることを特徴とする圧延機。 - 前記上下のピンチロールは、鋼製であり、その軸心を圧延材の送り方向にオフセット可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧延機。
- 前記圧延機は冷間圧延機であり、該圧延機のミルハウジング内に前記ピンチロールが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延機。
- 前記上下一対のワークロールの近傍の入側及び出側に、前記上下一対のピンチロールがそれぞれ1つずつ設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の圧延機。
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