JP4321970B2 - 半導体光増幅器およびase放射用光源装置および光ゲートアレイおよび波長可変レーザ装置および多波長レーザ装置および光伝送システム - Google Patents

半導体光増幅器およびase放射用光源装置および光ゲートアレイおよび波長可変レーザ装置および多波長レーザ装置および光伝送システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体光増幅器およびASE放射用光源装置および光ゲートアレイおよび波長可変レーザ装置および多波長レーザ装置および光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信では、光ファイバの伝搬損失や光部品の結合損失の補償として、光増幅器が用いられている。従来、半導体光増幅器としては、進行波型光増幅器が広く知られている。進行波型光増幅器は、一方の端面から入射した光が、入射光の波長に対して利得を有する利得領域を含む導波路を伝搬する過程で光増幅され、反対側の端面から出射される構造となっている。利得領域では、p側電極とn側電極からそれぞれ正孔と電子が注入されて反転分布を形成しており、入射光と共鳴して誘導放出光が発生して光が増幅される。
【0003】
石英系光ファイバにおいて、伝送損失が低く、長距離大容量伝送に適した波長帯は、1.2〜1.6μmとなっている。1.2〜1.6μm帯のレーザ光を増幅する進行波型半導体光増幅器として、従来では、特開平9−105963や特開平11−186654等に示されているものが知られている。すなわち、特開平9−105963,特開平11−186654には、波長1.3μmまたは1.55μmの光を増幅する光増幅器として、InP基板上に、InPをクラッド層とし、InGaAsP量子井戸層を利得領域とする構成が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、波長1.2〜1.6μm帯の従来の半導体光増幅器は、InP基板上にInGaAsP系材料を結晶成長させて形成されている。しかしながら、利得領域となるInGaAsPとキャリア障壁層となるInPとでは、伝導帯ヘテロ障壁高さが150〜200meV程度と小さいことや、オージェ非発光再結合等によって、電子が利得領域からリークしやすくなっている。特に、高温動作時には電子リークが顕著となる。例えば、1.3μm帯のInGaAsP系レーザでは、特性温度が80K程度であり、0.85μm帯のAlGaAs系レーザの特性温度と比較して半分程度と低い値となっている。この傾向は、半導体光増幅器においても同様であり、高温になると利得領域からキャリアリークが発生して増幅率が飽和しやすくなってしまう。そのため、高温時には十分な光増幅率が得られないという問題があった。このことが、電子冷却装置を用いない低価格の光LANシステムにおいて、半導体光増幅器の使用を困難にしていた。
【0005】
本発明は、石英系光ファイバの長距離大容量伝送に適した1.2〜1.6μm帯のレーザ光に対応し、外部環境温度に対して光増幅率の変化が小さい半導体光増幅器およびASE放射用光源装置および光ゲートアレイおよび波長可変レーザ装置および多波長レーザ装置および光伝送システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、GaAs基板と、利得領域と、利得領域に電流を注入するp側電極及びn側電極とを備えた半導体光増幅器において、前記利得領域は、GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料からなる量子井戸層を複数積層した多重量子井戸構造で形成されており、該多重量子井戸構造は、エネルギーバンドギャップが異なる量子井戸層を複数積層して形成され、利得係数が均一化されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の半導体光増幅器において、該半導体光増幅器の両端面には無反射膜が形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器をASE放射用光源に用いることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器をGaAs基板上に複数個配列して形成されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、一対の反射鏡で構成された共振器内に、ASE放射用光源と、ASE放射用光源で発生した光を波長分波する波長分波器と、波長分波器を通って分波したそれぞれの波長の光を選択し増幅する光ゲートアレイとを備えた波長可変レーザ装置において、ASE放射用光源には請求項3記載のASE放射用光源装置が用いられ、かつ、光ゲートアレイには請求項4記載の光ゲートアレイが用いられることを特徴としている。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、一対の反射鏡で構成された共振器内に、波長分波器と、波長分波器を通って分波したそれぞれの波長の光を選択し増幅する半導体光増幅器とを備えた多波長レーザ装置において、半導体光増幅器には請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器が用いられることを特徴としている。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、複数の波長の光信号を送信する光送信モジュールと、光信号を伝送する光ファイバと、光信号を受光する光受信モジュールを備えた波長分割多重方式の光伝送システムにおいて、請求項6記載の多波長レーザ装置が光送信モジュールに用いられることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
本発明の半導体光増幅器は、GaAs基板(例えばGaAs単結晶基板)と、利得領域と、利得領域に電流を注入するp側電極及びn側電極とを備え、利得領域にはGaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料からなる半導体層が用いられることを特徴としている。
【0016】
GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSb等のV族元素としてAsとNを含む混晶半導体は、GaAs基板上に単結晶薄膜を結晶成長可能であり、しかも石英光ファイバの伝送損失が低い波長1.2〜1.6μm帯のバンドギャップ波長を有することが知られている。従って、光ファイバ伝送に用いられる1.3μmや1.55μmのレーザ光に対して利得を有している。
【0017】
そして、V族元素としてAsとNを含む混晶半導体は、AlGaAsやAlGaInP系材料とヘテロ接合を形成した場合、価電子帯側に対する伝導帯側のバンド不連続比を大きくできることが知られている。また、GaAs基板上に形成できるため、AlGaAsやAlGaInPといったエネルギーバンドギャップの大きい材料をクラッド層に用いることができる。従って、GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料からなる利得領域とクラッド層との伝導帯バンド不連続を200meV以上と大きくとることができる。そのため、外部環境温度が高くなっても、利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがなく、温度上昇による利得の減少を抑制することができる。従って、GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料からなる利得領域を備えた半導体光増幅器においては、外部環境温度に対して光増幅率の変化を小さくすることができる。
【0018】
また、従来材料系であるInP基板上のInGaAsP層の利得係数は、500cm-1程度と低い値となっている(文献「IEEE J.Quantum Electron.,Vol.27,pp1804−1811」を参照)。一方、GaAs基板上のGaInNAs層(1.2μm帯)の利得係数は、2243cm-1という高い値が報告されている(文献「Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.35,pp.206−209」を参照)。図10は、GaAs基板上に1.3μm帯のGaInNAsを活性層とする端面型半導体レーザを試作して、半導体レーザの閾電流密度Jthと全損失αの関係を実験的に求めた結果を示す図である。図7より、1.3μm帯においても、GaInNAs層の利得係数G0は1500cm-1という高い値が得られることが判明した。従って、GaAs基板上のGaInNAs層は、InP基板上のInGaAsP材料に比べて、高い利得係数を有しており、1.2〜1.3μm帯の半導体光増幅器の利得領域として用いるのに適している。
【0019】
なお、上記本発明の半導体光増幅器において、前記利得領域は、GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料からなる量子井戸層を複数積層した多重量子井戸構造で形成されており、該多重量子井戸構造は、エネルギーバンドギャップが異なる量子井戸層を複数積層して形成されている。
【0020】
このように、半導体光増幅器の利得領域がGaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料で構成された量子井戸層で構成されているときには、外部環境温度に対して光増幅率の変化を小さくできる。
【0021】
さらに、各量子井戸層の混晶組成または井戸幅を変えることにより、各量子井戸層のエネルギーバンドギャップを異なるものにすることができる。この場合、各量子井戸層は異なる波長帯域に対して利得を有することになる。従って、エネルギーバンドギャップの異なる量子井戸層を組み合わせた多重量子井戸構造は、各量子井戸層の利得帯域を重ね合わせることにより広帯域の増幅帯域を有することができる。このような広帯域の光増幅器は、波長間隔が比較的広い波長多重分割方式の光伝送システムに応用することができる。
【0022】
なお、異なるエネルギーバンドギャップを有する量子井戸層を組み合わせて増幅帯域を広げる得る場合に、各量子井戸層の利得を均一化することが重要である。しかし、エネルギーバンドギャップが異なると、量子井戸層の利得係数が異なり、また、量子井戸層へのキャリア閉じ込め障壁高さも変化してしまう。これに対し、本発明では、GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbを用いて量子井戸層を構成しているので、量子井戸層に加える歪量やN組成を制御することにより、同じエネルギーバンドギャップのままで利得係数を変えることができる。また、N組成を増加することによって量子井戸層の伝導帯バンド端位置を低下でき、Sb組成を増加することによって伝導帯バンド端位置を上昇させることができる。これにより、量子井戸層の電子閉じ込め障壁高さをそろえることも可能である。従って、エネルギーバンドギャップの異なる量子井戸構造の利得係数を均一化することが可能となっている。
【0023】
図1(a),(b)は本発明に係る半導体光増幅器の構成例を示す図である。なお、図1(a)は正面から見た断面図であり、図1(b)は側面から見た断面図である。
【0024】
図1を参照すると、この半導体光増幅器は、n型GaAs基板101上に、n型Al0.4Ga0.6Asクラッド層102、GaAs下部光導波層103、GaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層104、GaAs上部光導波層105、p型Ga0.5In0.5P第1クラッド層106が順次に積層されている。
【0025】
ここで、GaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層104は、例えば、層厚7nmのGaInNAs量子井戸層と層厚10nmのGaAs障壁層とが3周期積層されて構成されている。
【0026】
そして、p型Ga0.5In0.5P第1クラッド層106上には、電流注入するストライプ領域の両側にn型Al0.5In0.5P電流ブロック層107が形成されている。これは、p型Ga0.5In0.5P第1クラッド層106上に、n型Al0.5In0.5P電流ブロック層107を結晶成長した後に、ストライプ領域を硫酸系エッチング溶液で化学エッチングして形成することができる。すなわち、硫酸系エッチング溶液は、AlInPをエッチングしてGaInPをエッチングしないので、n型Al0.5In0.5P電流ブロック層107のみをエッチングすることができる。
【0027】
そして、n型Al0.5In0.5P電流ブロック層107及びストライプ領域のp型Ga0.5In0.5P第1クラッド層106上に、p型Al0.4Ga0.6As第2クラッド層108、p型GaAsキャップ層109が順次に積層されている。
【0028】
そして、p型GaAsキャップ層109上にはp側電極110が形成され、また、n型GaAs基板101の裏面にはn側電極111が形成されている。また、劈開で形成した素子の両端面T1,T2には、反射率0.2%以下の無反射膜112,113が形成されている。
【0029】
図1の半導体光増幅器は進行波型となっている。すなわち、後端面T1から入射したレーザ光は、入射光の波長に対して利得を有するGaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層104を含む導波路を伝搬する過程で光増幅され、反対側の前端面T2から出射される構造となっている。基板101と垂直な方向においては、GaAs光導波層103,105が屈折率の低いクラッド層102,106,108ではさまれたSCH構造となっている。また、基板101に水平な方向においては、ストライプ領域の外側に設けられたn型Al0.5In0.5P電流ブロック層107の屈折率がp型クラッド層106,108よりも低いため、ストライプ領域の内外で実効屈折率差を形成して光をストライプ領域に閉じ込める構造となっている。なお、n型Al0.5In0.5P電流ブロック層107は、導波路を伝搬する光に対して透明であるため、導波中に光を吸収することはない。
【0030】
図1の半導体光増幅器では、順方向バイアスを印加することにより、GaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層104にはp側電極110とn側電極111とからそれぞれ正孔と電子とが注入されて反転分布が形成される。そのため、入射光と共鳴して誘導放出光が発生し、光が増幅される。
【0031】
また、図1(a),(b)の半導体光増幅器において、両端面に形成された無反射膜112,113は、ファブリペローモードによるレーザ発振を抑制しており、利得を平坦化するレーザ発振抑制手段としての機能を有している。図1の例では、ファブリペローモードによるレーザ発振を抑制するレーザ発振抑制手段として、両端面に無反射膜112,113を形成しているが、その他に、ストライプ構造の方向を光出射端面に垂直方向から傾ける方法や、光出射端面近傍に窓構造を形成する方法や、光出射端面近傍に光吸収領域を設ける方法や、これらの方法を無反射膜と併用する方法などを用いることもできる。
【0032】
図1の半導体光増幅器は、GaAs基板101上にGaInNAsを利得領域(量子井戸層)として備えている。GaAs基板上に結晶成長したGaInNAsは、バンドギャップ波長1.2〜1.6μmを有している。従って、光ファイバ伝送に用いられる1.3μmや1.55μmの波長に対して利得を有している。そして、GaInNAsは、AlGaAsやAlGaInP系材料とヘテロ接合を形成した場合、価電子帯に対する伝導帯のバンド不連続比が大きくできることが知られている。また、GaAs基板上に形成できるため、ワイドギャップのGaInPやAlGaAsをクラッド層に用いることができる。従って、GaInNAs利得領域とクラッド層との伝導帯バンド不連続を200meV以上と大きくすることができる。そのため、外部環境温度が高くなっても、利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがなく、温度上昇による利得の減少を抑制することができる。従って、外部環境温度に対して光増幅率の変化を小さくすることができる。
【0033】
図1においては、GaAs基板101上に形成する長波長帯の利得領域(量子井戸層)として、GaInNAs材料を用いたが、これのかわりに、GaNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料を用いることもでき、この場合でも同様な効果が得られる。
【0034】
また、図1においては、1つの素子としての半導体光増幅器となっているが、ストライプ領域を複数形成することにより、同一基板上に1次元アレイをモノリシックに形成することも可能である。
【0035】
また、図2は本発明に係る半導体光増幅器の他の構成例を示す図であり、図2の例では、半導体光増幅器は面型半導体光増幅器として構成されている。すなわち、図2を参照すると、この半導体光増幅器は、n型GaAs基板101上に、n型GaAs/Al0.8Ga0.2AsのDBR201、n型GaAs下部スペーサ層202、GaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層203、p型Al0.4Ga0.6Asキャリアブロック層204、p型GaAs上部スペーサ層205、p型GaAs/Al0.8Ga0.2AsのDBR206が順次に積層されている。
【0036】
ここで、n型DBR201及びp型DBR206は、高屈折率であるGaAsと低屈折率であるAl0.8Ga0.2Asとを、動作波長の1/4の光学的厚さで交互に積層して形成した反射鏡である。
【0037】
また、n型GaAs下部スペーサ層202、GaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層203、p型Al0.4Ga0.6Asキャリアブロック層204、p型GaAs上部スペーサ層205の層厚を合計した厚さは、動作波長の1/2の光学的厚さに対して整数倍となるように設計されている。
【0038】
そして、図2の半導体光増幅器では、円形状の電流注入領域を除く活性層近傍にプロトンが注入されて高抵抗領域207が形成されている。
【0039】
また、図2において、p型DBR206上にはp側電極110が形成され、また、n型GaAs基板101の裏面にはn側電極111が形成されている。そして、p側電極110とn側電極111においては、それぞれ、光を入出射させるために、電流注入領域の上下の電極が除去されて、開口部が形成されている。
【0040】
図2の半導体光増幅器は、光を基板の主平面に対して垂直な方向に入出射させる面型となっている。すなわち、p側電極110側から光が入射し、入射光の波長に対して利得を有するGaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層203を含むp型DBR206とn型DBR201の間で多重反射して光が増幅され、n型GaAs基板101側から出射される構造となっている。従って、p型DBR206とn型DBR201との間で共振する波長に対して高い利得を有する共振型光増幅器となっている。なお、n型DBR201の反射率は、高注入時においても半導体光増幅器自身がレーザ発振しないように、70〜90%に低下させている。
【0041】
図2の面型半導体光増幅器も、図1の半導体光増幅器と同様に、GaAs基板101上にGaInNAsを利得領域として備えている。従って、光ファイバ伝送に用いられる1.3μmや1.55μmの長波長帯に対応している。そして、GaInNAs井戸層とp型Al0.4Ga0.6Asキャリアブロック層204との伝導帯バンド不連続を200meV以上と大きくすることができる。そのため、外部環境温度が高くなっても、GaInNAs井戸層から電子が急激にオーバーフローすることがなく、温度上昇による利得の減少を抑制することができる。従って、外部環境温度に対して光増幅率の変化を小さくすることができる。
【0042】
また、図2の半導体光増幅器は面型であるため、図1の半導体光増幅器のように光入出射面を劈開面で形成する必要がない。従って、半導体光増幅器をGaAs基板上にモノリシック集積して、2次元アレイを形成することも可能である。従って、高密度の並列集積化に有利となっている。
【0043】
また、図2においては、光を基板の表面から裏面に透過させて増幅しているが、99%以上の高反射率を有するn型DBR201を用いて、光を基板の表面側から入出射させる反射型増幅器を構成することも可能である。
【0044】
また、本発明は、上述した本発明の半導体光増幅器をASE(amplitude spontaneous emission)放射用光源に用いたASE放射用光源装置を構成することもできる。
【0045】
すなわち、本発明の半導体光増幅器は、利得領域に電流を注入して反転分布を形成している。そして、光を入出力させる端面の反射率を1%未満に抑制して光が共振しないようにしている。従って、利得領域で発生した自然放出光は誘導放出により増幅されて、高出力のASEが発生する。従って、半導体光増幅器に信号光を入射させない状態で、かつ高注入においてレーザ発振を抑制することにより、ASEを放射する光源として用いることができる。
【0046】
そして、上述した本発明の半導体光増幅器は、利得領域がGaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料で構成されているため、利得領域とクラッド層との伝導帯バンド不連続を200meV以上と大きくすることができる。従って、外部環境温度が高くなっても、利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがない。そのため、高温時でも高出力のASEを発生させることが可能である。
【0047】
また、上述した本発明の半導体光増幅器をGaAs基板(GaAs単結晶基板)上に複数個配列して光ゲートアレイを形成することもできる。
【0048】
すなわち、半導体光増幅器にバイアス電流を注入しない場合、利得領域は入射光を吸収する。一方、半導体光増幅器にバイアス電流を注入した状態で光を入射させると、10〜20dB程度光を増幅できる。従って、半導体光増幅器はバイアス電流によって入射光の通過/遮蔽を制御する光ゲートとして機能する。そして、このような半導体光増幅器を基板上に複数個配列することで、並列光信号の通過チャンネルを選択する光ゲートアレイを形成することができる。
【0049】
本発明の光ゲートアレイを構成する半導体光増幅器の利得領域は、GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料で構成されている。そのため、利得領域とクラッド層との伝導帯バンド不連続を200meV以上と大きくすることができる。従って、外部環境温度が高くなっても、利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがなく、高温時でも高い光増幅率を維持することができる。そのため、光ゲートを通過する光信号のS/N比が劣化することがなく、外部環境温度に対して安定に動作する光ゲートアレイを形成することができる。
【0050】
また、本発明の波長可変レーザ装置は、一対の反射鏡で構成された共振器内に、ASE放射用光源と、ASE放射用光源で発生した光を波長分波する波長分波器と、波長分波器を通って分波したそれぞれの波長の光を選択し増幅する光ゲートアレイとを備え、ASE放射用光源には前述した本発明のASE放射用光源装置が用いられ、また、光ゲートアレイには前述した本発明の光ゲートアレイが用いられることを特徴としている。
【0051】
ASE放射用光源で発生した光は、発光スペクトル幅が広いASE(amplitude spontaneous emission)となっている。ASE放射用光源で発生した光は、波長分波器を導波する過程で、各波長成分に空間的に分岐して出力される。波長分波器としては、例えばarrayed waveguide素子が用いられる。波長分波器を通った光は、光ゲートアレイに入力される。光ゲートアレイを構成する各半導体光増幅器に入力される光は、波長分波器で波長が選択されて狭スペクトル幅の光となっており、それぞれ波長が異なっている。光ゲートアレイにおいては、異なる波長の中から所望の波長に対応した半導体光増幅器にだけバイアス電流を加えることにより、選択した波長の光のみを選択して増幅する。それ以外の波長の光は、バイアスしていない半導体光増幅器を導波する過程で吸収されて減衰する。光ゲートアレイで選択された波長の光は、ASE放射用光源の後端面側と光ゲートアレイの前端面側に設けられた反射鏡とで構成される共振器内で共振し、レーザ発振する。従って、波長は光ゲートアレイを構成する半導体光増幅器のアレイ数に対応してデジタル的に分割されて選択される。
【0052】
前述した本発明のASE放射用光源装置は、高温高出力動作が可能である。また、前述した本発明の光ゲートアレイは、外部環境温度に対して安定に動作する。従って、前述した本発明のASE放射用光源装置,光ゲートアレイを用いて波長可変レーザ装置を構成することにより、外部環境温度の変化に対して安定な光源を形成できる。そして、電子冷却装置による精密な温度制御を必要としないため、低コストで製造することができる。
【0053】
図3は本発明に係る波長可変レーザ装置の構成例を示す図である。図3を参照すると、この波長可変レーザ装置は、Si基板606上に、光を発生するASE放射用光源601と、ASE放射用光源601で発生した光を波長分波する波長分波器602と、半導体光増幅器604がアレイ状にモノリシック集積して形成された光ゲートアレイ603と、光ゲートアレイ603から出力された光を1本の光導波路に結合する合波器605とを有している。
【0054】
このような構成の波長可変レーザ装置は、次のように動作する。すなわち、ASE放射用光源601で発生した光は発光スペクトル幅が広いASEとなっている。ASE放射用光源601で発生した光は、波長分波器602を導波する過程で、各波長成分に空間的に分岐して出力される。なお、波長分波器602としては、arrayed waveguide素子を用いることができる。波長分波器602を通った光は、光ゲートアレイ603に入力される。光ゲートアレイ603は、nチャンネルの進行波型半導体光増幅器604がアレイ状にモノリシック集積して形成されている。光ゲートアレイ603の各半導体光増幅器604に入力される光は、波長分波器602で波長が選択された光となっており、それぞれ波長がλ1〜λnまで異なっている。光ゲートアレイ603においては、λ1〜λnの波長の中から所望の波長に対応した半導体光増幅器にだけバイアス電流を加えることにより、選択した波長の光のみを選択して増幅する。それ以外の波長の光は、バイアスしていない半導体光増幅器を導波する過程で吸収されて減衰する。光ゲートアレイ603で選択された波長の光は、ASE放射用光源601の後端面と半導体光増幅器604の前端面とで構成される共振器内で共振し、レーザ発振する。選択される波長は光ゲートアレイ603を構成する半導体光増幅器604のアレイ数に対応してデジタル的に分割される。光ゲートアレイ603から出力される光は、合波器605で共通の光導波路に結合されて、外部に出射される。
【0055】
なお、図3に示す波長可変レーザ装置の光変調は、半導体光増幅器604に加えるバイアス電流をオン/オフすることによって行われる。また、光出力は、ASE放射用光源601の注入電流及び半導体光増幅器604のバイアス電流によって制御することができる。
【0056】
図4(a),(b)は、図3に示した波長可変レーザ装置に用いられているASE放射用光源601の構成例を示す図である。なお、図4(a)は正面から見た断面図であり、図4(b)は上面から見た図である。図4(a)を参照すると、ASE放射用光源601の積層構成は、図1に示した半導体光増幅器と同様な構造となっている。そして、劈開で形成した素子の前端面T2には、反射率0.2%以下の無反射膜703が形成されており、後端面T1には反射率99%の高反射膜702が形成されている。また、電流注入するストライプ領域704は、光を出射する前端面T2近傍では素子端面に垂直な方向から10°傾けた構造となっている。
【0057】
図4(c)は、図4(a)において活性領域であるGaInNAs/GaAs多重量子井戸構造701の構造を示す図である。図4(c)を参照すると、GaInNAs/GaAs多重量子井戸構造701は、4層のGaInNAs井戸層705a,705b,705c,705dの上下をGaAs障壁層706ではさんだ構成となっている。4層のGaInNAs井戸層705a,705b,705c,705dのバンドギャップ波長は、混晶組成及び井戸幅を変えることにより、それぞれ異なっている。各井戸層705a,705b,705c,705dのバンドギャップ波長は、例えば、705aが1.20μm、705bが1.24μm、705cが1.28μm、705dが1.32μmに設定することができる。
【0058】
図4のASE放射光源は、図1に示した半導体光増幅器を応用している。すなわち、図4において、p側電極110とn側電極111に順方向バイアス電流を加えると、多重量子井戸活性層701中で正孔と電子が再結合して、自然放出及び誘導放出が発生する。前端面T2に無反射膜703が形成されているため、多重量子井戸活性層701で発生した光は多重反射による共振が抑制されて、レーザ発振することなく前端面T2から出射される。このとき、自然放出光が利得領域自身の反転分布により光増幅されてASEとして放射される。
【0059】
半導体光増幅器をASE放射用光源として用いる場合、信号光を後端面T1から素子に入力させる必要がない。従って、図4に示すASE放射用光源では後端面T1に反射率99%の高反射膜702を形成して、ASEを効率良く前端面T2から取り出せるようにしている。また、電流注入するストライプ領域701が図7(b)に示すように、光出射端面近傍では端面に垂直な方向から10°傾けた構造となっている。従って、前端面T2で反射されて利得領域に戻る光の成分を更に低減させて、半導体光増幅器の両端面で形成される共振器内でレーザ発振することを抑制している。
【0060】
そして、図4に示すASE放射用光源においては、利得領域がGaInNAs量子井戸層で構成されているため、利得領域とAl0.4Ga0.6Asクラッド層との伝導帯バンド不連続を200meV以上と大きくすることができる。従って、外部環境温度が高くなっても、利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがない。そのため、高温時でも反転分布状態を維持して高出力のASEを発生させることが可能である。
【0061】
また、図4のASE放射用光源では、図4(c)に示すように、利得領域である多重量子井戸活性層701を構成する4層のGaInNAs井戸層705a,705b,705c,705dのバンドギャップ波長が異なるように形成されている。そのため、各GaInNAs井戸層705a,705b,705c,705dは異なる波長帯域に対して利得を有することになる。従って、エネルギーバンドギャップの異なるGaInNAs井戸層を組み合わせた多重量子井戸活性層701は、各井戸層の利得帯域を重ねあわせることにより、1.20〜1.32μmと広帯域の増幅帯域を有することができる。従って、図4のASE放射用光源は広帯域のASEを発生させることができるため、図3に示す波長可変レーザ装置の波長変化量を拡大することができる。
【0062】
また、図3の波長可変レーザ装置において、光ゲートアレイ603は、GaAs基板上に、図1に示したような進行波型半導体光増幅器604をアレイ状にn個モノリシック集積して構成されている。ここで、アレイ数nは、例えば8に設定されている。この場合には、光ゲートアレイ603によって1.20〜1.32μmの波長範囲から8波長を選択可能となっている。また、ASE放射用光源601の後端面と半導体光増幅器604の前端面とで共振器を構成するために、半導体光増幅器604の前端面には反射率10%の低反射膜を形成している。
【0063】
光ゲートアレイ603において、半導体光増幅器604の利得領域はGaInNAsで構成されており、利得領域とAl0.4Ga0.6Asクラッド層との伝導帯バンド不連続を200meV以上と大きくすることができる。従って、外部環境温度が高くなっても、利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがなく、高温時でも高い光増幅率を維持することができる。そのため、光ゲートアレイ603を通過する光信号のS/N比の劣化を防止することができ、外部環境温度に対して安定に動作する。
【0064】
以上述べたように、図3の波長可変レーザ装置は、高温高出力動作が可能であるASE放射光源601と、外部環境温度に対して安定に動作する光ゲートアレイ603とを能動素子に用いている。従って、外部環境温度の変化に対して安定な光源を形成することができる。そして、電子冷却装置によって装置を精密に温度制御する必要がないため、低コストで製造することができる。
【0065】
また、本発明の多波長レーザ装置は、一対の反射鏡で構成された共振器内に、波長分波器と、波長分波器を通って分波したそれぞれの波長の光を選択し増幅する半導体光増幅器とを備え、半導体光増幅器には、前述した本発明の半導体光増幅器が用いられることを特徴としている。
【0066】
一対の反射鏡で構成された共振器内に設けられた半導体光増幅器で発生した光は発光スペクトル幅が広いASEとなっている。半導体光増幅器で発生した光は波長分波器に入力され、波長分波器を導波して反対側に設けられた反射鏡で反射し、再び波長分波器を導波して半導体光増幅器に帰還する。このとき、半導体光増幅器に帰還する光は、波長分波器によって波長が空間的に分岐されて狭スペクトル幅の光となっているため、特定の波長の光のみが増幅される。これを繰り返すことにより、波長分波器によって波長が選択された光は、共振器内でレーザ発振する。そして、波長分波器が異なる波長を出力する位置に半導体光増幅器を複数設けることにより、それぞれ別の波長でレーザ発振する多波長レーザ装置を実現できる。
【0067】
前述した本発明の半導体光増幅器は、外部環境温度に対して光増幅率の変化を小さくすることができ、高温時でも安定して高い増幅率を有している。従って、前述した本発明の半導体光増幅器を多波長レーザ装置に用いることにより、外部環境温度の変化に対して安定な多波長レーザ装置を形成できる。また、電子冷却装置による精密な温度制御を必要としないため、低コストで製造することができる。
【0068】
なお、この多波長レーザ装置においては、光信号の変調を、図3に示した波長可変レーザ装置と同様に、半導体光増幅器に注入するバイアス電流のオン/オフによって行なうようになっている。
【0069】
また、本発明は、複数の波長の光信号を送信する光送信モジュールと、光信号を伝送する光ファイバと、光信号を受光する光受信モジュールを備えた波長分割多重方式の光伝送システムにおいて、光送信モジュールに前述した本発明の多波長レーザ装置が用いられることを特徴としている。
【0070】
波長分割多重方式は、1本の光ファイバ中を複数の波長の光信号で多重化して並列に伝送することにより、伝送容量を増加させる方式である。この場合、波長の異なる光信号源が必要であり、低コストの多波長光源が求められている。本発明の波長分割多重方式の光伝送システムにおいては、前述した多波長レーザ装置を光送信モジュールに用いている。前述した本発明の多波長レーザ装置は、既に述べたように外部環境温度の変化に対して光出力や変調特性が安定して動作する。そのため、電子冷却装置による精密な温度制御を必要とせず、多波長レーザ装置を低コストで製造することができる。従って、これを用いた波長分割多重方式の光伝送システムについても低コスト化することができる。
【0071】
図5は、本発明に係る光伝送システムの構成例を示す図である。図5の光伝送システムは、光送信モジュール801と、光受信モジュール802と、光ファイバケーブル803とを備えている。
【0072】
ここで、光ファイバケーブル803としては、石英をコア及びクラッドとするシングルモードファイバを用いることができる。そして、光送信モジュール801は、駆動制御回路805と、多波長レーザ装置804とを備えており、1本の光ファイバ中を互いに異なる複数の波長の光信号で多重化して並列に伝送することにより、伝送容量を増加させる波長多重分割方式を採用している。また、光受信モジュール802は、受信装置806と、受信回路807とを備えている。
【0073】
このような構成の光伝送システムでは、光送信モジュール801に入力した電気信号は、最初に駆動制御回路805に入力される。駆動制御回路805では、多波長レーザ装置804の各波長のレーザに電流を注入して発振させ、また信号に応じてレーザ光強度を変調する。多波長レーザ装置804は、複数の波長のレーザ光を独立に変調して1本の光ファイバケーブル803に光信号を送り込む。光信号は光ファイバケーブル803を導波して光受信モジュール802中の受光装置806に入力される。受光装置806では、光信号を波長分波器で別々の波長成分に分離した後に、各波長成分の光をフォトダイオードやアバランシェフォトダイオード等で電気信号に変換する。その後、受信回路807で電気信号が増幅,波形整形されて出力される。
【0074】
図6は、図5に示した光伝送システムに用いられている多波長レーザ装置804の構成例を示す図である。図6において、符号604はASEを発生させ、また発生したASEを増幅する機能を有する半導体光増幅器である。半導体光増幅器604は、同一基板上に複数個モノリシック集積して形成されている。また、符号602は半導体光増幅器604で発生した光を波長分波する波長分波器である。波長分波器602において、半導体光増幅器604が設けられている側と反対側には高反射膜901が形成されている。また、符号902は波長分波器602で分波されたそれぞれの光強度を変調する電界吸収型半導体光変調器であり、符号605は波長分波器602で分波された光を1本の光導波路に結合する合波器である。また、符号606は上記の部品が配列されているSi基板である。
【0075】
このような構成の多波長レーザ装置の動作は、次のとおりである。すなわち、半導体光増幅器604で発生した光は発光スペクトル幅が広いASEとなっている。半導体光増幅器604で発生した光は、波長分波器602に入力され、波長分波器602を導波して反対側に設けられた高反射膜901で反射され、再び波長分波器602を導波して半導体光増幅器604に帰還する。このとき、半導体光増幅器604に帰還する光は、波長分波器602によって波長が空間的に分岐されて狭スペクトル幅の光となっているため、特定の波長の光のみが増幅される。半導体光増幅器604の前端面には反射率10%の低反射膜が形成されており、高反射膜901と半導体光増幅器604の前端面とで共振器を構成してレーザ発振する。半導体光増幅器604は、波長分波器602が異なる波長を出力する位置に複数設けられており、それぞれ別の波長の光を増幅してレーザ発振させることにより、多波長レーザ装置を実現できる。図4の例では、4素子の半導体光増幅器を用いており、それぞれ1.20μm,1.24μm,1.28μm,1.32μmでレーザ発振させている。
【0076】
図6の多波長レーザ装置において、半導体光増幅器604には図1に示した半導体光増幅器が用いられている。従って、利得領域がGaInNAs量子井戸層で構成されているため、利得領域とAl0.4Ga0.6Asクラッド層との伝導帯バンド不連続を200meV以上と大きくすることができる。従って、外部環境温度が高くなっても、利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがない。そのため、高温時でも高い光増幅率を維持することができ、外部環境温度に対して安定に動作する。
【0077】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1乃至請求項2記載の発明によれば、GaAs基板と、利得領域と、利得領域に電流を注入するp側電極及びn側電極とを備えた半導体光増幅器において、利得領域にはGaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料からなる半導体層が用いられるので、外部環境温度が高くなっても、利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがなく、温度上昇による利得の減少を抑制することができる。従って、外部環境温度に対して光増幅率の変化を小さくすることができる。
【0078】
特に、請求項1記載の発明によれば、前記利得領域は、GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料からなる量子井戸層を複数積層した多重量子井戸構造で形成されており、該多重量子井戸構造は、エネルギーバンドギャップが異なる量子井戸層を複数積層して形成されているので(各量子井戸層の混晶組成または井戸幅が異なるように形成されているので)、上記効果に加えて、増幅帯域を広帯域化することができる。
【0079】
また、請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器をASE放射用光源に用いることを特徴とするASE放射用光源装置であり、請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器は、利得領域がGaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料で構成されているため、外部環境温度が高くなっても利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがない。そのため、高温時でも高出力のASEを発生させることができる。
【0080】
また、請求項4記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器をGaAs基板上に複数個配列して形成されていることを特徴とする光ゲートアレイであり、光ゲートアレイを構成する半導体光増幅器の利得領域は、GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料で構成されているため、外部環境温度が高くなっても利得領域からクラッド層にオーバーフローする電子が急激に増加することがなく、高温時でも高い光増幅率を維持することができる。そのため、光ゲートを通過する光信号のS/N比が劣化することがなく、外部環境温度に対して安定に動作することができる。
【0081】
また、請求項5記載の発明によれば、一対の反射鏡で構成された共振器内に、ASE放射用光源と、ASE放射用光源で発生した光を波長分波する波長分波器と、波長分波器を通って分波したそれぞれの波長の光を選択し増幅する光ゲートアレイとを備えた波長可変レーザ装置において、ASE放射用光源には請求項3記載のASE放射用光源装置が用いられ、かつ、光ゲートアレイには請求項4記載の光ゲートアレイが用いられるようになっており、請求項3記載のASE放射用光源装置は高温高出力動作が可能であり、また、請求項4記載の光ゲートアレイは、外部環境温度に対して安定に動作するので、外部環境温度の変化に対して安定な波長可変レーザ装置を提供できる。そして、電子冷却装置による精密な温度制御を必要としないため、低コストで製造することができる。
【0082】
また、請求項6記載の発明によれば、一対の反射鏡で構成された共振器内に、波長分波器と、波長分波器を通って分波したそれぞれの波長の光を選択し増幅する半導体光増幅器とを備えた多波長レーザ装置において、半導体光増幅器には請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器が用いられるようになっており、請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器は、外部環境温度に対して光増幅率の変化を小さくすることができ、高温時でも安定して高い増幅率を有しているので、外部環境温度の変化に対して安定な多波長レーザ装置を提供できる。また、電子冷却装置による精密な温度制御を必要としないため、低コストで製造することができる。
【0083】
また、請求項7記載の発明によれば、複数の波長の光信号を送信する光送信モジュールと、光信号を伝送する光ファイバと、光信号を受光する光受信モジュールを備えた波長分割多重方式の光伝送システムにおいて、請求項6記載の多波長レーザ装置が光送信モジュールに用いられるようになっており、請求項6の多波長レーザ装置は、外部環境温度の変化に対して安定に動作するため、電子冷却装置による精密な温度制御を必要としない。従って、多波長レーザ装置を低コストで製造することができ、それを用いた光伝送システムを低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体光増幅器の構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る半導体光増幅器の他の構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る波長可変レーザ装置の構成例を示す図である。
【図4】図3の波長可変レーザ装置に用いられているASE放射用光源の構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る光伝送システムの構成例を示す図である。
【図6】図5に示した光伝送システムに用いられている多波長レーザ装置の構成例を示す図である。
【図7】GaAs基板上に1.3μm帯のGaInNAsを活性層とする端面型半導体レーザを試作して、半導体レーザの閾電流密度Jthと全損失αの関係を実験的に求めた結果を示す図である。
【符号の説明】
101 n型GaAs基板
102 n型AlGaAsクラッド層
103 GaAs下部光導波層
104 GaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層
105 GaAs上部光導波層
106 p型GaInP第1クラッド層
107 n型AlInPブロック層
108 p型AlGaAs第2クラッド層
109 p型GaAsキャップ層
110 p側電極
111 n側電極
112 後端面無反射膜
113 前端面無反射膜
201 n型GaAs/AlGaAs DBR
202 n型GaAs下部スペーサ層
203 GaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層
204 p型AlGaAsキャリアブロック層
205 p型GaAs上部スペーサ層
206 p型GaAs/AlGaAs DBR
207 高抵抗領域
601 ASE光源
602 分波器
603 光ゲートアレイ
604 半導体光増幅器
605 合波器
606 Si基板
701 GaInNAs/GaAs多重量子井戸活性層
702 無反射膜
703 高反射膜
704 ストライプ領域
705a,b,c,d GaInNAs井戸層
706 GaAs障壁層
801 光送信モジュール
802 光受信モジュール
803 光ファイバケーブル
804 多波長レーザ装置
805 駆動制御回路
806 受光装置
807 受信回路
901 高反射膜
902 電界吸収型光変調器

Claims (7)

  1. GaAs基板と、利得領域と、利得領域に電流を注入するp側電極及びn側電極とを備えた半導体光増幅器において、前記利得領域は、GaNAs,GaInNAs,GaNAsSb,GaInNAsSbのいずれかの材料からなる量子井戸層を複数積層した多重量子井戸構造で形成されており、該多重量子井戸構造は、エネルギーバンドギャップが異なる量子井戸層を複数積層して形成され、利得係数が均一化されていることを特徴とする半導体光増幅器。
  2. 請求項1に記載の半導体光増幅器において、該半導体光増幅器の両端面には無反射膜が形成されていることを特徴とする半導体光増幅器。
  3. 請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器をASE放射用光源に用いることを特徴とするASE放射用光源装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器をGaAs基板上に複数個配列して形成されていることを特徴とする光ゲートアレイ。
  5. 一対の反射鏡で構成された共振器内に、ASE放射用光源と、ASE放射用光源で発生した光を波長分波する波長分波器と、波長分波器を通って分波したそれぞれの波長の光を選択し増幅する光ゲートアレイとを備えた波長可変レーザ装置において、ASE放射用光源には請求項3記載のASE放射用光源装置が用いられ、かつ、光ゲートアレイには請求項4記載の光ゲートアレイが用いられることを特徴とする波長可変レーザ装置。
  6. 一対の反射鏡で構成された共振器内に、波長分波器と、波長分波器を通って分波したそれぞれの波長の光を選択し増幅する半導体光増幅器とを備えた多波長レーザ装置において、半導体光増幅器には請求項1または請求項2に記載の半導体光増幅器が用いられることを特徴とする多波長レーザ装置。
  7. 複数の波長の光信号を送信する光送信モジュールと、光信号を伝送する光ファイバと、光信号を受光する光受信モジュールを備えた波長分割多重方式の光伝送システムにおいて、請求項6記載の多波長レーザ装置が光送信モジュールに用いられることを特徴とする光伝送システム。
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